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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048073
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報伝達システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20240401BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20240401BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20240401BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G08B27/00 A
G08B21/10
G08B31/00 Z
H04M11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153921
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】515180952
【氏名又は名称】CMN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】山下 惠助
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA12
5C086AA22
5C086AA39
5C086AA46
5C086CA16
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA25
5C086CB01
5C086CB07
5C086CB17
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA13
5C086FA02
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087BB11
5C087DD02
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG07
5C087GG10
5C087GG14
5C087GG31
5C087GG35
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG70
5C087GG82
5K201AA07
5K201BA03
5K201BA19
5K201CC04
5K201CC08
5K201CC10
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED08
5K201ED09
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】居住者それぞれの動作に適した避難を支援できる情報伝達システムを提供する。
【解決手段】情報伝達システム10は、環境センサ20と、情報処理装置30と、戸別告知装置40と、スマートフォン50と、デジタルサイネージ60とを備える。情報処理装置30の推測雨量情報特定部32は、環境センサ20が雨量情報の取得を開始してから一定時間先の推測雨量情報を特定し、情報処理装置30の優先避難居住者抽出部33は、推測雨量情報特定部32が特定した推測雨量情報と、推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した環境センサ20が設置された場所の環境情報取得場所情報と、推測雨量情報の基となった雨量情報に関する環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、居住者情報記録部31が記録した居住者情報の中の少なくとも居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、居住者情報に含まれる居住者の中から抽出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境情報取得装置と、該環境情報取得装置が設置された場所から所定の範囲である居住地域に配置された戸別告知装置と、前記環境情報取得装置及び前記戸別告知装置と通信回線を介して通信可能な情報処理装置とを備える情報伝達システムであって、
前記環境情報取得装置は、
周囲の環境情報を取得可能な環境情報取得部と、
該環境情報取得部が取得した前記環境情報を、同環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に送信可能な環境情報送信部とを有し、
前記情報処理装置は、
前記居住地域に居住する者に関する情報である居住者情報を記録可能な居住者情報記録部と、
前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に含まれる雨量情報に基づいて、同環境情報取得装置が同雨量情報の取得を開始してから一定時間先の雨量情報である推測雨量情報を特定可能な推測雨量情報特定部と、
該推測雨量情報特定部が特定した前記推測雨量情報と、同推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測雨量情報の基となった同雨量情報に関する同環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部と、
該優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部とを有し、
前記戸別告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する
情報伝達システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記優先避難居住者抽出部が抽出した居住者についての前記居住者情報及び前記推測雨量情報特定部が特定した前記推測雨量情報を表示可能な表示部を有する
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項3】
前記優先避難居住者抽出部は、さらに、前記居住者情報に含まれる居住地域の地理的特徴に関する情報である居住地域地理情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項4】
前記優先避難居住者抽出部は、さらに、前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に含まれる情報であって、前記推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した前記環境情報取得装置に対応した居住地域の土壌水分情報または暗渠の水位情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項5】
前記優先避難居住者抽出部は、さらに、人工衛星が送信した前記居住地域の衛星画像情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項6】
前記戸別告知装置は、同戸別告知装置から所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を前記情報処理装置へ送信可能な人検知部を有し、
前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、前記戸別告知装置へ前記避難催促情報を送信してから所定の時間内に同戸別告知装置の前記人検知部から検知信号が送信されない場合、前記優先避難居住者抽出部が抽出した居住者が使用する携帯端末へ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能であり、
前記携帯端末は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項7】
公共の場に設置された公共告知装置をさらに備え、
前記戸別告知装置は、同戸別告知装置から所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を前記情報処理装置へ送信可能な人検知部を有し、
前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、前記戸別告知装置へ前記避難催促情報を送信してから所定の時間内に同戸別告知装置の前記人検知部から検知信号が送信されない場合、前記公共告知装置へ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能であり、
前記公共告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項8】
前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを提供するSNSサーバへ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能である
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項9】
環境情報取得装置と、該環境情報取得装置が設置された場所から所定の範囲である居住地域に配置された戸別告知装置と、前記環境情報取得装置及び前記戸別告知装置と通信回線を介して通信可能な情報処理装置とを備える情報伝達システムであって、
前記環境情報取得装置は、
周囲の環境情報を取得可能な環境情報取得部と、
該環境情報取得部が取得した前記環境情報を、同環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に送信可能な環境情報送信部とを有し、
前記情報処理装置は、
前記居住地域に居住する者に関する情報である居住者情報を記録可能な居住者情報記録部と、
前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に基づいて、同環境情報取得装置が同環境情報の取得を開始してから一定時間先の環境情報である推測環境情報を特定可能な推測環境情報特定部と、
該推測環境情報特定部が特定した前記推測環境情報と、同推測環境情報の基となった環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測環境情報の基となった同環境情報を取得した前記環境情報取得装置に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部と、
該優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部とを有し、
前記戸別告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する
情報伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報伝達システムに関する。詳しくは、例えば、地震や大雨など災害発生時に避難情報を伝達するための情報伝達システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、毎年のように大雨による自然災害が発生している。
大雨によって、川の氾濫、土石流、がけ崩れ、地滑りなどが発生し易くなり、人々の生活や生命が脅かされている。
特に、狭い範囲で短時間に非常に激しく降る雨が頻繁に発生しており、川の急激な増水、堤防の決壊、道路や住宅の浸水、アンダーパスと呼ばれる潜り抜け式通路などの地下空間の水没といった被害も発生している。
【0003】
こうした頻発する自然災害による被害を最小限に食い止めるため、河川堤防やダムの整備、下水道の整備、既存施設の機能向上など「ハード対策」と呼ばれる物理的な災害対策と、「ソフト対策」と呼ばれる情報や訓練などで得られる災害対策も進められている。
【0004】
そして、自然災害への対策について様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、緊急速報サーバと、個人が所有する携帯情報端末とを備える避難支援システムが記載されている。
特許文献1に記載の避難支援システムにおいて、緊急速報サーバは、緊急速報受信部と端末通知決定部とを有しており、携帯情報端末は、避難速報受信部と、アプリケーション自動起動部と、GPS機能チェック誘導部と、避難ルート表示部とを有する。
【0005】
そして、特許文献1に記載の避難支援システムにおいて、緊急地震速報など避難勧告を伴う緊急速報が発せられた場合に、個人が所有する携帯情報端末の避難支援アプリケーションが自動的に起動し、避難ルート表示部が、携帯情報端末の現在位置から最も近い複数の避難場所または避難所を表示し、それぞれの避難場所または避難所までの避難ルートを、現在位置から近い順に色替えして表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021‐56946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地震や火災とは異なり大雨の場合、自宅に待機してしまう居住者が多く、また、大雨の場合、被害状況が刻一刻と変わる上に広範囲に及ぶため、自宅に待機していた居住者が避難所へ避難しようとした時には、避難所への徒歩での移動途中に移動が困難となってしまうという問題がある。
また、避難所への移動途中に移動が困難となっても、例えば体力のある成人男性であれば自力で避難所に到着できるが、高齢者や足に怪我をしている者など歩行に時間を要する者は、徒歩避難が原則である避難行動を早い段階で開始する必要がある。
【0008】
こうしたことから、居住者それぞれの動作に適した避難を実現できる技術が求められているが、特許文献1に記載の避難支援システムは、居住者それぞれの動作に適した避難を支援できるとは言えない。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、居住者それぞれの動作に適した避難を支援できる情報伝達システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の情報伝達システムは、環境情報取得装置と、該環境情報取得装置が設置された場所から所定の範囲である居住地域に配置された戸別告知装置と、前記環境情報取得装置及び前記戸別告知装置と通信回線を介して通信可能な情報処理装置とを備える情報伝達システムであって、前記環境情報取得装置は、周囲の環境情報を取得可能な環境情報取得部と、該環境情報取得部が取得した前記環境情報を、同環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に送信可能な環境情報送信部とを有し、前記情報処理装置は、前記居住地域に居住する者に関する情報である居住者情報を記録可能な居住者情報記録部と、前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に含まれる雨量情報に基づいて、同環境情報取得装置が同雨量情報の取得を開始してから一定時間先の雨量情報である推測雨量情報を特定可能な推測雨量情報特定部と、該推測雨量情報特定部が特定した前記推測雨量情報と、同推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測雨量情報の基となった同雨量情報に関する同環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部と、該優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部とを有し、前記戸別告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する。
【0011】
ここで、推測雨量情報特定部が特定した前記推測雨量情報と、同推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測雨量情報の基となった同雨量情報に関する同環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部によって、大雨災害の警戒レベルが上がる前に、大雨災害が発生した居住地域の居住者の中から老若男女を問わず、避難に時間を要することが予想されるため避難させる上で優先度が高い居住者を特定することができる。
【0012】
また、優先避難居住者抽出部は、居住している場所から所定の範囲で取得した雨量情報に基づいて居住者を抽出するので、現場の状況に対応した実効性のある抽出を行うことができる。
【0013】
また、優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部と、情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な、戸別告知装置の避難催促情報告知部とによって、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達し易い。
【0014】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、情報処理装置は、前記優先避難居住者抽出部が抽出した居住者についての前記居住者情報及び前記推測雨量情報特定部が特定した前記推測雨量情報を表示可能な表示部を有する構成とすることができる。
【0015】
この場合、例えば、情報処理装置の表示部が表示した居住者情報を、地方自治体の担当者が見て、その居住者が使用する携帯端末に電話連絡して、推測雨量情報も含め避難が必要であることを伝達することができる。
【0016】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、優先避難居住者抽出部は、さらに、前記居住者情報に含まれる居住地域の地理的特徴に関する情報である居住地域地理情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である構成とすることができる。
【0017】
この場合、居住者の自宅前の道が、例えば自動車が通ることのできないほど狭いといった地理的特徴や、居住者の自宅近辺の地質も考慮して居住者を抽出できるので、避難させる上でさらに優先度が高い居住者を特定することができる。
【0018】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、優先避難居住者抽出部は、さらに、前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に含まれる情報であって、前記推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した前記環境情報取得装置に対応した居住地域の土壌水分情報または暗渠の水位情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である構成とすることができる。
【0019】
この場合、土壌面積が都市部の土壌面積に比べて大きい過疎地においては、土壌水分情報または暗渠の水位情報にも基づくことで、一定時間先の居住地域の土壌の水はけも考慮して、避難させる上で優先度が高い居住者を特定することができる。
【0020】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、優先避難居住者抽出部は、さらに、人工衛星が送信した前記居住地域の衛星画像情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である構成とすることができる。
【0021】
この場合、居住地域の地形の変化、例えば角度センサでは検知し難い大きな岩石の位置の変化を確認できる。
【0022】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、戸別告知装置は、同戸別告知装置から所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を前記情報処理装置へ送信可能な人検知部を有し、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、前記戸別告知装置へ前記避難催促情報を送信してから所定の時間内に同戸別告知装置の前記人検知部から検知信号が送信されない場合、前記優先避難居住者抽出部が抽出した居住者が使用する携帯端末へ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能であり、前記携帯端末は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する構成とすることができる。
【0023】
この場合、優先して避難させるべき居住者が自宅に居ないときでも、この居住者に避難が必要であることを伝達できる。
【0024】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、公共の場に設置された公共告知装置をさらに備え、前記戸別告知装置は、同戸別告知装置から所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を前記情報処理装置へ送信可能な人検知部を有し、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、前記戸別告知装置へ前記避難催促情報を送信してから所定の時間内に同戸別告知装置の前記人検知部から検知信号が送信されない場合、前記公共告知装置へ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能であり、前記公共告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する構成とすることができる。
【0025】
この場合、仮に、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達できなくても、公共告知装置を見た他者の中に、この居住者を知る者がいれば、積極的に居住者に連絡する可能性が生じ、避難が必要であることを伝達できる可能性が高まる。
【0026】
また、本発明の情報伝達システムにおいて、情報処理装置の前記避難催促情報送信部は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを提供するSNSサーバへ、通信回線を介して前記避難催促情報を送信可能である構成とすることができる。
【0027】
この場合、仮に、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達できなくても、この居住者を知る者に伝達できる可能性を大きく高め、避難が必要であることを、優先して避難させるべき居住者に伝達できる可能性が大きく高まる。
【0028】
また、上記の目的を達成するために、本発明の情報伝達システムは、環境情報取得装置と、該環境情報取得装置が設置された場所から所定の範囲である居住地域に配置された戸別告知装置と、前記環境情報取得装置及び前記戸別告知装置と通信回線を介して通信可能な情報処理装置とを備える情報伝達システムであって、前記環境情報取得装置は、周囲の環境情報を取得可能な環境情報取得部と、該環境情報取得部が取得した前記環境情報を、同環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に送信可能な環境情報送信部とを有し、前記情報処理装置は、前記居住地域に居住する者に関する情報である居住者情報を記録可能な居住者情報記録部と、前記環境情報取得装置の前記環境情報送信部が送信した前記環境情報に基づいて、同環境情報取得装置が同環境情報の取得を開始してから一定時間先の環境情報である推測環境情報を特定可能な推測環境情報特定部と、該推測環境情報特定部が特定した前記推測環境情報と、同推測環境情報の基となった環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測環境情報の基となった同環境情報を取得した前記環境情報取得装置に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部と、該優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部とを有し、前記戸別告知装置は、前記情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な避難催促情報告知部を有する。
【0029】
ここで、推測環境情報特定部が特定した前記推測環境情報と、同推測環境情報の基となった環境情報を取得した前記環境情報取得装置が設置された場所の前記環境情報取得場所情報と、同推測環境情報の基となった同環境情報を取得した前記環境情報取得装置に対応した居住地域の、前記居住者情報記録部が記録した前記居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、同居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能な優先避難居住者抽出部によって、自然災害の警戒レベルが上がる前に、自然災害が発生した居住地域の居住者の中から老若男女を問わず、避難に時間を要することが予想されるので、避難させる上で優先度が高い居住者を特定することができる。
【0030】
また、優先避難居住者抽出部は、居住している場所から所定の範囲で取得した環境情報に基づいて居住者を抽出するので、現場の状況に対応した実効性のある抽出を行うことができる。
【0031】
また、優先避難居住者抽出部が抽出した居住者の自宅に配置された前記戸別告知装置へ、通信回線を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能な避難催促情報送信部と、情報処理装置の前記避難催促情報送信部が送信した前記避難催促情報を告知可能な、戸別告知装置の避難催促情報告知部とによって、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達し易い。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る情報伝達システムは、居住者それぞれの動作に適した避難を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明を適用した情報伝達システムの構成の一例を示す概略図である。
図2】本発明を適用した情報伝達システムが備える各機器の配置の一例を示す概略図である。
図3】本発明を適用した情報伝達システムが備える情報処理装置の表示部が居住者情報を表示したときの様子の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した情報伝達システムの構成の一例を示す概略図である。
【0035】
図1に示す本発明の情報伝達システム10は、環境センサ20と、情報処理装置30と、戸別告知装置40と、スマートフォン50と、デジタルサイネージ60とを備える。
【0036】
また、情報処理装置30は、LPWA回線2を介して、環境センサ20と、戸別告知装置40と、デジタルサイネージ60と通信可能であるが、通信回線がこれに限定されないことは勿論である。
情報処理装置30は、例えばインターネット回線を介して、環境センサ20と、戸別告知装置40と、デジタルサイネージ60と通信することもできる。
【0037】
また、情報処理装置30は、インターネット回線3を介して、スマートフォン50と通信可能であるが、通信回線がこれに限定されないことは勿論である。
情報処理装置30は、例えばLPWA回線を介して、スマートフォン50と通信することもできる。
【0038】
環境センサ20は、地上に設置されたポールの先端や、土中や、山の斜面など複数の場所に設置されている。
また、環境センサ20は環境情報取得装置の一例である。
【0039】
また、環境センサ20は、環境情報取得部20Aを有する。
ここで、環境情報取得部20Aは、環境センサ20の周囲の環境情報を取得可能である。
【0040】
また、環境センサ20は、環境情報送信部20Bを有する。
ここで、環境情報送信部20Bは、環境情報取得部20Aが取得した環境情報を、環境情報を取得した環境センサ20が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に、LPWA回線2を介して送信可能である。
【0041】
また、「環境情報取得場所情報」とは、具体的には例えば、設置された場所に対応した環境センサ20すなわち環境情報取得装置の識別情報、環境センサ20が設置された場所の位置情報、環境センサ20が設置された場所のハザードマップ情報である。
【0042】
また、環境センサ20は、具体的には例えば、土壌に含まれる水分を検出可能な土壌水分センサ、水位を検出可能な水位センサ、角度を検出可能な角度センサ例えばジャイロセンサ、温度を検出可能な温度センサ、風速を検出可能な風速センサ、放射線量を検出可能な放射能センサ、雨量を検出可能な雨量センサ、湿度を検出可能な湿度センサ、気圧を検出可能な気圧センサ、照度を検出可能な照度センサ、紫外線を検出可能な紫外線センサ、PM2.5を検出可能なPM2.5センサ及び風向を検出可能な風向センサから選ばれた少なくとも一つのセンサと、周囲を撮像可能な撮像装置である。
すなわち、環境センサ20は、簡易気象センサと同様の機能を有している。
【0043】
従って、本発明で言う「環境情報」とは、具体的には例えば、土壌水分センサが検出して得られた土壌水分情報、水位センサが検出して得られた、川やダムや暗渠などの水面の水位情報、角度センサが検出して得られた、建物の鉛直方向に対する角度情報や山の斜面の傾斜角度情報、温度センサが検出して得られた周囲の温度情報、風速センサが検出して得られた周囲の風速情報、放射能センサが検出して得られた周囲の放射線量情報、雨量センサが検出して得られた、設置場所における雨量情報、湿度センサが検出して得られた周囲の湿度情報、気圧センサが検出して得られた周囲の気圧情報、照度センサが検出して得られた周囲の照度情報、紫外線センサが検出して得られた周囲の紫外線指数情報、PM2.5センサが検出して得られた周囲のPM2.5飛散量情報、風向センサが検出して得られた周囲の風向情報、及び撮像装置が周囲を撮像して得られた映像情報である。
【0044】
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20が、前述のセンサに限定されないことは勿論であり、本発明の情報伝達システム10において、環境情報を取得できる様々なセンサを利用できる。
【0045】
情報処理装置30は、本発明の情報伝達システム10が利用される地域の拠点となる場所例えば村役場や町役場に配置されている。
【0046】
また、情報処理装置30は、居住者情報記録部31を有する。
ここで、居住者情報記録部31は、居住地域に居住する者に関する情報である居住者情報を記録可能である。
また、「居住地域」とは、環境センサ20が設置された場所から所定の範囲例えば半径1~3km以内の地域を意味する。
【0047】
また、居住者情報記録部31は、具体的には例えば、居住者の「氏名」、「年齢」、「性別」、「住所」、「身体に関する情報」、「居住地域の地理的特徴に関する情報」、「居住者が使用する携帯端末に関する情報(電話番号、メールアドレスなど)」及び「戸別告知装置の識別情報」である。
ここで、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報は、具体的には例えば、「妊娠中(妊娠8ヶ月以降)であるという情報」、「歩行時に杖を使用するという情報」、「移動時に車いすを使用するという情報」、「自力で移動できないという情報」、「自力で移動できるという情報」である。
【0048】
また、「妊娠中(妊娠8ヶ月以降)であるという情報」に該当する居住者は、具体的には例えば、お腹が膨らみ、迅速な動作を行うことが難しい妊婦の居住者である。
また、「歩行時に杖を使用するという情報」に該当する居住者は、具体的には例えば、足を怪我した居住者、目が不自由な居住者、加齢により体力が落ちた居住者、手術をした居住者である。
【0049】
また、「移動時に車いすを使用するという情報」に該当する居住者は、具体的には例えば、足を怪我した居住者、加齢により体力が落ちた居住者、手術をした居住者、足が不自由な居住者である。
また、「自力で移動できないという情報」に該当する居住者は、具体的には例えば、乳幼児の居住者、認知障がいがある居住者、心身に障がいを抱えた居住者、寝たきりの居住者である。
また、「自力で移動できるという情報」に該当する居住者は、他の情報に該当する居住者以外の居住者であり、具体的には例えば、健常者、健常児である。
【0050】
また、居住地域の地理的特徴に関する情報である居住地域地理情報は、具体的には例えば、居住者の自宅周辺の道路に関する情報(道幅、一方通行か否か)、居住地域の地質に関する情報、居住地域で過去に発生した自然災害に関する情報である。
【0051】
また、情報処理装置30は、環境情報受信部30Aを有する。
ここで、環境情報受信部30Aは、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報を、この環境情報を取得した環境センサ20が設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報と共に受信可能である。
【0052】
また、情報処理装置30は、環境情報記録部30Bを有する。
ここで、環境情報記録部31Bは、環境情報受信部30Aが受信した環境情報と、この環境情報の環境情報取得場所情報を記録可能である。
【0053】
また、情報処理装置30は、デジタルサイネージ情報記録部30Dを有する。
ここで、デジタルサイネージ情報記録部30Dは、デジタルサイネージ60が設置された場所に関する情報と対応させて、デジタルサイネージ60の識別情報を記録可能である。
【0054】
また、情報処理装置30は、衛星画像情報受信部30Eを有する。
ここで、衛星画像情報受信部30Eは、人工衛星すなわち地球観測衛星が送信した、居住地域の衛星画像情報を受信可能である。
また、環境情報記録部30Bが、衛星画像情報受信部30Eが受信した居住地域の衛星画像情報を記録する。
【0055】
また、情報処理装置30は、推測雨量情報特定部32を有する。
ここで、推測雨量情報特定部32は、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる雨量情報に基づいて、環境センサ20が雨量情報の取得を開始してから一定時間先の雨量情報である推測雨量情報を特定可能である。
また、「一定時間先」とは、具体的には例えば1~8時間先である。
【0056】
また、推測雨量情報特定部32は、例えば1時間先の推測雨量情報と、3時間先の推測雨量情報と、5時間先の推測雨量情報というように、一定時間先の推測雨量情報を複数特定することもできる。
【0057】
また、情報処理装置30は、優先避難居住者抽出部33を有する。
ここで、優先避難居住者抽出部33は、次の情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を、居住者情報に含まれる居住者の中から抽出可能である。
(1)推測雨量情報特定部32が特定した推測雨量情報と、
(2)推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した環境センサ20が設置された場所の環境情報取得場所情報と、
(3)推測雨量情報の基となった雨量情報に関する環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、居住者情報記録部31が記録した居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報。
【0058】
また、情報処理装置30は、災害発生基準情報記録部を有することができる。
ここで、災害発生基準情報記録部は、推測雨量情報すなわち推測環境情報について、災害が発生する基準を示す情報である災害発生基準情報を記録可能である。
そして、優先避難居住者抽出部33が、優先して避難させるべき居住者を抽出するときに基づく、推測雨量情報すなわち推測環境情報は、災害発生基準情報記録部が記録した災害発生基準情報の基準を超えたものである。
【0059】
ここで、「居住者情報の中の少なくとも、居住者の身体に関する情報である居住者身体情報」であるので、優先避難居住者抽出部33は、居住者情報の中の居住者身体情報以外の情報にも基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出できることは勿論である。
【0060】
また、優先避難居住者抽出部33は、さらに、居住者情報に含まれる居住地域の地理的特徴に関する情報である居住地域地理情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である。
【0061】
また、優先避難居住者抽出部33は、さらに、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる情報であって、推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した環境センサ20に対応した居住地域の土壌水分情報または暗渠の水位情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である。
【0062】
すなわち、推測雨量情報特定部32は、情報処理装置30が有する推測環境情報特定部の一機能を示すものであり、推測環境情報特定部は、環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる土壌水分情報に基づいて環境センサ20が土壌水分情報の取得を開始してから一定時間先の土壌水分情報である推測土壌水分情報や、環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる暗渠の水位情報に基づいて環境センサ20が水位情報の取得を開始してから一定時間先の水位情報である推測水位情報を特定可能である。
そして、優先避難居住者抽出部33は、これら推測土壌水分情報または推測水位情報にも基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である。
【0063】
また、優先避難居住者抽出部33は、さらに、人工衛星すなわち地球観測衛星が送信した、居住地域の衛星画像情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である。
具体的には例えば、優先避難居住者抽出部33は、居住地域の衛星画像情報に基づいて、居住地域の山の斜面に存在する大きな岩石の位置が変化した場合に、その居住地域の居住者の避難優先度を高めて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能である。
【0064】
また、情報処理装置30は、避難催促情報送信部34を有する。
ここで、避難催促情報送信部34は、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者の自宅に配置された戸別告知装置40へ、LPWA回線2を介して避難を促す情報である避難催促情報を送信可能である。
このとき、避難催促情報送信部34は、居住者情報記録部31が記録した「戸別告知装置の識別情報」に基づいて、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者の自宅に配置された戸別告知装置40を特定し、この戸別告知装置40へ避難催促情報を送信可能である。
【0065】
また、避難催促情報は具体的には文字情報であって居住者情報に基づいて作成されており、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者の氏名が含まれる。
【0066】
また、情報処理装置30は、表示部35を有する。
ここで、表示部35は、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者についての居住者情報及び推測雨量情報特定部32が特定した推測雨量情報を表示可能である。
【0067】
また、情報処理装置30は、伝達情報受信部36を有する。
ここで、伝達情報受信部36は、伝達情報を、国の専門機関例えば気象庁から例えば都道府県庁を経由して、LPWA回線2を介して受信可能であるが、通信回線はLPWA回線2に限定されないことは勿論であり、例えばインターネット回線を介して受信することもできる。
また、「伝達情報」は、大雨の時における大雨情報に関する文字情報あるいは地震の時における地震情報に関する文字情報と、大雨または地震の災害が発生している地域例えば市町村の情報を伝える文字情報である。
【0068】
また、情報処理装置30の伝達情報受信部36は、その他にも高速インターネット通信回線を介して伝達情報を受信したり、ラジオ波を介して伝達情報を受信したり、人工衛星を介してすなわち全国瞬時警報システム(Jアラート)を利用して伝達情報を受信したり、災害情報共有システム(Lアラート)を利用して伝達情報を受信したり、国際電気通信連合が定める無線通信システム(4G、5Gなど)を利用して伝達情報を受信したりすることができる。
【0069】
また、情報処理装置30は、伝達情報記録部37を有する。
ここで、伝達情報記録部37は、伝達情報受信部36が受信した伝達情報を記録可能である。
【0070】
また、情報処理装置30は、伝達情報送信部38を有する。
ここで、伝達情報送信部38は、LPWA回線2を介して、伝達情報記録部37が記録した伝達情報を、災害が発生している地域に配置された戸別告知装置40や、災害が発生している地域の居住者が使用するスマートフォン50や、災害が発生している地域に設置されたデジタルサイネージ60へ送信可能である。
【0071】
このとき、伝達情報送信部38は、居住者情報記録部31が居住者に対応させて記録した「居住者が使用する携帯端末に関する情報(電話番号、メールアドレスなど)」に基づいて、災害が発生している地域の居住者が使用するスマートフォン50を特定したり、デジタルサイネージ情報記録部30Dが記録した、「デジタルサイネージ60が設置された場所に関する情報」と「設置された場所に対応したデジタルサイネージ60の識別情報」とに基づいて、災害が発生している地域に設置されたデジタルサイネージ60を特定したりして、このスマートフォン50や、このデジタルサイネージ60へ、伝達情報を送信する。
【0072】
戸別告知装置40は、避難催促情報受信部41を有する。
ここで、避難催促情報受信部41は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を受信可能である。
【0073】
また、戸別告知装置40は、避難催促情報告知部42を有する。
ここで、避難催促情報告知部42は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を告知可能である。
また、避難催促情報告知部42は具体的には、文字情報である避難催促情報を表示する。
このとき、避難催促情報告知部42は適宜、警告音などの音を発するが、必ずしも音を発しなくてもよいことは勿論である。
【0074】
また、戸別告知装置40は、人検知部43を有する。
ここで、人検知部43は、戸別告知装置40から所定の範囲例えば半径10m以内に人が存在することを検知して検知信号を情報処理装置30へ、LPWA回線2を介して送信可能である。
また、戸別告知装置40は、居住地域の一般家庭に配置されている。
【0075】
一方、情報処理装置30は、人検知信号受信部30Cを有する。
ここで、人検知信号受信部30Cは、戸別告知装置40の人検知部43が送信した検知信号を受信可能である。
【0076】
また、戸別告知装置40は、伝達情報受信部44を有する。
ここで、伝達情報受信部44は、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を受信可能である。
【0077】
また、戸別告知装置40は、伝達情報告知部45を有する。
ここで、伝達情報告知部45は、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を告知可能である。
また、伝達情報告知部45は具体的には、文字情報である伝達情報を表示する。
【0078】
また、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、戸別告知装置40へ避難催促情報を送信してから所定の時間例えば3分以内に戸別告知装置40の人検知部43から検知信号が送信されない場合、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者が使用するスマートフォン50へ、インターネット回線3を介して避難催促情報を送信可能である。
このとき、避難催促情報送信部34は、居住者情報記録部31が居住者に対応させて記録した「居住者が使用する携帯端末に関する情報(電話番号、メールアドレスなど)」に基づいて、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者が使用するスマートフォン50を特定し、このスマートフォン50へ避難催促情報を送信可能である。
【0079】
スマートフォン50は、避難催促情報受信部51を有する。
ここで、避難催促情報受信部51は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を受信可能である。
【0080】
また、スマートフォン50は、避難催促情報告知部52を有する。
ここで、避難催促情報告知部52は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を告知可能である。
また、避難催促情報告知部52は具体的には、文字情報である避難催促情報を表示する。
このとき、避難催促情報告知部52は適宜、警告音などの音を発するが、必ずしも音を発しなくてもよいことは勿論である。
【0081】
また、スマートフォン50は、伝達情報受信部53を有する。
ここで、伝達情報受信部53は、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を受信可能である。
【0082】
また、スマートフォン50は、伝達情報告知部54を有する。
ここで、伝達情報告知部54は、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を告知可能である。
また、伝達情報告知部54は具体的には、文字情報である伝達情報を表示する。
【0083】
また、スマートフォン50は携帯端末の一例であり、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、例えば、居住者が使用するタブレット端末へ、インターネット回線3を介して避難催促情報を送信することもできる。
【0084】
また、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、戸別告知装置40へ避難催促情報を送信してから所定の時間例えば3分以内に戸別告知装置40の人検知部43から検知信号が送信されない場合、デジタルサイネージ60へ、LPWA回線2を介して避難催促情報を送信可能である。
このとき、避難催促情報送信部34は、デジタルサイネージ情報記録部30Dが記録した、「デジタルサイネージ60が設置された場所に関する情報」と「設置された場所に対応したデジタルサイネージ60の識別情報」とに基づいて、環境センサ20が設置された場所から所定の範囲例えば半径2km以内の公共の場に設置されたデジタルサイネージ60を特定し、このデジタルサイネージ60へ避難催促情報を送信する。
【0085】
デジタルサイネージ60は、避難催促情報受信部60Aを有する。
ここで、避難催促情報受信部60Aは、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を受信可能である。
【0086】
また、デジタルサイネージ60は、避難催促情報告知部60Bを有する。
ここで、避難催促情報告知部60Bは、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を告知可能である。
また、避難催促情報告知部60Bは具体的には、文字情報である避難催促情報を表示する。
このとき、避難催促情報告知部60Bは適宜、警告音などの音を発するが、必ずしも音を発しなくてもよいことは勿論である。
【0087】
また、デジタルサイネージ60は、伝達情報受信部60Cを有する。
ここで、伝達情報受信部60Cは、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を受信可能である。
【0088】
また、デジタルサイネージ60は、伝達情報告知部60Dを有する。
ここで、伝達情報告知部60Dは、情報処理装置30の伝達情報送信部38が送信した伝達情報を告知可能である。
また、伝達情報告知部60Dは具体的には、文字情報である伝達情報を表示する。
【0089】
また、デジタルサイネージ60は公共告知装置の一例である。
また、デジタルサイネージ60は、例えば、環境センサ20が設置された場所から所定の範囲例えば半径2km以内の公共の場である、施設内あるいは歩道に設置されたものであるが、これに限定されないことは勿論である。
すなわち、本発明の情報伝達システムが備えるデジタルサイネージは、通常のスタンド型のデジタルサイネージのみならず、ビルの屋上やビルの壁面に設置された大型3DのLEDビジョン、及びビルの壁面から突出した袖看板型のLEDデジタルサイネージを含む。
【0090】
また、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを提供するSNSサーバ70へ、インターネット回線3を介して避難催促情報を送信可能である。
【0091】
本発明の情報伝達システム10において、情報処理装置30が特定可能な一定時間先の環境情報は雨量情報に限定されないことは勿論である。
すなわち、情報処理装置30は、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報に基づいて、環境センサ20が環境情報の取得を開始してから一定時間先の環境情報である推測環境情報を特定可能な推測環境情報特定部を有することができる。
【0092】
ここで、推測環境情報特定部は、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる雨量情報に基づいて推測雨量情報を特定可能であったり、環境センサ20の環境情報送信部20Bが送信した環境情報に含まれる土壌水分情報に基づいて推測土壌水分情報を特定可能であったりする。
すなわち、推測環境情報特定部は、推測雨量情報特定部32としても推測土壌水分情報特定部としても機能し得る。
【0093】
また、本発明の情報伝達システム10において、優先避難居住者抽出部33は、必ずしも推測雨量情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能という構成でなくてもよく、他の推測環境情報例えば推測土壌水分情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能とすることもできる。
【0094】
また、本発明の情報伝達システム10において、情報処理装置30は、必ずしも表示部35を有していなくてもよい。
しかし、情報処理装置30が表示部35を有していれば、情報処理装置30の表示部35が表示した居住者情報を、地方自治体の担当者が見て、その居住者の自宅に電話連絡して、推測雨量情報も含め避難が必要であることを伝達することができるので好ましい。
【0095】
また、情報処理装置30の表示部35は、必ずしも推測雨量情報特定部32が特定した推測雨量情報を表示可能という構成でなくてもよく、推測環境情報特定部(推測土壌水分情報特定部)が特定した他の推測環境情報例えば推測土壌水分情報を表示することもできる。
【0096】
また、本発明の情報伝達システム10において、優先避難居住者抽出部33は、必ずしも居住地域地理情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能でなくてもよい。
【0097】
しかし、優先避難居住者抽出部33が、さらに、居住地域地理情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能であれば、居住者の自宅前の道が、例えば自動車が通ることのできないほど狭いといった地理的特徴や、居住者の自宅近辺の地質も考慮して居住者を抽出できるので、避難させる上でさらに優先度が高い居住者を特定することができ、好ましい。
【0098】
また、本発明の情報伝達システム10において、優先避難居住者抽出部33は、必ずしも推測雨量情報の基となった雨量情報を取得した環境センサ20に対応した居住地域の土壌水分情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能でなくてもよい。
【0099】
しかし、優先避難居住者抽出部33が、さらに、このような居住地域の土壌水分情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能であれば、土壌面積が都市部の土壌面積に比べて大きい過疎地においては、土壌水分情報にも基づくことで、一定時間先の居住地域の土壌の水はけも考慮して、避難させる上で優先度が高い居住者を特定することができるので好ましい。
【0100】
また、本発明の情報伝達システム10において、優先避難居住者抽出部33は、必ずしも、人工衛星すなわち地球観測衛星が送信した、居住地域の衛星画像情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能でなくてもよい。
【0101】
しかし、優先避難居住者抽出部33が、さらに、居住地域の衛星画像情報に基づいて、優先して避難させるべき居住者を抽出可能であれば、居住地域の地形の変化、例えば角度センサでは検知し難い大きな岩石の位置の変化を確認できるので好ましい。
【0102】
また、本発明の情報伝達システム10において、戸別告知装置40は、必ずしも人検知部43を有していなくてもよく、また、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、必ずしも優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者が使用するスマートフォン50へ避難催促情報を送信可能でなくてもよい。
【0103】
しかし、戸別告知装置40が人検知部43を有し、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者が使用するスマートフォン50へ避難催促情報を送信可能であれば、優先して避難させるべき居住者が自宅に居ないときでも、この居住者に避難が必要であることを伝達できるので好ましい。
【0104】
また、本発明の情報伝達システム10において、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、必ずしもデジタルサイネージ60へ避難催促情報を送信可能でなくてもよい。
【0105】
しかし、戸別告知装置40が人検知部43を有し、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が、デジタルサイネージ60へ避難催促情報を送信可能であれば、仮に、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達できなくても、デジタルサイネージ60すなわち公共告知装置を見た他者の中に、この居住者を知る者がいれば、積極的に居住者に連絡する可能性が生じ、避難が必要であることを伝達できる可能性が高まるので好ましい。
【0106】
また、本発明の情報伝達システム10において、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、必ずしもSNSサーバ70へ避難催促情報を送信可能でなくてもよい。
しかし、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が、SNSサーバ70へ避難催促情報を送信可能であれば、仮に、優先して避難させるべき居住者に、避難が必要であることを伝達できなくても、この居住者を知る者に伝達できる可能性を大きく高め、避難が必要であることを、優先して避難させるべき居住者に伝達できる可能性が大きく高まるので好ましい。
【0107】
次に、本発明の情報伝達システムを使った、大雨災害における避難情報の伝達の流れについて説明する。
図2は、本発明を適用した情報伝達システムが備える各機器の配置の一例を示す概略図である。
図2には、一本の川4が流れ、川4を挟んだ両側に領域が存在し、川4の左上側の領域に山1が存在する土地が示されている。
【0108】
また、このような土地に甲町という地方自治体が存在しており、2つの行政区画に分かれている。
すなわち、図2において、川4の右側の領域が「甲町乙201番地」であり、川4の左側の領域が「甲町乙202番地」であり、これら領域の大部分が舗装されていない土壌領域例えば農地、草原及び森林である。
【0109】
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である第1の雨量センサ21Aが、甲町乙201番地の道路沿いに設置されている。
また、第1の雨量センサ21Aが設置された場所から半径1km以内である居住地域に、第1の居住者宅11と第2の居住者宅12が存在する。
【0110】
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である第1の土壌水分センサ22Aが、甲町乙201番地の水田の一角の土中に埋設されている。
また、第1の居住者宅11と第2の居住者宅12は、第1の土壌水分センサ22Aが設置された場所からも半径1km以内である居住地域に存在する。
【0111】
また、甲町乙201番地の居住者の避難所である第1の避難所17には、第1の居住者宅11よりも第2の居住者宅12の方が近い。
【0112】
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である第2の雨量センサ21Bが、甲町乙202番地の道路沿いに設置されている。
また、第2の雨量センサ21Bが設置された場所から半径1km以内である居住地域に、第3の居住者宅13が存在する。
【0113】
また、甲町乙202番地の居住者の避難所である第2の避難所18と第3の居住者宅13との間の距離は、第1の避難所17と第2の居住者宅12との間の距離よりも短い。
【0114】
また、第3の居住者宅13の近くには、山1が存在する。
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である第2の土壌水分センサ22Bが、山1の斜面の土中に埋設されているが、第2の土壌水分センサ22Bは、第3の居住者宅13が半径1km以内に存在するように、甲町乙202番地の水田の一角の土中に埋設されていてもよい。
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である角度センサ23が、山1の斜面に設置されている。
また、本発明の情報伝達システム10が備える環境センサ20の1種である水位センサ24が、山1のふもとの農地に設けられた暗渠内に設置されている。
【0115】
また、第3の居住者宅13は、第2の土壌水分センサ22Bが設置された場所及び角度センサ23が設置された場所からも半径1km以内である居住地域に存在する。
【0116】
また、情報処理装置30が備える居住者情報記録部31は、居住地域に存在する第1の居住者宅11と第2の居住者宅12と第3の居住者宅13それぞれに居住する居住者に関する情報を記録する。
【0117】
すなわち、居住者情報記録部31は、第1の居住者宅11の居住者Aの「氏名:A川A太郎」、「年齢:40」、「性別:男」、「住所:甲町乙201番地1」、「居住者身体情報:健常者」、「居住地域地理情報:砂地質」、「居住者Aが使用するスマートフォンの電話番号及びメールアドレス」及び「避難場所:第1の避難所」を記録する。
【0118】
また、居住者情報記録部31は、第2の居住者宅12の居住者Bの「氏名:B山B子」、「年齢:83」、「性別:女」、「住所:甲町乙201番地2」、「居住者身体情報:歩行時に杖を使用する」、「居住地域地理情報:砂地質」、「居住者Bが使用するスマートフォンの電話番号及びメールアドレス」及び「避難場所:第1の避難所」を記録する。
【0119】
また、居住者情報記録部31は、第3の居住者宅13の居住者Cの「氏名:C田C助」、「年齢:68」、「性別:男」、「住所:甲町乙202番地1」、「居住者身体情報:足を怪我しギプスを装着しており、歩行時に杖を使用する」、「居住地域地理情報:粘性地質」、「居住者Cが使用するスマートフォンの電話番号及びメールアドレス」及び「避難場所:第2の避難所」を記録する。
【0120】
また、本発明の情報伝達システム10が備える情報処理装置30は、甲町の町役場に配置されている。
また、本発明の情報伝達システム10が備える戸別告知装置40は、居住地域の、第1の居住者宅11と、第2の居住者宅12と、第3の居住者宅13に配置されている。
【0121】
また、情報処理装置30の居住者情報記録部31は、第1の居住者宅11に配置された戸別告知装置40の識別情報、第2の居住者宅12に配置された戸別告知装置40の識別情報、及び第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40の識別情報を記録する。
【0122】
また、本発明の情報伝達システム10が備える第1のデジタルサイネージ61Aは、第1の雨量センサ21Aが設置された場所から半径2km以内の歩道に設置されている。
また、本発明の情報伝達システム10が備える第2のデジタルサイネージ61Bは、第2の雨量センサ21Bが設置された場所から半径2km以内の歩道に設置されている。
【0123】
このように本発明の情報伝達システム10が備える各機器が配置された甲町に大雨が降ると、気象庁から甲町が属する都道府県庁へ、文字情報である大雨洪水警報がLPWA回線2を介して伝達され、さらに都道府県庁から甲町役場へ大雨洪水警報がLPWA回線2を介して伝達される。
【0124】
また、本発明の情報伝達システム10が備える情報処理装置30の伝達情報受信部36は、都道府県庁経由で気象庁からの大雨洪水警報を受信する。
また、情報処理装置30の伝達情報記録部37は、伝達情報受信部36が受信した大雨洪水警報を記録する。
【0125】
また、甲町の乙地区各地に設置された、第1~2の雨量センサ(21A、21B)、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)、角度センサ23及び水位センサ24が、各地の環境情報すなわち雨量情報、土壌水分情報、傾斜角度情報及び暗渠の水位情報をそれぞれ取得する。
【0126】
そして、第1~2の雨量センサ(21A、21B)、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)、及び角度センサ23はそれぞれ、取得した雨量情報、土壌水分情報及び傾斜角度情報を、一定の時間間隔でLPWA回線2を介して、情報処理装置30へ送信する。
このとき、第1~2の雨量センサ(21A、21B)、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)、及び角度センサ23はそれぞれ、各センサが設置された場所に関する情報である環境情報取得場所情報も一緒に、LPWA回線2を介して、情報処理装置30へ送信する。
【0127】
一方、情報処理装置30の環境情報受信部30Aは、第1~2の雨量センサ(21A、21B)、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)、及び角度センサ23が送信した、雨量情報、土壌水分情報及び傾斜角度情報を、各センサの環境情報取得場所情報と共に受信する。
また、情報処理装置30の環境情報記録部31Bは、環境情報受信部30Aが受信した、雨量情報、土壌水分情報及び傾斜角度情報と、各センサの環境情報取得場所情報を記録する。
【0128】
次に、情報処理装置30の推測環境情報特定部(推測雨量情報特定部32)は、第1~2の雨量センサ(21A、21B)それぞれが送信した雨量情報に基づいて、第1~2の雨量センサ(21A、21B)が雨量情報の取得を開始してから2時間先の雨量情報である推測雨量情報を特定する。
また、情報処理装置30の推測環境情報特定部は、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)それぞれが送信した土壌水分情報に基づいて、第1~2の土壌水分センサ(22A、22B)が土壌水分情報の取得を開始してから2時間先の土壌水分情報である推測土壌水分情報を特定する。
【0129】
また、情報処理装置30の推測環境情報特定部は、角度センサ23が送信した傾斜角度情報に基づいて、角度センサ23が傾斜角度情報の取得を開始してから2時間先の傾斜角度情報である推測傾斜角度情報を特定する。
また、情報処理装置30の推測環境情報特定部は、水位センサ24が送信した暗渠の水位情報に基づいて、水位センサ24が暗渠の水位情報の取得を開始してから2時間先の水位情報である推測水位情報を特定する。
【0130】
そして、情報処理装置30の優先避難居住者抽出部33は、推測雨量情報、推測土壌水分情報、推測傾斜角度情報または推測水位情報の中の少なくとも一つと、各センサの環境情報取得場所情報と、各センサの環境情報取得場所情報に対応した居住地域の、居住者情報記録部31が記録した居住者情報すなわち、第1の居住者宅11の居住者Aの情報と、第2の居住者宅12の居住者Bの情報と、第3の居住者宅13の居住者Cの情報それぞれの中の少なくとも居住者身体情報とに基づいて、優先して避難させるべき居住者を、居住者情報記録部31が記録した居住者情報に含まれる居住者すなわち居住者A、居住者B及び居住者Cの中から抽出する。
【0131】
例えば、情報処理装置30の推測環境情報特定部(推測雨量情報特定部32)が、第1の雨量センサ21Aが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報と、第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報とが同じである場合を想定する。
ここで、これら推測雨量情報は、災害発生基準を超えているものとする。
【0132】
また、このとき、第2の土壌水分センサ22Bが送信した土壌水分情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測土壌水分情報や、水位センサ24が送信した暗渠の水位情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測水位情報も、災害発生基準を超えているものとする。
【0133】
この場合、居住者Aの居住者身体情報は「健常者」であるから、優先避難居住者抽出部33は、居住者Aを抽出することはない。
一方、居住者Bの居住者身体情報は「歩行時に杖を使用する」であり、また、居住者Bの年齢が83と高齢であり女性ではあるが、居住者Cの居住者身体情報も「足を怪我しギプスを装着しており、歩行時に杖を使用する」であり、居住者Bより15歳も若く男性ではあるものの、居住者Cの居住地域地理情報が「粘性地質」であることと居住者Cの住所に対応した環境情報取得場所情報が山1の所在場所に相当し、推測土壌水分情報や推測水位情報にも基づくと、土砂災害発生の可能性が非常に高いため、優先避難居住者抽出部33は、優先して避難させるべき居住者として、居住者A、居住者B及び居住者Cの中から「居住者C」を抽出する。
【0134】
次に、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者Cの第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40へ、LPWA回線2を介して、避難催促情報を送信する。
【0135】
ここで、避難催促情報は、居住者情報記録部31が記録した居住者Cの居住者情報に基づいて作成されており、例えば「C田C助様、至急、第2の避難所へ避難してください。」という文字情報である。
【0136】
また、第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40の避難催促情報受信部41は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を受信する。
そして、戸別告知装置40の避難催促情報告知部42は、情報処理装置30の避難催促情報送信部34が送信した避難催促情報を、警告音を発しながら表示する。
【0137】
また、戸別告知装置40の避難催促情報告知部42が避難催促情報を表示したときに、戸別告知装置40の近く、すなわち戸別告知装置40から半径10m以内に誰もおらず、避難催促情報告知部42が表示した避難催促情報が居住者Cに伝わらない場合も予想される。
このような場合でも、第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40は人検知部43を有しているので、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40へ避難催促情報を送信してから例えば3分以内に戸別告知装置40の人検知部43から検知信号が送信されない場合、居住者Cが使用するスマートフォン50へ、インターネット回線3を介して避難催促情報を送信する。
【0138】
さらに、情報処理装置30の避難催促情報送信部34は、第3の居住者宅13に配置された戸別告知装置40へ避難催促情報を送信してから例えば3分以内に戸別告知装置40の人検知部43から検知信号が送信されない場合、第1のデジタルサイネージ61A及び第2のデジタルサイネージ61Bへも、LPWA回線2を介して避難催促情報を送信する。
【0139】
そして、スマートフォン50の避難催促情報受信部51が避難催促情報を受信して、スマートフォン50の避難催促情報告知部52が、避難催促情報を表示する。
また、第1のデジタルサイネージ61Aの避難催促情報受信部も避難催促情報を受信して、第1のデジタルサイネージ61Aの避難催促情報告知部が、避難催促情報を表示する。
さらに、第2のデジタルサイネージ61Bの避難催促情報受信部も避難催促情報を受信して、第2のデジタルサイネージ61Bの避難催促情報告知部が、避難催促情報を表示する。
【0140】
図3は、本発明を適用した情報伝達システムが備える情報処理装置の表示部が居住者情報を表示したときの様子の一例を示す概略図である。
【0141】
図3に示すように、甲町の町役場に配置された情報処理装置30が備える表示部35は、優先避難居住者抽出部33が抽出した居住者Cについての居住者情報例えば住所「甲町乙202番地1」と氏名「C田C助」、及び推測雨量情報特定部32が特定した推測雨量情報「2時間後50mm/H」を表示する。
また、情報処理装置30の表示部35は、居住者Cの居住地域に対応した環境情報取得場所情報を有する第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報も表示する。
【0142】
従って、町役場の災害担当者は一人であっても表示部35を見て、居住者Cが、優先して避難させるべき居住者であることが判り、居住者Cが使用するスマートフォン50に電話連絡して、推測雨量情報も含め、早い段階で避難が必要であることを伝達することができる。
【0143】
一方、例えば、情報処理装置30の推測環境情報特定部(推測雨量情報特定部32)が、第1の雨量センサ21Aが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報「2時間後60mm/H」の方が、第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報「2時間後40mm/H」よりも多い場合を想定する。
ここで、これら推測雨量情報は、災害発生基準を超えているものとする。
【0144】
また、このとき、第2の土壌水分センサ22Bが送信した土壌水分情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測土壌水分情報や、水位センサ24が送信した暗渠の水位情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測水位情報は、災害発生基準を超えていないものとする。
【0145】
この場合も、居住者Aの居住者身体情報は「健常者」であるから、優先避難居住者抽出部33は、居住者Aを抽出することはない。
また、居住者Cの居住者身体情報は「足を怪我しギプスを装着しており、歩行時に杖を使用する」であり、居住者Cの居住地域地理情報が「粘性地質」であることと居住者Cの住所に対応した環境情報取得場所情報が山1の所在場所に相当するが、居住者Bの居住地域に対応した環境情報取得場所情報を有する第1の雨量センサ21Aが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報の方が、居住者Cの居住地域に対応した環境情報取得場所情報を有する第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報よりも多いことから、居住者Bの居住地域における浸水被害発生の可能性の方が、居住者Cの居住地域における土砂災害発生の可能性よりも高いため、優先避難居住者抽出部33は、優先して避難させるべき居住者として、居住者A、居住者B及び居住者Cの中から「居住者B」を抽出する。
【0146】
また、抽出した後の流れは、避難催促情報を送信する相手が居住者Cではなく居住者Bである点以外は、居住者Cを抽出した場合と同じであるので説明を省略する。
【0147】
さらに例えば、情報処理装置30の推測環境情報特定部(推測雨量情報特定部32)が、第1の雨量センサ21Aが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報「2時間後60mm/H」の方が、第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報「2時間後55mm/H」よりもやや多い場合を想定する。
ここで、これら推測雨量情報は、災害発生基準を超えているものとする。
【0148】
また、このとき、第2の土壌水分センサ22Bが送信した土壌水分情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測土壌水分情報や、水位センサ24が送信した暗渠の水位情報に基づいて情報処理装置30の推測環境情報特定部が特定した推測水位情報は、災害発生基準を超えているものとする。
【0149】
この場合も、居住者Aの居住者身体情報は「健常者」であるから、優先避難居住者抽出部33は、居住者Aを抽出することはない。
また、居住者Bの居住地域に対応した環境情報取得場所情報を有する第1の雨量センサ21Aが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報の方が、居住者Cの居住地域に対応した環境情報取得場所情報を有する第2の雨量センサ21Bが送信した雨量情報に基づいて特定した推測雨量情報よりも多いものの、推測土壌水分情報や推測水位情報にも基づくと、居住者Cの居住地域に土砂災害が発生する可能性が非常に高いため、優先避難居住者抽出部33は、優先して避難させるべき居住者として、居住者A、居住者B及び居住者Cの中から「居住者C」を抽出する。
【0150】
以上のように、本発明の情報伝達システム10が備える情報処理装置30の優先避難居住者抽出部33によって、大雨災害の警戒レベルが上がる前に、大雨災害が発生した居住地域の居住者の中から老若男女を問わず、避難に時間を要することが予想されるため避難させる上で優先度が高い居住者を特定することができる。
【0151】
また、本発明の情報伝達システム10が備える情報処理装置30の避難催促情報送信部34と、本発明の情報伝達システム10が備える戸別告知装置40の避難催促情報告知部42とによって、優先して避難させるべき居住者である優先避難居住者に、避難が必要であることを伝達し易い。
【0152】
従って、本発明の情報伝達システム10は、居住者それぞれの動作に直接的に影響がある居住者身体情報に基づいて、避難させる優先度が高い居住者を特定するので、居住者それぞれの動作に適した避難を支援できる。
【符号の説明】
【0153】
1 山
2 LPWA回線
3 インターネット回線
4 川
10 情報伝達システム
11 第1の居住者宅
12 第2の居住者宅
13 第3の居住者宅
17 第1の避難所
18 第2の避難所
20 環境センサ
20A 環境情報取得部
20B 環境情報送信部
21A 第1の雨量センサ
21B 第2の雨量センサ
22A 第1の土壌水分センサ
22B 第2の土壌水分センサ
23 角度センサ
24 水位センサ
30 情報処理装置
30A 環境情報受信部
30B 環境情報記録部
30C 人検知信号受信部
30D デジタルサイネージ情報記録部
30E 衛星画像情報受信部
31 居住者情報記録部
32 推測雨量情報特定部
33 優先避難居住者抽出部
34 避難催促情報送信部
35 表示部
36 伝達情報受信部
37 伝達情報記録部
38 伝達情報送信部
40 戸別告知装置
41 避難催促情報受信部
42 避難催促情報告知部
43 人検知部
44 伝達情報受信部
45 伝達情報告知部
50 スマートフォン
51 避難催促情報受信部
52 避難催促情報告知部
53 伝達情報受信部
54 伝達情報告知部
60 デジタルサイネージ
60A 避難催促情報受信部
60B 避難催促情報告知部
60C 伝達情報受信部
60D 伝達情報告知部
61A 第1のデジタルサイネージ
61B 第2のデジタルサイネージ
70 SNSサーバ
図1
図2
図3