(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048075
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】コネクタモジュール
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20240401BHJP
H01R 24/40 20110101ALI20240401BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240401BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R24/40
H04N5/225 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153923
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】河西 孝英
【テーマコード(参考)】
5C122
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5C122DA14
5C122EA02
5C122EA57
5C122GE11
5C122GE14
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB20
5E021FC32
5E021LA06
5E021LA09
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB59
5E223AB67
5E223AC21
5E223AC23
5E223BA12
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5E223CA21
5E223CB24
5E223CB29
5E223CD01
5E223EA31
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB23
5E223GA08
5E223GA12
5E223GA19
5E223GA22
(57)【要約】
【課題】組み立てが容易で電磁波を遮断するコネクタモジュールを構成する。
【解決手段】コネクタモジュールCMは、接続ユニットAと、接続ユニットAを支持するケース1bとを備えている。接続ユニットAは、導電性の材料で成る軸状端子11と、導電性の材料を筒状に成形したシェル12と、軸状端子11の外周に配置された絶縁性の樹脂材料で成るホルダ13とを有している。ケース1bは、導電性の材料で成り、接続ユニットAを挿通状態で支持する挿通孔1cが壁部1wに形成されている。シェル12は外周面に半径方向の外方に突出した複数の突起12Tを有し、複数の突起12Tが挿通孔1cに圧入されることにより、複数の突起12Tが壁部1wの挿通孔1cの内周面に圧着されて、シェル12とケース1bとが電気的に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルの端部に接続可能な接続ユニットを備えているコネクタモジュールであって、
前記接続ユニットと、
前記接続ユニットを支持するケースとを備え、
前記接続ユニットは、導電性の材料で成る軸状端子と、前記軸状端子と同軸芯に配置され導電性の材料を筒状に成形したシェルと、前記軸状端子の外周に配置された絶縁性の樹脂材料で成るホルダとを有し、
前記ケースは、導電性の材料で成り、前記接続ユニットを挿通状態で支持する挿通孔が形成された壁部を有し、
前記シェルは、前記壁部の前記挿通孔に嵌め込まれる部位の外周面に、半径方向の外方に突出した複数の突起を有しており、
前記接続ユニットの前記シェルの前記突起が、前記壁部の前記挿通孔の内周面に圧入されることにより、前記シェルと前記ケースとが電気的に接続されるコネクタモジュール。
【請求項2】
前記シェルが、ダイキャスト成形により一体形成され、筒状のシェル本体と、前記突起と、前記突起より基端側において径方向外方に突出するフランジ状部とを有している請求項1に記載のコネクタモジュール。
【請求項3】
前記接続ユニットのうち前記壁部から突出する先端部の外側を取り囲む筒状ケース部を有するハウジングを更に備え、
前記ケースは、前記壁部において前記挿通孔の外側を取り囲む領域に複数の貫通孔を形成しており、
前記ハウジングが、型を用いた樹脂成形により一体形成された前記筒状ケース部と、前記筒状ケース部に連結するように前記貫通孔の内部に形成される架橋部とを有している請求項2に記載のコネクタモジュール。
【請求項4】
前記ホルダが、前記軸状端子をインサートするインサート成形の技術により形成されている請求項1に記載のコネクタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラモジュールに対して同軸ケーブルを接続するコネクタモジュールとして、樹脂等の絶縁材料で成るコネクタケースの挿通孔部に対し、樹脂等の絶縁材料で成るハウジングを嵌め込み、このハウジングの円筒空間の内部に端子モジュールを配置した構成が記載されている。
【0003】
端子モジュールは、導電性の中心導体と、この中心導体の外側に配置された導電性の筒状シェルと、これらの間に配置され絶縁体で成るホルダとを備えている。この端子モジュールでは、同軸ケーブルに接続する同軸コネクタのジャック側が挿入される等の接続形態により、中心導体が同軸ケーブルの内部導体と導通し、筒状シェルが同軸ケーブルの外部導体と導通する。
【0004】
この特許文献1のコネクタモジュールは、端子モジュールの筒状シェルのうち、コネクタケースの内側の外周位置にシールドケースを配置しており、筒状シェルとシールドケースとが導通している。
【0005】
特許文献2には、コネクタケース(文献ではケース部)が、アルミ合金のダイキャストであり、外方に突出する筒状の嵌合部が一体的に形成されている。嵌合部の内部空間に端子モジュール(文献では外部接続コネクタ)を配置するため、嵌合部の内部に形成された隔壁を貫通して端子モジュールが挿通する空間が形成されている。
【0006】
この特許文献2では、隔壁の内周に凹部が形成され、端子モジュール(文献では外部接続コネクタ)の基端側(ケースの内部側)の外周には、隔壁の内周の凹部に嵌合可能な嵌合突起が形成されている。凹部に嵌合突起が嵌まることにより外部接続コネクタがケース部に支持される。
【0007】
特許文献3には、特許文献2と同様に、コネクタケース(文献ではケース部)が、アルミ合金のダイキャストであり、コネクタケースに筒状の嵌合部が一体的に形成され、嵌合部の内部の隔壁を端子モジュール(文献では外部接続コネクタ)が挿通する構成が記載されている。特に、この特許文献3では、隔壁に形成されたネジ孔に端子モジュールが螺合により締結する構成が記載されている。
【0008】
特許文献4では、同軸ケーブルが接続する端子モジュール(文献ではコネクタ本体)が、中心位置のコンタクトと、筒状のシェルと、これらの間に介在するインシュレータとを備えており、コネクタケース(文献ではリアケース)のコネクタ挿入部の内周に接続用リブを形成した構成が記載されている。
【0009】
また、この特許文献4では、シェルとリアケースが導電性金属で形成され、シェルに形成された接続用フランジを、リアケースに形成された接続用リブに押圧することにより、塑性変形によりこれらが導通する状態で圧接する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2021-166161号公報
【特許文献2】特開2018-107097号公報
【特許文献3】特開2018-98069号公報
【特許文献4】特開2019-53943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
コネクタモジュールは、同軸ケーブル等の通信ケーブルと、カメラモジュール等の接続対象とを接続する機能を必要とするだけでなく、外部からの電磁波を遮断する機能も必要とする。このような理由から、特許文献1に記載されるようコネクタケースの内部にシールドを備える構成も採用される。しかしながら、特許文献1のように、コネクタケースの内部にシールドケースを備える構成では、部品点数の増大を招くだけでなく、シールドケースを筒状シェルに導通させる構成が必要となり、構造の複雑化が懸念される。
【0012】
ここで特許文献1に記載されるように、コネクタケースに第一円筒状部を有するハウジングを備え、このコネクタケースに対して端子モジュールを支持する構成を考えると、この構成では、組み立て工程の増大を招くことが考えられ、コネクタケースに対し端子モジュールを強固に取り付けるために、部品の強度向上を必要とする不都合を招くことも想像できた。
【0013】
このような不都合を解消するため、特許文献2,3に記載される構成を考えると、これらの構成は、アルミニウムで成るケース部に嵌合、又は、螺合によって端子モジュールを支持するため、特許文献1と比較して、製造時の工程数の低減や部品点数の低減を可能にする。しかしながら、特許文献2の構成では嵌合精度を高くするために加工精度の向上を必要とし、特許文献3の構成では組み立て時に回転を必要とするため、タクトタイムを長くすることや、専用の治具を必要とすることが想像できた。
【0014】
更に、前述した不都合を解消するため、特許文献4の構成を考えると、この特許文献4の構成では、接続用フランジと接続用リブとの押圧を必要とするため、接続用フランジと接続用リブとを挟み込み、カシメを行うための専用の工具を必要とすることが想像できた。
【0015】
このように、特許文献1~4に記載される構成は、コネクタモジュールとして必要な性能を有するもの、加工や製造に手間が掛かるものであった。
【0016】
このような理由から、組み立てが容易で、電磁波の遮断も可能なコネクタモジュールが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るコネクタモジュールの特徴構成は、通信ケーブルの端部に接続可能な接続ユニットを備えているコネクタモジュールであって、前記接続ユニットと、前記接続ユニットを支持するケースとを備え、前記接続ユニットは、導電性の材料で成る軸状端子と、前記軸状端子と同軸芯に配置され導電性の材料を筒状に成形したシェルと、前記軸状端子の外周に配置された絶縁性の樹脂材料で成るホルダとを有し、前記ケースは、導電性の材料で成り、前記接続ユニットを挿通状態で支持する挿通孔が形成された壁部を有し、前記シェルは、前記壁部の前記挿通孔に嵌め込まれる部位の外周面に、半径方向の外方に突出した複数の突起を有しており、前記接続ユニットの前記シェルの前記突起が、前記壁部の前記挿通孔の内周面に圧入されることにより、前記シェルと前記ケースとが電気的に接続される点にある。
【0018】
この特徴構成によると、ケースの挿通孔に、接続ユニットを圧入することにより、シェルの外面の複数の突起が、挿通孔の内周面に圧着され、シェルとケースとを電気的に接続するだけでなく、ケースと接続ユニットとを強固な連結状態に維持する。これにより、ケースからシェルに亘る部位をシールドとして機能させ、ケースと接続ユニットとを強固な連結状態に維持する。また、接続ユニットの圧入は、比較的広い空間内で行えるため専用の工具を必要としないものであり、製造時のタクトタイムを長くすることもない。従って、組み立てが容易で、電磁波の遮断も可能なコネクタモジュールが構成された。更に、この構成では、ケースとシェルとの間で良好な熱伝導を行い、放熱面積を拡大して、良好な放熱も実現する。
【0019】
上記構成に加えた構成として、前記シェルが、ダイキャスト成形により一体形成され、筒状のシェル本体と、前記突起と、前記突起より基端側において径方向外方に突出するフランジ状部とを有しても良い。
【0020】
これによると、例えば、シェルを金属材の旋盤加工によって製造するものと比較すると、フランジ状部が大径であっても素材の無駄がなく、シェル本体、突起、フランジ状部の夫々を一体形成できる。
【0021】
上記構成に加えた構成として、前記接続ユニットのうち前記壁部から突出する先端部の外側を取り囲む筒状ケース部を有するハウジングを更に備え、前記ケースは、前記壁部において前記挿通孔の外側を取り囲む領域に複数の貫通孔を形成しており、前記ハウジングが、型を用いた樹脂成形により一体形成された前記筒状ケース部と、前記筒状ケース部に連結するように前記貫通孔の内部に形成される架橋部とを有しても良い。
【0022】
これによると、樹脂によってケースの壁部の外面に筒状ケース部を形成し、ケースに形成された貫通孔の内部に筒状ケース部と規制部とを連結する架橋部を形成できる。その結果、ケースに対してハウジングを抜け止め状態に支持すると共に、ハウジング全体を回転不能する。
【0023】
上記構成に加えた構成として、前記ホルダが、前記軸状端子をインサートするインサート成形の技術により形成されても良い。
【0024】
これによると、軸体の外周と、シェルの内周との間に樹脂が配置されるため、軸体と、シェルとを電気的な絶縁状態に維持すると共に、軸体と、シェルとを一体化することが可能となる。また、このように樹脂を充填する際に金型内で軸体の位置を決めることにより、軸体の位置精度を高めることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】カメラユニットとコネクタモジュールの構成の概要を示す図である。
【
図2】接続ユニットとレセプタクルの分解斜視図である。
【
図3】フロントケースとリアケースとが分離する状態の接続ユニットとレセプタクルの断面図である。
【
図4】フロントケースとリアケースとが連結された状態の接続ユニットとレセプタクルの断面図である。
【
図5】挿通孔の内周面に圧入した突起を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、カメラケース1のリアケース1b(ケースの一例)と、接続ユニットAと、ハウジングBとを備えてコネクタモジュールCMが構成されている。
【0027】
コネクタモジュールCMは、自動車等の車体に搭載されるカメラユニットD(車載カメラ)の撮影画像情報を同軸ケーブルL(通信ケーブルの一例)に送り出す同軸ケーブルLに電気的に接続可能な構成を有する。この実施形態では、同軸ケーブルLで送られる撮影画像情報は、モニタ(図示せず)に表示される、あるいは、ストレージ(図示せず)に記憶される。同軸ケーブルLで送られる撮影画像情報は、モニタに単純に表示するだけでなく、画像解析によって運転支援に利用するためにフィードバックされることや、ECUにおいて必要な処理の後にモニタに表示することや、駐車時においてアシストを行うために利用される。
【0028】
図1に示すように、カメラユニットDは、カメラケース1と、カメラケース1に収容されるカメラモジュール2とを有している。カメラモジュール2は、撮像レンズ2aと、撮像レンズ2aからの撮像画像が結像する撮像素子2bと、画像を所定の画像形式(動画を含む)に変換して送り出す基板2cとを備えており、この基板2cにレセプタクルEが備えられている。
【0029】
カメラケース1は、箱状であり、カメラモジュール2を収容するフロントケース1aと、接続ユニットAを備えたリアケース1bとに分割可能に構成されている。カメラモジュール2の基板2cにレセプタクルEを備えており、フロントケース1aの開口部1asと、リアケース1bの開口部1bsとを接合するように、夫々を連結することにより、
図4に示すように、接続ユニットAとレセプタクルEとが接続(具体的な接続形態は後述する)される。これにより、カメラユニットDの撮影画像情報が同軸ケーブルLに伝えられる。
【0030】
フロントケース1aとリアケース1bとは、アルミダイキャストやアルミニウムの冷間鍛造により形成され、夫々の開口部分を接合することにより密封状態のカメラケース1が作り出される。
【0031】
図1~
図4に示すように、コネクタモジュールCMは、ハウジングBの筒状ケース部21に対し、同軸ケーブルLの端部に備えた端部コネクタLaを挿入することにより、同軸ケーブルLの中心導体5に接続ユニットAの軸状端子11が電気的に接続され、同軸ケーブルLの外部導体6と接続ユニットAのシェル12とが電気的に導通する。
【0032】
端部コネクタLaとしてジャック型のコネクタが用いられる。また、このコネクタモジュールCMでは、筒状ケース部21に挿入された端部コネクタLaの抜け止めを行うためのロック機構を用いることも可能である。
【0033】
〔コネクタモジュール:接続ユニット〕
図2~
図4に示すように、接続ユニットAは、亜鉛のように導電性の金属材料を用いてダイキャスト成形された軸状端子11と、軸状端子11と同軸芯で配置され、導電性の金属材料で成る筒状のシェル12と、軸状端子11の外周からシェル12の内周に亘る領域に配置される絶縁性の樹脂材料で成るホルダ13とを備えている。
【0034】
軸状端子11をインサートする形態で樹脂により軸状端子11と一体化したホルダ13が形成され、このように軸状端子11と一体化したホルダ13が、シェル12に圧入され、この圧入後、シェル12を回転させる状態で、このシェル12の底部を加締めるハイスピン加締めにより抜け止め状態となり接続ユニットAが形成される。これにより、軸状端子11とホルダ13とシェル12とが一体化される。また、接続ユニットAのインピーダンス整合を図るために、軸状端子11には大径領域11aが形成されている。
【0035】
図4に示すように、軸状端子11の中心を中心軸Xとした場合に、シェル12は中心軸Xと同軸芯に配置される。
【0036】
図2、
図3に示すように、リアケース1bは、このリアケース1bの開口部1bsと対向する位置の壁部1wの中央位置に、単一の挿通孔1cが形成されている。この挿通孔1cに対し、接続ユニットAがリアケース1bの内部側(開口部1bsの側)から挿入(具体的には後述するように圧入)されることにより、この接続ユニットAがリアケース1bに支持される。この支持状態において、接続ユニットAの先端部(突出側の端部)がリアケース1bの壁部1wの外面から突出する。また、この支持状態では、接続ユニットAの中心軸Xが、挿通孔1cの中心と一致する。
【0037】
リアケース1bの壁部1wには、挿通孔1cの外側を取り囲む領域で、挿通孔1cより径外方向で中心軸Xから等距離となる位置に複数(4つ)の貫通孔1dが形成されている。更に、リアケース1bは、このリアケース1bとフロントケース1aを連結するため、
図4に示す連結用ビス3が挿通するビス孔1eが形成されている。
【0038】
接続ユニットAは、リアケース1bの内部から外部に亘る領域に配置されるため、この接続ユニットAのうち、リアケース1bの壁部1wから外部に露出する部位を先端側と称し、リアケース1bの内部にある領域を基端側と称することもある。
【0039】
シェル12は、亜鉛のように導電性の金属材料を用いたダイキャスト成形により、筒状のシェル本体12aと、このシェル本体12aの基端側の外周の第1大径部12bと、第1大径部12bに隣接した第2大径部12cと、第2大径部12cより基端側のフランジ状部12dとが一体形成されている。フランジ状部12dは、中心軸Xを中心に半径方向の外方に突出する板状であり、
図2に示すように外周の複数箇所に切欠部12Sが切り欠き状に形成されている。また、第1大径部12bと、第2大径部12cとの境界の段差部分には中心軸Xに直交する段差面12pが形成されている。
【0040】
シェル12の第2大径部12cの外周面は、挿通孔1cの内周面に圧入される複数の突起12Tが形成されている。突起12Tは、シェル12の半径方向の外方に突出し、シェル12の中心軸Xに沿う方向に延びる姿勢で、挿入方向の下流側(
図2~
図4で上側)が先細りで挿入方向の上流側が中心軸Xに直交する姿勢となる砲弾形に成形されている(
図5を参照)。
【0041】
このように突起12Tが砲弾形に形成されるため、挿通孔1cに対する接続ユニットA(シェル12)の圧入を容易に行わせ、
図5に示すように突起12Tがリアケース1bの挿通孔1cの内周面に対して食い込むように強く圧着されることにより、リアケース1bに対し接続ユニットAを確実かつ強固に固定し、リアケース1bに対する接続ユニットAの中心軸Xを中心にした回転も阻止する。
【0042】
更に、シェル12を挿通孔1cに圧入することにより、前述したように突起12Tがリアケース1bの挿通孔1cの内周面に対して食い込むように強く圧着されることから、リアケース1bとシェル12とを電気的に導通させて良好なシールド状態を作り出し、ノイズの影響を抑制する。また、リアケース1bと接続ユニットAとの間で良好な熱伝導を行わせ、放熱面積を拡大して良好な放熱も実現する。
【0043】
図3に示すように、接続ユニットAは、リアケース1bに支持された状態において、シェル本体12aと、第1大径部12bとが挿通孔1cより外方(
図4では上側)に突出し、第2大径部12cの外周の突起12Tが挿通孔1cの内周面に圧着される。
【0044】
〔コネクタモジュール:ハウジング〕
ハウジングBは、金型を用いた樹脂成形によりリアケース1bに一体形成される。この樹脂成形の後に、ハウジングBの内部に接続ユニットAが圧入される。
【0045】
このようにハウジングBが形成されることにより、
図3、
図4に示すように、リアケース1bの壁部1wの外面で接続ユニットAのシェル12を取り囲む領域に中心軸Xとする筒状ケース部21が形成される。また、リアケース1bの壁部1wの内面でフランジ状部12dから壁部1wの内面に亘る空間に規制部22が形成される。この規制部22は、リアケース1bにハウジングBを一体的に形成する際に樹脂が注入されるゲートの位置であり、このゲートに重複する位置にシェル12のフランジ状部12dの外周の切欠部12Sが配置される。また、ゲートは、架橋部23に樹脂を流す流路となるため、規制部22と、シェル12のフランジ状部12dとは所定の肉厚で形成される。架橋部23は、筒状ケース部21と、規制部22とを連結するように複数の貫通孔1dの内部に形成される。
【0046】
図3、
図4に示すように、ハウジングBの筒状ケース部21は、リアケース1bの外面に沿う領域にプレート部21aを一体的に形成している。このプレート部21aのうち、筒状ケース部21の内周に形成される部位が、シェル12の第1大径部12bと第2大径部12cとの境界の段差面12pを覆う位置に配置される。
【0047】
〔レセプタクル〕
図2、
図3に示すように、レセプタクルEは、基板2cに支持される導電性の金属材(例えば、銅合金)で成る筒状コンタクト31と、この筒状コンタクト31に内嵌する絶縁性の樹脂で成るコンタクトケース32と、このコンタクトケース32の内部に配置され、基板2cに支持される導電性の金属材(例えば、銅合金)から成る圧着コンタクト33とを備えている。
【0048】
筒状コンタクト31は、基板2cのグランド電位のプリント配線に対してハンダ付けにより導通する。コンタクトケース32は、基板2cと反対側(接続ユニットAの側)の外周に中心軸Xに対して傾斜する傾斜姿勢の案内面32aが形成される。
【0049】
圧着コンタクト33は、接続ユニットAの軸状端子11の基端側を挟み込むように互いに接近する構造の一対の圧着片33aを有し、基板2cとの信号線側のプリント配線に対してハンダ付けにより導通する。この圧着コンタクト33の一対の圧着片33aはバネ性を有し、レセプタクルEにリアケース1bが接近した場合に、接続ユニットAの軸状端子11の基端部を一対の圧着片33aが挟み込む状態で接触することにより、軸状端子11と電気的に導通する状態に達する。
【0050】
図2、
図3に示すように、接続ユニットAは、シェル12を筒状コンタクト31に導通させる接続体35を備えている。この接続体35は、シェル12の基端側に外嵌状態で固定されるリング部35aと、このリング部35aからフランジ状部12dの外周に向けて延出される複数の第1接触片35bと、リング部35aから筒状コンタクト31の外面に向けて延出される複数の第2接触片35cとを備えている。
【0051】
リング部35aと、複数の第1接触片35bと、複数の第2接触片35cとは、導電性の金属材(例えば、銅合金)が用いられ、これらが互いに導通するように一体的に形成されている。複数の第1接触片35bは、シェル12のフランジ状部12dのうちリアケース1bの壁部1wと反対側の面に接触する状態を維持できるようにバネ性を有しており、中心軸Xに沿う方向視において中心軸Xを中心に放射状に拡がる姿勢で形成されている(
図2参照)。
【0052】
複数の第2接触片35cは、一端側をリング部35aに支持し、筒状コンタクト31の外周に外側から圧接するようにバネ性を有しており、レセプタクルEにリアケース1bが接近した場合に、コンタクトケース32の案内面32aに複数の第2接触片35cの外端側が中心軸Xから離間する方向に柔軟に変形した後に、バネ性により筒状コンタクト31に接触する。
【0053】
〔セットアップ形態〕
このような構成のため、コネクタモジュールCMにおいて、
図4に示すように、カメラユニットDのフロントケース1aの開口部1asとリアケース1bとの開口部1bsとを密着させ連結用ビス3によってこれらを固定する際に、夫々のケースを相対的に接近させる。これにより、レセプタクルEの圧着コンタクト33の一対の圧着片33aに接続ユニットAの軸状端子11が挟み込まれ、圧着コンタクト33と軸状端子11とが接触して電気的に導通する。その結果、基板2cの信号ラインが軸状端子11に導通する状態に達する。
【0054】
これと同時に、コネクタモジュールCMにおいては、レセプタクルEの筒状コンタクト31の外周面に接続体35の複数の第2接触片35cが接触することにより、基板2cのグランドと、接続ユニットAのシェル12とが電気的に導通する状態に達する。
【0055】
コネクタモジュールCMは、ハウジングBの筒状ケース部21に対して同軸ケーブルLの端部コネクタLaを挿入することにより、同軸ケーブルLの中心導体5と、接続ユニットAの軸状端子11とが電気的に導通し、同軸ケーブルLの外部導体6と、接続ユニットAのシェル12とが電気的に導通する。
【0056】
これにより、基板2cの信号ラインが同軸ケーブルLの中心導体5に導通し、基板2cのグランドが同軸ケーブルLの外部導体6に導通し、カメラユニットDの撮影画像情報を同軸ケーブルLに送り出すことが可能となる。
【0057】
〔実施形態の作用効果〕
コネクタモジュールCMでは、軸状端子11と一体化した樹脂で成るホルダ13が、シェル12に圧入され、この圧入後、シェル12を回転させる状態で、このシェル12の底部を加締めるハイスピン加締めにより抜け止め状態にして、軸状端子11と、シェル12と、ホルダ13とが一体化した接続ユニットAを作り出しており、このように一体化した接続ユニットAをリアケース1bの壁部1wに形成された挿通孔1cに圧入固定することにより、シェル12とリアケース1bとの相対的な位置の固定を実現している。
【0058】
シェル12の外周面に形成された複数の突起12Tは、シェル12の半径方向の外方に突出し、シェル12の中心軸Xに沿う方向に延びる姿勢で、挿入方向の下流側が先細りで挿入方向の上流側が中心軸Xに直交する姿勢となる砲弾形である。これにより、リアケース1bの壁部1wに形成された挿通孔1cへの圧入を容易にすると共に、リアケース1bに対する接続ユニットAの固定を確実に行う。特に、このように複数の突起12Tがリアケース1bの挿通孔1cの内周面に対して強く圧着されることにより、接続ユニットAとリアケース1bとの位置関係を固定するだけでなく、リアケース1bとシェル12とを電気的に導通させ良好なシールド状態を作り出し、ノイズの影響を抑制する。また、この構成では、シェル12とリアケース1bとの間で良好な熱伝導を行わせ、放熱効果も得る。
【0059】
シェル12は、ダイキャスト成形により、シェル本体12a、第1大径部12b、第2大径部12c、第2大径部12cの外面の複数の突起12T、及びフランジ状部12dが一体的に形成されるため、例えば、金属材料を旋盤加工により成形するものと比較して、材料の無駄を低減する。
【0060】
ハウジングBは、絶縁性の樹脂を用いて、リアケース1bの壁部1wの外面に形成される筒状ケース部21と、複数の貫通孔1dの内部に形成される架橋部23とで構成される。これにより、リアケース1bに対して筒状ケース部21が確実に固定される。
【0061】
更に、基板2cにレセプタクルEを備え、このレセプタクルEを構成する筒状コンタクト31、圧着コンタクト33等を中心軸Xと同軸芯に配置することにより、カメラユニットDのフロントケース1aとリアケース1bとの開口部1as,1bsを密着させる状態で連結する際に、接続ユニットAと基板2cの所定の回路とを導通させ、カメラユニットDの撮影画像情報を同軸ケーブルLに伝える状態にすることが可能となる。
【0062】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0063】
(a)突起12Tの形状は、砲弾形に限るものではなく、中心軸Xに沿う姿勢の棒状であって良く、第2大径部12cの周方向に沿う弧状であっても良い。また、第2大径部12cの外面を粗面に仕上げた構造でも良い。
【0064】
(b)シェル12の形状として、例えば、ストレートに形成されたシェル本体12aの端部にフランジ状部12dを形成し、シェル本体12aの外面に複数の突起12Tを形成する等、突起12Tの形成箇所は、リアケース1bの挿通孔1cの位置に対応した任意の位置に形成することが可能である。
【0065】
(c)コネクタモジュールCMを、カメラ以外の機器において通信ケーブルを接続する部位に備える。
【0066】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、コネクタモジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1b リアケース(ケース)
1c 挿通孔
1w 壁部
11 軸状端子
12 シェル
12a シェル本体
12d フランジ状部
12T 突起
13 ホルダ
21 筒状ケース部
23 架橋部
A 接続ユニット
B ハウジング
CM コネクタモジュール
L 同軸ケーブル(通信ケーブル)
X 中心軸