IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ まいどソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-注文システム 図1
  • 特開-注文システム 図2
  • 特開-注文システム 図3
  • 特開-注文システム 図4
  • 特開-注文システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047960
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】注文システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240401BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153748
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】504090949
【氏名又は名称】まいどソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岡部 光伸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】顧客の注文をスムーズに受けることができる注文システム1の提供。
【解決手段】店内において情報処理を実行する店処理部2と、顧客が所有する顧客端末5と前記店処理部2とを通信可能に接続することによって、前記店を含む限定された範囲内に限定ネットワークを構築する限定通信手段4 と、を備え、前記店処理部2は、前記限定ネットワークに接続されている前記顧客端末5に対して注文入力可能な注文入力画面を表示し、且つ該注文入力画面から入力された注文情報を受ける受注手段20 を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内において情報処理を実行する店処理部と、
顧客が所有する顧客端末と前記店処理部とを通信可能に接続することによって、前記店を含む限定された範囲内に限定ネットワークを構築する限定通信手段と、を備え、
前記店処理部は、前記限定ネットワークに接続されている前記顧客端末に対して注文を入力可能な注文入力画面を表示し、且つ該注文入力画面から入力された注文情報を受ける受注手段を有する、
注文システム。
【請求項2】
前記店用の店設備を備え、
前記限定通信手段は、前記店設備と前記店処理部とを通信可能に接続することによって、前記限定ネットワーク内に前記店設備を所属させ、
前記店処理部は、
前記限定ネットワークに接続されている前記店設備を注文業務に用いるための業務処理手段と、
前記店処理部への通信相手が前記顧客端末であるか前記店設備であるかを判定し、前記店処理部への通信相手が前記顧客端末である場合は前記受注手段を実行し、前記店処理部への通信相手が前記店設備である場合は前記業務処理手段を実行する振分手段と、を有する、
請求項1に記載の注文システム。
【請求項3】
前記店処理部は、前記顧客端末との通信設定を示す通信設定情報のうち使用済みのものを無効化する設定無効化手段を有する、
請求項1又は請求項2に記載の注文システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の注文を受ける注文システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記注文システムとして、例えば、特許文献1に開示されている注文管理システムが知られている。
【0003】
前記注文管理システムは、顧客が所有する携帯端末からの注文をインターネットを介して受信するサーバ装置と、サーバ装置で受信した注文をインターネットを介して受信する店舗内システムとを備えており、携帯端末から送信された注文がインターネットとサーバ装置を経由して店舗内システムに届くように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-162028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の注文管理システムでは、顧客の注文に対する処理を実行するサーバ装置が不特定多数の者が利用するインターネットを介して携帯端末や店舗内システムと通信可能に接続されているため、携帯端末とサーバ装置との間や、サーバ装置と店舗内システムとの間で通信が混雑し、顧客の注文への対応が滞ることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、顧客の注文をスムーズに受けることができる注文システムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注文システムは、
店内において情報処理を実行する店処理部と、
顧客が所有する顧客端末と前記店処理部とを通信可能に接続することによって、前記店を含む限定された範囲内に限定ネットワークを構築する限定通信手段と、を備え、
前記店処理部は、前記限定ネットワークに接続されている前記顧客端末に対して注文を入力可能な注文入力画面を表示し、且つ該注文入力画面から入力された注文情報を受ける受注手段を有する。
【0008】
上記構成の注文システムによれば、顧客端末と店処理部との通信が店を含む限定された範囲内に構築される限定ネットワーク内で行われるため、限定ネットワークで通信の混雑が発生しにくくなる。そのため、上記構成の注文システムは、顧客の注文をスムーズに受けることができるようになっている。
【0009】
また、本発明の注文システムは、
前記店用の店設備を備え、
前記限定通信手段は、前記店設備と前記店処理部とを通信可能に接続することによって、前記限定ネットワーク内に前記店設備を所属させ、
前記店処理部は、
前記限定ネットワークに接続されている前記店設備を注文業務に用いるための業務処理手段と、
前記店処理部への通信相手が前記顧客端末であるか前記店設備であるかを判定し、前記店処理部への通信相手が前記顧客端末である場合は前記受注手段を実行し、前記店処理部への通信相手が前記店設備である場合は前記業務処理手段を実行する振分手段と、を有するように構成されていてもよい。
【0010】
このようにすれば、顧客端末で実行する受注手段と店設備で実行する業務処理手段とが別々に用意されているため、顧客端末が店設備の動作の影響を受けることも抑制できる。
【0011】
本発明の注文システムにおいて、
前記店処理部は、前記顧客端末との通信設定を示す通信設定情報のうち使用済みのものを無効化する設定無効化手段を有するように構成されていてもよい。
【0012】
上記構成の注文システムによれば、使用済みの通信設定情報が店処理部への不正なアクセスに利用されることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の注文システムは、顧客の注文をスムーズに受けることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る注文システムの構成の概要を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係る注文システムで用いられる情報の説明図であり、(a)は顧客用設定情報の説明図、(b)は設備用設定情報の説明図、(c)は顧客用無効化情報の説明図である。
図3図3は、同実施形態に係る注文システムで使用する伝達媒体の説明図である。
図4図4は、同実施形態に係る注文システムの動作説明図であり、顧客が入店した際の動作説明図である。
図5図5は、同実施形態に係る注文システムの動作説明図であり、顧客が退店した際の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる店用の注文システム(以下、注文システムとする)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
注文システムは、商品やサービスを提供する店(店舗や敷地等)に導入されている。店に訪れた顧客は、店から離れるまでの間この注文システムを利用して注文を行うことができる。
【0017】
本実施形態の注文システム1は、図1に示すように、店内において情報処理を実行する店処理部2と、店用の店設備3と、顧客が所有する顧客端末5と店設備3を店処理部2に通信可能に接続することによって、利用範囲が店内に限定される限定ネットワークを構築する限定通信手段4と、を備える。
【0018】
店設備3は、例えば、セルフレジや、卓上端末、レジ、ハンディ、キッチンモニタ等のことである。
【0019】
本実施形態の注文システム1は、複数の店設備3を備える。
【0020】
複数の店設備3には、顧客が入退店時に操作する入退店設備30として用いるものが含まれている。
【0021】
入退店設備30は、店舗に入店する顧客による操作を受け付ける入店処理手段300と、店舗から退店する顧客による操作を受け付ける退店処理手段301と、顧客に伝える情報を出力する出力手段302と、を有する。
【0022】
入店処理手段300は、入店する顧客による操作を受け付けると、入店通知を出力するように構成されている。この入店通知は、入店した顧客が注文システム1の利用を開始することを店処理部2に知らせるためにも用いられる。
【0023】
退店処理手段301は、退店する顧客による操作を受け付けると、退店通知を出力するように構成されている。この退店通知は、退店する顧客が注文システム1の利用を終了することを店処理部2に知らせるためにも用いられる。
【0024】
なお、入退店設備30は、例えば、セルフレジにより構成されていればよいが、卓上端末や、レジ、ハンディ等によって構成されていてもよい。
【0025】
店処理部2は、限定ネットワークに接続されている顧客端末5に対して注文を入力可能な注文入力画面を表示し、且つ該注文入力画面から入力された注文情報を受ける受注手段20と、注文業務において限定ネットワークに接続されている店設備3を利用可能な状態にするための注文業務処理を実行する業務処理手段21と、顧客端末5との通信設定、及び店設備3との通信設定を示す通信設定情報を管理する通信設定管理手段22と、通信相手に応じて実行対象を受注手段20と業務処理手段21とに振り分ける振分手段23と、情報を記憶する記憶手段24とを有する。
【0026】
店処理部2は、店に設置されている1つのコンピューターにより構成されており、この1つのコンピューターに受注手段20、業務処理手段21、通信設定管理手段22、振分手段23、記憶手段24が全て導入されている。
【0027】
受注手段20は、顧客端末5に注文情報の入力画面を表示する処理と、顧客端末5に表示されている入力画面に入力された注文情報を受信する処理と、受信した注文情報に基づく処理(例えば、代金の計算や、店運営者(例えば、店内の店員)への注文内容の伝達等)とを実行するように構成されている。
【0028】
注文業務とは、例えば、顧客からの注文の受け付けや、店関係者への注文内容の伝達や、精算(顧客からの代金の受け取り)等のことであり、業務処理手段21は、このような注文業務に店設備3を利用できるようにするためのものである。
【0029】
店が飲食店である場合を一例に挙げてより具体的に説明する。業務処理手段21が店員の携帯する店設備3(例えば、ハンディターミナル等の端末)を注文業務に利用可能とするものである場合、この業務処理手段21は、店員が顧客から受けた注文を入力するための入力画面をハンディターミナルに表示する処理や、入力画面に入力された注文に関する情報の処理等を行うように構成される。
【0030】
また、業務処理手段21がキッチン内に設置されるプリンターを注文業務に利用可能とするものである場合は、顧客から受けた注文内容をプリンターに出力させる処理等を実行するように構成される。
【0031】
なお、注文システム1が複数種の店設備3を備える場合、店設備3の種類ごとに別々の業務処理手段21が用意されていればよい。
【0032】
また、店設備3としての入退店設備30は、入退店設備30用の業務処理手段21により、入店処理手段300、退店処理手段301、出力手段302が実行されるように構成されていればよい。
【0033】
通信設定管理手段22は、顧客端末5と店処理部2との通信設定を示す通信設定情報(以下、顧客用設定情報D1と称する)を登録する顧客用設定登録手段220と、店設備3と店処理部2との通信設定を示す通信設定情報(以下、設備用設定情報と称する)を登録する設備用設定登録手段221と、顧客用設定登録手段220を無効化する設定無効化手段222と、を有する。
【0034】
顧客用設定登録手段220は、入店処理手段300から出力された入店通知を受信するように構成されている。顧客用設定登録手段220は、入店通知を受信すると、顧客用設定情報D1を作成する処理と、顧客用設定情報D1を記憶手段24に記憶させる処理と、顧客用設定情報D1を出力手段302に出力させる処理と、を実行するように構成されている。
【0035】
顧客用設定登録手段220によって作成された顧客用設定情報D1は、図2(a)に示すように、限定通信手段4への接続を顧客端末5に許可するための顧客用認証情報D10と、顧客端末5に割り当てる顧客用プライベートIPアドレスD11と、顧客用設定情報D1を作成する度に新たに作成される顧客用許可識別情報D12と、顧客端末5から受注手段20にアクセスするための顧客用通信先情報D13と、が関連付けられている。
【0036】
顧客用認証情報D10には、通信経路を識別するための経路識別情報D100(いわゆる、SSID)と、経路識別情報D100が示す通信経路の利用認証に必要なパスワードD101が含まれている。
【0037】
顧客用許可識別情報D12は、例えば、顧客ごとに割り当てられる伝票番号等のように、顧客同士で重複しない情報に基づいて設定されていればよい。なお、顧客用許可識別情報D12が暗号化されていれば、顧客用許可識別情報D12の不正利用による店処理部2への通信を抑制しやすくなる。
【0038】
顧客用通信先情報D13は、限定ネットワーク内で用いられるURLで表される情報であり、このURLは顧客用許可識別情報D12を文字列として含む形で設定される。
【0039】
複数の顧客用設定情報D1が作成される場合、それぞれの顧客用許可識別情報D12が互いに異なる。そのため、複数の顧客用設定情報D1のそれぞれの顧客用通信先情報D13も互いに異なるものとなる。
【0040】
設備用設定登録手段221は、図1に示すように、設備用設定情報D2を作成する処理と、設備用設定情報D2を記憶手段24に記憶させる処理と、を実行するように構成されている。
【0041】
なお、設備用設定登録手段221は、注文システム1の管理者が設備用設定情報D2を新たに登録する際に手動で設備用設定情報D2を作成する処理と設備用設定情報D2を記憶手段24に記憶させる処理を実行するように構成されていてもよいし、設備用設定情報D2を新たに登録する旨を示す通知を受けたタイミングで設備用設定情報D2を作成する処理と設備用設定情報D2を記憶手段24に記憶させる処理を自動的に実行するように構成されていてもよい。
【0042】
設備用設定情報D2では、図2(b)に示すように、限定通信手段4への接続を店設備3に許可するための設備用認証情報D20と、店設備3に割り当てる設備用プライベートIPアドレスD21と、設備用設定情報D2を作成する度に新たに作成される設備用許可識別情報D22と、店設備3から業務処理手段21にアクセスするための設備用通信先情報D23と、が関連付けられている。
【0043】
設備用認証情報D20には、通信経路を識別する経路識別情報D200(いわゆる、SSID)と、経路識別情報D200が示す通信経路の利用認証に必要なパスワードD201とが含まれている。
【0044】
設備用許可識別情報D22は、管理者が任意に決めることができるようになっていればよい。また、設備用許可識別情報D22が暗号化されていれば、設備用許可識別情報D22の不正利用による店処理部2への通信を抑制しやすくなる。
【0045】
設備用通信先情報D23は、限定ネットワーク内で用いられるURLで表される情報であり、このURLは設備用許可識別情報D22を文字列として含む形で設定されている。
【0046】
複数の設備用設定情報D2が作成される場合、それぞれの設備用許可識別情報D22が互いに異なる。そのため、複数の設備用設定情報D2のそれぞれの設備用通信先情報D23も互いに異なるものとなる。
【0047】
上述のように、複数の顧客用設定情報D1のそれぞれの顧客用プライベートIPアドレスD11のネットワーク部は互いに同一であり、複数の設備用設定情報D2のそれぞれの設備用プライベートIPアドレスD21のネットワーク部は互いに同一である。一方で、顧客用設定情報D1の顧客用プライベートIPアドレスD11のネットワーク部と、設備用設定情報D2の設備用プライベートIPアドレスD21のネットワーク部とは互いに異なる値に設定される。そのため、本実施形態の注文システム1では、顧客端末5が店処理部2と通信する際に使用する通信経路(顧客用通信経路)と、店設備3が店処理部2と通信する際に使用する通信経路(設備用通信経路)が別々に分かれるようになっている。
【0048】
また、顧客用設定情報D1の顧客用通信先情報D13と設備用設定情報D2の設備用通信先情報D23も互いに異なるように設定されるため、顧客端末5の通信先と設備端末の通信先も別々に分かれるようになっている。
【0049】
設定無効化手段222は、図1に示すように、退店処理手段301から退店通知を受信するように構成される。
【0050】
設定無効化手段222は、退店処理手段301から退店通知を受信すると、退店した顧客用の顧客用設定情報D1を削除する処理と、削除した顧客用設定情報D1に含まれる顧客用許可識別情報を無効化情報(顧客用無効化情報)D3(図2(c)参照)として登録する(記憶手段24に記憶する)処理と、を実行するように構成されている。
【0051】
顧客用設定登録手段220は、顧客用設定情報D1を作成する処理において、顧客用無効化情報として登録されている内容とは異なる内容で顧客用許可識別情報を作成するように構成される。複数の顧客用無効化情報が登録されている場合、顧客用許可識別情報は、全ての顧客用無効化情報と異なる内容で作成される。
【0052】
このように、顧客用設定登録手段220は、退店した顧客が使用していた顧客用設定情報D1(すなわち、使用済みの顧客用設定情報D1)を削除し、さらに、削除した顧客用許可識別情報と同一の顧客用許可識別情報が作成されないようにすることができるため、使用済みの顧客用設定情報D1(具多的には、顧客用通信先情報)の不正利用による店処理部2への通信を抑制できるようになっている。
【0053】
振分手段23は、通信相手を判別する判別手段230と、顧客端末5の通信先を受注手段20に導く顧客用振分手段231と、店設備3の通信先を業務処理手段21に設定する設備用振分手段232と、を有する。
【0054】
判別手段230は、通信相手が顧客端末5か店設備3であるかを判別するように構成されている。本実施形態の顧客端末5と店設備3とでは、顧客用プライベートIPアドレスのネットワーク部と設備用プライベートIPアドレスのネットワーク部が異なる値で設定されるため、判別手段230は、通信相手のプライベートIPアドレスのネットワーク部に基づいて、通信相手の種別が顧客端末5か店設備3であるかを判別するように構成されている。
【0055】
顧客用振分手段231は、顧客用設定登録手段220によって作成された顧客用設定情報D1の顧客用通信先情報と受注手段20を関連付ける処理と、削除された顧客用設定情報D1の顧客用通信先情報と受注手段20との関連付けを解除する処理とを実行するように構成されている。
【0056】
また、顧客用振分手段231は、判別手段230により通信相手が顧客端末5であると判別された場合に、顧客端末5を受注手段20に導く処理を実行するように構成されている。
【0057】
顧客用振分手段231により顧客端末5を顧客用通信先情報に示されている通信先(注文手段20)に接続しようとした際、顧客用通信先情報と受注手段20とが関連付けられていれば顧客端末5を受注手段20に導くことができ(アクセスさせることができ)、受注手段20が実行される(顧客端末5に注文入力画面が表示される)。一方で、顧客用通信先情報と受注手段20とが関連付けられていなければ、顧客端末5が受注手段20に導くことができず(アクセスさせることができず)、受注手段20が実行されない(顧客端末5には注文入力画面が表示されない)。
【0058】
設備用振分手段232は、設備用設定登録手段221によって作成された設備用設定情報D2の設備用通信先情報と受注手段20を関連付ける処理と、削除された設備用設定情報D2の設備用通信先情報と受注手段20との関連付けを解除する処理とを実行するように構成されている。
【0059】
また、設備用振分手段232は、判別手段230により通信相手が店設備3であると判別された場合に、店設備3を業務処理手段21に導く処理を実行するように構成されている。
【0060】
設備用振分手段232により店設備3を設備用通信先情報に示されている通信先(業務処理手段21)に接続しようとした際、設備用通信先情報と受注手段20とが関連付けられていれば、店設備3を業務処理手段21に導くことができ(アクセスさせることができ)、業務処理手段21が実行される。一方で、設備用通信先情報と受注手段20とが関連付けられていなければ、店設備3を業務処理手段21に導くことができず(アクセスさせることができず)、業務処理手段21は実行されない。
【0061】
上述のように、顧客用プライベートIPアドレスのネットワーク部と設備用プライベートIPアドレスのネットワーク部は、互いに異なる値で設定されるため、限定通信手段4には、顧客端末5が店処理部2との通信時に使用する通信経路(以下、顧客用通信経路と称する)と、店設備3が店処理部2との通信時に使用する通信経路(以下、設備用通信経路と称する)が別々に設定される。
【0062】
限定ネットワークとは、例えば、店処理部2、限定通信手段4、店設備3によって店内に構築されるLANのことである。
【0063】
ここで、入退店設備30の出力手段302は、顧客用設定登録手段220によって顧客用設定情報D1が作成されると、かかる顧客用設定情報D1の顧客用認証情報、顧客用プライベートIPアドレス、顧客用通信先情報を顧客端末5で認識可能な伝達媒体で出力するように構成されている。
【0064】
出力手段302は、例えば、図3に示すように、伝達媒体D4を印刷物等の紙媒体とし、この紙媒体で顧客用認証情報D10、顧客用プライベートIPアドレスD11、顧客用通信先情報D13を出力するように構成されていればよい。
【0065】
また、本実施形態の出力手段302は、顧客用認証情報D10と顧客用プライベートIPアドレスD11を示す設定表示情報D40と、顧客用通信先情報D13を示す通信先表示情報D41とを出力するように構成されており、この設定表示情報D40と通信先表示情報D41は、二次元コードによって構成されている。
【0066】
顧客は、出力手段302から出力された伝達媒体の通信先表示情報D41を用いて顧客端末5を限定ネットワークに接続し、この状態で通信先表示情報D41を用いることで受注手段20にアクセスすることができる。
【0067】
本実施形態に係る注文システム1の構成は、以上の通りである。続いて、注文システム1の動作を説明する。
【0068】
なお、店処理部2と店設備3は、限定通信手段4を介して予め通信可能に接続されている。すなわち、店処理部2には、設備用設定情報D2が登録された状態になっている。
【0069】
顧客が入店した際、顧客によって入退店設備30の入店処理手段300が操作されると、図4に示すように、入店処理手段300から入店通知が出力され、この入店通知を顧客用設定登録手段220が受信する。
【0070】
入店通知を受信した顧客用設定登録手段220は、顧客用設定情報D1を作成する処理と、作成した顧客用設定情報D1を登録する処理を実行する。
【0071】
顧客用設定登録手段220によって顧客用設定情報D1が登録されると、入退店設備30の出力手段302から伝達媒体が出力される。
【0072】
これにより、顧客は、出力手段302から出力された伝達媒体の通信先表示情報を用いて顧客端末5を限定ネットワークに接続できる。
【0073】
また、顧客が顧客端末5を限定ネットワークに接続されている状態で通信先表示情報を用いることで受注手段20へのアクセスを試みると、判別手段230では通信相手が顧客端末5であると判別され、顧客用振分手段231が顧客端末5を受注手段20に導く処理を実行する。
【0074】
このとき、顧客用通信先情報と受注手段20とが関連付けられている状態であるため、顧客端末5が受注手段20に導かれることによって(アクセスすることによって)受注手段20が実行され、顧客端末5に注文入力画面が表示される。そして、顧客は、この注文入力画面を操作して注文を行うことができるようになる。
【0075】
なお、店設備3が限定ネットワークに接続されている状態で業務処理手段21へのアクセスを試みると、判別手段230では通信相手が店設備3であると判別され、設備用振分手段232が店設備3を業務処理手段21に導く処理を実行する。
【0076】
このとき、設備用通信先情報と業務処理手段21とが関連付けられている状態であれば、店設備3が業務処理手段21に導かれることによって(アクセスすることによって)業務処理手段21が実行され、店設備3上で注文業務処理が実行される。
【0077】
このように、顧客端末5の通信先と店設備3の通信先は、振分手段23によって別々の通信先に振り分けられる。
【0078】
顧客が退店する際、顧客によって入退店設備30の退店処理手段301が操作されると、図5に示すように、退店処理手段301から退店通知が出力され、この退店通知を顧客用設定登録手段220が受信する。
【0079】
退店通知を受信した顧客用設定登録手段220は、顧客用設定情報D1を削除する処理を実行する。
【0080】
顧客用設定登録手段220によって顧客用設定情報D1が削除されると、設定無効化手段222が削除された顧客用設定情報D1の顧客用許可識別情報を顧客用無効化情報D3として登録する。
【0081】
これにより、退店した顧客が使用していた顧客用設定情報D1は使用できなくなり、また、顧客用無効化情報D3が登録されている間は、顧客が使用していた顧客用設定情報D1と同一の顧客用設定情報D1が作成されなくなる。
【0082】
以上のように、本実施形態の注文システム1では、顧客端末5と店処理部2が属する限定ネットワークが店を含む限定された範囲内に構築されるため、店処理部2の通信相手を顧客端末5と店設備3に制限することによって通信の混雑が発生しにくくなっている。
【0083】
なお、本実施形態の注文システム1では、店処理部2と通信できる顧客端末5を出力手段302から出力された伝達媒体を受け取った顧客の顧客端末5に制限できるため、より通信の混雑が発生しにくくなっている。
【0084】
このように、本実施形態の注文システム1は、顧客の注文をスムーズに受けることができるという優れた効果を奏し得る。
【0085】
また、顧客が店処理部2との通信に利用する限定ネットワークは、店運用者によって店内に構築されたネットワークであるため、顧客端末5と顧客が自身で契約している通信回線との通信状態によらず、顧客端末5と店処理部2との通信状態を安定させやすくなる。また、顧客が自身で契約している通信回線を利用せずに顧客端末5と店処理部2との通信を行うことができるため、顧客への負担(通信料金等の負担)を抑えることもできる。
【0086】
本実施形態の注文システム1の振分手段23は、判別手段230が通信相手の種別を判別し、通信相手が顧客端末5であると判別された場合は顧客用振分手段231によって顧客端末5が受注手段20に導かれ、通信相手が店設備3であると判別された場合は設備用振分手段232によって店設備3が業務処理手段21に導かれるように構成されているため、振分手段23によって、顧客端末5の通信先と店設備3の通信先とが別々の通信先に振り分けられることになる。
【0087】
そのため、本実施形態の注文システム1では、顧客端末5と受注手段20との通信状態が店設備3と業務処理手段21との通信の影響を受けにくくなり、これにより、顧客の注文をスムーズに受けやすくなる。
【0088】
さらに、本実施形態の注文システム1では、顧客端末5が限定通信手段4を介して店処理部2と通信する際に使用する顧客用通信経路と、店設備3が限定通信手段4を介して店処理部2と通信する際に使用する設備用通信経路が別々の通信経路になっているため、顧客端末5と店処理部2との通信状態が店設備3と店処理部2との通信の影響を受けにくくなり、これにより、顧客の注文をスムーズに受けやすくなる。
【0089】
そして、本実施形態の注文システム1では、顧客が退店する際、その顧客が使用していた顧客用設定情報D1は顧客用設定登録手段220によって削除される(無効化される)ため、使用済みの顧客用設定情報D1を不正に再利用すること(例えば、退店した顧客が使用済みの通信設定情報を用いて店処理部2にアクセスすること)を抑制できる。
【0090】
また、顧客用設定登録手段220によって削除された顧客用設定情報D1の顧客用許可識別情報は設定無効化手段222によって顧客用無効化情報D3として店処理部2に登録され、顧客用無効化情報D3が登録されている間は使用済みとなった顧客用許可識別情報が顧客用設定登録手段220によって再び作成されないようになっているため、使用済みの顧客用設定情報D1が不正に再利用されることをより確実に抑制できる。
【0091】
なお、本発明に係る注文システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0092】
上記実施形態の注文システムの説明において特に言及しなかったが、受注手段20、業務処理手段21は、例えば、ウェブアプリケーションであればよい。
【0093】
上記実施形態の注文システム1は、店設備3を複数備えていたが、この構成に限定されない。例えば、注文システム1は、少なくとも入退店設備30として用いる店設備3を備えていれば、店設備3の数は1つであってもよい。
【0094】
上記実施形態の注文システム1では、店処理部2が1つのコンピューターにより構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、店処理部2は、複数のコンピューターにより構成されており、受注手段20、業務処理手段21、通信設定管理手段22、振分手段23、記憶手段24が別々のコンピューターに導入されていてもよい。なお、このようにする場合、複数のコンピューターは、全て限定ネットワークに属している必要がある。
【0095】
注文情報の整合性とは、例えば、商品やサービスの価格のことである。受注手段20は、注文情報に含まれる情報により示される価格が店で設定した価格と一致する場合に、受信した注文情報に基づく処理を実行するように構成されていてもよい。
【0096】
上記実施形態の注文システム1では、顧客端末5が店処理部2と通信する際に使用する通信経路と、店設備3が店処理部2と通信する際に使用する通信経路とは、別々の通信経路であったが、この構成に限定されない。例えば、顧客端末5が店処理部2と通信際に使用する通信経路と、店設備3が店処理部2と通信する際に使用する通信経路とは、同一の通信経路であってもよい。ただし、顧客端末5が店処理部2と通信する際に使用する通信経路と、店設備3が店処理部2と通信する際に使用する通信経路とが別々の通信経路である方が、顧客端末5の通信が混雑しにくくなる。
【0097】
上記実施形態の注文システム1の説明において特に言及しなかったが、設定無効化手段222は、登録済みの顧客用無効化情報D3を削除できるように構成されていてもよい。
【0098】
上記実施形態の出力手段302は、伝達媒体D4を紙媒体としていたが、この構成に限定されない。例えば、出力手段302は、伝達媒体D4を電子媒体としてもよい。
【0099】
上記実施形態の注文システム1の説明において特に言及しなかったが、受注手段20は、受信した注文情報に基づく処理を実行する前に、受信した注文情報の整合性(例えば、価格等)を確認する処理を実行するように構成されていてもよい。
【0100】
上記実施形態の注文システム1の説明において特に言及しなかったが、設備用振分手段232は、店設備3を業務処理手段21に導く処理を実行する前に、通信相手となる店設備3が正規の店設備3であるかを確認する認証処理(ログイン処理)を実行するように構成されていてもよい。
【0101】
このようにする場合、設備用振分手段232は、例えば、認証処理において店設備3に設備用許可情報の入力を求めるように構成されていてもよい。また、設備用設定情報が設備用通信先情報を含まないように構成され、設備用振分手段232が、認証処理において入力された設備用許可情報に応じて店設備3を導く業務処理手段21(店設備3のアクセス先とする業務処理手段21)を決定するように構成されていてもよい。
【0102】
なお、設備用振分手段232は、店設備3を業務処理手段21に導く前にウェブページに遷移させる処理を実行し、店設備3をウェブページに遷移させる処理の実行が完了した後に店設備3を導く業務処理手段21(店設備3のアクセス先とする業務処理手段21)を決定するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…注文システム、2…店処理部、3…店設備、4…限定通信手段、5…顧客端末、20…受注手段、21…業務処理手段、22…通信設定管理手段、23…振分手段、24…記憶手段、30…入退店設備、220…顧客用設定登録手段、221…設備用設定登録手段、222…設定無効化手段、230…判別手段、231…顧客用振分手段、232…設備用振分手段、300…入店処理手段、301…退店処理手段、302…出力手段、D1…顧客用設定情報、D10…顧客用認証情報、D100…経路識別情報、D101…パスワード、D11…顧客用プライベートIPアドレス、D12…顧客用許可識別情報、D13…顧客用通信先情報、D2…設備用設定情報、D20…設備用認証情報、D200…経路識別情報、D201…パスワード、D21…設備用プライベートIPアドレス、D22…設備用許可識別情報、D23…設備用通信先情報、D3…顧客用無効化情報、D4…伝達媒体、D40…設定表示情報、D41…通信先表示情報
図1
図2
図3
図4
図5