(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048013
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20240401BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240401BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240401BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/80
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153832
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翼
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(57)【要約】
【課題】送電装置が給電を行える受電装置の数を増やすこと。
【解決手段】送電装置は、移動可能に構成されている。送電装置は、送電部と、送電制御部と、を備える。送電部は、複数の受電装置に非接触給電によって給電を行う。送電制御部は、送電装置の給電可能電力に基づいて、複数の受電装置をグループに分ける。送電制御部は、給電対象となるグループに給電を行える位置に送電装置を移動させる。送電制御部は、給電対象となるグループに給電を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に構成された送電装置であって、
複数の受電装置に非接触給電によって給電を行う送電部と、
前記送電部を制御する送電制御部と、を備え、
前記送電制御部は、
前記送電装置の給電可能電力に基づいて、前記複数の受電装置をグループに分け、
給電対象となる前記グループに給電を行える位置に前記送電装置を移動させ、
前記給電対象となる前記グループに給電を行う、送電装置。
【請求項2】
前記送電制御部は、前記送電装置の給電可能電力、及び前記複数の受電装置のそれぞれの消費電力に基づいて、前記複数の受電装置を前記グループに分ける、請求項1に記載の送電装置。
【請求項3】
前記送電制御部は、
前記送電装置の給電可能電力、前記複数の受電装置のそれぞれの消費電力、及び前記受電装置が備える蓄電装置の充電率に基づいて、前記グループ毎に、前記グループに属する前記受電装置の前記蓄電装置の前記充電率が予め定められた閾値以上となるように給電時間を算出し、
前記給電時間の間、前記給電対象となる前記グループに給電を行う、請求項1又は請求項2に記載の送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の非接触給電システムは、送電装置と、受電装置と、を備える。送電装置は、非接触給電によって受電装置に給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受電装置が複数存在している場合、全ての受電装置に給電を行うために、送電装置の数を増やす場合がある。この場合、送電装置の数が増えることによって、非接触給電システムが高コスト化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための送電装置の各態様を記載する。
[態様1]移動可能に構成された送電装置であって、複数の受電装置に非接触給電によって給電を行う送電部と、前記送電部を制御する送電制御部と、を備え、前記送電制御部は、前記送電装置の給電可能電力に基づいて、前記複数の受電装置をグループに分け、給電対象となる前記グループに給電を行える位置に前記送電装置を移動させ、前記給電対象となる前記グループに給電を行う、送電装置。
【0006】
送電装置は、移動可能に構成されているため、給電対象となるグループに給電を行える位置に移動することができる。給電対象となるグループを切り替えることによって、グループに分けられた複数の受電装置に給電を行うことができる。送電装置が固定位置に配置されている場合に比べて、送電装置が給電を行える受電装置の数を増やすことができる。従って、送電装置の数が増えることを抑制できる。
【0007】
[態様2]前記送電制御部は、前記送電装置の給電可能電力、及び前記複数の受電装置のそれぞれの消費電力に基づいて、前記複数の受電装置を前記グループに分ける、[態様1]に記載の送電装置。
【0008】
受電装置の消費電力が大きいと、送電装置が給電を行っても蓄電装置の充電を行えない場合がある。送電装置の給電可能電力、及び複数の受電装置のそれぞれの消費電力に基づいてグループ化を行うことによって、蓄電装置の充電を行えるようにグループ化を行うことができる。
【0009】
[態様3]前記送電制御部は、前記送電装置の給電可能電力、前記複数の受電装置のそれぞれの消費電力、及び前記受電装置が備える蓄電装置の充電率に基づいて、前記グループ毎に、前記グループに属する前記受電装置の前記蓄電装置の前記充電率が予め定められた閾値以上となるように給電時間を算出し、前記給電時間の間、前記給電対象となる前記グループに給電を行う、[態様1]又は[態様2]に記載の送電装置。
【0010】
蓄電装置の充電率が閾値以上となるように、給電を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送電装置が給電を行える受電装置の数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の非接触給電システムの概略構成図である。
【
図3】
図2の送電制御部が行う制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のフローチャートで設定されるフレームセットを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
送電装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、非接触給電システム10は、複数の受電装置11と、送電装置31と、を備える。送電装置31は、単数であってもよいし、複数であってもよい。非接触給電システム10は、任意の場所で用いることができる。非接触給電システム10は、例えば、工場、農場、公共施設、又は商業施設で用いられる。非接触給電システム10は、送電装置31が受電装置11に対して非接触給電を行うシステムである。
【0014】
<受電装置>
図2に示すように、受電装置11は、受電制御部12を備える。受電制御部12は、例えば、プロセッサ13と、記憶部14と、を備える。記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部14は、処理をプロセッサ13に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部14、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。受電制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である受電制御部12は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0015】
受電装置11は、受電アンテナ15を備える。受電アンテナ15は、電力伝送信号W1を受信可能に構成されている。受電アンテナ15は、例えば、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、パラボラアンテナ、マイクロストリップアンテナ、又は複数のアンテナを含むアンテナアレイである。受電アンテナ15は、電力伝送信号W1を電気信号である交流電力に変換する。電力伝送信号W1は、無線信号として、送電装置31から受電装置11に向けて伝送される。電力伝送信号W1は、マイクロ波を含む。本実施形態では、マイクロ波式の非接触給電が行われるが、非接触給電は任意の方式で行われてもよい。例えば、非接触給電は、レーザー式、又は超音波式であってもよい。
【0016】
受電装置11は、受電電力変換部16を備える。受電電力変換部16は、受電アンテナ15から出力される交流電力を受電電力に変換する。受電電力は、受電装置11が電力伝送信号W1から得られる電力である。受電電力は、直流電力である。受電電力変換部16の具体的態様は任意であるが、例えば整流回路や平滑回路を含む。
【0017】
受電装置11は、蓄電装置17を備える。蓄電装置17は、受電装置11の電力源である。蓄電装置17としては、例えば、リチウムイオン蓄電池等の二次電池、又はキャパシタを用いることができる。蓄電装置17は、受電電力変換部16によって変換された受電電力の一部又は全部を貯蔵する。このように電力伝送信号W1による受電装置11への給電が行われる。
【0018】
受電装置11は、検出部18を備える。検出部18は、蓄電装置17の充電率を検出する。検出部18は、例えば、バッテリマネジメントシステムである。検出部18は、蓄電装置17の充電率を検出するためのセンサと、センサの検出結果から蓄電装置17の充電率を導出する導出部と、を含む。導出部は、センサの検出結果から蓄電装置17の充電率を導出可能である。充電率の導出手法は、任意であるが、例えば、蓄電装置17の開回路電圧と充電率との相関を用いる手法、電流積算法、あるいは、これらの組み合わせを挙げることができる。
【0019】
受電装置11は、通信アンテナ19を備える。通信アンテナ19は、通信信号W2を送受信可能に構成されている。通信信号W2は、送電装置31から送信される。通信アンテナ19と受電アンテナ15とは、別々に設けられていてもよいし、受電アンテナ15を通信アンテナ19として兼用してもよい。
【0020】
受電装置11は、受電通信部20を備える。受電通信部20は、通信アンテナ19が受信した通信信号W2を復調する。受電通信部20は、復調により得られたデータを受電制御部12に向けて出力する。受電通信部20は、受電制御部12が出力するデータに基づき変調を行った通信信号W2を通信アンテナ19から送信する。送電装置31と受電装置11とは、通信信号W2を介して互いに通信可能に構成されている。
【0021】
受電装置11は、位置検出部21を備える。位置検出部21は、受電装置11の位置を検出する。受電装置11の位置は、絶対位置を表す絶対座標系の座標であってもよい。受電装置11の位置は、送電装置31との相対位置を表す相対座標系の座標であってもよい。本実施形態の位置検出部21は、衛星航法装置である。位置検出部21は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から送信される衛星信号を受信して、衛星信号を用いて位置を検出する。位置検出部21として衛星航法装置を用いる場合、受電装置11の位置は、例えば、経緯度で表される。
【0022】
受電装置11は、蓄電装置17の電力を消費して動作するものであればよい。受電装置11は、例えば、蓄電装置17の電力を消費して動作するセンサ、又は通信端末である。
<送電装置>
送電装置31は、送電制御部32を備える。送電制御部32は、例えば、プロセッサ33と、記憶部34と、を備える。記憶部34は、RAM、及びROMを含む。記憶部34は、処理をプロセッサ33に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部34、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。送電制御部32は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である送電制御部32は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0023】
送電装置31は、送電電力変換部35を備える。送電電力変換部35は、電力源から供給される電力を送電周波数の電気信号に変換する。電力源は、例えば、蓄電装置、又は系統電源である。電力源が系統電源である場合、送電装置31は、系統電源から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器を備えていてもよい。送電電力変換部35は、例えば高周波増幅回路やチョッパ回路等のスイッチング素子を含む回路を備える。送電電力変換部35のスイッチング素子の制御を介して、送電電力変換部35は、電力源から供給される直流電力を、交流電力の電気信号として出力する。すなわち送電電力変換部35は、DC/ACインバータとしての機能を有する。送電電力変換部35は、送電制御部32に制御される。
【0024】
送電装置31は、送電アンテナ36を備える。送電アンテナ36は、送電電力変換部35から出力される電気信号を電力伝送信号W1に変換して送信する。送電アンテナ36は、例えば、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、パラボラアンテナ、マイクロストリップアンテナ、又は複数のアンテナを含むフェーズドアレイアンテナである。送電電力変換部35及び送電アンテナ36は、送電部である。
【0025】
送電装置31は、通信アンテナ37を備える。通信アンテナ37は、通信信号W2を送受信可能に構成されている。通信アンテナ37と送電アンテナ36とは、別々に設けられていてもよいし、送電アンテナ36を通信アンテナ37として兼用してもよい。
【0026】
送電装置31は、送電通信部38を備える。送電通信部38は、送電アンテナ36が受信した通信信号W2を復調する。送電通信部38は、復調により得られたデータを送電制御部32に向けて出力する。送電通信部38は、送電制御部32が出力するデータに基づき変調を行った通信信号W2を通信アンテナ37から送信する。送電通信部38と受電通信部20とが互いに通信可能に設けられることによって、送電装置31と、複数の受電装置11とは、ワイヤレスセンサネットワークを構築している。
【0027】
送電装置31は、移動装置39を備える。移動装置39は、送電装置31を移動させるアクチュエータである。移動装置39は、例えば、車輪、車輪を回転させるモータ、及びモータドライバを含む。送電制御部32は、移動装置39を制御することによって送電装置31を移動させる。移動装置39は、予め定められた軌道に沿って移動するものであってもよい。移動装置39は、自己位置推定によって地図上での位置を認識しながら、任意の経路で移動するものであってもよい。即ち、移動装置39は、送電装置31を移動させることができればよい。移動装置39によって送電装置31は、移動可能に構成されている。移動装置39は、送電装置31を飛行させて移動させる飛行装置であってもよい。
【0028】
移動装置39は、回転軸を中心として送電装置31を回転させるものであってもよい。送電装置31が回転可能な範囲は、360°未満であってもよい。この場合、移動装置39は、例えば、モータ、及び変速機を備える。送電装置31の移動は、送電装置31の向きの変更を含む。即ち、送電装置31の移動は、送電装置31と受電装置11との相対位置、及び送電装置31と受電装置11との相対角度の少なくとも一方が変化するものであればよい。
【0029】
<送電制御部が行う制御>
送電制御部32は、所定の制御周期で以下の制御を実行する。
図3に示すように、ステップS1において、送電制御部32は、複数の受電装置11のそれぞれから受電情報を取得する。受電情報は、蓄電装置17の充電率を示す充電情報、受電装置11の位置を示す位置情報、及び識別情報を含む。識別情報は、受電装置11を識別するためのIDコードであって、受電装置11毎に異なる。受電情報は、通信信号W2によって取得することができる。送電制御部32は、送電装置31の位置を示す送電装置位置情報を取得してもよい。送電装置位置情報は、自己位置推定によって取得してもよい。位置情報が、受電装置11と送電装置31との相対位置を表す情報であれば、位置情報から送電装置31の位置を算出してもよい。
【0030】
次に、ステップS2において、送電制御部32は、複数の受電装置11のグループ化を行う。送電制御部32は、充電情報、及び位置情報に基づいてグループ化を行う。これにより、複数の受電装置11が、グループに分けられる。グループ化を行う際に送電制御部32が行う制御の一例について説明する。
【0031】
図1に示すように、送電制御部32は、給電可能範囲A1を設定する。給電可能範囲A1は、例えば、送電装置31を基準として定められた範囲である。このため、送電装置31が移動すると、送電装置31に追従して給電可能範囲A1も移動する。給電可能範囲A1は、送電装置31による給電を安定して行える範囲であって予め定められた範囲である。送電装置31から遠い位置に存在している受電装置11ほど、給電が行われにくい。このため、送電装置31から過剰に離れた位置に存在する受電装置11が給電可能範囲A1から除外されるように、給電可能範囲A1は設定されている。送電制御部32は、位置情報から給電可能範囲A1内に存在している受電装置11を認識する。
【0032】
送電制御部32は、充電情報及び識別情報から受電装置11毎に消費電力[Wh]を算出する。例えば、送電制御部32は、経過時間と蓄電装置17の充電率の低下量に基づいて受電装置11毎に消費電力を算出する。送電制御部32は、受電装置11毎に給電可能電力[Wh]を算出する。給電可能電力は、例えば、送電装置31と受電装置11との位置関係、及び給電可能範囲A1内に存在する受電装置11の数によって定まる。給電可能電力は、受電装置11に給電を行ったときに、受電装置11で得られる受電電力である。
【0033】
送電制御部32は、給電可能範囲A1内に存在しており、かつ、給電可能電力を消費電力が下回っている受電装置11をグループAとする。送電制御部32は、給電可能範囲A1内に存在しており、かつ、消費電力が給電可能電力よりも所定値以上下回っている受電装置11をグループAとしてもよい。所定値としては、任意の値を設定可能である。上記したように、送電制御部32は、送電装置31の給電可能電力、及び複数の受電装置11のそれぞれの消費電力に基づいて、受電装置11のグループ化を行っている。以下の説明において、適宜、グループAに属する受電装置11を受電装置11Aと称する。
【0034】
送電制御部32は、グループAに属していない受電装置11のグループ化を行う。グループAに属していない受電装置11のグループ化についても、グループAと同様に行うことができる。グループAに属していない受電装置11のグループ化を行う場合、送電装置31が給電を行うために移動した場合の給電可能範囲A1を想定してグループ化を行えばよい。また、グループAに属していない受電装置11のグループ化を行う際には、例えば、送電装置31の移動量が少なくなるようにグループ化を行う。送電装置31は、移動装置39によって移動することによって全ての受電装置11に給電を行うため、送電装置31の移動量が少ないほうが効率的に給電を行える。送電制御部32は、位置情報から、送電装置31の移動量が少なくなるようにグループ化を行う。移動量とは、全ての受電装置11への給電が完了するまでに送電装置31が移動する量の総量である。
【0035】
図1に示す例では、グループAに属していない受電装置11は、グループBとグループCに分けられる。
図1に示す例では、グループAを間に挟んで、グループBとグループCが分かれるようにグループ化が行われている。以下の説明において、適宜、グループBに属する受電装置11を受電装置11Bと称する。グループCに属する受電装置11を受電装置11Cと称する。
【0036】
図3に示すように、次に、ステップS3において、送電制御部32は、フレームセットを設定する。
図4に示すように、フレームセットとは、グループA,B,C毎に設定された給電時間である。送電制御部32は、グループA,B,C毎に給電時間を算出することによって、フレームセットを設定する。給電時間は、例えば、当該給電時間で給電を行った際に、同一グループに属する全ての受電装置11の蓄電装置17の充電率が、予め定められた閾値以上になるように算出される。閾値としては、蓄電装置17の充電率が過剰に低くならないように設定される。閾値は、例えば、蓄電装置17の最大容量、及び受電装置11の動作に必要となる電力等に基づいて設定される。グループA,B,C毎の給電時間は、例えば、送電装置31の給電可能電力、複数の受電装置11のそれぞれの消費電力、及び蓄電装置17の充電率に基づいて算出することができる。詳細にいえば、グループA,B,C毎の給電時間は、送電装置31の給電可能電力-消費電力である充電電力、及び蓄電装置17の充電率に基づいて算出することができる。充電電力が大きいほど蓄電装置17の充電率は上昇しやすい。蓄電装置17の充電率が低いほど、蓄電装置17の充電率は閾値以上になりにくい。このため、送電制御部32は、充電電力、及び蓄電装置17の充電率に基づいて、蓄電装置17の充電率が閾値以上となるように給電時間を算出する。充電電力が大きいほど、給電時間は短くなる。蓄電装置17の充電率が低いほど、給電時間は長くなる。送電制御部32は、例えば、教師有り学習によって学習を行った学習済みモデルを用いて給電時間を算出する。学習済みモデルは、回帰モデルである。学習済みモデルは、例えば、同一グループに属する受電装置11の充電電力、及び蓄電装置17の充電率に、蓄電装置17の充電率を閾値以上にするまでに要した時間を対応付けたデータを学習データとして生成される。学習済みモデルは、例えば、記憶部34、又は送電装置31が備える補助記憶装置に記憶される。学習済みモデルは、送電装置31が受電装置11に給電を行う度に更新されてもよい。
【0037】
図3に示すように、次に、ステップS4において、送電装置31は、グループAに給電を行う。グループAへの給電は、フレームセットに従って行われる。ステップS4では、グループAが給電対象となるグループである。
【0038】
次に、ステップS5において、送電制御部32は、無給電の受電装置11が存在するか否かを判定する。詳細にいえば、全ての受電装置11に給電を行うことを1周期とした場合、送電制御部32は、今回の周期で給電が行われていない受電装置11が存在するか否かを判定する。言い換えれば、ステップS5は、1周期が完了したか否かの判定である。本実施形態であれば、複数の受電装置11は、3つのグループA,B,Cに分けられているため、3つのグループA,B,Cの給電を終えると、ステップS5の判定は否定になる。ステップS5の判定結果が否定の場合、送電制御部32は、ステップS1に戻り、次の周期を開始する。ステップS5の判定結果が肯定の場合、送電制御部32は、ステップS6の処理を行う。
【0039】
ステップS6において、送電制御部32は、再グループ化を行う。再グループ化は、給電が完了していない受電装置11をグループ化することである。ステップS2でグループ化を行った後に、受電装置11が移動した場合、当該受電装置11に給電を行えないおそれがある。このため、再グループ化を行うことによって給電を行えない受電装置11が生じることを抑制する。例えば、ステップS2でグループ化を行った後に、1つの受電装置11Aが給電可能範囲A1の外に移動したとする。この場合、再グループ化によって当該受電装置11AがグループB又はグループCに属するように再グループ化が行われる。
【0040】
次に、ステップS7において、送電制御部32は、移動装置39を制御することによって給電対象となるグループに給電を行える位置に送電装置31を移動させる。給電対象となるグループがグループBであれば、送電制御部32は、受電装置11Bに効率良く給電を行える位置に送電装置31を移動させる。給電対象となるグループがグループCであれば、送電制御部32は、受電装置11Cに効率良く給電を行える位置に送電装置31を移動させる。給電対象となるグループは、例えば、1周期の間に給電が完了していないグループであって送電装置31の現在位置から最も近いグループである。
【0041】
次に、ステップS8において、送電制御部32は、給電対象となるグループに給電を行う。給電対象となるグループへの給電は、フレームセットに従って行われる。ステップS8の処理を終えると、送電制御部32は、ステップS5に戻る。これにより、受電装置11B及び受電装置11Cに順次、給電が行われることになる。
【0042】
[本実施形態の作用]
送電装置31には、給電可能範囲A1が設定されているため、送電装置31が給電を行える範囲には制限がある。送電装置31が固定位置に配置されている場合、給電可能範囲A1も固定された範囲となるため、限られた受電装置11のみにしか給電を行うことができない。これに対し、本実施形態の送電装置31は、移動可能に構成されているため、給電対象となるグループに給電を行える位置に移動することができる。
【0043】
[本実施形態の効果]
(1)送電制御部32は、給電対象となるグループを切り替えることによって、グループA,B,Cに分けられた複数の受電装置11に給電を行うことができる。送電装置31が固定位置に配置されている場合に比べて、送電装置31が給電を行える受電装置11の数を増やすことができる。従って、送電装置31の数が増えることを抑制できる。
【0044】
(2)送電制御部32は、送電装置31の給電可能電力及び受電装置11のそれぞれの消費電力に基づいて、受電装置11のグループ化を行う。受電装置11の消費電力が大きいと、送電装置31が給電を行っても蓄電装置17の充電を行えない場合がある。送電装置31の給電可能電力、及び複数の受電装置11のそれぞれの消費電力に基づいてグループ化を行うことによって、蓄電装置17の充電を行えるようにグループ化を行うことができる。
【0045】
(3)送電制御部32は、グループA,B,C毎に、グループA,B,Cに属する受電装置11の蓄電装置17の充電率が閾値以上となるように給電時間を算出する。送電制御部32は、給電対象となるグループに給電を行う際には、算出された給電時間の間、給電を行う。これにより、受電装置11の蓄電装置17の充電率を閾値以上に充電することができる。
【0046】
(4)送電装置31が移動可能に構成されていることで、給電の効率が良い位置に移動して受電装置11に給電を行うことができる。従って、受電装置11の蓄電装置17の容量を小さくすることができる。
【0047】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
・送電制御部32は、給電対象となるグループに属する受電装置11の蓄電装置17の充電率が閾値以上になるまで給電を行ってもよい。即ち、給電時間に代えて、蓄電装置17の充電率を、給電を終えるための条件としてもよい。
【0049】
・送電制御部32は、複数の受電装置11のグループ分けを行う際に、給電対象となるグループのみを設定してもよい。実施形態であれば、ステップS2において、グループAのみを設定して、グループB,Cは設定しなくてもよい。この場合、フレームセットとして、グループAの給電時間が設定される。そして、給電時間の間、グループAに給電が行われる。グループAの給電を終えた後には、グループAに属していない受電装置11から、給電対象となるグループを設定する。そして、フレームセットの設定、給電対象となるグループへの給電を行える位置への送電装置31の移動、及び給電を行う。このように、送電制御部32は、給電対象となるグループの設定、フレームセットの設定、移動、及び給電を繰り返すことによって全ての受電装置11への給電を行ってもよい。
【0050】
・送電制御部32は、給電可能範囲A1によってグループ化を行ってもよい。実施形態であれば、ステップS2において、給電可能範囲A1内に存在する受電装置11がグループAとされるようにしてもよい。給電可能範囲A1は、送電装置31の給電可能電力に基づいて設定される範囲といえる。従って、この場合であっても、送電制御部32は、送電装置31の給電可能電力に基づいて、複数の受電装置11をグループに分けている。
【0051】
・送電制御部32は、送電装置31の給電可能電力及び複数の受電装置11のそれぞれの消費電力に基づいて、グループ化を行ってもよい。実施形態であれば、ステップS2において、消費電力が給電可能電力を下回っている受電装置11がグループAとされるようにしてもよい。また、送電制御部32は、消費電力が給電可能電力よりも所定値以上下回っている受電装置11をグループAとしてもよい。
【0052】
・非接触給電システム10は、カメラを備えていてもよい。この場合、受電装置11と送電装置31との両方を撮像できるようにカメラは配置される。送電制御部32は、カメラの撮像によって撮像された撮像データから、受電装置11と送電装置31との相対位置を認識してもよい。この場合、受電装置11は、位置検出部21を備えていなくてもよい。
【0053】
・送電制御部32は、再グループ化の後に、給電時間を再度算出してもよい。
【符号の説明】
【0054】
A,B,C…グループ
11…受電装置
17…蓄電装置
31…送電装置
32…送電制御部
35…送電部である送電電力変換部
36…送電部である送電アンテナ