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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047929
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】多層プリント配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
H05K3/46 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153706
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228833
【氏名又は名称】日本シイエムケイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 元揮
(72)【発明者】
【氏名】竹内 友之
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 由幹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍雄
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316BB02
5E316BB03
5E316BB20
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD12
5E316DD32
5E316EE01
5E316EE09
5E316EE13
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】厚みの厚い導体回路へのガラス繊維のクロスタッチによる層間絶縁不良、及び層間絶縁層におけるボイドがない多層プリント配線板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内部にガラス繊維2を有する絶縁樹脂層1の表裏面の同一層に、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路3と厚みの薄い導体回路4を備えた多層プリント配線板100であって、当該厚みの厚い導体回路の厚みの半分以上が、ガラス繊維に接触することなく絶縁樹脂層に埋まっていると共に、厚みの薄い導体回路の下部に絶縁樹脂が充填されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガラス繊維を有する絶縁樹脂層の表裏面の同一層に、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を備えた多層プリント配線板であって、当該厚みの厚い導体回路の厚みの半分以上が、ガラス繊維に接触することなく絶縁樹脂層に埋まっていると共に、厚みの薄い導体回路の下部に絶縁樹脂が充填されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】
銅板を一方の面から板厚の半分以上エッチングし、深さの異なる浅い凹部と深い凹部を形成する工程と、次いで、前記銅板2枚と板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグ2枚を、銅板の凹部同士及びプリプレグのガラス繊維同士が対向するように、銅板の間にプリプレグを配置して積層するか、或いは、前記銅板2枚と絶縁シート2枚とガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ複数枚を、銅板の凹部同士が対向するように、銅板の間に複数のプリプレグを挟んで絶縁シートを配置して積層する工程と、次いで、前記銅板の各表面から前記凹部上の銅板をエッチングし、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を形成する工程とを有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグの間に、さらにガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグを複数枚配置して積層することを特徴とする請求項2記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグの間に、さらに予め硬化した絶縁基板を配置して積層することを特徴とする請求項2又は3記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記ガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグの間に、さらに予め硬化した絶縁基板を配置して積層することを特徴とする請求項2記載の多層プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一層に、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を備えた多層プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器及び車載機器に搭載されるプリント配線板において、従来は、複数枚使用されていたプリント配線板が1枚に統合されるケースが増えている。
具体的には、電源基板であれば、大電流や高放熱に対応する厚みの厚い導体回路を有するプリント配線板が必要になり、制御基板であれば、信号の伝送をメインに使用するため比較的厚みの薄い導体回路でかつ微細回路が要求されるため、通常これらについて2枚以上のプリント配線板が使用されていたが、これを1枚のプリント配線板に統合する動きがある。
【0003】
以下、図10を用いて、同一層に、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を備えた従来の多層プリント配線板を説明する。
図10において、TWは従来の多層プリント配線板で、内部にガラス繊維2を有する絶縁樹脂層1と、当該絶縁樹脂層1の表裏面の同一層に形成された表面が略同一の高さである厚みの異なる導体回路3、4とから構成されている。斯かる従来の多層プリント配線板TWは、図10に示すように、厚みの厚い導体回路3に、絶縁樹脂層のガラス繊維2が接触した状態(クロスタッチ7)となっている。
しかしながら、厚みの厚い導体回路にプリプレグのガラス繊維が接触した状態では、層間絶縁抵抗の信頼性試験を実施すると、CAF(Conductive Anodic Filament)によるマイグレーションが発生し易く、層間絶縁が保たれなくなるという問題が生じていた。
【0004】
また、従来の多層プリント配線板TWは、例えば、500μm銅板を一方の面から凡そ板厚の半分以上エッチングして、浅い凹部と深い凹部の2種類の凹部を形成した後、2枚の銅板を凹部を内側にして複数枚のプリプレグを介して積層して製造されているが、このとき、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグを積層すると、厚みの厚い導体回路3にプリプレグのガラス繊維2が接触しやすいことに加えて、深い凹部にプリプレグの絶縁樹脂5がうまく充填されず、ボイド6が発生するケースがあった。層間絶縁層にボイドが存在すると、絶縁不良や絶縁層が層間剥離するなどの問題が懸念される。
【0005】
ところで、150μmから500μmの銅板を、板厚の半分以上をエッチングするのではなく、ハーフエッチング(半分エッチング)した後、エッチングされた銅板2枚を、凹部を内側にしてプリプレグを介して積層した後、各銅板表面をエッチングすることにより、厚みが同一の導体回路のみを備えた両面プリント配線板を製造する方法が知られている(特許文献1)。150μmから500μmの銅板をハーフエッチングする場合、形成される凹部は、銅板の厚みの半分の75μmから250μm程度の浅い凹部となるが、当該凹部が形成された銅板を用いた場合は通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグを積層しても、前述したようなガラス繊維によるクロスタッチは発生しない。また、銅板の凹部が浅いため、ボイドの発生もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-76571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の如き従来の問題に鑑みなされたものであり、厚みの厚い導体回路へのガラス繊維のクロスタッチによる層間絶縁不良、及び層間絶縁層におけるボイドがない多層プリント配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、プリプレグのなかでも樹脂量が多く、プリプレグの仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグ、又は絶縁シートと通常のプリプレグの組み合わせを用い、厚みの厚い導体回路へのガラス繊維の接触を回避させつつ、厚みの薄い導体回路の下部に絶縁樹脂を充填させれば、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、内部にガラス繊維を有する絶縁樹脂層の表裏面の同一層に、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を備えた多層プリント配線板であって、当該厚みの厚い導体回路の厚みの半分以上が、ガラス繊維に接触することなく絶縁樹脂層に埋まっていると共に、厚みの薄い導体回路の下部に絶縁樹脂が充填されていることを特徴とする多層プリント配線板により上記課題を解決したものである。
また、本発明は、銅板を一方の面から板厚の半分以上エッチングし、深さの異なる浅い凹部と深い凹部を形成する工程と、次いで、前記銅板2枚と板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグ2枚を、銅板の凹部同士及びプリプレグのガラス繊維同士が対向するように、銅板の間にプリプレグを配置して積層するか、或いは、前記銅板2枚と絶縁シート2枚とガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ複数枚を、銅板の凹部同士が対向するように、銅板の間に複数のプリプレグを挟んで絶縁シートを配置して積層する工程と、次いで、前記銅板の各表面から前記凹部上の銅板をエッチングし、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路と厚みの薄い導体回路を形成する工程とを有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多層プリント配線板は、厚みの厚い導体回路へのガラス繊維の接触(クロスタッチ)がなく、かつ厚みの薄い導体回路の下部に絶縁樹脂が充填されているので、当該クロスタッチによる層間絶縁不良、及び層間絶縁層におけるボイドがなく、層間の絶縁信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明多層プリント配線板の実施の形態を示す概略断面説明図。
図2】本発明多層プリント配線板の製造方法の第1の実施の形態を示す概略断面工程図。
図3図2に引き続く概略断面工程図。
図4図3に引き続く概略断面工程図。
図5図3(d)の要部拡大断面説明図。
図6】本発明多層プリント配線板の製造方法の第2の実施の形態を示す概略断面工程図。
図7】本発明多層プリント配線板の製造方法の第3の実施の形態を示す概略断面工程図。
図8】本発明多層プリント配線板の製造方法の第4の実施の形態を示す概略断面工程図。
図9】(a)は本発明の複数のシート基板が面付されたワークボードの概略平面図。(b)はピース多層プリント配線板に銅枠を示した概略断面説明図。
図10】従来の多層プリント配線板において、導体回路へのガラス繊維のクロスタッチと、層間絶縁層でのボイド発生の例を示す概略断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明多層プリント配線板の実施の形態を、図1を用いて説明する。
【0013】
図1において、100は多層プリント配線板で、内部にガラス繊維2を有する絶縁樹脂層1と、当該絶縁樹脂層の表裏面の同一層に形成された表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路3と厚みの薄い導体回路4とから構成されている。
図1に示したように、当該厚みの厚い導体回路3の厚みの半分以上は、ガラス繊維2に接触することなく絶縁樹脂層1に埋まっていると共に、厚みの薄い導体回路4の下部には絶縁樹脂5が充填されている。そのため、厚みの厚い導体回路3へのガラス繊維2のクロスタッチによる層間絶縁不良、及び層間絶縁層におけるボイドの存在がなく、層間の絶縁信頼性を確保することができる。
厚い導体回路3の厚みは、大電流への対応及び放熱効果の観点から、500μm~1.0mm、特に500μm~800μmの範囲である。また、薄い導体回路4の厚みは、70μm~150μm、特に100μm~120μmの範囲である。
【0014】
続いて、上記本発明多層プリント配線板100の製造方法の第1の実施の形態について、図2から図5を用いて説明する。
【0015】
まず、銅板10を用意する(図2(a))。銅板10は、板厚が500μm~1.0mmの銅板が使用される。板厚が500μmより薄いと、予定している大電流回路や放熱効果が得られず、他方、1.0mmを超えるとエッチングでの回路形成が困難となり、生産性が極端に悪くなる傾向にある。銅板10は、板厚が500μm~800μmの銅板を使用することが、エッチング工程で銅板を加工する上で好ましい。
【0016】
次に、周知の写真法により、銅板10を一方の面から板厚の半分以上エッチングし、深さの異なる浅い凹部14と深い凹部15を形成する(図2(b)~(c))。具体的には、感光性ドライフィルム11用エッチングレジストを形成し、露光・現像後、エッチング処理する銅板面を露出させ、次いで、銅板をエッチングした後、不要となったエッチングレジストパターンを剥離する。ここで、銅板面の露出面積が狭い部分12は、エッチング液が流れ込みにくく、逆に、銅板面の露出面積が広い部分13は、よりエッチング液の流れ込みが多く、銅板のエッチングされる量が多くなる。例えば、板厚500μmの銅板10を用いた場合、銅板面の露出面積が狭い部分12は、300μm前後エッチングされる。それに比べ、銅板面の露出面積が広い部分13(銅ベタ部分)は、400μm前後エッチングされるため、銅板10には浅い凹部14と深い凹部15が形成される。
【0017】
次に、凹部を形成した銅板10を2枚と、板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aを2枚用意し、銅板10の凹部同士及びプリプレグのガラス繊維同士が対向するように、銅板10の間にプリプレグ16aを配置する(図3(d)、図5)。
図5に示したように、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16は、プリプレグ中のガラス繊維がプリプレグの板厚方向の中心付近に位置するのに対し、板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aは、通常のプリプレグ16より樹脂量が多いプリプレグであるため、プリプレグ中のガラス繊維がプリプレグの仮想中心面よりも下側に位置する。プリプレグ16aの樹脂含量は、好ましくは65wt%以上である。尚、プリプレグは、ガラス繊維(ガラスクロス)に絶縁樹脂が含浸された半硬化状態のものである。また、仮想中心面とは、プリプレグの板厚方向の中心を通る仮想中心面である。
【0018】
本実施の形態では、図3(d)及び図5に示したように、板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aの間に、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16を2枚配置して積層している。必ずしも当該通常のプリプレグを用いる必要はないが、プリプレグ16aの間に、複数枚の通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグを用いることが深い凹部15への絶縁樹脂の充填を満たす上で望ましい。
【0019】
次に、前記の配置状態で一括加熱・積層プレスを行い、プリプレグ16、16aを介して銅板10を積層する(図3(e))。樹脂量が多く、プリプレグの仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aを用いることで、銅板表面に形成する厚みの厚い導体回路へのガラス繊維2の接触(クロスタッチ)を防ぎ、クロスタッチによる層間絶縁不良を抑制できる。また、深い凹部15への絶縁樹脂の充填が満たされ、層間絶縁層でのボイドの発生を抑制できる。
【0020】
次に、前記銅板10の各表面から、浅い凹部14と深い凹部15上の銅板を、上記と同様周知の写真法により、エッチングし、表面が略同一の高さである厚みの厚い導体回路3と厚みの薄い導体回路4を形成することによって、図4(f)に示した多層プリント配線板100を得る。
尚、本実施の形態では、深い凹部15上の銅板の4カ所をエッチングした例を示しているが、本発明を逸脱しない範囲であれば、他の構成にも本発明を適用することは可能である。
【0021】
続いて、上記本発明多層プリント配線板100の製造方法の第2の実施の形態について、図6を用いて説明する。
第2の実施の形態においては、凹部を形成した銅板10を2枚と、絶縁シート17を2枚と、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16を複数枚用意し、銅板10の間に、複数の通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16を挟んで絶縁シート17を配置して積層したことを除いては、第1の実施形態と同じである。
図6に示したように、絶縁シート17を、銅板10の間に通常のプリプレグ16を挟んで配置して積層することにより、銅板表面に形成する厚みの厚い導体回路へのガラス繊維2の接触(クロスタッチ)を防ぎ、クロスタッチによる層間絶縁不良を抑制できる。また、深い凹部15への絶縁樹脂の充填が満たされ、層間絶縁層でのボイドの発生を抑制できる。さらに、絶縁シートを用いると、特に深い凹部15が深い場合に当該凹部への絶縁樹脂の埋め込み性がよくなる。
ここで使用される絶縁シートは、ガラス繊維を含まないことが好ましい。
尚、本実施の形態では、4枚のプリプレグ16を積層した例を示しているが、複数枚であれば変更可能である。
【0022】
続いて、上記本発明多層プリント配線板100の製造方法の第3の実施の形態について、図7を用いて説明する。
第3の実施の形態においては、銅板10の間に、板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aと、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16に加えて、さらに予め硬化した絶縁基板18を配置して積層したことを除いては、第1の実施形態と同じである。
図7に示したように、予め硬化した絶縁基板18は、板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維2が位置するプリプレグ16aの間で、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16との間に配置して積層することが、より確実に深い凹部15へプリプレグの絶縁樹脂を充填できるため望ましい。
ここで使用される予め硬化した絶縁基板は、コア材もしくはアンクラット材が含まれる。
【0023】
続いて、上記本発明多層プリント配線板100の製造方法の第4の実施の形態について、図8を用いて説明する。
第4の実施の形態においては、銅板10の間に、絶縁シート17と、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16に加えて、さらに予め硬化した絶縁基板18を配置して積層したことを除いては、第2の実施形態と同じである。
図8に示したように、予め硬化した絶縁基板18は、絶縁シート17の間で、通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ16との間に配置して積層することが、特に深い凹部15が深い場合に当該凹部への絶縁樹脂の埋め込み性をよくし、より確実に深い凹部15へプリプレグの絶縁樹脂を充填できるため望ましい。
【0024】
ここで、多層プリント配線板100を製造する際は、製造効率の観点から、図9(a)に示したように、個片の多層プリント配線板であるピース基板が複数面付けされたシート基板20を、さらに大判のワークボード200に複数面付けして製造される。本発明の好適な実施の形態では、シート基板20の周縁に、銅板10を銅枠21として残存した状態で各製造工程での処理が行われる。次いで、図9(b)を用いて、個片の多層プリント配線板であるピース基板TYを例にとって説明すると、当該銅枠21は、特に、銅板10とプリプレグ16aを積層する工程においてダムの役割を果たし(図9(b))、プリプレグの絶縁樹脂が製品外へ流出することを防ぎ、銅板10の凹部14及び15への絶縁樹脂の充填率を向上させる。
【符号の説明】
【0025】
1:絶縁樹脂層
2:ガラス繊維
3:厚みの厚い導体回路
4:厚みの薄い導体回路
5:絶縁樹脂
6:ボイド
7:クロスタッチ
10:銅板
11:感光性ドライフィルム
12:銅板面の露出面積が狭い部分
13:銅板面の露出面積が広い部分
14:浅い凹部
15:深い凹部
16:通常のガラス繊維に絶縁樹脂が含浸されたプリプレグ
16a:板厚方向の中心を通る仮想中心面よりも下側にガラス繊維が位置するプリプレグ
17:絶縁シート
18:予め硬化した絶縁基板(コア材、アンクラット材)
20:シート基板
21:銅枠
100:多層プリント配線板
200:シート基板を4面付けしたワークボード
TY:銅枠を備えた多層プリント配線板
TW:従来の多層プリント配線板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10