(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048032
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E03C1/042 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153861
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】蒲 将也
(72)【発明者】
【氏名】三輪 裕哉
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC02
2D060BC11
2D060BE09
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】カバー内の構成とホースとの接触を抑制し得る水栓を提供する。
【解決手段】配管66、67、68を備える水栓本体60と、水栓本体60を覆うカバー20と、カバー20に対して前側に引き出し可能に装着された吐水ヘッド30と、吐水ヘッド30に接続されて、吐水ヘッド30の引き出しに伴いカバー20内を移動可能なホース69と、カバー20及び/又は配管66、67、68とホース69との接触を抑制するホースガイド70とを有する水栓であって、ホースガイド70は、カバー20内でホース69を外嵌した筒状をなす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を備える水栓本体と、
前記水栓本体を覆うカバーと、
前記カバーに対して前側に引き出し可能に装着された吐水ヘッドと、
前記吐水ヘッドに接続されて、前記吐水ヘッドの引き出しに伴い前記カバー内を移動可能なホースと、
前記カバー及び/又は前記配管と前記ホースとの接触を抑制するホースガイドとを有する水栓であって、
前記ホースガイドは、前記カバー内で前記ホースを外嵌した筒状をなすことを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記ホースガイドは、可撓性を有し、少なくとも一部が湾曲した状態で前記カバー内に配置されており、
前記ホースガイドは、長さ方向に延びる軸部と前記軸部から幅方向に延びるスリットとが形成された可撓性板材を幅方向に巻回して構成されており、
前記軸部が前記ホースガイドの湾曲する外側に配置されている請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記ホースガイドは、前記スリットを挟んで前記長さ方向に対向するスリット縁部を有し、前記ホースガイドの湾曲する内側に位置する少なくとも一部の対向する前記スリット縁部同士が接触している請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記ホースガイドの長さ方向の後端に当接して前記ホースガイドの後方への移動を規制する規制部材を有する請求項1に記載の水栓。
【請求項5】
前記吐水ヘッドは、前記カバーに装着されたホースブッシュを介して前記カバーに着脱可能であり、
前記ホースブッシュには後方に向かって延びる板状の舌片部が設けられており、
前記ホースガイドの前方には、前記舌片部との干渉を防止する切り欠きが形成されている請求項1に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースガイドを有する水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、配管とホースの接触を防止するホースガイドを有する水栓について記載している。このホースガイドは、ホースの一部を抱える形の環状部(第1緩衝部)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の水栓において、吐水ヘッドを引き出し、吐水ヘッドをカバーに装着する際に、吐水ヘッドに接続されたホースはホースガイドに案内されて移動するため、ホースがカバーの内面と接触することを抑制することができる。しかし、環状部はホースの一部を抱える構成であり、ホースのうち環状部に支持されていない他の部分はカバー内に露出した状態で位置している。このため、吐水ヘッドの引き出しに伴いカバー内をホースが移動する際にホースがカバー内面や配管等のカバー内の構成に接触するおそれがある。本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバー内の構成とホースとの接触を抑制し得る水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための水栓は、配管を備える水栓本体と、前記水栓本体を覆うカバーと、前記カバーに対して前側に引き出し可能に装着された吐水ヘッドと、前記吐水ヘッドに接続されて、前記吐水ヘッドの引き出しに伴い前記カバー内を移動可能なホースと、前記カバー及び/又は前記配管と前記ホースとの接触を抑制するホースガイドとを有する水栓であって、前記ホースガイドは、前記カバー内で前記ホースを外嵌した筒状をなすことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、ホースガイドに外嵌されたホースはカバー内の構成との接触を抑制することができる。
上記水栓について、前記ホースガイドは、可撓性を有し、少なくとも一部が湾曲した状態で前記カバー内に配置されており、前記ホースガイドは、長さ方向に延びる軸部と前記軸部から幅方向に延びるスリットとが形成された可撓性板材を幅方向に巻回して構成されており、前記軸部が前記ホースガイドの湾曲する外側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、ホースガイドをカバー内で湾曲して配置でき、また軸部が湾曲する外側に位置するため、水栓からホースガイドを取り外す際にスリットがカバー内の構成に引っかかりにくくなる。
【0007】
上記水栓について、前記ホースガイドは、前記スリットを挟んで前記長さ方向に対向するスリット縁部を有し、前記ホースガイドの湾曲する内側に位置する少なくとも一部の対向する前記スリット縁部同士が接触していることが好ましい。この構成によれば、ホースガイドが湾曲する内側に位置するスリットが閉塞されてホースとカバー内の構成との接触を抑制することができる。
【0008】
上記水栓について、前記ホースガイドの長さ方向の後端に当接して前記ホースガイドの後方への移動を規制する規制部材を有することが好ましい。この構成によれば、ホースの移動に伴ってホースガイドが後方に移動しようとした場合の移動端を規制することができる。
【0009】
上記水栓について、前記吐水ヘッドは、前記カバーに装着されたホースブッシュを介して前記カバーに着脱可能であり、前記ホースブッシュには後方に向かって延びる板状の舌片部が設けられており、前記ホースガイドの前方には、前記舌片部との干渉を防止する切り欠きが形成されていることが好ましい。この構成によれば、ホースガイドの切り欠きをホースブッシュの舌片部に対応させて位置させることによってより長い範囲でホースとカバー内の構成との接触を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水栓によれば、カバー内の構成とホースの接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】
図4(a)はホースガイドの斜視図、
図4(b)はホースガイドの展開状態を示す模式図、
図4(c)はホースガイドがカバー内に配置されている状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
水栓10の実施形態を説明する。
図1に示すように、水栓10は、キッチンキャビネットのカウンタである壁部11に設置されており、湯水の温度と流量を一つのレバーで調節することのできるいわゆるシングルレバー水栓である。ここで、水栓10の方向(側)を規定すると、
図1、
図2に示すように、天地方向を水栓10の上下方向(側)といい、水栓10に対して使用者が位置する方向(側)を前、その反対を後という。また、使用者(前)から水栓10(後)に向かって左右をそれぞれ左右方向(側)という。これらの方向(側)は水栓10及び水栓10を構成する部材等にも共通する。
【0013】
水栓10は、壁部11から露出する部分として、水栓10の水栓本体を内部に収容してこれを覆う部材であるカバー20と、湯水を吐出する吐水ヘッド30と、湯水の温度や吐出量を調整するレバー40に大別することができる。カバー20の前方に吐水ヘッド30が、カバー20の上方にレバー40が位置している。
【0014】
(カバー20について)
カバー20は、上方に延びる円筒状の本体カバー21と、これから分岐し前方に延びる筒状の分岐カバー22とからなり、一体に形成されている。なお、本体カバー21及び分岐カバー22の材質は特に限定されず、金属や樹脂を採用することができる。その中でも、金属は強度が高く耐久性に優れるため好ましい。金属製のカバー20は、例えば、鋳造によって作製することができる。
【0015】
図2に水栓10の部分断面図を、
図3に水栓10の分割斜視図を示す。これらに示すように、カバー20のうち本体カバー21は上方及び下方が開口した中空円筒状に形成されており、その下部にはジョイント50が接続されて、ジョイント50を介してカバー20が壁部11に取り付けられている。
【0016】
本体カバー21の前方における分岐カバー22への分岐部分には、分岐カバー22に連通する開口21aが形成されており、本体カバー21内における開口21aの上方には弁ユニット60が装着される。なお、開口21aは分岐カバー22の本体カバー21への付け根部分よりも下方位置に形成されている。
【0017】
図2、
図3に示すように、弁ユニット60は、有底円筒状の収容部材61と、収容部材61を固定する固定ナット62と、弁部材63と、弁部材63を固定する固定ナット64から構成される。収容部材61は本体カバー21内で弁部材63を収容するものであり、有底の空間に弁部材63が内嵌される。収容部材61の外周にはフランジ61aが形成されており、このフランジ61aが本体カバー21の内周面に形成された段差部21bに着座して本体カバー21に収容部材61が位置決めされる。なお、収容部材61の底面には配管挿通用の複数の挿入孔61bが形成されており、底面前方は切り欠かれて空間となっている。収容部材61の前方下方に開口21aが位置する。
【0018】
図2、
図3に示すように、固定ナット62は外周にネジ溝62aが形成されたリング状であり、収容部材61と略同径をなす。収容部材61が本体カバー21内に固定された状態で上方から本体カバー21の内周面に形成されたネジ溝21cに螺合させて収容部材61を固定する。
【0019】
図2、
図3に示すように、弁部材63は、収容部材61に内嵌された状態で、その下端部が収容部材61の挿入孔61bに挿入された給湯管66、給水管67及び送水管68に連通している。弁部材63の上部には、弁部材63を操作する操作軸63aが取り付けられている。なお、弁ユニット60、給湯管66、給水管67、送水管68によって水栓本体が構成されている。水栓本体は給湯管66、給水管67及び送水管68を備え、水栓10における給水源、給湯源からホース69に送水するまでの通水路を構成している。
【0020】
図2、
図3に示すように、固定ナット64は中空円筒状をなし、その下方外周にはネジ溝64aが形成されている。弁部材63が本体カバー21内で収容部材61に内嵌された状態で上方から本体カバー21の内周面に形成されたネジ溝21cに螺合させて本体カバー21内で弁部材63を固定する。また、固定ナット64の上方は本体カバー21から露出しており、さらに操作軸63aは固定ナット64から上方に突出している。操作軸63aの上方には取付部材65を介してレバー40が接続されており、レバー40を回動操作することにより弁部材63を操作して吐出する湯水の温度及び流量を調整可能となっている。
【0021】
図2、
図3に示すように、給湯管66、給水管67及び送水管68は、上端が弁部材63に接続されて下方は本体カバー21内からジョイント50内を挿通して壁部11の下方へ延びている。給湯管66の下端部は給湯源(図示省略)に接続されており、給水管67の下端部は給水源(図示省略)に接続されている。送水管68の下端部はホース69に接続されており、弁部材63で調整された湯水を吐水ヘッド30に供給する。
【0022】
分岐カバー22は、本体カバー21の前面から前方に向かって分岐する中空筒状をなし、前面が開口している。分岐カバー22の前端には筒状のホースブッシュ23が内嵌されて装着されている。ホースブッシュ23は挿通孔23aを有する筒状をなし、ホースブッシュ23の後端部下方には、後方に向かって延びる板状の舌片部23bが設けられている。ホースブッシュ23は吐水ヘッド30を着脱可能となっている。すなわち、吐水ヘッド30はホースブッシュ23を介して分岐カバー22に着脱可能となっている。吐水ヘッド30は下方に図示しない吐水口を有し、後端にはホース69が接続されている。
【0023】
吐水ヘッド30をホースブッシュ23に取り付けると吐水ヘッド30がカバー20に組み付けられて一体となる。また、吐水ヘッド30をホースブッシュ23から取り外すと
図1に二点鎖線で示すように吐水ヘッド30及びホース69をカバー20から引き出し可能となっている。ホース69はホースブッシュ23の挿通孔23a内を挿通され舌片部23bに支持されて分岐カバー22内部を通り、開口21aを経て本体カバー21内に挿通されている。吐水ヘッド30をカバー20から引き出すと、これに伴いカバー20内でホース69がその長さ方向に移動する。ホース69はフレキシブルな金属製の外装と樹脂製の内装チューブとを備えた2層構造をなし全体として可撓性を有する。ホース69は分岐カバー22内では直線状に、また本体カバー21内では後方を凸とする湾曲状に、さらにジョイント50内では直線状に配置されている。
【0024】
図2、
図3に示すように、本体カバー21及び分岐カバー22の内部に位置するホース69の外周にはホースガイド70が配置されている。ホースガイド70は筒状をなしてホース69を外嵌しており、ホース69はホースガイド70と相対移動可能である。ホースガイド70はホース69を外嵌しているため、ホース69と同様に分岐カバー22内では直線状に、また本体カバー21内では後方を凸とする湾曲状をなしている。
【0025】
(ホースガイド70について)
図4(a)に示すようにホースガイド70はカバー20内に装着されない状態では筒状をなしている。より具体的には
図4(b)に展開状態を示すように、ホースガイド70は一枚の可撓性を有する合成樹脂板をその幅端部が幅方向に重なるように丸めて筒状に形成したものである。なお、ホースガイド70の長さ方向、幅方向(周方向)とはそれぞれ
図4(a)に示す方向であり、特に説明しない限りホースガイド70は展開状態ではなく丸めた状態をいう。
【0026】
図4(b)に示すように、ホースガイド70は展開状態において長さ方向の前端側の幅方向中央に矩形状の切り欠き70aを有する。この切り欠き70aの幅及び長さはホースブッシュ23の舌片部23bの左右長及び前後長よりも大きく、
図2に示す状態においてホースガイド70の切り欠き70aはホースブッシュ23の舌片部23bの周囲を囲んで隙間がある。また、ホースガイド70には複数のスリット72、73が形成されている。具体的にはホースガイド70は展開状態で長さ方向に平行かつ幅がほぼない直線状に延びる2つの軸部71を有する。そして、この軸部71を起点として、各軸部71からそれぞれ幅方向の一方に延び側縁に開口した長孔である開放スリット72と、2つの軸部71間を結ぶ長孔である閉塞スリット73とが長さ方向に交互に形成されている。いいかえれば、ホースガイド70の開放スリット72の幅方向縁部と閉塞スリット73の一方の幅方向縁部とを長さ方向に結ぶ線が軸部71である。軸部71は、ホースガイド70において幅方向にスリット72、73が形成されていない部分となる。なお、
図4(a)及び
図4(b)では理解便宜のため軸部71を破線で図示している。また、
図4(a)では理解便宜のため開放スリット72及び閉塞スリット73を少なくして図示している。各スリット72、73を挟んで長さ方向に対向するスリット縁部72a、73aは平行に形成されている。ホースガイド70を直線状態(
図4(a))とした場合のスリット72、73の長さ方向の距離(対向するスリット縁部72a、73aの距離)は2mmから4mm程度が好ましい。
【0027】
図4(c)にカバー20内におけるホースガイド70の形状を示す。同図に示すように、ホースガイド70は丸めた状態で重なり部分が湾曲状態の凸側となる側に配置されている。また、この丸めた状態では2つの直線状の軸部71のうち1つの軸部71は重なりの内側に位置しており、もう一つの軸部71は湾曲の最も外側となる稜線部分に位置している。また、ホースガイド70の前端側では切り欠き70aが下方側となる。そして、ホースガイド70は湾曲する内側に閉塞スリット73が位置し、その一部のスリット縁部73a同士が接触する状態となってカバー20内に配置されている。
【0028】
図2に示すように、ホースガイド70は前端の切り欠き70aがホースブッシュ23の舌片部23bの周囲を囲む位置に配置されている。ホースガイド70はホースブッシュ23の挿通孔23aよりも大きく、切り欠き70aのない前端上方がホースブッシュ23の上方後端に近接して位置し、切り欠き70aのある前端下方がホースブッシュ23の舌片部23bに近接して位置する。このため、ホースガイド70が前方に移動した場合にはホースガイド70はホースブッシュ23またはその舌片部23bに当接してそれ以上の前方の移動が規制される。
【0029】
図2、
図3に示すように、ジョイント50の下端部には規制部材51が装着されている。この規制部材51は、給湯管66、給水管67、送水管68のジョイント50内における径方向位置も規制し、ホース69の挿通空間を確保している。このため、規制部材51はホース69を挿通する挿通孔51aを有しており、この挿通孔51aはホース69より大径で、ホースガイド70より小さい。このため、カバー20内でホース69の移動に伴いホースガイド70が後方(下方)に移動した場合でもホースガイド70の後端(下端)が規制部材51に当接してそれ以上の後方(下方)への移動が抑制される。
【0030】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ホースガイド70はホース69を外嵌した筒状をなして本体カバー21と分岐カバー22からなるカバー20内に配置されている。このため、ホースガイド70がホース69を外嵌してガイドするとともにホース69を保護し、カバー20内の構成との接触を抑制することができる。
【0031】
(2)ホースガイド70は可撓性を有し、湾曲した状態で本体カバー21内に配置されている。ホースガイド70は、長さ方向に延びる軸部71と軸部71から幅方向に延びるスリット72、73とが形成された可撓性板材を幅方向に巻回して構成されており、軸部71がホースガイド70の湾曲する外側に配置されている。ホースガイド70は可撓性を有するため、カバー20内で湾曲して配置することができる。また、水栓10の修理やメンテナンス等のためホースガイド70をカバー20内から取り外すことがある。このとき、長さ方向に延びる軸部71がホースガイド70の湾曲する外側に配置されているとホースガイド70のスリット72、73がカバー20内の構成に引っ掛かりにくくなる。特にレバー40が水栓10の上方に位置すると水栓10が上下方向に高くなり、これを抑えるために開口21aが小さくなって、ホースガイド70の湾曲する外側が収容部材61の下方に位置する開口21aの上縁に接触しやすくなる。ホースガイド70の湾曲する外側に軸部71が位置すると、ホースガイド70を引き抜く際に開口21aの上縁に接触するのはスリット72、73のない軸部71となって引っ掛かりが少なくなる。
【0032】
(3)ホースガイド70は、スリット72、73を挟んで長さ方向に対向するスリット縁部72a、73aを有している。そして、ホースガイド70の湾曲する内側に位置する少なくとも一部の対向する閉塞スリット73のスリット縁部73a同士が接触している。このため、ホースガイド70が湾曲する内側に位置する閉塞スリット73が長さ方向に閉塞されてホース69とカバー20内の構成との接触を抑制することができる。
【0033】
(4)ホースガイド70の長さ方向の後端に当接してホースガイド70の後方(下方)への移動を規制する規制部材51を有する。このため、ホース69の移動に伴ってホースガイド70が移動する場合でもホースガイド70の後方(下方)への移動端を規制することができる。
【0034】
(5)吐水ヘッド30は、カバー20に装着されたホースブッシュ23を介してカバー20に着脱可能であり、ホースブッシュ23には後方に向かって延びる板状の舌片部23bが設けられている。また、ホースガイド70の前方には、舌片部23bとの干渉を防止する切り欠き70aが形成されている。このため、ホースガイド70の切り欠き70aをホースブッシュ23の舌片部23bを囲う形で位置させると、より長い、広い範囲でホース69とカバー20内の構成との接触を抑制することができる。また、ホース69の移動に伴ってホースガイド70が前方に移動した場合でもホースガイド70はホースブッシュ23またはその舌片部23bに当接してそれ以上の前方の移動が規制される。
【0035】
(6)ホースガイド70は幅方向に延びる開放スリット72、閉塞スリット73を有している。このため、スリット72、73が長さ方向に延び或いは縮まる形でホースガイド70を湾曲させることができる。ホースガイド70に用いる材質自体が可撓性に乏しいものであってもスリット72、73によりホースガイドとしての可撓性を確保でき、ホースガイド70の湾曲が容易となる。
【0036】
(7)収容部材61の下方前方は切り欠かれて空間となっている。このため、この空間にもホースガイド70を配置することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・本実施形態において、ホースガイド70の切り欠き70aを省略してもよい。この場合はホースガイド70の前端はホースブッシュ23の舌片部23bに当てはまる形状ではなくなるが、ホースガイド70が前方に移動する場合にはホースガイド70の前端がホースブッシュ23の舌片部23bに当接して移動が規制されることとなる。
【0038】
・ホースガイド70に直線状の軸部71を2箇所形成してるがその数を変更しても良い。また、直線状の軸部71を設けず、スリット72、73をジグザクとなるようにホースガイド70の長さ方向に重なる位置同士で形成してもよい。この場合の軸部71はスリット72、73の端部同士を結ぶジグザクとなる。
【0039】
・ホースガイド70に形成したスリット72、73の形状や数は任意に変更してもよい。
・ホースガイド70を可撓性に富む材質で形成する場合には開放スリット72、閉塞スリット73の一方または双方を形成しなくてもよい。
【0040】
・ホースガイド70の軸部71をカバー20内で湾曲する内側に配置してもよい。このような構成でもホース69とカバー20内の構成との接触を抑制することはできる。
・ホースガイド70の軸部71は幅がほぼない直線状であるが、長さ方向に交互に形成された開放スリット72と閉塞スリット73の端部を幅方向に離間して位置させ、軸部71の幅を広くしてもよい。
【0041】
・固定ナット62は省略してもよく、固定ナット64がカバー20ではなく収容部材61に直接ねじ込まれていてもよく、固定ナット64をねじ込み以外の構成で弁部材63が収容部材61に固定されてもよい。収容部材61は、有底円筒状ではなくフラット形状等であってもよい。また、収容部材61の機能をカバー20に持たせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…水栓、20…カバー、21…本体カバー(カバー)、22…分岐カバー(カバー)、23…ホースブッシュ、23b…舌片部、30…吐水ヘッド、40…レバー、51…規制部材、60…弁ユニット(水栓本体)、66…給湯管(配管)、67…給水管(配管)、68…送水管(配管)、69…ホース、70…ホースガイド、70a…切り欠き、71…軸部、72…開放スリット(スリット)、72a…スリット縁部、73…閉塞スリット(スリット)、73a…スリット縁部。