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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004800
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】発電センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20240110BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N27/416 341A
A61F13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104641
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】道関 隆国
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜実
(72)【発明者】
【氏名】井本 紫夕也
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200DF01
(57)【要約】
【課題】発電電極に対して発電電力を受けるモジュールを接続する際の位置合わせを容易する発電センサを提供する。
【解決手段】発電センサ1は、液体によって発電する発電センサであって、ベース13A、13Bと、ベースの第1方向に沿って設けられた、第1材料で構成された、発電用の正極である電極11と、ベースの第1方向に沿って設けられた、第2材料で構成された、発電用の負極である電極12と、正極の第1方向の一方端に接続された、センサモジュールに接続される第1のコネクタ電極14と、負極の第1方向の前記一方端に接続された、センサモジュールに接続される第2のコネクタ電極15と、を備え、第1のコネクタ電極は第1材料で構成されて、第1方向に直交する第2方向の幅W3は正極の第2方向の幅W4より広く、第2のコネクタ電極は第2材料で構成されて、第2方向の幅W3は負極の第2方向の幅W5より広い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体によって発電する発電センサであって、
ベースと、
前記ベースの第1方向に沿って設けられた、第1材料で構成された、前記発電用の正極と、
前記ベースの前記第1方向に沿って設けられた、第2材料で構成された、前記発電用の負極と、
前記正極の前記第1方向の一方端に接続された、センサモジュールに接続される第1コネクタ電極と、
前記負極の前記第1方向の前記一方端に接続された、前記センサモジュールに接続される第2コネクタ電極と、を備え、
前記第1コネクタ電極は前記第1材料で構成されて、前記第1方向に直交する第2方向の幅は前記正極の前記第2方向の幅より広く、
前記第2コネクタ電極は前記第2材料で構成されて、前記第2方向の幅は前記負極の前記第2方向の幅より広い
発電センサ。
【請求項2】
前記正極及び前記負極は、前記ベースに縫い付けられた導電性を有する糸によって構成され、
前記第1コネクタ電極及び前記第2コネクタ電極は、それぞれ、前記ベースの前記正極及び前記負極より幅広い範囲に縫い付けられた前記糸によって構成されている
請求項1に記載の発電センサ。
【請求項3】
前記第1コネクタ電極及び前記第2コネクタ電極を構成する、前記ベースに縫い付けられた前記糸の密度は、それぞれ、前記正極及び前記負極を構成する、前記ベースに縫い付けられた前記糸の密度より高い
請求項2に記載の発電センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、尿と接触することによって起電力を発生する電極を有する起電モジュールを開示している。このような起電モジュールは、発電センサとして用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-229003号公報
【発明の概要】
【0004】
発電センサでは、発電電極に対して発電電力を受けるモジュールを接続する際に、位置合わせを容易にしたいという要望がある。例えばおむつなど、人体に装着される部材に取り付けられている発電電極にモジュールを接続する場合が想定される。本開示は、発電電極に対して発電電力を受けるモジュールを接続する際の位置合わせを容易する発電センサを提供することを目的の1つとする。
【0005】
ある実施の形態に従うと、発電センサは、液体によって発電する発電センサであって、ベースと、ベースの第1方向に沿って設けられた、第1材料で構成された、発電用の正極と、ベースの第1方向に沿って設けられた、第2材料で構成された、発電用の負極と、正極の第1方向の一方端に接続された、センサモジュールに接続される第1コネクタ電極と、負極の第1方向の前記一方端に接続された、センサモジュールに接続される第2コネクタ電極と、を備え、第1コネクタ電極は第1材料で構成されて、第1方向に直交する第2方向の幅は正極の第2方向の幅より広く、第2コネクタ電極は第2材料で構成されて、第2方向の幅は負極の第2方向の幅より広い。
【0006】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係るセンサの概略構成図である。
図2図2は、センサの製造方法を説明するための図である。
図3図3は、センサへのモジュールの接続方法を説明するための図である。
図4図4は、センサへのモジュールの接続方法の他の例を説明するための図である。
図5図5は、密接部の一例を説明するための図である。
図6図6は、モジュールの構成を表した概略図である。
図7図7は、センサを検出システムに用いた場合の概要を表した概略図である。
図8図8は、吸収部材本体の、図7のVIII-VIII断面図である。
図9図9は、吸収部材本体の、図7のIX-IX断面図である。
図10図10は、発明者らによる検出システムの実験で得られた、無線信号の測定結果を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1.発電センサの概要>
【0009】
(1)実施の形態に係る発電センサは、液体によって発電する発電センサであって、ベースと、ベースの第1方向に沿って設けられた、第1材料で構成された、発電用の正極と、ベースの第1方向に沿って設けられた、第2材料で構成された、発電用の負極と、正極の第1方向の一方端に接続された、センサモジュールに接続される第1コネクタ電極と、負極の第1方向の一方端に接続された、センサモジュールに接続される第2コネクタ電極と、を備え、第1コネクタ電極は第1材料で構成されて、第1方向に直交する第2方向の幅は正極の第2方向の幅より広く、第2コネクタ電極は第2材料で構成されて、第2方向の幅は負極の第2方向の幅より広い。
【0010】
第1コネクタ電極、第2コネクタ電極の幅が、それぞれ、正極、負極の幅よりも広いことによって、正極、負極の幅と同じ場合よりも、センサモジュールとの接続の際の位置合わせを容易にできる。
【0011】
(2)(1)の発電センサであって、好ましくは、正極及び負極は、ベースに縫い付けられた導電性を有する糸によって構成され、第1コネクタ電極及び第2コネクタ電極は、それぞれ、ベースの正極及び負極より幅広い範囲に縫い付けられた導電性を有する糸によって構成されている。これにより、第1コネクタ電極及び第2コネクタ電極を正極及び負極と同様に導電性を有する糸の縫製により形成することができる。また、導電性を有する糸のベースに縫い付ける範囲を変えることで、正極及び負極と、正極及び負極よりも幅の広い第1コネクタ電極及び第2コネクタ電極が作成できる。これにより、電極材料を切断加工する必要が無く、電極材料を無駄無く使用できる。
【0012】
(3)(2)の発電センサであって、好ましくは、第1コネクタ電極及び第2コネクタ電極を構成する、ベースに縫い付けられた導電性を有する糸の密度は、それぞれ、正極及び負極を構成する、ベースに縫い付けられた導電性を有する糸の密度より高い。これにより、第1コネクタ電極及び第2コネクタ電極に対してセンサモジュールを接続する際の位置合わせを容易にできると共に接触抵抗を下げることができる。
【0013】
第1コネクタ電極、第2コネクタ電極の幅が、それぞれ、正極、負極の幅よりも広いことによって、正極、負極の幅と同じ場合よりも、センサモジュールとの接続の際の位置合わせを容易にできる発電センサを製造することができる。
【0014】
<2.発電センサの例>
【0015】
図1は、本実施の形態に係るセンサ1の概略構成図である。図2は、センサ1の製造方法を説明するための図である。図3は、センサ1へのモジュール3の接続方法を説明するための図である。図4は、センサ1へのモジュール3の接続方法の他の例を説明するための図である。図5は、密接部の一例を説明するための図である。
【0016】
センサ1は、第1センサ部材1A及び第2センサ部材1Bを有し、それらが重畳されて構成される。第1センサ部材1Aには電極11が、第2センサ部材1Bには電極12が配置されている。第1センサ部材1Aは、電極11を配置するためのベース13Aを有し、第2センサ部材1Bは、電極12を配置するためのベース13Bを有する。
【0017】
ベース13A、13Bは、例えば、液体吸水性材料で構成されている。ベース13A、13Bは、一例として布地であって、例えば、綿素材の布地で形成されている。ベース13A、13Bは、同形状、又は、概ね同形状である。
【0018】
ベース13A、13Bは、それぞれ、後述する収納体16を構成するための第1ベース部131と、電極11、12が配置される第2ベース部132とを有する。第2ベース部132は一方向に長く、一端に第1ベース部131が配置されている。センサ1に対して、第2ベース部132の長手方向をy軸、長手方向に直交する短手方向をx軸と規定する。第2ベース部132のy軸の正方向の端部に第1ベース部131が配置されている。
【0019】
一対の電極11、12は、発電用電極である。電極11は正極として機能し、電極12は負極として機能する。電極11、12は、電極間に存在する液体に接することで発電する。これにより、センサ1は発電センサとして機能し、電極11、12の発電電力によって電極11、12間に液体が存在することを検出できる。
【0020】
電極11及び電極12は、異なる材料で構成されている。また、電極11、12は、それぞれ、糸状又は帯状の構造を有している。一例として、電極11は銀糸で構成され、電極12はアルミニウム糸で構成されている。糸を用いて電極11、12を構成することによって、電極11、12を後述するような縫製により容易に形成することができる。また、電極11、12のx軸方向の幅W4、W5を狭くすることができるとともに、強度の低下を抑えることができる。なお、電極11は、糸状又は帯状の構造を有し、正極となる材料であれば、どの様な材料を用いてもよく、例えば、マグネシウム、亜鉛や鉄を用いても良い。また、電極12は、糸状又は帯状の構造を有し、負極となる材料であれば、どの様な材料を用いてもよく、例えば、錫、鉛、銅、ステンレス、カーボン、金や白金を用いてもよい。
【0021】
電極11、12は、それぞれ、生地であるベース13A、13Bの第2ベース部132に、y軸方向に沿って縫い付けられている。具体的には、この例では、電極11、12のいずれもが導電性を有する糸状構造であって、電極11はベース13Aの第2ベース部132に縫い付けられ、電極12はベース13Bの第2ベース部132に縫い付けられている。
【0022】
好ましくは、電極11、12の少なくとも一方は、y軸方向の負側、つまり後側の表面積が、y軸方向の正側、つまり前側の表面積より大きい。表面積は、後述する吸収部材本体5に取り付けられたときに吸収体53に接する面積を指し、ベース13A、13Bに縫い付けられた糸で形成された電極11、12の、ベース13A、13Bの少なくとも吸収体53側の表面に露出した部分の表面積を指す。
【0023】
一例として、電極11の、y軸方向の正側、つまり前側である第1部分111と、y軸方向の負側、つまり後側である第2部分112とは、ベース13Aに対する糸の縫構造が異なる。縫構造は、ベース13A、13Bに対して糸が縫い付けられることによって糸が生地に対して形成する構造を指す。第1部分111と第2部分112との縫構造が異なることは、一例として、第1部分111と第2部分112とで電極11を形成する糸の縫い方が異なることである。具体的には、電極11は、第2部分112の方が第1部分111より、単位当たりの密度が高い縫い方でベース13Aに縫い付けられている。
【0024】
単位当たりの密度が高い縫い方は、一例として、電極11を形成する糸の、ベース13Aの吸収体53側の表面に現れる面積が大きい縫い方である。例えば、第1部分111は波縫いでベース13Aに縫い付けられ、第2部分112は返し縫いでベース13Aに縫い付けられている。返し縫いは、本返し縫い、又は、半返し縫いを指す。これにより、第2部分112の方が第1部分111より、電極11を形成する糸の、ベース13Aの表面への露出が多くなる。
【0025】
ベース13A、13Bの第1ベース部131のX軸方向の長さ(幅)W1は、第2ベース部132の幅W2より大きい。第1ベース部131は、発電電力を受けるモジュール3が収納される収納体16を形成する。収納体16は、重畳された第1センサ部材1A及び第2センサ部材1Bの第1ベース部131がその間に構成する空間16Aを有し、空間16A内にモジュール3が収納される。
【0026】
ベース13A、13Bの第1ベース部131には、それぞれ、コネクタ電極14、15が配置されている。コネクタ電極14は、電極11のy軸方向の一端であって、前側の端に接続され、コネクタ電極15は、電極12の前側の端に接続されている。
【0027】
コネクタ電極14、15は、それぞれ、電極11、12と同一の材料で構成されている。この例では、電極11及びコネクタ電極14は銀、電極12及びコネクタ電極15はアルミニウムで構成されている。一例として、コネクタ電極14は電極11と同様に銀糸で構成され、コネクタ電極15は電極12と同様にアルミニウム糸で構成されている。これにより、コネクタ電極14、15は、それぞれ、電極11、12のベース13A、13Bへの縫製作業と一連の作業にてベース13A、13Bに縫い付けることができる。なお、電極11は、糸状又は帯状の構造を有し、正極となる材料であれば、どの様な材料を用いてもよく、例えば、マグネシウム、亜鉛や鉄を用いてもよい。また、電極12は、糸状又は帯状の構造を有し、負極となる材料であれば、どの様な材料を用いてもよく、例えば、錫、鉛、銅、ステンレス、カーボン、金や白金を用いてもよい。
【0028】
コネクタ電極14のX軸方向の長さ(幅)W3は、電極11のX軸方向の長さ(幅)W4より大きい。また、コネクタ電極15のX軸方向の長さ(幅)W3は、電極12の幅W5より大きい。これにより、後述するように収納体16にモジュール3を収納した際に、収納されたモジュール3のコネクタ電極31、32とコネクタ電極14、15との接続のための位置決めを容易、又は、不要とすることができる。
【0029】
好ましくは、コネクタ電極14、15を構成する、ベース13A、13Bに縫い付けられた糸の密度は、電極11、12を構成する、ベース13A、13Bに縫い付けられた糸の密度より高い。これにより、コネクタ電極14、15は、後述するように収納体16にモジュール3を収納した際に、収納されたモジュール3のコネクタ電極31、32と接触する可能性が高くなる。その結果、モジュール3のコネクタ電極31、32とコネクタ電極14、15との接続のための位置決めを容易、又は、不要とすることができるだけでなく、コネクタ電極14、15と収納されたモジュール3のコネクタ電極31、32との接触抵抗も下げることができる。
【0030】
図2に示されたように、センサ1は、ベース13A、13Bそれぞれに、y軸方向に沿って電極11、12を設け、それぞれの上端に、コネクタ電極14、15を形成する。これらは、それぞれ、ベース13A、13Bを導電性を有する糸で縫製することにより形成される。
【0031】
次に、第1センサ部材1A及び第2センサ部材1Bを、ベース13A、13Bの形状が一致、又は、概ね一致するように、x軸及びy軸で規定される平面に対して直交する方向(z軸方向)に重畳し、縫い合わせる。ベース13A、13Bには、最上辺以外の縁に縫い代133が設けられている。第1センサ部材1A及び第2センサ部材1Bは、縫い代133が縫い合わされることによって重畳し、固定される。
【0032】
このとき、ベース13A、13Bは、図2に表されたように、電極11、12が重ならないように重畳される。これにより、電極11、12は、x軸方向に間隔を空けて配置される。その結果、センサ1では、電極11、12間の液体の存在を発電によって検出できる。
【0033】
ベース13A、13Bが縫い代133で縫い合わされることによって、図3に表されたように、ベース13A、13Bそれぞれの第1ベース部131の間に空間16Aが生じる。これにより、空間16Aを、モジュール3を収容するスペースとして用い、収納体16を容易に構成することができる。
【0034】
縫い代133がベース13A、13Bの最上辺に設けられていないことによって、ベース13A、13Bが縫い代133で縫い合わされたときに、図3に表されたように、ベース13A、13Bの最上辺が収納体16の開口16Bを構成する。開口16Bは、収納体16へのモジュール3の挿入部として機能する。これにより、図3に表されたように、モジュール3を開口16Bから収納体16に容易に挿入することが可能になる。
【0035】
なお、収納体16へのモジュール3の挿入部は、収納体16の一部に設けられておればよく、最上辺に限定されない。すなわち、第1ベース部131の縁のうち、縫い代133が設けられない辺はx軸方向のいずかの辺であってもよい。他の例として、図4に表されたように、ベース13A、13Bの横辺が収納体16の開口16Cを構成してもよいし、両横辺が開口16Cを構成してもよい。この場合であっても、図4に表されたように、モジュール3を開口16Cから収納体16に容易に挿入することが可能になる。
【0036】
モジュール3は、一面と、その面の裏面側との両面にコネクタ電極31、32が設けられている。一例として、モジュール3は直方体であって、その六面のうちの向い合う2面にそれぞれコネクタ電極31、32が設けられている。コネクタ電極31、32は、それぞれ、正極、負極として機能する。
【0037】
図3又は図4に示されたように、モジュール3は、正極であるコネクタ電極31が正極であるコネクタ電極14に向き、負極であるコネクタ電極32が負極であるコネクタ電極15に向くように収納体16に収納される。コネクタ電極14、15は、それぞれ、収納体16の内側面に露出するよう第1ベース部131に縫い付けられている。そのため、コネクタ電極31、32は、それぞれ、収納体16の内側面に露出しているコネクタ電極14、15に接する。これにより、コネクタ電極14、15が、それぞれ、モジュール3のコネクタ電極31、32に接続されるようになる。その結果、電極11、12が、それぞれの端部に接続されているコネクタ電極14、15を介してモジュール3のコネクタ電極31、32に接続される。
【0038】
コネクタ電極14、15は、収納体16の内側面に露出するよう縫い付けられているため、モジュール3を収納体16に収納するだけで容易にコネクタ電極14、15をコネクタ電極31、32に接続することができる。このとき、コネクタ電極14、15の幅が電極11、12の幅より大きいため、コネクタ電極31、32との位置合わせが不要、又は、容易になる。また、モジュール3が外部に露出しないため、破損や汚れが防止できるとともに、コネクタ電極14、15に対する接続が損なわれることも防止できる。
【0039】
好ましくは、センサ1とモジュール3との少なくとも一方は、収納体16に収納されたモジュール3のコネクタ電極31、32と、収納体16内部のコネクタ電極14、15と、を密接させる密接部をさらに備える。
【0040】
図5は、密接部の具体例を表した概略図である。センサ1の密接部は、収納体16に収納されたモジュール3を、収納体16内面に押し付ける押付部材を備える。押付部材は、例えば、収納体16に外側から巻き回すベルト17であってもよい。好ましくは、ベルト17はゴムなどの弾性素材で構成されており、収納後のモジュール3を、収納体16の外部から固定する。押付部材は、ベルト17などの開き回すタイプの部材の他、クリップ型の挟み込むタイプの部材で収納体16を外部から挟み込むものであってもよいし、収納体16内部に設けられたボタンや面ファスナーなどの部材で収納体16の開口16Bを閉じるものであってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0041】
モジュール3の密接部は、モジュール3の表面に設けられた突起である。突起は、例えば、コネクタ電極31、32の設置された面に設けられた凸部33であってもよい。また、センサ1とモジュール3との両方がこれら構造を有していてもよい。センサ1とモジュール3との少なくとも一方が密接部を有することによって、収納体16に収納されたモジュール3のコネクタ電極31、32と収納体16内部のコネクタ電極14、15とが密接されるようになる。そのため、これらコネクタ電極の接続が確実になる。また、接続が維持されるようになる。
【0042】
図6は、モジュール3の構成を表した概略図である。モジュール3はセンサモジュールであって、センサ1が備える電極11、12での発電を検出し、検出結果を表す信号を出力する。詳しくは、図6に示されたように、モジュール3はキャパシタ34を備える。キャパシタ34は、コネクタ電極31、32及びコネクタ電極14、15を介してセンサ1に接続されて、電極11、12により発電された電力を蓄える。図6では、コネクタ電極31、32及びコネクタ電極14、15は省略されている。
【0043】
モジュール3は、間欠電源変換回路35を備える。間欠電源変換回路35の電源端子には、キャパシタ34が接続されている。間欠電源変換回路35は、キャパシタ34を動作電源として動作する。間欠電源変換回路35は、キャパシタ34の充電電圧を監視する。
【0044】
間欠電源変換回路35には、無線送信機36が接続されている。無線送信機36は、無線通信によって通信信号を出力する。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)や、Bluetooth Low Energy(登録商標)などである。
【0045】
間欠電源変換回路35は、キャパシタ34の充電電圧が、無線送信機36の駆動条件として設定された設定電圧に達したことを検出する。検出すると、間欠電源変換回路35は、キャパシタ34に充電された電力を無線送信機36に供給する。これにより、無線送信機36から無線信号SGが出力される。
【0046】
間欠電源変換回路35が無線送信機36に電力を供給することによってキャパシタ34の電力を消費する。消費すると、キャパシタ34の電位が低下し、間欠電源変換回路35は、動作を停止する。これにより、無線送信機36への電力の供給が停止する。電極11、12の発電が行われていれば、キャパシタ34には再び充電がなされる。
【0047】
電極11、12の発電が行われていれば、キャパシタ34は充放電を繰り返す。これに伴って、無線送信機36からの無線信号SGの出力は間欠的となる。従って、無線送信機36から出力される無線信号SGは、電極11、12間に存在する液体の検出を示す検出信号となる。
【0048】
無線送信機36からの無線信号SGの出力の間隔Hは、キャパシタ34への充電スピードに依存する。充電スピードは、発電量が多いほど早くなる。したがって、無線送信機36からの無線信号SGの出力の間隔Hは、電極11、12の発電量が多いほど、短くなり、発電量が少ないほど、長くなる。
【0049】
センサ1は、一例として、人体に装着される部材に設けられ、その部材における液体の有無の検出に用いられる。人体に装着される部材は、例えば、おむつである。センサ1が人体に装着される部材に設けられることによって、収納体16もその部材に設けられる。そのため、モジュール3を人体に装着される部材に挿入することができる。これにより、ウェアラブルな装置によって人体に装着される部材における液体の有無の検出を行うことができる。
【0050】
図7は、センサ1を、人体に装着される部材の一例としての吸収部材本体5に設け、吸収部材本体5における液体の存在を検出する検出システム100に用いた場合の概要を表した概略図である。検出システム100は、吸収部材本体5に設置されたセンサ1によって、吸収部材本体5に存在する液体を検出する。図8は、吸収部材本体5の、図7のVIII-VIII断面図である。図9は、吸収部材本体5の、図7のIX-IX断面図である。吸収部材本体5は、一例として、おむつとしての基本構成を備える。
【0051】
吸収部材本体5は、展開状態における平面視において、一方向に長い、ほぼ矩形状である。吸収部材本体5に対して、長手方向をY軸、長手方向に直交する短手方向をX軸、それらに直交する方向をZ軸と規定する。Y軸方向は、装着者に装着されるときに前後方向に一致する。すなわち、Y軸方向の各位置のうちの正の値の大きい位置を前側、負の大きい位置を後側とする。X軸方向は、幅方向に一致する。Z軸方向は、装着されるときに上下方向に一致し、Z軸の正方向が上向きで、装着者に装着されたときに装着者に向く側、Z軸の負方向が下向きで、装着者に装着されたときに外に向く側とする。
【0052】
吸収部材本体5は、表面シート51、裏面シート52、及び、吸収体53を備える。吸収体53は、表面シート51と裏面シート52との間に配置されている。吸収部材本体5の表面は、装着者に装着されたときに、装着者に接する側の面を指す。従って、装着者の排泄物は、表面シート51側から吸収体53へ与えられる。
【0053】
表面シート51は、ほぼ矩形状の液透過性シートである。表面シート51は、例えば、不織布又は織布によって形成されている。表面シート51は、装着者への装着時において、装着者の肌に接触する。表面シート51は、液体の透過性を向上させ、透過した液体が装着者側へ逆戻りし難いように構成されている。これにより、装着者から排泄された尿を吸収体53へ迅速に透過させることができる。したがって、表面シート51は、排尿があっても、吸収体53の吸水能力に余力がある限り、実質的に尿を保持せず、実質的に乾燥状態にある。この結果、装着者の肌に尿が接触するのが抑制される。
【0054】
裏面シート52は、ほぼ矩形状の非液透過性シートである。裏面シート52は、防水フィルム等を有する防水材によって形成されている。裏面シート52は、吸収体53によって吸収された尿が、外部に漏れ出すのを防止する。
【0055】
吸収体53は、パルプなどの吸収性繊維と、高吸収性ポリマーと、によって構成されている。高吸収性ポリマーによって、多くの液体を吸収体53に保持することができる。吸収体53は、一方向に長い、ほぼ矩形状のマット体である。吸収体53は、長手方向が吸収部材本体5のY軸方向と概ね一致し、吸収部材本体5の前側と後側とに跨って配置されている。したがって、吸収体53は、前側で排泄された尿を吸収するとともに、前側の吸収量を超えた尿を後側で吸収することができる。
【0056】
吸収体53と裏面シート52との間にセンサ1が配置されている。すなわち、センサ1は、吸収体53の裏面シート52側に配置されている。センサ1は、尿発電電池として機能する。
【0057】
センサ1は、y軸方向の正負の向きを吸収部材本体5のY軸方向の正負の向きと概ね一致させて吸収部材本体5に配置される。従って、電極11、12は、吸収部材本体5に対して、X軸方向に間隔を有して、Y軸方向に沿って設けられる。
【0058】
図8は、センサ1が配置された吸収部材本体5の後側でのセンサ1の断面、図9は前側であって、収納体16の位置でのセンサ1の断面を表している。図8を参照して、吸収部材本体5の後側には、電極11、12が、X軸方向に間隔を空けて配置されている。図9を参照して、吸収部材本体5の後側には、収納体16を構成するベース13A、13Bの間の空間16Aに、コネクタ電極31、32が、収納体16に設けられたコネクタ電極14、15にそれぞれ接するように、モジュール3が収納されている。
【0059】
センサ1は、重畳されたベース13A、13Bが吸収体53の裏面シート52側に接するように吸収部材本体5に配置される。
【0060】
重畳されたベース13A、13Bは吸収体53に接して配置されるため、吸収体53が吸収した液体は、重畳したベース13A、13Bに移動する。吸収体53からの液体を吸収した重畳されたベース13A、13Bが、電極11、12間の電流の発生経路となる。そのため、電極11、12には、吸収体53が吸収した液体に接することで、電流が発生する。これにより、センサ1は、吸収体53への液体吸収の検出用に用いられる。
【0061】
電極11、12が液体に接している面積が大きいほど、発電量は多くなる。すなわち、電極11、12は、長手方向を吸収体53の長手方向と概ね一致させ、吸収体53に接して配置されていることから、吸収体53に吸収された液体の量が多いほど、発電量は多くなる。従って、図6に表されたように、無線送信機36からの無線信号SGの出力の間隔Hは、吸収体53に吸収された液体の量を表している。
【0062】
図7に示されるように、検出システム100は、受信機7を含んでいてもよい。受信機7は、無線送信機36から送信された無線信号SGを受信する。受信機7は、管理装置9に接続されていてもよい。管理装置9は、受信機7から、受信データを与えられる。管理装置9は、プロセッサ91及びメモリ92を有するコンピュータであって、一例として、スマートフォンなどの端末装置であってよい。
【0063】
プロセッサ91は、メモリ92に格納されたプログラムを実行することにより、吸収部材本体5の吸収体53の吸水度合に関する処理を行うことができる。吸収部材本体5の吸収体53の吸水度合に関する処理は、例えば、おむつ交換の要否判断の処理である。吸収部材本体5は、吸収体53の後側まで液体が達すると、交換時期とする。おむつ交換が必要と判断された場合、管理装置9の出力装置93は、おむつ交換が必要であることを出力する。
【0064】
発明者らは、本実施の形態に係るセンサ1のセンシングを評価するための実験を行った。実験では、センサ1を吸収部材本体5に配置し、吸収部材本体5に液体600mlを注入した後、受信機7での無線信号SGの受信の有無を測定して、図10の測定結果を得た。縦軸は、無線信号SGの受信の有無を表し、「0」は受信なし、「1」が受信ありを示している。横軸は、吸収部材本体5に液体600mlを注入した後からの経過時間を表している。従って、図10の測定結果は、液体の注入後に無線信号SGを受信したタイミングが、液体の注入からの経過時間によって示されている。
【0065】
図10の結果より、液体の注入の後、600秒経過したタイミングに無線信号SGの受信が開始している。すなわち、吸収部材本体5に液体600mlを注入した場合、センサ1を用いることで600秒後に検知されることがわかった。
【0066】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態では、液体の例として、尿で説明したが、尿に限定されるものではなく、電極に接することで、電極に発電電力が発生する液体であれば、様々な液体が検知可能である。漏水センサや雨水センサとして利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 :センサ
1A :第1センサ部材
1B :第2センサ部材
3 :モジュール
5 :吸収部材本体
7 :受信機
9 :管理装置
11 :電極
12 :電極
13A :ベース
13B :ベース
14 :コネクタ電極
15 :コネクタ電極
16 :収納体
16A :空間
16B :開口
16C :開口
17 :ベルト
31 :コネクタ電極
32 :コネクタ電極
33 :凸部
34 :キャパシタ
35 :間欠電源変換回路
36 :無線送信機
51 :表面シート
52 :裏面シート
53 :吸収体
91 :プロセッサ
92 :メモリ
93 :出力装置
100 :検出システム
111 :第1部分
112 :第2部分
131 :第1ベース部
132 :第2ベース部
133 :縫い代
H :間隔
SG :無線信号
W1 :幅
W2 :幅
W3 :幅
W4 :幅
W5 :幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10