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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048010
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20240401BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240401BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240401BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B41J5/30 B
G03G21/00 370
G03G21/00 502
H04N1/00 J
H04N1/00 127Z
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153829
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】垰田 政美
【テーマコード(参考)】
2C187
2H270
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C187AC07
2C187AD14
2C187AE07
2C187AG01
2C187AG15
2C187BF18
2C187CC03
2C187CD07
2C187CD12
2H270KA58
2H270KA61
2H270LB10
2H270MF13
2H270PA75
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA30
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
5C076AA12
5C076AA14
5C076CA10
(57)【要約】
【課題】 電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合に、そのプリント物が保存の対象ではないことを容易に確認可能とする。
【解決手段】 実施形態の画像形成装置は、プリンタ、取得部、決定部及び記録処理部を備える。取得部は、画像データを取得する。決定部は、取得部により取得された画像データを電磁的記録の対象とするか否かを決定する。記録処理部は、決定部により電磁的記録の対象とすることが決定された画像データに応じたプリントをプリンタに行わせる場合には、電磁的記録の対象であることを識別可能とする情報を記録するための記録処理を行い、決定部により電磁的記録の対象としないことが決定された画像データに応じたプリントをプリンタに行わせる場合には記録処理を行わない。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタと、
画像データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された画像データを電磁的記録の対象とするか否かを決定する決定部と、
前記決定部により電磁的記録の対象とすることが決定された画像データに応じたプリントを前記プリンタに行わせる場合には、電磁的記録の対象であることを識別可能とする情報を記録するための記録処理を行い、前記決定部により電磁的記録の対象としないことが決定された画像データに応じたプリントを前記プリンタに行わせる場合には前記記録処理を行わない、記録処理部と、
を具備した画像形成装置。
【請求項2】
前記取得部により画像データが取得されたことに応じて、当該画像データに応じたプリントを前記プリンタに行わせるプリント制御部と、
前記取得部により画像データが取得されたことに応じて、当該画像データを前記プリント制御部による制御の下でのプリントのためとは別に記憶媒体に記録させるための予め定められた記録処理を実行する記録制御部と、
をさらに備え、
前記決定部は、前記記録制御部による記録処理が実行される場合に電磁的記録の対象とすると決定し、前記記録制御部による記録処理が実行されない場合に電磁的記録の対象としないと決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録処理部は、前記記録処理として、前記取得部により取得された画像データに応じた画像に、電磁的記録の対象であることを識別可能とする画像を付加した画像のプリントを前記プリンタに行わせる処理を行う、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プリンタが使用するプリント媒体に取り付けられたICタグにデータを書き込む書込デバイスを更に備え、
前記記録処理部は、前記記録処理として、前記取得部により取得された画像データに応じた画像が前記プリンタによりプリントされるプリント媒体に取り付けられているICタグに、電磁的記録の対象であることを識別可能とするデータを書き込むように前記書込デバイスを制御する処理を行う、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ファクシミリデータを受信する受信部、
をさらに備え、
前記取得部は、前記受信部により受信されたファクシミリデータから画像データを取得する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
令和3年度改正の電子帳簿保存法では、電子取引についての帳簿等は電磁的記録により保存することが定められ、紙媒体にプリントして保存することが認められなくなった。
しかしながら、電磁的記録により保存されている帳簿等を、控えのためなどに紙媒体にプリントすることは禁止されていない。
このため、電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合には、そのプリント物が保存の対象ではないことを確認できることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-304803号公報
【特許文献2】特開2020-106998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合に、そのプリント物が保存の対象ではないことを容易に確認可能とすることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、プリンタ、取得部、決定部及び記録処理部を備える。取得部は、画像データを取得する。決定部は、取得部により取得された画像データを電磁的記録の対象とするか否かを決定する。記録処理部は、決定部により電磁的記録の対象とすることが決定された画像データに応じたプリントをプリンタに行わせる場合には、電磁的記録の対象であることを識別可能とする情報を記録するための記録処理を行い、決定部により電磁的記録の対象としないことが決定された画像データに応じたプリントをプリンタに行わせる場合には記録処理を行わない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る複合機の機械的な構成を表す図。
図2図1に表される複合機の要部回路構成を概略的に表すブロック図。
図3】帳簿受信処理のフローチャート。
図4】帳簿受信処理のフローチャート。
図5】第1のマーキングデータの付加の一例を表す図。
図6】管理データの構造を模式的に表す図。
図7】帳簿送信処理のフローチャート。
図8】第2のマーキングデータの付加の一例を表す図。
図9】第3のマーキングデータの付加の一例を表す図。
図10】帳簿プリント処理のフローチャート。
図11】管理データベースに含まれる1つのデータレコードの構成を模式的に表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置としての機能を備えた複合機を例に説明する。なお複合機は、MFP(multifunction peripheral)とも称される。
図1は本実施形態に係る複合機100の機械的な構成を表す図である。なお図1は、複合機100の機械的な構成を厳密に表している訳では無く、一部の要素の形状及び位置関係は実際とは異なる場合もある。
図1に表すように、複合機100は、スキャナ101、プリンタ102及びタグリーダライタ103を有する。
【0008】
スキャナ101は、原稿の画像を読み取って、これに対応する画像データを生成する。スキャナ101は、例えばCCD(charge-coupled device)を用いたラインセンサなどのイメージセンサを用い、原稿の読取面からの反射光像に応じた画像データを生成する。スキャナ101は、原稿台に載置された原稿を、当該原稿に沿って移動するイメージセンサによりスキャンする。スキャナ101はあるいは、ADF(auto document feeder)が搬送する原稿を、固定されたイメージセンサによりスキャンする。
【0009】
プリンタ102は、画像形成の対象となるプリント媒体に電子写真方式により画像を形成する。プリント媒体は、典型的にはカット紙等のプリント用紙である。そこで以下では、プリント媒体としてプリント用紙が用いられることとして説明する。ただし、プリント媒体としては、カット紙とは別の紙製のシート材が用いられてもよいし、紙以外の樹脂等の素材のシート材が用いられてもよい。プリンタ102は、カラー画像をプリント用紙に印刷するカラー印刷機能と、モノクロの画像をプリント用紙に印刷するモノクロ印刷機能とを有する。プリンタ102は、例えばイエロー、マゼンタ及びシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色のトナーをそれぞれ用いた要素画像を重ね合わせて形成することによってカラー画像を形成する。また、プリンタ102は、例えばブラックのトナーを用いてモノクロ画像を形成する。ただしプリンタ102は、カラー印刷機能及びモノクロ印刷機能のいずれか一方のみを備えてもよい。
【0010】
タグリーダライタ103は、例えば複合機100の本体とは別体のオプションユニットとして提供され、図1に表すように複合機100の本体の側面に取り付けられる。ただしタグリーダライタ103は、複合機100の本体の前面などの別の位置に取り付けられてもよい。またタグリーダライタ103は、複合機100の本体に内蔵されるのでも構わない。タグリーダライタ103は、IC(integrated circuit)タグの一例であるRFIDタグと無線通信する通信部である。タグリーダライタ103は、RFIDタグが記憶しているデータを読み取る。タグリーダライタ103は、RFIDタグに任意のデータを書き込む。RFIDタグは、プリンタ102内で画像形成のために搬送されるプリント用紙に取り付けられている。つまりタグリーダライタ103は、書込デバイスの一例である。
【0011】
図1に表す構成例において、プリンタ102は、給紙ユニット1、プリントエンジン2、定着ユニット3、ADU(automatic duplexing unit)4及び排紙トレイ5を含む。
給紙ユニット1は、給紙カセット10-1,10-2,10-3、ピックアップローラ11-1,11-2,11-3、搬送ローラ12-1,12-2,12-3、搬送ローラ13及びレジストローラ14を含む。
【0012】
給紙カセット10-1~10-3は、プリント用紙を積み重ねた状態で収納する。給紙カセット10-1~10-3がそれぞれ収納するプリント用紙は、サイズ及び材質が異なる別種のプリント用紙であっても、同種のプリント用紙であってもよい。給紙ユニット1は、他に、手差しトレイを含んでもよい。
ピックアップローラ11-1~11-3は、各給紙カセット10-1~10-3からプリント用紙を一枚ずつ取り出す。ピックアップローラ11-1~11-3は、取り出したプリント用紙を搬送ローラ12-1~12-3へと送り込む。
【0013】
搬送ローラ12-1~12-3は、ピックアップローラ11-1~11-3から送り込まれたプリント用紙を、図示しないガイド部材などにより形成された搬送路を介して搬送ローラ13へと送り込む。
搬送ローラ13は、搬送ローラ12-1~12-3のいずれかから送り込まれたプリント用紙を更に搬送し、レジストローラ14へと送り込む。
【0014】
レジストローラ14は、プリント用紙の傾きを正す。レジストローラ14は、プリントエンジン2へとプリント用紙を送り込むタイミングを調整する。
給紙カセット、ピックアップローラ及び搬送ローラは、3組に限定されるものではなく、任意の組数が設けられてよい。また、手差しトレイを設けるのであれば、給紙カセットと、それと対をなすピックアップローラ及び搬送ローラとは、1組も設けなくてもよい。
【0015】
プリントエンジン2は、ベルト20、支持ローラ21,22,23,24、画像形成ユニット25-1,25-2,25-3,25-4、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4、露光ユニット27、転写ローラ28及びベルトクリーナ29を含む。
ベルト20は、無端状をなし、図1に表す状態を維持するように支持ローラ21,22,23,24により支持される。ベルト20は、支持ローラ21の回転に伴って、図1中の反時計回りに回転する。ベルト20は、外側に位置する面(以下、像担持面と称する)に、プリント用紙に形成すべきトナーの像を一時的に担持する。ベルト20には、耐熱性及び対磨耗性の点から、例えば半導電性ポリイミドが用いられる。ベルト20の回転に伴う像担持面の移動により、いわゆる副走査が実現されるのであり、像担持面の移動方向は副走査方向とも呼ばれる。
【0016】
画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれが感光体、帯電器、現像器、転写器及びクリーナを含み、露光ユニット27との協働により電子写真方式による画像形成を行う。なお、転写器は、画像形成ユニット25-1~25-4に含まれず、ベルト20を含むユニットなどの別のユニットに含まれてもよいし、いずれのユニットにも属さない状態で存在していてもよい。画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれの感光体の軸方向が互いに平行する状態で、ベルト20に沿って配列されている。画像形成ユニット25-1~25-4は、用いるトナーの色が異なるのみであり、構造及び動作は同様である。画像形成ユニット25-1は、例えばブラックの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-2は、例えばシアンの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-3は、例えばマゼンタの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-4は、例えばイエローの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-1~25-4は、各色の要素画像を、ベルト20の像担持面上で互いに重なり合うようにする。これにより、画像形成ユニット25-1~25-4は、画像形成ユニット25-1を通過した時点におけるベルト20の像担持面上に、各色の各要素画像を重ね合わせたカラー画像を形成する。
【0017】
供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、トナーを収容したトナーボトルを着脱可能であり、装着されているトナーボトルに収容されているトナーを画像形成ユニット25-1~25-4にそれぞれ供給する。トナーボトルには、トナーが単独で、つまりいわゆる1成分現像剤として収容されていてもよいし、トナーとキャリアなどの他の物質とを混合した、いわゆる多成分現像剤として収容されていてもよい。トナーボトルが多成分現像剤を収容する場合、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、キャリア等の物質とともにトナーを供給する。ただし、供給ユニット26-1~26-4から画像形成ユニット25-1~25-4へと供給されるトナーが通過する通路の図示は図1では省略している。
【0018】
露光ユニット27は、画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体を、各色の要素画像を表した画像データに従って露光する。露光ユニット27としては、レーザスキャナ又はLED(light emitting diode)ヘッドなどが用いられる。露光ユニット27は、レーザスキャナが用いられるならば例えば、半導体レーザ素子、ポリゴンミラー、結像レンズ系及びミラーを含む。そしてこの場合の露光ユニット27は例えば、半導体レーザ素子から画像データに従って出射されたレーザビームを、ミラーによる出射方向の切り替えによって画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体に選択的に入射させる。また露光ユニット27は、上記のレーザビームを、ポリゴンミラーによって感光体の軸方向(図1中の奥行き方向)に走査する。このレーザビームの走査は、いわゆる主走査であり、その方向は主走査方向と呼ばれる。
【0019】
転写ローラ28は、支持ローラ24と平行に配置され、支持ローラ24との間にベルト20を挟み込む。転写ローラ28は、レジストローラ14から送り出されたプリント用紙を、ベルト20の像担持面との間に挟み込む。そして転写ローラ28は、ベルト20の像担持面に形成されたトナーの像を、静電力を利用してプリント用紙に対して転写する。
ベルトクリーナ29は、プリント用紙に転写し切れずにベルト20の像担持面に残留したトナーを除去する。
【0020】
定着ユニット3は、定着ローラ30及び加圧ローラ31を含む。
定着ローラ30は、例えば耐熱性の金属ローラの内部にヒータを収容する。ヒータは、例えばIH(induction heating)ヒータであるが、他の任意のタイプのヒータを適宜に利用できる。定着ローラ30は、プリントエンジン2から送り出されるプリント用紙に付着したトナーを溶融させることによって、当該トナーをプリント用紙に定着させる。
加圧ローラ31は、定着ローラ30と平行して、かつ定着ローラ30に対して押圧された状態で設けられている。加圧ローラ31は、プリントエンジン2から送り出されたプリント用紙を定着ローラ30との間に挟み込み、定着ローラ30へと押しつける。
【0021】
ADU4は、複数のローラを含み、次の2つの動作を選択的に行う。第1の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙をそのまま排紙トレイ5に向けて送り出す。この第1の動作は、片面プリント又は両面プリントを終えた場合に行われる。第2の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙を、一旦は排紙トレイ5の側へと搬送したのち、スイッチバックさせてプリントエンジン2へと送り込む。この第2の動作は、両面プリントにおける一面のみへの画像形成を終えた場合に行われる。
排紙トレイ5は、画像が形成されて排出されたプリント用紙を受ける。
【0022】
図2は複合機100の要部回路構成を概略的に表すブロック図である。なお図2において、図1及び図1に表されるのと同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
複合機100は、図1にも表されるスキャナ101、プリンタ102及びタグリーダライタ103に加えて、プロセッサ104、メイン記憶ユニット105、補助記憶ユニット106、コントロールパネル107、入力画像処理部108、出力画像処理部109、画像コーデック110、画像処理部111、認証部112、画像認識部113、FAX(facsimile)制御部114、通信部115及び伝送路116を含む。
【0023】
プロセッサ104、メイン記憶ユニット105及び補助記憶ユニット106を伝送路116で接続することによって、複合機100を構成する各部を統括的に制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ104は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ104は、オペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、後述する情報処理を実行する。
【0024】
メイン記憶ユニット105は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット105は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット105は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット105は、プロセッサ104が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット105は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ104によるワークエリアとして使用する。
【0025】
補助記憶ユニット106は、上記コンピュータの補助記憶ユニット分に相当する。補助記憶ユニット106としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)及びSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。補助記憶ユニット106は、プロセッサ104が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ104での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット106は、情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では、補助記憶ユニット106は、制御プログラムPRAを記憶する。制御プログラムPRAは、複合機100の制御のための情報処理について記述された情報処理プログラムである。
【0026】
コントロールパネル107は、入力デバイス及び表示デバイスを含む。コントロールパネル107は、入力デバイスにより、操作者による指示を入力する。コントロールパネル107は、表示デバイスにより、操作者に対して通知すべき各種の情報を表示する。コントロールパネル107としては例えば、タッチパネル、各種のスイッチ及び各種のランプ等を単独で、あるいは適宜に組み合わせて利用できる。
【0027】
入力画像処理部108は、スキャナ101により生成された画像データに対して画像処理を行う。
出力画像処理部109は、プリントのためにプリンタ102へと与えるための画像データに対して画像処理を行う。
画像コーデック110は、画像データを符号化してFAXデータを生成する。画像コーデック110は、FAXデータを復号化して画像データを得る。
【0028】
画像処理部111は、後述するアノテーション処理のための画像処理を行う。
認証部112は、文書ファイルに対して、電子署名及びタイムスタンプを付加する。
画像認識部113は、画像データが表す画像に含まれる手書き文字を認識する。画像認識部113は、画像データが表す画像に含まれるマーキングデータを認識する。
【0029】
FAX制御部114は、FAX送信部1141及びFAX受信部1142を含む。FAX送信部1141は、画像コーデック110により得られるFAXデータを、公衆通信網200を介して、FAX端末300等の任意の送信先に送信する。FAX受信部1142は、FAX端末300等の任意の送信元から送信されて公衆通信網200を介して伝送されてきたFAXデータを受信する。公衆通信網200としては、PSTN(public switched telephone network)及びISDN(integrated services digital network)などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
【0030】
通信部115は、コンピュータネットワーク400を介して、情報端末500などの任意のデータ通信端末とデータ通信を行う。通信部115としては、コンピュータネットワーク400に適用される通信方式に準拠した周知の通信デバイスを適用できる。つまり、コンピュータネットワーク400としてLAN(local area network)が用いられるならば、通信部115としてはLANに準拠した通信デバイスを用いることができる。コンピュータネットワーク400としては、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
伝送路116は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等と、これらアドレスバス、データバス及び制御信号線に各部を接続するためのインタフェース部とを含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0031】
さて、複合機100の譲渡は一般に、補助記憶ユニット106に制御プログラムPRAが記憶された状態にて行われる。しかし、制御プログラムPRAが補助記憶ユニット106に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット106に記憶された状態のハードウェアと、制御プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット106に制御プログラムPRAが書き込まれることによって、複合機100が構成されてもよい。制御プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0032】
次に以上のように構成された複合機100の動作について説明する。なお、以下に説明する各種の処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
プロセッサ104は、帳簿等の電子帳簿保存法の適用対象となる書類(以下、帳簿と記す)をFAX受信する必要が生じると、制御プログラムPRAに従って帳簿受信処理を実行する。
図3及び図4は帳簿受信処理におけるプロセッサ104のフローチャートである。
【0033】
図3中のACT11としてプロセッサ104は、FAX受信処理を行う。つまりプロセッサ104は例えば、公衆通信網200を介して伝送されてくるFAXデータをFAX受信部1142に受信させる。そしてプロセッサ104は例えば、FAX受信部1142により受信されたFAXデータを、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存する。
【0034】
ACT12としてプロセッサ104は、伸長処理を行う。つまりプロセッサ104は例えば、上記のようにメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存したFAXデータを、画像コーデック110に復号化させる。そしてプロセッサ104は例えば、画像コーデック110による復号化で得られた画像データを、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存する。ここに、制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは、画像コーデック110との協働によって、FAXデータから画像データを取得する取得部としての機能を実現する。
【0035】
ACT13としてプロセッサ104は、帳簿受信のモードとして非同期モードが設定されているか否かを確認する。ここで複合機100においては、帳簿受信のモードとして、非同期モード、簡易同期モード及び同期モードを選択的に設定できる。例えばプロセッサ104は、帳簿受信処理とは別の処理により、例えば複合機100の管理者による指定を受けて、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に記憶されている設定データを、非同期モード、簡易同期モード及び同期モードのいずれが帳簿受信のモードとして設定されているかを表すように更新する。そしてプロセッサ104は、例えば設定データを参照して非同期モードが設定されていることを確認したならばYESと判定し、ACT14へと進む。
【0036】
ACT14としてプロセッサ104は、紙出力を行うべきであるか否かを確認する。プロセッサ104は例えば、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に記憶されている設定データに、紙出力とする旨の設定が表されているならばYESと判定する。この場合にプロセッサ104は例えば帳簿受信処理とは別の処理により、管理者等による指定を受けて、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に記憶されている設定データを、紙出力とする設定又は電磁的記録とする設定のいずれかを表すように更新しておく。なおプロセッサ104は例えば、FAX受信の個々に関して、紙出力及び電磁的記録のいずれとするかを利用者による指定に応じて決定してもよい。つまり、プロセッサ104は、ACT14での確認により、電磁的記録の対象とするか否かを決定している。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは決定部として機能する。そしてプロセッサ104は、紙出力を行うべきであるとしてYESと判定したならば、ACT15へと進む。
【0037】
ACT15としてプロセッサ104は、プリントを開始する。つまりプロセッサ104は、ACT12にてメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存した画像データに対して、プリントのための前処理としての画像処理を出力画像処理部109により行わせるとともに、出力画像処理部109により処理済みの画像データに基づく画像形成をプリンタ102に開始させる。このとき、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは、プリント制御部として機能する。
【0038】
ACT16としてプロセッサ104は、プリンタ102によるプリントが終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ104は、プリントが終了したならばYESと判定して、帳簿受信処理を終了する。
かくして、今回受信されたFAXデータが表す帳簿は、紙媒体にプリントして出力されて、電磁的記録は行われない。このため該当の帳簿は、上記のように紙媒体にプリントされたものが原本となる。
【0039】
一方、プロセッサ104は、電磁的記録を行うべきであるならば、ACT14にて、紙出力を行うべきではないとしてNOと判定し、図4中のACT31へと進む。
ACT31としてプロセッサ104は、文書ファイル化処理を行う。つまりプロセッサ104は、図3中のACT12にてメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存した画像データを対象とし、予め定められたファイル形式に従った文書ファイルへの変換処理を、画像処理部111に行わせる。ファイル形式としては、例えばPDF形式を用いることが想定されるが、どのようなファイル形式が適用されても構わない。
【0040】
ACT32としてプロセッサ104は、認証処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT31にて画像処理部111により得られた画像ファイルに対して、電子署名及びタイムスタンプを付加させる。
ACT33としてプロセッサ104は、保存処理を行う。つまりプロセッサ104は、電磁的記録のための保存先として予め定められた記憶媒体に、電子署名及びタイムスタンプを付加した後の画像ファイルを保存するための処理を行う。保存先は、例えば管理者などによって任意に定められてよい。一例として、図1に表される情報端末500が備える記憶デバイスが保存先として定められる。この場合にはプロセッサ104は、該当の画像ファイルの保存を、通信部115からコンピュータネットワーク400を介して情報端末500に要求する。補助記憶ユニット106が保存先として設定されることも想定される。この場合にはプロセッサ104は、該当の画像ファイルを補助記憶ユニット106に書き込む。かくして、今回受信されたFAXデータは文書ファイルとして電磁的記録されることとなり、当該の文書ファイルが、今回受信されたFAXデータが表す帳簿の原本となる。このとき、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは記録制御部として機能する。
【0041】
ACT34としてプロセッサ104は、控えプリントが必要であるか否かを確認する。プロセッサ104は例えば、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に記憶されている設定データに、控えプリントを実行する旨の設定が表されているならばYESと判定する。この場合にプロセッサ104は例えば、帳簿受信処理とは別の処理により、管理者等による指定を受けて、メイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に記憶されている設定データを、控えプリントを実行するか否かを表すように更新しておく。なおプロセッサ104は例えば、FAX受信の個々に関して、控えプリントを行うか否かを利用者による指定に応じて決定してもよい。そしてプロセッサ104は、控えプリントが必要であるとしてYESと判定したならば、ACT35へと進む。
【0042】
ACT35としてプロセッサ104は、これから開始するプリントで使用すべきプリント用紙がRFIDタグ付きであるか否かを確認する。プロセッサ104は、給紙カセット10-1~10-3のそれぞれにセットされているプリント用紙、あるいは手差しトレイを備えるならばさらにこの手差しトレイにセットされているプリント用紙を含めたプリント用紙のうちから、これから開始するプリントで使用すべきプリント用紙を選択する。この選択のための処理は、例えば既存の別の複合機と同様な処理であって構わない。あるいはプロセッサ104は、RFIDタグ付きのプリント用紙がセットされているならば、当該のプリント用紙を控えプリントに関して選択するのでもよい。そしてプロセッサ104は、選択したプリント用紙がRFIDタグ付きではないならばNOと判定し、ACT36へと進む。
【0043】
ACT36としてプロセッサ104は、アノテーション処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT31で得られた文書ファイルが表す画像に、電磁的記録の対象であることを識別可能とする画像(以下、第1のマーキングデータと称する)を付加するための画像処理を画像処理部111に行わせる。なおアノテーション処理の対象とする画像は、ACT12にてメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存した画像データが表す画像としてもよい。
【0044】
図5は第1のマーキングデータの付加の一例を表す図である。
画像IMA,IMBは、受信されたFAXデータが表す画像の一例であり、それぞれ別々のページの画像である。つまり図5は、受信されたFAXデータが2ページ組の原稿のFAX通信に係るものである場合の例である。なお、図5と、後述する図8及び図9とにおいては、画像IMA,IMBが表す文字の一部を「X」で置き換えて表している。
画像処理部111は、図5に表されるように、画像IMA,IMBのそれぞれの同一位置に、同じ第1のマーキングデータMDAを付加する。第1のマーキングデータMDAは、「電子データ原本」との文字列を含むことにより、電磁的記録の対象であることを識別可能とする。
【0045】
このように第1のマーキングデータMDAをプリントさせるためのプロセッサ104の処理は、電磁的記録の対象であることを識別可能とする情報を記録するための記録処理に該当する。つまり制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは記録処理部として機能する。
【0046】
ACT37としてプロセッサ104は、プリントを開始する。つまりプロセッサ104は、ACT36でのアノテーション処理により得られた画像データに対して、プリントのための前処理としての画像処理を出力画像処理部109により行わせるとともに、出力画像処理部109により処理済みの画像データに基づく画像形成をプリンタ102に開始させる。
【0047】
一方、プロセッサ104はACT35にて、これから開始するプリントで使用すべきプリント用紙がRFIDタグ付きであることを確認したならばYESと判定し、ACT38へと進む。
ACT38としてプロセッサ104は、プリントを開始する。つまりプロセッサ104は、ACT12にてメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存した画像データに対して、プリントのための前処理としての画像処理を出力画像処理部109により行わせるとともに、出力画像処理部109により処理済みの画像データに基づく画像形成をプリンタ102に開始させる。なお、ここで開始するプリントは、ACT31で得られた文書ファイルに基づいてもよい。
【0048】
ACT39としてプロセッサ104は、プリンタ102による画像形成が行われているのと並行して、タグ書込処理を行う。つまりプロセッサ104は、プリント中の文書の電磁的記録の状況を管理するための管理データを生成する。そしてプロセッサ104は、プリンタ102により画像形成のために搬送されているプリント用紙に取り付けられているRFIDタグに対して管理データを、タグリーダライタ103により書き込ませる。
【0049】
図6は管理データDAの構造を模式的に表す図である。
管理データDAは、情報IA,IB,IC,IDを含む。プロセッサ104は、情報IAとしては、ACT33での保存処理での文書ファイルの保存先を識別するためのファイルパスをセットする。プロセッサ104は、情報IBとしては、ACT33での保存処理での文書ファイルの保存日時をセットする。プロセッサ104は、情報ICとしては、利用者を識別するための利用者識別子をセットする。プロセッサ104は、情報IDとしては、予め定められた条件が成立する場合に、その条件成立に関する情報をセットする。
【0050】
このように管理データDAをRFIDタグに書き込むためのプロセッサ104の処理は、電磁的記録の対象であることを識別可能とする情報を記録するための記録処理に該当する。つまり制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは記録処理部として機能する。
【0051】
プロセッサ104は、ACT37又はACT39から、いずれもACT40へと進む。
ACT40としてプロセッサ104は、プリンタ102によるプリントが終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ104は、プリントが終了したならばYESと判定して、帳簿受信処理を終了する。なお、プロセッサ104は、ACT34にて控えプリントが必要ではないとしてNOと判定したならば、ACT35~ACT40をパスして帳簿受信処理を終了する。
【0052】
以上のように帳簿受信のモードとして非同期モードが設定されている場合には、複合機100における設定に応じて、受信された帳簿が紙原本又は電磁的記録原本のいずれかとされる。そして電磁的記録原本とした場合に、該当の帳簿を控え等としてプリントする場合には、帳簿を表す画像中に第1のマーキングデータMDAを付加するか、又はRFIDタグに管理データDAを書き込む。これにより、電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合に、そのプリント物が保存の対象ではないことを容易に確認可能とすることができる。紙原本とした帳簿をプリントする場合には、第1のマーキングデータMDAの付加も、RFIDタグへの管理データDAの書き込みも行われないから、第1のマーキングデータMDAの付加状況、あるいはRFIDタグでの管理データDAの記憶状況に基づき、プリンタ102でプリントされた帳簿が、紙原本及び電磁的記録原本のいずれであるかを識別可能である。
【0053】
さてプロセッサ104は、図3中のACT13にて、帳簿受信のモードとして非同期モードが設定されていないためにNOと判定したならば、ACT17へと進む。
ACT17としてプロセッサ104は、帳簿受信のモードとして簡易同期モードが設定されているか否かを確認する。そしてプロセッサ104は、簡易同期モードが設定されているならばYESと判定し、ACT18へと進む。
ACT18としてプロセッサ104は、手書き認識処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT12にてメイン記憶ユニット105又は補助記憶ユニット106に一時保存した画像データが表す画像から手書き文字を認識する処理を画像認識部113に行わせる。
【0054】
ACT19としてプロセッサ104は、画像認識部113により認識に成功した手書き文字が有るか否かを確認する。そしてプロセッサ104は、画像認識部113により手書き文字が認識されているならば、手書き文字があるとしてYESと判定し、ACT15へと進み、ACT15及びACT16を前述と同様に実行する。またプロセッサ104は、画像認識部113により手書き文字が認識されていないならば、手書き文字がないとしてACT19にてNOと判定し、図4中のACT31以降を前述と同様に実行する。
【0055】
以上のように帳簿受信のモードとして簡易同期モードが設定されている場合には、受信された帳簿に手書き文字が含まれている場合に紙原本とされ、手書き文字が含まれない場合に電磁的記録原本とされる。そして電磁的記録原本とした場合に、該当の帳簿を控え等としてプリントする場合には、帳簿を表す画像中に第1のマーキングデータMDAを付加するか、又はRFIDタグに管理データDAを書き込む。これにより、電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合に、そのプリント物が保存の対象ではないことを容易に確認可能とすることができる。紙原本とした帳簿をプリントする場合には、第1のマーキングデータMDAの付加も、RFIDタグへの管理データDAの書き込みも行われないから、第1のマーキングデータMDAの付加状況、あるいはRFIDタグでの管理データDAの記憶状況に基づき、プリンタ102でプリントされた帳簿が、紙原本及び電磁的記録原本のいずれであるかを識別可能である。
つまり、プロセッサ104は、ACT19での確認により、電磁的記録の対象とするか否かを決定している。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは決定部として機能する。
【0056】
さてプロセッサ104は、図3中のACT17にて、帳簿受信のモードとして簡易同期モードが設定されていないためにNOと判定したならば、ACT20へと進む。つまりプロセッサ104は、帳簿受信のモードとして同期モードが設定されているならば、ACT20へと進むことになる。
【0057】
帳簿受信のモードとして同期モードを用いる場合は、送信側のFAX端末300としても、複合機100を用いることを前提とする。
そして送信側のFAX端末300として用いられる複合機100においてプロセッサ104は、帳簿をFAX送信する必要が生じたことに応じて、制御プログラムPRAに従って帳簿送信処理を実行する。
【0058】
図7は帳簿送信処理におけるプロセッサ104のフローチャートである。
ACT51としてプロセッサ104は、原稿をスキャナ101によりスキャンするか否かを確認する。プロセッサ104は、帳簿がスキャナ101にセットされた上で、スキャン開始が指示されたことに応じて帳簿送信処理を開始したのであるならば、YESと判定してACT52へと進む。
ACT52としてプロセッサ104は、スキャン処理を行う。つまりプロセッサ104は、帳簿のスキャンをスキャナ101に行わせるとともに、スキャナ101で生成される画像データに対する画像処理を入力画像処理部108に行わせる。
【0059】
ACT53としてプロセッサ104は、アノテーション処理を行う。つまりプロセッサ104は、入力画像処理部108により処理済みの画像データが表す画像に、紙原本であることを通知するための画像(以下、第2のマーキングデータと称する)を付加するための画像処理を画像処理部111に行わせる。
【0060】
図8は第2のマーキングデータの付加の一例を表す図である。
画像処理部111は、図8に表されるように、画像IMA,IMBのそれぞれの同一位置に、同じ第2のマーキングデータMDBを付加する。第2のマーキングデータMDBは、「原本は紙です」との文字列を含むことにより、紙原本であることを表す。
【0061】
さてプロセッサ104は、情報端末500などからコンピュータネットワーク400を介して帳簿送信が要求されたことに応じて、帳簿送信処理を開始したのであるならば、ACT51にてスキャンではないとしてNOと判定し、ACT54へと進む。
ACT54としてプロセッサ104は、文書ファイル受信処理を行う。つまりプロセッサ104は、要求元の情報端末500から送信され、コンピュータネットワーク400を介して伝送されてくる文書ファイルを通信部115に受信させる。
【0062】
ACT55としてプロセッサ104は、データ変換処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT54で通信部115により受信された文書ファイルをFAX送信に適する画像データへと画像処理部111により変換させる。
ACT56としてプロセッサ104は、アノテーション処理を行う。つまりプロセッサ104は、画像処理部111による変換処理により得られた画像データが表す画像に、電子的記録原本であることを通知するための画像(以下、第3のマーキングデータと称する)を付加するための画像処理を画像処理部111に行わせる。
【0063】
図9は第3のマーキングデータの付加の一例を表す図である。
画像処理部111は、図9に表されるように、画像IMA,IMBのそれぞれの同一位置に、同じ第3のマーキングデータMDCを付加する。第3のマーキングデータMDCは、「原本は電子データです」との文字列を含むことにより、電子的記録原本であることを表す。
【0064】
プロセッサ104は、ACT53又はACT56を終えると、いずれの場合もACT57へと進む。
ACT57としてプロセッサ104は、コーディング処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT53又はACT56にてアノテーション処理済みである画像データを、画像コーデック110により符号化させる。
【0065】
ACT58としてプロセッサ104は、FAX送信処理を行う。つまりプロセッサ104は、宛先として指定された複合機100との公衆通信網200を介しての接続を確立した上で、ACT57での符号化により得られたFAXデータを、FAX送信部1141から送信させる。そしてプロセッサ104は、FAXデータを送信し終えたならば、帳簿送信処理を終了する。
【0066】
一方、受信側である複合機100にてプロセッサ104は、帳簿受信のモードとして同期モードが設定されているために前述のように図3中のACT20へと進んでいる。
ACT20としてプロセッサ104は、送信元が紙管理であるか否かを確認する。つまりプロセッサ104は、第2のマーキングデータMDB及び第3のマーキングデータMDCのいずれが、FAXデータが表す画像に付加されているかを画像認識部113に認識させる。そしてプロセッサ104は、第2のマーキングデータMDBが画像認識部113により認識されたならば、紙管理であるとしてYESと判定し、ACT15及びACT16を前述と同様に実行する。またプロセッサ104は、第3のマーキングデータMDCが画像認識部113により認識されたならば、電磁的記録管理であるとしてNOと判定し、図4中のACT31以降を前述と同様に実行する。
【0067】
以上のように帳簿受信のモードとして同期モードが設定されている場合には、受信された帳簿に第2のマーキングデータMDB又は第3のマーキングデータMDCを付加することによって通知される送信側での管理形態に合わせて、紙原本とするか、電磁的記録原本とされるかが決められる。そして電磁的記録原本とした場合に、該当の帳簿を控え等としてプリントする場合には、帳簿を表す画像中に第1のマーキングデータMDAを付加するか、又はRFIDタグに管理データDAを書き込む。これにより、電磁的記録により保存されている帳簿等を紙媒体にプリントした場合に、そのプリント物が保存の対象ではないことを容易に確認可能とすることができる。紙原本とした帳簿をプリントする場合には、第1のマーキングデータMDAの付加も、RFIDタグへの管理データDAの書き込みも行われないから、第1のマーキングデータMDAの付加状況、あるいはRFIDタグでの管理データDAの記憶状況に基づき、プリンタ102でプリントされた帳簿が、紙原本及び電磁的記録原本のいずれであるかを識別可能である。
つまり、プロセッサ104は、ACT20での確認により、電磁的記録の対象とするか否かを決定している。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ104が実行することによって、プロセッサ104を中枢部分とするコンピュータは決定部として機能する。
【0068】
さて、電磁的記録のために情報端末500に保存した帳簿のプリントを要求する要求情報が情報端末500から送信されて、コンピュータネットワーク400により伝送されて通信部115により受信されると、プロセッサ104は制御プログラムPRAに従って帳簿プリント処理を実行する。
図10は帳簿プリント処理におけるプロセッサ104のフローチャートである。
【0069】
ACT61としてプロセッサ104は、文書ファイル受信処理を行う。つまりプロセッサ104は、プリントの対象として情報端末500から送信され、コンピュータネットワーク400を介して伝送されてきた文書ファイルを通信部115に受信させる。
ACT62としてプロセッサ104は、データ変換処理を行う。つまりプロセッサ104は、ACT61で通信部115により受信された文書ファイルを、プリンタ102での画像形成に適する画像データへと画像処理部111により変換させる。
【0070】
ACT63としてプロセッサ104は、これから開始するプリントで使用すべきプリント用紙がRFIDタグ付きであるか否かの確認を、例えば図4中のACT35と同様に行う。そしてプロセッサ104は、選択したプリント用紙がRFIDタグ付きではないならばNOと判定し、ACT64へと進む。
ACT64としてプロセッサ104は、アノテーション処理を、例えば図4中のACT36と同様に行う。ただしプロセッサ104は、ここで第1のマーキングデータを付加する対象は、ACT62でのデータ変換処理により得られた画像データが表す画像とする。
【0071】
ACT65としてプロセッサ104は、プリントを開始する。つまりプロセッサ104は、ACT64でのアノテーション処理により得られた画像データに対するプリントのための画像処理を出力画像処理部109により行わせるとともに、出力画像処理部109により処理済みの画像データに基づく画像形成をプリンタ102に開始させる。
【0072】
一方、プロセッサ104はACT63にて、これから開始するプリントで使用すべきプリント用紙がRFIDタグ付きであることを確認したならばYESと判定し、ACT66へと進む。
ACT66としてプロセッサ104は、プリントを開始する。つまりプロセッサ104は、ACT62でのデータ変換処理により得られた画像データに対するプリントのための画像処理を出力画像処理部109により行わせるとともに、出力画像処理部109により処理済みの画像データに基づく画像形成をプリンタ102に開始させる。
ACT67としてプロセッサ104は、プリンタ102による画像形成が行われているのと並行して、タグ書込処理を図4中のACT39と同様に行う。
【0073】
プロセッサ104は、ACT65又はACT67から、いずれもACT68へと進む。
ACT68としてプロセッサ104は、プリンタ102によるプリントが終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ104は、プリントが終了したならばYESと判定して、帳簿プリント処理を終了する。
【0074】
以上のように電磁的記録された帳簿を控え等としてプリントする場合には、帳簿を表す画像中に第1のマーキングデータMDAを付加するか、又はRFIDタグに管理データDAを書き込む。かくして、該当のプリントされた帳簿が、電磁的記録原本であることを識別可能である。
【0075】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
プロセッサ104は、管理データをRFIDタグに書き込むのに代えて、補助記憶ユニット106又は情報端末500が備える記憶デバイスに記憶させた管理データベースを更新するようにしてもよい。
図11は管理データベースに含まれる1つのデータレコードRAの構成を模式的に表す図である。
管理データベースは、RFIDタグにそれぞれ関連付けられたデータレコードRAの集合である。データレコードRAは、フィールドFA,FB,FC,FD,FEを含む。フィールドFAには、関連付けられるRFIDタグのタグ識別子がセットされる。タグ識別子としては、RFIDタグに予め記録されている識別子を用いてもよいし、タグ書込処理に際してプロセッサ104が決定し、RFIDタグに書き込まれてもよい。フィールドFB,FC,FD,FEには、管理データに情報IA,IB,IC,IDとして含められる各情報がセットされる。
【0076】
プロセッサ104は、第1のマーキングデータMDAの付加と、RFIDタグへの管理データの書き込みとの双方を行ってもよい。またプロセッサ104は、上記実施形態のように選択的にではなく、第1のマーキングデータMDAの付加と、RFIDタグへの管理データの書き込みといずれか一方を固定的に実施するのでもよい。
【0077】
プロセッサ104は、紙原本とした帳簿のプリントにRFIDタグ付きのプリント用紙が用いられる場合に、管理データDAとは区別可能な管理データを上記のRFIDタグに書き込んでもよい。
【0078】
プロセッサ104は、紙原本とした帳簿のプリントの際に、紙原本であることを識別可能とするマーキングデータを付加してもよい。この場合にプロセッサ104は、第1のマーキングデータMDAの付加は行わないようにしてもよい。
【0079】
プロセッサ104は、同期モードの場合、第1のマーキングデータの付加を行わず、第3のマーキングデータMDCを第1のマーキングデータの代わりに用いることとしてもよい。つまりこの場合にプロセッサ104は、図4中のACT36を省略する。
【0080】
同期モードの場合、第2のマーキングデータMDB及び第3のマーキングデータを、受信側の複合機100にて例えば画像処理部111により削除してもよい。
【0081】
プロセッサ104は、FAXデータから得られたのとは別の画像データを処理対象としてもよい。例えばプロセッサ104は、スキャナ101でのスキャンにより得られた画像データを対象として、図3中のACT14以降の処理を実行してもよい。この場合は、スキャナ101が取得部として機能することになる。
【0082】
帳簿受信のモードは、1つ又は2つを省略しても構わない。
【0083】
プリンタ102に代えて、電子写真方式以外の各種の方式のプリンタを備えても構わない。
【0084】
情報処理によりプロセッサ104が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
100…複合機、101…スキャナ、102…プリンタ、103…タグリーダライタ、104…プロセッサ、105…メイン記憶ユニット、106…補助記憶ユニット、107…コントロールパネル、108…入力画像処理部、109…出力画像処理部、110…画像コーデック、111…画像処理部、112…認証部、113…画像認識部、114…FAX制御部、1141…FAX送信部、1142…FAX受信部、115…通信部、116…伝送路、200…公衆通信網、300…FAX端末、400…コンピュータネットワーク、500…情報端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11