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  • 特開-トンネル覆工背面空洞の充填確認方法 図1
  • 特開-トンネル覆工背面空洞の充填確認方法 図2
  • 特開-トンネル覆工背面空洞の充填確認方法 図3
  • 特開-トンネル覆工背面空洞の充填確認方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048045
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】トンネル覆工背面空洞の充填確認方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E21D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153877
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀巳
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘栄
(72)【発明者】
【氏名】國廣 一弥
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155JA02
2D155JA05
(57)【要約】
【課題】
トンネル覆工背面空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に確認することができるトンネル覆工背面空洞の充填確認方法を提供する。
【解決手段】
トンネル覆工背面の空洞に発泡ウレタンを充填するにあたり、
トンネル覆工に、該空洞に通ずる複数の注入孔と複数の充填確認孔を設け、
前記充填確認孔に触覚スイッチを装入し、
前記注入孔から該空洞に注入された発泡ウレタン液が発泡硬化した発泡ウレタンが前記触覚スイッチに触れたとき、該触覚スイッチが作動して発信される検知信号を受信装置で受信することにより、該空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを確認することを特徴とするトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工背面の空洞に発泡ウレタンを充填するにあたり、
トンネル覆工に、該空洞に通ずる複数の注入孔と複数の充填確認孔を設け、
前記充填確認孔に触覚スイッチを装入し、
前記注入孔から該空洞に注入された発泡ウレタン液が発泡硬化した発泡ウレタンが前記触覚スイッチに触れたとき、該触覚スイッチが作動して発信される検知信号を受信装置で受信することにより、該空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを確認することを特徴とするトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【請求項2】
前記触覚スイッチは、前記受信装置と配線を通じて接続され、該配線は、前記充填確認孔に挿入された保護管に挿通され、そして前記触覚スイッチは該保護管の上端部に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【請求項3】
前記触覚スイッチは、前記検知信号を発信するスイッチ機構を作動させるプランジャと、前記発泡ウレタンが接触したとき傾動又は軸方向に移動し、該プランジャを作動させるアクチュエータとを含み、該アクチュエータは、その先端部にワーク検出子を備えることを特徴とする請求項2に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【請求項4】
前記ワーク検出子が螺旋状の部位を含むものであることを特徴とする請求項3に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【請求項5】
前記触覚スイッチが0.05N乃至1.96Nの力で作動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル覆工背面空洞の充填確認方法に関する。詳しくは、本発明は触覚スイッチを用いてトンネル覆工背面空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に確認することができるトンネル覆工背面空洞の充填確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「笹子トンネル天井板崩落事故」等により、土木構造物の老朽化問題が注目されている。高度経済成長期である1960年代乃至1970年代から道路トンネルの建設本数は急増しており、建設後50年以上経過した道路トンネルが、現在は20%であるが10年後には34%、20年後には50%に急増する見込みである。今後これらの老朽化したトンネルを定期的に点検・診断し、適宜対策していくことが求められている。
高度経済成長期に山岳トンネルで主に使用されていた矢板工法(在来工法)では、覆工背面に空洞が残ることが多く、地盤条件によってはこの空洞が原因で、地震や豪雨等により地山の突発性崩壊が発生し、トンネルの損傷や事故につながる可能性がある。
現存する国内の道路トンネル約11,000本(総延長距離5,100km)のうち約半数は矢板工法によるトンネルと推定され、鉄道トンネルや水路トンネルにおいても多くの矢板工法によるトンネルが現存すると考えられる。
【0003】
そこで、トンネル覆工背面の空洞をセメント系又は非セメント系の充填材を用いて裏込め補修する方法が種々提案されており、特に施工性に優れる等の観点から非セメント系の充填材として発泡ウレタンを用いる方法が提案されている(特許文献1及び特許文献2等を参照)。
【0004】
特許文献1に記載の施工管理方法では、トンネルなどの地中構造物の上方に発生した空隙に発泡ウレタンを充填する際、発泡ウレタンの充填状態を感知するために熱電対を空隙上部に位置させておき、充填材の発泡時の発熱を感知することで、空隙の上部まで発泡ウレタンが充填されたことを確認する方法が提案されている。
特許文献2に記載のトンネル裏込め用の充填装置及び充填方法では、セメントモルタルや発泡ウレタンの充填状態を感知するため、電圧検知センサや圧力検知センサをトンネル覆工の略頂部に穿孔された確認孔に挿入して該トンネル覆工の頂部及び略天端に取り付けておき、覆工裏側の空洞が注入材で満たされたことを確認する方法が提案されている。特に発泡ウレタンのように、電圧検知センサでは検知できない充填材を使用する場合は、発泡による圧力を検知する圧力検知センサを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-41697号公報
【特許文献2】特開2000-230393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、完全に充填された状態を示すと想定される熱(温度)や圧力などの閾値を予め設定する必要があり、充填確認方法としては、不確実なものであった。特に特許文献2に記載の圧力検知センサを用いた充填方法では、発泡ウレタンはセメントモルタルと比べて軽量であるため、センサーにかかる圧力が小さく、圧力センサーでは検知できない可能性があった。
したがって、トンネル覆工背面空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に
確認することができるトンネル覆工背面空洞の充填確認方法の開発が求められている。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、トンネル覆工背面空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に確認することができるトンネル覆工背面空洞の充填確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題解決を目標に鋭意検討した結果、トンネル覆工背面の空洞に発泡ウレタンを充填するにあたり、トンネル覆工に、該空洞に通ずる複数の注入孔と複数の充填確認孔を設け、前記充填確認孔に触覚スイッチを装入し、前記注入孔から該空洞に注入された発泡ウレタン液が発泡硬化した発泡ウレタンが前記触覚スイッチに触れたとき、該触覚スイッチが作動して発信される検知信号を受信装置で受信するという充填確認方法が、発泡ウレタンのような軽量で抵抗が少ない注入材でも検知が可能であるとともに、熱検知方式に比べて所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に確認することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、
[1]トンネル覆工背面の空洞に発泡ウレタンを充填するにあたり、
トンネル覆工に、該空洞に通ずる複数の注入孔と複数の充填確認孔を設け、
前記充填確認孔に触覚スイッチを装入し、
前記注入孔から該空洞に注入された発泡ウレタン液が発泡硬化した発泡ウレタンが前記触覚スイッチに触れたとき、該触覚スイッチが作動して発信される検知信号を受信装置で受信することにより、該空洞に所望量の発泡ウレタンが充填されたことを確認することを特徴とするトンネル覆工背面空洞の充填確認方法、
[2]前記触覚スイッチは、前記受信装置と配線を通じて接続され、該配線は、前記充填確認孔に挿入された保護管に挿通され、そして前記触覚スイッチは該保護管の上端部に設置されていることを特徴とする[1]に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法、
[3]前記触覚スイッチは、前記検知信号を発信するスイッチ機構を作動させるプランジャと、前記発泡ウレタンが接触したとき傾動又は軸方向に移動し、該プランジャを作動させるアクチュエータとを含み、該アクチュエータは、その先端部にワーク検出子を備えることを特徴とする[2]に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法、
[4]前記ワーク検出子が螺旋状の部位を含むものであることを特徴とする[3]に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法、
[5]前記触覚スイッチが0.05N乃至1.96Nの力で作動することを特徴とする[1]乃至[4]のうち何れか一に記載のトンネル覆工背面空洞の充填確認方法
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱検知方式及び圧力検知方式に比べて所望量の発泡ウレタンが充填されたことを正確に確認することができるトンネル覆工背面空洞の充填確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法の模式断面図である。(b)は、本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法をトンネル内部から見た模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法において発泡ウレタン8が触覚スイッチ14を作動させる様子を説明するための模式図であって、(a)は、注入管11から発泡ウレタン液9が注入され、液溜まりができた様子を示す模式図であり、(b)は、発泡ウレタン液9が発泡して発泡ウレタン8になり、触覚スイッチ14側に移動し充填される様子を示す模式図であり、(c)は、発泡ウレタン8が触覚スイッチ14に接触して作動させる様子を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法において使用される触覚スイッチ14の動作を説明するための模式図であって、(a)は、触覚スイッチ14に発泡ウレタン8が触れる前の模式断面図であり、(b)は、触覚スイッチ14に発泡ウレタン8が触れることで検知信号を受信装置16に送るスイッチ機構141が作動する際の模式断面図である。
図4】触覚スイッチ14のワーク検出子144の構造を示す分解組立図であって、(a)は、ワーク検出子144が螺旋状の部位145を含むものであり、(b)は、ワーク検出子144が円錐形のものであり、(c)は、ワーク検出子144が半球形のものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施形態に基づき図面を用いて具体的に説明する。図面は模式的なものであり、各要素の寸法の相対関係などは、現実のものとは異なる場合がある。また、下記の実施形態は本発明を限定するものではなく、要旨構成の範囲内で適宜変更することは、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0013】
以下、本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法および該方法に用いる器具を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法に用いる器具等を示している。
【0015】
図1に示すように、トンネル覆工2には、トンネル内部とトンネル覆工2の背面4の空洞6とが連通するように注入孔10と充填確認孔12が設けられている。注入孔10には、注入管11等を備える注入器具が装設され、充填確認孔12には触覚スイッチ14等を備える充填確認器具が装設されている。なお、図1において、注入孔10と充填確認孔12は便宜上一組のみ載せている。
【0016】
矢板工法で建設されたトンネル覆工2の背面4には、該背面4の一部、或いは全面に亘って空洞6が存在し、特にトンネルアーチの天端部には、他の部分に比べても通常大きな空洞が生じている。空洞6においてトンネル覆工2の背面4から地山3までの距離(空洞6の深さ)は、トンネルの規模等によって一定ではないが、通常0.15m乃至0.3m程度あり、特に、天端部では、0.5mを超えることもある。空洞6の深さが0.5mを超える箇所は、例えば追加注入孔をさらに設けることで、発泡ウレタン8をより隙間なく充填することができる。
【0017】
実施形態1では、図1において、複数ある注入孔10及び充填確認孔12の一組が示されているが、注入孔10及び充填確認孔12の数が同じ数であっても異なる数であってもよい。注入孔10及び充填確認孔12の数は、例えば5個乃至40個程度などトンネルの規模及びその覆工背面の空洞6の大きさによってそれらの数は適宜変更される。
【0018】
注入孔10と充填確認孔12との間隔は、例えば空洞6の深さ等により一律に定まるものではないが、通常は1.0m乃至2.0m、好ましくは1.2m乃至1.7m、さらに好ましくは、1.5m程度である。
【0019】
複数の注入孔10が設けられる間隔は、使用される発泡ウレタン8の充填範囲によって適宜変更されるが、通常1.5m乃至3.0m程度である。
【0020】
注入孔10の径(φ)は、通常、36mm程度であるが、後述する注入管11の外径(φ)に対応して適宜その大きさは変更される。
【0021】
充填確認孔12の径(φ)は、通常、32mm乃至36mm程度であるが、後述する保護管13の径(φ)に対応して適宜その大きさは変更される。
【0022】
実施形態1では、注入孔10に注入管11が挿入されている。注入管11の外径(φ)は、上述した注入孔10の径(φ)に合わせて適宜変更されるが、例えば22mm乃至32mmであり、26mm程度が好ましい。
また、注入管11は、発泡ウレタン8の熱等で変性しないように耐熱性硬質ポリ塩化ビニル等の耐熱性、耐圧性を有する材質からなるのが好ましい。
図1に示すように実施形態1で用いられる注入器具は注入管11に加えて注入ホース(攪拌ホース)20と注入管11と注入ホース20とを一連に接続する注入ソケット(例えば、公知の水栓ソケット)18とプレート22とアンカーボルト24からなる。また、注入ホース20、注入ソケット18も耐熱性、耐圧性を有する材料からなることで、作業効率をさらに高めることができる。
【0023】
実施形態1では、図1に示したように、注入管11の下端部が嵌め込まれて接続された注入ソケット18を、予め削孔して設けた注入孔10の挿入口に嵌め込み、注入管11が注入孔10へ挿通するように起立させておく。この状態で、実際にトンネル覆工2の背面4の空洞6へ注入作業を行うに際し、注入ホース20を注入ソケット18と連結する。そうすると、注入管11と注入ホース20とが一連に接続され、空洞6に発泡ウレタン8を充填する作業を行うことができる。さらに、注入管11は、プレート22に設けられた孔に挿通され、プレート22は、アンカーボルト24(例えばステンレス製、M10×60mm)によりトンネル覆工2に取り付けられている。
【0024】
注入ホース20の中には、耐圧性を向上させるべく、例えばビニロン繊維(φ=0.1mm乃至0.2mm)が網状に組み込まれていることが好ましい。なお、図示しないが、圧力注入を行う場合には圧力計を設備する。注入圧は例えば0.2MPa程度が好ましい。
【0025】
注入作業を終了した後は、注入管11から注入ソケット18を引き抜く。そして、注入ソケット18を引き抜いた注入管11は残置し、プレートプラグ26に接着剤を塗布して、プレート22に締め付ける等の仕上げを行う。
【0026】
実施形態1では、図1に示すように、充填確認器具として、触覚スイッチ14が、配線15を通じて受信装置16と接続され、配線15は、充填確認孔12に挿入された保護管13に挿通され、そして触覚スイッチ14は保護管13の上端部131に設置されている。さらに、保護管13は、プレート22に設けられた孔に挿通され、プレート22は、アンカーボルト24(例えばステンレス製、M10×60mm)によりトンネル覆工2に取り付けられている。
【0027】
保護管13は、配線15を発泡ウレタン8の熱等から守るために、例えば耐熱性硬質ポリ塩化ビニル等の耐熱性、耐圧性を有する材質からなるのが好ましい。
保護管13の外径(φ)は、上述した充填確認孔12の径(φ)に合わせて適宜変更されるが、例えば22mm乃至32mmであり、26mm程度が好ましい。
【0028】
保護管13に挿通された触覚スイッチ14は、あらかじめ地山3の面になるべく近接して位置決めされることが好ましく、30mm乃至100mm離して位置決めされることがより好ましく、40mm乃至80mm離して位置決めされることがさらに好ましく、45
mm乃至65mm離して位置決めされることが特に好ましく、45mm乃至55mm(約50mm程度)離して位置決めされることがさらに特に好ましい。触覚スイッチ14の位置が上記範囲にあることで、空洞6のより上部まで隙間なく所望量の発泡ウレタン8を充填することができる。
【0029】
図2は、本発明の実施形態1に係るトンネル覆工背面空洞の充填確認方法を示している。
【0030】
まず、トンネル覆工2に設けた注入孔10に挿入された注入管11から発泡ウレタン液9を空洞6に注入する。発泡ウレタン液9は注入直後は、空洞6の下部に液状のまま溜まっていく(図2(a))。その後、発泡ウレタン液9が発泡し、発泡ウレタン8となって、触覚スイッチ14側に充填されていく(図2(b))。最終的に触覚スイッチ14に発泡ウレタン8が接触して、スイッチ機構141が作動して検知信号を発生させ、該検知信号を受信した受信装置16が備えるランプ部品161の点灯により所望量の発泡ウレタン8が充填されたことが確認できる(図2(c))。
【0031】
触覚スイッチ14は、図3及び図4に示すように、検知信号を発信するスイッチ機構141を作動させるプランジャ142と、発泡ウレタン8が接触したとき、軸中心を通る線Pに対して角度α傾動するか又は軸中心に沿うようにz軸方向へ移動し、プランジャ142を作動させるアクチュエータ143とを含み、アクチュエータ143は、その先端部にワーク検出子144を備え、ワーク検出子144が螺旋状の部位145を含む。
【0032】
スイッチ機構141は、検知信号を発生することができればどのような機構でもかまわない。例えば、図3に示すように、プランジャ142の凸部が両固定端子148、148が接する接点部149から固定端子148、148を開放させ、それに応じて電気信号が生成されるような機構でもよい。検知信号を受信装置16で受信し、作業者に所望量の発泡ウレタン8が充填されたことを示すには、例えば図2に示すように、受信装置16が点灯・消灯するランプ部品161を備えていればよい。
【0033】
プランジャ142は、例えばポリアセタール樹脂等の合成樹脂等からなり、アクチュエータ143の傾動又は軸方向に移動により作動し、スイッチ機構141を作動させるものであればよい。
【0034】
アクチュエータ143は、その先端部にワーク検出子144を備える。ワーク検出子144に加えられた力(本発明においては発泡ウレタン8との接触)によってアクチュエータ143が軸中心を通る線Pに対して角度α傾動するか又は軸中心に沿うようにz軸方向へ移動し、プランジャ142を作動させる。
プランジャ142を作動させる角度αは、ワーク検出子144の種類によって変更されるが、通常、10度乃至25度である。
また、ワーク検出子144の下部には弾性シール材147が嵌装されている。
【0035】
ワーク検出子144の形状としては、例えば図4に示すように、半球形、円錐形及び螺旋状の部位145含むものが挙げられる。これら形状の中でも、螺旋状の部位145を含むものが好ましい。螺旋状の部位145を含むものはさらに、図4に示すように螺旋状の部位145から伸びるワイヤ部位146を備えることがより好ましい。ワイヤ部位146は図4に示すような直線状のみならず、例えば折れ曲がり部分があってもよい。ワイヤ部位146を備えることでよりわずかな力を検知することができる。ワイヤ部位146の長さは、通常、5mm乃至70mm、より好ましくは10mm乃至50mm程度である。
【0036】
触覚スイッチ14は、0.05N乃至1.96Nの力で作動するものが好ましく、0.
05N乃至1.47Nの力で作動するものがより好ましく、0.05N乃至0.49Nの力で作動するものがさらに好ましい。
【0037】
触覚スイッチ14は市販品を用いることができ、一例として以下のものを挙げることができるが、これに限定されない。
例えば、D5B(オムロン株式会社製)等を挙げることができる。
【0038】
所望量の発泡ウレタン8が充填されたことを確認できた後は、触覚スイッチ14を取り出し、充填確認孔12内まで発泡ウレタン8を充填するか又は配線15を切断し、触覚スイッチ14を残置して充填確認孔12内まで発泡ウレタン8を充填する。そして、プレートプラグ26に接着剤を塗布して、プレート22に締め付ける等の仕上げを行う。
【0039】
実施形態1に使用される発泡ウレタン8は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを含む発泡ウレタン液9が発泡硬化することにより得られる。例えば施工現場においては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを要時混合して攪拌し、発泡ウレタン液9として空洞6に注入する。
【0040】
発泡ウレタン8の発泡後の体積は好ましくは、6倍乃至45倍である。発泡後の体積が上記範囲にあることで、注入設備を非常にコンパクトにすることができる。例えば、充填材料が最大で発泡後体積の1/40程度の液状(ドラム缶で搬入を行うとする)である場合は、4トントラック1台に資機材を積載することができる。
【0041】
発泡ウレタン8の発泡後の密度は好ましくは、25kg/m乃至180kg/mであり、さらに好ましくは、25kg/m乃至35kg/m、又は35kg/m乃至45kg/m、又は50kg/m乃至70kg/m乃至、又は80kg/m乃至120kg/m、又は120kg/m乃至180kg/mである。発泡後の密度が上記範囲にあることで、トンネル覆工2への負荷荷重を非常に小さくすることができる。
【0042】
発泡ウレタン8としては、例えば、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるフロン類を含まないノンフロン系発泡ウレタンであることが好ましい。また、例えば、発泡硬化後の再溶解がないものが好ましい。
【0043】
発泡ウレタン液9はポリオール成分又はポリイソシアネート成分として、アミン化合物等の触媒、水、炭酸ガス、炭化水素、1-クロロ-3,3,3,-トリフルオロプロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2ブテン等のハイドロフルオロオレフィン等の発泡剤が含有される。それ以外にも本発明の効果を損なわない範囲でリン酸エステル等の難燃剤、シリコーン化合物等の整泡剤などの添加剤等が必要に応じて含有されるものであってもよい。
【0044】
発泡ウレタン8は市販品を用いることができ、一例として以下のものを挙げることができるがこれに限定されない。例えばアキレスエアロン-R(アキレス株式会社製)等を挙げることができる。
【0045】
本発明の実施形態1に係る充填確認方法は、触覚スイッチ14が発泡ウレタン8の接触による物理的な力を検知することでその充填が確認できるため、熱検知方式に比べ空洞6に所望量の発泡ウレタン8が充填されたことを正確に確認することができる。
【0046】
また、触覚スイッチ14は圧力検知センサでは検知できないようなわずかな抵抗でも検知できるため、発泡ウレタン8のような軽量で抵抗が少ない注入材でも検知が可能であり、空洞6に所望量の発泡ウレタン8が充填されたことを正確に確認することができる。さ
らに触覚スイッチ14の配線15は保護管13に挿通されることで発泡ウレタン8の熱等から守ることができる。
【0047】
以上に実施形態1を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含む。
【符号の説明】
【0048】
2 トンネル覆工
3 地山
4 背面
6 空洞
8 発泡ウレタン
9 発泡ウレタン液
10 注入孔
11 注入管
12 充填確認孔
13 保護管
131 上端部
14 触覚スイッチ
141 スイッチ機構
142 プランジャ
143 アクチュエータ
144 ワーク検出子
145 螺旋状の部位
146 ワイヤ部位
147 弾性シール材
148 固定端子
149 接点部
15 配線
16 受信装置
161 ランプ部品
18 注入ソケット
20 注入ホース
22 プレート
24 アンカーボルト
26 プレートプラグ
図1
図2
図3
図4