(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048041
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報読取システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G06K7/10 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153871
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】マナンダル アクシャア
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕之
(57)【要約】
【課題】複数の無線タグの読取の所要時間を短縮でき、消費電力を抑制できる情報読取システムを提供する
【解決手段】情報読取システム1は、所定の読取領域23内に配置されるRFIDタグ6から情報を読み取るRFIDリーダ3と、RFIDリーダ3の動作を制御する制御装置4と、を備え、制御装置4は、RFIDリーダ3が新たなRFIDタグ6から情報を読み取らない期間を示す所定の待機時間を経過した後に、RFIDリーダ3の動作を停止する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の読取領域内に配置される無線タグから情報を読み取る読取装置と、
前記読取装置の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記読取装置が新たな無線タグから情報を読み取らない期間を示す所定の待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する、
情報読取システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記待機時間を変更可能である、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項3】
複数の前記無線タグがそれぞれ貼付される複数の物品が前記読取領域に纏めて配置され、
前記制御装置は、前記複数の無線タグからの読取動作中に前記待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する、
請求項1または2に記載の情報読取システム。
【請求項4】
複数の前記無線タグがそれぞれ貼付された複数の物品が前記読取領域を順次通過され、
前記制御装置は、前記複数の無線タグからの読取動作中に前記待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する、
請求項1または2に記載の情報読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線タグを用いて物品の管理を行う技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、POSシステムにおいて、カウンタにRFIDリーダを設置し、RFIDリーダのアンテナの読取範囲にRFIDタグ付きの物品を通過させることによってタグ情報を読み取る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無線タグからの情報読取システムでは、RFIDリーダによるタグ情報の読み取りを自動停止するためには、指定枚数読み取り後に停止させるか、または、タグ読取の時間間隔を指定する手法が挙げられる。
【0006】
指定枚数を設定する手法では、読み取りに時間がかかるタグが有る場合には、電波を発砲する時間が長くなり消費電力が上がる傾向がある。また、何らかのトラブルにより読み取れないタグがある場合には、停止トリガに到達しないため、電波を発砲する時間がさらに長くなり、消費電力がさらに上がる状況が生じ得る。
【0007】
また、タグ読取の時間間隔を指定する手法では、指定時間より早いタイミングで新しいタグを読み取ることができる場合でも、新たなタグを読み取るまでに所定時間待機する必要があるため、電波を発砲する時間が長くなり消費電力が上がる傾向がある。
【0008】
本開示は、複数の無線タグの読取の所要時間を短縮でき、消費電力を抑制できる情報読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態の一観点に係る情報読取システムは、所定の読取領域内に配置される無線タグから情報を読み取る読取装置と、前記読取装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記読取装置が新たな無線タグから情報を読み取らない期間を示す所定の待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する。
【0010】
この態様によれば、タグ情報読取制御の終了判定には上記の待機時間の情報のみを用いるので、読取装置は、情報を読み取っていないタグがある間では、待機時間より早いタイミングで新たな無線タグを順次読み取ることが可能となる。これにより、新たなタグを読み取るまでに所定時間待機する必要がないので、電波を発砲する合計時間を短縮化することが可能となる。この結果、この態様の情報読取システムは、複数の無線タグの読取の所要時間を短縮でき、タグ情報読取制御に要する消費電力を抑制できる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記制御装置は、前記待機時間を変更可能である構成でもよい。
【0012】
この態様によれば、読取対象の物品の種類や数などのさまざまな利用環境に応じて、タグ情報読取制御にとって適切な待機時間を設定することが可能となるので、利用環境に依存せずに情報読取システムの読取精度を担保でき、システムの汎用性を向上できる。
【0013】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、複数の前記無線タグがそれぞれ貼付される複数の物品が前記読取領域に纏めて配置され、前記制御装置は、前記複数の無線タグからの読取動作中に前記待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する構成でもよい。
【0014】
この態様によれば、利用者が複数の物品を読取領域に置くだけで自動的に各物品の無線タグから情報を取得することができるので、複数の物品からの情報読取をより簡易に行うことが可能となる。
【0015】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、複数の前記無線タグがそれぞれ貼付された複数の物品が前記読取領域を順次通過され、前記制御装置は、前記複数の無線タグからの読取動作中に前記待機時間を経過した後に、前記読取装置の動作を停止する構成でもよい。
【0016】
この態様によれば、例えば読取領域23内に平積みできないほどの大量の物品からタグ情報を読み取る場合でも、自動的に各物品を読取領域へ順次通過させ、各物品の無線タグから情報を取得することができるので、複数の物品からの情報読取をさらに簡易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、複数の無線タグの読取の所要時間を短縮でき、消費電力を抑制できる情報読取システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る情報読取システムの全体構成を示す斜視図
【
図2】
図1中の読取台のRFIDリーダ付近を拡大した斜視図
【
図4】第1変形例に係る読取台のRFIDリーダ付近を拡大した斜視図
【
図5】第2変形例に係る読取台のRFIDリーダ付近の断面図
【
図10】タッチパネルに表示されるタグ情報読取制御の操作画面の制御開始前の表示態様の一例を示す図
【
図11】タッチパネルに表示されるタグ情報読取制御の操作画面の制御完了後の表示態様の一例を示す図
【
図12】タグ情報読取制御の変形例を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は、情報読取システム1の読取台2の天板21の矩形状の一方の対辺(
図1の例では長辺)の方向であり、例えばシステムの利用者から視た前後方向である。Y方向は、情報読取システム1の読取台2の天板21の矩形状の他方の対辺(
図1の例では短辺)の方向であり、例えばシステムの利用者から視た左右方向である。また、以下では説明の便宜上、Z正方向側を上側、Z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0021】
<情報読取システム1の構造>
図1~
図3を参照して、実施形態に係る情報読取システム1の構造について説明する。
【0022】
図1は、実施形態に係る情報読取システム1の全体構成を示す斜視図である。情報読取システム1は、無線タグが貼付される被測定物(物品)が所定位置に載置された状態で、これらの無線タグから情報を読み取る装置である。本実施形態では、無線タグの一例としてRFID(Radio Frequency Identification)タグ6を挙げ、RFIDリーダ3(読取装置)によってRFIDタグ6から情報を読み取る構成を例示する。
【0023】
また、本実施形態の情報読取システム1は、書籍や雑誌などの本10の任意の位置にRFIDタグ6が貼付され、これらのRFIDタグ6の情報を読み取る構成を例示する。RFIDタグ6は、貼付されている本10(物品)に関する情報IDが記録されている。RFIDタグ6は、ICチップとICチップに電気的に接続されるアンテナとを備え、ICチップ内に情報IDを記録することができる。
【0024】
図1の例のように、読取対象の物品が本10である場合には、RFIDタグ6に記録される情報IDの内容としては、例えば各タグが貼付される本10の題名、著者名、発行年などの情報を含むことができる。また、本10が図書館などの施設で利用される場合には、本10の貸出履歴や返却履歴の情報なども含むことができる。または、RFIDタグ6に記録される情報IDは該当タグの識別情報のみとしてもよい。この場合、情報読取システム1は、RFIDタグ6から読み取った識別情報に基づいて、データベース等に記録されている本10に関する情報を抽出して取得することができる。RFIDタグ6は、ICタグ、RF-IDタグ、RFタグと呼ばれることもある。また、読取対象の物品が本10である場合には、RFIDタグ6を本10自体に貼付する構成以外にも、例えば本10の中に差し込まれるしおりやスリップ(書店などで抜く細長く折れた紙)にRFIDタグ6を貼付する構成でもよい。すなわち、読取対象の本10に、しおり等を介してRFIDタグ6が差し込まれる構成でもよい。本実施形態では、RFIDタグ6を読取対象の物品に付加されている状態を表す「貼付」とは、RFIDタグ6が物品自体に直接貼付される構成以外にも、物品に差し込み、挿入、または係止される別の要素に貼付されて、読取対象の物品に間接的に貼付される構成も含む。
【0025】
なお、RFIDタグ6が貼付される物品は、
図1に例示する本10に限られない。特に本実施形態の情報読取システム1で読取対象とする物品は、主に保管時に垂直方向や水平方向に積層配置される物品であり、複数の物品に個別に貼付されている複数のRFIDタグ6から纏めて情報IDを読み取るケースがある物品であるのが好ましい。このような物品としては、例えばトレーディングカードなどのカード類、クリアファイルやノートなどの文房具類、菓子などの食品類、新聞、チケット、切符、または、採血管や薬品などの医療用品、などが挙げられる。
【0026】
本実施形態では、
図1に示すように、情報読取システム1の一例として、RFIDタグ6A~6Dが貼付された複数の本10A~10Dが平積みされている状態において、各本10A、10B、10C、10Dに貼付されている複数のRFIDタグ6A、6B、6C、6Dから纏めて情報ID1、ID2、ID3、ID4を読み取る適用例を例示して説明する。なお、以下の説明では、複数の本10A~10Dを纏めて「本10」と表記したり、複数のRFIDタグ6A~6Dを纏めて「RFIDタグ6」と表記したり、複数の情報ID1~ID4を纏めて「情報ID」と表記する場合がある。
【0027】
図1に示すように、情報読取システム1、読取台2と、RFIDリーダ3と、制御装置4と、タッチパネル5とを備える。
【0028】
読取台2は、読取対象の物品が載置される台であって、
図1の例では矩形状の天板21と、天板の矩形の4つの角部にそれぞれ設けられる4本の脚部22とを有する。天板21の上面21Aが、読取対象の物品を置く載置面として用いられる。以下の説明では「載置面21A」とも表記する場合がある。
【0029】
RFIDリーダ3は、載置面21A上のRFIDタグ6A~6Dから情報ID1~ID4を読み取る読取装置である。RFIDリーダ3は、載置面21A側が読取範囲となるように、載置面21Aに露出せずに設置される。
図1の例では、RFIDリーダ3は、読取台2の天板21の下面21B側に設置されている。なお、RFIDリーダ3を載置面21Aに露出せずに設置する構成は
図1の例に限られない。例えば天板21の上面21Aに凹部を設け、この凹部にRFIDリーダ3を挿入し、凹部の上部開口またはRFIDリーダ3の上面をカバーで覆う構成などでもよい。
【0030】
図1に示すように、載置面21A上において、Z方向から視た平面視において、RFIDリーダ3と重畳する所定領域が、読み取り対象物からタグ情報を読み取ることができる読取領域23となる。この読取領域23の範囲内に読取対象の物品である複数の本10A~10Dが置かれると、RFIDリーダ3は、これらの本10A~10Dにそれぞれ貼付されるRFIDタグ6A~6Dから情報ID1~ID4を取得することができる。一方、
図1に示すように、載置面21A上でも、読取領域23以外の場所に置かれている本10E、10F、10G、10Hについては、RFIDリーダ3は各本に貼付されているRFIDタグ6E、6F、6G、6Hから情報を読み取ることはできない。
【0031】
読取領域23は、RFIDリーダ3の直上の位置に配置され、外形がRFIDリーダ3のものと略同一であり、面積も略同一であるのが好ましい。ただし、読取領域23の大きさはRFIDリーダ3より大きくてもよいし、小さくてもよい。
図1に示すように、本実施形態では、RFIDリーダ3の平面視の形状が矩形状であるので、読取領域23も矩形状に形成される。
【0032】
また、システムの利用者に読取領域23の位置を視認できるように、載置面21A上の読取領域23が他の部分と区別できるようにするのが好ましい。例えば、載置面21A上の読取領域23の外縁部分に線を描いてもよいし、読取領域23の色を他の部分と異ならせてもよい。
【0033】
制御装置4は、RFIDリーダ3及びタッチパネル5と無線または有線により通信可能に接続され、RFIDリーダ3及びタッチパネル5の動作を制御する。
【0034】
タッチパネル5は、タグ情報読取制御に係る情報の表示する表示装置である。また、タッチパネル5は、利用者からの操作入力を受け付ける入力装置としても機能する。
【0035】
なお、
図1の例では、制御装置4とタッチパネル5は読取台2と離れた位置に配置される構成を例示しているが、制御装置4とタッチパネル5とが、読取台2に一体的に設置される構成でもよい。また、タッチパネル5の代わりに、例えばディスプレイなどの表示装置と、マウスやキーボードなどの入力装置とを用いる構成でもよい。
【0036】
また、読取台2は、少なくとも載置面21Aがあって、載置面21A側が読取範囲となるようにRFIDリーダ3が載置面21Aに露出せずに設置される構成であればよく、読取台2の形状は
図1に例示するものに限られない。例えば
図1に示すように脚部22の下端に移動用の車輪を設けない構成でもよいし、天板21の形状が矩形状以外の形状でもよい。また、
図1の例では、読取領域23は、載置面21A上の前方側(X正方向側)に配置されているが、読取領域23の位置も任意に設定してよい。
【0037】
次に
図2、
図3を参照して、本実施形態におけるタグ情報の読み取り構造の詳細について説明する。
図2は、
図1中の読取台2のRFIDリーダ3付近を拡大した斜視図であって、天板21を透明視した図である。
図3は、
図2中のA-A断面図であり、RFIDリーダ3の矩形状の対辺のうちY方向に延在する対辺の方向に沿った断面である。
【0038】
RFIDリーダ3は、平板状に形成され、Z方向の平面視において略矩形状に形成される。また、
図3に示すように、RFIDリーダ3には、Z方向の平面視において、平板状の筐体32の上面の中央部分に、筐体32の外形と同様の略矩形状の平板状のアンテナ部31が設けられる。アンテナ部31は、読取領域23上のRFIDタグ6から情報IDを読み取る。なお、RFIDタグ6とアンテナ部31との間の通信は、通信距離を考慮すると短距離通信に適するHF帯を用いるのが好ましいが、タグのICチップの小型化に有利なUHF帯を用いてもよい。また、RFIDタグ6は、アンテナ部31から放射された電波W(
図1参照)により駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0039】
なお、
図3の例では、アンテナ部31は単一の平板状に形成されるRFIDアンテナで構成される例を図示しているが、読取領域23や読取対象物10の大きさなどに応じて、複数のRFIDアンテナをX方向またはY方向に並列配置する構成としてもよい。また、アンテナ部31は、筐体32の上面に露出せず、筐体32に内蔵される構成でもよい。
【0040】
図2、
図3に示すように、RFIDリーダ3の周囲は電波シールド材7で包囲されている。電波シールド材7は、外部からRFIDリーダ3への電波の進入を遮蔽する材料で形成される薄板状または薄膜状の部材である。電波シールド材7の材料としては、例えば金属繊維が編み込まれた布を用いることができる。これにより、電波シールド材7は、高い導電性、耐屈曲性、柔軟性を備えることができる。
【0041】
図3に示すように、電波シールド材7は、RFIDリーダ3の下面側を覆う底面部分7Cの外縁部から、上方に曲げられてRFIDリーダ3の側面側を覆う側面部7Bが上方に沿って延在する。さらにRFIDリーダ3の上面の高さ位置にて中心線C側に曲げられて、RFIDリーダ3の上面を覆うように上面部分7Aが形成される。電波シールド材7のうち上面部分7Aは、平面視における内側はRFIDリーダ3のアンテナ部31の外縁の位置まで延在するよう形成される。つまり上面部分7Aには、アンテナ部31と重畳する部分に開口部71が設けられる。
【0042】
RFIDリーダ3の上面のアンテナ部31の外縁も電波シールド材7で覆われている。つまり、RFIDリーダ3は、アンテナ部31のみが露出している。言い換えると、RFIDリーダ3の上面と、読取領域23との間には電波シールド材7の上面部分7Aが介在し、この上面部分7Aのうちアンテナ部31と重畳する部分には開口部71が設けられている。開口部71には電波シールド材7が無いので、RFIDリーダ3はアンテナ部31のみが露出するように電波シールド材7に包まれている。
【0043】
上述のように、本実施形態では、RFIDリーダ3もアンテナ部31も、Z方向の平面視では矩形状に形成されている。また、載置面21Aの読取領域23の形状は、RFIDリーダ3の形状と同様であり、本実施形態では矩形状である。このため、電波シールド材7の開口部71も、これらの要素と同様に矩形状に形成されている(
図4参照)。
【0044】
また、RFIDリーダ3のアンテナ部31と、天板21との間には、筒状の遮蔽板8が設置されている。遮蔽板8のXY平面に沿った筒状体の内周面の断面形状は、RFIDリーダ3の形状と同様であり、本実施形態では矩形状である。遮蔽板8の下端開口8Aの形状は、RFIDリーダ3のアンテナ部31と略同一に形成され、
図2に示すように下端開口8Aの矩形状の各辺がアンテナ部31の矩形状の各辺に沿って配置され、下端開口8Aがアンテナ部31の外縁を囲むように配置される。一方、遮蔽板8の上端開口8Bの形状は、読取領域23と略同一に形成され、平面視において、
図2に示すように上端開口8Bの矩形状の各辺が読取領域23の矩形状の各辺に沿って配置され、上端開口8Bが読取領域23の外縁を囲むように配置される。
【0045】
遮蔽板8は、外部からRFIDリーダ3への電波の進入を遮蔽する材料で形成される。遮蔽板8の材料としては、例えば板金、金属網、発泡金属などを用いることができる。また、電波シールド材7と同様に金属繊維が編み込まれた布を用いることもできるが、この場合、天板21とRFIDリーダ3との間に立設した状態を保持できる程度の剛性を有する材料(例えば紙、木、樹脂など)で筒状体を形成して、この筒状体の壁面に布を貼り付ける構成とする必要がある。または、このような筒状体の内周面に金属インクまたは同様の物質でめっきする構成でもよい。
【0046】
遮蔽板8は、筒形状の中心線Cに対して、平面視において下端開口8Aの形状と上端開口8Bの形状とが同心状となるように形成される。また、この中心線Cの延在方向は、RFIDリーダ3のアンテナ部31と、読取台2の読取領域23の法線方向と同一であるのが好ましい。そして、特に本実施形態では、遮蔽板8の上端開口8Bが、下端開口8Aよりも大きく形成される。つまり、遮蔽板8の筒型形状が、下端開口8A側に対して、上端開口8B側がX方向及びY方向の外側に広がるように形成される。平面視において、下端開口8Aの形状の外周側に上端開口8Bの形状が配置され、かつ、各形状の中心Cが同一位置となる同心状となる。
【0047】
また、本実施形態では、遮蔽板8の下端開口8A及び上端開口8Bに加えて、読取領域23およびRFIDリーダ3のアンテナ部31も、中心線Cに対して同心状となるように配置されている。
【0048】
本実施形態では、RFIDリーダ3が矩形状であり、上端開口8B及び下端開口8Aも矩形状なので、遮蔽板8は、RFIDリーダ3の四辺の各辺に沿った下端部から上方に延在し、かつ、中心線Cに対して下方よりも上方が外側に傾斜する4つの傾斜壁8Cを有する。
【0049】
図3に示すように、RFIDリーダ3のアンテナ部31から上方に出力された電波W1は、遮蔽板8の範囲内で上方の読取領域23の方向に進む。つまり電波W1は遮蔽板8に接触せずに読取領域23に到達できる。一方、アンテナ部31から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2は、このままでは載置面21A上の読取領域23より外側の位置に到達してしまう。本実施形態では、このような電波W2を遮蔽板8の傾斜壁8Cによって反射することによって、方向を中心線C側に補正して、読取領域23の範囲内で上方に出力させることができる。これにより、アンテナ部31から出力される電波W(
図3中のW1、W2)を効率良く読取領域23の範囲内に出力させることができる。
【0050】
本実施形態では、遮蔽板8の上端開口8Bが読取台2の天板21の下面21Bに取り付けられる。また、下端開口8AがRFIDリーダ3の上面(または電波シールド材7の上面部分7A)に取り付けられる。これにより、RFIDリーダ3は、遮蔽板8を介して読取台2の天板21の下方に吊り下げられた状態で設置される。
【0051】
本実施形態に係る情報読取システム1の構造上の効果を説明する。本実施形態の情報読取システム1は、読取対象の物品(本10)を載置する載置面21Aと、載置面21A側が読取範囲となるように載置面21Aに露出せずに設置され、載置面21A上の読取領域23の範囲内でRFIDタグ6から情報を読み取るRFIDリーダ3と、RFIDリーダ3の周囲を包囲し、外部からRFIDリーダ3への電波の進入を遮蔽する電波シールド材7と、を備える。
図2~
図5に示すように、電波シールド材7のうち載置面21AとRFIDリーダ3との間に配置される部分(上面部分7A)には、読取領域23と対向する位置に開口部71が設けられる。
【0052】
この構成により、RFIDリーダ3は電波シールド材7によって包囲されるので、外部からRFIDリーダ3への電波の進入を良好に遮蔽できる。また、電波シールド材7のうち載置面21AとRFIDリーダ3との間に配置される上面部分7Aでは、開口部71によって読取領域23と対向する位置のみを露出させることができるので、載置面21Aのうち読取領域23外にあるRFIDタグから誤って情報を読み取ることを抑制できる。このように、RFIDリーダ3の載置面21A側の読取可能範囲を、載置面21A上の読取領域23の範囲に絞り込むことを容易にできるので、読取対象のRFIDタグ6の読取精度を向上できる。また、RFIDリーダ3が載置面21A上に露出せずに設置されるので、RFIDリーダ3のアンテナ部31には読取対象の物品が直に載置されることを回避でき、RFIDリーダ3に傷や劣化が生じることを抑制できる。また、RFIDリーダ3が外部に露出しないので、アンテナ部31に埃や水分が付着したり、物品と接触することなどによってアンテナ部31が汚れることも抑制でき、アンテナ部31の汚れによるタグ読取性能の劣化も抑制できる。このように、RFIDリーダ3の劣化を抑制できるので、装置寿命を向上できる。この結果、本実施形態に係る情報読取システム1は、RFIDタグ6の読取精度を向上でき、かつ、装置寿命を向上できる。
【0053】
また、本実施形態の情報読取システム1は、読取領域23と対向配置されるRFIDリーダ3のアンテナ部31の外縁部分を包囲し、RFIDリーダ3のから載置面21A側に立設される筒状に形成され、外縁部分の外側からRFIDリーダ3のへの電波の進入を遮蔽する遮蔽板8を備える。
【0054】
この構成により、電波シールド材7に加えて遮蔽板8を設けることにより、載置面21Aの読取領域23とRFIDリーダ3のアンテナ部31との間の空間において、RFIDリーダ3のへの電波の進入や、アンテナ部31から出力される電波Wの読取領域23からの漏れを良好に遮蔽できる。これにより、RFIDリーダ3の載置面21A側の読取可能範囲を、載置面21A上の読取領域23の範囲に絞り込むことをより確実にできるので、読取対象のRFIDタグ6の読取精度をさらに向上できる。
【0055】
また、本実施形態の情報読取システム1では、遮蔽板8は、RFIDリーダ3側よりも載置面21A側のほうが外側に広がるように周壁(傾斜壁8C)が傾斜して形成される。
【0056】
この構成により、
図3を参照して説明したように、RFIDリーダ3のアンテナ部31から読取領域23外の方向に出力される電波W2を、傾斜壁8Cで反射させて筒形状の中心線C側に方向を変更することができる。これにより、アンテナ部31から出力される電波Wを読取領域23内により確実に集約させることが可能となるので、より効率良くタグ読取を行うことができる。
【0057】
<構造の変形例>
図4~
図6を参照して、情報読取システム1の構造の変形例を説明する。
図4は、第1変形例に係る読取台2のRFIDリーダ3付近を拡大した斜視図である。
図4の概略構成は
図2に対応する。
図4に示すように、情報読取システム1は遮蔽板8を備えない構成でもよい。
【0058】
図4の構成の場合、電波シールド材7に包囲されたRFIDリーダ3が、読取台2の天板21の下面21Bに直接設置される。つまり、RFIDリーダ3のアンテナ部31が、天板21の下面21Bに対して
図1~
図3の構成よりも接近して配置される。この場合、読取領域23の大きさは、RFIDリーダ3のアンテナ部31の大きさと略同一となる。
【0059】
図5は、第2変形例に係る読取台2のRFIDリーダ3付近の断面図である。
図5の概略構成は
図3に対応する。
【0060】
図5に示すように、RFIDリーダ3は箱状の収容部24に収容される構成でもよい。収容部24は、天板21の下面21Bに取り付けられる。RFIDリーダ3は例えば収容部24の底面24Aに設置され、その直上に遮蔽板8が設置される。遮蔽板8の上端開口8Bは、収容部24の上端部分24Bまで到達して、天板21の下面21Bの位置まで到達するように形成される。
【0061】
図5の構成の場合、電波シールド材7は収容部24の内壁に設置する構成でもよい。収容部24の内壁全体には電波シールド材7が貼り付けられている。電波シールド材7は、収容部24の底面24Aに貼り付けられる底面部分7Cの外縁部から、上方に曲げられて収容部24の側面24Cに貼り付けられる側面部7Bが上方に沿って延在する。さらに収容部24の上端部分24Bにて中心線C側に曲げられて、収容部24の上端部分24Bの開口を覆うように上面部分7Aが形成される。電波シールド材7のうち上端部分24Bを覆う上面部分7Aは、平面視における内側は遮蔽板8の上端開口8Bの位置まで延在するよう形成される。つまり上面部分7Aには、遮蔽板8の上端開口8Bと重畳する部分に開口部71が設けられる。
【0062】
このように、第2変形例では、RFIDリーダ3は箱状の収容部24に収容され、電波シールド材7は収容部24の内壁に設置される。
図1~
図3の構成の場合、RFIDリーダ3や遮蔽板8が読取台2の天板21に吊り下げられる構造となる。この場合、RFIDリーダ3と天板21との間に介在する遮蔽板8は、RFIDリーダ3の重量を受けつつ、その形状や天板21との接続状態を保持する程度の剛性が必要となる。また、RFIDリーダ3の軽量化も考慮する必要がある。一方、第2変形例では、RFIDリーダ3や遮蔽板8を収容部24の底面24Aに設置できるので、RFIDリーダ3や遮蔽板8を読取台2の天板21に吊り下げる必要がなくなる。このため、RFIDリーダ3や遮蔽板8の設置構造を容易にできる。また、上記のような遮蔽板8の剛性や、RFIDリーダ3の軽量化を考慮する必要性を少なくできるので、設計の自由度を向上でき、システムの汎用性を向上できる。
【0063】
また、
図5の構成において遮蔽板8が無い構成でもよい。この場合、収容部24の深さができるだけ浅く、RFIDリーダ3の厚さと同程度であるのが好ましい。これにより電波シールド材7の開口部71とRFIDリーダ3の上面のアンテナ部31とを接近させることができるので、開口部71を介して読取領域23に到達する電波Wを増やすことができ、効率良く電波を出力できる。
【0064】
図6は、第3変形例に係る読取台2の天板21の斜視図である。
図6は、天板21を下面21B側から視た斜視図である。天板21の読取領域23を除く部分に電波シールド材7を設置してもよい。例えば
図6に示すように、天板21の下面21Bの全体に電波シールド材7を貼り付けて、読取領域23の部分のみくり抜く構成とすることができる。または、天板21全体を電波シールド材7と同様の電波遮蔽性を有する材料で形成し、読取領域23の部分のみ電波遮蔽性の無い別の材料で形成する構成でもよいし、
図6とは逆に、天板の上面21Aに電波シールド材7を貼り付ける構成でもよい。
【0065】
このように、第3変形例では、載置面21Aのうち読取領域23を除く部分に電波シールド材7が設置される。この構成により、載置面21A上において、読取領域23を除く部分から下方のRFIDリーダ3への電波の進入をさらに防止できるので、読取対象のタグ読取の精度をさらに向上できる。
【0066】
また、天板21とRFIDリーダ3とを備えるブロックは、読取台2から取り外し可能である構成としてもよい。これにより、既存のテーブル等の天板部分を置き換えることができ、既製品を利用して本実施形態の情報読取システム1を利用することが可能となるので、システムの汎用性を向上できる。
【0067】
<タグ情報読取制御>
図7~
図11を参照して、上記の情報読取システム1によるタグ情報読取制御の一例を説明する。
【0068】
本実施形態では、
図1を参照して説明したように、複数の本10を読取領域23に載置して、各本10に貼付されている複数のRFIDタグ6から纏めて情報の読み取りを行う。そして特に本実施形態では、RFIDリーダ3を起動させた後のタグ読取の実施中に、RFIDリーダ3が新たなRFIDタグ6から情報を読み取らない期間を示す所定の待機時間を経過した後に、RFIDリーダ3の動作を停止する制御を行う。
【0069】
図7は、制御装置4の機能ブロック図である。
図7に示すように、制御装置4は、上記のタグ情報読取制御に関する機能として、待機時間設定部41と、タグ読取制御部42と、表示制御部43と、タグ情報記憶部44とを備える。
【0070】
待機時間設定部41は、待機時間の設定を行う。待機時間設定部41は、例えばタッチパネル5を用いて利用者により入力された待機時間の情報に基づいて、待機時間を設定することができる。待機時間設定部41は、設定した待機時間の情報をタグ読取制御部42に出力する。
【0071】
タグ読取制御部42は、RFIDリーダ3によるRFIDタグ6からの情報読取の動作を制御する。タグ読取制御部42は、例えばタッチパネル5を用いて利用者により入力された開始指令に応じてRFIDリーダ3を起動させて読取動作を開始させる。また、待機時間設定部41から入力された待機時間の情報に基づき、RFIDリーダ3を停止させる。タグ読取制御部42は、RFIDリーダ3により取得されたタグ情報や、読取動作の状態などの各種情報を表示制御部43に出力する。
【0072】
表示制御部43は、タグ情報読取制御に関する各種情報をタッチパネル5に表示する。表示制御部43は、タグ情報読取制御の操作画面(
図10、
図11参照)をタッチパネル5に表示する。また、タグ読取制御部42から入力されたタグ情報読取制御に関する各種情報をタッチパネル5に表示させる。
【0073】
タグ情報記憶部44は、タグ読取制御部42または表示制御部43からタグ情報読取制御の読取結果が入力されると、この情報を記録する。タグ情報記憶部44に記録されている情報は、利用者などが閲覧したり外部に出力したりすることができる。
【0074】
図8は、制御装置4のハードウェア構成図である。
図8に示すように、制御装置4は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
図7を参照して説明した制御装置4の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0075】
図9は、タグ情報読取制御のフローチャートである。
図10は、タッチパネル5に表示されるタグ情報読取制御の操作画面51の制御開始前の表示態様の一例を示す図である。
図11は、タッチパネル5に表示されるタグ情報読取制御の操作画面51の制御完了後の表示態様の一例を示す図である。
【0076】
以下、
図9に示すフローチャートの処理の手順にしたがって、
図10、
図11の操作画面51を参照しながら説明する。操作画面51は、本実施形態に係るタグ情報読取制御用のGUI(Graphical User Interface)の一例である。操作画面51は、表示装置がタッチパネル5の場合には、利用者はタッチパネル5上のタッチ操作によって操作指令を入力できる。なお、本実施形態とは異なり入力機能をもたないディスプレイなどの表示装置に操作画面51を表示する構成の場合には、利用者は例えばマウスなどの入力装置を利用して操作画面51を介して操作指令を入力できる。
【0077】
まず
図10を参照して操作画面51の概略構成を説明する。
図10に示すように、操作画面51は、接続ボタン51Aと、読取開始ボタン51Bと、待機時間入力部51Cと、読取時間表示部51Dと、読取状態表示部51Eと、タグ情報表示部51Fと、読取停止ボタン51Gと、クリアボタン51Hと、接続切断ボタン51Iと、を有する。
【0078】
接続ボタン51Aは、タッチパネル5上で押下操作を行うことで、RFIDリーダ3を制御装置4に接続状態とする。
【0079】
読取開始ボタン51Bは、タッチパネル5上で押下操作を行うことで、RFIDリーダ3が起動され、タグ情報の読み取り動作が開始される。
【0080】
待機時間入力部51Cは、タッチパネル5上でタッチ操作やドラッグ操作を行うことで、上述の待機時間の長さを入力する。なお、
図10の例ではスライドバーによって待機時間の設定を行う態様を例示したが、例えば選択ウィンドウを用いて待機時間の数値を複数候補の中から選択したり、数値入力ウィンドウを用いて待機時間の数値を直接入力するなどの他の態様によって待機時間の設定を行う構成でもよい。
【0081】
読取時間表示部51Dは、タグ情報読取制御の開始時刻、完了時刻、所要時間などの情報を表示する。
【0082】
読取状態表示部51Eは、タグ情報読取制御の状態に関する情報を表示する。
図10の例では、制御開始前の表示例であり、制御装置4がRFIDリーダ3と接続されていない状態であるので「未接続」と表示されている。また、読み取ったタグ数も「0」と表示されている。
【0083】
タグ情報表示部51Fは、タグ情報読取制御により読み取られたタグ情報の一覧を表示する。表示するタグ情報は、例えば各RFIDタグ6の識別情報の一例であるEPC(Electronic Product Code)を含む。また、RFIDリーダ3が複数のRFIDアンテナを備える構成の場合には、タグ情報を読み取ったアンテナの識別情報を表示することもできる。
図10の例では、制御開始前の表示例であるのでタグ情報は表示されていない。
【0084】
読取停止ボタン51Gは、タッチパネル5上で押下操作を行うことで、RFIDリーダ3によるタグ情報の読み取り動作が停止される。
【0085】
クリアボタン51Hは、タッチパネル5上で押下操作を行うことで、タグ情報表示部51Fに表示されているタグ情報や、読取時間表示部51Dに表示されている情報などを消去する。
【0086】
接続切断ボタン51Iは、タッチパネル5上で押下操作を行うことで、RFIDリーダ3と制御装置4との接続を切断する。
【0087】
図9のステップS01では、待機時間設定部41により待機時間が設定される。待機時間設定部41は、例えば
図10に示すタッチパネル5の操作画面51中の待機時間入力部51Cを用いて利用者により入力された待機時間の情報に基づいて、待機時間を設定することができる。
【0088】
ステップS02では、タグ読取制御部42によりタグ情報読取制御が開始される。タグ読取制御部42は、例えば
図10に示すタッチパネル5の操作画面51中の読取開始ボタン51Bが押下されることに応じて制御を開始する。このとき、タグ読取制御部42は、ステップS01にて設置された待機時間の情報を取得しており、この待機時間に基づき読取制御を実行する。
【0089】
ステップS03では、タグ読取制御部42によりRFIDリーダ3が起動される。
【0090】
ステップS04では、利用者により、
図1に示したように読取台2の読取領域23の範囲内に、読取対象の複数の本10A~10Dが載置される。これによりRFIDリーダ3は、複数の本10A~10Dに貼付されているRFIDタグ6A~6Dから情報ID1~ID4を読み取り可能な状態となる。
【0091】
ステップS05では、タグ読取制御部42により、RFIDリーダ3からタグ情報が取得される。例えば、RFIDタグ6A~6Dの中のいずれか1つから最初のタグ情報が取得されたタイミングで、表示制御部43により、操作画面51の読取時間表示部51Dの開始時刻が表示される。
【0092】
ステップS06では、タグ読取制御部42により、ステップS05にて取得されたタグ情報が新しいタグ情報であるか否かが判定される。タグ読取制御部42は、今回の制御フローにおいて既に取得されているタグ情報の中に、ステップS05にて取得されたタグ情報と同一のタグ情報が含まれていない場合に、新しいタグ情報を取得したものと判断できる。
【0093】
ステップS06にて新しいタグ情報を取得したと判定された場合(ステップS06のYES)、ステップS07にてタグ読取制御部42により、読取結果が更新される。ステップS07の処理では、表示制御部43により、更新された読取結果の情報に基づき、例えば操作画面51のタグ情報表示部51Fに新たに取得されたタグ情報が追加表示される。なお、ステップS07の実施時に、後述するように一旦ステップS06にて新しいタグ情報ではないと判定され(ステップS06のNO)、待機時間の計測が継続されている状態の場合には、待機時間は一旦リセットされる。
【0094】
ステップS07の処理の後はステップS05に戻り、新しいタグ情報が取得され続ける間はステップS05~S07の処理が繰り返される。また、この処理中には、表示制御部43により、操作画面51の読取状態表示部51Eには、例えば「読取中」などの状態情報が表示され、また、読み取ったタグ数の情報も適宜更新されて表示される。
【0095】
ステップS06にて新しいタグ情報ではないと判定された場合(ステップS06のNO)、ステップS08にてタグ読取制御部42により所定の待機時間が経過したか否かが判定される。本ステップで用いる待機時間とは、ステップS01にて設定された待機時間である。また、本ステップでは、ステップS06にて新しいタグ情報ではないと判定されたことをトリガとして、待機時間の計測が開始され、新しいタグ情報が取得されるまで待機時間が累積される。
【0096】
ステップS08にて待機時間をまだ経過していないと判定された場合(ステップS08のNO)、ステップS05に戻り、新しいタグ情報を取得しない状態が待機時間分経過するまでステップS05、S06、S08の処理が繰り返される。
【0097】
ステップS08にて待機時間を経過したと判定された場合(ステップS08のYES)、読取領域23上のすべてのRFIDタグ6A~6Dの読み取りが完了したもの、または、何らかの問題により読み取ることができないタグを除いて他のタグの読み取りは完了したものと判断して、ステップS09にてタグ読取制御部42によりRFIDリーダ3が停止される。また、例えば、RFIDリーダ3が停止されたタイミングで、表示制御部43により、操作画面51の読取時間表示部51Dの完了時刻、所要時間が表示される。
【0098】
ステップS10では、タグ読取制御部42により、タグ読取完了後の読取結果がタグ情報記憶部44に記録される。また、本ステップの処理時には、
図11に示すように、操作画面51のタグ情報表示部51Fには、読み取られたすべてのタグ情報が表示されている。また、表示制御部43により、操作画面51の読取状態表示部51Eには、例えば「停止中」などの状態情報が表示され、また、読み取ったタグ数の情報も最終的に読み取られたタグ数(
図11では106個)が表示されている。
【0099】
本実施形態に係る情報読取システム1のタグ情報読取制御に係る効果を説明する。本実施形態の情報読取システム1は、所定の読取領域23内に配置されるRFIDタグ6から情報を読み取るRFIDリーダ3と、RFIDリーダ3の動作を制御する制御装置4と、を備える。制御装置4は、RFIDリーダ3が新たなRFIDタグ6から情報を読み取らない期間を示す所定の待機時間を経過した後に、RFIDリーダ3の動作を停止する。
【0100】
この構成により、タグ情報読取制御の終了判定には上記の待機時間の情報のみを用いるので、RFIDリーダ3は、情報を読み取っていないタグがある間では、待機時間より早いタイミングで新たなRFIDタグ6を順次読み取ることが可能となる。これにより、新たなタグを読み取るまでに所定時間待機する必要がないので、電波を発砲する合計時間を短縮化することが可能となる。この結果、本実施形態の情報読取システム1は、複数のRFIDタグ6の読取の所要時間を短縮でき、タグ情報読取制御に要する消費電力を抑制できる。
【0101】
また、従来、RFIDリーダによるタグ情報の読み取りを自動停止するために、指定枚数読み取り後に停止させる手法がある。この手法では、何らかのトラブルにより読み取れないタグがある場合には、停止トリガに到達しないため、電波を発砲する時間がさらに長くなり、消費電力がさらに上がる状況が生じ得る。これに対して本実施形態では、上記の状況が生じても、待機時間経過後には、何らかの問題により読み取ることができないタグを除いて他のタグの読み取りは完了したものと判断してタグ情報読取制御を自動停止できる。これにより、無駄な電波を発砲する時間の長期化や消費電力の増加を防止できる。
【0102】
また、本実施形態の情報読取システム1では、制御装置4は、待機時間を変更可能である。例えば、
図10に示すタッチパネル5の操作画面51中の待機時間入力部51Cを用いて、利用者によって待機時間を変更可能であり、制御装置4の待機時間設定部41は待機時間入力部51Cによって適宜変更された入力情報に基づき待機時間を変更することができる。
【0103】
この構成により、読取対象の物品の種類や数などのさまざまな利用環境に応じて、タグ情報読取制御にとって適切な待機時間を設定することが可能となるので、利用環境に依存せずに情報読取システム1の読取精度を担保でき、システムの汎用性を向上できる。
【0104】
また、本実施形態の情報読取システム1では、複数のRFIDタグ6A~6Dがそれぞれ貼付される複数の物品(本10A~10D)が読取領域23に纏めて配置されて、タグ情報読取制御が実施される。本実施形態では、例えば
図1に示すように複数の本10A~10Dが読取領域23内に平積みされた状態でタグ読み取りが行われる。制御装置4は、
図9のステップS09に示したように、複数のRFIDタグ6A~6Dからの読取動作中に待機時間を経過した後に、RFIDリーダ3の動作を停止する。
【0105】
この構成により、利用者が平積みされた複数の本10A~10Dを読取領域23に置くだけで自動的に各本のRFIDタグ6A~6Dから情報ID1~ID4を取得することができるので、複数の本10A~10Dからの情報読取をより簡易に行うことが可能となる。
【0106】
<タグ情報読取制御の変形例>
上記実施形態では、
図1に示すように複数の本10A~10Dが平積みされた状態で読取領域23に載置されて、この状態で
図9に示したフローチャートの処理によって各本のRFIDタグ6A~6Dから纏めてタグ情報を読み取る制御を行った。しかし、
図9に示したタグ情報読取制御を利用して、平積みの本以外でも複数の本からのタグ情報読取を行うことも可能である。
【0107】
図12は、タグ情報読取制御の変形例を説明する模式図である。
図12に示すように、読取領域23の上を通過するように、例えばベルトコンベヤなどの搬送装置11を設置して、搬送装置11上で所定方向(例えばY方向)に複数の本を搬送し、各本が読取領域23を通過するときに該当の本のRFIDタグ6を読み取る構成としてもよい。この構成でも、
図9のフローチャートと同様の処理によって、所定の待機時間経過後に自動的にRFIDリーダ3を停止させることができる。
【0108】
例えば
図12に示すように、5冊の本10I、10J、10K、10L、10Mのタグ情報読取を行う場合を考える。
図12では、3番目の本10Kが読取領域23上を通過中であり、本10Kに貼付されているRFIDタグ6Kの情報IDをRFIDリーダ3が読み取っている。この場合、例えば5冊の本10I、10J、10K、10L、10Mの隙間部分の通過時間よりも待機時間を長く設定することにより、すべての本が通過するまでタグ読取制御を継続できる。そして、最後の5番目の本10Mが通過した後、所定の待機時間が経過した後に、RFIDリーダ3を停止してタグ情報読取制御を終了することができる。
【0109】
なお、
図12の例では搬送装置11上に一冊ずつ本10を並べて搬送する構成を例示したが、少なくとも一部に複数冊の本を平積みしても同様の制御を実施できる。
【0110】
このように
図12に示す変形例では、複数のRFIDタグ6I~6Mがそれぞれ貼付される複数の物品(本10I~10M)が読取領域23を順次通過されて、タグ情報読取制御が実施される。本実施形態では、例えば
図12に示すように複数の本10I~10Mが搬送装置11に所定間隔を取って載置されて、一冊ずつ読取領域23の上を通過させることでタグ読み取りが行われる。制御装置4は、複数のRFIDタグ6I~6Mからの読取動作中に待機時間を経過した後に、RFIDリーダ3の動作を停止する。
【0111】
この構成により、平積みできないほどの大量の本からタグ情報を読み取る場合でも、搬送装置11に各本10I~10Mを載置し続ける作業だけで、自動的に各本10I~10Mを読取領域23へ順次通過させ、各本10I~10MのRFIDタグ6I~6Mから情報IDを取得することができるので、複数の本10I~10Mからの情報読取をさらに簡易に行うことが可能となる。
【0112】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 情報読取システム
2 読取台
21 天板
21A 上面、載置面
21B 下面
23 読取領域
24 収容部
3 RFIDリーダ(読取装置)
31 アンテナ部
4 制御装置
6 RFIDタグ(無線タグ)
7 電波シールド材
7A 上面部分
71 開口部
8 遮蔽板
8C 傾斜壁(周壁)
10 本(物品)