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特開2024-48005光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048005
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153824
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 征史
(57)【要約】
【課題】不具合を生じることが少ない光学ユニットおよび当該光学ユニットの製造方法を提供すること。
【解決手段】光学ユニットは、光学機能面である凹部を有する光学機能部品と、凹部の開口と対向して配置された基板と、凹部の開口の周囲の全周と、基板との間に設けられ、光学機能部品と基板とを接着する接着層と、を備え、接着層の厚さは、開口の縁に近いほど薄い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機能面である凹部を有する光学機能部品と、
前記凹部の開口と対向して配置された基板と、
前記凹部の開口の周囲の全周と、前記基板との間に設けられ、前記光学機能部品と前記基板とを接着する接着層と、
を備え、
前記接着層の厚さは、前記開口の縁に近いほど薄い、
光学ユニット。
【請求項2】
前記接着層の厚さ方向の断面は、楔型に形成されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記基板における前記接着層と隣接する面の裏面に、他の光学機能部品が配置されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記他の光学機能部品の凹部の開口の周囲に設けられた接着面に、他の基板が接着されている請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記光学機能面と同一または類似の光学機能面である凹部を有する他の光学機能部品を更に備え、
前記光学機能部品の凹部の開口の周囲に設けられた接着面に、前記他の光学機能部品の底面が接着されている、
請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記基板における少なくとも前記凹部の開口と対向する部位は、透明に形成されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記光学機能部品は、エネルギー硬化樹脂によって構成されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記基板における前記接着層と隣接する面の裏面は、前記接着層と隣接する面に対し傾斜している請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記基板における前記接着層と隣接する面は、プリズムにおける一つの面である請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記プリズムにおける他の面に、他の光学機能部品が配置されている請求項9に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記光学機能部品は、平板上に配置されている請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項12】
光学機能面である凹部を有する他の光学機能部品が、前記平板上の前記光学機能面の光軸と直交する方向に沿って複数配置されている請求項11に記載の光学ユニット。
【請求項13】
前記他の光学機能部品の光学機能面と、前記光学機能部品における光学機能面とは、同一の光学機能を有する請求項12に記載の光学ユニット。
【請求項14】
前記平板における少なくとも前記凹部の開口と対向する部位は、透明に形成されている請求項11に記載の光学ユニット。
【請求項15】
前記光学機能部品において、前記接着層が設けられる接着面の外縁の高さは、前記接着面の内縁の高さよりも、2~5μm低い請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項16】
光学機能面である凹部を有し、前記光学機能面の光軸と直交する方向に沿って配置された複数の光学機能部品と、
前記複数の光学機能部品におけるそれぞれの凹部の開口と対向して配置された基板と、
前記凹部の開口の周囲の全周と、前記基板との間に設けられ、前記光学機能部品と前記基板とを接着する接着層と、
を備え、
前記接着層の厚さは、前記開口の縁に近いほど薄い、
光学ユニット。
【請求項17】
光学機能部品の光学機能面である凹部の外側であって、前記光学機能部品が接着される基板と対向する少なくとも一方の面に、接着剤を塗布するための接着面を形成し、
前記接着面について、前記接着面の開口の縁に近い部分と前記基板との距離を、前記接着面の前記開口の縁から遠い部分と前記基板との距離よりも小さく形成し、
前記接着面に接着剤を塗布し、
前記接着面に前記基板を配置し、前記接着剤を前記接着面上に押し広げることにより、前記光学機能部品と前記基板との間に接着層を形成する、
光学ユニットの製造方法。
【請求項18】
光学機能面である凹部と、前記凹部の開口の縁から遠い部分の高さが前記凹部の開口の縁に近い部分の高さよりも低い接着面と、を有する光学機能部品を作成し、
前記接着面に接着剤を塗布し、
前記接着面に基板を配置し、前記接着剤を前記接着面上に押し広げることにより、前記光学機能部品と前記基板との間に接着層を形成する、
光学ユニットの製造方法。
【請求項19】
前記接着層の厚さを、前記開口の縁に近いほど薄く形成する請求項17または請求項18に記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項20】
前記光学機能部品は、エネルギー硬化樹脂によって構成されている請求項17または請求項18に記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項21】
前記光学機能部品において、前記接着層における前記接着面の内縁側の厚さは、0~25μmである請求項15に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、複数のレンズを積層したレンズアセンブリと、センサアセンブリとを備えるカメラモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6529455号公報
【特許文献2】特表2010-519881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2で開示された技術では、第一のレンズの光学機能面の接着面に接着剤を滴下し、当該接着面に第二のレンズを載置することにより、毛細管現象を利用して接着剤を接着面上に行き渡らせ、二つのレンズを貼り合わせる。その際、接着面上に気泡が残り、接着面全体に接着剤が行き渡らない可能性がある。このように、気泡の発生により、接着剤が行き渡らない部分がある場合、この部分でレンズに導かれなかった光線が乱反射する等の光学性能の低下、耐久性の低下等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不具合を生じることが少ない光学ユニットおよび当該光学ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学ユニットは、光学機能面である凹部を有する光学機能部品と、前記凹部の開口と対向して配置された基板と、 前記凹部の開口の周囲の全周と、前記基板との間に設けられ、前記光学機能部品と前記基板とを接着する接着層と、を備え、前記接着層の厚さは、前記開口の縁に近いほど薄い。
【0007】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記接着層の厚さ方向の断面は、楔型に形成されている。
【0008】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記基板における前記接着層と隣接する面の裏面に、他の光学機能部品が配置されている。
【0009】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記他の光学機能部品の凹部の開口の周囲に設けられた接着面に、他の基板が接着されている。
【0010】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記光学機能面と同一または類似の光学機能面である凹部を有する他の光学機能部品を更に備え、前記光学機能部品の凹部の開口の周囲に設けられた接着面に、前記他の光学機能部品の底面が接着されている。
【0011】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記基板における少なくとも前記凹部の開口と対向する部位は、透明に形成されている。
【0012】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記光学機能部品は、エネルギー硬化樹脂によって構成されている。
【0013】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記基板における前記接着層と隣接する面の裏面は、前記接着層と隣接する面に対し傾斜している。
【0014】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記基板における前記接着層と隣接する面は、プリズムにおける一つの面である。
【0015】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記プリズムにおける他の面に、他の光学機能部品が配置されている。
【0016】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記光学機能部品は、平板上に配置されている。
【0017】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、光学機能面である凹部を有する他の光学機能部品が、前記平板上の前記光学機能面の光軸と直交する方向に沿って複数配置されている。
【0018】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記他の光学機能部品の光学機能面と、前記光学機能部品における光学機能面とは、同一の光学機能を有する。
【0019】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記平板における少なくとも前記凹部の開口と対向する部位は、透明に形成されている。
【0020】
本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記光学機能部品において、前記接着層が設けられる接着面の外縁の高さは、前記接着面の内縁の高さよりも、2~5μm低い。また、前記接着層における前記接着面の内縁側の厚さは、0~25μmである。
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学ユニットは、光学機能面である凹部を有し、前記光学機能面の光軸と直交する方向に沿って配置された複数の光学機能部品と、前記複数の光学機能部品におけるそれぞれの凹部の開口と対向して配置された基板と、前記凹部の開口の周囲の全周と、前記基板との間に設けられ、前記光学機能部品と前記基板とを接着する接着層と、を備え、前記接着層の厚さは、前記開口の縁に近いほど薄い。
【0022】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学ユニットの製造方法は、光学機能部品の光学機能面である凹部の外側であって、前記光学機能部品が接着される基板と対向する少なくとも一方の面に、接着剤を塗布するための接着面を形成し、前記接着面について、前記接着面の開口の縁に近い部分と前記基板との距離を、前記接着面の前記開口の縁から遠い部分と前記基板との距離よりも小さく形成し、前記接着面に接着剤を塗布し、前記接着面に前記基板を配置し、前記接着剤を前記接着面上に押し広げることにより、前記光学機能部品と前記基板との間に接着層を形成する。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学ユニットの製造方法は、光学機能面である凹部と、前記凹部の開口の縁から遠い部分の高さが前記凹部の開口の縁に近い部分の高さよりも低い接着面と、を有する光学機能部品を作成し、前記接着面に接着剤を塗布し、前記接着面に基板を配置し、前記接着剤を前記接着面上に押し広げることにより、前記光学機能部品と前記基板との間に接着層を形成する。
【0024】
本発明に係る光学ユニットの製造方法は、上記発明において、前記接着層の厚さを、前記開口の縁に近いほど薄く形成する。
【0025】
本発明に係る光学ユニットの製造方法は、上記発明において、前記光学機能部品は、エネルギー硬化樹脂によって構成されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法によれば、不具合を生じることが少ない光学ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの製造方法の塗布工程の概要を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの製造方法の接着工程の概要を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態4に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態5に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態6に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態7に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図11図11は、本発明の実施の形態8に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態9に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態10に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図14図14は、本発明の実施の形態11に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図15図15は、本発明の実施の形態12に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図16図16は、本発明の実施の形態13に係る光学ユニットの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
【0029】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの構成について、図1図3を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1は、例えば内視鏡の先端等に搭載される光学部品であり、光学機能部品と基板とが貼り合わされた構造を有している。
【0030】
光学ユニット1は、具体的には、光学機能部品11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層14と、を備えている。
【0031】
光学機能部品11は、例えば透明なエネルギー硬化樹脂等によって構成されている。また、光学機能部品11は、平板からなる基板12上に配置されている。また、光学機能部品11は、凹部111と、接着面112と、を備えている。
【0032】
凹部111は、光学機能部品11の光学機能面として機能する。この凹部111は、図2に示すように側面視すると、曲面状に形成されている。また、凹部111は、図3に示すように平面視すると、円形状に形成されている。なお、凹部111の平面形状は、円形状に限定されず、例えば四角形状、その他の多角形状、不定形な枠状に形成されてもよい。
【0033】
また、図3では、凹部111の開口の形状(接着面112の内縁の形状)と、接着面112の外縁の形状とが相似形、すなわち両者とも円形状に形成されているが、両者とも例えば相似形の正方形や相似形の多角形に形成してもよい。また、凹部111の開口の形状と、接着面112の外縁の形状とが非相似形であってもよい。例えば、凹部111の開口の形状を「円形状」とし、接着面112の外縁の形状を「多角形状」としてもよく、あるいはその逆であってもよい。
【0034】
接着面112は、光学ユニット1の製造工程において、接着剤141(図2参照)を滴下するための部分である。この接着面112は、図1に示すように、接着層14を隔てて、基板13の下面と対向して配置される。また、接着面112は、図3に示すように平面視すると、環状に形成されている。また、接着面112は、光学機能部品11の光学機能面である凹部111の外側に位置している。
【0035】
また、接着面112は、図1に示すように、例えば基板13の下面に対して平行ではなく、径方向に傾斜した形状を有している。すなわち、接着面112は、径方向外側にいくにつれて高さが低くなる形状を有している。更に言い換えると、接着面112の外周側と基板13の下面との距離が、接着面112の内周側と基板13の下面との距離よりも大きく設定されている。
【0036】
これにより、例えば図2に示すように、接着面112に接着剤141を滴下して基板13を載せると、図3の(a)中に符号Eで示した滴下領域から広がった接着剤141が、図3の(b)に示すように、接着面112の内周側から先に充填される。そして、同図の(c)に示すように、接着面112の外周側まで接着剤が充填され、接着面112の全周に行き渡る状態となる。
【0037】
すなわち、接着剤141が接着面112の上面と基板13の下面との間で濡れ広がる際に、接着剤141の表面張力による毛細管現象が発生し、隙間の狭い部分から先に接着剤141が充填される。この結果、接着面112の内周側から先に接着剤141が充填されるため、接着層14内に気泡が発生しない。このように、接着面112を傾斜させることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13との未接着部の発生を抑制することができるため、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1を得ることができる。
【0038】
ここで、図1に示した光学機能部品11の幅(外径)Aは、例えばφ2~5mmの範囲とすることが好ましい。また、接着面112の幅Bは、例えば0.6~1.5mmの範囲とすることが好ましい。接着面112の内周側と外周側との高さの差Cは、例えば内周側と外周側との差を2~5μmとすることが好ましい。言い換えると、接着面112の外縁の高さを、当該接着面112の内縁の高さよりも、2~5μm低くすることが好ましい。このように、接着面112は、μm単位で傾斜している。なお、接着面112は、段差等のない滑らかな面で構成されてもよく、あるいはなだらかな段差、凹凸等が設けられ、径方向外側にいくにつれて高さが低くなっていてもよい。
【0039】
基板12は、光学機能部品11が配置される平板である。基板12としては、例えばガラス基板、半導体基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等が挙げられる。また、基板12において、少なくとも光学機能部品11の凹部111の開口に対応する部位は、透明に形成されている。
【0040】
また、基板12には、光学機能部品11が、光学機能部品11の光学機能面(凹部111)の光軸Oと直交する方向に沿って、複数配置されている。また、基板12上に配置される複数の光学機能部品11の光学機能面(凹部111)は、それぞれ同一の光学機能を有している。すなわち、各光学機能部品11の光学機能面(凹部111)の形状、サイズ等は同一である。なお、本実施の形態では、同一の光学機能部品11を形成しているが、これら光学機能部品11の光学機構面(凹部111)の形状、サイズ等は、必ずしも同一に形成されていなくてもよい。
【0041】
基板13は、光学機能部品11と貼り合わされる平板である。基板13としては、基板12と同様に、例えばガラス基板、半導体基板、MEMS等が挙げられる。また、基板13は、光学機能部品11の凹部111の開口と対向して配置されている。また、基板13において、少なくとも光学機能部品11の凹部111の開口と対向する部位は、透明に形成されている。
【0042】
接着層14は、光学機能部品11と基板13との間に介在し、両者を接着するための層である。すなわち、接着層14は、光学機能部品11の凹部111の開口の周囲の全周と、基板13との間に設けられ、光学機能部品11と基板13とを接着する。
【0043】
接着層14の厚さ方向の断面は、楔型に形成されている。すなわち、接着層14の厚さは、凹部111の開口の縁に近いほど薄く形成されている。更に言い換えると、接着層14の厚さは、凹部111の開口の縁に近い部分(内縁)が、当該開口の縁から遠い部分(外縁)よりも薄く設定されている。
【0044】
また、図1に示した接着層14の厚さDは、毛細管現象による濡れ広がりの挙動を制御できる厚さとすることが好ましい。接着層14の厚さDは、例えば1μm前後から1mm以下程度とすることが好ましく、内縁部の厚みを0~25μmの範囲とすることがより好ましい。接着層14の厚さDが小さいほど、毛細管現象の影響が強く現れ、特に10μm以下では、毛細管現象が重力より支配的となる。
【0045】
本実施の形態のように、接着面112を傾斜させ、接着面112と基板13の下面との間隔を径方向外側に拡大させることにより、接着剤141が接着面112の内周側に優先的に食い込み、その後、外周側に行き渡ることとなる。そのため、接着剤141の粘度が変化した場合においても、接着面112と基板13の下面との間に確実に接着層14を形成することが可能となる。従って、図1に示すように、接着面112を傾斜させることにより、光学機能部品11と基板13との接合性を向上させることができる。また、光学機能部品11の凹部111の開口の内縁と、基板13との距離を接近させることにより、接着層14の厚さを制御しやすくなる(接着層14の厚さを一定にしやすくなる)。
【0046】
本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの製造方法について、図4を参照しながら説明する。光学ユニットの製造方法では、部品作成工程(ステップS1)と、塗布工程(ステップS2)と、接着工程(ステップS3)と、をこの順番で行う。
【0047】
(部品作成工程)
部品作成工程では、光学機能部品11を作成する。部品作成工程では、具体的には、光学機能面である凹部111と、接着面112と、を有する光学機能部品11を作成する。また、部品作成工程では、接着面112について、凹部111の開口の縁から遠い部分(外縁)の高さを、凹部111の開口の縁に近い部分(内縁)の高さよりも低く形成する。すなわち、部品作成工程では、径方向に傾斜した接着面112を有する光学機能部品11を作成する。
【0048】
部品作成工程では、例えば凹部111の外側であって、光学機能部品11が接着される基板13と対向する少なくとも一方の面に、接着剤141を塗布するための接着面112を形成する。そして、当該接着面112について、接着面112の開口の縁に近い部分(内縁)と基板13との距離を、接着面112の開口の縁から遠い部分(外縁)と基板13との距離よりも小さく形成する。
【0049】
接着面112の具体的な形成方法は特に限定されない。例えば、金型によって光学機能部品11を作成する際に、傾斜した接着面112も一括して形成してもよい。あるいは、平行な接着面112を有する光学機能部品11を作成した後、エッチング等の加工を行って径方向に傾斜した接着面112を形成してもよい。
【0050】
(塗布工程)
塗布工程では、光学機能部品11の接着面112に接着剤141を塗布する。接着剤141の塗布は、例えばディスペンサ(液剤定量吐出装置)と接続されたシリンジ等を用いて実施することができる。また、塗布工程における接着剤141の塗布方法は特に限定されず、例えば図3に示すように、接着面112上に一点塗布してもよく、複数点塗布してもよく、線状に塗布してもよく、あるいは一部の側面から注入してもよい。接着面112上に接着剤141をどのように塗布しても、接着面112の内周側から先に接着剤141が充填され、接着面112全体に接着剤141が行き渡るという作用は同様である。
【0051】
また、接着剤141としては、UV硬化型の接着剤、可視光等の光硬化型の接着剤を用いることができる。また、接着剤141としては、UV硬化型、光硬化型の接着剤以外に、例えば熱硬化型、放射線硬化型等の接着剤を用いてもよい。
【0052】
なお、接着剤141は、接着面112の面積や硬化後の接着層14の要求厚さに応じて、粘度や硬化後の硬さ等の特性を適宜選択すればよい。但し、接着剤141の粘度が低すぎると、光学機能部品11と基板13とを貼り合わせる前に、接着面112上で濡れ広がり過ぎてしまい、接合時に気泡を巻き込む等の影響が出るため、適切な粘度の接着剤を選択することが好ましい。
【0053】
(接着工程)
接着工程では、光学機能部品11と基板13とを接着する。接着工程では、光学機能部品11の接着面112に基板13を配置し、接着剤141を接着面112上に押し広げることにより、光学機能部品11と基板13との間に接着層14を形成する。また、接着工程では、例えばUV照射ヘッド等によって構成される硬化機構を用いて、接着剤141を硬化させることにより、接着層14を形成する。また、接着工程では、接着層14の厚さを、凹部111の開口の縁に近いほど薄く形成する。言い換えると、接着層14について、凹部111の開口の縁に近い部分(内縁)を、凹部111の開口の縁から遠い部分(外縁)よりも薄く形成する。
【0054】
以上のように、径方向に傾斜した接着面112を有する光学機能部品11を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1を得ることができる。
【0055】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの構成について、図5を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Aは、実施の形態1に係る光学ユニット1において、基板13における接着層14と隣接する面の裏面に、他の光学機能部品15が配置されている。また、他の光学機能部品15の凹部151の接着面に、他の基板16が接着されている。
【0056】
光学ユニット1Aは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層(第一の接着層)14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、基板(第三の基板)16と、接着層(第二の接着層)17と、を備えている。
【0057】
光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、基板16は、基板13と同様の構成を備えている。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0058】
本実施の形態に係る光学ユニット1Aにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13との未接着部の発生、および光学機能部品15と基板16との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Aを得ることができる。更に、光学機能部品が複数積層されることにより、光学設計の自由度が増すとともに、各接着面112,152に気泡が発生しないため、光学的な性能を担保することができる。
【0059】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの構成について、図6を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Bは、実施の形態2に係る光学ユニット1Aにおいて、基板16における接着層17と隣接する面の裏面に、他の光学機能部品18が配置されている。
【0060】
光学ユニット1Bは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層(第一の接着層)14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、基板(第三の基板)16と、接着層(第二の接着層)17と、光学機能部品(第三の光学機能部品)18と、を備えている。
【0061】
光学機能部品15,18は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、基板16は、基板13と同様の構成を備えている。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0062】
本実施の形態に係る光学ユニット1Bにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13との未接着部の発生、および光学機能部品15と基板16との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Bを得ることができる。更に、光学機能部品が複数積層されることにより、光学設計の自由度が増すとともに、各接着面112,152に気泡が発生しないため、光学的な性能を担保することができる。
【0063】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4に係る光学ユニットの構成について、図7を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Cは、実施の形態1に係る光学ユニット1において、光学機能部品11の光学機能面と同一または類似の光学機能面である凹部151を有する他の光学機能部品15を更に備えている。また、光学ユニット1Cは、光学ユニット1において、接着層14によって接着面112と接着される基板が、他の光学機能部品15の底面によって構成されている。
【0064】
光学ユニット1Cは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、接着層14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、を備えている。
【0065】
光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、光学機能部品15の底面は、光学機能部品11の接着面112に接着されており、光学機能部品15と光学機能部品11との間には接着層14が介在している。
【0066】
本実施の形態に係る光学ユニット1Cにおいても、径方向に傾斜した接着面112を有する光学機能部品11を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Cを得ることができる。更に、光学機能部品間に基板を介在させないことにより、製造工程が簡単になる。また、光学機能部品間に基板を介在させないことにより、光軸O方向の距離を短縮することができるため、光学ユニット1C自体を薄く(小型化)することが可能となる。
【0067】
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5に係る光学ユニットの構成について、図8を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Dは、実施の形態4に係る光学ユニット1において、光学機能部品15の接着面152に、基板13が接着されている。
【0068】
光学ユニット1Dは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層(第一の接着層)14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、接着層17(第二の接着層)と、を備えている。
【0069】
光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、光学機能部品15の底面は、光学機能部品11の接着面112に接着されており、光学機能部品15と光学機能部品11との間には接着層14が介在している。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0070】
本実施の形態に係る光学ユニット1Dにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11と光学機能部品15との未接着部の発生、および光学機能部品15と基板13との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Dを得ることができる。更に、光学機能部品間に基板を介在させないことにより、製造工程が簡単になる。また、光学機能部品間に基板を介在させないことにより、光軸O方向の距離を短縮することができるため、光学ユニット1D自体を薄く(小型化)することが可能となる。
【0071】
[実施の形態6]
本発明の実施の形態6に係る光学ユニットの構成について、図9を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Eは、実施の形態1に係る光学ユニット1において、光学機能部品11に代えて、光学機能部品11Aを用いている。また、光学機能部品11Aの両面に接着面112を形成し、両面の接着面112にそれぞれ基板12,13を接着している。
【0072】
光学ユニット1Eは、具体的には、光学機能部品11Aと、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層(第一の接着層)14と、接着層(第二の接着層)17と、を備えている。
【0073】
光学機能部品11Aは、二つの凹部111と、二つの接着面112と、を備えている。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0074】
本実施の形態に係る光学ユニット1Eにおいても、径方向に傾斜した接着面112を有する光学機能部品11Aを用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11Aを密閉しつつ、光学機能部品11Aと基板12,13との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Eを得ることができる。更に、光学機能部品11Aの二つの凹部111の間に基板を介在させないことにより、製造工程が簡単になる。また、二つの凹部111の間に基板を介在させないことにより、光軸O方向の距離を短縮することができるため、光学ユニット1E自体を薄く(小型化)することが可能となる。
【0075】
[実施の形態7]
本発明の実施の形態7に係る光学ユニットの構成について、図10を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Fは、実施の形態2に係る光学ユニット1Aにおいて、基板13に代えて、基板13Aを用いている。
【0076】
光学ユニット1Fは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13Aと、接着層(第一の接着層)14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、基板(第三の基板)16と、接着層(第二の接着層)17と、を備えている。
【0077】
基板13Aは、厚みが一定ではなく、一方の面(上面)が傾斜している。すなわち、光学ユニット1Fでは、基板13Aにおける接着層14と隣接する面の裏面が、当該接着層14と隣接する面に対し傾斜している。また、光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、基板16は、基板13と同様の構成を備えている。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0078】
本実施の形態に係る光学ユニット1Fにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11と基板13Aとの未接着部の発生、および光学機能部品15と基板16との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Fを得ることができる。更に、一方の面が傾斜した基板13Aを用いることにより、光学機能部品15の光軸O1を傾斜させることができる。すなわち、積層された複数の光学機能部品11,15からなる光学ユニット1Fの光軸を、途中で傾斜させることが可能となる。
【0079】
[実施の形態8]
本発明の実施の形態8に係る光学ユニットの構成について、図11を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Gは、実施の形態2に係る光学ユニット1Aにおいて、基板13に代えて、直角プリズムからなる基板13Bを用いている。すなわち、光学ユニット1Gは、光学ユニット1Aにおいて、基板における接着層14と隣接する面が、基板13Bにおける一つの面によって構成されている。また、光学ユニット1Gでは、基板13Bにおける他の面に、他の光学機能部品15が配置されている。
【0080】
光学ユニット1Gは、具体的には、光学機能部品(第一の光学機能部品)11と、基板(第一の基板)12と、基板13B(第二の基板)と、接着層(第一の接着層)14と、光学機能部品(第二の光学機能部品)15と、基板(第三の基板)16と、接着層(第二の接着層)17と、を備えている。
【0081】
基板13Bは、光学機能部品11の接着面112と接着される面と、光学機能部品15の接着面152と接着される面とを備える直角プリズムである。また、光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。また、基板16は、基板13と同様の構成を備えている。また、接着層17は、接着層14と同様の構成を備えている。
【0082】
本実施の形態に係る光学ユニット1Gにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11,15と基板13Bとの未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Gを得ることができる。更に、直角プリズムからなる基板13Bを用いることにより、光軸Oを90°曲げることが可能となる。
【0083】
[実施の形態9]
本発明の実施の形態9に係る光学ユニットの構成について、図12を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Hは、径方向に傾斜した接着面112を有する光学機能部品11と、径方向に傾斜した接着面152を有する光学機能部品15とを、接着層14によって接合している。
【0084】
光学ユニット1Hは、具体的には、光学機能部品11と、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層14と、光学機能部品15と、を備えている。
【0085】
光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。
【0086】
本実施の形態に係る光学ユニット1Hにおいても、径方向に傾斜した接着面112,152を有する光学機能部品11,15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11,15を密閉しつつ、光学機能部品11と光学機能部品15との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Hを得ることができる。更に、光学機能部品11,15の凹部111,151の間に基板を介在させないことにより、製造工程が簡単になる。また、凹部111,151の間に基板を介在させないことにより、光軸O方向の距離を短縮することができるため、光学ユニット1H自体を薄く(小型化)することが可能となる。
【0087】
[実施の形態10]
本発明の実施の形態10に係る光学ユニットの構成について、図13を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Iは、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bと、径方向に傾斜した接着面152を有する光学機能部品15とを、接着層14によって接合している。
【0088】
光学ユニット1Iは、具体的には、光学機能部品11Bと、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13と、接着層14と、光学機能部品15と、を備えている。
【0089】
光学機能部品11Bは、径方向に傾斜せず、基板12に対して平行な接着面112を有している。また、光学機能部品15は、光学機能部品11と同様の構成を備えている。
【0090】
本実施の形態に係る光学ユニット1Iにおいても、径方向に傾斜した接着面152を有する光学機能部品15を用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11B,15を密閉しつつ、光学機能部品11Bと光学機能部品15との未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Iを得ることができる。更に、光学機能部品11B,15の凹部111,151の間に基板を介在させないことにより、製造工程が簡単になる。また、凹部111,151の間に基板を介在させないことにより、光軸O方向の距離を短縮することができるため、光学ユニット1I自体を薄く(小型化)することが可能となる。
【0091】
[実施の形態11]
本発明の実施の形態11に係る光学ユニットの構成について、図14を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Jは、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bと、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Cとを、接着層14によって接合している。
【0092】
光学ユニット1Jは、具体的には、光学機能部品11Bと、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13Cと、接着層14と、を備えている。
【0093】
光学機能部品11Bは、径方向に傾斜せず、基板12に対して平行な接着面112を有している。また、基板13Cは、径方向に傾斜した傾斜面131を有している。そして、光学機能部品11Bの接着面112と、基板13Cの傾斜面131との間に、接着層14が介在している。
【0094】
本実施の形態に係る光学ユニット1Jにおいても、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Cを用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11Bを密閉しつつ、光学機能部品11Bと基板13Cとの未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Jを得ることができる。更に、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bを用いることにより、当該光学機能部品11Bの作成工程が簡単になる。
【0095】
[実施の形態12]
本発明の実施の形態12に係る光学ユニットの構成について、図15を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Kは、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bと、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Dとを、接着層14によって接合している。
【0096】
光学ユニット1Kは、具体的には、光学機能部品11Bと、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13Dと、接着層14と、を備えている。
【0097】
光学機能部品11Bは、径方向に傾斜せず、基板12に対して平行な接着面112を有している。また、基板13Dは、径方向に傾斜した傾斜面131を有している。すなわち、基板13Dにおいて、光学機能部品11Bの凹部111と対向する面は、曲面状に形成されている。そして、この曲面によって傾斜面131が形成されている。
【0098】
本実施の形態に係る光学ユニット1Kにおいても、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Dを用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11Bを密閉しつつ、光学機能部品11Bと基板13Dとの未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Kを得ることができる。更に、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bを用いることにより、当該光学機能部品11Bの作成工程が簡単になる。
【0099】
[実施の形態13]
本発明の実施の形態13に係る光学ユニットの構成について、図16を参照しながら説明する。本実施の形態に係る光学ユニット1Lは、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bと、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Eとを、接着層14によって接合している。
【0100】
光学ユニット1Lは、具体的には、光学機能部品11Bと、基板(第一の基板)12と、基板(第二の基板)13Eと、接着層14と、を備えている。
【0101】
光学機能部品11Bは、径方向に傾斜せず、基板12に対して平行な接着面112を有している。また、基板13Eは、径方向に傾斜した傾斜面131を有している。すなわち、基板13Eにおいて、光学機能部品11Bの凹部111と対向する面は、テーパ面状に形成されている。そして、このテーパ面によって傾斜面131が形成されている。
【0102】
本実施の形態に係る光学ユニット1Lにおいても、径方向に傾斜した傾斜面131を有する基板13Eを用いることにより、工程数を増やすことなく、気泡の発生を抑制することができる。従って、光学機能部品11Bを密閉しつつ、光学機能部品11Bと基板13Eとの未接着部の発生を抑制することができる。その結果、光学性能の低下や耐久性の低下等の不具合を生じることが少ない光学ユニット1Lを得ることができる。更に、基板12に対して平行な接着面112を有する光学機能部品11Bを用いることにより、当該光学機能部品11Bの作成工程が簡単になる。
【0103】
以上、本発明に係る光学ユニットおよび光学ユニットの製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0104】
例えば光学ユニット1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1Lの各構成要素のサイズは、要求される仕様および設計に応じて適宜選択すればよい。
【0105】
また、光学機能面である凹部111,151の開口の径は、要求仕様に対する設計として適宜選択することができる。凹部111,151の開口の径は、量産性の面から500μm~20mm程度とすることが好ましい。また、光学機能部品11,15の接着面112,152の幅は、要求される耐久性の度合いにより、適切な接着強度を得られるようなサイズを選択することが好ましい。
【0106】
また、光学機能部品11,11A,11B,15,18の成形は、一つの光学機能部品ごとに成形を繰り返して大きな基板にアレイ状に形成してもよく、あるいはアレイ状の金型を用いて一括成形してもよい。また、本実施の形態では、光学機能部品11,11A,11B,15,18として凹レンズの例を示したが、凹レンズに限らず、凸レンズ、フレネルレンズ、ホログラフィックレンズ等の様々な光学要素を採用することができる。
【0107】
また、光学機能部品11,11A,11B,15,18の素材および接着剤141としては、生産性の観点からエネルギー硬化型樹脂を用いることが好ましい。エネルギー硬化型樹脂としては、例えばUV硬化樹脂が挙げられるが、これに限定されない。
【0108】
また、接着剤141の粘度は、毛細管現象を活用するものであるため重要である。接着層14の厚さ、基板13,13A,13B,13C,13D,13E,16と接着面112,152との濡れ性にもよるが、接着剤141の粘度は、低めの粘度、例えば10000mPa・s以下が好ましく、3000~1000mPa・s程度とすることが特に好ましい。
【0109】
基板13,13A,13B,13C,13D,13E,16と接着面112,152との濡れ性は、毛細管現象の観点だけではなく、接着性、耐久性にも影響するため、接着剤141との濡れ性が低くないことが特に好ましい。濡れ性が悪い場合、接着性の低下、濡れ広がる速度が低下して生産性や光学ユニット1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1Lの品質低下を招く。
【0110】
基板13,13A,13B,13C,13D,13E,16と接着面112,152との濡れ性を向上させるために、接着面112,152へのUV処理、プラズマ処理等の物理的な表面処理、プライマー等による化学的処理等を行うことが好ましい。また、光学面への反射防止コートを兼ねて、無機酸化物(SiO等)を接着面112,152にコーティングすることも有用である。これらの特性は、適用するアプリケーションからの要求により、実際の成形工程における検証等により、適切な組み合わせを選択すればよい。
【0111】
基板12,13,13A,13B,13C,13D,13E,16の素材としては、ガラス、セラミック、樹脂等を用いることが好ましいが、所望の光学波長領域において高い透過性を有するものを用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0112】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1L 光学ユニット
11,11A,11B 光学機能部品(第一の光学機能部品)
111 凹部
112 接着面
12 基板(第一の基板)
13,13A,13B,13C,13D,13E 基板(第二の基板)
131 傾斜面
14 接着層(第一の接着層)
141 接着剤
15 光学機能部品(第二の光学機能部品)
151 凹部
152 接着面
16 基板(第三の基板)
17 接着層(第二の接着層)
18 光学機能部品(第三の光学機能部品)
O,O1 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16