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特開2024-47982平面アンテナ、RFID用ゲートアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047982
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】平面アンテナ、RFID用ゲートアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20240401BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20240401BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240401BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20240401BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q17/00
H01Q21/06
H01Q13/08
G06K7/10 268
G06K7/10 236
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153779
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】横井 浩二
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J020EA03
5J020EA04
5J020EA05
5J020EA07
5J020EA09
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021FA32
5J045DA10
5J045JA04
5J046AB03
5J046AB13
5J046UA04
(57)【要約】
【課題】ゲートに適用された際に、ゲート内の反射による影響を低減しつつ、ゲートを小型化・薄型化することが可能な平面アンテナを提供する。
【解決手段】平面アンテナ110Aは、第1の誘電体20と、アンテナ素子60,61と、電波吸収素子51と、第1反射体と、を備える。第1の誘電体20は、第1の面20aと第2の面20bとを有する。アンテナ素子60,61は、第1の面20aに設けられ、給電を受けて電波を放射する。電波吸収素子51は、第1の面20aに導電性材料を用いて設けられ、電波の反射波を吸収する。第1の反射体22は、第2の面20bに導電性材料を用いて設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と第2の面とを有する第1の誘電体と、
前記第1の面に設けられ、給電を受けて電波を放射する一つ以上のアンテナ素子と、
前記第1の面に導電性材料を用いて設けられ、前記電波の反射波を吸収する電波吸収素子と、
前記第2の面に導電性材料を用いて設けられた、第1の反射体と、を備える、
平面アンテナ。
【請求項2】
第1の貼り付け面と、前記第1の貼り付け面に対向する第1の形成面と、を有する第1のフィルムと、
第2の貼り付け面と、前記第2の貼り付け面に対向する第2の形成面と、を有する第2のフィルムと、を更に備え、
前記第1の貼り付け面は、前記第1の面に貼り付けられ、
前記第2の貼り付け面は、前記第2の面に貼り付けられ、
前記第1の形成面には、前記アンテナ素子及び前記電波吸収素子が形成されており、
前記第2の形成面には、前記第1の反射体が形成されている、
請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、放射素子で形成されており、
前記放射素子及び前記電波吸収素子は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより、前記第1の面に直接形成されている、
請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項4】
前記第1の反射体は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより、前記第2の面に直接形成されている、
請求項1に記載の平面アンテナ。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、放射素子で形成されており、
前記放射素子及び前記電波吸収素子は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより前記第1の形成面に直接形成されている、
請求項2に記載の平面アンテナ。
【請求項6】
前記第1の反射体は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより前記第2の形成面に直接形成されている、
請求項2に記載の平面アンテナ。
【請求項7】
前記放射素子は、前記第1の誘電体及び前記第1の反射体と共にパッチアンテナを形成する導体パターンである、
請求項3に記載の平面アンテナ。
【請求項8】
前記放射素子は、前記第1の誘電体及び前記第1の反射体と共にパッチアンテナを形成する導体パターンである、
請求項5に記載の平面アンテナ。
【請求項9】
前記アンテナ素子は、放射部で形成されており、
前記放射部は、前記第1の形成面に直接又は保護層を介して貼り付けられたパッチアンテナであり、
前記パッチアンテナは、導体パターンを有する、
請求項2に記載の平面アンテナ。
【請求項10】
前記電波吸収素子は、抵抗被膜又は無給電素子である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項11】
前記一つ以上のアンテナ素子の各々の出力信号を合成する信号合成回路を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項12】
前記第1の誘電体から所定距離離れた位置に配置された第2の誘電体と、
前記第2の誘電体の一方の面に導電体材料を用いて設けられた第2の反射体と、を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の平面アンテナ。
【請求項13】
前記第1の誘電体は透明であり、
前記導体パターンは、複数の矩形が区画されたメッシュ形状を構成している、
請求項7に記載の平面アンテナ。
【請求項14】
前記メッシュ形状のパターン幅は、0.1mmを有し、
前記電波の波長をλ、前記電波が伝搬する媒体の波長短縮率をkとした場合、前記メッシュ形状のメッシュ間隔は、0.003λ×k~0.006λ×kである、
請求項13に記載の平面アンテナ。
【請求項15】
前記放射部の端部から前記第1の誘電体に垂直な方向に延伸した反射部を更に備える、
請求項9に記載の平面アンテナ。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか1項に記載の平面アンテナと、
RFIDタグと通信可能なRFIDリーダライタと、を備える、
RFID用ゲートアンテナ。
【請求項17】
前記平面アンテナを2つ備え、
2つの前記平面アンテナは、互いに対向して配置されている、
請求項16に記載のRFID用ゲートアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平面アンテナ、特にRFID用のゲートアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の通信ゲートは、平面アンテナを備え、平面アンテナから電波を放射して、通信ゲート内を通過するRFIDタグを読み取っている。平面アンテナから放射された電波や、RFIDタグから放射された電波が、通信ゲート内で反射すると、読み取り対象外のRFIDタグが読み取られ、誤検出が生じる可能性がある。上記通信ゲートは、通信ゲート内での反射の影響を低減するため、電波吸収体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-38544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記通信ゲートのように、ゲート内に平面アンテナと別個に電波吸収体を設けると、ゲートが大型化し、コストアップになる。
本開示の1つの局面は、ゲートに適用された際に、ゲート内の反射による影響を低減しつつ、ゲートを小型化・薄型化することが可能な平面アンテナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面の平面アンテナは、第1の誘電体と、一つ以上のアンテナ素子と、電波吸収素子と、第1の反射体と、を備える。誘電体は、第1の面と第2の面とを有する一つ以上の放射部は、第1の面に設けられ、給電を受けて電波を放射する。電波吸収素子は、第1の面に導電性材料を用いて設けられ、電波の反射波を吸収する。第1の反射体は、第2の面に導電性材料を用いて設けられる。
【0006】
本開示の1つの局面の平面アンテナでは、電波を放射するアンテナ素子と、不要な反射電波を吸収する電波吸収素子とが一体化されて、平面アンテナが構成されている。したがって、平面アンテナをゲートに適用した際に、反射の影響を低減しつつ、ゲートを薄型化することができる。ひいては、コストダウンを実現することができる。
【0007】
上記平面アンテナは、第1のフィルムと第2のフィルムを更に備えてもよい。第1のフィルムは、第1の貼り付け面と、第1の貼り付け面に対向する第1の形成面と、を有する。第2のフィルムは、第2の貼り付け面と、第2の貼り付け面に対向する第2の形成面と、を有する。第1の貼り付け面は、第1の面に貼り付けられる。第2の貼り付け面は、第2の面に貼り付けられる。第1の形成面には、アンテナ素子及び電波吸収素子が形成されている。第2の形成面には、第1の反射体が形成されている。
【0008】
上記構成によれば、アンテナ素子及び電波吸収素子が形成された第1のフィルムと、第1の反射体が形成された第2のフィルムとを、誘電体に貼り付けることで平面アンテナを作成することができる。よって、平面アンテナの製造を簡易にすることができる。
【0009】
アンテナ素子は、放射素子で形成されていてもよい。放射素子及び電波吸収素子は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより、前記第1の面、または、第1の形成面に直接形成されていてもよい。第1の反射体は、導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより、前記第2の面、または、第2の形成面に直接形成されていてもよい。
このような構成によれば、簡易に製造することができる。
【0010】
放射素子は、第1の誘電体及び第1の反射体と共にパッチアンテナを形成する導体パターンであってもよい。
上記構成によれば、パッチアンテナを形成する第1の誘電体に電波吸収素子が設けられている。したがって、平面アンテナをより小型化・薄型化することができる。
【0011】
アンテナ素子は、放射部で形成されていてもよい。放射部は、第1の形成面に直接又は保護層を介して貼り付けられたパッチアンテナであってもよい。パッチアンテナは導体パターンを有する。
上記構成によれば、平面アンテナの製造を簡易にすることができる。
【0012】
電波吸収素子は、抵抗被膜又は無給電素子であってもよい。
不要な電波を抵抗被膜又は無給電素子で吸収して低減することができる。
【0013】
一つ以上のアンテナ素子の各々の出力信号を合成する信号合成回路を更に備えてもよい。
信号合成回路を介して複数の放射素子の各々の出力信号を合成することにより、送・受信性能を向上させることができる。
【0014】
上記平面アンテナは、第2の誘電体と、第2の反射体と、を更に備えてもよい。第2の誘電体は、第1の誘電体から所定距離離れた位置に配置される。第2の反射体は、第2の誘電体の一方の面に導電体材料を用いて設けられる。
【0015】
平面アンテナが更に第2の誘電体と第2の反射体とを備えることにより、不要な電波をより低減することができる。特に、第2の反射体を、第1の誘電体の中央から1/4λ離れた位置に配置することにより、アンテナのバックローブのエネルギーを低減することができ、ひいては不要な電波の低減効果を高めることができる。
【0016】
第1の誘電体は透明であってもよい。導体パターンは、複数の矩形が区画されたメッシュ形状を構成していてもよい。
誘電体を透明にし、放射素子をメッシュ形状に形成することにより、平面アンテナの透明性を高めて、美観を向上させることができる。
【0017】
メッシュ形状のパターン幅は、0.1mmを有してもよい。少なくとも一つの放射素子から放射する電波の波長をλ、電波が伝搬する媒体の波長短縮率をkとした場合、メッシュ形状のメッシュ間隔は、0.003λ×k~0.006λ×kであってもよい。例えば、放射素子から放射する電波の中心周波数が920MHzである場合は、メッシュ状のメッシュ間隔は、1~2mmであってもよい。
【0018】
放射素子のメッシュ形状をこのようなサイズで形成することにより、平面アンテナの透明性を高めつつ、利得の低減を抑制することができる。
【0019】
上記平面アンテナは、放射部の端部から第1の誘電体に垂直な方向に延伸した反射部を更に備えてもよい。
【0020】
放射部の端部に反射部が設けられていることにより、平面アンテナから放射された電波が端部の外側へ広がることを抑制できる。ひいては、端部の外側に存在する読み取り対象ではないRFタグの不要な読み取りを抑制することができる。
【0021】
本開示の別の1つの局面のRFID用ゲートアンテナは、上述した平面アンテナと、RFIDリーダライタと、を備えてもよい。RFIDリーダライタは、RFタグと通信可能であってもよい。
【0022】
上記RFID用ゲートアンテナは、上述した平面アンテナを2つ備えてもよい。2つの平面アンテナは、互いに対向して配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】RFIDゲートを示す外観図である。
図2】第1実施形態に係るフラットケーブルの断面図である。
図3】第1実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図4】第1実施形態に係る平面アンテナの放射部を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る平面アンテナの放射部の導体パターンの一部を示す平面図である。
図6A】、放射部及び反射体の導体パターンを、(i)ベタパターン、(ii)1mm間隔のメッシュパターン、(iii)2mm間隔のメッシュパターンにした場合における電波の減衰量の測定結果を示す図である。
図6B】放射部のメッシュ間隔を1mmで一定にし、反射体のメッシュ間隔を1mm、2mm、及び5mmにした場合におけるアンテナ利得特性を示す図である。
図7】放射部及び反射体の導電パターンを、(i)ベタパターン、(ii)高導電率インクで印刷した1mm間隔のメッシュパターン、(iii)低導電率インクで印刷した1mm間隔のメッシュパターンにした場合におけるアンテナ利得特性を示す図である。
図8】無給電素子を設けた場合における電波の減衰量の測定結果を示す図である。
図9】第2実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図10】第3実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図11】第4実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図12】第5実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図13】第6実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
図14】第7実施形態に係る平面アンテナを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
(1.第1実施形態)
<1-1.全体構成>
本実施形態に係る平面アンテナ110Aについて、図1~3を参照して説明する。平面アンテナ110Aは、RFIDゲート100に設置され、RFIDゲート100を通過するRFタグと無線通信を行うことを想定している。
【0025】
RFIDゲート100は、左台座91と、右台座92と、一対の平面アンテナ110Aと、リーダライタ120と、フラットケーブル30と、を備える。例えば、RFIDゲート100は、店舗などで設置される。RFタグが装着された商品を持った利用者がRFIDゲート100内を通過すると、一対の平面アンテナ110AよりRFタグの情報が読み取られる。RFタグの情報は、当該タグが装着されている商品の価格、型番に対応する特定の記号・番号などである。
【0026】
一対の平面アンテナ110Aは、左側の平面アンテナ110Aと右側の平面アンテナ110Aとを含む。左側の平面アンテナ110Aと右側の平面アンテナ110Aは、同じ板形状に形成され、同じ構成を有している。左台座91と右台座92は、同じ直方形状に形成されている。
【0027】
左側の平面アンテナ110Aは、下端が左台座91に固定されている。右側の平面アンテナ110Aは、下端が右台座92に固定されている。また右側の平面アンテナ110Aは、左側の平面アンテナ110Aから所定距離離れた位置において、左側の平面アンテナ110Aと対向するように設置されている。一対の平面アンテナ110Aは、互いに放射面が対向している。
【0028】
リーダライタ120は、平面アンテナ110Aを介してRFタグと通信可能に構成されており、左台座91の内部に収納されている。リーダライタ120は、配線75を介して、左側の平面アンテナ110Aと接続されている。また、リーダライタ120は、配線75及びフラットケーブル30を介して、右側の平面アンテナ110Aと接続されている。
【0029】
図2に示すように、フラットケーブル30は、信号ライン31と、上側誘電体34と、下側誘電体35と、上側グランド32と、下側グランド33と、を備え、板状に形成されている。具体的には、平面状の下側グランド33の上に、板状の下側誘電体35が設置されている。下側誘電体35の上端の中央に、平面状の信号ライン31が配置され、信号ライン31の左右に接着剤36が塗布されている。上側グランド32と下側グランド33は接続されており、上側グランド32と下側グランド33は同電位になっている。そして、信号ライン31及び接着剤36の上に上側誘電体34が設置され、上側誘電体34の上に上側グランド32が設置されている。すなわち、信号ライン31が、下側誘電体35と上側誘電体34とで挟まれ、接着剤36を介して、下側誘電体35に上側誘電体34が固定されている。下側グランド33の更に下側には、上側グランド32及び下側グランド33と同電位のグランド層が形成されていてもよい。なお、フラットケーブル30は導電性材料を用いて印刷、蒸着、エッチング等の方法を用いて形成してもよい。
【0030】
平面アンテナ110Aは、正面に向けて電波を放射する。RFタグは、電波を受信して、RFタグに記憶された情報を含む電波を放射する。平面アンテナ110Aは、RFタグから放射された電波を受信する。そして、平面アンテナ110Aは、受信した電波を電気信号に変換し、配線75、あるいは、配線75及びフラットケーブル30を介して、電気信号をリーダライタ120へ送信する。リーダライタ120は、受信した電気信号に基づいて、RFタグの情報を読み取る。
【0031】
<1-2.アンテナ構成>
次に、平面アンテナ110Aの構成について説明する。図3に示すように、平面アンテナ110Aは、誘電体20と、フィルム21,23と、反射体22と、一つ以上の放射部60と、一つ以上の電波吸収素子51と、を備える。誘電体20は、ポリカーボネート、PET、アクリルなどの透明な板状の部材である。本実施形態では、誘電体20は、アクリル部材である。誘電体20は、第1の面20a(前面)と、第2の面20b(後面)とを備える。
【0032】
フィルム21,23は、PETなどの透明の絶縁性材料で形成されている。フィルム21は、第1の貼り付け面21aと、第1の形成面21bと、を有する。フィルム23は、第2の貼り付け面23aと、第2の形成面23bと、を有する。第1の貼り付け面21aは、第1の面20aに粘着剤を介して貼り付けられており、第2の貼り付け面23aは、第2の面20bに粘着剤を介して貼り付けられている。なお、フィルム21,23は、粘着剤を介さず、ファンデルワールス力や、静電気的結合、減圧吸着によって、第1の面20a及び第2の面20bに貼り付けられていてもよい。
【0033】
反射体22は、導電性材料で、第2の形成面23b上に、印刷により形成されている。具体的には、反射体22は、銀、銅などの導電体の微粒子を含むインクで印刷形成されている。反射体22は、印刷の代わりに、蒸着、エッチング及び転写のいずれかにより、第2の形成面23b上に形成されてもよい。転写は、剥離可能な転写シート又は転写シールに導電性材料で印刷して、その印刷面に粘着剤を塗布して第2の形成面23bに貼り付け、転写シート又は転写シールをはがすことによって実現する。これにより、第2の形成面23b上に反射体22のみが残る。また、反射体22が設けられたフィルム23を、第2の面20bに貼り付けてもよいし、第2の面20bにフィルム23を貼り付けてから、フィルム23上に反射体22を設けてもよい。反射体22は、反射器として作用する。
【0034】
一つ以上の放射部60及び一つ以上の電波吸収素子51は、第1の形成面21b上に形成されている。一つ以上の電波吸収素子51は、導電性材料を用いて、印刷、蒸着、エッチング及び転写のいずれかにより、第1の形成面21b上に形成されている。一つ以上の放射部60及び一つ以上の電波吸収素子51が設けられたフィルム21を、第1の面20aに貼り付けてもよいし、第1の面20aにフィルム21を貼り付けてから、フィルム21上に一つ以上の放射部60及び一つ以上の電波吸収素子51を設けてもよい。
【0035】
図1に示すように、複数の放射部60は、RFIDゲート100の通過方向に沿って一列に配置されて、放射アレイを構成している。平面アンテナ110Aは、上下方向に、間隔を開けて配置された、複数の放射アレイを備える。本実施形態では、1つの放射アレイは、4つの放射部60を備え、平面アンテナ110Aは、2つの放射アレイを備える。各放射アレイの上には、保護層160が設けられている。保護層160は、PETなどの透明な板状の部材である。
【0036】
放射部60の各々は、給電を受けて電波を放射する。RFタグは、電波を受信して、RFタグに記憶された情報を含む電波を放射する。平面アンテナ110Aは、RFタグから放射された電波を受信し、受信した電波を電気信号に変換して、配線75、あるいは、配線75及びフラットケーブル30を介して、電気信号をリーダライタ120へ送信する。リーダライタ120は、受信した電気信号に基づいて、RFタグの情報を読み取る。一対の平面アンテナ110は、4つの放射アレイを備え、各放射アレイは、4つの放射部60を備える。一対の平面アンテナ110では、時分割で順番に、4つの放射アレイのうちの1つの放射アレイが電波を放射する。各放射アレイは、電波を放射していないときに電波吸収アレイとして機能する。各放射アレイに含まれる4つの放射部60は、同時に電波を放射する。各放射アレイに含まれる4つの放射部60の各々の出力は、信号合成回路70を介して、配線75に接続されている。すなわち、各放射アレイに含まれる4つの放射部60の出力は合成されて、配線75に出力される。
【0037】
また、図1に示すように、複数の電波吸収素子51は、RFIDゲート100の通過方向に沿って一列に配置されて、電波吸収アレイを構成している。平面アンテナ110Aは、上下方向において、間隔を開けて配置された、複数の電波吸収アレイを備える。平面アンテナ110Aの上下方向において、放射アレイと電波吸収アレイは、交互に配置されている。本実施形態では、1つの電波吸収アレイは、4つの電波吸収素子51を備え、平面アンテナ110Aは、2つの電波吸収アレイを備える。
【0038】
複数の電波吸収素子51の各々は、放射部60と異なり給電を受けない。複数の電波吸収素子51の各々は、無給電素子、又は透明な抵抗被膜である。複数の電波吸収素子51の各々は、放射部60から放射された電波の反射波を吸収する。放射部60から放射された電波の一部はRFタグに受信され、別の一部は、対向する平面アンテナ110Aで反射されて、放射部60へ戻ってくる。この反射波は不要な電波であり、RFタグの読み取り精度を低下させる可能性がある。複数の電波吸収素子51の各々は、誘電体20及び反射体22と一体で機能して、対向する平面アンテナ110Aで反射された不要な電波を吸収する。また、複数の放射部60の各々は、電波を放射していないとき、電波吸収素子51と同様に不要な電波を吸収する吸収素子として機能する。
【0039】
図4に示すように、放射部60は、フィルム21上に設けられたパッチアンテナである。放射部60は、給電回路を含む放射素子610と、反射体630と、誘電体620と、フィルム640a,640bと、を備える。誘電体620は、ポリカーボネート、PET、アクリルなどの透明な板状の部材である。
【0040】
フィルム640aは、誘電体620の第1の面(前面)に粘着剤を介して貼り付けられている。フィルム640bは、誘電体620の第2の面(後面)に粘着剤を介して貼り付けられている。
【0041】
図5に示すように、放射素子610は、フィルム640a上に、銀、銅などの導電性材料を用いてメッシュ形状に形成されている。詳しくは、放射素子610は、印刷により、フィルム640a上に形成されている。同様に、反射体630は、フィルム640b上に、銀、銅などの導電性材料を用いてメッシュ形状に、印刷により形成されている。そして、放射部60は、誘電体20のフィルム21に、粘着剤を介して貼り付けられている。これにより、放射素子610は、反射体22から所定の距離を離して配置される。所定の距離は、1/4λaである。λaは、平面アンテナ110Aから放射する放射電波の波長λと誘電体20,620の波長短縮率kに基づいた実効波長である。
【0042】
放射素子610は、印刷の代わりに、蒸着、エッチング及び転写のいずれかにより、フィルム640a上に形成されてもよい。反射体630は、印刷の代わりに、蒸着、エッチング及び転写のいずれかにより、フィルム640b上に形成されてもよい。
【0043】
メッシュ形状は、パターン幅dのパターン611で構成されており、メッシュ間隔Dmを有する。パターン幅dが狭く、メッシュ間隔Dmが広いほど、平面アンテナ110Aの透明性が高くなる。平面アンテナ110Aの透明性が高いほど、RFIDゲート100を店舗等に設置した際に、RFIDゲート100の美観が向上する。しかしながら、パターン幅dは、製造上の都合で狭くできる限度がある。本実施形態では、パターン幅dは、0.1mmに形成されている。
【0044】
また、波長λの大きさに対して放射素子610のメッシュ間隔Dmを広げすぎると、放射素子610から電波が放射されなくなる。また、波長λの大きさに対して反射体630のメッシュ間隔Dmを広げすぎると、電波が反射体630から後方へ抜けてしまい、反射されなくなる。
【0045】
図6Aは、放射素子610及び反射体630を(i)ベタパターン、(ii)1mm間隔のメッシュパターン、(iii)2mm間隔のメッシュパターンにした場合における周波数に対するアンテナ利得を示す。メッシュパターンのパターン幅dはすべて0.1mmである。
【0046】
図6Aに示すように、周波数900~930MHzの範囲では、(i)が最もアンテナ利得が大きく、(iii)が最もアンテナ利得が小さい。
図6Bは、放射素子610を1mm間隔のメッシュパターンにし、反射体630を、(i)1mm間隔のメッシュパターン、(ii)2mm間隔のメッシュパターン、(iii)5mm間隔のメッシュパターンにした場合における周波数に対するアンテナ利得を示す。メッシュパターンのパターン幅dはすべて0.1mmである。
【0047】
図6Bに示すように、周波数900~930MHzの範囲では、(i)のアンテナ利得が最も大きく、(iii)のアンテナ利得が最も小さい。また、(i)と(ii)のアンテナ利得の差に比べて、(ii)と(iii)のアンテナ利得の差が大きい。(ii)のアンテナ利得は許容範囲内であるが、(iii)のアンテナ利得は許容範囲外となっている。よって、パターン幅dを0.1mmにした場合、平面アンテナ110Aの透明性とアンテナ性能とを両立するためには、メッシュ間隔Dmは2mm未満、特に1~2mmが望ましい。放射電波が伝搬する媒体である誘電体620の波長短縮率をkとして、メッシュ間隔Dmを波長λで表すと、メッシュ間隔Dmは、0.003λ×k~0.006λ×kが望ましい。
【0048】
また、発明者らは、反射体22、放射素子610及び反射体630の印刷に使用する導電性インクの導電率を変化させることで、平面アンテナ110Aの性能が変化するとの知見を得た。図7は、反射体630を一定にし、放射素子610を、(i)ベタパターン、(ii)高導電率インクで形成した1mm間隔のメッシュパターン、(iii)低伝導率インクで形成した1mm間隔のメッシュパターンにした場合における周波数に対するアンテナ利得を示す。
【0049】
導電性インクは、インクの媒体に導電性材料である導電体粉末を混和したもので、その材質、導電体が占める比率により導電率が変化する。例えば、高導電率は、体積抵抗率5×10-6Ω×cm、導電率2×10S/cmに相当し、低導電率は、体積抵抗率2×10-4Ω×cm、導電率5×10S/cmに相当する。図7に示すように、周波数900~930MHzの範囲では、(i)のアンテナ利得が最も大きく、(iii)のアンテナ利得が最も小さい。(ii)のアンテナ利得は、(iii)よりも少し大きい。すなわち、放射素子610及び反射体630の導電パターンをメッシュパターンにした場合に、ベタパターンにした場合よりも低下するアンテナ利得の低下分を、導電性材料の導電率を高くすることで、いくらか補っている。
【0050】
図8は、左側の平面アンテナ110Aに4つの電波吸収素子51を設置し、右側の平面アンテナ110Aから電波を放射した場合に、右側の平面アンテナ110Aで受信した電波の減衰量の測定結果を示す。図8に示すように、放射電波の帯域において、基準よりも減衰量が大きくなっており、電波吸収素子51が電波を吸収することを示している。
【0051】
<1-4.効果>
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)平面アンテナ110Aは、誘電体20の第1の面20aに放射部60と電波吸収素子51とが設けられている。すなわち、電波を放射する放射部60と不要な電波を吸収する電波吸収素子51とが一体化して、平面アンテナ110Aが構成されている。したがって、平面アンテナ110AをRFIDゲート100に適用した際に、反射の影響を低減しつつ、RFIDゲート100を小型化・薄型化することができる。ひいては、コストダウンを実現することができる。
【0052】
(2)予めフィルム21に放射部60及び電波吸収素子51を形成し、フィルム23に反射体22を形成することにより、平面アンテナ110Aの製造を簡易にすることができる。
【0053】
(3)信号合成回路70を介して複数の放射部60の各々の出力信号を合成することにより、受信電力を増大させることができる。
(4)誘電体20及び誘電体620を透明にし、反射体22、放射素子610及び反射体630の導電パターンをメッシュ形状にすることにより、平面アンテナ110Aの透明性を高めて、美観を向上させることができる。また、ゲートの外側からゲート内の状況を容易に確認できる。
【0054】
(5)誘電体20の第1の面20a上に、無給電素子又は抵抗被膜である電波吸収素子51を形成することにより、不要な電波を吸収及び低減することができる。
(6)メッシュ形状のパターン幅dを0.1mmとし、メッシュ間隔Dmを0.003λ×k~0.0006λ×kとすることにより、平面アンテナ110Aの透明性を高めつつ、アンテナ利得の低減を抑制することができる。
【0055】
(7)一対の平面アンテナ110Aのうちの一方とリーダライタ120とをフラットケーブル30で接続することにより、RFIDゲート100の間を車椅子で通過したり、ショッピングカートを引いて通過したりする場合に、車輪がケーブルに引っかかることを回避できる。また、通常の円筒形のケーブルを使用した場合と比べてケーブルによる段差を小さくできるのでスムーズに通過することができる。
【0056】
(2.第2実施形態)
<2-1.第1実施形態との相違点>
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0057】
前述した第1実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Aを備えた。これに対し、第2実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Bを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0058】
<2-2.アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Bの構成について、図9を参照して説明する。平面アンテナ110Bは、誘電体20と、反射体22と、1つ以上の放射素子61と、1つ以上の電波吸収素子51と、を備える。すなわち、本実施形態に係る平面アンテナ110Bは、フィルム21,23を備えておらず、且つ、1つ以上の放射部60の代わりに1つ以上の放射素子61を備えている点で、第1実施形態に係る平面アンテナ110Aと異なる。
【0059】
本実施形態に係る誘電体20は、耐熱性の優れたポリカーボネート部材である。
反射体22は、誘電体20の第2の面20bに直接、銀、銅などの導電性材料を用いて、印刷によりメッシュ形状の導体パターンとして形成されている。なお、反射体22は、誘電体20の第2の面20bに、印刷の代わりに、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかで形成されてもよい。
【0060】
複数の放射素子61は、誘電体20の第1の面20aに直接に、銀、銅などの導電性材料を用いて、印刷により形成されている。平面アンテナ110Bにおいて複数の放射素子61が設けられる位置は、平面アンテナ110Aにおいて複数の放射部60が設けられる位置と同じである。複数の放射素子61の各々は、第1実施形態に係る放射部60の放射素子610と同様に、導電性材料を用いてメッシュ形状の導体パターンに形成されている。複数の放射素子61の各々は、誘電体20と反射体22と共にパッチアンテナを構成している。
【0061】
すなわち、本実施形態では、誘電体20の第1の面20aに複数の放射素子61及び複数の電波吸収素子51が直接設けられ、第2の面20bに反射体22が直接設けられていることにより、フィルム21,23が削除されている。なお、複数の放射素子61は、誘電体20の第1の面20aに、印刷の代わりに、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかで形成されてもよい。
【0062】
<2-3.効果>
以上説明した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)、(3)~(7)と同様の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0063】
(8)平面アンテナ110Bは、平面アンテナ110Aと比べて、フィルム21,23を削減することができるとともに、より薄型化することができる。ひいては、平面アンテナ110Bは、平面アンテナ110Aよりもコストを低減することができる。
【0064】
(3.第3実施形態)
<3-1.第2実施形態との相違点>
第3実施形態は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第2実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0065】
前述した第2実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Bを備えた。これに対し、第3実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Cを備える点で、第2実施形態と相違する。
【0066】
<3-2.アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Cの構成について、図10を参照して説明する。平面アンテナ110Cは、平面アンテナ110Bの構成に加えて、更に追加の反射体230と、追加の誘電体220と、を備える。
【0067】
反射体230は、誘電体20の中央から1/4λb離れた位置に、透明の導電性材料を用いて形成されている。誘電体220は、ポリカーボネート、PET、アクリルなどの透明な板状の部材である。反射体230は、誘電体220の前面又は後面に粘着剤を介して貼り付けられている。λbは、波長λと誘電体20,220の波長短縮率kに基づいた実効波長である。反射体230を誘電体220の前面に設けた場合の波長λbは、反射体230を誘電体220の後面に設けた場合の波長λbと異なる。
【0068】
<3-3.効果>
以上説明した第3実施形態によれば、前述した第2実施形態の効果(1)、(3)~(8)と同様の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0069】
(9)追加の反射体230が設けられていることにより、誘電体20の第2の面20bから漏れたバッグローブが、反射体230により打ち消される。したがって、より多くの不要な電波を打ち消して低減することができる。ひいては、RFタグの誤読をより抑制することができる。
【0070】
(4.第4実施形態)
<4-1.第2実施形態との相違点>
第4実施形態は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第2実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0071】
前述した第2実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Bを備えた。これに対し、第4実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Dを備える点で、第2実施形態と異なる。
【0072】
<4-2.アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Dの構成について、図11を参照して説明する。平面アンテナ110Dは、平面アンテナ110Bの構成に加えて、フィルム21,23を備える。
【0073】
フィルム21は、誘電体20の第1の面20aに貼り付けられており、フィルム23は、誘電体20の第2の面20bに貼り付けられている。複数の放射素子61及び複数の電波吸収素子51は、フィルム21上に、印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより形成されている。反射体22は、フィルム23上に、印刷、蒸着、エッチング、及び転写のいずれかにより形成されている。
【0074】
<4-3.効果>
以上説明した第4実施形態によれば、前述した第2実施形態の効果(1)、(3)~(8)と同様の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0075】
(10)複数の放射素子61及び複数の電波吸収素子51を設けたフィルム21と、反射体22を設けたフィルム23を、誘電体20に貼り付けることで、平面アンテナ110Dを製造することができる。すなわち、簡易に平面アンテナ110Dを製造することができる。
【0076】
(5.第5実施形態)
<5-1.第1実施形態との相違点>
第5実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0077】
前述した第1実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Aを備えた。これに対し、第5実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Eを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0078】
<5-2.平面アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Eの構成について、図12を参照して説明する。平面アンテナ110Eは、誘電体20と、フィルム21,23と、反射体22と、複数の電波吸収素子51と、複数の放射部60と、第1の保護層24と、第2の保護層25と、を備える。
【0079】
誘電体20と、フィルム21,23と、反射体22は、平面アンテナ110Aと同様に構成されている。複数の電波吸収素子51は、平面アンテナ110Aにおける複数の電波吸収素子51の位置と複数の放射部60の位置に設けられている。すなわち、平面アンテナ110Eでは、フィルム21上に直接形成されているのは複数の電波吸収素子51のみであり、複数の放射部60は、フィルム21上に直接形成されていない。
【0080】
第1の保護層24は、フィルム21上に、複数の電波吸収素子51を覆うように形成されている。第2の保護層25は、反射体22を覆うように形成されている。第1の保護層24及び第2の保護層25は、ポリカーボネート、PET、アクリルなどの透明な部材である。
【0081】
放射部60は、平面アンテナ110Aの放射部60と基本的な構成は同じであるが、平面アンテナ110Aの放射部60のフィルム640aの代わりに、第3の保護層64を備え、さらに、追加で第4の保護層65を備える。
【0082】
第3の保護層64は、誘電体620の第1の面に形成され、放射素子61を内蔵している。第4の保護層65は、反射体630を覆うように形成されている。第3の保護層64及び第4の保護層65は、ポリカーボネート、PET、アクリルなどの透明な部材である。
【0083】
第4の保護層65は、粘着剤を介して、第1の保護層24の前面に貼り付けられている。すなわち、複数の放射部60は、第1の保護層24の前面に設けられる。具体的には、複数の放射部60は、平面アンテナ110Aにおいて複数の放射部60が設けられていた位置に設けられている。
【0084】
<5-3.効果>
以上説明した第5実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(7)と同様の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0085】
(11)複数の放射素子61、複数の電波吸収素子51、及び反射体22,630を保護層で覆うことにより、平面アンテナ110Eの耐久性を高めることができる。
【0086】
(6.第6実施形態)
<6-1.第1実施形態との相違点>
第6実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0087】
前述した第1実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Aを備えた。これに対し、第6実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Fを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0088】
<6-2.アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Fの構成について、図13を参照して説明する。平面アンテナ110Fは、平面アンテナ110Aの構成に加えて、複数の反射部80を備える。複数の反射部80の各々は、放射部60の上端に接するように設けられており、フィルム21から誘電体20に垂直な方向に延伸している。
【0089】
反射部80は、透明な板状の誘電体82と、誘電体82の一方の面に透明な導電性材料で形成された反射体81とを備える。反射部80は、反射体81が放射部60の上端に接するように配置されている。
【0090】
以上説明した第6実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(7)と同様の効果を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
(12)放射部60の上端に反射部80が設けられていることにより、平面アンテナ110Fから放射された電波が上方へ広がることを抑制できる。ひいては、上方に存在する読み取り対象ではないRFタグの不要な読み取りを抑制することができる。
【0091】
(7.第7実施形態)
<7-1.第1実施形態との相違点>
第7実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0092】
前述した第1実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Aを備えた。これに対し、第7実施形態に係るRFIDゲート100は、平面アンテナ110Gを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0093】
<7-2.アンテナの構成>
次に、平面アンテナ110Gの構成について、図14を参照して説明する。平面アンテナ110Gは、平面アンテナ110Aの構成に加えて、追加の反射体230と、追加の誘電体220と、を備える。すなわち、平面アンテナ110Gは、平面アンテナ110Aの構成に加えて、平面アンテナ110Cの反射体230及び誘電体220を備える。
【0094】
以上説明した第7実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(7)と同様の効果を奏し、さらに、第3実施形態の効果(9)と同様の効果を奏する。
【0095】
(6.他の実施形態)
(a)上記各実施形態では平面アンテナと記載しているが、例えばマイクロストリップアンテナ、パッチアンテナ、パターンアンテナなども含む。
【0096】
(b)第6実施形態では、反射部80を、放射部60の上端に設けたが、放射部60の端部であれば、上端以外に設けてもよい。例えば、放射部60の左側に読み取り対象外のRFタグが置かれる状況の場合には、反射部80を放射部60の左端部に設けて、放射部60の左側へ電波が漏れることを抑制してもよい。
【0097】
(c)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0098】
20,220,620…誘電体、21,23,640a,640b…フィルム、22,230,630…反射体、30…フラットケーブル、31…信号ライン、32…上側グランド、33…下側グランド、34…上側誘電体、35…下側誘電体、36…接着剤、51…電波吸収素子、60…放射部、61,610…放射素子、70…信号合成回路、75…配線、100…RFIDゲート、110A,110B,110C,110D,110E,110F,110G…平面アンテナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14