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特開2024-47993X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047993
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/041 20180101AFI20240401BHJP
【FI】
G01N23/041
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153803
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】前田 祐人
(72)【発明者】
【氏名】小島 佳奈
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA14
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
(57)【要約】
【課題】本撮影前に、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像であるか否かを判断することが可能なX線位相イメージング装置を提供する。
【解決手段】このX線位相イメージング装置100は、X線を照射するX線源1と、X線源1から照射されたX線を検出する検出器4と、X線源1と検出器4との間に配置された複数の格子と、本撮影である第2位相コントラスト画像24の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を生成する画像処理部5と、画像処理部5によって生成された第1位相コントラスト画像20を、表示部10に表示させる制御部6と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記X線源と前記検出器との間に配置された複数の格子と、
本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、前記X線源および前記検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させる制御部と、を備える、X線位相イメージング装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記X線源からX線が照射された前記被写体がリアルタイム表示されたリアルタイム表示画像と、前記2種類以上の前記第1位相コントラスト画像と、を前記表示部の同一画面に表示させる、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記リアルタイム表示画像の表示領域と隣接する領域に、前記2種類以上の前記第1位相コントラスト画像をサムネイル表示させる、請求項2に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項4】
X線の光軸方向と直交する面内において、前記複数の格子をそれぞれ回動させる格子回動機構をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の格子の角度情報を前記表示部にさらに表示させる、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項5】
前記2種類以上の前記第1位相コントラスト像には前記暗視野像が含まれ、
前記制御部は、前記格子回動機構により回動された前記複数の格子の前記角度情報を前記表示部に表示させる、請求項4に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項6】
前記プレビュー画像の撮影条件は、前記本撮影の撮影条件よりも照射時間が短いように設定されているか、または、前記本撮影の撮影条件よりも積算回数が少ないように設定されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記本撮影の撮影条件に基づく、前記第1位相コントラスト画像を参照してユーザにより選択された種類の前記第2位相コントラスト画像を生成する、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項8】
前記制御部は、サムネイル表示させた前記第1位相コントラスト画像のうち、選択された1つの前記第1位相コントラスト画像をサムネイル表示よりも拡大して表示させる、請求項3に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項9】
本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成するステップと、
生成された前記第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させるステップとを備える、X線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源と、検出器と、複数の格子と、画像処理部とを備えるX線位相イメージング装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、X線源と、検出器と、複数の格子と、コントローラ(画像処理部)とを備えるタルボ撮影装置(X線位相イメージング装置)が開示されている。また、上記特許文献1には、コントローラは、吸収像、微分位相像および暗視野像を生成するように構成されていることが開示されている。また、上記特許文献1には、撮影の前に、タルボ撮影装置の被写体台上での被写体のポジショニングを確認するために、被写体が被写体台に固定された状態でX線源から低線量のX線が照射されるプレ撮影が行われることが開示されている。そして、コントローラは、被写体の撮影部位の状態を種々変化させて複数回プレ撮影したX線画像に基づいて再構成画像等の画像を生成し、表示部に生成した各画像を表示することが開示されている。また、上記特許文献1には、プレ撮影で得られた再構成画像と過去の画像とを比較することにより、被写体の撮影部位の状態を過去の画像と同じ状態で撮影することができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6260615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には開示されていないが、プレ撮影後に被写体を本撮影し、吸収像、微分位相像および暗視野像などの位相コントラスト画像を生成したとしても、生成された位相コントラスト画像を確認した結果、被写体が適切に写る画像および被写体に応じた適切な画像種類が取得できていない場合がある。この場合、被写体を再度撮影し、撮影した画像に基づいて位相コントラスト画像を再度生成することになるため、ユーザの負担が大きい。上記特許文献1には、プレ撮影したX線画像に基づく再構成画像の種類および種類数について明記されていない。そのため、上記特許文献1のタルボ撮影装置(X線位相イメージング装置)では、プレ撮影に基づいて、本撮影において、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像を取得できるか否かを判断できない可能性がある。したがって、本撮影前に、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像であるか否かを判断することができることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、本撮影前に、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像であるか否かを判断することが可能なX線位相イメージング装置およびX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面におけるX線位相イメージング装置は、被写体にX線を照射するX線源と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、X線源と検出器との間に配置された複数の格子と、本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、画像処理部によって生成された第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面におけるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法は、本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成するステップと、生成された第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線位相イメージング装置は、上記のように、画像処理部は、本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源およびX線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成し、制御部は、画像処理部によって生成された第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させる。これにより、ユーザは、本撮影前に、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を視認することができる。そのため、本撮影前に、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像であるか否かを判断することができる。
【0010】
上記第2の局面におけるX線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法は、上記のように、本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成するステップと、生成された第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させるステップとを備える。これにより、ユーザは、本撮影前に、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を視認することができる。そのため、本撮影前に、被写体に応じた適切な種類の位相コントラスト画像および被写体が適切に写る位相コントラスト画像であるか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるX線位相イメージング装置の全体構成を示した模式図である。
図2】表示部の一例を示す模式図である。
図3】拡大表示された第1位相コントラスト画像の一例を示す模式図である。
図4】格子回動機構の一例を示す模式図である。
図5】格子移動機構の一例を示す模式図である。
図6】格子の並進移動を説明するための説明図である。
図7】本撮影による第2位相コントラスト画像の一例を示す模式図である。
図8】本撮影によるCT画像の一例を示す模式図である。
図9】第1位相コントラスト画像の生成処理、表示処理、および、第2位相コントラスト画像の生成処理を説明するためのフロー図である。
図10】変形例による格子を複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具現化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(X線位相イメージング装置の全体構成)
図1図3を参照して、一実施形態によるX線位相イメージング装置100の全体構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、タルボ(Talbot)効果を利用して、被写体90の内部を画像化する装置である。
【0015】
図1は、X線位相イメージング装置100をX方向から見た図である。図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、X線源1と、検出器4と、第1格子2および第2格子3を含む複数の格子と、画像処理部5と、制御部6と、格子回動機構7と、格子移動機構8と、格子位置調整機構9と、被写体載置部15と、回転機構16と、表示部10と、記憶部14とを備えている。なお、本明細書において、X線源1から第1格子2に向かう方向をZ2方向、その逆方向の方向をZ1方向とする。また、Z方向と直交する面内の左右方向をX方向とし、図1の紙面の奥に向かう方向をX2方向、図1の紙面の手前側に向かう方向をX1方向とする。また、Z方向と直交する面内の上下方向をY方向とし、上方向をY1方向、下方向をY2方向とする。また、Z方向は、特許請求の範囲の「X線の光軸方向」の一例である。なお、制御部6、表示部10および記憶部14の各々の位置関係は、図1の位置関係に限定されない。
【0016】
X線源1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させる。X線源1は、発生させたX線をZ2方向に向けて照射するように構成されている。
【0017】
第1格子2は、複数のスリット2aおよびX線位相変化部2bを有している。各スリット2aおよびX線位相変化部2bは、Y方向に所定の周期(ピッチ)d1で配列されている。各スリット2aおよびX線位相変化部2bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各スリット2aおよびX線位相変化部2bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第1格子2は、いわゆる位相格子である。
【0018】
第1格子2は、X線源1と、第2格子3との間に配置されており、X線源1からX線が照射される。第1格子2は、タルボ効果により、第1格子2の自己像92(図6参照)を形成するために設けられている。可干渉性を有するX線が、スリット2aが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像92)が形成される。これをタルボ効果という。
【0019】
第2格子3は、複数のX線透過部3aおよびX線吸収部3bを有する。各X線透過部3aおよびX線吸収部3bは、Y方向に所定の周期(ピッチ)d2で配列されている。各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第2格子3は、いわゆる、吸収格子である。第1格子2、第2格子3はそれぞれ異なる役割を持つ格子であるが、スリット2aおよびX線透過部3aはそれぞれX線を透過させる。また、X線吸収部3bはX線を遮蔽する。また、X線位相変化部2bはスリット2aとの屈折率の違いによってX線の位相を変化させる。
【0020】
第2格子3は、第1格子2と検出器4との間に配置されており、第1格子2を通過したX線が照射される。また、第2格子3は、第1格子2から所定のタルボ距離だけ離れた位置に配置される。第2格子3は、第1格子2の自己像92と干渉して、検出器4の検出表面上にモアレ縞91(図2参照)を形成する。
【0021】
検出器4は、X線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。検出器4は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。検出器4は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、X方向およびY方向にアレイ状に配列されている。また、検出器4は、取得した画像信号を、画像処理部5に出力するように構成されている。
【0022】
画像処理部5は、本撮影である第2位相コントラスト画像24の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、第1位相コントラスト画像20(図2参照)を生成しうるように構成されている。第1位相コントラスト画像20は、吸収像21(図2参照)、微分位相像22(図2参照)および暗視野像23(図2参照)を含む。なお、吸収像21(図2参照)、微分位相像22(図2参照)および暗視野像23(図2参照)の各々が異なる画像であることを示すために、互いに異なるハッチングを付している。また、プレビュー画像の撮影条件については、後述する。
【0023】
また、画像処理部5は、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、本撮影の撮影条件に基づく第2位相コントラスト画像24(図7参照)を生成するように構成されている。第2位相コントラスト画像24(図7参照)には、吸収像25(図7参照)、微分位相像26(図7参照)および暗視野像27(図7参照)が含まれる。画像処理部5は、吸収像25、微分位相像26および暗視野像27の3種類の画像のうち、第1位相コントラスト画像20を参照してユーザにより選択された種類の第2位相コントラスト画像24を生成するように構成されている。なお、吸収像21(図2参照)、微分位相像22(図2参照)および暗視野像23(図2参照)の各々が異なる画像であることを示すために、互いに異なるハッチングを付している。また、本撮影の撮影条件については、後述する。
【0024】
また、画像処理部5は、被写体90と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させながら撮像されて生成された複数の第2位相コントラスト画像24から、3次元のCT(Computed Tomography)画像40(図8参照)を生成するように構成されている。3次元のCT画像40には、吸収像のCT画像41(図8参照)、微分位相像のCT画像42(図8参照)および暗視野像のCT画像43(図8参照)が含まれる。画像処理部5は、吸収像のCT画像41、微分位相像のCT画像42および暗視野像のCT画像43の3種類のCT画像40のうち、第1位相コントラスト画像20を参照してユーザにより選択された1以上の種類のCT画像40を生成するように構成されている。なお、吸収像のCT画像41(図8参照)、微分位相像のCT画像42(図8参照)および暗視野像のCT画像43(図8参照)の各々が異なる画像であることを示すために、互いに異なるハッチングを付している。
【0025】
ここで、吸収像とは、X線が被写体90を通過した際に生じるX線の減衰に基づいて位相処理を行い画像化した像である。また、微分位相像とは、X線が被写体90を通過した際に発生するX線の位相のずれをもとに位相処理を行い画像化した像である。また、暗視野像とは、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化に基づいて位相処理を行って得られる、Visibility像のことである。暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、自己像92の鮮明度のことである。
【0026】
また、画像処理部5は、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、リアルタイム表示画像28を生成するように構成されている。リアルタイム表示画像28は、X線源1からX線が照射された被写体90の時間的に連続するX線画像が順次更新されることによって得られる動画像である。また、リアルタイム表示画像28は、X線源1からX線が照射された被写体90のX線画像のコマ送りの静止画像であっても良い。リアルタイム表示画像28は、位相処理が行われていないX線画像により構成されている。そのため、リアルタイム表示画像28には、モアレ縞91(図2参照)が表示されている。
【0027】
画像処理部5は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)や画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。
【0028】
図2に示すように、表示部10は、同一画面上に、リアルタイム表示画像28を表示する第1領域11と、3種類の第1位相コントラスト画像20を表示する第2領域12と、複数の格子の格子角度情報30を表示する第3領域13とを含む。表示部10は、たとえば、液晶モニタを含む。表示部10の詳細は、後述する。
【0029】
図1に示すように、制御部6は、格子回動機構7を介して、格子を回動させることにより、格子の被写体90に対する向き(格子角度)を変更するように構成されている。また、制御部6は、格子移動機構8を介して、第1格子2を格子面内において縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。また、制御部6は、回転機構16を介して、被写体90を回転軸95周りに回転させることにより、被写体90と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させるように構成されている。
【0030】
また、図2に示すように、制御部6は、リアルタイム表示画像28と、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20と、格子角度情報30とを、表示部10に表示させるように構成されている。制御部6は、検出器4から出力された同一の画像信号に基づいて生成された、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を、表示部10に表示させるように構成されている。
【0031】
また、制御部6は、リアルタイム表示画像28が表示された第1領域11と隣接する第2領域12に、第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示させるように構成されている。また、図3に示すように、制御部6は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、ユーザにより選択された1つの第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示よりも拡大して表示させるように構成されている。制御部6は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。
【0032】
図1に示すように、格子回動機構7は、制御部6からの信号に基づいて、X線の光軸方向と直交する面内において、第1格子2および第2格子3を回動させるように構成されている。具体的には、格子回動機構7は、第1格子2および第2格子3にそれぞれ設けられている。格子回動機構7は、格子を回動させることにより、格子の被写体90に対する向きを変更するように構成されている。格子回動機構7が格子を回動させる詳細な構成については後述する。
【0033】
格子移動機構8は、制御部6からの信号に基づいて、第1格子2を縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。縦方向とは、X線の光軸方向(Z方向)と直交する水平方向(X方向)を基準とした場合、格子を配置する向きが略90度のことである。また、横方向とは、X線の光軸方向(Z方向)と直交する水平方向(X方向)を基準とした場合、格子を配置する向きが略0度のことである。格子移動機構8が格子を移動させる詳細な構成については後述する。また、格子移動機構8は、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7を保持している。
【0034】
格子位置調整機構9は、制御部6からの信号に基づいて、第1格子2の複数の格子間における相対位置を調整するように構成されている。格子位置調整機構9による複数の格子の格子間における相対位置を調整する詳細な構成については後述する。
【0035】
被写体載置部15は、X線源1と検出器4との間に配置され、被写体90を載置するように構成されている。被写体90は、被写体90を保持するための保持具(図示せず)などを介して被写体載置部15に載置されることがある。
【0036】
回転機構16は、制御部6からの信号に基づいて、被写体載置部15と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させるように構成されている。回転機構16は、被写体載置部15を回転軸95周りに回転させることにより、被写体載置部15と、X線源1、検出器4および複数の格子とを相対回転させるように構成されている。回転機構16は、たとえば、被写体載置部15を回転可能な機構であり、モータなどを含む。
【0037】
記憶部14は、制御部6が実行するプログラム、画像処理部5が生成した第1位相コントラスト画像20、第2位相コントラスト画像24およびCT画像40、本撮影の撮影条件およびプレビュー画像の撮影条件、格子角度情報30などが記憶される。記憶部14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)または不揮発性のメモリなどを含む。
【0038】
(格子回動機構、格子移動機構および格子位置調整機構)
図4図5を参照して、格子回動機構7、格子移動機構8および格子位置調整機構9の構成について説明する。
【0039】
図4に示すように、格子回動機構7は、格子を保持する格子保持部70と、格子保持部70を回動させる回動部71と、筐体72とを含む。格子保持部70は、筐体72内において、回動可能に支持されている。また、格子保持部70は、第1格子2および第2格子3の各々と接触した状態で第1格子2および第2格子3の各々を内部に保持するように構成されている。また、格子保持部70は、円盤状に形成されている。また、格子保持部70は、外周面が歯車状に形成されている。
【0040】
回動部71は、駆動部(図示せず)と回転部71aとを含む。駆動部は、モータ、エンコーダーなどを含む。回転部71aは、円盤状に形成されている。また、回転部71aは、外周面が歯車状に形成されている。また、回転部71aは、駆動部によって回転されるように構成されている。格子回動機構7によって各格子が回動された角度が格子角度情報30として表示部10の第3領域13に表示される。なお、図4においては、第1格子2を回動させる格子回動機構7を図示しているが、第2格子3を回動させる格子回動機構7も、第1格子2を回動させる格子回動機構7と同様の構成である。
【0041】
図5に示すように、格子移動機構8は、光軸方向(Z方向)に直交する面内(XY面内)において、格子を縦方向(Y方向)または横方向(X方向)に移動可能に構成されている。具体的には、図5に示すように、格子移動機構8は、X方向直動機構80と、Y方向直動機構81とを含む。X方向直動機構80は、X方向に並進移動可能に構成されている。X方向直動機構80は、たとえば、ステッピングモータなどを含む。Y方向直動機構81は、Y方向に並進移動可能に構成されている。Y方向直動機構81は、たとえば、ステッピングモータなどを含む。格子移動機構8は、X方向直動機構80の動作により、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7をX方向に並進させるように構成されている。また、格子移動機構8は、Y方向直動機構81の動作により、格子位置調整機構9を介して格子回動機構7をY方向に並進させるように構成されている。すなわち、格子移動機構8は、格子回動機構7とともに、第1格子2を移動させるように構成されている。
【0042】
また、図5に示すように、格子位置調整機構9は、格子移動機構8上に保持されている。格子位置調整機構9は、ステージ支持部96と、駆動部97と、ステージ98とを含む。ステージ支持部96は、ステージ98を下方(Y1方向)から支持している。駆動部97は、ステージ支持部96をX方向に往復移動させるように構成されている。ステージ98は、底部がステージ支持部96に向けて凸曲面状に形成されており、X方向に往復移動されることにより、Z方向の中心軸線周りに回動するように構成されている。各格子を大きく回動させることにより各格子の向きを変更する格子回動機構7とは異なり、格子位置調整機構9は、格子のXY面内における微細な角度のずれを調整する機構である。
【0043】
(格子の並進移動)
図6を参照して、制御部6が、格子移動機構8により格子を並進移動させる処理について説明する。本実施形態では、画像処理部5は、縞走査法により、第1位相コントラスト画像20および第2位相コントラスト画像24を生成する。縞走査法とは、格子の1周期分以上、格子を並進移動させながら撮像することによって、検出されるX線の検出信号曲線(ステップカーブ)に基づいて画像を生成する手法である。本実施形態では、格子移動機構8は、第1格子2を第2格子3の1周期(d2)分以上並進移動させるように構成されている。図6に示す例は、格子が横向き(X方向)に配置されている場合の格子の並進移動を示した模式図である。格子が横向き(X方向)に配置されている場合、制御部6は、格子位置調整機構9を介して第1格子2をY2方向に並進移動させる。
【0044】
(表示部の構成)
図2を参照して、表示部10の詳細について説明する。表示部10には、リアルタイム表示画像28を表示する第1領域11と、3種類の第1位相コントラスト画像20を表示する第2領域12と、複数の格子の格子角度情報30を表示する第3領域13とが含まれる。
【0045】
第1領域11は、設定された格子角度に基づいて撮影されたリアルタイム表示画像28を表示するための領域である。
【0046】
第2領域12は、プレビュー画像として生成された3種類の第1位相コントラスト画像20を表示するための領域である。一例として、第2領域12は、表示部10において、第1領域11よりも左側に配置されている。第2領域12では、生成された第1位相コントラスト画像20における吸収像21が表示される領域と、微分位相像22が表示される領域と、暗視野像23が表示される領域とが、表示部10の上部から下部に向かって順に配置されている。なお、プレビュー画像としての3種類の第1位相コントラスト画像20が生成される前は、第2領域12には第1位相コントラスト画像20は表示されていない。
【0047】
制御部6(図1参照)は、3種類の第1位相コントラスト画像20の各々を、サムネイルにより表示部10に表示させている。サムネイルによる表示とは、第1位相コントラスト画像20の各々の視認性を高めるために第1位相コントラスト画像20を縮小して表示させることを意味する。制御部6は、画像処理部5により生成された3種類の第1位相コントラスト画像20の各々のサイズをサムネイル表示に適した、予め設定されたサイズに調整するように構成されている。制御部6は、調整した3種類の第1位相コントラスト画像20の各々を第2領域12に埋め込むことにより表示させるように構成されている。
【0048】
また、図3に示すように、制御部6(図1参照)は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、選択された1つの第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示よりも拡大して表示させるように構成されている。たとえば、制御部6は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、クリック操作された第1位相コントラスト画像20に対応する縮小される前の第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示よりも拡大してポップアップ表示させるように構成されている。図3では、一例として、ユーザにより選択された暗視野像23が、ポップアップ表示画像29の形態でポップアップ表示されている。ポップアップ表示させる場合、たとえば、制御部6は、クリック操作された第1位相コントラスト画像20を第2領域12に重ならないようにポップアップ表示させるように構成されていても良い。
【0049】
第3領域13は、ユーザにより設定された複数の格子の格子角度情報30を表示するための領域である。格子角度情報30は、プルダウン形式により予め設定された複数の格子角度のうちから所望の格子角度をユーザにより選択可能なように構成されている。なお、格子角度情報30は、プルダウン形式による選択ではなく、ユーザによる所望の格子角度の数値を入力可能なように構成されていても良い。
【0050】
また、表示部10は、プレビュー画像の撮影を開始するための第1開始ボタン31と、本撮影を開始するための第2開始ボタン32と、本撮影において生成する第2位相コントラスト画像24の種類、または、第2位相コントラスト画像24から生成されるCT画像40の種類を選択するためのチェックボックス33と、を含む。第1開始ボタン31、第2開始ボタン32およびチェックボックス33は、GUI(Graphical User Interface)として表示部10に表示されている。
【0051】
第1開始ボタン31は、ユーザにより、キーボードおよびマウスなどを含む入力装置(図示しない)によってクリック操作されることにより、プレビュー画像としての第1位相コントラスト画像20の撮影を開始するためのボタン画像である。画像処理部5(図1参照)は、第1開始ボタン31のクリック操作による入力信号に基づいて、第1位相コントラスト画像20を生成する。本実施形態において、第1開始ボタン31は、第2領域12の下部に配置されている。しかしながら、第1開始ボタン31の位置は特に限定されない。
【0052】
第2開始ボタン32は、ユーザによりクリック操作されることにより、本撮影としての第2位相コントラスト画像24の撮影を開始するためのボタン画像である。画像処理部5(図1参照)は、第2開始ボタン32のクリック操作による入力信号に基づいて、第2位相コントラスト画像24を生成する。本実施形態において、第2開始ボタン32は、表示部10の右端側の下部に配置されている。しかしながら、第2開始ボタン32の位置は特に限定されない。
【0053】
チェックボックス33は、ユーザによるチェック操作により、本撮影において生成する第2位相コントラスト画像24の種類、または、第2位相コントラスト画像24から生成されるCT画像40の種類を選択するために設けられている。ユーザは、生成される第2位相コントラスト画像24として、吸収像25、微分位相像26および暗視野像27の中から1つ以上の画像を選択することができる。また、ユーザは、生成される第2位相コントラスト画像24に基づくCT画像40として、吸収像のCT画像41、微分位相像のCT画像42および暗視野像のCT画像43の中から1つ以上の画像を選択することができる。
【0054】
また、表示部10は、2次元の第2位相コントラスト画像24を撮影するため情報を含む画面を表示させる第1タブ34と、CT画像40を撮影するため情報を含む画面を表示させる第2タブ35と、を含む。第1タブ34と第2タブ35とを切り替えることにより、表示部10において、2次元の第2位相コントラスト画像24を撮影するための画面とCT画像40を撮影するための画面とのいずれか一方が表示可能なように構成されている。図2では、説明の便宜上、2次元の第2位相コントラスト画像24を撮影するため情報を含む画面を図示している。第1タブ34および第2タブ35は、GUI(Graphical User Interface)として表示部10に表示されている。
【0055】
(プレビュー画像としての第1位相コントラスト画像)
図2を参照して、プレビュー画像としての第1位相コントラスト画像20を説明する。
【0056】
画像処理部5(図1参照)は、第2位相コントラスト画像を生成する本撮影前に、プレビュー画像としての第1位相コントラスト画像20を生成する。画像処理部5は、ユーザによる表示部10の第1開始ボタン31のクリック操作の入力信号に基づいて、第1位相コントラスト画像20を生成する。画像処理部5は、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を生成する。画像処理部5は、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、本撮影の撮影条件よりも簡易な撮影条件に基づく第1位相コントラスト画像20を生成する。
【0057】
プレビュー画像の撮影の撮影条件は、本撮影の撮影条件よりも簡易な撮影条件が予め設定されている。一例として、プレビュー画像の撮影では、本撮影の撮影よりもX線照射時間(露光時間)が短いように設定されている。具体的には、一例として、プレビュー画像の撮影では、1枚のX線画像を撮像するためのX線照射時間(露光時間)は、250msecに設定されている。一例として、通常の本撮影では、1枚のX線画像を撮像するためのX線照射時間(露光時間)は、500msecに設定されている。
【0058】
また、一例として、プレビュー画像の撮影では、本撮影の撮影よりも積算回数が少ないように設定されている。具体的には、一例として、プレビュー画像の撮影では、積算回数は1回である。一例として、通常の本撮影では、積算回数は2回以上である。ここで、積算回数とは、ノイズ低減のために重ね合わされる、格子の位置が同一の位置におけるX線画像の枚数のことである。
【0059】
縞走査法では、格子の1周期分以上、格子を並進移動させながら、格子の位置が異なる位置における複数枚のX線画像を撮像し、異なる位置における複数枚のX線画像を生成する。このとき、位置が異なる複数枚のX線画像の各々について、ノイズ低減のために格子の位置が同一の位置におけるX線画像を撮像して重ね合わせる場合がある。すなわち、プレビュー画像の撮影では、同一位置におけるX線画像の重ね合わせ合計枚数は1枚であるのに対して、通常の本撮影では、同一位置におけるX線画像の重ね合わせ合計枚数は2枚以上である。
【0060】
また、一例として、所定のタイミングで被写体なし画像(リファレンス画像。図示しない)を取得する本撮影の撮影とは異なり、プレビュー画像の撮影では、既に別の撮影で取得したリファレンス画像を再使用する。ここで、リファレンス画像とは、たとえば、被写体90の撮像前に、被写体90を被写体載置部に載置せずに撮像した画像のことである。画像処理部5は、被写体ありと被写体なしの各平均値像の比に基づいて位相処理を行い、吸収像21を生成する。画像処理部5は、被写体ありと被写体なしの位相像の差分に基づいて位相処理を行い、微分位相像22を生成する。画像処理部5は、被写体ありと被写体なしのビジビリティ像の比に基づいて位相処理を行い、暗視野像23を生成する。なお、プレビュー画像の撮影において、既に別の撮影で取得したリファレンス画像がない場合には、画像処理部5は、リファレンス画像を生成するように構成されている。
【0061】
一例として、画像処理部5(図1参照)は、プレビュー画像の撮影実行時の管電圧および格子の格子角度と一致する、最も直近に取得したリファレンス画像を用いて、第1位相コントラスト画像20を生成する。たとえば、管電圧:40kV、管電流:450μA、格子角度0度、という撮影条件でプレビュー画像の撮影を行う場合において、既に別の撮影で取得した下記のリファレンス画像A~Cを取得しているとする。
・リファレンス画像A;管電圧:50kV、管電流:800μA、格子角度0度、1時間前に取得
・リファレンス画像B;管電圧:40kV、管電流:800μA、格子角度9度、2時間前に取得
・リファレンス画像C;管電圧:40kV、管電流:800μA、格子角度0度、3時間前に取得
この場合、画像処理部5は、プレビュー画像の撮影実行時の管電圧および格子の格子角度と一致するリファレンス画像Cを用いて、第1位相コントラスト画像20を生成する。
【0062】
これらにより、画像処理部5(図1参照)は、本撮影よりも短時間で、プレビュー画像としての吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を生成することができる。また、制御部6(図1参照)は、短時間で生成されたプレビュー画像としての吸収像21、微分位相像および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を、表示部10の第2領域12にサムネイル表示させることができる。
【0063】
(第2位相コントラスト画像)
図7を参照して、本撮影による第2位相コントラスト画像24を説明する。
【0064】
画像処理部5(図1参照)は、本撮影の撮影条件に基づく第2位相コントラスト画像24を生成する。画像処理部5は、ユーザによる表示部10の第2開始ボタン32のクリック操作の入力信号に基づいて、第2位相コントラスト画像24を生成する。画像処理部5は、ユーザによる表示部10のチェックボックス33のチェック操作による入力信号に基づいて、吸収像25、微分位相像26および暗視野像27の中から選択された1以上の第2位相コントラスト画像24を生成する。
【0065】
画像処理部5(図1参照)は、上述した本撮影の撮影条件に基づいて、第2位相コントラスト画像24を生成する。また、画像処理部5は、表示部10において設定された、管電圧、管電流および格子の格子角度などの撮影条件の情報に基づいて、第2位相コントラスト画像24を生成する。また、画像処理部5は、所定のタイミングでリファレンス画像を生成する。
【0066】
(CT画像)
図8を参照して、本撮影によるCT画像40を説明する。
【0067】
画像処理部5(図1参照)は、本撮影の撮影条件に基づく第2位相コントラスト画像24を生成する。画像処理部5は、ユーザによる表示部10の第2開始ボタン32のクリック操作の入力信号に基づいて、第2位相コントラスト画像24を生成する。画像処理部5は、ユーザによる表示部10のチェックボックス33のチェック操作による入力信号に基づいて、吸収像25、微分位相像26および暗視野像27の中から選択された1以上の第2位相コントラスト画像24を生成する。
【0068】
画像処理部5は、生成された第2位相コントラスト画像24からCT画像40を生成する。画像処理部5は、吸収像のCT画像41、微分位相像のCT画像42および暗視野像のCT画像42の中から選択された1以上のCT画像40を生成する。
【0069】
(第1位相コントラスト画像の生成処理、表示処理、および、第2位相コントラスト画像またはCT画像の生成処理)
図9を参照して、本実施形態による、画像処理部5による第1位相コントラスト画像20、第2位相コントラスト画像24およびCT画像40の生成処理、および、制御部6による表示処理を説明する。
【0070】
ステップS1において、画像処理部5は、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、リアルタイム表示画像28を順次更新される動画像として生成する。制御部6は、画像処理部5により生成されたリアルタイム表示画像28を、表示部10の第1領域11に表示させる。その後、処理はステップS2に進む。
【0071】
ステップS2において、画像処理部5は、第1開始ボタン31が操作されたか否かを判定する。画像処理部5は第1開始ボタン31が操作されたと判定した場合(ステップS2においてYes)、処理はステップS3に進み、画像処理部5は第1開始ボタン31が操作されていないと判定した場合(ステップS2においてNo)、処理はステップ7に進む。
【0072】
ステップS3において、制御部6は、記憶部14に記憶されたプレビュー画像の撮影の撮影条件および表示部10において設定された格子角度情報30に基づいて、被写体90を撮像する。その後、処理はステップS4に進む。
【0073】
ステップS4において、画像処理部5は、プレビュー画像としての吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を生成する。その後、処理はステップS5に進む。
【0074】
ステップS5において、制御部6は、画像処理部5により生成された、吸収像21、微分位相像および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を表示部10の第2領域12にサムネイル表示させる。その後、処理はステップS6に進む。
【0075】
ステップS6において、画像処理部5は、第1開始ボタン31が操作されたか否かを判定する。画像処理部5は第1開始ボタン31が操作されたと判定した場合(ステップS6においてYes)、処理はステップS3に進み、画像処理部5は第2開始ボタン32が操作されていないと判定した場合(ステップS6においてNo)、処理はステップ7に進む。
【0076】
ステップS7において、画像処理部5は、第2開始ボタン32が操作されたか否かを判定する。画像処理部5は第2開始ボタン32が操作されたと判定した場合(ステップS7においてYes)、処理はステップS8に進み、画像処理部5は第2開始ボタン32が操作されていないと判定した場合(ステップS7においてNo)、処理はステップS10に進む。
【0077】
ステップS8において、制御部6は、リファレンス画像を撮像するとともに、本撮影の撮影条件および表示部10において設定された格子角度情報30に基づいて、被写体90を撮像する。その後、処理はステップS9に進む。
【0078】
ステップS9において、画像処理部5は、吸収像25、微分位相像26および暗視野像27の中から第1位相コントラスト画像20を参照してユーザにより選択された第2位相コントラスト画像24の種類またはCT画像40の種類を取得するとともに、取得したユーザにより選択された種類の第2位相コントラスト画像24またはCT画像40を生成する。その後、処理は終了する。
【0079】
ステップS10において、制御部6は、画像処理部5による第1位相コントラスト画像20、第2位相コントラスト画像24、CT画像40の生成処理、および、制御部6による表示処理を終了する入力操作がなされたか否かを判定する。制御部6は本処理の終了の操作がなされたと判定した場合(ステップS10においてYes)、処理は終了し、制御部6は本処理の終了の操作がなされていないと判定した場合(ステップS10においてNo)、処理はステップS2に進む。
【0080】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0081】
本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、被写体90にX線を照射するX線源1と、X線源1から照射されたX線を検出する検出器4と、X線源1と検出器4との間に配置された複数の格子2、3と、本撮影である第2位相コントラスト画像24の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を生成する画像処理部5と、画像処理部5によって生成された第1位相コントラスト画像20を、表示部10に表示させる制御部6と、を備える。画像処理部5は、本撮影である第2位相コントラスト画像24の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を生成し、制御部6は、生成された第1位相コントラスト画像20を、表示部10に表示させる。これにより、ユーザは、本撮影前に、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を視認することができる。そのため、本撮影前に、被写体90に応じた適切な種類の位相コントラスト画像20および被写体90が適切に写る位相コントラスト画像20であるか否かを判断することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100におけるプレビュー画像の表示方法は、本撮影である第2位相コントラスト画像24の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源1および検出器4により生成される被写体90の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を生成するステップと、生成された第1位相コントラスト画像20を、表示部10に表示させるステップとを備える。これにより、ユーザは、本撮影前に、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を視認することができる。そのため、本撮影前に、被写体90に応じた適切な種類の位相コントラスト画像20および被写体90が適切に写る位相コントラスト画像20であるか否かを判断することができる。
【0083】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0084】
すなわち、本実施形態では、上記のように、制御部6は、X線源1からX線が照射された被写体90がリアルタイム表示されたリアルタイム表示画像28と、3種類の第1位相コントラスト画像20と、を表示部10の同一画面に表示させる。これにより、リアルタイム表示画像28と第1位相コントラスト画像20とが異なる画面に表示される場合と比べて、リアルタイム表示画像28および第1位相コントラスト画像20の比較時の視認性を向上させることができる。そのため、リアルタイム表示画像28と第1位相コントラスト画像20との対比を容易に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御部6は、リアルタイム表示画像28の表示領域と隣接する領域に、3種類の第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示させる。これにより、3種類の第1位相コントラスト画像20を、視認性の低下を抑制しながらリアルタイム表示画像28の表示領域と隣接する限られた領域に表示させることができる。そのため、リアルタイム表示画像28と第1位相コントラスト画像20との対比をより容易に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、X線の光軸方向と直交する面内において、複数の格子をそれぞれ回動させる格子回動機構をさらに備え、制御部6は、複数の格子の角度情報を表示部10にさらに表示させる。これにより、3種類の第1位相コントラスト画像20における複数の格子の角度情報を容易に認識することができる。そのため、複数の格子の角度が適切でないことに起因して第1位相コントラスト画像20が不鮮明である場合に、複数の格子の角度の変更を適切に行うことができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、3種類の第1位相コントラスト像には暗視野像23が含まれ、制御部6は、格子回動機構により回動された複数の格子の角度情報を表示部10に表示させる。これにより、暗視野像23における複数の格子の角度情報を容易に認識することができる。そのため、複数の格子の角度が適切でないことに起因して暗視野像23における被写体90に含まれる繊維の配向やクラックなどが不鮮明である場合に、複数の格子の角度の変更をより適切に行うことができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、プレビュー画像の撮影条件は、本撮影の撮影条件よりも照射時間が短いように設定されているか、または、本撮影の撮影条件よりも積算回数が少ないように設定されている。これにより、ユーザは、本撮影前に、プレビュー画像としての吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の第1位相コントラスト画像20を、本撮影よりも短時間で取得することができる。そのため、本撮影と同じ撮影条件でプレビュー画像を撮影する場合と比べて、第2領域12にプレビュー画像としての第1位相コントラスト画像20を短時間で表示させることができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、画像処理部5は、本撮影の撮影条件に基づく、第1位相コントラスト画像20を参照してユーザにより選択された種類の第2位相コントラスト画像24を生成する。これにより、3種類の第2位相コントラスト画像24の中でユーザが不要と判断する第2位相コントラスト画像24がある場合に、3種類のすべての第2位相コントラスト画像24を自動的に生成する場合と比べて、必要な種類の第2位相コントラスト画像24の取得に掛かる時間を短縮することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御部6は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、選択された1つの第1位相コントラスト画像20をサムネイル表示よりも拡大して表示させる。これにより、選択された第1位相コントラスト画像20の詳細を容易に視認することができる。
【0091】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0092】
(複数の暗視野像の生成)
たとえば、上記実施形態では、本撮影において、暗視野像27の第2位相コントラスト画像24を生成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、画像処理部5は、本撮影において、暗視野像27の第2位相コントラスト画像24を生成する場合に、光軸方向と直交する面内において、格子回動機構により格子を複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像27を生成するように構成されていても良い。複数の角度は、表示部10において設定された格子の格子角度と、格子回動機構を介して第1格子2および第2格子3を所定角度回動させた格子角度とを含む。所定角度は、たとえば、略90度である。なお、所定角度および複数の角度における角度数は、特に限定されない。
【0093】
ここで、暗視野像27を撮像する際、被写体90の内部構造によるX線の散乱に指向性がある場合、格子の向きと格子に対する被写体90の向き(散乱方向)との関係によっては、内部構造が画像化されない場合がある。具体的には、被写体90の内部構造によるX線の散乱方向のうち、格子の向きと直交する方向に散乱するX線は強調されるため、内部構造が画像化される。しかし、格子の向きに沿う方向に散乱するX線はほとんど画像化されない(感度がない)ため、格子に対する被写体90の向きによっては内部構造を詳細に画像化することが難しい場合がある。そこで、変形例では、暗視野像27の第2位相コントラスト画像24を生成する場合に、光軸方向と直交する面内において、格子回動機構により格子を複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像27を生成するように構成されている。
【0094】
制御部6は、格子回動機構7を介して、第1格子2および第2格子3を横向き(X方向)に配置する。制御部6は、格子移動機構8を介して第1格子2を並進移動させながら、被写体90を撮像する。画像処理部5は、被写体90の暗視野像27を生成する。
【0095】
図10(A)は、格子を横向き(X方向)に配置して撮像された暗視野像27である。図10(A)に示す例では、格子を横向き(X方向)に配置しているため、被写体90の内部にある傷93のうち、横方向(X方向)に延びる傷93aが描出されている。なお、円形の領域94は、被写体90に打撃を与えた際の打撃痕である。
【0096】
次に、制御部6は、格子回動機構7を介して第1格子2および第2格子3を所定角度回動させることにより、第1格子2および第2格子3を縦向き(Y方向)に配置する。制御部6は、格子移動機構8を介して第1格子2を並進移動させながら、被写体90を撮像する。画像処理部5は、被写体90の暗視野像27を生成する。
【0097】
図10(B)は、格子を縦向き(Y方向)に配置して撮像された暗視野像27である。図10(B)に示す例では、格子を縦向き(Y方向)に配置しているため、被写体90の内部にある傷93のうち、縦方向(Y方向)に延びる傷93bが描出されている。なお、円形の領域94は、被写体90に打撃を与えた際の打撃痕である。
【0098】
なお、画像処理部5は、光軸方向と直交する面内において、格子回動機構7により格子を複数の角度に配置させて撮像された複数の暗視野像27を合成して、被写体90によるX線の散乱の強度を表す全散乱像を生成するように構成されていても良い。
【0099】
上記変形例によれば、本撮影において、画像処理部5は、少なくとも暗視野像27の第2位相コントラスト画像24を生成する場合に、光軸方向と直交する面内において、格子回動機構7により格子を複数の角度に配置させて撮像された暗視野像27を生成する。これにより、被写体90の内部構造によるX線の散乱に指向性がある場合においても、被写体90の内部構造を適切に画像化することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、画像処理部5は、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を生成し、制御部6は、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23の3種類の第1位相コントラスト画像20を表示部10に表示させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、画像処理部5は、プレビュー画像として、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を生成し、制御部6は、画像処理部5により生成された、吸収像21、微分位相像22および暗視野像23のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像20を表示部10に表示させるように構成されていても良い。
【0101】
また、上記実施形態では、リアルタイム表示画像28と、3種類の第1位相コントラスト画像20と、を表示部10の同一画面に表示させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、リアルタイム表示画像28と、3種類の第1位相コントラスト画像20と、を異なる表示部10に表示させるように構成されていても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、3種類の第1位相コントラスト画像20を第2領域12にサムネイル表示させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、3種類の第1位相コントラスト画像20を第2領域12にサムネイル表示ではなく、サムネイル表示よりも拡大表示された状態で表示部10に表示させるように構成されていても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、制御部6は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、選択された1つの第1位相コントラスト画像20を拡大してポップアップ表示させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、制御部6は、サムネイル表示させた第1位相コントラスト画像20のうち、選択された1つの第1位相コントラスト画像20を、リアルタイム表示画像28に替えて第1領域11に表示させるように構成されていても良い。
【0104】
また、上記実施形態では、プレビュー画像の撮影条件は、本撮影の撮影条件よりも照射時間が短いように設定され、本撮影の撮影条件よりも積算回数が少ないように設定され、かつ、既に別の撮影で取得したリファレンス画像を再使用する例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、プレビュー画像の上記撮影条件のうち、いずれか1つの撮影条件、または、いずれか2つの撮影条件を満たすように構成されていても良い。
【0105】
また、上記実施形態では、格子移動機構8が、第1格子2を並進移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。並進移動させる格子はいずれの格子であっても良い。
【0106】
また、上記実施形態では、複数の格子は、第1格子2と第2格子3とを含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、複数の格子は、X線源1と第1格子2との間に配置された第3格子をさらに含んでいても良い。これにより、第3格子によってX線源1から照射されるX線の可干渉性を高めることができる。
【0107】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0108】
(項目1)
被写体にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記X線源と前記検出器との間に配置された複数の格子と、
本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、前記X線源および前記検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させる制御部と、を備える、X線位相イメージング装置。
【0109】
(項目2)
前記制御部は、前記X線源からX線が照射された前記被写体がリアルタイム表示されたリアルタイム表示画像と、前記2種類以上の前記第1位相コントラスト画像と、を前記表示部の同一画面に表示させる、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0110】
(項目3)
前記制御部は、前記リアルタイム表示画像の表示領域と隣接する領域に、前記2種類以上の前記第1位相コントラスト画像をサムネイル表示させる、項目2に記載のX線位相イメージング装置。
【0111】
(項目4)
X線の光軸方向と直交する面内において、前記複数の格子をそれぞれ回動させる格子回動機構をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の格子の角度情報を前記表示部にさらに表示させる、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0112】
(項目5)
前記2種類以上の前記第1位相コントラスト像には前記暗視野像が含まれ、
前記制御部は、前記格子回動機構により回動された前記複数の格子の前記角度情報を前記表示部に表示させる、項目4に記載のX線位相イメージング装置。
【0113】
(項目6)
前記プレビュー画像の撮影条件は、前記本撮影の撮影条件よりも照射時間が短いように設定されているか、または、前記本撮影の撮影条件よりも積算回数が少ないように設定されている、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0114】
(項目7)
前記画像処理部は、前記本撮影の撮影条件に基づく、前記第1位相コントラスト画像を参照してユーザにより選択された種類の前記第2位相コントラスト画像を生成する、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0115】
(項目8)
前記制御部は、サムネイル表示させた前記第1位相コントラスト画像のうち、選択された1つの前記第1位相コントラスト画像をサムネイル表示よりも拡大して表示させる、項目3に記載のX線位相イメージング装置。
【0116】
(項目9)
本撮影である第2位相コントラスト画像の撮影条件よりも簡易な撮影条件を用いて、X線源および検出器により生成される被写体の画像信号に基づいて、プレビュー画像として、吸収像、微分位相像および暗視野像のうちの2種類以上の第1位相コントラスト画像を生成するステップと、
生成された前記第1位相コントラスト画像を、表示部に表示させるステップとを備える、X線位相イメージング装置におけるプレビュー画像の表示方法。
【符号の説明】
【0117】
1 X線源
2 第1格子
3 第2格子
4 検出器
5 画像処理部
6 制御部
7 格子回動機構
10 表示部
15 被写体載置部
16 回転機構
20 第1位相コントラスト画像
21 吸収像
22 微分位相像
23 暗視野像
24 第2位相コントラスト画像
28 リアルタイム表示画像
30 格子角度情報
40 CT画像
90 被写体
100 X線位相イメージング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10