IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-吸収性物品包装体 図1
  • 特開-吸収性物品包装体 図2
  • 特開-吸収性物品包装体 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048031
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20240401BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65D85/07
B65D75/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153858
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 友記
【テーマコード(参考)】
3E067
3E068
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AB99
3E067AC03
3E067AC11
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BC06A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067FA01
3E067FC01
3E068AA40
3E068AB02
3E068AB03
3E068AC05
3E068BB05
3E068BB12
3E068BB17
3E068CC22
3E068CE03
3E068DD02
3E068DD08
3E068DE11
3E068EE22
(57)【要約】
【課題】吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができると共に、取出口からゴミが侵入することを抑制することができる吸収性物品包装体を提供する。
【解決手段】底面部と、前面部及び後面部と、前記前面部及び前記後面部と連接された1対の側面部と、前記前面部及び前記後面部それぞれの上端部が接合されたシール部とを有し、複数の吸収性物品が、一方の前記側面部から他方の前記側面部に向かう積層方向にて積層されており、前記前面部において、前記シール部より前記底面部側、且つ吸収性物品積層体の上端より上方に、前記積層方向に沿ってミシン目が形成され、前記ミシン目の端部は、前記積層方向において前記吸収性物品積層体の端部から30mm内側の位置より外側に位置し、前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、前記ミシン目の全長の3%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸収性物品が積層された吸収性物品積層体が包装袋に収容された吸収性物品包装体であって、
底面部と、前面部及び後面部と、前記前面部及び前記後面部と連接された1対の側面部と、前記前面部及び前記後面部それぞれの上端部が接合されたシール部とを有し、
前記複数の吸収性物品は、一方の前記側面部から他方の前記側面部に向かう積層方向にて積層されており、
前記前面部において、前記シール部より前記底面部側、且つ前記吸収性物品積層体の上端より上方に、前記積層方向に沿ってミシン目が形成され、
前記ミシン目の端部は、前記積層方向において前記吸収性物品積層体の端部から30mm内側の位置より外側に位置し、前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、前記ミシン目の全長の3%以上である吸収性物品包装体。
【請求項2】
前記ミシン目と前記包装袋の上端との距離は、前記側面部に沿う方向における前記吸収性物品積層体の長さの30%~70%である請求項1に記載の吸収性物品包装体。
【請求項3】
前記ミシン目と前記吸収性物品積層体の上端との距離は、20mm~80mmである請求項2に記載の吸収性物品包装体。
【請求項4】
前記ミシン目のタイ部の長さは、1.0mm~15mmであり、前記ミシン目のカット部の長さは、0.5mm~2.0mmである請求項3に記載の吸収性物品包装体。
【請求項5】
前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、15mm以上である請求項4に記載の吸収性物品包装体。
【請求項6】
前記包装袋を前記ミシン目で開封した状態において、前記前面部及び前記後面部は、前記底面部に対して直立している請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品包装体。
【請求項7】
前記包装袋は、紙基材を含む請求項6に記載の吸収性物品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品は、複数個が積層された状態で、包装袋に収容されて吸収性物品包装体として市販されている。このような包装袋では、通常、ミシン目が設けられており、ミシン目に沿って包装袋を開封することにより、吸収性物品を取り出すための取出口が形成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧縮物品(紙おむつ)を収容し、略直方体の圧縮物品用包装袋に、前面パネルから上面パネル部を通って背面パネル部に至り、且つ該上面パネル部で、吊手部に形成される吊手用開口を避けて吊手部を横断するミシン目又は切れ目が連続的に形成してなる開封部付圧縮物品用包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-187197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品包装体の包装袋では、ミシン目で切り裂いて開口した取出口から離れた位置に収容されている紙おむつは、取出口近くの紙おむつが取り出された後も包装袋内に残る場合があり、包装袋内に残った紙おむつは、包装袋に覆われて取り出し難い可能性がある。また、包装袋をミシン目で開封した後、取出口が常時開いた状態となるため、取出口からゴミや埃等が侵入する可能性がある。
【0006】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができると共に、取出口からゴミが侵入することを抑制することができる吸収性物品包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の形態は、複数の吸収性物品が積層された吸収性物品積層体が包装袋に収容された吸収性物品包装体であって、底面部と、前面部及び後面部と、前記前面部及び前記後面部と連接された1対の側面部と、前記前面部及び前記後面部それぞれの上端部が接合されたシール部とを有し、前記複数の吸収性物品は、一方の前記側面部から他方の前記側面部に向かう積層方向にて積層されており、前記前面部において、前記シール部より前記底面部側、且つ前記吸収性物品積層体の上端より上方に、前記積層方向に沿ってミシン目が形成され、前記ミシン目の端部は、前記積層方向において前記吸収性物品積層体の端部から30mm内側の位置より外側に位置し、前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、前記ミシン目の全長の3%以上である。
【0008】
上記第一の形態によれば、ミシン目に沿って上下方向に包装袋を開封することにより、吸収性物品積層体の上端より上方において、吸収性物品積層体の上端が積層方向に亘って露出するように開口した取出口が形成され、包装袋に収容された吸収性物品の上端が露出した状態となる。よって、吸収性物品の上端を摘まんで、吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができる。また、包装袋を開封した後において、吸収性物品積層体の上端以外は包装袋で覆われていると共に、包装袋におけるミシン目より上方に位置する部分を、ミシン目より下方に位置する前面部の外面に重ねることにより、取出口を閉じることができるため、取出口からゴミが侵入することを抑制することができる。
【0009】
本発明の第二の形態は、前記ミシン目と前記包装袋の上端との距離は、前記側面部に沿う方向における前記吸収性物品積層体の長さの30%~70%である。
【0010】
上記の第二の形態によれば、包装袋を開封した後において、包装袋におけるミシン目より上方に位置する部分の面積を十分な大きさとすることができるため、当該部分を、ミシン目より下方に位置する前面部の外面に重ねたとき、重なる面積をより大きくすることができる。よって、取出口を閉じた状態をより維持することができ、取出口からゴミが侵入することをより抑制することができる。
【0011】
本発明の第三の形態は、前記ミシン目と前記吸収性物品積層体の上端との距離は、20mm~80mmである。
【0012】
上記の第三の形態によれば、包装袋を開封した後、吸収性物品を取り出す際、吸収性物品積層体より上方に突出する前面部が干渉することを抑制でき、吸収性物品を取出口からより容易に取り出すことができる。
【0013】
本発明の第四の形態は、前記ミシン目のタイ部の長さは、1.0mm~15mmであり、前記ミシン目のカット部の長さは、0.5mm~2.0mmである。
【0014】
上記の第四の形態によれば、包装袋が紙基材とシール層とを有する場合であっても、ミシン目の両端部まで容易に開封することができるため、吸収性物品積層体の上端が積層方向に亘って露出するように開口した取出口が形成され、包装袋に収容された吸収性物品の上端が露出した状態となる。よって、吸収性物品の上端を摘まんで、吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができる。
【0015】
本発明の第五の形態は、ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、15mm以上である。
【0016】
上記の第五の形態によれば、吸収性物品包装体が流通過程で梱包される際や使用者が持ち運ぶ際、ミシン目の端部を起点として包装袋が裂けることをより抑制することができると共に、吸収性物品を使用する際は、吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができる。
【0017】
本発明の第六の形態は、前記包装袋を前記ミシン目で開封した状態において、前記前面部及び前記後面部は、前記底面部に対して直立している。
【0018】
上記の第六の形態によれば、吸収性物品を取り出す際、吸収性物品より上方に突出する前面部及び後面部が吸収性物品の上端を覆うことを抑制でき、包装袋に収容された吸収性物品の上端が露出した状態が維持される。よって、吸収性物品を取出口からより容易に取り出すことができる。
【0019】
本発明の第七の形態は、前記包装袋は、紙基材を含む。
【0020】
上記の第七の形態によれば、包装袋が樹脂製のフィルム等からなる場合と比較して、包装袋をミシン目で開封した状態において、前面部及び後面部を、底面部に対して、より直立した状態とすることができる。よって、吸収性物品を取出口から、さらに容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様に係る吸収性物品包装体によれば、吸収性物品を取出口から容易に取り出すことができると共に、取出口からゴミが侵入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態による吸収性物品包装体の斜視図である。
図2】包装袋を開封した状態を示す斜視図である。
図3】包装袋を開封した後、取出口を閉じた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳説する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。本明細書では、吸収性物品の積層方向をX方向、底面部に直交する方向をZ方向、吸収性物品包装体の前後方向(X-Z平面に直交する方向)をY方向とする。また、吸収性物品包装体におけるシール部側(+Z方向)を上、底面部側(-Z方向)を下とする。
【0024】
図1は、一実施形態による吸収性物品包装体1の斜視図であり、図2は、包装袋2を開封した状態を示す斜視図であり、図3は、包装袋2を開封した後、取出口27を閉じた状態を示す斜視図である。吸収性物品包装体1は、図1に示すように、複数の吸収性物品3が積層された吸収性物品積層体30が包装袋2に収容されている。
【0025】
包装袋2に収容される吸収性物品3は、例えば、ベビー用又は介護用の使い捨ておむつ、生理用ナプキン等であってよい。吸収性物品3は、折り畳まれていてよく、折り畳まれている場合、取り出し易さの観点から、折り目が上方(+Z方向)を向くように包装袋2に収容されていることが好ましい。収容される吸収性物品3の数は、特に限定されないが、使い捨ておむつの場合、例えば、30枚であってよい。
【0026】
包装袋2は、包装基材として、紙基材を含んでいてよい。紙基材は、原料パルプを含有するスラリーを抄紙して得られる。紙基材は、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。原料パルプとしては、例えば、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、古紙パルプ等が挙げられる。原料パルプとしては、これらを単独で、又は複数を組み合わせて使用することができる。
【0027】
紙基材の坪量は、20g/m~120g/mであることが好ましく、30g/m~80g/mであることがより好ましく、40g/m~60g/mであることがさらに好ましい。紙基材の坪量が、20g/m~120g/mであることにより、包装袋2に収容される吸収性物品3が、使い捨ておむつである場合においても、包装袋2は、十分な強度を有することができる。
【0028】
紙基材の厚さは、15μm~150μmであることが好ましく、25μm~100μmであることがより好ましく、30μm~80μmであることがさらに好ましい。紙基材の厚さが、15μm~150μmであることにより、包装袋2に収容される吸収性物品3が、使い捨ておむつである場合においても、包装袋2は、十分な強度を有することができる。
【0029】
包装袋2は、紙基材と、紙基材における包装袋2の内側の面に積層されたシール層を含んでいてよい。包装袋2が、紙基材と、シール層とを含むことにより、外部からの湿気の侵入を抑制し、吸収性物品3が外部の湿気を吸湿し使用前に変質することを抑制することができる。
【0030】
シール層は、少なくともヒートシール層及び接着剤層のいずれか一方を含むことが好ましい。ヒートシール層は、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。ヒートシール層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、スチレンアクリル酸、スチレンブタジエンラテックス及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
ヒートシール層は、公知の塗工方法で塗工することにより形成でき、例えば、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター等の塗工機を用いることができる。
【0032】
ヒートシール層の坪量は、13g/m~115g/mであることが好ましく、28g/m~75g/mであることがより好ましく、37g/m~57g/mであることがさらに好ましい。ヒートシール層の坪量が、13g/m~115g/mであることにより、包装袋2に収容される吸収性物品3が、使い捨ておむつである場合においても、包装袋2は、十分な強度を有することができると共に、ミシン目26に沿って包装袋2を容易に開封することができる。
【0033】
吸収性物品3が、ベビー用の使い捨ておむつである場合、シール層は、包装袋2に必要とされる強度の観点から、高圧法低密度ポリエチレンからなる、坪量15g/mのヒートシール層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなる、坪量25g/mのヒートシール層とを有することが好ましい。
【0034】
接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン- アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
【0035】
接着剤層は、公知の塗工方法で塗工することにより形成でき、ヒートシール層の塗工に用いられる塗工機と同様の塗工機を用いることができる。
【0036】
包装袋2は、紙基材及びシール層以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、遮光層等が挙げられる。これらの他の層は、例えば、紙基材とシール層との間、又は包装袋2の最外面に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。なお、包装袋2は、包装基材として、紙基材を含んでいなくてもよく、例えば、樹脂製のフィルム等であってもよい。
【0037】
吸収性物品包装体1は、図1及び図2に示すように、底面部21と、前面部22及び後面部23と、前面部22及び後面部23と連接された1対の側面部24と、前面部22及び後面部23それぞれの上端部が接合されたシール部25とを有する。複数の吸収性物品3は、一方の側面部24から他方の側面部24に向かう積層方向(X方向)にて積層されている。
【0038】
吸収性物品包装体1は、さらに、両側部においてシール部を有していてよい。側面部24は、前面部22及び後面部23と一体に形成されていてよい。また、底面部21は、マチを有していてよい。具体的には、包装袋2は、底材を谷折りしてマチを形成し、2枚の四角形の基材と底材をシールして接合し、さらに、2枚の基材の両側縁部をシールした後、吸収性物品3を収容し、前面部22及び後面部23それぞれの上端部をシールしたガゼット袋であってよい。底面部21がマチを有することにより、包装袋2をミシン目26で開封した後においても、吸収性物品包装体1は、安定して自立することができる。
【0039】
前面部22において、シール部25より底面部21側(-Z方向)、且つ吸収性物品積層体30の上端31より上方(+Z方向)に、吸収性物品3の積層方向(X方向)に沿ってミシン目26が形成されている。また、ミシン目26の端部は、X方向において吸収性物品積層体30の端部から30mm内側の位置より外側に位置し、ミシン目26の全長の3%以上である。ここで、ミシン目26の全長とは、一端側のカット部(切断部)から他端側のカット部までの長さを意味する。この構成により、ミシン目26に沿って上下方向に包装袋2を開封することにより、図2に示すように、吸収性物品積層体30の上端31より上方において、吸収性物品積層体30の上端31がX方向に亘って露出するように開口した取出口27が形成され、包装袋2に収容された吸収性物品3の上端が露出した状態となる。よって、吸収性物品3の上端を摘まんで、吸収性物品3を取出口27から容易に取り出すことができる。また、包装袋2を開封した後において、吸収性物品積層体30の上端31以外は包装袋2で覆われていると共に、図3に示すように、包装袋2におけるミシン目26より上方に位置する上部分28を、ミシン目26より下方に位置する前面部22の外面に重ねることにより、取出口27を閉じることができる。よって、取出口27からゴミが侵入することを抑制することができる。
【0040】
また、ミシン目26の端部と、前面部22のX方向における端縁との距離L1が、ミシン目26の全長の3%以上であることにより、吸収性物品包装体1が流通過程で梱包される際や使用者が持ち運ぶ際、ミシン目26の端部を起点として包装袋2が裂けることを抑制することができる。さらに、ミシン目26が前面部22のみに形成され、ミシン目26の端部が前面部22のX方向における端縁から離隔していることにより、包装袋2を開封した後に包装袋2の切断片が発生せず、吸収性物品包装体1は、優れた使用性を有する。
【0041】
ミシン目26の端部と、前面部22のX方向における端縁との距離L1は、15mm以上であることが好ましい。これにより、吸収性物品包装体1が流通過程で梱包される際や使用者が持ち運ぶ際、ミシン目26の端部を起点として包装袋2が裂けることをより抑制することができると共に、吸収性物品3を使用する際は、吸収性物品3を取出口から容易に取り出すことができる。
【0042】
図2に示すように、包装袋2をミシン目26で開封した状態において、前面部22及び後面部23は、底面部21に対して直立していることが好ましい。これにより、吸収性物品3を取り出す際、吸収性物品3より上方に突出する前面部22及び後面部23が吸収性物品3の上端を覆うことを抑制でき、包装袋2に収容された吸収性物品3の上端が露出した状態が維持される。よって、吸収性物品3を取出口27からより容易に取り出すことができる。
【0043】
包装袋2が紙基材を含む場合、包装袋2が樹脂製のフィルム等からなる場合と比較して、包装袋2をミシン目26で開封した状態において、前面部22及び後面部23を、底面部21に対して、より直立した状態とすることができる。よって、吸収性物品3を取出口27から、さらに容易に取り出すことができる。また、環境負荷低減の観点から樹脂製の包装袋から紙製の包装袋への置き換えが求められているところ、包装袋2が紙基材を含むことにより、吸収性物品包装体1は、環境負荷を低減することができる。
【0044】
好ましくは、ミシン目26のタイ部(非切断部)の長さは、1.0mm~15mmであり、ミシン目26のカット部(切断部)の長さは、0.5mm~2.0mmである。より好ましくは、ミシン目26のタイ部の長さは、1.5mm~10mmであり、ミシン目26のカット部の長さは、0.7mm~1.6mmである。さらに好ましくは、ミシン目26のタイ部の長さは、2.0mm~5.0mmであり、ミシン目26のカット部の長さは、0.9mm~1.2mmである。ミシン目26のタイ部の長さが、1.0mm~15mmであり、ミシン目26のカット部の長さが、0.5mm~2.0mmであることにより、包装袋2が紙基材とシール層とを有する場合であっても、ミシン目26の両端部まで容易に開封することができるため、吸収性物品積層体30の上端31がX方向に亘って露出するように開口した取出口27が形成され、包装袋2に収容された吸収性物品3の上端が露出した状態となる。よって、吸収性物品3の上端を摘まんで、吸収性物品3を取出口27から容易に取り出すことができる。
【0045】
ミシン目26と包装袋2の上端との距離L2は、側面部24に沿う方向(Y方向)における吸収性物品積層体30の長さL3の30%~70%であることが好ましく、35%~60%であることがより好ましく、40%~55%であることがさらに好ましい。ミシン目26と包装袋2の上端との距離L2は、Y方向における吸収性物品積層体30の長さL3の30%~70%であることにより、包装袋2を開封した後において、包装袋2におけるミシン目26より上方に位置する上部分28の面積を十分な大きさとすることができるため、上部分28を、ミシン目26より下方に位置する前面部22の外面に重ねたとき、重なる面積をより大きくすることができる。よって、取出口27を閉じた状態をより維持することができ、取出口27からゴミが侵入することをより抑制することができる。
【0046】
ミシン目26と吸収性物品積層体30の上端31との距離L4は、20mm~80mmであることが好ましく、30mm~70mmであることがより好ましく、40mm~60mmであることがさらに好ましい。ミシン目26と吸収性物品積層体30の上端31との距離L4が、20mm~80mmであることにより、包装袋2を開封した後、吸収性物品3を取り出す際、吸収性物品積層体30より上方に突出する前面部22が干渉することを抑制でき、吸収性物品3を取出口27からより容易に取り出すことができる。
【0047】
(本発明の態様)
本発明は、以下の態様を含む。
<態様1>
複数の吸収性物品が積層された吸収性物品積層体が包装袋に収容された吸収性物品包装体であって、
底面部と、前面部及び後面部と、前記前面部及び前記後面部と連接された1対の側面部と、前記前面部及び前記後面部それぞれの上端部が接合されたシール部とを有し、
前記複数の吸収性物品は、一方の前記側面部から他方の前記側面部に向かう積層方向にて積層されており、
前記前面部において、前記シール部より前記底面部側、且つ前記吸収性物品積層体の上端より上方に、前記積層方向に沿ってミシン目が形成され、
前記ミシン目の端部は、前記積層方向において前記吸収性物品積層体の端部から30mm内側の位置より外側に位置し、前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、前記ミシン目の全長の3%以上である吸収性物品包装体である。
<態様2>
前記ミシン目と前記包装袋の上端との距離は、前記側面部に沿う方向における前記吸収性物品積層体の長さの30%~70%である態様1に記載の吸収性物品包装体である。
<態様3>
前記ミシン目と前記吸収性物品積層体の上端との距離は、20mm~80mmである態様1又は2に記載の吸収性物品包装体である。
<態様4>
前記ミシン目のタイ部の長さは、1.0mm~15mmであり、前記ミシン目のカット部の長さは、0.5mm~2.0mmである態様1から3のいずれか一つに記載の吸収性物品包装体である。
<態様5>
前記ミシン目の端部と前記前面部の前記積層方向の端縁との距離は、15mm以上である態様1から4のいずれか一つに記載の吸収性物品包装体である。
<態様6>
前記包装袋を前記ミシン目で開封した状態において、前記前面部及び前記後面部は、前記底面部に対して直立している態様1から5のいずれか一つに記載の吸収性物品包装体である。
<態様7>
前記包装袋は、紙基材を含む態様1から6のいずれか一つに記載の吸収性物品包装体である。
【0048】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 吸収性物品包装体
2 包装袋
21 底面部
22 前面部
23 後面部
24 側面部
25 シール部
26 ミシン目
27 取出口
28 上部分
3 吸収性物品
30 吸収性物品積層体
31 上端
図1
図2
図3