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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048000
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】汚染物質測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240401BHJP
   G01N 33/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G01N33/53 S
G01N33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153814
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】510331917
【氏名又は名称】株式会社シーズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】戸井田 秀基
(57)【要約】
【課題】洗浄が所望される流路を効率よく洗浄できる汚染物質測定装置1を提供することを目的とする。
【解決手段】抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液における未反応抗体を測定セル161で捕捉し、捕捉した未反応抗体の量に基づいて汚染物質の濃度を測定する汚染物質測定装置1であって、試料溶液を測定セル161に供給する試料流路部15と、試料流路部15を開閉する試料流路開閉弁と、試料溶液を除去するための洗浄溶液が流れる洗浄流路部14と、洗浄流路部14を開閉する洗浄流路開閉弁とを備え、測定セル161が、洗浄流路部14に接続され、試料流路開閉弁よりも下流側で試料流路部15を構成する管体(B0流路管151、校正流路管152、測定流路管153)が、洗浄流路開閉弁よりも下流側の洗浄流路部14に連通状態で接続されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液における未反応の前記抗体を測定セルで捕捉し、捕捉した未反応の前記抗体の量に基づいて前記汚染物質の量を測定する汚染物質測定装置であって、
前記試料溶液を前記測定セルに供給する試料流路と、
該試料流路を開閉する試料流路開閉弁と、
前記試料溶液を除去するための洗浄溶液が流れる洗浄流路と、
該洗浄流路を開閉する洗浄流路開閉弁とを備え、
前記測定セルが、前記洗浄流路に接続され、
前記試料流路開閉弁よりも下流側で前記試料流路を構成する管体が、
前記洗浄流路開閉弁よりも下流側の前記洗浄流路に連通状態で接続された
汚染物質測定装置。
【請求項2】
前記測定セルが、
上方から下方へ向かう鉛直方向に延びる前記洗浄流路に接続され、
前記試料流路の前記管体が、
前記鉛直方向に対して斜め下方に交差する交差方向に沿って前記洗浄流路に接続された
請求項1に記載の汚染物質測定装置。
【請求項3】
前記試料流路は、
既知量の前記抗体を含む標準試料溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する標準試料流路と、
既知量の前記抗体及び未知量の前記汚染物質を含む測定溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する測定流路とで構成され、
前記測定流路を構成する管体が、
前記標準試料流路を構成する管体よりも前記測定セル側で、前記洗浄流路に接続された
請求項1に記載の汚染物質測定装置。
【請求項4】
前記標準試料流路は、
既知量の前記抗体のみを含むB0溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給するB0流路と、
既知量の前記汚染物質及び既知量の前記抗体を含む校正溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する校正流路とで構成され、
前記校正流路を構成する管体が、
前記B0流路を構成する管体よりも前記測定セル側で、前記洗浄流路に接続された
請求項3に記載の汚染物質測定装置。
【請求項5】
前記洗浄流路は、
未反応の前記抗体を解離させる再生溶液を、前記洗浄流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する再生流路と、
前記抗体及び前記汚染物質を含まないバッファー溶液を、前記洗浄流路開閉弁を介して前記測定セルに供給するバッファー流路とで構成され、
前記測定セルが、前記再生流路に接続され、
前記洗浄流路開閉弁よりも下流側で前記バッファー流路を構成する管体が、
前記試料流路の前記管体よりも上流側で、前記再生流路に接続された
請求項1に記載の汚染物質測定装置。
【請求項6】
前記試料溶液、前記再生溶液、及び前記バッファー溶液を加圧して、それぞれ前記試料流路、前記再生流路及び前記バッファー流路に圧送する加圧手段と、
前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記試料流路の前記試料流路開閉弁の開閉、前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記再生流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉をこの順番で行う制御部とを備えた
請求項5に記載の汚染物質測定装置。
【請求項7】
前記洗浄流路の流路上に、少なくとも前記試料流路の前記管体が接続される継手部を備えた
請求項1に記載の汚染物質測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばダイオキシン類などの環境汚染物質の濃度を測定するような汚染物質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染物質の一つであるダイオキシン類は、生体に対する毒性が強いことが知られている。このため、例えばダイオキシン類のような環境汚染物質を自然環境に排出する場合、排出される環境汚染物質の量を測定する必要がある。
【0003】
この環境汚染物質の量を測定する装置として、例えば特許文献1には、抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液を、抗体を捕捉する測定セルに流して、汚染物質の量を測定する汚染物質測定装置が開示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、まず蛍光試薬により標識化した抗体と汚染物質とを抗原抗体反応させ、反応によって生じた複合体と未反応の抗体とを含有する試料溶液を生成する。この試料溶液を測定セルに流すことで、特許文献1は、試料溶液中の未反応の抗体を測定セルに捕捉させている。
【0005】
その後、特許文献1は、測定セルで捕捉した未反応の抗体の量を蛍光強度として測定し、抗体の総量から未反応の抗体の量を差し引くことで、汚染物質の量を算出している。
そして、特許文献1の汚染物質測定装置は、測定のたびに試料溶液を流す流路及び測定セルを洗浄溶液で洗浄して、複合体や未反応の抗体を除去することで、安定した測定精度を維持している。
【0006】
ところで、特許文献1では、試料溶液や洗浄溶液をそれぞれ貯留する複数の貯留瓶に接続された複数の管体を、流路を切り換える方向切換弁を介して、測定セルに接続している。このため、特許文献1では、少なくとも方向切換弁の内部から測定セルの下流に至る流路に、複合体や未反応の抗体を除去するための洗浄溶液を流す必要がある。
【0007】
そうすると、特許文献1では、洗浄溶液を流す流路が長くなり易く、かつ測定のたびに方向切換弁を切り換えて洗浄する必要があるため、洗浄効率の観点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6710403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑み、洗浄が所望される流路を効率よく洗浄できる汚染物質測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液における未反応の前記抗体を測定セルで捕捉し、捕捉した未反応の前記抗体の量に基づいて前記汚染物質の量を測定する汚染物質測定装置であって、前記試料溶液を前記測定セルに供給する試料流路と、該試料流路を開閉する試料流路開閉弁と、前記試料溶液を除去するための洗浄溶液が流れる洗浄流路と、該洗浄流路を開閉する洗浄流路開閉弁とを備え、前記測定セルが、前記洗浄流路に接続され、前記試料流路開閉弁よりも下流側で前記試料流路を構成する管体が、前記洗浄流路開閉弁よりも下流側の前記洗浄流路に連通状態で接続されたことを特徴とする。
【0011】
上記汚染物質とは、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニルなどの環境汚染物質のことをいう。
上記試料溶液とは、既知量の抗体のみを含む溶液、既知量の抗体及び既知量の汚染物質を含む溶液、既知量の抗体及び未知量の汚染物質を含む溶液、あるいは既知量の抗体及び抗体と汚染物質との複合体を既知量含む溶液などのことをいう。
【0012】
上記洗浄溶液とは、測定セルが捕捉した抗体を解離して測定セルを再生するための溶液や、抗体及び汚染物質を含まない溶液などのことをいう。
上記試料流路の管体とは、例えば可撓性を有するホース状の管体、鋼管のような管体などのことをいう。
【0013】
この発明によれば、試料流路開閉弁よりも下流側で試料流路を構成する管体が、洗浄流路開閉弁よりも下流側の洗浄流路に接続されるため、抗体を含有する試料溶液が洗浄流路の一部を介して測定セルに供給される。
【0014】
この際、試料流路の管体と洗浄流路との接続箇所よりも上流側に試料流路開閉弁及び洗浄流路開閉弁を設けているため、汚染物質測定装置は、試料流路の管体と洗浄流路との接続箇所に、流路を切り換える流路切換弁を設けることなく、試料溶液と洗浄溶液とを別々に測定セルに供給することができる。
【0015】
このため、汚染物質測定装置は、試料流路の管体を測定セルに近い位置で洗浄流路に接続することができる。
これにより、汚染物質測定装置は、試料流路の管体と洗浄流路との接続箇所から測定セルの下流に至る流路の長さ、すなわち洗浄が所望される流路の長さを短くすることができる。
【0016】
さらに、洗浄が所望される流路の長さが短くなることで、汚染物質測定装置は、洗浄溶液の使用量を抑えられるとともに、洗浄に要する時間を短縮することができる。
よって、汚染物質測定装置は、洗浄が所望される流路を効率よく洗浄することができる。
【0017】
この発明の態様として、前記測定セルが、上方から下方へ向かう鉛直方向に延びる前記洗浄流路に接続され、前記試料流路の前記管体が、前記鉛直方向に対して斜め下方に交差する交差方向に沿って前記洗浄流路に接続されてもよい。
【0018】
この構成によれば、鉛直方向に延びる洗浄流路に対して、試料流路が斜め下方に交差する交差方向に接続されているため、洗浄流路の一部に流入する試料溶液が、測定セルとは逆の上流側へ流れることを防止できるとともに、抗体を含有する試料溶液が試料流路の管体に残留することを防止できる。
【0019】
さらに、洗浄溶液が上方から下方へ向けて流れるため、汚染物質測定装置は、洗浄溶液に作用する重力によって、洗浄溶液を測定セルよりも下流へ向けて勢いよく流すことができる。
これにより、汚染物質測定装置は、洗浄溶液の使用量を抑えて洗浄できるため、洗浄が所望される流路をより効率よく洗浄することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記試料流路は、既知量の前記抗体を含む標準試料溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する標準試料流路と、既知量の前記抗体及び未知量の前記汚染物質を含む測定溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する測定流路とで構成され、前記測定流路を構成する管体が、前記標準試料流路を構成する管体よりも前記測定セル側で、前記洗浄流路に接続されてもよい。
【0021】
上記標準試料とは、既知量の抗体のみを含む溶液、既知量の汚染物質及び既知量の抗体を含む溶液、あるいは既知量の抗体及び抗体と汚染物質との複合体を既知量含む溶液などのことをいう。
【0022】
この構成によれば、測定流路の管体が標準試料流路の管体よりも測定セル側で洗浄流路に接続されているため、未知量の汚染物質を流す測定流路の管体をより測定セルに近い位置で洗浄流路に接続することができる。
【0023】
これにより、汚染物質測定装置は、未知量の汚染物質が流れる流路の長さを短くすることができる。このため、汚染物質測定装置は、洗浄が所望される流路を、洗浄溶液の使用量を抑えて効率よく洗浄することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記標準試料流路は、既知量の前記抗体のみを含むB0溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給するB0流路と、既知量の前記汚染物質及び既知量の前記抗体を含む校正溶液を、前記試料流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する校正流路とで構成され、前記校正流路を構成する管体が、前記B0流路を構成する管体よりも前記測定セル側で、前記洗浄流路に接続されてもよい。
【0025】
この構成によれば、校正流路の管体がB0流路の管体よりも測定セル側で洗浄流路に接続されているため、既知量の汚染物質を流す校正流路の管体をより測定セルに近い位置で洗浄流路に接続することができる。
【0026】
これにより、汚染物質測定装置は、既知量の汚染物質が流れる流路の長さを短くすることができる。このため、汚染物質測定装置は、洗浄が所望される流路を、洗浄溶液の使用量を抑えて効率よく洗浄することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記洗浄流路は、未反応の前記抗体を解離させる再生溶液を、前記洗浄流路開閉弁を介して前記測定セルに供給する再生流路と、前記抗体及び前記汚染物質を含まないバッファー溶液を、前記洗浄流路開閉弁を介して前記測定セルに供給するバッファー流路とで構成され、前記測定セルが、前記再生流路に接続され、前記洗浄流路開閉弁よりも下流側で前記バッファー流路を構成する管体が、前記試料流路の前記管体よりも上流側で、前記再生流路に接続されてもよい。
【0028】
この構成によれば、バッファー流路の管体が試料流路の管体よりも上流側で再生流路に接続されているため、試料溶液を流す試料流路をバッファー溶液で確実に洗い流すことができる。このため、汚染物質測定装置は、試料溶液を流す試料流路の状態を、未反応の抗体の測定に適した状態にすることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記試料溶液、前記再生溶液、及び前記バッファー溶液を加圧して、それぞれ前記試料流路、前記再生流路及び前記バッファー流路に圧送する加圧手段と、前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記試料流路の前記試料流路開閉弁の開閉、前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記再生流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉、前記バッファー流路の前記洗浄流路開閉弁の開閉をこの順番で行う制御部とを備えてもよい。
【0030】
この構成によれば、試料溶液、再生溶液及びバッファー溶液を途切れなく順番に測定セルへ供給することができる。
さらに、試料溶液または再生溶液を測定セルに供給するたびに、バッファー溶液が測定セルへ供給されるため、汚染物質測定装置は、試料流路に試料溶液が残留することを確実に防止することができる。
このため、汚染物質測定装置は、試料溶液を流す試料流路の状態を、未反応の抗体の測定により適した状態にすることができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記洗浄流路の流路上に、少なくとも前記試料流路の前記管体が接続される継手部を備えてもよい。
この構成によれば、試料流路の管体が継手部を介して洗浄流路に接続されるため、例えば試料流路の管体と洗浄流路の構成素材とが異なる場合であっても、試料流路の管体と洗浄流路との接続を容易にすることができる。
【0032】
これにより、汚染物質測定装置は、例えば可撓性を有する素材で試料流路の管体を構成できるため、試料流路のレイアウトの自由度を向上するとともに、装置の小型化を図ることができる。
さらに、試料流路の管体が着脱自在な継手部とすることで、汚染物質測定装置は、洗浄が所望される流路の洗浄効率を損なうことなく、試料流路のメンテナンス性を向上することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、洗浄が所望される流路を効率よく洗浄できる汚染物質測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】汚染物質測定装置の構成を示す構成図。
図2】装置本体の構成を示す構成図。
図3】汚染物質測定装置の内部構成を示すブロック図。
図4】装置本体の処理動作を示すフローチャート。
図5】溶液測定処理の処理動作を示すフローチャート。
図6】バッファー溶液の流れを説明する説明図。
図7】B0溶液の流れを説明する説明図。
図8】再生溶液の流れを説明する説明図。
図9】校正溶液の流れを説明する説明図。
図10】測定溶液の流れを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態は、例えばダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルなどの汚染物質の濃度を測定する汚染物質測定装置1について、図1から図3を用いて説明する。
なお、図1は汚染物質測定装置1の構成図を示し、図2は装置本体10の構成図を示し、図3は汚染物質測定装置1のブロック図を示している。
【0036】
まず、汚染物質測定装置1は、抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液を、抗原誘導体固相化担体を充填した測定セルに流すことで、試料溶液中の未反応の抗体(以下、未反応抗体と呼ぶ)を測定セルによって捕捉し、捕捉した未反応抗体の量を蛍光強度として測定する機能を有している。
【0037】
さらに、汚染物質測定装置1は、抗体の総量から測定セルで捕捉した未反応抗体の量を差し引くことで、試料溶液中の汚染物質の濃度を算出する機能を有している。このため、抗体は、蛍光試薬によって標識化されている。
【0038】
このような汚染物質測定装置1は、図1に示すように、環境汚染物質の濃度を測定する装置本体10と、装置本体10の操作部として機能する操作端末20とで構成されている。
【0039】
汚染物質測定装置1の装置本体10は、図2に示すように、略箱状の筐体10a(図1参照)の内部に、エアポンプ11、エアポンプ11で発生した圧縮空気が下流へ向けて流れる送気流路部12、所定溶液を貯留した5つの貯留瓶13、及び貯留瓶13の所定溶液が下流へ向けて流れる洗浄流路部14及び試料流路部15を備えている。
【0040】
さらに、装置本体10は、図2に示すように、試料流路部15を介して供給された所定溶液中の未反応抗体の量を蛍光強度として測定する光学測定部16、光学測定部16を通った所定溶液を排液として流す排液流路部17、及びエアポンプ11や光学測定部16などの各部の動作を制御する制御部18(図3参照)を筐体10aの内部に備えている。
【0041】
詳述すると、装置本体10のエアポンプ11は、後述する制御部18に接続され、制御部18の指示によって圧縮空気を発生させるとともに、発生させた圧縮空気を所定圧力で出力する機能を有している。例えばエアポンプ11は、120kPaの圧縮空気を出力可能に調整されている。
【0042】
また、装置本体10の送気流路部12は、図2に示すように、エアポンプ11の圧縮空気を5つの貯留瓶13に流す送気流路を構成する上流送気管121、分岐送気管122、及び5つの下流送気管123と、エアポンプ11と貯留瓶13とを繋ぐ送気流路上に配置されたレギュレータ124、流速調整部125、圧力計126及び空気流量計127とを備えている。
【0043】
具体的には、上流送気管121は、図2に示すように、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体であって、一端がエアポンプ11に接続され、他端が分岐送気管122に接続されている。この上流送気管121には、レギュレータ124、流速調整部125、圧力計126及び空気流量計127が配置されている。
【0044】
分岐送気管122は、上流送気管121からの圧縮空気を5つの下流送気管123に分配する管体である。この分岐送気管122は、図2に示すように、上流送気管121に連通する主流路部分122aと、主流路部分122aから分岐した5つの分岐流路部分122bとを有している。
【0045】
5つの下流送気管123は、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成されている。この5つの下流送気管123は、図2に示すように、それぞれ一端が分岐流路部分122bに連通するように分岐送気管122に接続され、他端が後述する5つの貯留瓶13の上部における内部空間にそれぞれ連通している。
【0046】
また、送気流路部12のレギュレータ124は、図2に示すように、上流送気管121上における上流側に配置されている。このレギュレータ124は、エアポンプ11で発生した圧縮空気の圧力を調整して下流へ向けて出力する機能を有している。例えばレギュレータ124は、エアポンプ11で発生した120kPaの圧縮空気を、100kPaに減圧して出力するように調整されている。
【0047】
送気流路部12の流速調整部125は、図2に示すように、レギュレータ124よりも分岐送気管122側の上流送気管121上に配置されている。この流速調整部125は、分岐送気管122へ向かう圧縮空気の流速を、作業員による操作によって調整可能に構成されている。
【0048】
なお、流速調整部125は、例えばレギュレータ124が100kPaに調整されている場合、後述する空気流量計127で測定される流速が0.75ml/minとなるように予め調整されている。
【0049】
送気流路部12の圧力計126は、図2に示すように、流速調整部125よりも分岐送気管122側の上流送気管121に接続されている。この圧力計126は、上流送気管121を通過する圧縮空気の圧力を測定する機能と、測定した圧縮空気の圧力を表示する機能とを有している。
さらに、圧力計126は、図3に示すように、後述する制御部18に接続され、圧縮空気の圧力を示す信号を制御部18に出力する機能を有している。
【0050】
送気流路部12の空気流量計127は、図2に示すように、圧力計126よりも分岐送気管122側の上流送気管121上に配置されている。この空気流量計127は、分岐送気管122へ向かう圧縮空気の流量を測定する機能を有している。
【0051】
さらに、空気流量計127は、図2に示すように、測定した圧縮空気の流量を表示する流量モニター128が接続されている。この流量モニター128は、図3に示すように、後述する制御部18に接続され、圧縮空気の流量を示す信号を制御部18に出力する機能を有している。
【0052】
また、装置本体10の5つの貯留瓶13は、図1に示すように、筐体10aの下部に着脱自在に並置され、それぞれ所定溶液を密閉状態で貯留している。この5つの貯留瓶13には、図2に示すように、5つの下流送気管123がそれぞれ内部空間に突出した状態で接続されている。
【0053】
なお、5つの貯留瓶13に貯留される所定溶液は、測定溶液、校正溶液、B0溶液、バッファー溶液及び再生溶液とする。さらに、所定溶液のうち、校正溶液及びB0溶液を校正のための標準試料溶液とし、標準試料溶液及び測定溶液を測定対象となる試料溶液とし、バッファー溶液及び再生溶液を試料溶液の含有成分を除去するための洗浄液とする。
【0054】
具体的には、5つの貯留瓶13は、図2に示すように、上述した測定溶液を貯留する測定溶液瓶131と、校正溶液を貯留する校正溶液瓶132と、B0溶液を貯留するB0溶液瓶133と、バッファー溶液を貯留するバッファー溶液瓶134と、再生溶液を貯留する再生溶液瓶135とで構成されている。
【0055】
ここで、所定溶液である測定溶液、校正溶液、B0溶液、バッファー溶液、及び再生溶液について説明する。
測定溶液は、試料溶液の一つであって、抗原抗体反応によって生成された環境汚染物質と抗体との複合体、及び未反応抗体をそれぞれ未知量含有している。この測定溶液は、抗原であるダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルなどの環境汚染物質を未知量含有する溶液と、蛍光標識した抗体を既知量含有する溶液とを混ぜ合わせて生成されている。
【0056】
校正溶液は、試料溶液の一つであって、抗原抗体反応によって生成された環境汚染物質と抗体との複合体、及び未反応抗体をそれぞれ既知量含有している。この校正溶液は、汚染物質を既知量含有する溶液と、抗体を既知量含有する溶液とを混ぜ合わせて生成されている。
【0057】
B0溶液は、試料溶液の一つであって、抗原である汚染物質を含有せず、既知量の抗体のみを含有する溶液である。このため、B0溶液は、後述する光学測定部16において、補足される未反応抗体の量が最も多くなる溶液である。
【0058】
バッファー溶液は、洗浄溶液の一つであって、汚染物質及び抗体を含有していない溶液である。
再生溶液は、洗浄溶液の一つであって、汚染物質及び抗体を含有せず、測定セル161が捕捉した未反応抗体を、測定セル161から解離させる溶液である。
【0059】
また、装置本体10の洗浄流路部14は、図2に示すように、再生流路管141及びバッファー流路管142と、第1電磁弁143及び第2電磁弁144と、下流継手部145及び上流継手部146とを備えている。
【0060】
そして、洗浄流路部14は、再生流路管141、第1電磁弁143、下流継手部145及び上流継手部146が、再生溶液瓶135の再生溶液が測定セル161へ向けて流れる再生流路を構成している。
【0061】
さらに、洗浄流路部14は、バッファー流路管142、第2電磁弁144、上流継手部146及び再生流路管141の一部が、バッファー溶液瓶134のバッファー溶液が測定セル161へ向けて流れるバッファー流路を構成している。
なお、上述した再生流路管141及びバッファー流路管142は、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成されている。
【0062】
より詳しくは、再生流路管141は、再生溶液瓶135側の一端が常に再生溶液に接触するように、再生溶液瓶135の下部と測定セル161とを第1電磁弁143、下流継手部145及び上流継手部146を介して連通可能に接続している。
なお、再生流路管141は、図1及び図2に示すように、第1電磁弁143よりも測定セル161側が、上方から下方へ向かう鉛直方向に延びるように配索されている。
【0063】
バッファー流路管142は、バッファー溶液瓶134側の一端が常にバッファー溶液に接触するように、バッファー溶液瓶134の下部と再生流路管141とを、第2電磁弁144及び上流継手部146を介して連通可能に接続している。
【0064】
なお、バッファー流路管142は、第2電磁弁144よりも下流側の部分が、再生流路管141の鉛直方向に配索された部分に対して、上方から斜め下方に向けて交差する方向に沿って接続されている。
【0065】
また、第1電磁弁143及び第2電磁弁144は、図2に示すように、第1電磁弁143が再生流路管141上に配置され、第2電磁弁144がバッファー流路管142上に配置されている。
この第1電磁弁143及び第2電磁弁144は、図3に示すように、それぞれ制御部18に接続され、制御部18の指示によって各流路管の内部を閉塞する閉弁状態と、閉塞を開放する開弁状態とに移行するように構成されている。
【0066】
また、装置本体10の試料流路部15は、図2に示すように、B0流路管151、校正流路管152、測定流路管153及び再生流路管141の一部と、第3電磁弁154、第4電磁弁155、及び第5電磁弁156と、下流継手部145及び上流継手部146とを備えている。
【0067】
そして、試料流路部15は、B0流路管151、第3電磁弁154、上流継手部146及び再生流路管141の一部が、B0溶液瓶133のB0溶液が測定セル161へ向けて流れるB0流路を構成している。
さらに、試料流路部15は、校正流路管152、第4電磁弁155、下流継手部145及び再生流路管141の一部が、校正溶液瓶132の校正溶液が測定セル161へ向けて流れる校正流路を構成している。
【0068】
加えて、試料流路部15は、測定流路管153、第5電磁弁156、下流継手部145及び再生流路管141の一部が、測定溶液瓶131の測定溶液が測定セル161へ向けて流れる測定流路を構成している。
なお、上述したB0流路管151、校正流路管152及び測定流路管153は、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成されている。
【0069】
より詳しくは、B0流路管151は、B0溶液瓶133側の一端が常にB0溶液に接触するように、B0溶液瓶133の下部と再生流路管141とを、第3電磁弁154及び上流継手部146を介して連通可能に接続している。
【0070】
なお、B0流路管151は、バッファー流路管142よりも測定セル161側において、第3電磁弁154よりも下流側の部分が、再生流路管141の鉛直方向に配索された部分に対して、上方から斜め下方に向けて交差する方向に沿って接続されている。
【0071】
校正流路管152は、校正溶液瓶132側の一端が校正溶液に常に接触するように、校正溶液瓶132の下部と再生流路管141とを、第4電磁弁155及び下流継手部145を介して連通可能に接続している。
【0072】
なお、校正流路管152は、第4電磁弁155よりも下流側の部分が、再生流路管141の鉛直方向に配索された部分に対して、上方から斜め下方に向けて交差する方向に沿って接続されている。
【0073】
測定流路管153は、測定溶液瓶131側の一端が測定溶液に常に接触するように、測定溶液瓶131の下部と再生流路管141とを、第5電磁弁156及び下流継手部145を介して連通可能に接続している。
【0074】
なお、測定流路管153は、校正流路管152よりも測定セル161側において、第5電磁弁156よりも下流側の部分が、再生流路管141の鉛直方向に配索された部分に対して、上方から斜め下方に向けて交差する方向に沿って接続されている。
【0075】
また、第3電磁弁154、第4電磁弁155及び第5電磁弁156は、図2に示すように、第3電磁弁154がB0流路管151上に配置され、第4電磁弁155が校正流路管152上に配置され、第5電磁弁156が測定流路管153上に配置されている。
この第3電磁弁154、第4電磁弁155及び第5電磁弁156は、図3に示すように、それぞれ制御部18に接続され、制御部18の指示によって各流路管の内部を閉塞する閉弁状態と、閉塞を開放する開弁状態とに移行するように構成されている。
【0076】
また、下流継手部145及び上流継手部146は、図2に示すように、再生流路管141の鉛直方向に配索された部分において、下流継手部145が光学測定部16の直上、かつ光学測定部16に近接する位置に配置され、上流継手部146が下流継手部145に対して上流側に所定間隔を隔てた位置に配置されている。
【0077】
この下流継手部145及び上流継手部146は、上端と下端とを鉛直方向に連通する鉛直流路(図示省略)と、上下方向に所定間隔を隔てて設けられ、鉛直流路に対して上方から斜め下方に連通する2つの斜め流路(図示省略)とを、それぞれ内部に有している。
【0078】
より詳しくは、下流継手部145は、図2に示すように、鉛直流路が再生溶液を流す再生流路を構成するように、再生流路管141上に配置されている。さらに、下流継手部145は、上側の斜め流路が校正溶液を流す校正流路を構成し、下側の斜め流路が測定溶液を流す測定流路を構成するように、校正流路管152及び測定流路管153が接続されている。
【0079】
一方、上流継手部146は、図2に示すように、鉛直流路が再生溶液を流す再生流路を構成するように、再生流路管141上に配置されている。さらに、上流継手部146は、上側の斜め流路がバッファー溶液を流すバッファー流路を構成し、下側の斜め流路がB0溶液を流すB0流路を構成するように、バッファー流路管142及びB0流路管151が接続されている。
【0080】
なお、下流継手部145及び上流継手部146は、再生流路管141、バッファー流路管142、B0流路管151、校正流路管152及び測定流路管153が、それぞれ着脱自在に接続できるように構成されている。
【0081】
また、装置本体10の光学測定部16は、蛍光標識された未反応抗体の量を測定する部位である。この光学測定部16は、図2に示すように、未反応抗体を捕捉する抗原誘導体固相化担体を充填した測定セル161と、測定セル161へ向けて励起光を照射する光源部162と、抗原誘導体固相化担体の蛍光を受光する光センサー163などで構成されている。
【0082】
具体的には、測定セル161は、図2に示すように、再生流路管141に接続された上端から下方へ延びるとともに、測定溶液などの所定溶液が上方から下方へ向けて流動可能に構成されている。
【0083】
光源部162及び光センサー163は、図2に示すように、測定セル161を挟んで水平方向に対向配置されている。この光源部162及び光センサー163は、図3に示すように、後述する制御部18に接続されている。
【0084】
なお、光源部162は、制御部18の指示によって励起光を照射する機能を有している。一方、光センサー163は、抗原誘導体固相化担体の蛍光を蛍光強度として受光する機能と、蛍光強度を示す信号を制御部18に出力する機能を有している。
【0085】
また、装置本体10の排液流路部17は、図2に示すように、測定セル161を通過した測定溶液などの所定溶液を排液として流す排液流路を構成する排液流路管171と、排液流路上に配置された排液流量計172及び定流量弁173とを備えている。
【0086】
具体的には、排液流路管171は、図2に示すように、例えば樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成され、一端が測定セル161の下端に接続されている。なお、詳細な図示を省略するが、排液流路管171の他端は、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に接続されている。
【0087】
排液流路部17の排液流量計172は、図2に示すように、排液流路管171上における上流側に配置されている。この排液流量計172は、排液流路管171を流れる排液の流量を測定する機能を有している。
さらに、排液流量計172は、図3に示すように、後述する制御部18に接続され、測定した排液の流量を示す信号を制御部18に出力する機能を有している。
【0088】
排液流路部17の定流量弁173は、図2に示すように、排液流量計172よりも下流側の排液流路管171上に配置されている。この定流量弁173は、定流量弁173よりも下流側の排液流路管171を流れる排液の流量が略一定となるように、定流量弁173を通過する排液の流量を調整する機能を有している。
【0089】
なお、定流量弁173は、測定セル161を通過する測定溶液などの所定溶液の流量が所望される流量となるように予め調整されている。この際、例えば作業員は、排液流量計172で測定された排液の流量を確認しながら調整する。
【0090】
また、装置本体10の制御部18は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
この制御部18は、接続された各部との各種信号の授受に係る処理を行う機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0091】
さらに、制御部18は、図3に示すように、入出力部19を介して、操作端末20と通信可能に接続され、操作端末20との各種信号の授受に係る処理を行う機能と、操作端末20からの信号に基づいて各部の動作を制御する機能とを有している。
【0092】
一方、汚染物質測定装置1の操作端末20は、例えば作業員が使用するパソコンなどであって、装置本体10を操作する操作部として機能する端末である。
なお、操作端末20は、周知技術で構成されているため、ここではその詳細な説明を省略して簡単に説明する。
【0093】
この操作端末20は、図3に示すように、各種情報を表示する表示部21と、作業員の操作を受け付ける操作受付部22と、装置本体10との間で各種情報の授受を行うためのプログラムや装置本体10から取得した時系列データなどを記憶する記憶部23とを備えている。
【0094】
さらに、操作端末20は、表示部21、操作受付部22及び記憶部23の動作を制御する機能と、装置本体10との各種信号の授受に係る処理を行う機能と、装置本体10から取得した時系列データを処理する機能とを有する端末制御部(図示省略)を備えている。
【0095】
このような汚染物質測定装置1を用いて汚染物質の濃度を測定する場合、作業員は、装置本体10と操作端末20とを接続したのち、規定量の溶液を貯留した各貯留瓶13を装置本体10にセットする。
【0096】
その後、作業員は、操作端末20の表示部21に表示された画面の案内にしたがって、操作端末20の操作受付部22を操作する。
例えば、作業員は、エアポンプ11を稼働させる操作、蛍光強度を測定開始する操作などを、表示部21に表示された圧力計126の数値などを確認しながら行う。
【0097】
そして、装置本体10において測定された蛍光強度の時系列データを装置本体10から取得すると、操作端末20は、時系列データから未反応抗体の量を算出するとともに、抗体の総量から未反応抗体の量を差し引いた値に基づいて、汚染物質の濃度を算出する。その後、操作端末20は、時系列データ及び汚染物質の濃度を表示部21に表示する。
【0098】
次に、上述した汚染物質測定装置1において、測定セル161に対して再生溶液、バッファー溶液、B0溶液、校正溶液及び測定溶液を供給するとともに、光センサー163が受光した蛍光強度を示す情報を時系列データとして操作端末20に出力する装置本体10の処理動作について、図4から図10を用いて説明する。
【0099】
なお、図4は装置本体10における処理動作のフローチャートを示し、図5は溶液測定処理における処理動作のフローチャートを示し、図6はバッファー溶液の流れを説明する説明図を示している。
【0100】
さらに、図7はB0溶液の流れを説明する説明図を示し、図8は再生溶液の流れを説明する説明図を示し、図9は校正溶液の流れを説明する説明図を示し、図10は測定溶液の流れを説明する説明図を示している。
【0101】
処理動作を開始した制御部18は、図4に示すように、エアポンプ11を稼働させる稼働信号を、操作端末20から取得したか否かを判定する(ステップS101)。
なお、稼働信号は、利用者が操作端末20の表示部21に表示された案内にしたがって、エアポンプ11を稼働させる操作を行った際、操作端末20が装置本体10に出力した信号である。
【0102】
稼働信号を取得していない場合(ステップS101:No)、制御部18は、稼働信号を取得するまで処理を待機する。
一方、稼働信号を取得した場合(ステップS101:Yes)、制御部18は、第1電磁弁143、第2電磁弁144、第3電磁弁154、第4電磁弁155及び第5電磁弁156を閉弁状態に移行したのち、エアポンプ11を稼働させて圧縮空気を発生させる(ステップS102)。
【0103】
この際、エアポンプ11で発生した圧縮空気は、図6中の矢印で示すように、送気流路部12の上流送気管121から分岐送気管122へ圧送されるとともに、分岐送気管122で分配され下流送気管123を介して、各貯留瓶13の内部空間に略均等に圧送される。
【0104】
このため、各貯留瓶13の内部空間がそれぞれ略均等に加圧され、各貯留瓶13の各溶液が、それぞれ貯留瓶13に接続された各流路管に流入開始する。この際、各電磁弁が閉弁状態のため、各溶液は、電磁弁よりも下流側の流路管には流入しない。
【0105】
図4のステップS102に戻り、エアポンプ11を稼働させると、制御部18は、蛍光強度の測定を開始する開始信号を、操作端末20から取得した否かを判定する(ステップS103)。
なお、開始信号は、利用者が操作端末20の表示部21に表示された案内にしたがって、蛍光強度を測定開始する操作を行った際、操作端末20が装置本体10に出力した信号である。
【0106】
開始情報を取得していない場合(ステップS103:No)、制御部18は、開始信号を取得するまで待機する。
一方、開始信号を取得した場合(ステップS103:Yes)、制御部18は、光源部162に励起光を照射させる(ステップS104)。
【0107】
励起光を照射させると、制御部18は、測定セル161の供給する試料溶液をB0溶液に設定したのち(ステップS105)、B0溶液中の未反応抗体の量を蛍光強度として測定する溶液測定処理を開始する(ステップS106)。
【0108】
具体的には、溶液測定処理を開始すると、制御部18は、図5に示すように、所定時間の間、バッファー溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS121)。
具体的には、制御部18は、第2電磁弁144を開弁状態に移行させたのち、所定時間経過後、第2電磁弁144を閉弁状態に移行させることで、バッファー溶液を所定時間の間、測定セル161に供給する。
【0109】
ここで、加圧されたバッファー溶液瓶134のバッファー溶液は、図6中の矢印で示すように、第2電磁弁144を通ってバッファー流路管142の下流側に流動し、上流継手部146及び再生流路管141を介して、測定セル161に供給される。
【0110】
この際、バッファー溶液が抗体を含有していないため、光学測定部16において、光センサー163は、抗原誘導体固相化担体の蛍光を受光することがない。
その後、測定セル161を通過したバッファー溶液は、排液流路部17を通って、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に貯留される。
【0111】
図5のステップS121に戻り、バッファー溶液の供給が完了すると、制御部18は、B0溶液、校正溶液及び測定溶液のうち、どれが試料溶液として設定されているかを判定する(ステップS122)。
ここでは、上述した図4のステップS105において、試料溶液がB0溶液と設定されているため(ステップS122:1)、制御部18は、所定時間の間、B0溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS123)。
【0112】
具体的には、制御部18は、第3電磁弁154を開弁状態に移行させたのち、所定時間経過後、第3電磁弁154を閉弁状態に移行させることで、B0溶液を所定時間の間、測定セル161に供給する。
【0113】
ここで、加圧されたB0溶液瓶133のB0溶液は、図7中の矢印で示すように、第3電磁弁154を通ってB0流路管151の下流側に流動し、上流継手部146及び再生流路管141を介して、測定セル161に供給される。
その後、測定セル161を通過したB0溶液は、排液流路部17を通って、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に貯留される。
【0114】
この際、B0溶液が既知量の抗体を含有しているため、光学測定部16において、B0溶液中の未反応抗体が、測定セル161の抗原誘導体固相化担体に捕捉される。
このため、光センサー163は、抗原誘導体固相化担体の蛍光を受光して、蛍光強度を示す信号を制御部18に逐次出力する。一方、蛍光強度を示す信号を取得した制御部18は、取得した蛍光強度を示す信号を時系列で逐次記憶する。
【0115】
B0溶液の供給が完了すると、制御部18は、図5に示すように、所定時間の間、バッファー溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS124)。このステップS124におけるバッファー溶液の供給は、上述したステップS121と同じ処理のため、その詳細な説明を省略する。
【0116】
バッファー溶液の供給が完了すると、制御部18は、図5に示すように、所定時間の間、再生溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS125)。
具体的には、制御部18は、第1電磁弁143を開弁状態に移行させたのち、所定時間経過後、第1電磁弁143を閉弁状態に移行させることで、再生溶液を所定時間の間、測定セル161に供給する。
【0117】
ここで、加圧された再生溶液瓶135の再生溶液は、図8中の矢印で示すように、第1電磁弁143を通って再生流路管141の下流側に流動して、測定セル161に供給される。
この際、測定セル161において、再生溶液は、抗原誘導体固相化担体に捕捉されたB0溶液中の未反応抗体を、抗原誘導体固相化担体から解離させる。
その後、測定セル161を通過した再生溶液は、排液流路部17を通って、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に貯留される。
【0118】
再生溶液の供給が完了すると、制御部18は、図5に示すように、上述したステップS121と同様に、所定時間の間、バッファー溶液を測定セル161に供給開始したのち(ステップS126)、溶液測定処理を終了して処理を図4のステップS107に進める。
【0119】
溶液測定処理を終了すると、制御部18は、図4に示すように、測定セル161に供給する試料溶液を校正溶液に設定したのち(ステップS107)、校正溶液中の未反応抗体の量を蛍光強度として測定する溶液測定処理を開始する(ステップS108)。
【0120】
具体的には、溶液測定処理を開始すると、制御部18は、図5に示すように、所定時間の間、バッファー溶液を測定セル161に供給したのち(ステップS121)、B0溶液、校正溶液及び測定溶液のうち、どれが試料溶液として設定されているかを判定する(ステップS122)。
【0121】
ここでは、上述した図4のステップS107において、試料溶液が校正溶液と設定されているため(ステップS122:2)、制御部18は、所定時間の間、校正溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS127)。
【0122】
具体的には、制御部18は、第4電磁弁155を開弁状態に移行させたのち、所定時間経過後、第4電磁弁155を閉弁状態に移行させることで、校正溶液を所定時間の間、測定セル161に供給する。
【0123】
ここで、加圧された校正溶液瓶132の校正溶液は、図9中の矢印で示すように、第4電磁弁155を通って校正流路管152の下流側に流動し、下流継手部145及び再生流路管141を介して、測定セル161に供給される。
その後、測定セル161を通過した校正溶液は、排液流路部17を通って、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に貯留される。
【0124】
この際、校正溶液が既知量の抗体を含有しているため、光学測定部16において、校正溶液中の未反応抗体が、測定セル161の抗原誘導体固相化担体に捕捉される。
このため、光センサー163は、抗原誘導体固相化担体の蛍光を受光して、蛍光強度を示す信号を制御部18に逐次出力する。一方、蛍光強度を示す信号を取得した制御部18は、取得した蛍光強度を示す信号を時系列で逐次記憶する。
【0125】
校正溶液の供給が完了すると、制御部18は、図5に示すように、バッファー溶液の測定セル161への供給(ステップS124)と、再生溶液の測定セル161への供給(ステップS125)と、再生溶液の測定セル161への供給(ステップS126)とを行ったのち、溶液測定処理を終了して処理を図4のステップS109に進める。
なお、ステップS125において、再生溶液は、抗原誘導体固相化担体に捕捉された校正溶液中の未反応抗体を、抗原誘導体固相化担体から解離させる。
【0126】
溶液測定処理を終了すると、制御部18は、図4に示すように、測定セル161に供給する試料溶液を測定溶液に設定したのち(ステップS109)、測定溶液中の未反応抗体の量を蛍光強度として測定する溶液測定処理を開始する(ステップS110)。
【0127】
具体的には、溶液測定処理を開始すると、制御部18は、図5に示すように、所定時間の間、バッファー溶液を測定セル161に供給したのち(ステップS121)、B0溶液、校正溶液及び測定溶液のうち、どれが試料溶液として設定されているかを判定する(ステップS122)。
【0128】
ここでは、上述した図4のステップS109において、試料溶液が測定溶液と設定されているため(ステップS122:3)、制御部18は、所定時間の間、測定溶液を測定セル161に供給開始する(ステップS128)。
【0129】
具体的には、制御部18は、第5電磁弁156を開弁状態に移行させたのち、所定時間経過後、第5電磁弁156を閉弁状態に移行させることで、測定溶液を所定時間の間、測定セル161に供給する。
【0130】
ここで、加圧された測定溶液瓶131の測定溶液は、図10中の矢印で示すように、第5電磁弁156を通って測定流路管153の下流側に流動し、下流継手部145及び再生流路管141を介して、測定セル161に供給される。
その後、測定セル161を通過した測定溶液は、排液流路部17を通って、筐体10aの内部または筐体10aの外部に配置した排液容器に貯留される。
【0131】
この際、測定溶液が未知量の抗体を含有しているため、光学測定部16において、測定溶液中の未反応抗体が、測定セル161の抗原誘導体固相化担体に捕捉される。
このため、光センサー163は、抗原誘導体固相化担体の蛍光を受光して、蛍光強度を示す信号を制御部18に逐次出力する。一方、蛍光強度を示す信号を取得した制御部18は、取得した蛍光強度を示す信号を時系列で逐次記憶する。
【0132】
測定溶液の供給が完了すると、制御部18は、図5に示すように、バッファー溶液の測定セル161への供給(ステップS124)と、再生溶液の測定セル161への供給(ステップS125)と、再生溶液の測定セル161への供給(ステップS126)とを行ったのち、溶液測定処理を終了して処理を図4のステップS111に進める。
なお、ステップS125において、再生溶液は、抗原誘導体固相化担体に捕捉された測定溶液中の未反応抗体を、抗原誘導体固相化担体から解離させる。
【0133】
溶液測定処理を終了すると、制御部18は、図4に示すように、光源部162に励起光の照射を停止させるとともに、一時記憶した蛍光強度の時系列データを操作端末20に出力したのち(ステップS111)、装置本体10における処理動作を終了する。
【0134】
一方、蛍光強度の時系列データを取得した操作端末20の端末制御部(図示省略)は、蛍光強度の時系列データに基づいて、汚染物質の濃度を算出したのち、時系列データ及び汚染物質の濃度を表示部21に表示する。
このようにして、汚染物質測定装置1は、例えばダイオキシン類やポリ塩化ビフェニルなどの汚染物質の濃度を測定する。
【0135】
以上のように、本実施形態の汚染物質測定装置1は、抗原である汚染物質の抗体が既知量含まれる試料溶液における未反応抗体を測定セル161で捕捉し、捕捉した未反応抗体の量に基づいて汚染物質の濃度を測定するものである。
【0136】
この汚染物質測定装置1は、試料溶液(B0溶液、校正溶液、測定溶液)を測定セル161に供給する試料流路部15と、試料流路部15を開閉する試料流路開閉弁(第3電磁弁154、第4電磁弁155、第5電磁弁156)とを備えている。
【0137】
さらに、汚染物質測定装置1は、試料溶液を除去するための洗浄溶液(再生溶液、バッファー溶液)が流れる洗浄流路部14と、洗浄流路部14を開閉する洗浄流路開閉弁(第1電磁弁143、第2電磁弁144)とを備えている。
【0138】
そして、汚染物質測定装置1は、測定セル161が、洗浄流路部14に接続され、試料流路開閉弁よりも下流側で試料流路部15を構成する管体(B0流路管151、校正流路管152、測定流路管153)が、洗浄流路開閉弁よりも下流側の洗浄流路部14に連通状態で接続されている。
【0139】
この構成によれば、試料流路開閉弁よりも下流側で試料流路部15を構成する管体が、洗浄流路開閉弁よりも下流側の洗浄流路部14に接続されるため、抗体を含有する試料溶液が洗浄流路部14の一部を介して測定セル161に供給される。
【0140】
この際、試料流路部15の管体と洗浄流路部14との接続箇所よりも上流側に試料流路開閉弁及び洗浄流路開閉弁を設けているため、汚染物質測定装置1は、試料流路部15の管体と洗浄流路部14との接続箇所に、流路を切り換える流路切換弁を設けることなく、試料溶液と洗浄溶液とを別々に測定セル161に供給することができる。
【0141】
このため、汚染物質測定装置1は、試料流路部15の管体を測定セル161に近い位置で洗浄流路部14に接続することができる。
これにより、汚染物質測定装置1は、試料流路部15の管体と洗浄流路部14との接続箇所から測定セル161の下流に至る流路の長さ、すなわち洗浄が所望される流路の長さを短くすることができる。
【0142】
さらに、洗浄が所望される流路の長さが短くなることで、汚染物質測定装置1は、洗浄溶液(再生溶液及びバッファー溶液)の使用量を抑えられるとともに、洗浄に要する時間を短縮することができる。
よって、汚染物質測定装置1は、洗浄が所望される流路を効率よく洗浄することができる。
【0143】
また、汚染物質測定装置1は、測定セル161が、上方から下方へ向かう鉛直方向に延びる洗浄流路部14に接続され、試料流路部15の管体(B0流路管151、校正流路管152、測定流路管153)が、鉛直方向に対して斜め下方に交差する交差方向に沿って洗浄流路部14に接続されている。
【0144】
この構成によれば、鉛直方向に延びる洗浄流路部14に対して、試料流路部15が斜め下方に交差する交差方向に接続されているため、洗浄流路部14の一部に流入する試料溶液が、測定セル161とは逆の上流側へ流れることを防止できるとともに、抗体を含有する試料溶液が試料流路部15の管体に残留することを防止できる。
【0145】
さらに、洗浄溶液が上方から下方へ向けて流れるため、汚染物質測定装置1は、洗浄溶液に作用する重力によって、洗浄溶液を測定セル161よりも下流へ向けて勢いよく流すことができる。
これにより、汚染物質測定装置1は、洗浄溶液(再生溶液及びバッファー溶液)の使用量を抑えて洗浄できるため、洗浄が所望される流路をより効率よく洗浄することができる。
【0146】
また、試料流路部15は、既知量の抗体を含む標準試料溶液(B0溶液、校正溶液)を、試料流路開閉弁(第3電磁弁154、第4電磁弁155)を介して測定セル161に供給する標準試料流路(B0流路及び校正流路)と、既知量の抗体及び未知量の汚染物質を含む測定溶液を、第5電磁弁156を介して測定セル161に供給する測定流路とで構成されている。
【0147】
そして、測定流路を構成する測定流路管153が、標準試料流路を構成する管体(B0流路管151及び校正流路管152)よりも測定セル161側で、洗浄流路部14に接続されている。
【0148】
この構成によれば、測定流路の測定流路管153が標準試料流路の管体(B0流路管151及び校正流路管152)よりも測定セル161側で洗浄流路部14に接続されているため、未知量の汚染物質を流す測定流路の測定流路管153をより測定セル161に近い位置で洗浄流路部14に接続することができる。
【0149】
これにより、汚染物質測定装置1は、未知量の汚染物質が流れる流路の長さを短くすることができる。このため、汚染物質測定装置1は、洗浄が所望される流路を、洗浄溶液(再生溶液、バッファー溶液)の使用量を抑えて効率よく洗浄することができる。
【0150】
また、標準試料流路は、既知量の抗体のみを含むB0溶液を、第3電磁弁154を介して測定セル161に供給するB0流路と、既知量の汚染物質及び既知量の抗体を含む校正溶液を、第4電磁弁155を介して測定セル161に供給する校正流路とで構成されている。
【0151】
そして、校正流路を構成する校正流路管152が、B0流路を構成するB0流路管151よりも測定セル161側で、洗浄流路部14に接続されている。
【0152】
この構成によれば、校正流路の校正流路管152がB0流路のB0流路管151よりも測定セル161側で洗浄流路部14に接続されているため、既知量の汚染物質を流す校正流路の校正流路管152をより測定セル161に近い位置で洗浄流路部14に接続することができる。
【0153】
これにより、汚染物質測定装置1は、既知量の汚染物質が流れる流路の長さを短くすることができる。このため、汚染物質測定装置1は、洗浄が所望される流路を、洗浄溶液(再生溶液及びバッファー溶液)の使用量を抑えて効率よく洗浄することができる。
【0154】
また、洗浄流路部14は、未反応抗体を解離させる再生溶液を、第1電磁弁143を介して測定セル161に供給する再生流路と、抗体及び汚染物質を含まないバッファー溶液を、第2電磁弁144を介して測定セル161に供給するバッファー流路とで構成されている。
【0155】
さらに、測定セル161が、再生流路管141に接続され、第2電磁弁144よりも下流側でバッファー流路を構成するバッファー流路管142が、試料流路部15の管体(B0流路管151、校正流路管152、測定流路管153)よりも上流側で、再生流路管141に接続されている。
【0156】
この構成によれば、バッファー流路のバッファー流路管142が試料流路部15の管体よりも上流側で再生流路管141に接続されているため、試料溶液を流す試料流路部15をバッファー溶液で確実に洗い流すことができる。このため、汚染物質測定装置1は、試料溶液を流す試料流路部15の状態を、未反応抗体の測定に適した状態にすることができる。
【0157】
また、汚染物質測定装置1は、試料溶液(B0溶液、校正溶液、測定溶液)、再生溶液、及びバッファー溶液を加圧して、それぞれ試料流路部15及び洗浄流路部14に圧送する加圧手段(エアポンプ11及び送気流路部12)を備えている。
【0158】
さらに、汚染物質測定装置1は、バッファー流路の第2電磁弁144の開閉、試料流路部15の試料流路開閉弁(第3電磁弁154、第4電磁弁155、第5電磁弁156)の開閉、バッファー流路の第2電磁弁144の開閉、再生流路の第1電磁弁143の開閉、バッファー流路の第2電磁弁144の開閉をこの順番で行う制御部18を備えている。
【0159】
この構成によれば、試料溶液、再生溶液及びバッファー溶液を途切れなく順番に測定セル161へ供給することができる。
さらに、試料溶液または再生溶液を測定セル161に供給するたびに、バッファー溶液が測定セル161へ供給されるため、汚染物質測定装置1は、試料流路部15に試料溶液が残留することを確実に防止することができる。
このため、汚染物質測定装置1は、試料溶液を流す試料流路部15の状態を、未反応抗体の測定により適した状態にすることができる。
【0160】
また、汚染物質測定装置1は、洗浄流路部14の流路上に、試料流路部15の校正流路管152及び測定流路管153が接続される下流継手部145と、試料流路部15のB0流路管151が接続される上流継手部146とを備えている。
【0161】
この構成によれば、試料流路部15の校正流路管152及び測定流路管153が下流継手部145を介して洗浄流路部14に接続されるため、試料流路部15の校正流路管152及び測定流路管153と洗浄流路部14の構成素材とが異なる場合であっても、試料流路部15の校正流路管152及び測定流路管153と洗浄流路部14との接続を容易にすることができる。
【0162】
同様に、試料流路部15のB0流路管151が上流継手部146を介して洗浄流路部14に接続されるため、試料流路部15のB0流路管151と洗浄流路部14の構成素材とが異なる場合であっても、試料流路部15のB0流路管151と洗浄流路部14との接続を容易にすることができる。
【0163】
これにより、汚染物質測定装置1は、例えば可撓性を有する素材で試料流路部15の管体を構成できるため、試料流路部15のレイアウトの自由度を向上するとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0164】
さらに、試料流路部15の管体が着脱自在な下流継手部145及び上流継手部146としたことにより、汚染物質測定装置1は、洗浄が所望される流路の洗浄効率を損なうことなく、試料流路部15のメンテナンス性を向上することができる。
【0165】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の試料溶液は、実施形態のB0溶液、校正溶液及び測定溶液に対応し、
以下同様に、
汚染物質の量は、汚染物質の濃度に対応し、
試料流路は、試料流路部15に対応し、
試料流路開閉弁は、第3電磁弁154、第4電磁弁155及び第5電磁弁156に対応し、
洗浄溶液は、再生溶液及びバッファー溶液に対応し、
洗浄流路は、洗浄流路部14に対応し、
洗浄流路開閉弁は、第1電磁弁143及び第2電磁弁144に対応し、
試料流路を構成する管体は、B0流路管151、校正流路管152及び測定流路管153に対応し、
標準試料溶液は、B0溶液及び校正溶液に対応し、
測定流路を構成する管体は、測定流路管153に対応し、
標準試料流路を構成する管体は、B0流路管151及び校正流路管152に対応し、
校正流路を構成する管体は、校正流路管152に対応し、
B0流路を構成する管体は、B0流路管151に対応し、
バッファー流路を構成する管体は、バッファー流路管142に対応し、
加圧手段は、エアポンプ11及び送気流路部12に対応し、
継手部は、下流継手部145及び上流継手部146に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0166】
具体的には、上述した実施形態において、送気流路部12を構成する分岐送気管122の分岐流路部分122bと下流送気管123とが連通した構成としたが、これに限定せず、分岐送気管122に、分岐流路部分122bを開閉する電磁弁を設けてもよい。
また、洗浄流路部14及び試料流路部15にそれぞれ電磁弁を設けたが、これに限定せず、電動弁であってもよい。
【0167】
また、送気流路部12の上流送気管121及び下流送気管123を、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成したが、これに限定せず、可撓性を有していない鋼管などの管体で構成してもよい。
【0168】
また、洗浄流路部14の再生流路管141及びバッファー流路管142、及び試料流路部15のB0流路管151、校正流路管152、及び測定流路管153を、樹脂チューブなどの可撓性を有する管体で構成したが、これに限定せず、可撓性を有していない鋼管などの管体で構成してもよい。
【0169】
あるいは、可撓性を有する管体と、可撓性を有していない管体とを適宜に組み合わせてもよい。この場合であっても、下流継手部145及び上流継手部146により、汚染物質測定装置1は、流路管同士の接続を容易にすることができる。
【0170】
また、流速調整部125を作業員の操作によって流速を調整可能な構成としたが、これに限定せず、制御部18によって動作が制御される流速調整部であってもよい。この場合、例えば制御部18が、送気流路部12の圧力計126及び空気流量計127と、排液流路部17の排液流量計172とに基づいて、流速調整部の動作を制御する。
【符号の説明】
【0171】
1…汚染物質測定装置
11…エアポンプ
12…送気流路部
14…洗浄流路部
15…試料流路部
18…制御部
142…バッファー流路管
143…第1電磁弁
144…第2電磁弁
145…下流継手部
146…上流継手部
151…B0流路管
152…校正流路管
153…測定流路管
154…第3電磁弁
155…第4電磁弁
156…第5電磁弁
161…測定セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10