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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048043
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ステアリングスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/08 20060101AFI20240401BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20240401BHJP
   H01H 89/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B62D1/08
H01H36/00 V
H01H89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153873
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】荒品 一磨
(72)【発明者】
【氏名】石井 陽二
【テーマコード(参考)】
3D030
5G046
5G052
【Fターム(参考)】
3D030DB13
3D030DB17
5G046AA02
5G046AB01
5G046AC23
5G046AD02
5G046AE05
5G052AA14
5G052BB01
5G052BB10
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールを手で把持した際、その手の位置に関わらず、把持状態を正確に検出することができるステアリングスイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ステアリングスイッチ装置1は、ステアリング9に設けられ、車両の装備品の駆動を操作可能なスイッチ部2と、スイッチ部2が収容されるスイッチケース3と、スイッチケース3に設けられ、ステアリングホイール92への人の手の接近を静電容量の変化によって検出するセンサ4とを備える。センサ4の電極5は、スイッチケース3における車両幅方向に沿った部位に設けられる第1部位51と、スイッチケース3において車両幅方向およびステアリングホイール92の回転軸方向に直交する方向に沿った部位に設けられる第2部位52とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングに設けられ、車両の装備品の駆動を操作可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部が収容されるスイッチケースと、
前記スイッチケースに設けられ、前記ステアリングホイールへの人の手の接近を静電容量の変化によって検出するセンサと、を備え、
前記センサの電極は、前記スイッチケースにおける前記車両幅方向に沿った部位に設けられる第1部位と、前記スイッチケースにおいて前記車両幅方向および前記ステアリングホイールの回転軸方向に直交する方向に沿った部位に設けられる第2部位とを有する、ステアリングスイッチ装置。
【請求項2】
前記電極は、板状をなし、
前記第1部位および前記第2部位の大きさは、前記ステアリングホイールとの離間距離に比例して、前記第1部位および前記第2部位の幅および厚さのうちの少なくとも1つが増大する、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項3】
前記第1部位の大きさは、前記第2部位の大きさよりも大きく形成されている、請求項2に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項4】
前記電極は、前記第1部位の前記ステアリングホイール内側端部から延在する第3部位を有し、
前記第3部位は、前記第1部位および前記第2部位の大きさと異なる、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項5】
前記電極は、前記第3部位が前記第1部位および前記第2部位よりも大きく形成された、請求項4に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチケースは、電気回路を有する基板を収容し、
前記電極は、1本または複数の導電体で形成され、一の前記導電体が前記基板と接続される接続部を有する、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項7】
1本の前記導電体で形成された前記接続部は、前記第1部位または前記第2部位の一部を前記スイッチ部側に折り曲げて形成される、前記基板に導通可能な突出部を有する、請求項6に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項8】
複数の前記導電体で形成された前記接続部は、前記第1部位および前記第2部位の一部を前記スイッチ部側に折り曲げて形成される、前記基板に導通可能な突出部を有する、請求項6に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項9】
前記電極は、前記スイッチケースの側面に配置された、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項10】
前記電極は、前記スイッチケースの側面に対向して配置された、請求項9に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項11】
前記電極は、樹脂材によって覆われ、前記スイッチケースに収容される、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【請求項12】
前記ステアリングスイッチ装置は、前記ステアリングホイールの人の手による把持状態を検出可能な装置である、請求項1に記載のステアリングスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアハンドルには、人の接近の有無、すなわち、人の手によってドアハンドルが把持されたか否かを人の手の接近に伴う静電容量の変化によって検出するセンサが内蔵されたものがある。このようなドアハンドルとして、特許文献1、特許文献2が開示されている。特許文献1に記載の発明は、ハンドル主部材とハンドル主部材の裏側に配置されたハンドルカバーとを有するドアハンドル本体と、ハンドル主部材とハンドルカバーとの間に配置され、静電容量の変化を検出するための検出電極を有するセンサ本体とを備える。この特許文献1に記載の発明では、ハンドルカバーが導電性を有することにより、検出電極における静電容量の変化の検出範囲を拡大することができる。特許文献2に記載の発明は、ドアハンドルと、ドアハンドル内に設けられ、静電容量の変化を検出するためのセンサ電極とを備える。この特許文献2に記載の発明では、センサ電極は、長尺状をなし、その長手方向に沿ってスリットが形成されている、すなわち、音叉状をなす部材で構成されている。このような形状により、ドアハンドルに設けられたアンテナとの電波干渉を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-249672号公報
【特許文献2】特許第3714129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、導電性を有するハンドルカバーにより検出範囲を拡大することができるが、ハンドルカバーを組み付けるためハンドル主部材との隙間が生じ、その隙間から塵埃等が内部へ侵入する恐れがあり、侵入した塵埃によってセンサ本体が劣化する恐れがある。また、特許文献2に記載の発明では、ドアハンドルを把持する人の手の位置によって静電容量の変化代が変わることは考慮されていない。したがって、人の手によってドアハンドルが把持されたか否かの判定を正確に行えないことがある。
【0005】
本発明は、ステアリングホイールを手で把持した際、その手の位置に関わらず、把持状態を正確に検出することができるステアリングスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のステアリングスイッチ装置は、ステアリングに設けられ、車両の装備品の駆動を操作可能なスイッチ部と、前記スイッチ部が収容されるスイッチケースと、前記スイッチケースに設けられ、前記ステアリングホイールへの人の手の接近を静電容量の変化によって検出するセンサと、を備え、前記センサの電極は、前記スイッチケースにおける前記車両幅方向に沿った部位に設けられる第1部位と、前記スイッチケースにおいて前記車両幅方向および前記ステアリングホイールの回転軸方向に直交する方向に沿った部位に設けられる第2部位とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステアリングホイールを手で把持した際、その手の位置に関わらず、把持状態を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るステアリングスイッチ装置が搭載されたステアリングの正面図である。
図2図1に示すステアリングスイッチ装置が有するセンサのブロック図である。
図3図1に示すステアリングスイッチ装置(図1中の二点鎖線で囲まれた領域Aの内部構造)の分解斜視図である。
図4図3中の矢印B方向からセンサの電極を見たとき図である。
図5図1中のC-C線断面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るステアリングスイッチ装置が有するセンサの電極の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図4を参照して、第1実施形態について説明する。図1に示すように、ステアリングスイッチ装置1は、車両のステアリング9に搭載され、車両のECU(不図示)と電気的に接続可能となっている。なお、車両には、例えば、乗用車やバス、トラック等の普通自動車、小型乗用車や小型トラック等の小型自動車、軽自動車や軽トラック等の軽自動車、ロードローラやブルドーザー等の大型特殊自動車、農耕用トラクタやフォークリフト等の小型特殊自動車等が含まれる。ステアリング9は、車両の運転手(運転者)から見て左に向けて突出するステアリングスポーク91Lと、右に向けて突出するステアリングスポーク91Rと、下に向けて突出するステアリングスポーク91Cとを備える。また、ステアリング9は、ステアリングコラム(図示せず)と略同心に、ステアリングスポーク91L、ステアリングスポーク91R、ステアリングスポーク91Cの各端部に連結された円形のステアリングホイール(リム)92を備える。車両の運転手は、ステアリングホイール92を操作することにより、車両の進行方向を転換することができる。ステアリングスポーク91Lとステアリングスポーク91Rとの間には、ホーンパッド93が設けられている。ホーンパッド93は、ステアリング9の回転中心と重なる位置に配置されている。
【0011】
ステアリングスイッチ装置1は、運転手(人)が左手HLおよび右手HRでステアリングホイール92を把持した際、その把持状態を検出可能な装置である。例えば左手HLおよび右手HRの双方の手がステアリングホイール92から離れている場合には、ステアリングスイッチ装置1は、ステアリングホイール92が把持されていないとして、その旨の信号をECUに送信することができる。これにより、前記ECUは、必要に応じてトルクセンサ等の操舵に関する検出部材の検出結果と併せて判断することで「手放し運転」を報知する制御が可能となる。この報知により、運転手は、ステアリングホイール92をあらためて把持することができる。
【0012】
図1図3に示すように、ステアリングスイッチ装置1は、車両の装備品の駆動を操作可能なスイッチ部2と、スイッチ部2が収容されるスイッチケース3と、スイッチケース3に設けられたセンサ4とを備える。スイッチ部2、スイッチケース3、センサ4は、ホーンパッド93を介して左右一対配置されている。左側のスイッチ部2は、左手HLの指(例えば親指)で操作され、右側のスイッチ部2は、右手HRの指(例えば親指)で操作される。左側のセンサ4は、左手HLの把持状態を検出するセンサであり、右側のセンサ4は、右手HRの把持状態を検出するセンサである。以下では、左右のうちの、左側のスイッチ部2、スイッチケース3、センサ4について代表的に説明する。
【0013】
図1に示すように、スイッチ部2は、ステアリング9のステアリングスポーク91Lに設けられている。図3に示すように、本実施形態では、スイッチ部2は、複数のボタン21(またはレバー)を有するボタン群で構成されている。これらのボタン21のいずれかを操作することにより、例えば、再生中の音楽の曲送り、音楽等の音量(ボリューム)調整、ミュート切替、AM、FM、TV等の音源の切替(ソース変更)、クルーズコントロールモードの切替等の運転モード切替等が実行される。
【0014】
図3に示すように、スイッチケース3は、中空のケース本体31と、ケース本体31を図中の下側から覆う板状の蓋部材32とを有する。ケース本体31からは、図3中の上側に向かって各ボタン21が露出している。これにより、運転手は、各ボタン21を操作することができる。本実施形態では、蓋部材32は、その縁部に形成された複数の凸部(爪部)321を有し、ケース本体31は、各凸部321に係合する凹部311を有する。これにより、蓋部材32は、ケース本体31に装着され、ケース本体31を図3中の下側から覆うことができる。そして、ケース本体31と蓋部材32とで囲まれた空間には、センサ4も収容される。これにより、例えばセンサ4(特に電極5)を塵埃または水分から保護することができる。なお、ケース本体31、蓋部材32の構成材料としては、例えば、硬質の樹脂材料(樹脂材)を用いるのが好ましい。
【0015】
センサ4は、ステアリングホイール92への左手HLの接近を静電容量の変化によって検出する静電容量型近接センサである。図2図3に示すように、センサ4は、電極5と、回路基板(基板)6と、カバーシート7とを有する。
【0016】
電極5は、スイッチケース3の内側に設けられる。また、図5で示すように、スイッチケース3は、ボタン21および基板6を有する操作エリア30Aと、電極5が配置される電極エリア30Bとに分けられている。操作エリア30Aと電極エリア30Bとの間には、第一壁部312が設けられている。電極5は、第一壁部312に沿って配置され、その外側から第二壁部313に覆われている。ボタン21と電極5とは、設けられるエリアが異なるので、ボタン21の自由な配置を妨げることがない。さらに電極5が第一壁部312に沿って設けられることで、ステアリングホイール92を把持する左手HLに電極5が対向するので高い検出精度を確保することができる。
【0017】
図5に示す実施形態では、操作エリア30Aの周囲において、第一壁部312と第二壁部313との間に空隙が設けられ、その空隙に電極5が収容されるようになっている。本実施形態に代えて、電極5をスイッチケース3に一体となるようにインサート成形することもでき、この場合は電極5よりもスイッチ部2側の樹脂部が第一壁部312となり、ステアリングホイール92側の樹脂部が第二壁部313となる。
【0018】
回路基板6は、例えば本実施形態では、電気回路である発振回路61、検出回路62および出力回路63を有する(図2参照)。発振回路61は、電極5と電気的に接続されており、高周波により電極5に電界を発生させる。検出回路62は、左手HLの接近に応じた発振回路61の発振周波数の変化を検出する。出力回路63は、検出回路62での検出結果を出力して、前記ECUに送信する。このような構成のセンサ4では、電極5の電界、すなわち、検出領域に左手HLが存在しない場合には、発振回路61の発振周波数に変化はない。一方、電極5の電界に左手HLが進入した場合には、電界の影響によって左手HLに分極が生じて、左手HLには負電位が発生する、すなわち、負の電荷が偏在して貯まる。これに伴って、電極5には、正の電荷が偏在して貯まることとなる。これにより、静電容量が増加して、発振回路61の発振周波数が変化する。検出回路62は、この発振周波数の変化を検出することができる。そして、検出回路62での検出結果が左手HLの検出として、出力回路63から出力される。
【0019】
図3に示すように、カバーシート7は、例えばゴム材等の防水性または絶縁性を有する材料で構成され、回路基板6を図中の上側から覆って回路基板6を保護することができる。
【0020】
センサ4では、左手HLがステアリングホイール92を把持する位置に応じて、左手HLと電極5との距離が変化することとなる。例えば、図1に示すようにクロックポジションで9時の方向に左手HLが位置している場合よりも、7時または8時の方向に左手HLが位置している場合の方が、左手HLと電極5との距離が長い、すなわち、左手HLが電極5から遠くなる。そして、左手HLが電極5から遠くなることにより、左手HLに作用する電極5の電界の強さが弱くなるため、左手HLに生じる分極も小さくなる。また、左手HLに生じる分極が小さくなることにより、電極5に偏在する負の電荷が減少して、電極5での正の電荷の増加量も減ることとなり、その結果、発振回路61の発振周波数の変化も小さくなる。例えば変化後の発振周波数が閾値(所定値)を越えた場合に電界へ左手HLが進入したと判定する構成としたならば、発振周波数の変化が小さい場合には、電界へ左手HLが進入したと判定しにくくなる、すなわち、感度が低下するという課題が生じる。
【0021】
そこで、センサ4では、このような課題を解決可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0022】
図3図4に示す電極5は、ステアリングホイール92への左手HLの接近に応じて静電容量に変化が生じる検出用電極である。電極5は、1本の導電体で形成されている。本実施形態では、電極5は、厚さt5が一定の長尺な板状をなす金属部材を、屈曲または湾曲して形成されたものである。電極5を構成する金属材料としては、特に限定されず、例えば、銅、鉄等が挙げられる。また、電極5は、本実施形態では1本の導電体で形成されているが、これに限定されず、例えば、複数の導電体で形成されていてもよい。また、電極5は、可撓性を有するフレキシブル電極であってもよい。また、電極5は、インサート成形によって樹脂材料で覆われた状態となっていてもよい。図3図4に示すように、電極5は、第1部位51、第2部位52を有し、さらに第3部位53を有する。電極5は、第1部位51および第2部位52以外の部位を有することにより更なる広範囲の検出を行うことができる。
【0023】
本実施形態では、一つの電極5において第1部位51は、一対設けられている。以下、これらの第1部位51のうちの一方(図3の紙面手前側、図4中の下側)の第1部位51を「第1部位51A」と言い、他方(図3の紙面奥側、図4中の上側)の第1部位51を「第1部位51B」と言う。第1部位51Aおよび第1部位51Bは、それぞれ、電極5の中で、スイッチケース3における車両の幅方向(図4中の左右方向)に沿った部位に設けられている。なお、第1部位51Aおよび第1部位51Bは、それぞれ、図4に示すように全体としてほぼ直線状に形成されていてもよいが、一部に屈曲または湾曲した部分を有していてもよい。
【0024】
第2部位52は、電極5の中で、スイッチケース3において車両の幅方向およびステアリングホイール92の回転軸方向に直交する方向(図4中の上下方向)に沿った部位に設けられており、本実施形態ではクロックポジションで9時の方向に位置している。第2部位52は、第1部位51Aのステアリングホイール92の外側端部(図4中の左端部)と、第1部位51Bのステアリングホイール92の外側端部(図4中の左端部)とにつながる。なお、第2部位52は、図4に示すように全体としてほぼ直線状に形成されていてもよいが、一部に屈曲または湾曲した部分を有していてもよい。
【0025】
本実施形態では、第3部位53は、一対設けられている。以下、これらの第3部位53のうちの一方(図3の紙面手前側、図4中の下側)の第3部位53を「第3部位53A」と言い、他方(図3の紙面奥側、図4中の上側)の第3部位53を「第3部位53B」と言う。第3部位53Aは、電極5の中で、第1部位51Aのステアリングホイール92の内側端部(図4中の右端部)から延在して設けられている。第3部位53Bは、電極5の中で、第1部位51Bのステアリングホイール92の内側端部(図4中の左端部)から延在して設けられている。第3部位53Aと第3部位53Bとは、互いの間隔がステアリングホイール92の内側に向かって漸増するように延在している。なお、第3部位53Aおよび第3部位53Bは、それぞれ、図4に示すように全体としてほぼ直線状に形成されていてもよいが、一部に屈曲または湾曲した部分を有していてもよい。
【0026】
電極5では、第1部位51Aおよび第1部位51B、第2部位52、第3部位53Aおよび第3部位53Bのうち、第2部位52がステアリングホイール92から最も近い。次いで、第1部位51Aおよび第1部位51Bがステアリングホイール92に近い。第3部位53Aおよび第3部位53Bは、ステアリングホイール92から最も遠い。そして、第1部位51Aおよび第1部位51Bと、第2部位52と、第3部位53Aおよび第3部位53Bとは、ステアリングホイール92との離間距離に比例して、大きさが増大する(異なる)。本実施形態では幅が増大する。すなわち、第1部位51Aおよび第1部位51Bの幅をそれぞれ幅W51(図3参照)とし、第2部位52の幅を幅W52(図3参照)とし、第3部位53Aおよび第3部位53Bの幅をそれぞれ幅W53(図3参照)としたとき、以下の大小関係を満足する。ステアリングホイール92から最も近い(離間距離最小の)第2部位52の幅W52が最小となり、ステアリングホイール92から最も遠い(離間距離最大の)第3部位53Aおよび第3部位53Bの各幅W53が最大となり、第1部位51Aおよび第1部位51Bの各幅W51が幅W52と幅W53との間の大きさとなる。
【0027】
ところで、一般的には静電容量は、電極5が大きいほど、すなわち、幅が大きいほど増大する。したがって、ステアリングホイール92から遠くなればなるほど、電極5の幅を大きくすれば、電極5での静電容量も増大する。前述たように電極5では、ステアリングホイール92から最も近い第2部位52の幅W52が最小となり、ステアリングホイール92から最も遠い第3部位53Aおよび第3部位53Bの各幅W53が最大となり、第1部位51Aおよび第1部位51Bの各幅W51が幅W52と幅W53との間の大きさとなる。
【0028】
そして、幅W52の第2部位52は、クロックポジションでステアリングホイール92の9時の方向に左手HLが位置しているとき、すなわち、ステアリングホイール92を把持した左手HLが最も接近した位置での静電容量の検出を行うことができる。
【0029】
幅W52に次いで大きい幅W51の第1部位51Aは、クロックポジションでステアリングホイール92の8時の方向に左手HLが位置しているとき、すなわち、9時の方向よりも遠い左手HLが位置しているときの静電容量の検出を行うことができる。第1部位51Aと同様に、幅W51の第1部位51Bは、クロックポジションでステアリングホイール92の10時の方向に左手HLが位置しているとき、すなわち、9時の方向よりも遠い左手HLが位置しているときの静電容量の検出を行うことができる。
【0030】
幅W51に次いで大きい幅W53の第3部位53Aは、クロックポジションでステアリングホイール92の7時の方向に左手HLが位置しているとき、すなわち、8時の方向よりも遠い左手HLが位置しているときの静電容量の検出を行うことができる。第3部位53Aと同様に、幅W53の第3部位53Bは、クロックポジションでステアリングホイール92の11時の方向に左手HLが位置しているとき、すなわち、10時の方向よりも遠い左手HLが位置しているときの静電容量の検出を行うことができる。
【0031】
以上のような構成により、ステアリングホイール92を左手HLで把持した際、その左手HLの位置によっては、当該左手HLが電極5から遠くなって電極5での静電容量の増加分が少なくなるが、その分を、電極5の幅を増加させることによって補完することができる。これにより、ステアリングホイール92を左手HLで把持した際、その左手HLの位置に関わらず、発振回路61の発振周波数の変化を顕著に生じさせることができる。そして、変化後の発振周波数が前記閾値を越えた場合に、電界へ左手HLが進入したこと、すなわち、ステアリングホイール92が左手HLで把持された状態となったことを正確に検出することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、電極5は、第1部位51Aおよび第3部位53Aと、第1部位51Bおよび第3部位53Bとを有するが、これに限定されない。例えば、電極5は、第1部位51Aおよび第3部位53Aが省略されていてもよいし、第1部位51Bおよび第3部位53Bが省略されていてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、第1部位51Aおよび第1部位51Bと、第2部位52と、第3部位53Aおよび第3部位53Bとは、ステアリングホイール92との離間距離に比例して、幅が増大するが、これに限定されない。例えば、第1部位51Aおよび第1部位51Bと、第2部位52と、第3部位53Aおよび第3部位53Bとは、ステアリングホイール92との離間距離に比例して、厚さが増大してもよいし、幅および厚さの双方が増大してもよい。
【0034】
また、第1部位51Aおよび第1部位51Bは、全長が同じであってもよいし、異なっていてもよい。第3部位53Aおよび第3部位53Bは、全長が同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1部位51Aおよび第1部位51Bと、第2部位52と、第3部位53Aおよび第3部位53Bとは、全長が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
図3に示すように、電極5(導電体)は、回路基板6と接続される接続部54を有する。接続部54は、第2部位52の長手方向の途中の一部をスイッチ部2側、すなわち、ステアリングホイール92の中心側に折り曲げて突出して形成される突出部である。また、回路基板6は、導電性を有する弾性体41を介して、接続部54と接続される端子64を有する。弾性体41は、円盤状をなし、接続部54と端子64との間で圧縮状態となる。これにより、電極5と回路基板6とを互いに十分に導通可能に接続することができる。また、電極5と回路基板6とを、例えばハーネス(図示せず)等の導電性の別部材を用いずに、電極5の一部である接続部54を介して接続することで、静電容量への別部材に起因するノイズ影響を低減することができる。
【0036】
なお、接続部54は、本実施形態では第2部位52に突出形成されているが、これに限定されず、第1部位51に突出形成されていてもよい。また、接続部54は、本実施形態ではスイッチ部2側に向かって折り曲げてなる部分であるが、これに限定されず、例えば、スイッチ部2側と反対側、すなわち、ステアリングホイール92の外側に向かって折り曲げてなる部分であってもよい。
【0037】
なお、図3図4に示すように、電極5の幅は、各部位においてステアリングホイール92からの最大離間距離を有する箇所、つまりステアリングホイール92から最も離れた箇所の静電容量検出エリアがステアリングホイール92の外側まで広がるように設定される。
【0038】
具体的には、第1部位51Aおよび51Bにおけるステアリングホイール92から最も離れた箇所、つまりステリングホイール92に向かう垂線が最も長くなる箇所は、第1部位51Aおよび51Bにおけるステアリング9の幅方向内側の端部511Aおよび511Bである。第2部位52におけるステアリングホイール92から最も離れた箇所は、第2部位52における第1部位51B側の端部521である。第3部位53Aおよび53Bにおけるステアリングホイール92から最も離れた箇所は、第3部位53Aおよび53Bにおけるステアリング92の幅方向内側の端部531Aおよび531Bである。これにより、電極5における端部511A、511B、521、531A、531Bの各幅は、各端部における静電容量検出エリアがステアリングホイール92の外側まで広がるように設定されている。
【0039】
さらに第1部位51の幅として端部511Aおよび511Bの幅を適用することで、第1部位51全体の静電容量検出エリアAR1がステアリングホイール92の10時および8時周辺の径方向外側までカバーすることができるようになる。
【0040】
第2部位52の幅として端部521の幅を適用することで、第2部位52全体の静電容量検出エリアAR2がステアリングホイール92の9時周辺の径方向外側までカバーすることができるようになる。
【0041】
第3部位53の幅として端部531Aおよび531Bの幅を適用することで、第3部位53全体の静電容量検出エリアAR3がステアリングホイール92の11時および7時の径方向外側までカバーすることができるようになる。
【0042】
<第2実施形態>
以下、図6を参照して、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0043】
図6に示すように、本実施形態では、電極5は、第1部材55、第2部材56、第3部材57、第4部材58で構成され、これらの部材を別々に基板に接続して組み立てた組立体である。第1部材55は、接続後第1部位51Aの部分を担う部材である。第2部材56は、接続後第2部位52の部分を担う部材である。第3部材57は、接続後第3部位53Aの部分を担う部材である。第4部材58は、接続後第1部位51Bおよび第3部位53Bの部分を担う部材である。なお、部材同士を連結し組み付けるでもよく、その連結方法としては、特に限定されず、例えば、接着による方法等が挙げられる。このように電極5が第1部材55~第4部材58で構成されていることにより、例えば各部材の厚さを異ならせることができる。この場合、ステアリングホイール92との離間距離に比例して、各部材の厚さを増大させることができる。これにより、ステアリングホイール92との離間距離に比例して各部材の幅が増大するのに相まって、ステアリングホイール92に対する左手HLの位置に関わらず、発振回路61の発振周波数の変化をより顕著に生じさせることができる。その結果、ステアリングホイール92が左手HLで把持された状態となったことをより正確に検出することができる。また、各部材の構成材料を異ならせることもできる。この場合、ステアリングホイール92との離間距離に比例して、各部材の構成材料に、静電容量が増加し易い材料を用いることができる。これにより、前記と同様に、各部材の幅が増大するのに相まって、ステアリングホイール92に対する左手HLの位置に関わらず、発振回路61の発振周波数の変化をより顕著に生じさせることができ、よって、把持状態をより正確に検出することができる。
【0044】
第1部材55は、回路基板6と接続される接続部551を有する。接続部551は、第1部材55の長手方向の途中の一部をスイッチ部2側に折り曲げて突出して形成される突出部である。第3部材57は、回路基板6と接続される接続部571を有する。接続部571は、第3部材57の図6中の左端部をスイッチ部2側に折り曲げて突出して形成される突出部である。第4部材58は、回路基板6と接続される接続部581を有する。接続部581は、第4部材58の長手方向の途中の一部をスイッチ部2側に折り曲げて突出して形成される突出部である。なお、接続部581は、第1部位51Bに形成されているが、これに限定されず、第3部位53Bに形成されていてもよいし、第1部位51Bと第3部位53Bとの間に形成されていてもよい。
【0045】
電極5は、本実施形態では組立後に第1部位51Bおよび第3部位53Bとなる第4部材58を有するが、これに限定されず、例えば、組立後に第1部位51Bとなる部材と、第3部位53Bとなる部材とを有する構成となっていてもよい。この場合、各部材は、回路基板6と接続される接続部を有することとなる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ステアリングスイッチ装置
2 スイッチ部
4 センサ(静電容量型近接センサ)
5 電極
9 ステアリング
51 第1部位
52 第2部位
53 第3部位
54 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6