(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047981
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】可燃性廃棄物吹込装置、及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/44 20060101AFI20240401BHJP
C04B 7/44 20060101ALI20240401BHJP
F23G 5/20 20060101ALI20240401BHJP
F23G 5/12 20060101ALI20240401BHJP
F27B 7/32 20060101ALI20240401BHJP
F27D 3/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F23G5/44 B
C04B7/44
F23G5/20 A ZAB
F23G5/12
F27B7/32
F27D3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153777
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩一
【テーマコード(参考)】
3K065
3K261
4G112
4K055
4K061
【Fターム(参考)】
3K065AA07
3K065AB01
3K065AC11
3K065AC13
3K065AC14
3K065AC17
3K065DA01
3K065EA15
3K065EA21
3K065EA31
3K261AA03
3K261AA06
3K261DA02
4G112KA04
4K055AA09
4K055MA02
4K055MA17
4K061AA08
4K061BA01
4K061BA12
4K061DA01
4K061FA00
4K061GA02
(57)【要約】
【課題】ロータリーキルンに対する可燃性廃棄物の吹込み態様を簡便な方法で柔軟に変化させることのできる、可燃性廃棄物吹込装置を提供する。
【解決手段】可燃性廃棄物吹込装置は、主燃料が吹き込まれる第一バーナを含むセメント製造用のロータリーキルンに付設可能であって、第一バーナとは別の、可燃性廃棄物を吹き込む第二バーナを備える。第一バーナは、ロータリーキルンの下流側に連絡されたキルンフッドの下流側壁面に固定された状態で取り付けられている。第二バーナは、キルンフッドの下流側壁面に、又は第一バーナの吹込み方向に見たときのキルンフッドの横側壁面に固定された状態で、吹込み方向を調整可能な態様で取り付けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主燃料が吹き込まれる第一バーナを含むセメント製造用のロータリーキルンに付設可能な、可燃性廃棄物吹込装置であって、
前記第一バーナとは異なるバーナであって、可燃性廃棄物を吹き込む第二バーナを備え、
前記第一バーナは、前記ロータリーキルンの下流側に連絡されたキルンフッドの下流側壁面に固定された状態で取り付けられており、
前記第二バーナは、前記キルンフッドの下流側壁面、又は前記第一バーナの吹込み方向に見たときの前記キルンフッドの横側壁面に固定された状態で、吹込み方向を調整可能な態様で取り付けられていることを特徴とする、可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項2】
前記第二バーナは、延伸方向の調整が可能な管体を備えることを特徴とする、請求項1に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項3】
前記第二バーナは、当該第二バーナが取り付けられている前記キルンフッド側の壁面の法線を基準としたときに、吹込み方向を左右及び上下にそれぞれ60°以下の範囲内で調整可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項4】
前記第二バーナは、前記キルンフッドの下流側壁面に取り付けられており、
前記第二バーナの軸心が、前記第一バーナの吹込み方向に見たときに、前記第一バーナの軸心に対して鉛直下方の第一位置と、前記軸心を基準に前記第一位置から前記ロータリーキルンの回転方向に200°進行した第二位置とによって前記ロータリーキルンの回転方向に沿って挟まれた領域内に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項5】
前記第二バーナは、前記第一バーナの吹込み方向に見たときに、前記第一バーナの軸心に対して鉛直下方の第一位置を基準として、前記ロータリーキルンの回転方向に関して近い側に位置する、前記キルンフッドの横側壁面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項6】
前記第二バーナは、鉛直方向に関して、前記ロータリーキルンの天井面と底面との間の高さ位置における、前記キルンフッドの横側壁面に取り付けられていることを特徴とする、請求項5に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項7】
前記ロータリーキルン内の燃焼環境に関する情報、又は前記キルンフッドに連絡されたクリンカクーラから取り出されたセメントクリンカの性状に関する情報に基づいて、前記第二バーナの吹込み方向を調整する制御部を備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物吹込装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の可燃性廃棄物吹込装置の運転方法であって、
前記第二バーナは、前記可燃性廃棄物を風速20m/s~300m/sで前記ロータリーキルンに向けて吹き込むことを特徴とする、可燃性廃棄物吹込装置の運転方法。
【請求項9】
前記ロータリーキルン内の燃焼環境に関する情報、又は前記キルンフッドに連絡されたクリンカクーラから取り出されたセメントクリンカの性状に関する情報に基づいて、前記第二バーナの吹込み方向を調整することを特徴とする、請求項8に記載の、可燃性廃棄物吹込装置の運転方法。
【請求項10】
前記セメントクリンカの性状に関する情報は、前記セメントクリンカに含まれる六価クロムの検出値に関する情報を含むことを特徴とする、請求項9に記載の、可燃性廃棄物吹込装置の運転方法。
【請求項11】
前記第二バーナから吹き込まれる前記可燃性廃棄物は、廃プラスチック、高分子材料、木屑、ASR、RPF、RDF、廃タイヤ、肉骨粉、バイオマス、衣類、及び炭素繊維からなる群に属する1種以上の材料を主成分とし、燃焼性を示す一般廃棄物又は産業廃棄物であることを特徴とする、請求項8に記載の、可燃性廃棄物吹込装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント製造用のロータリーキルンに付設可能な可燃性廃棄物吹込装置、及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントは、クリンカ原料がロータリーキルン内において燃料と共に焼成されることで製造される。近年では、原料コストの低減、CO2排出量の削減、及び廃棄物処理の観点から、廃棄物を代替燃料として利用することが進められている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、微粉炭等の主燃料を吹き込む主バーナと、可燃性廃棄物を吹き込む廃棄物バーナとを含む、ロータリーキルン用のバーナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の可燃性廃棄物は多種多用化しているため、セメント工場に配送される可燃性廃棄物の化学的性状は、常に同一というわけではない。また、ロータリーキルンの運転状況も刻一刻と変化する。このような事情から、特に可燃性廃棄物の吹込みが予定されているロータリーキルンにおいては、キルンの運転状況や可燃性廃棄物の性状等に応じて、燃料の吹込み態様を柔軟に変化できることが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された装置が搭載するバーナの場合、主バーナ及び廃棄物バーナ共に、燃料の吹込み態様を柔軟に変化させることができる構造ではなく、せいぜい主燃料と可燃性廃棄物との混合比率を調整できるに留まる。しかし、混合比率の調整は、可燃性廃棄物の消費量を低下させることに繋がりかねない。
【0007】
本発明は、セメント製造用のロータリーキルンに付設可能な可燃性廃棄物吹込装置であって、ロータリーキルンに対する可燃性廃棄物の吹込み態様を簡便な方法で柔軟に変化させることのできる装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このような可燃性廃棄物吹込装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る可燃性廃棄物吹込装置は、主燃料が吹き込まれる第一バーナを含むセメント製造用のロータリーキルンに付設可能であって、
前記第一バーナとは異なるバーナであって可燃性廃棄物を吹き込む第二バーナを備え、
前記第一バーナは、前記ロータリーキルンの下流側に連絡されたキルンフッドの下流側壁面に固定された状態で取り付けられており、
前記第二バーナは、前記キルンフッドの下流側壁面、又は前記第一バーナの吹込み方向に見たときの前記キルンフッドの横側壁面に固定された状態で、吹込み方向を調整可能な態様で取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
可燃性廃棄物によっては、容易に燃えやすい性状を示すものもあれば、比較的燃えにくい性状を示すものも存在する。例えば、前記第二バーナから吹き込まれる前記可燃性廃棄物は、廃プラスチック、高分子材料、木屑、ASR、RPF、RDF、廃タイヤ、肉骨粉、バイオマス、衣類、及び炭素繊維からなる群に属する1種以上の材料を主成分とし、燃焼性を示す一般廃棄物又は産業廃棄物とすることができる。
なお、本明細書において、「高分子材料」とは、ゴム、樹脂、ビニール袋、有機繊維、ポリマー等が該当する。また、「バイオマス」とは、化石燃料を除いた燃料として利用可能な生物由来の有機質資源であり、例えば、廃畳の粉砕物、建設廃木材の粉砕物、木粉、おが屑、及び食品廃棄物等が該当する。
【0010】
第二バーナからロータリーキルンに吹き込まれた可燃性廃棄物が燃えやすい性状を示す場合、可燃性廃棄物はセメントクリンカに着地する前に完全に燃え切る。逆に、燃えにくい場合には、セメントクリンカに着地した後も引き続き可燃性廃棄物は燃焼を継続する現象(着地燃焼)が生じる。以下では、セメントクリンカを適宜「クリンカ」と略記することがある。
【0011】
吹き込まれる可燃性廃棄物の中に、極めて燃えにくい性状を示すものの割合が高い場合には、着地燃焼の発現の程度が高くなる。この場合、可燃性廃棄物の着地燃焼が生じた周辺のクリンカは還元焼成され、クリンカの白色化やクリンカ生成反応の異常を生じさせる懸念がある。
【0012】
ところで、クリンカ原料にはクロムが含まれており、そのほとんどが三価クロムの形態で存在している。三価クロムは、セメントの製造過程で酸化焼成されると、その一部が六価クロムに酸化される。六価クロムは三価クロムと比べて水に溶けやすい上、人体に有害であることが知られている。このため、セメントの製造に際しては、セメントに含まれる六価クロムの量を抑制することが求められている。
【0013】
着地燃焼が生じると、上記のとおり、焼成中のクリンカは還元雰囲気となるため、クリンカ原料に三価クロムが含まれる場合であっても、三価クロムの酸化が抑制されて六価クロムの生成量が低下する。このことは、逆にいえば、吹き込まれる可燃性廃棄物の中に、極めて燃えやすい性状を示すものの割合が高い場合には、上記着地燃焼がほとんど生じない結果、セメントに含まれる六価クロムの量が高まる懸念がある。
【0014】
このような事情の下、可燃性廃棄物の性状に応じて、ロータリーキルン内における可燃性廃棄物の燃焼環境を調整できることが好ましいといえる。
【0015】
上記の構造によれば、第二バーナは吹込み方向を調整可能な態様でキルンフッドの壁面に取り付けられている。このため、例えば、ロータリーキルン内における可燃性廃棄物の浮遊時間を長く確保したい場合には吹込み方向を水平面よりも鉛直上向きに調整し、逆に浮遊時間を短くしたい場合には吹込み方向を水平面よりも鉛直下向きに調整する等の対応が可能となる。
【0016】
具体的には、前記第二バーナは、延伸方向の調整が可能な管体を備える構造を採用することができる。このような管体としては、例えば、フレキシブルホースが採用できる。
【0017】
また、上下方向のみならず、左右方向に吹込み方向を調整することでも、可燃性廃棄物の浮遊時間の調整が可能である。この点は、実施例を参照して後述される。吹込み方向の調整可能角度としては、上下方向及び左右方向にそれぞれ60°以下の範囲内で調整できるのが好適である。なお、このことは、上下方向及び左右方向の2方向に関してのみ調整できることを意味するものではない。例えば、上下方向をZ方向、左右方向をY方向とし、第二バーナの吹込み先の端部の基準位置を原点OとしたY-Z平面を想定したときに、第二バーナの吹込み先を、Y-Z平面上において、Oを中心とした所定の形状(典型的には円形状や楕円形状)の領域の範囲内で調整できることを意味するものとして構わない。
【0018】
第二バーナがキルンフッドの下流側壁面に取り付けられている場合を例に挙げて説明する。
【0019】
ロータリーキルンで焼成されたクリンカは、冷却のためにクリンカクーラに向けて落下する。クリンカクーラは、通常、常温程度の大気が吹き込まれ、1000℃以上(典型的には1350℃程度)のクリンカと熱交換することで、クリンカを冷却する装置である。クリンカクーラで熱交換された後の空気は、ロータリーキルン内に流入し、二次空気として利用される。この二次空気は、ロータリーキルン内を旋回しながら進行する。なお、この二次空気は典型的には800℃~900℃程度である。
【0020】
つまり、クリンカクーラからロータリーキルン内に流入する二次空気は、ロータリーキルンの回転方向と同方向に旋回しながら、ロータリーキルン内を進入する。つまり、クリンカクーラからロータリーキルン内に流入する二次空気は、上昇気流を形成するため、例えば、この上昇気流が形成されている領域に向かって可燃性廃棄物が吹き込まれるように第二バーナの吹込み角度を調整することで、可燃性廃棄物の浮遊時間を長く確保することができる。
【0021】
ロータリーキルン内に流入した後の二次空気は、ロータリーキルンの回転方向に沿ってロータリーキルンの底面に向かう下降気流を形成する。よって、例えば、この下降気流が形成されている領域に向かって可燃性廃棄物が吹き込まれるように第二バーナの吹込み角度を調整することで、可燃性廃棄物の浮遊時間を短時間にすることができる。
【0022】
第二バーナがキルンフッドの下流側壁面に取り付けられている場合には、前記第二バーナの軸心が、前記第一バーナの吹込み方向に見たときに、前記第一バーナの軸心に対して鉛直下方の第一位置と、前記軸心を基準に前記第一位置から前記ロータリーキルンの回転方向に200°進行した第二位置とによって前記ロータリーキルンの回転方向に沿って挟まれた領域内に位置するものとしても構わない。
【0023】
ロータリーキルンは、クリンカクーラに向かって微小角度(典型的には2°程度)の下り傾斜を有した長軸な管体(胴体)であり、回転しながら内部に存在するクリンカ(クリンカ原料)を焼成する装置である。焼成中のクリンカは、ロータリーキルンの回転、及び、ロータリーキルンの内壁とクリンカとの間の摩擦に起因して、ロータリーキルンの鉛直下方底面よりも、キルンの回転方向に偏った斜面上に留まる。
【0024】
前記第二バーナの軸心が、前述した第一位置と第二位置とによってロータリーキルンの回転方向に沿って挟まれた領域内に位置する場合、この位置の第二バーナからロータリーキルン内に可燃性廃棄物が吹き込まれると、当該可燃性廃棄物はロータリーキルンを軸心方向に見たときに、鉛直方向及び軸心方向の双方に直交する方向に関し、焼成中のクリンカが存在する領域側に吹き込まれる。この領域は、ロータリーキルンの回転に起因して、二次空気の気流が上方に向かう領域に対応するため、可燃性廃棄物の浮遊時間を確保しやすくなる。
【0025】
クリンカ品質への影響に鑑みると、一般的には、可燃性廃棄物はロータリーキルン内で浮遊中にある程度燃焼する方が好ましい。一方で、全ての可燃性廃棄物が完全に燃え切る場合には、上記のように六価クロムの含有率が高くなる可能性がある。しかしながら、上記の装置によれば、このような事情が存在する場合であっても、第二バーナの吹込み方向を調整することで対応が可能である。
【0026】
次に、第二バーナがキルンフッドの横側壁面に取り付けられている場合について説明する。この場合において、左右方向に吹込み方向を調整することは、吹込み方向をロータリーキルンの軸方向にどの程度近づけるかを調整することを意味する。吹込み方向を前記軸方向に近づけることで、可燃性廃棄物は、クリンカクーラからロータリーキルン内に流入して窯尻側へ向かう二次空気の気流に乗りやすくなる。この結果、可燃性廃棄物のロータリーキルン内における浮遊時間が、長く確保されやすくなる。
【0027】
なお、この場合には、第二バーナは、前記第一バーナの吹込み方向に見たときに、前記第一バーナの軸心に対して鉛直下方の第一位置を基準として、前記ロータリーキルンの回転方向に関して近い側に位置する前記キルンフッドの横側壁面に取り付けられるのが好適である。
【0028】
キルンフッドの横側壁面としては、典型的には向かい合う2面が存在する。ここで、前記第一位置を基準として、ロータリーキルンの回転方向に関して近い側に位置するキルンフッドの横側壁面とは、焼成中のクリンカ原料が留まる斜面に近い側の壁面に対応する。つまり、この位置に第二バーナが取り付けられることで、二次空気の気流が上方に向かう領域に可燃性廃棄物が吹き込まれるため、可燃性廃棄物の浮遊時間を確保しやすくなる。
【0029】
前記第二バーナは、鉛直方向に関して、前記ロータリーキルンの天井面と底面との間の高さ位置における、前記キルンフッドの横側壁面に取り付けられているものとしても構わない。
【0030】
第二バーナがロータリーキルンの天井面よりも高い位置に設置されていると、ロータリーキルン内に可燃性廃棄物を吹き込むには、吹込み方向を下方に向かわせる必要がある。逆に、第二バーナがロータリーキルンの床面よりも低い位置に設置されていると、ロータリーキルン内に可燃性廃棄物を吹き込むには、吹込み方向を上方に向かわせる必要がある。つまり、これらの場合、第二バーナの吹込み方向の調整可能範囲に制限が生じてしまい、その効果を十分には享受できない可能性がある。
【0031】
前記可燃性廃棄物吹込装置は、前記ロータリーキルン内の燃焼環境に関する情報、又は前記キルンフッドに連絡されたクリンカクーラから取り出されたセメントクリンカの性状に関する情報に基づいて、前記第二バーナの吹込み方向を調整する制御部を備えるものとしても構わない。
【0032】
例えば、第二バーナがフレキシブルホースを有している場合、このフレキシブルホースに対して外力を加えて方向を調整するための駆動部を設けておき、駆動部は制御部からの調整信号に基づいてフレキシブルホースの方向を変化させるものとすることができる。
【0033】
上記可燃性廃棄物吹込装置を運転するに際し、前記第二バーナは、前記可燃性廃棄物を風速20m/s~300m/sで前記ロータリーキルンに向けて吹き込むものとしても構わない。
【0034】
風速が20m/sを下回る場合には、可燃性廃棄物が第二バーナの配管内で詰まる懸念がある。一方、風速が300m/sを上回る場合には、第二バーナからロータリーキルン内に吹き込まれる冷風の量が多くなり、ロータリーキルン内における燃焼効率が低下する懸念がある。
【0035】
上記の運転に際し、前記ロータリーキルン内の燃焼環境に関する情報、又は前記キルンフッドに連絡されたクリンカクーラから取り出されたセメントクリンカの性状に関する情報に基づいて、前記第二バーナの吹込み方向を調整するものとしても構わない。
【0036】
また、セメントクリンカの性状に関する情報として、前記セメントクリンカに含まれる六価クロムの検出値に関する情報を含むものとしても構わない。
【発明の効果】
【0037】
本発明の可燃性廃棄物吹込装置を用いることで、可燃性廃棄物の性状やロータリーキルン内の燃焼環境等に応じて、ロータリーキルンに対する可燃性廃棄物の吹込み態様を簡便な方法で柔軟に変化させることことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第一実施形態の可燃性廃棄物吹込装置がロータリーキルンに付設された状態の設備を模式的に示す断面図である。
【
図2】キルンフッド側からロータリーキルンを見たときの模式的な平面図である。
【
図3】
図2から一部の要素のみを抽出し、模式的に図示した図面である。
【
図4A】第二バーナ20からの吹込み方向を調整する具体的な一例を説明するための模式的な図面である。
【
図4B】第二バーナ20からの吹込み方向を調整する具体的な一例を説明するための模式的な図面である。
【
図5】第二バーナ20の吹込み方向を上下方向に調整する場合を説明するための模式的な図面であって、
図1の設備をY方向に見たときの構成を簡略化して示している。
【
図6】第二バーナ20の吹込み方向を左右方向に調整する場合を説明するための模式的な図面であって、
図1の設備をZ方向に見たときの構成を簡略化して示している。
【
図7】第二バーナ20の吹込み方向が面方向に調整可能であることを説明するための模式的な図面である。
【
図8】キルンフッドの下流側壁面からロータリーキルンを見た場合における、第一バーナと第二バーナの設置位置の関係を模式的に示す図面である。
【
図9】
図3に第二バーナの軸心が位置する想定領域を重ね合わせた図面である。
【
図10】本発明の第二実施形態の可燃性廃棄物吹込装置がロータリーキルンに付設された状態の設備を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図10の設備をZ方向に見たときの構成を簡略化して示した図面である。
【
図12】キルンフッド側からロータリーキルンを見たときの模式的な平面図に、第二バーナ20からの可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を重ねて表示した図面である。
【
図13】第二バーナ20の吹込み方向を上下方向に調整する場合を説明するための模式的な図面であって、
図10の設備をX方向に見たときの構成を簡略化して示している。
【
図14】第二バーナ20の吹込み方向を左右方向に調整する場合を説明するための模式的な図面であって、
図10の設備をZ方向に見たときの構成を簡略化して示している。
【
図15】第二バーナ20のZ方向の設置位置を説明するための図面であり、
図10内の要素が一部省略して図示されている。
【
図16A】シミュレーションで利用されたロータリーキルン、キルンフッド、及び第一バーナの寸法及び形状を説明するための模式的な断面図である。
【
図17】検証1及び検証2のシミュレーションで設定された、第二バーナの軸心の位置を説明するための図面である。
【
図18】シミュレーションで想定された、可燃性廃棄物RF1の粒度分布を示すグラフである。
【
図19】検証1の結果に対応し、クリンカ落口からの距離を横軸とし、廃プラ落下量を縦軸としてグラフ化したものである。
【
図20】検証2の結果に対応し、クリンカ落口からの距離を横軸とし、廃プラ落下量を縦軸としてグラフ化したものである。
【
図21】水準#3-1及び水準#3-2の第二バーナ20の設置位置及び吹込み方向を説明するための模式的な図面であって、
図14にならって図示したものである。
【
図22】検証3の結果に対応し、クリンカ落口からの距離を横軸とし、廃プラ落下量を縦軸としてグラフ化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の可燃性廃棄物吹込装置及びその運転方法の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の図面は模式的に示されたものであり、図面上の寸法比は実際の寸法比と一致していない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
【0040】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態の可燃性廃棄物吹込装置がロータリーキルンに付設されてなるセメント製造設備1(以下、「設備1」と略記する。)の一部分を模式的に示す断面図である。このセメント製造設備1は、ロータリーキルン2と、ロータリーキルン2に接続されたキルンフッド4とを備える。
【0041】
ロータリーキルン2は、クリンカ原料を焼成してセメントクリンカ(以下、「クリンカ5」と記載する。)を製造する装置である。典型的には、上流側に設置された不図示のプレヒータを介して仮焼されたクリンカ原料が、ロータリーキルン2の窯尻部に流れ込む。ロータリーキルン2は、下流側(キルンフッド4側)に向かって若干下方傾斜した横向きの円筒状を呈し、回転しながらクリンカ原料(又は焼成が一部完了したクリンカ)の焼成を行う。
【0042】
キルンフッド4は、その上流側が、ロータリーキルン2の下流側端部に連絡されており、ロータリーキルン2の下流側端部を包囲する部位である。キルンフッド4の下方は、クリンカクーラ3に連絡される。
【0043】
設備1には、第一バーナ10と第二バーナ20とが取り付けられている。第一バーナ10は、主燃料(微粉炭)C1をロータリーキルン2に吹き込むバーナである。第二バーナ20は、主燃料以外の補助燃料としての可燃性廃棄物RF1を、ロータリーキルン2に吹き込むバーナである。可燃性廃棄物RF1としては、廃プラスチック、木屑、ASR、廃タイヤ、肉骨粉、及びバイオマスからなる群に属する1種以上の有機質材料を主成分とし、燃焼性を示す一般廃棄物又は産業廃棄物が挙げられる。なお、本発明において、主燃料C1の投入量と、可燃性廃棄物RF1の投入量の大小関係は不問である。
【0044】
可燃性廃棄物RF1の吹込みに利用される第二バーナ20の管の内径は、100mm~300mmとするのが好適である。前記内径が100mm未満の場合には、可燃性廃棄物RF1の一部が管内で詰まってしまう可能性がある。一方で、前記内径が300mmよりも大きい場合には、ロータリーキルン2内に可燃性廃棄物RF1と共に吹き込まれる風量が過剰になり、ロータリーキルン2内での燃焼環境に影響が及ぶ可能性がある。
【0045】
第一バーナ10は、キルンフッド4の下流側壁面4aに固定されている。そして、本実施形態の設備1では、第一バーナ10に加えて第二バーナ20についても、キルンフッド4の下流側壁面4aに取り付けられている。この第二バーナ20は、第一バーナ10とは異なり、吹込み角度が調整可能な構成である。ただし、本発明は、第一バーナ10の吹込み角度についても調整可能な態様を排除するものではない。
【0046】
キルンフッド4の下流側壁面4aの一部分は、典型的には開閉が可能な扉状になっており、ロータリーキルン2の補修作業や、第一バーナ10及び第二バーナ20の取付・交換作業の際に開放される。
【0047】
キルンフッド4に取り付けられた第一バーナ10及び第二バーナ20により、ロータリーキルン2の内部を下降するクリンカ原料が焼成される。焼成が完了したクリンカ5は、キルンフッド4の下方に配設されたクリンカクーラ3に向かって落下し、クリンカクーラ3内で冷却される。
【0048】
焼成されたクリンカ5は1000℃以上であり、典型的には1200℃~1500℃程度である。このクリンカ5は、クリンカクーラ3に接続されている不図示の冷却ファンから送り込まれた常温(20℃~30℃程度)の大気A1により、冷却される。冷却されたクリンカ5はクリンカクーラ3の出口側端部から排出され、不図示のクリンカサイロに貯蔵される。
【0049】
クリンカクーラ3に流入された大気A1は、高温のクリンカ5と熱交換された後、二次空気A2として、ロータリーキルン2内に供給される。この二次空気A2は、第一バーナ10及び第二バーナ20における燃焼用の空気として利用される。
【0050】
以下の説明では、鉛直方向をZ方向とし、ロータリーキルン2のキルンフッド4側における軸方向をX方向とし、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする、X-Y-Z座標系が適宜参照される。なお、以下の説明では、方向の正負を区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」という表記を行う一方、方向の正負を区別しない場合には、単に「X方向」と表記される。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0051】
上述したように、クリンカ原料は、ロータリーキルン2内で焼成される過程で、クリンカ5となる。つまり、ロータリーキルン2内には、その位置によっては、クリンカ原料の状態で存在するものと、クリンカ5の状態で存在するものとが混在することになる。以下では、用語の簡素化の観点で、ロータリーキルン2内で焼成中のクリンカ原料及びクリンカを、まとめて「クリンカ5」と称する。
【0052】
図2は、キルンフッド4側から、すなわち+X方向にロータリーキルン2を見たときの、設備1の模式的な平面図である。上述したように、ロータリーキルン2は、下流側(キルンフッド4側)に向かって若干下方傾斜した横向きの円筒状を呈している。したがって、逆に、ロータリーキルン2を下流側(キルンフッド4側)から上流側、すなわち+X方向に見ると、微小な上り勾配を呈した状態である。このため、キルンフッド4側からロータリーキルン2を見ると、本来であれば、円筒形状の頂部の位置がZ方向に変位することになる。しかし、
図2においては、図示の都合上、キルンフッド4に近い側のロータリーキルン2の部分のみが図示されている。
【0053】
上述したように、ロータリーキルン2は、回転しながら内部のクリンカ5を焼成する。
図2の例では、下流側(窯前側)から上流側(窯尻側)を見たときに、ロータリーキルン2の回転方向dr2が時計回りである場合が想定されている。つまり、ロータリーキルン2は、軸心2cを中心として、+X方向に見たときに時計回りに回転しながら、クリンカ5を焼成する。
【0054】
焼成中のクリンカ5は、ロータリーキルン2の回転、及び、ロータリーキルン2の内壁2aとクリンカ5との間の摩擦に起因して、ロータリーキルン2の鉛直下方底面から回転方向dr2に偏った斜面上に留まることになる。この結果、ロータリーキルン2の軸心2cのY座標y2と、ロータリーキルン2の内壁2a上に留まっているクリンカ5の占有領域の中心のY座標y3とは、Y方向に偏位する。
【0055】
より詳細には、y3は、y2を基準として、ロータリーキルン2の軸心2cよりも鉛直下方(-Z側)の位置においてロータリーキルン2の回転に伴って移動する方向に偏位する。つまり、ロータリーキルン2の回転方向dr2が時計回りの場合には、ロータリーキルン2の軸心2cよりも鉛直下方(-Z側)の位置では+Y方向に移動するため、y3はy2よりも+Y方向に偏位する。逆に、ロータリーキルン2の回転方向dr2が反時計回りの場合には、ロータリーキルン2の軸心2cよりも鉛直下方(-Z側)の位置では-Y方向に移動するため、y3はy2よりも-Y方向に偏位する。
【0056】
上述したように、クリンカクーラ3は、ロータリーキルン2で焼成が完了したクリンカ5を、下方からの大気A1(冷却用空気)によって冷却する装置である。ロータリーキルン2の下流側端部(クリンカ落口6:
図1参照)まで移動してきたクリンカ5は、キルンフッド4の中空箇所を通じて下方のクリンカクーラ3に向かって落下する。
【0057】
ここで、冷却効率を高める観点からは、クリンカクーラ3の中心3cの位置を、ロータリーキルン2の内壁2aに留まっている焼成中のクリンカ5の占有領域の中心位置の鉛直下方に設置するのが好適である。つまり、クリンカクーラ3の中心3cのY座標は、ロータリーキルン2の内壁2aに留まっている焼成中のクリンカ5の占有領域の中心位置のY座標(y3)とほぼ一致する。この結果、クリンカクーラ3の中心3cの位置は、ロータリーキルン2の軸心2cの位置よりも、Y方向に偏位することになる。
【0058】
図3は、
図2から一部の要素のみを抽出し、模式的に図示した図面である。上述したように、クリンカクーラ3に流入された大気A1は、高温のクリンカ5と熱交換された後、二次空気A2として、ロータリーキルン2内に供給されて燃焼用の空気として利用される。
図3では、この二次空気A2の流れが一点鎖線で模式的に図示されている。
【0059】
図2を参照して上述したように、クリンカクーラ3の中心3cは、ロータリーキルン2の軸心2cからY方向に偏位している。そして、ロータリーキルン2の軸心2cを基準としたときの、クリンカクーラ3の中心3cの偏位の方向は、ロータリーキルン2の軸心2cよりも鉛直下方(-Z側)の位置においてロータリーキルン2の回転(回転方向dr2)に伴って移動する方向である。逆にいえば、この方向は、ロータリーキルン2の軸心2cよりも鉛直上方(+Z側)の位置においては、ロータリーキルン2の回転に伴って軸心2c側に近づく方向である。
【0060】
すると、
図3に示すように、クリンカクーラ3側からロータリーキルン2に流入された二次空気A2は、ロータリーキルン2の軸心2cの同程度の高さ位置(Z座標位置)まで上昇した後、更にロータリーキルン2の回転方向dr2と同方向に旋回しつつ上昇し、その後下降するような気流を示す。
【0061】
上述したように、本実施形態の第二バーナ20は、可燃性廃棄物RF1の吹込み角度が調整可能な構成である。具体的な例としては、
図4A~
図4Bに示すように、第二バーナ20が、吹込み側端部21よりも上流側に連結されたフレキシブルホース22を備える構成を採用することができる。
図4A~
図4Bに示す例では、このフレキシブルホース22の上流側に直管状のダクト23が連結されている。フレキシブルホース22の延伸方向を調整することによって、キルンフッド4に取り付けられた第二バーナ20から吹き込まれる可燃性廃棄物RF1の吹込み方向が調整できる。
【0062】
なお、吹込み方向の調整方法については任意であり、フレキシブルホース22を用いる方法以外の方法を採用しても構わない。
【0063】
第二バーナ20からの吹込み方向は、第二バーナ20の軸方向を基準として、上下方向(Z方向)及び左右方向(Y方向)に調整できる。本実施形態の第二バーナ20のように、第二バーナ20がキルンフッド4の下流側壁面4aに固定されている場合には、鉛直方向(上下方向)に関しては
図5に示すように角度θzで振ることができ、左右方向に関しては
図6に示すように角度θyで振ることができる。
図5は、
図1と同様に設備1をY方向に見たときの構成を、
図1よりも簡略化して示した図面である。
図6は、設備1をZ方向に見たときの構成を簡略化して示した図面である。角度θz及び角度θyは、共に第二バーナ20の軸方向を基準としたときの反時計回りの方向を正方向として、-60°~+60°の範囲である。つまり、第二バーナ20は、上下方向(Z方向)及び左右方向(Y方向)に関して、吹込み方向が最大で±60°の範囲内で調整可能な構成である。
【0064】
つまり、本実施形態の第二バーナ20は、吹込み方向を上下方向(Z方向)と左右方向(Y方向)の一方又は双方に関して調整することによって、Y-Z平面内のいずれかの方向に調整が可能である。左右方向に関する調整角度θyと、上下方向に関する調整角度θzをそれぞれ設定することによって、可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を、
図7に示すハッチング領域内のいずれかに設定することが可能である。なお、
図7内の原点Oは、吹込み方向を調整せずに、可燃性廃棄物RF1を直進方向(ここでは+X方向)に吹き込む場合に対応する。
【0065】
ただし、第二バーナ20の吹込み方向の調整可能な角度範囲は、-60°~+60°の範囲に限定されるものではなく、-45°~+45°の範囲であっても構わないし、-30°~+30°の範囲であっても構わない。また、反時計回り方向に調整可能な最大角度と、時計回り方向に調整可能な最大角度とは、必ずしも同一でなくてもよい。
【0066】
実施例を参照して後述するように、第二バーナ20の吹込み方向の調整は、ロータリーキルン2内における可燃性廃棄物RF1の挙動を調整することで、燃焼状態を変更することを目的としている。このため、吹込み方向がごくわずかな角度しか調整できない場合には、ロータリーキルン2内における可燃性廃棄物RF1の燃焼状態をほとんど変更できない可能性も考えられる。かかる観点から、第二バーナ20は、吹込み方向の調整可能な最大角度は、5°以上であるのが好適である。
【0067】
次に、本実施形態の設備1において、第二バーナ20が取り付けられる箇所につき、
図8を参照して説明する。
図8は、キルンフッド4の下流側壁面4aからロータリーキルン2を見た場合における、第一バーナ10の設置位置と第二バーナ20の設置位置の関係を模式的に示す図面である。すなわち、
図8は、第一バーナ10の吹込み方向に見たときの、第一バーナ10と第二バーナ20との設置位置の関係を示す図面である。
【0068】
本実施形態の設備1において、第二バーナ20は、その軸心が
図8内のハッチング領域PA内に配置される。すなわち、第一バーナ10の軸心10cに対して鉛直下方の第一位置ya1と、軸心10cを基準に第一位置ya1からロータリーキルン2の回転方向dr2に200°進行した第二位置ya2とで挟まれた領域PA内に、第二バーナ20の軸心が位置している。
【0069】
このような位置に第二バーナ20の軸心を位置させた場合の効果について、
図9を参照して説明する。
図9は、
図3にならって表示した図面に、
図8におけるハッチング領域PAを重ね合わせた図面である。
【0070】
図3を参照して上述したように、クリンカクーラ3側からロータリーキルン2に向かって流入する二次空気A2は、ロータリーキルン2の軸心2cの同程度の高さ位置(Z座標位置)まで上昇した後、更にロータリーキルン2の回転方向dr2と同方向に旋回しつつ上昇し、その後下降する。
【0071】
つまり、第二バーナ20の軸心が配置される領域PAは、二次空気A2が上昇気流を示す領域に対応する。このため、領域PA内に向かって可燃性廃棄物RF1が吹き込まれると、この可燃性廃棄物RF1は、ロータリーキルン2内で浮遊しながら+X方向に進行しやすくなる。よって、クリンカ5に着地する前に可燃性廃棄物RF1が消失する割合が高まるため、クリンカ5が白色化したり、クリンカ5の品質が低下するという現象の発現が抑制できる。
【0072】
一方で、可燃性廃棄物RF1の化学的・物理的な性状や、ロータリーキルン2内の燃焼状況によっては、可燃性廃棄物RF1の浮遊時間をより確保したい場合や、逆に可燃性廃棄物RF1の浮遊時間を短時間化して着地燃焼の割合を高めたい場合が想定される。例えば、クリンカ5に残存する六価クロム量が多い場合等には、着地燃焼を意図的に生じさせて還元雰囲気でクリンカ5を焼成することによって、六価クロムの生成量を低下させることができる。
【0073】
このような観点から、ロータリーキルン2内の燃焼環境のモニタリング結果や、クリンカクーラ3から取り出されたクリンカ5の分析結果等に基づいて、例えば
図4A~
図4Bに示したフレキシブルホース22に対して外力を加えて第二バーナ20からの可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を調整するものとしても構わない。外力を加えるに際しては、例えばフレキシブルホース22に対して外力を印加可能な駆動部(不図示)を設けておき、前記モニタリング結果や前記分析結果に基づいて制御部(不図示)から前記駆動部に対して駆動用の信号が送信され、駆動部が当該信号に基づいて所定の方向及び大きさの外力をフレキシブルホース22に対して加える方法が採用できる。
【0074】
ロータリーキルン2内の燃焼環境に関する情報としては、放射温度測定機能付きキルンカメラによって解析した第一バーナ10の火炎温度、第一バーナ10のブラックゾーンの長さ(第一バーナ10の先端近傍の燃料が未燃状態の軸方向長さ)、ロータリーキルン2のキルントルク、及びキルン焼点温度等が挙げられる。なお、これらの情報群に属する2以上の情報が利用されるものとしても構わない。
【0075】
また、クリンカ5の性状に関する情報としては、クリンカのf.CaO、色調(b値、L値)、容重といったクリンカ5の品質に関する情報を利用することができる。また、クリンカ5の性状に関する情報として、含有六価クロムの検出値に関する情報を利用することもできる。
【0076】
含有六価クロムの検出方法は任意であるが、例えば、クリンカクーラ3から取り出されたクリンカ5に対して、例えば30分~1日程度の間隔で、クリンカ5を酸溶解して、溶解液中の六価クロム濃度をJIS K 0102:2016「工場排水試験方法」に記載のジフェニルカルバジド吸光光度法、フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、及びジフェニルカルバジド発色による流れ分析法からなる群に属するいずれか1つ以上の方法により測定することで、クリンカ5中の全含有六価クロム量を求めることができる。別の方法としては、クリンカ5を水に浸漬し、六価クロムが溶出した液中の六価クロム濃度を、上述した方法を用いて測定することで、水溶性六価クロム量を求めることができる。
【0077】
[第二実施形態]
本発明の第二実施形態の可燃性排気物吹込装置に関し、主として第一実施形態と異なる箇所を説明する。本実施形態において、第一実施形態の箇所で図面を参照して上述された要素と共通する要素については、同一の符号を付して詳細な説明が省略される。
【0078】
図10は、本発明の第二実施形態の可燃性廃棄物吹込装置がロータリーキルン2に付設されてなる設備1の構成を、
図1にならって示した図面である。本実施形態の可燃性廃棄物吹込装置は、第一実施形態と比較して、第二バーナ20の設置箇所が異なっている。
【0079】
本実施形態において第二バーナ20は、キルンフッド4の壁面のうち、下流側の壁面4aではなく横側の壁面(Y方向に係る端面)に取り付けられている。つまり、本実施形態においては、この横側壁面の一部が開閉が可能な扉状になっており、第二バーナ20の取付・交換作業の際に開放されるものとしても構わない。
【0080】
キルンフッド4の横側の壁面としては、
図11に示すように、+Y側の壁面43と、これに向かい合う-Y側の壁面44の両者が存在するが、本実施形態では、+Y側の壁面43に第二バーナ20が取り付けられている。
図11は、本実施形態の設備1をZ方向に見たときの構成を
図6にならって簡略化して示した図面である。
【0081】
第二バーナ20が取り付けられている+Y側の壁面43とは、
図2を参照して上述したように、ロータリーキルン2内の斜面上にクリンカ5が留まっている側の壁面に対応する。
図12は、
図2と同様の図面に、本実施形態の第二バーナ20からの可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を重ねて表示した図面である。つまり、本実施形態においては、クリンカクーラ3から流入する二次空気A2が上昇気流を形成する領域側(+Y側)から、-Y方向に向かって可燃性廃棄物RF1が吹き込まれる。このため、可燃性廃棄物RF1は、上昇気流に乗って浮遊しながらロータリーキルン2内に流入する。
【0082】
なお、
図10は、-Y側から+Y方向に見たときの平面図であるため、実際には、第二バーナ20は第一バーナ10の後段に重なって視認できないが、説明の都合上、
図10では第一バーナ10を透過させて第二バーナ20を表示させている。
【0083】
本実施形態においては、第二バーナ20からの可燃性廃棄物RF1の吹込み方向は、第一バーナ10からの主燃料C1の吹込み方向と交差する。ただし、上述したように、キルンフッド4内においては、クリンカクーラ3側から上昇気流を形成しながら流入する二次空気A2により、可燃性廃棄物RF1は上方向に巻き上げられながらロータリーキルン2内に流入する。つまり、仮に、第二バーナ20の設置高さ位置(Z方向の位置)が、第一バーナ10の設置高さ位置とほぼ同じであっても、第二バーナ20から吹き込まれた可燃性廃棄物RF1が第一バーナ10の軸部に衝突することはほとんどなく、衝突するとしてもわずかな量である。つまり、
図10及び
図11の態様で第二バーナ20を設置したとしても、第一バーナ10の存在が、吹き込まれた可燃性廃棄物RF1の流れを妨げることはほとんどない。
【0084】
本実施形態においても、第二バーナ20からの吹込み方向は、第二バーナ20の軸方向を基準として、上下方向及び左右方向に調整可能である。本実施形態の第二バーナ20のように、第二バーナ20がキルンフッド4の横側壁面43に固定されている場合には、鉛直方向(上下方向)に関しては
図13に示すように角度θzで振ることができ、左右方向に関しては
図14に示すように角度θxで振ることができる。
図13は、
図12になって設備1をX方向に見たときの構成を模式的に示した図面である。
図14は、設備1をZ方向に見たときの構成を簡略化して示した図面である。角度θz及び角度θxは、共に第二バーナ20の軸方向を基準としたときの反時計回りの方向を正方向として、-60°~+60°の範囲である。なお、角度θz及び角度θxの範囲については、第一実施形態で説明した角度θz及び角度θyと同様に設定することができる。なお、
図14内に記載された(#3-3,#3-4)は、後述する実施例の水準の番号に対応する。
【0085】
本実施形態においては、第二バーナ20のZ方向に係る高さ位置z20に関しては、
図15に示すように、ロータリーキルン2の天井面31の高さ位置z31と、床面32の高さ位置z32との間であるのが好ましい。この位置とすることで、第二バーナ20から吹き込まれる可燃性廃棄物RF1を、上昇気流を形成する二次空気A2に乗せつつロータリーキルン2内に効率よく流入させることができる。
【0086】
本実施形態の設備1においても、第二バーナ20の吹込み方向が調整可能であるため、ロータリーキルン2内における可燃性廃棄物RF1の燃焼の態様を、簡易的に調整することができる。
【実施例0087】
第二バーナ20の吹込み方向を変えた場合に、第二バーナ20から吹き込まれた可燃性廃棄物RF1がクリンカ5に着地する割合に与える影響について、第二バーナ20の設置位置を異ならせた複数の条件下でシミュレーションを行った。以下にシミュレーション条件を説明する。
【0088】
図16A~
図16Cは、シミュレーションで利用されたロータリーキルン2、キルンフッド4、及び第一バーナ10の寸法及び形状を説明するための模式的な図面である。
図16Aは、
図1と同様に、ロータリーキルン2及びキルンフッド4をX-Z平面で切断したときの模式的な断面図である。
図16Bは、
図16A内におけるB-B線断面図であり、
図16Cは、
図16内におけるC-C線断面図である。
【0089】
図16A~
図16Cを参照して、シミュレーションに用いられた各部材の寸法について説明する。
【0090】
図16Aに示す、ロータリーキルン2の長手方向(X方向)の長さL2は、30,000mmとされた。
図16Aに示す、ロータリーキルン2は、+X方向に1,000mm進むに伴って+Z方向に40mm進むような傾斜を有した配置とされた。すなわち、
図16Aに示すロータリーキルン2の傾斜角θは、θ=arctan (0.04)=2.29°とされた。
図16Aに示す、キルンフッド4のX方向の長さL4は、3,500mmとされた。
図16Aに示す、第一バーナ10の先端10aは、クリンカ落口6から+X側(上流側)に100mm突出した位置とされた。なお、クリンカ落口6とは、ロータリーキルン2とキルンフッド4とを連絡する、鉛直方向に平行な仮想境界面に対応する。
【0091】
図16Bに示す、ロータリーキルン2の内側空間の半径r2(=内径の1/2)は、2,350mmとされた。
図16Bに示す、キルンフッド4の外壁部分の半径r4(外径の1/2)は、3,100mmとされた。
【0092】
図16Bに示すキルンフッド4の各箇所の寸法は、以下の通りとされた。
・w41=4,700mm
・w42=6,200mm
・h41=2,600mm
・h42=3,550mm
【0093】
図16Cに示すように、ロータリーキルン2は、下流側から上流側を見たときに(+X方向に見たときに)、回転方向dr2が時計回りとされた。
【0094】
図16C内において、ロータリーキルン2内でクリンカ5が留められる箇所を、斜面2sで規定した。この斜面2sは、X方向に見たときに、端点2s1と端点2s2とで囲まれる領域である。端点2s1は、ロータリーキルン2の軸心2cから鉛直方向に結ぶ線(Y座標y2を示す線)を基準として、ロータリーキルン2の回転方向dr2とは反対方向に角度θ1だけ回転移動した箇所である。一方、反対側の端点s2は、同じくY座標y2を示す線を基準として、ロータリーキルン2の回転方向dr2と同方向に角度θ2だけ回転移動した箇所である。そして、それぞれの角度θ1、θ2は、θ1=18.2°、θ2=63.7°とされた。
【0095】
図16C内に示す偏位y23は、744mmとされた。この偏位y23とは、
図2を参照して上述した、クリンカクーラ3の中心3cのY座標y3と、ロータリーキルン2の軸心2cのY座標y2との間の、Y方向に係るずれ量に対応する。
【0096】
(検証1,検証2)
検証1及び検証2は、いずれも第一実施形態の設備1を模擬した検証である。つまり、第二バーナ20は、キルンフッド4の下流側壁面4a(
図1参照)に取り付けられた場合が想定されている。
【0097】
図17は、検証1及び検証2において検証された、第二バーナ20の軸心20cの位置を説明するための図面である。
図17に示すように、第二バーナ20の軸心20cの位置の候補としては、位置41及び位置42の2種類が設定された。検証1では、第二バーナ20の軸心20cが位置41に設定された。検証2では、第二バーナ20の軸心20cが位置42に設定された。位置41は、第一バーナ10の軸心10cから+Z側に1m移動した位置である。位置42は、第一バーナ10の軸心10cから+Y側に1m、-Z側に1m移動した位置である。
【0098】
第二バーナ20から吹き込まれる可燃性廃棄物RF1としては、廃プラスチック(廃プラ)が採用された。
図18は、本シミュレーションで想定された、可燃性廃棄物RF1の粒度分布を示すグラフである。この粒度分布は、セメント工場からサンプリングした廃プラの粒度分布の測定結果に基づくものである。なお、この廃プラの密度は1.22g/cm
3とされた。
【0099】
第二バーナ20から投入される廃プラ(可燃性廃棄物RF1)の投入量は3t/hとされた。クリンカクーラ3側からロータリーキルン2内に流入する二次空気A2の温度は830℃とされた。二次空気A2の流量については、下記表1及び表2に示す通りである。
【0100】
実際のロータリーキルン2の運転時において、第一バーナ10からロータリーキルン2内に吹き込まれる空気量(一次空気量)は、二次空気A2の流量と比較して10%~14%程度である。このため、第二バーナ20から吹き込まれる可燃性廃棄物RF1のロータリーキルン2内における挙動を決定付ける因子としては、二次空気A2が支配的となり、第一バーナ10から吹き込まれる一次空気は殆ど影響しないと想定される。このような背景の下、計算量の削減の観点で、第一バーナ10から吹き込まれる空気量はゼロとした。
【0101】
検証1では、第二バーナ20の軸心20cの位置を位置41とし、第二バーナ20から可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を3水準で異ならせて、第二バーナ20から吹き込まれた廃プラの軌道とロータリーキルン2内における落下位置を、シミュレーションにより求めた。詳細には、
図6に示す左右方向の角度θyについて、0°(水準#1-1)、+20°(水準#1-2)、-20°(水準#1-3)のそれぞれについてシミュレーションが行われた。シミュレーションに際しては、ANSYS社製のソフトウェア FLUENT ver.2019R3が利用された。なお、計算上では、第二バーナ20の径はゼロとされた。言い換えれば、点としての軸心20cから廃プラが吹き込まれるものとして計算された。結果を表1及び
図19に示す。
【0102】
【0103】
図19によれば、水準#1-1の下では、クリンカ落口6と、クリンカ落口6からX方向に11.3m進行した箇所までの領域の間に、投入された廃プラの80%がロータリーキルン2の底面に落下したことが示される。同様に、水準#1-2の下では、クリンカ落口6と、クリンカ落口6からX方向に18.2m進行した箇所までの領域の間に、投入された廃プラの80%がロータリーキルン2の底面に落下したことが示される。水準#1-3の下では、クリンカ落口6と、クリンカ落口6からX方向に8.8m進行した箇所までの領域の間に、投入された廃プラの80%がロータリーキルン2の底面に落下したことが示される。
【0104】
検証2では、第二バーナ20の軸心20cの位置を位置42とし、第二バーナ20から可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を3水準で異ならせて、第二バーナ20から吹き込まれた廃プラの軌道とロータリーキルン2内における落下位置を、シミュレーションにより求めた。詳細には、
図5に示す上下方向の角度θzについて、0°(水準#2-1,水準#2-2)、+20°(水準#2-3)のそれぞれについてシミュレーションが行われた。水準#2-1と水準#2-2は、角度θzは共通として二次空気A2の流量を相互に異ならせた。また、水準#2-2と水準#2-3とは、二次空気A2の流量は共通としつつ、角度θzを相互に異ならせた。結果を表2及び
図20に示す。なお、
図20は、
図19と同様の表記方法でシミュレーション結果をグラフ化したものである。表2及び
図20によって示されている結果の見方は検証1と共通するため、詳細は割愛する。
【0105】
【0106】
検証1及び検証2の結果から、第二バーナ20の設置位置を共通としながらも可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を、Y方向又はZ方向に変化させることで、可燃性廃棄物RF1のロータリーキルン2内の浮遊挙動を調整できることがわかる。水準#2-1と水準#2-2の結果を対比すると、二次空気A2の流量が変化することによっても可燃性廃棄物RF1の挙動が変化することが理解される。更に、水準#2-2と水準#2-3との結果を対比すると、二次空気A2の流量が低下した場合であっても、可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を変化させることで、可燃性廃棄物RF1のロータリーキルン2内の浮遊挙動を調整できることが確認される。
【0107】
(検証3)
検証3は、第二実施形態の設備1を模擬した検証である。つまり、第二バーナ20は、キルンフッド4の横側壁面に取り付けられた場合が想定されている。なお、本検証ではキルンフッド4の横側壁面のうち、+Y側の壁面43に第二バーナ20が取り付けられている場合(
図14参照)と、逆の-Y側の壁面43に第二バーナ20が取り付けられている場合(
図21参照)の両者について、シミュレーションが行われた。-Y側の壁面43に第二バーナ20が取り付けられている場合が、水準#3-1及び水準#3-2に対応する。一方、+Y側の壁面43に第二バーナ20が取り付けられている場合が、水準#3-3及び水準#3-4に対応する。水準#3-1と水準#3-2とは、
図21に示す左右方向の角度θxが異なっている。同様に、水準#3-3と水準#3-4とは、
図14に示す左右方向の角度θxが異なっている。
【0108】
なお、水準#3-2と水準#3-4とで角度θxの正負の符号が異なっているのは、θxの値を、反時計回りの回転方向を「正」として規定したことによる表記上の都合によるものであり、両者は、ロータリーキルン2側に吹込み方向を40°傾けたという点では同じである。結果を表3及び
図22に示す。なお、
図22は、
図19と同様の表記方法でシミュレーション結果をグラフ化したものである。表3及び
図22によって示されている結果の見方は、検証#1と共通するため、詳細は割愛する。
【0109】
【0110】
図22によれば、第二バーナ20の設置位置を、+Y側の壁面43とするか、-側の壁面44とするかによって、80%落下地点位置が大きく左右されることがわかる。可燃性廃棄物RF1をロータリーキルン2内で浮遊する時間をある程度確保する観点からは、
図10~
図12を参照して上述した設備1のように、+Y側の壁面43、すなわち、ロータリーキルン2内においてクリンカ5が残留する傾斜面に近い側の壁面43に、第二バーナ20を取り付けるのが好適であることがわかる。
【0111】
更に、検証3の結果から、第二バーナ20をキルンフッド4の横側壁面43に取り付けた場合であっても、可燃性廃棄物RF1の吹込み方向を変化させることで、可燃性廃棄物RF1のロータリーキルン2内の浮遊挙動を調整できることがわかる。なお、水準#3-1と水準#3-2との対比結果、及び水準#3-3と水準#3-4との対比結果によれば、第二バーナ20の吹込み方向をロータリーキルン2側に傾けることで、80%落下地点位置がクリンカ落口6からX方向に遠い位置となる、言い換えれば、可燃性廃棄物RF1の浮遊時間が長くなることがわかる。これは、可燃性廃棄物RF1が、ロータリーキルン2に向かって通流する二次空気A2のX方向に沿った流れに乗りやすくなった結果、+X方向により運ばれやすくなったためと考えられる。