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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047996
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】眼科装置用光源装置及び眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20240401BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20240401BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240401BHJP
【FI】
A61B3/103
A61B3/107
G02B7/00 B
G02B7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153808
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】森崎 宏幸
【テーマコード(参考)】
2H043
4C316
【Fターム(参考)】
2H043AA02
2H043AB04
2H043AB05
2H043AB11
2H043AB16
2H043AB19
2H043AE02
4C316AA03
4C316AA04
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316FA06
4C316FY02
4C316FY03
4C316FY08
(57)【要約】
【課題】光源から出射される光の出射方向の調整を簡単に実行可能な眼科装置用光源装置及び眼科装置を提供する。
【解決手段】基準光軸(光軸O3)を有し、光を出射する眼科装置用光源装置(光源装置16a)において、光を出射する光源20と、光源20から出射される光の出射方向Dを基準光軸(光軸O3)に対して偏向可能に光源20を保持する光源保持部(球面セル30、球面セル保持部40、一対の第1ネジ50、一対の第2ネジ52)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準光軸を有し、光を出射する眼科装置用光源装置において、
前記光を出射する光源と、
前記光源から出射される前記光の出射方向を前記基準光軸に対して偏向可能に前記光源を保持する光源保持部と、
を備える眼科装置用光源装置。
【請求項2】
前記基準光軸に対して垂直で且つ互いに直交する方向を第1方向及び第2方向とした場合に、前記光源保持部が、前記出射方向を前記基準光軸に対して前記第1方向及び前記第2方向に偏向可能に前記光源を保持する請求項1に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項3】
前記光源保持部が、
前記光源を保持するホルダと、前記ホルダに保持されている前記光源の前記出射方向側に形成された凸球面部と、前記凸球面部に形成され且つ前記光源から出射された前記光を通す光出射穴と、を有する球面セルと、
前記凸球面部が係合するテーパー座又は球面座が形成された球面セル保持部と、
を備える請求項2に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項4】
前記ホルダの外周面に形成され、前記球面セル保持部に対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するフランジ部と、
前記フランジ部において前記第1面と前記第2面とを貫通する一対の第1貫通穴であって、且つ前記光源を前記第1方向において互いの間に挟む一対の第1貫通穴と、
前記フランジ部において前記第1面と前記第2面とを貫通する一対の第2貫通穴であって、且つ前記光源を前記第2方向において互いの間に挟む一対の第2貫通穴と、
第1頭部と第1軸部とを有し、前記第1頭部が前記フランジ部の前記第2面側に位置する状態で前記第1軸部が前記一対の第1貫通穴に挿通されて前記フランジ部の前記第1面側に突出している一対の第1ネジと、
第2頭部と第2軸部とを有し、前記第2頭部が前記フランジ部の前記第2面側に位置する状態で前記第2軸部が前記一対の第2貫通穴に挿通されて前記フランジ部の前記第1面側に突出している一対の第2ネジと、
前記球面セル保持部の前記フランジ部に対向する対向面に形成され、一対の前記第1軸部の先端部が螺合する一対の第1ネジ穴と、
前記対向面に形成され、一対の前記第2軸部の先端部が螺合する一対の第2ネジ穴と、
を備える請求項3に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項5】
前記第1頭部及び前記第2頭部を前記フランジ部に固定する接着部を備える請求項4に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項6】
前記球面セル保持部に前記テーパー座が形成されており、
前記基準光軸に対する前記テーパー座のテーパー面の傾斜角度が20度から45度である請求項3から5のいずれか1項に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項7】
前記球面セル及び前記球面セル保持部の硬度が異なる請求項3から5のいずれか1項に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項8】
前記球面セル保持部が前記球面セルよりも硬度が高い請求項7に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項9】
前記光出射穴内に設けられた絞りを備える請求項3から5のいずれか1項に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項10】
前記光源が、スーパールミネッセントダイオード光源又はレーザダイオード光源である請求項1から5のいずれか1項に記載の眼科装置用光源装置。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の眼科装置用光源装置を備える眼科装置。
【請求項12】
前記眼科装置用光源装置を有し、前記眼科装置用光源装置から出射された前記光に基づいて被検眼に測定用パターンを投影する測定用パターン投影光学系と、
前記測定用パターンが投影された前記被検眼からの戻り光を撮像する受光光学系と、
前記受光光学系により撮像された画像に基づいて前記被検眼の眼特性を演算する眼特性演算部と、
を備える請求項11に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置に設けられる眼科装置用光源装置、及びこの眼科装置用光源装置を備える眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、眼科装置を使用して被検眼の眼屈折力、角膜形状、眼圧、及び角膜内皮細胞の数などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を行う。例えば特許文献1に記載の眼科装置は、光源から出射された光に基づいて被検眼の眼底にリング状の測定用パターンを投影する測定用パターン投影光学系と、測定用パターンが投影された被検眼からの戻り光を撮像する受光光学系と、受光光学系により撮像された撮像画像に基づいて被検眼の眼屈折力を演算する演算部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-058441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の眼科装置を含む各種眼科装置では、近年、光源として指向角の狭いものを採用する場合がある。この場合には、光源から出射される各種光の出射方向の調整を精密に行う必要がある。しかしながら、従来の眼科装置には、光源から出射される光の出射方向の調整を実行するための構成が設けられておらず、光源から出射される光の出射方向の調整を簡単に実行することができないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光源から出射される光の出射方向の調整を簡単に実行可能な眼科装置用光源装置及び眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するための眼科装置用光源装置は、基準光軸を有し、光を出射する眼科装置用光源装置において、光を出射する光源と、光源から出射される光の出射方向を基準光軸に対して偏向可能に光源を保持する光源保持部と、を備える。
【0007】
この眼科装置用光源装置によれば、光源から出射される光の出射方向を調整することができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、基準光軸に対して垂直で且つ互いに直交する方向を第1方向及び第2方向とした場合に、光源保持部が、出射方向を基準光軸に対して第1方向及び第2方向に偏向可能に光源を保持する。これにより、光源から出射される光の出射方向を第1方向及び第2方向に調整可能である。
【0009】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、光源保持部が、光源を保持するホルダと、ホルダに保持されている光源の出射方向側に形成された凸球面部と、凸球面部に形成され且つ光源から出射された光を通す光出射穴と、を有する球面セルと、凸球面部が係合するテーパー座又は球面座が形成された球面セル保持部と、を備える。これにより、光源から出射される光の出射方向を調整することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、ホルダの外周面に形成され、球面セル保持部に対向する第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有するフランジ部と、フランジ部において第1面と第2面とを貫通する一対の第1貫通穴であって、且つ光源を第1方向において互いの間に挟む一対の第1貫通穴と、フランジ部において第1面と第2面とを貫通する一対の第2貫通穴であって、且つ光源を第2方向において互いの間に挟む一対の第2貫通穴と、第1頭部と第1軸部とを有し、第1頭部がフランジ部の第2面側に位置する状態で第1軸部が一対の第1貫通穴に挿通されてフランジ部の第1面側に突出している一対の第1ネジと、第2頭部と第2軸部とを有し、第2頭部がフランジ部の第2面側に位置する状態で第2軸部が一対の第2貫通穴に挿通されてフランジ部の第1面側に突出している一対の第2ネジと、球面セル保持部のフランジ部に対向する対向面に形成され、一対の第1軸部の先端部が螺合する一対の第1ネジ穴と、対向面に形成され、一対の第2軸部の先端部が螺合する一対の第2ネジ穴と、を備える。これにより、光源から出射される光の出射方向を第1方向及び第2方向に調整可能である。
【0011】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、第1頭部及び第2頭部をフランジ部に固定する接着部を備える。これにより、光源から出射される光の出射方向を維持することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、球面セル保持部にテーパー座が形成されており、基準光軸に対するテーパー座のテーパー面の傾斜角度が20度から45度である。これにより、球面セル保持部に対して光源が出射方向後方側に位置ズレしている場合であっても、光源を中心として球面セルを回転させることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、球面セル及び球面セル保持部の硬度が異なる。これにより、球面セル及び球面セル保持部のうちで硬度が高い方向の破損及び交換を防止可能である。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、球面セル保持部が球面セルよりも硬度が高い。これにより、球面セル保持部の破損及び交換を防止可能である。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、光出射穴内に設けられた絞りを備える。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置用光源装置において、光源が、スーパールミネッセントダイオード光源又はレーザダイオード光源である。これにより、光源の指向角が狭い場合でも、光源から出射される各種光の出射方向の調整を精密に行うことができる。
【0017】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、上述の眼科装置用光源装置を備える眼科装置。
【0018】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼科装置用光源装置を有し、眼科装置用光源装置から出射された光に基づいて被検眼に測定用パターンを投影する測定用パターン投影光学系と、測定用パターンが投影された被検眼からの戻り光を撮像する受光光学系と、受光光学系により撮像された画像に基づいて被検眼の眼特性を演算する眼特性演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、光源から出射される光の出射方向の調整を簡単に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】眼科装置の構成を示したブロック図である。
図2】連動移動機構及び光源装置の背面斜視図である。
図3】光源装置のY方向に沿った断面斜視図である。
図4】光源装置のX方向に沿った断面図である。
図5】符号VAは図3中の球面セルのみを拡大した拡大図であり、符号VBは図4中の球面セルのみを拡大した拡大図である。
図6図2中の球面セル保持部のみを拡大した拡大斜視図である。
図7】テーパー面の傾斜角度を説明するための説明図である。
図8】符号VIIIA及び符号VIIIBは、光源装置のY方向の光出射方向調整を説明するための説明図である。
図9】符号IXA及び符号IXBは、光源装置のX方向の光出射方向調整を説明するための説明図である。
図10】XY方向の光出射方向調整完了後の光源装置のY方向に沿った断面図(符号XA参照)及びX方向に沿った断面図(符号XB参照)である。
図11】光源装置の第1変形例を示した断面斜視図である。
図12】光源装置の第2変形例を示した分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[眼科装置の全体構成]
図1は、眼科装置1の構成を示したブロック図である。なお、図中の互いに直交するXYZ方向(3方向)のうちで、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検眼E(被検者)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)であり、X方向は上下方向及び前後方向の双方に垂直な左右方向である。
【0022】
図1に示すように、眼科装置1は、被検眼Eの眼特性として眼屈折力及び角膜形状等を測定可能なオートレフケラトメータである。この眼科装置1は、測定ヘッド5と、表示部6と、制御装置9と、を備える。また、図示は省略するが、眼科装置1には、被検者の顔を支持する顔支持部と、測定ヘッド5をXYZ方向に移動させる駆動機構(アクチュエータ)と、が設けられている。
【0023】
測定ヘッド5は、被検眼Eの眼特性(眼屈折力及び角膜形状)の測定機能を有する。この測定ヘッド5には表示部6が取り付けられている。また、測定ヘッド5内には、眼屈折力及び角膜形状の測定に対応した各種光学系(撮像素子、各種光源、及び各種駆動部を含む)と、制御装置9と、が設けられている。
【0024】
表示部6は、例えばタッチパネル式モニタが用いられる。表示部6は、測定ヘッド5に回転自在に保持されており、位置姿勢を手動調整可能である。表示部6には、測定ヘッド5により取得された被検眼Eの観察像、被検眼Eの眼屈折力及び角膜形状等の眼特性の測定結果(取得結果)、各種設定を行うための設定メニュー画面、及び各種操作を行うための操作メニュー画面などが表示される。また、表示部6の表示面は、検者によるタッチ操作での入力操作を受け付けるので操作部として機能する。
【0025】
制御装置9は、眼科装置1の各部の動作を統括制御して、被検眼Eに対する測定ヘッド5のアライメント、及び被検眼Eの眼特性測定[角膜形状測定(ケラト測定)、眼屈折力測定(レフ測定)]を実行する。
【0026】
[測定ヘッドの光学系の構成]
測定ヘッド5の光学系は、観察光学系12と、Zアライメント光学系13と、XYアライメント光学系14と、視標投影光学系15と、測定用パターン投影光学系16と、受光光学系17と、を含む。
【0027】
(観察光学系の構成)
観察光学系12は、被検眼Eの前眼部の観察等に用いられる光学系であり、この前眼部を撮影する。観察光学系12はZ方向に平行な主光軸O1を有している。この観察光学系12には、主光軸O1上に沿って被検眼E側から順に、対物レンズ12aと、ダイクロイックミラー12bと、ハーフミラー12cと、リレーレンズ12dと、ダイクロイックミラー12eと、結像レンズ12fと、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子12gと、が配置されている。また、観察光学系12は、不図示の照明光源を有している。なお、観察光学系12を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0028】
観察光学系12の照明光源から出射された照明光は、被検眼Eの前眼部を照明し、前眼部で反射される。この反射光は、対物レンズ12aに入射し、この対物レンズ12aから観察光学系12の各部を経て撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、反射光が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gにより被検眼Eの前眼部の観察像(画像データ)が取得される。撮像素子12gは、観察像を制御装置9へ出力する。
【0029】
対物レンズ12aの周囲には、被検眼Eの角膜Ecの角膜形状測定に用いられるケラト板12h及びケラトリング光源12iが設けられている。ケラト板12h及びケラトリング光源12iは、1重又は多重のリング状光束を角膜Ecに投影する。角膜Ecにより反射されたリング状光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックミラー12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、ケラトリング像が撮像素子12gにより撮像される。撮像素子12gは、ケラトリング像(画像データ)を制御装置9へ出力する。その結果、制御装置9により公知の方法で被検眼Eの角膜形状(角膜屈折力、角膜乱視度、及び角膜乱視軸角度等)が演算される。
【0030】
(Zアライメント光学系)
Zアライメント光学系13は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のZ方向のアライメント状態の検出に用いられる。Zアライメント光学系13は、ケラト板12hの後方(撮像素子12g側)の2箇所に設けられている。各Zアライメント光学系13は、アライメント光源13aと、投影レンズ13bとを有する。各アライメント光源13aは、制御装置9の制御の下、投影レンズ13bに向けて光束を出射する。各アライメント光源13aから出射された一対の光束は、各投影レンズ13bにてそれぞれ平行光束に変換された後、ケラト板12hの一対の透過孔(不図示)を透過して角膜Ecに投影される。
【0031】
角膜Ecにより反射された一対の光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックミラー12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、一対の輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが一対の輝点像(画像データ)を制御装置9へ出力する。これにより、表示部6に既述の観察像及びケラトリング像と共に一対の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で不図示の駆動機構を駆動して、既述のケラトリング像と一対の輝点像とが所定の位置関係となるように測定ヘッド5をZ方向に移動させることで、Z方向のアライメント(Zアライメント)が実行される。なお、Zアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
【0032】
(XYアライメント光学系)
XYアライメント光学系14は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のX方向及びY方向のアライメント状態の検出に用いられる。XYアライメント光学系14は、ハーフミラー12cを介して観察光学系12から分岐した光路を形成する。このXYアライメント光学系14は、アライメント光源14aと、投影レンズ14bとを有する。アライメント光源14aは、制御装置9の制御の下、投影レンズ14bに向けて光束を出射する。アライメント光源14aから出射された光束は、投影レンズ14bにて平行光束に変換された後、ハーフミラー12cにより反射され、ダイクロイックミラー12b及び対物レンズ12aを経て角膜Ecに投影される。
【0033】
角膜Ecにより反射された光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックミラー12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが輝点像(画像データ)を制御装置9へ出力する。これにより、表示部6において既述の観察像、ケラトリング像、及び一対の輝点像と共に、XYアライメント用の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で不図示の駆動機構を駆動して、輝点像のX方向及びY方向の位置を調整することで、X方向及びY方向のアライメント(XYアライメント)が実行される。なお、XYアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
【0034】
(視標投影光学系の構成)
視標投影光学系15は、被検眼Eの眼屈折力測定時に被検眼Eを固視又は雲霧させるために固視標の光束を被検眼Eの眼底Efに投影する。
【0035】
視標投影光学系15は、視標表示部15aと、ハーフミラー15b、リレーレンズ15cと、反射ミラー15dと、合焦レンズ15e(移動レンズともいう)と、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、バリアブルクロスシリンダーレンズ(Variable cross cylinder lens)であるVCCレンズ15hと、反射ミラー15iと、ダイクロイックミラー15j,12bと、対物レンズ12aと、を有する。
【0036】
また、視標投影光学系15は、既述の主光軸O1に平行な光軸O2を有しており、この光軸O2上には、上述の合焦レンズ15eと、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、VCCレンズ15hと、が配置されている。
【0037】
視標表示部15aは、例えば、ドットマトリクス液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びマトリクス発光ダイオード(LED)などの各種表示装置(デバイス)が用いられる。この視標表示部15aは固視標を表示し、この固視標の光束をハーフミラー15bに向けて出射する。なお、視標表示部15aは、ドットマトリクスLCD等であるので、固視標の表示態様(形状等)及び表示位置を任意に設定可能である。また、視標表示部15aは、固視標の他に視力測定用視標なども表示可能である。
【0038】
視標表示部15aに表示された固視標の光束は、ハーフミラー15bにて反射された後、リレーレンズ15cと、反射ミラー15dと、合焦レンズ15eと、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、VCCレンズ15hと、反射ミラー15iと、ダイクロイックミラー15j,12bと、対物レンズ12aとを経て被検眼Eに投射される。これにより、被検眼Eに対して固視標などを呈示可能である。
【0039】
また、視標投影光学系15は、被検眼Eのグレアテストに用いられるグレア光源15kを有している。グレア光源15kは、グレアテスト時にグレア光をハーフミラー15bに出射する。これにより、グレア光がハーフミラー15bから対物レンズ12aまでの各部を経て被検眼Eに投射される。
【0040】
合焦レンズ15eは、視標投影光学系15の光軸O2に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ15eは、制御装置9の制御の下、後述の連動移動機構19(図2参照)により光軸O2上を進退移動される。これにより、固視標等の光束の屈折力を変更することができるので、被検眼Eに対する固視標等の呈示距離を変更することができる。その結果、被検眼Eの眼屈折力測定の仮測定時に固視標により被検眼Eを固視させたり、眼屈折力測定の本測定時に固視標により被検眼Eを雲霧視させたりすることができる。
【0041】
VCCレンズ15hは、正及び負の一対のシリンダーレンズを有する。一対のシリンダーレンズは、光軸O2を中心として、それぞれ独立して回転可能となっている。VCCレンズ15hは、被検眼Eの屈折特性に起因する収差のうち、円柱度数(乱視度数)及び軸角度(乱視軸角度)を補正(矯正)する機能を有する。
【0042】
(測定用パターン投影光学系の構成)
測定用パターン投影光学系16は、眼底Efに対して被検眼Eの他覚的な眼屈折力の測定に用いられるリング状の測定用パターンの光束を投影する。
【0043】
測定用パターン投影光学系16は、本発明の眼科装置用光源装置に相当する光源装置16aと、リレーレンズ16bと、円錐プリズム16cと、フィールドレンズ16dと、リング絞り16eと、穴開きプリズム16fと、ロータリープリズム16gと、ダイクロイックミラー15jと、ダイクロイックミラー12bと、対物レンズ12aと、を有する。
【0044】
光源装置16a(測定用パターン投影光学系16)は、既述の主光軸O1及び光軸O2に平行な光軸O3(本発明の基準光軸に相当)を有している。この光軸O3上には、光源装置16aから順に、リレーレンズ16bと、円錐プリズム16cと、フィールドレンズ16dと、リング絞り16eと、穴開きプリズム16fと、が配置されている。
【0045】
光源装置16aは、詳しくは後述するが、例えば、LED光源、スーパールミネッセントダイオード光源[SLD(Super Luminescent Diode)光源]、或いはレーザダイオード光源[LD(Laser Diode)光源]を有している。光源装置16aは、後述の連動移動機構19(図2参照)により光軸O3上を進退移動可能であり、眼底共役位置に配置される。
【0046】
光源装置16aは、制御装置9の制御の下、光軸O3に沿って光を出射する。光源装置16aから出射された光は、リレーレンズ16bを通過した後、円錐プリズム16cの円錐面に入射する。円錐プリズム16cの円錐面に入射した光は偏向され、円錐プリズム16cの底面から出射する。この円錐プリズム16cは、瞳孔共役位置に近い位置(略瞳孔共役位置)に配置されている。そして、円錐プリズム16cの底面から出射した光は、フィールドレンズ16dを通過した後、リング絞り16eにリング状に形成された透光部を通過する。
【0047】
リング絞り16eは、瞳孔共役位置に配置されており、リング状の測定用パターンに対応した透光部を有している。なお、リング絞り16eがフィールドレンズ16dのレンズ面或いは円錐プリズム16cの底面に蒸着等で形成されていてもよい。
【0048】
リング絞り16eの透光部を通過した光(リング状光束)は、穴開きプリズム16fの反射面により反射された後にロータリープリズム16gを通過して、ダイクロイックミラー15jにより反射される。ダイクロイックミラー15jにより反射された光は、ダイクロイックミラー12bにより反射された後、対物レンズ12aを通過して眼底Efに投射される。これにより、眼底Efにリング状の測定用パターンの光束が投影される。なお、この測定用パターンの光束は、被検眼Eの眼屈折力によりその形状を歪められた状態で眼底Efに投影される。
【0049】
測定用パターン投影光学系16のリレーレンズ16bから対物レンズ12aまでの構成は、眼底Efにリング状の測定用パターンの光束を投影可能であれば図1に示した例に特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0050】
(受光光学系の構成)
受光光学系17は、測定用パターン投影光学系16により測定用パターンが投影された眼底Efからの眼底反射光(本発明の戻り光に相当)を受光する。受光光学系17は、対物レンズ12aと、ダイクロイックミラー12b,15jと、ロータリープリズム16gと、穴開きプリズム16fと、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)と、反射ミラー17eと、ダイクロイックミラー12eと、結像レンズ12fと、撮像素子12gと、を有する。
【0051】
また、受光光学系17は、既述の主光軸O1、光軸O2、及び光軸O3に平行な光軸O4を有する。この光軸O4上には、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17dと、反射ミラー17eと、が配置されている。
【0052】
合焦レンズ17dは、受光光学系17の光軸O4に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ17dは、後述の連動移動機構19(図2参照)により光軸O4上を進退移動される。
【0053】
眼底Efからの測定用パターンの眼底反射光は、対物レンズ12a、ダイクロイックミラー12b,15j、ロータリープリズム16g、穴開きプリズム16fの穴部、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)、反射ミラー17e、ダイクロイックミラー12e、及び結像レンズ12fを経由して撮像素子12gの受光面に入射する。撮像素子12gは、眼底反射光を撮像して、リング像(画像データ)を制御装置9に出力する。これにより、制御装置9が、公知の方法で被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)を演算する。このため、制御装置9は、本発明の眼特性演算部として機能する。
【0054】
図2は、連動移動機構19及び光源装置16aの背面斜視図である。図2示すように、連動移動機構19は、合焦レンズ15e、光源装置16a、及び合焦レンズ17dを一体に保持(連結)する。また、連動移動機構19は、合焦レンズ15e、光源装置16a、及び合焦レンズ17dを主光軸O1(各光軸O2~O4)に対して平行方向(Z方向)に一体にスライド移動させる不図示のアクチュエータを備える。これにより、連動移動機構19は、制御装置9の制御の下、合焦レンズ15e、光源装置16a、及び合焦レンズ17dを連動して(一体に)Z方向に沿って移動させる。
【0055】
[測定用パターン投影光学系の光源装置の構成]
光源装置16aは、連動移動機構19に固定されている。光源装置16aは、光源20として、例えばLED光源、SLD光源、又はLD光源を採用する。ここで、SLD光源はLED光源よりも指向角が狭く、さらにLD光源はSLD光源よりも指向角が狭くなる。また、LD光源から出射される光(ビーム)は、公知のようにファスト軸とスロー軸とで光の拡がり(特性)が異なる。このため、光源20から出射される光の出射方向D(図3及び図4参照)の調整(以下、「光出射方向調整」と略す)を従来よりも精密に実行する必要がある。
【0056】
そこで、本実施形態では、光源装置16aを、光源20と、球面セル30と、球面セル保持部40と、一対の第1ネジ50と、一対の第2ネジ52と、により構成している。
【0057】
図3は、光源装置16aのY方向に沿った断面斜視図である。図4は、光源装置16aのX方向に沿った断面図である。以下、光源装置16aから光が出射される出射方向側を「出射方向前方側」といい、その逆方向側を「出射方向後方側」という。
【0058】
図2から図4に示すように、光源20は、光源本体20aと光源基板20bとを有する。光源本体20aは、既述の通り、LED光源、SLD光源、或いはLD光源などが採用されている。なお、光源本体20aの種類は特に限定はされない。光源基板20bは、光源本体20aの出射方向後方側の背面に固定されている。
【0059】
図5の符号VAは図3中の球面セル30のみを拡大した拡大図であり、符号VBは図4中の球面セル30のみを拡大した拡大図である。
【0060】
図5の符号VA及び符号VBと、既述の図3及び図4とに示すように、球面セル30は、ホルダ31と、凸球面部32と、光出射穴33と、絞り34と、フランジ部35と、を有する。
【0061】
ホルダ31は、本発明の光源保持部に相当するものであり、光源装置16aから出射される光の出射方向D(Z方向)に対して垂直な略円板形状に形成されている。ホルダ31の中央部には保持穴36が形成されている。
【0062】
保持穴36には、その出射方向後方側から光源本体20aが嵌合する。また、保持穴36は、後述の光出射穴33に連通している。保持穴36に光源本体20aを嵌合させた状態で光源基板20bを複数のネジ20c(図2参照)でホルダ31に固定することにより、ホルダ31に光源20が保持される。
【0063】
凸球面部32は、ホルダ31に保持されている光源20の出射方向前方側に形成されており、Z方向前方側に凸球面状に形成されている。ここでいう凸球面状は、厳密な半球面状に限定されず、後述のテーパー座42(図6参照)に対して摺動係合可能な略半球面状も含まれる。
【0064】
光出射穴33は、凸球面部32に形成されており、出射方向Dに沿って凸球面部32を貫通した貫通穴である。これにより、ホルダ31に保持されている光源20から出射された光を、光出射穴33を通して凸球面部32からその出射方向前方側に出射することができる。この光出射穴33内には、絞り34が設けられている。
【0065】
絞り34は、光源20から出射された光を通す絞り穴34aを有する。光出射穴33内に絞り34を設けることでフレアの発生を防止することができる。
【0066】
フランジ部35は、ホルダ31の外周面に形成されている。このフランジ部35は、球面セル30を出射方向前方側から見た場合において、ホルダ31の凸球面部32よりも外側の領域であり、且つ環状に形成されている。フランジ部35は、後述の図6に示す球面セル保持部40(テーパー座42以外の領域)に対向するフランジ前面35a(本発明の第1面に相当)と、このフランジ前面35aとは反対側のフランジ背面35b(本発明の第2面に相当)と、を有する。
【0067】
フランジ部35には、出射方向Dに平行に形成され且つフランジ前面35aとフランジ背面35bとを貫通する一対の第1貫通穴39A及び一対の第2貫通穴39Bが形成されている。一対の第1貫通穴39Aは、光源20(保持穴36)を本発明の第1方向に相当するY方向において互いの間に挟むようにフランジ部35に形成されている。また、一対の第2貫通穴39Bは、光源20(保持穴36)を本発明の第2方向に相当するX方向において互いの間に挟むようにフランジ部35に形成されている。各第1貫通穴39Aには後述の一対の第1ネジ50が挿通され、各第2貫通穴39Bには後述の一対の第2ネジ52が挿通される。
【0068】
なお、本実施形態ではフランジ部35がホルダ31の外周面に環状に形成されているが、各第1貫通穴39A及び各第2貫通穴39Bの形成位置のみに形成されていてもよい。
【0069】
図6は、図2中の球面セル保持部40のみを拡大した拡大斜視図である。図6と、既述の図3及び図4とに示すように、球面セル保持部40は、Z方向(光軸O3)に対して垂直(XY面に平行)な板状に形成されている。球面セル保持部40のY方向下端部には複数のネジ穴41が形成されている。各ネジ穴41は、球面セル保持部40を連動移動機構19に対して複数のネジ54(図2参照)で固定する場合に、各ネジ54がそれぞれ螺合する。
【0070】
球面セル保持部40には、出射方向後方側の背面である保持部背面40a(本発明の対向面に相当)の略中央部には、略凹状のテーパー座42(円錐座ともいう)が形成されている。テーパー座42のXY方向の中心位置が光軸O3に一致するように、連動移動機構19に対する球面セル保持部40の取付位置(固定位置)が調整されている。テーパー座42は、出射方向前方側(光軸O3の前方側)に向かって次第に光軸O3に近づく(開口径が狭くなる)テーパー面42aを有している。
【0071】
テーパー面42aには、球面セル30の凸球面部32が摺動可能に係合する(図3及び図4参照)。これにより、球面セル保持部40に対して球面セル30を回転(摺動回転)させることができる。
【0072】
ここで球面セル保持部40は、球面セル30とは硬度が異なる材質、より具体的には球面セル30よりも硬度が高い材質で形成されている。これにより、球面セル保持部40に対して球面セル30を回転(摺動回転)させた場合に、テーパー座42が破損することが防止される。
【0073】
図7は、テーパー面42aの傾斜角度θを説明するための説明図である。ここで図7の符号VIIAは球面セル保持部40のみを示し、符号VIIBはテーパー面42aに対して凸球面部32が係合している状態を示す。
【0074】
図7に示すように、光軸O3(基準光軸)に対するテーパー面42aの傾斜角度θは、テーパー面42aに凸球面部32が係合している状態で、光源20を中心として球面セル30を回転可能な角度に調整されている。ここで本実施形態では、球面セル30に絞り34を設けることで、球面セル保持部40(テーパー座42)に対して光源20が出射方向後方側に位置ズレする。このため、本実施形態では傾斜角度θが20度から45度に調整されている。これにより、テーパー面42aのテーパー角度(2θ)は40度から90度になる。すなわち、本実施形態では、テーパー座42として、「40度テーパー座」から「90度テーパー座」の範囲内のものが使用される。
【0075】
図3図4、及び図6に戻って、球面セル保持部40の保持部背面40aには、球面セル30の一対の第1貫通穴39Aに略対向する位置に一対の第1ネジ穴43が形成されている。また、保持部背面40aには、球面セル30の一対の第2貫通穴39Bに略対向する位置に一対の第2ネジ穴44が形成されている。各第1ネジ穴43には後述の一対の第1ネジ50が螺合し、各第2ネジ穴44には後述の一対の第2ネジ52が螺合する。
【0076】
一対の第1ネジ50は、それぞれ第1頭部50aと第1軸部50bとを有する。各第1ネジ50は、それぞれ第1頭部50aがフランジ部35のフランジ背面35b側(図5参照、本発明の第2面側)に位置する状態で、第1軸部50bが一対の第1貫通穴39Aを挿通してフランジ前面35a側(図5参照、本発明の第1面側)に突出している。そして、各第1軸部50bの先端部が球面セル保持部40の一対の第1ネジ穴43に螺合する(図3参照)。これにより、一対の第1ネジ50のねじ込み量(ねじ込み深さ)を個別に調整することで、球面セル保持部40に対して球面セル30及び光源20をX軸周り方向に回転させることができる(図3中の矢印A1、A2参照)。
【0077】
一対の第2ネジ52は、それぞれ第2頭部52aと第2軸部52bとを有する。各第2ネジ52は、それぞれ第2頭部52aがフランジ部35のフランジ背面35b側に位置する状態で、第2軸部52bが一対の第2貫通穴39Bを挿通してフランジ前面35a側に突出している。そして、各第2軸部52bの先端部が球面セル保持部40の一対の第2ネジ穴44に螺合する(図4参照)。これにより、一対の第2ネジ52のねじ込み量を個別に調整することで、球面セル保持部40に対して球面セル30及び光源20をY軸周り方向に回転させることができる(図4中の矢印B1、B2参照)。
【0078】
図8の符号VIIIA及び符号VIIIBは、光源装置16aのY方向の光出射方向調整を説明するための説明図である。図8に示すように、一対の第1ネジ50のねじ込み量を個別に調整することで、球面セル保持部40に対して球面セル30及び光源20を、X軸周り方向のA1方向に回転させたり(図8の符号VIIIA参照)、或いはX軸周り方向のA2方向に回転させたり(図8の符号VIIIB参照)することができる。その結果、光源20から出射される光の出射方向Dを基準光軸である光軸O3に対してY方向に任意に偏向させることができる。これにより、Y方向の光出射方向調整が可能になる。なお、基準光軸とは、出射方向Dの偏向角度(XY方向)が0度(略0度を含む)の状態、すなわち無偏向状態を示す。
【0079】
図9の符号IXA及び符号IXBは、光源装置16aのX方向の光出射方向調整を説明するための説明図である。図9に示すように、一対の第2ネジ52のねじ込み量を個別に調整することで、球面セル保持部40に対して球面セル30及び光源20を、Y軸周り方向のB1方向に回転させたり(図9の符号IXA参照)、或いはY軸周り方向のB2方向に回転させたり(図9の符号IXB参照)することができる。その結果、光源20から出射される光の出射方向Dを基準光軸である光軸O3に対してX方向に任意に偏向させることができる。これにより、X方向の光出射方向調整が可能になる。
【0080】
このように各第1ネジ50及び各第2ネジ52のねじ込み量を個別に調整することで、光源20から出射される光の出射方向Dを光軸O3に対してXY方向(X方向、Y方向、斜め方向を含む)に偏向可能である。これにより、光源装置16aのXY方向の光出射方向調整が可能になる。
【0081】
図10は、XY方向の光出射方向調整完了後の光源装置16aのY方向に沿った断面図(符号XA参照)及びX方向に沿った断面図(符号XB参照)である。図10の符号XA及び符号XBに示すように、XY方向の光出射方向調整が完了すると、各第1ネジ50の第1頭部50a及び各第2ネジ52の第2頭部52aがそれぞれ接着剤56(本発明の接着部に相当)でフランジ部35に固定される。これにより、各第1ネジ50及び各第2ネジ52の回転が規制されるため、光出射方向調整完了後の球面セル30及び光源20の姿勢、すなわち出射方向Dが維持される。
【0082】
以上のように本実施形態の光源装置16aは、各第1ネジ50のねじ込み量及び各第2ネジ52のねじ込み量を調整するだけで、光源20の光出射方向調整を簡単に実行することができる。これにより、光源20として指向角の狭いSLD光源及びLD光源を採用した場合であっても光出射方向調整を簡単且つ精度よく実行することができる。
【0083】
また、本実施形態では、球面セル保持部40を球面セル30よりも硬度が高い材質で形成することで、凸球面部32をテーパー座42に摺動させたとしても、テーパー座42が破損することが防止される。ここで、球面セル保持部40は連動移動機構19に固定されているので、球面セル保持部40を交換することは想定されてない。このため、テーパー座42の破損を防止することで、球面セル保持部40の交換を防止することができる。
【0084】
[光源装置の第1変形例]
図11は、光源装置16aの第1変形例を示した断面斜視図である。上記実施形態では、フレアの発生を防止するための絞り34を球面セル30の光出射穴33内に設けている。これに対して図11に示すように、絞り34に代えて、測定用パターン投影光学系16のリング絞り16eと同様のリング絞り70を光出射穴33内に設けてもよい。リング絞り70は、リング状の測定用パターンに対応した透光部70a(開口部を含む)を有する。これにより、上記実施形態と同様に眼底Efにリング状の測定用パターンの光束が投影される。このようにリング絞り70を光出射穴33内に設けた場合であっても上記実施形態と同様の効果が得られる。また、この場合には、測定用パターン投影光学系16にリング絞り16eを配置する必要がなくなるので、測定用パターン投影光学系16の光路長を短縮可能である。
【0085】
[光源装置の第2変形例]
図12は、光源装置16aの第2変形例を示した分解図である。上記実施形態では、球面セル保持部40の保持部背面40aに凸球面部32が摺動係合可能なテーパー座42を形成している。これに対して図12に示すように、テーパー座42に代えて、凸球面部32が摺動係合可能な球面座74を球面セル保持部40に形成してもよい。この場合にも上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
[その他]
上記実施形態では、眼科装置1の測定用パターン投影光学系16の光源装置16aに対して本発明を適用しているが、眼科装置1の他の光学系の光源に対して本発明を適用可能である。
【0087】
上記実施形態では、球面セル保持部40を球面セル30よりも硬度が高い材質で形成しいているが、逆に球面セル30を球面セル保持部40よりも硬度が高い材質で形成してもよい。この場合には、凸球面部32をテーパー座42に摺動させたとしても、凸球面部32が破損することが防止される。このため、この場合には球面セル30の交換を防止することができる。
【0088】
上記実施形態では、眼科装置1としてオートレフケラトメータを例に挙げて説明したが、レフラクトメータの光源装置にも本発明を適用可能である。また、本発明は、例えば非接触式眼圧計及び角膜内皮細胞検査装置などの被検眼Eに対して各種光(レーザ光を含む)を照射する各種の眼科装置用光源装置にも適用可能であり、特に指向角の狭い光を出射する光源を有する眼科装置用光源装置に適用することが好ましい。さらに、本発明の眼科装置用光源装置には、照準用レーザ光及び治療用レーザ光を出射するレーザ手術装置の光源装置も含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…眼科装置
5…測定ヘッド
6…表示部
9…制御装置
12…観察光学系
12a…対物レンズ
12b…ダイクロイックミラー
12c…ハーフミラー
12d…リレーレンズ
12e…ダイクロイックミラー
12f…結像レンズ
12g…撮像素子
12h…ケラト板
12i…ケラトリング光源
13…Zアライメント光学系
13a…アライメント光源
13b…投影レンズ
14…XYアライメント光学系
14a…アライメント光源
14b…投影レンズ
15…視標投影光学系
15a…視標表示部
15b…ハーフミラー
15c…リレーレンズ
15d…反射ミラー
15e…合焦レンズ
15f…リレーレンズ
15g…フィールドレンズ
15h…VCCレンズ
15i…反射ミラー
15j…ダイクロイックミラー
15k…グレア光源
16…測定用パターン投影光学系
16a…光源装置
16b…リレーレンズ
16c…円錐プリズム
16d…フィールドレンズ
16e…リング絞り
16f…穴開きプリズム
16g…ロータリープリズム
17…受光光学系
17a…フィールドレンズ
17b…反射ミラー
17c…リレーレンズ
17d…合焦レンズ
17e…反射ミラー
19…連動移動機構
20…光源
20a…光源本体
20b…光源基板
20c…ネジ
30…球面セル
31…ホルダ
32…凸球面部
33…光出射穴
34…絞り
34a…絞り穴
35…フランジ部
35a…フランジ前面
35b…フランジ背面
36…保持穴
39A…第1貫通穴
39B…第2貫通穴
40…球面セル保持部
40a…保持部背面
41…ネジ穴
42…テーパー座
42a…テーパー面
43…第1ネジ穴
44…第2ネジ穴
50…第1ネジ
50a…第1頭部
50b…第1軸部
52…第2ネジ
52a…第2頭部
52b…第2軸部
54…ネジ
56…接着剤
70…リング絞り
70a…透光部
74…球面座
D…出射方向
E…被検眼
Ec…角膜
Ef…眼底
O1…主光軸
O2~O4…光軸
θ…傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12