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特開2024-4808プレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004808
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/01 20060101AFI20240110BHJP
   B21D 39/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B21D5/01 Q
B21D39/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104652
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】500419218
【氏名又は名称】株式会社吉野機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【弁理士】
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡部 太一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 武司
(72)【発明者】
【氏名】吉野 靖将
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063BA07
4E063CA07
4E063KA15
4E063MA04
(57)【要約】
【課題】溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができるプレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械を提供すること。
【解決手段】
第1の態様のプレス曲げ加工管製造方法は、曲げ加工することにより形成された中間状態にある金属の板材50を接合状態にするための接合工程を含む。接合工程は、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2とを近づける力を中間状態の板材50に外側から印加することにより、間隙54が狭くされた接合状態の板材50を製造することを含む。接合状態において、第2の対向壁62が第1の対向壁61と阻止壁63との間に位置していることにより、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間隔を広げる動きが抑制される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工することにより形成された中間状態にある金属の板材を接合状態にすることを含む、プレス曲げ加工管製造方法であって、
前記板材が、第1の端縁と第2の端縁とをもち、
前記中間状態の前記板材が、前記第1の端縁と前記第2の端縁とに平行な、前記曲げ加工された複数の加工帯を含み、
前記複数の加工帯が、
第1の隣接帯と、
第2の隣接帯と、
前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第1の端縁との間に位置する内部屈曲帯と、
前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間に位置する4つの角帯と、
を含み、
前記中間状態の前記板材が、前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間に間隙を設けた状態で管状に形成されており、
前記中間状態の前記板材が、4つの前記角帯において前記中間状態の前記板材の外側に向かって凸状に曲げられた形状をもち、
前記中間状態の前記板材が、
前記第1の隣接帯と前記内部屈曲帯との間に延びた第1の対向壁と、
前記内部屈曲帯と前記第1の端縁との間に延びた阻止壁と、
前記第2の隣接帯と前記第2の端縁との間に延びた第2の対向壁と、
を備え、
前記第1の対向壁が、前記間隙から前記中間状態の前記板材の内側に向かって延びており、
前記第2の対向壁が、前記間隙から前記中間状態の前記板材の内側に向かって延びており、
前記阻止壁が、前記内部屈曲帯から前記中間状態の前記板材の外側に向かって延びており、
前記加工帯に直交する断面において、前記阻止壁の長さが前記第1の対向壁より短く、
前記中間状態の前記板材の前記阻止壁の少なくとも一部が、前記第1の対向壁と前記第2の対向壁との間に位置しており、
前記プレス曲げ加工管製造方法が、接合工程を含み、
前記接合工程が、前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯とを近づける力を前記中間状態の前記板材に外側から印加することにより、前記間隙が狭くされた前記接合状態の前記板材を製造することを含み、
前記接合状態において、前記第2の対向壁が前記第1の対向壁と前記阻止壁との間に位置していることにより、前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間隔を広げる動きが抑制される、
プレス曲げ加工管製造方法。
【請求項2】
4つの前記角帯が、前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間において前記第1の隣接帯に近い側から順に並んだ第1の角帯と第2の角帯と第3の角帯と第4の角帯とを含み、
前記接合工程が、接合金型を使用して実行され、
前記接合金型が、
第1の押圧部と、
第2の押圧部と、
前記第1の押圧部を前記第2の押圧部に向けて相対的に移動させるための駆動部材と、
を備え、
前記接合工程が、前記第1の角帯と前記第2の角帯との間の少なくとも一部を前記第2の押圧部に接触させるとともに、前記第3の角帯と前記第4の角帯との間の少なくとも一部を前記第1の押圧部に接触させた状態で、前記第1の押圧部を前記第2の押圧部に向けて相対的に移動させることにより、前記板材を前記中間状態から前記接合状態に遷移させることを含む、
請求項1に記載のプレス曲げ加工管製造方法。
【請求項3】
前記第1の押圧部が、支持部材と可動部材とを備え、
前記支持部材が、前記第2の押圧部に対向して位置する支持面を備え、
前記可動部材が、前記支持面に固定可能に構成されており、
前記支持面に対する前記可動部材の固定位置が変更可能であるように、前記支持部材と前記可動部材とが相互に固定可能に構成されており、
前記可動部材と前記第2の押圧部との距離が、前記支持部材と前記第2の押圧部との距離よりも小さく、
前記接合工程において、前記可動部材が前記板材に接触し、
前記接合工程において、前記支持部材が前記板材に接触しない、
請求項2に記載のプレス曲げ加工管製造方法。
【請求項4】
曲げ加工することにより形成された中間状態にある金属の板材を接合状態にするために使用される接合金型であって、
前記板材が、第1の端縁と第2の端縁とをもち、
前記中間状態の前記板材が、前記第1の端縁と前記第2の端縁とに平行な、前記曲げ加工された複数の加工帯を含み、
前記複数の加工帯が、
第1の隣接帯と、
第2の隣接帯と、
前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第1の端縁との間に位置する内部屈曲帯と、
前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間に位置する4つの角帯と、
を含み、
前記中間状態の前記板材が、前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間に間隙を設けた状態で管状に形成されており、
前記中間状態の前記板材が、4つの前記角帯において前記中間状態の前記板材の外側に向かって凸状に曲げられた形状をもち、
前記中間状態の前記板材が、
前記第1の隣接帯と前記内部屈曲帯との間に延びた第1の対向壁と、
前記内部屈曲帯と前記第1の端縁との間に延びた阻止壁と、
前記第2の隣接帯と前記第2の端縁との間に延びた第2の対向壁と、
を備え、
前記第1の対向壁が、前記間隙から前記中間状態の前記板材の内側に向かって延びており、
前記第2の対向壁が、前記間隙から前記中間状態の前記板材の内側に向かって延びており、
前記阻止壁が、前記内部屈曲帯から前記中間状態の前記板材の外側に向かって延びており、
前記加工帯に直交する断面において、前記阻止壁の長さが前記第1の対向壁より短く、
前記中間状態の前記板材の前記阻止壁の少なくとも一部が、前記第1の対向壁と前記第2の対向壁との間に位置しており、
4つの前記角帯が、前記板材に沿った位置関係において前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯との間において前記第1の隣接帯に近い側から順に並んだ第1の角帯と第2の角帯と第3の角帯と第4の角帯とを含み、
前記接合金型が、前記第1の隣接帯と前記第2の隣接帯とを近づける力を前記中間状態の前記板材に外側から印加することにより、前記間隙が狭くされた前記接合状態の前記板材を製造するためのものであり、
前記接合金型が、
前記第3の角帯と前記第4の角帯との間の少なくとも一部を押圧するための第1の押圧部と、
前記第1の角帯と前記第2の角帯との間の少なくとも一部を押圧するための第2の押圧部と、
前記板材を前記中間状態から前記接合状態に遷移させるために前記第1の押圧部を前記第2の押圧部に向けて相対的に移動させることができる駆動部材と、
を備え、
前記第1の押圧部が、支持部材と可動部材とを備え、
前記支持部材が、前記第2の押圧部に対向して位置する支持面を備え、
前記可動部材が、前記支持面に固定可能に構成されており、
前記支持面に対する前記可動部材の固定位置が変更可能であるように、前記支持部材と前記可動部材とが相互に固定可能に構成されており、
前記可動部材と前記第2の押圧部との距離が、前記支持部材と前記第2の押圧部との距離よりも小さい、
接合金型。
【請求項5】
請求項4に記載の接合金型を備える、プレス機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
丸パイプや角パイプに代表される市販の金属管が建築資材や構造物フレームなどに広く用いられている。現場で組み立てて使用される金属管は、組立用のボルト孔などを適宜のピッチで管長方向に形成するために、現場で組み立てる前に予め工場において前加工される場合が多々ある。しかし、そうしたボルト孔などを出来合いの市販の金属管に孔開け加工することは厄介で面倒である。そのため、市販の金属管に代えて平板を用意し、所要の孔開け加工などを施した後、ロール成形又はプレス成形などによる曲げ成形を行って角パイプなどに仕上げる手法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-92212号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、平板を曲げ成形して管にする場合、管長方向に延びた長い合わせ目の端面同士を溶接してシームレスパイプ状に接合する必要がある(例えば特許文献1参照)。しかし、用いる平板がカラー鋼板の場合、合わせ目を溶接すると熱でカラー表面が焦げて甚だ美観や品質を損ね、また時には管体が熱変形してしまう場合がある。溶接で焦げた部分を塗装などして修復し、あるいは変形を矯正などすればそれだけ手間や時間の作業コストがかかり、管製品コストに反映する不都合がある。
【0005】
サイズなどの仕様が規定された市販の金属管を用いる場合に比べると、平板に所要の前加工を施してから角パイプなどに成形する手法は、合わせ目の接合における前述の不具合を解消できれば、使い勝手や自由度が格段に高まる利点がある。ただし、単に接合部の合わせ目を近づけてパイプを作るだけでは、スプリングバックにより合わせ目が開くおそれがあるため、何らかの工夫が必要とされる。
【0006】
本発明の目的のうちの1つは、溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができるプレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様のプレス曲げ加工管製造方法は、曲げ加工することにより形成された中間状態にある金属の板材を接合状態にすることを含む、プレス曲げ加工管製造方法であって、板材が、第1の端縁と第2の端縁とをもち、中間状態の板材が、第1の端縁と第2の端縁とに平行な、曲げ加工された複数の加工帯を含み、複数の加工帯が、第1の隣接帯と、第2の隣接帯と、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第1の端縁との間に位置する内部屈曲帯と、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第2の隣接帯との間に位置する4つの角帯と、を含み、中間状態の板材が、第1の隣接帯と第2の隣接帯との間に間隙を設けた状態で管状に形成されており、中間状態の板材が、4つの角帯において中間状態の板材の外側に向かって凸状に曲げられた形状をもち、中間状態の板材が、第1の隣接帯と内部屈曲帯との間に延びた第1の対向壁と、内部屈曲帯と第1の端縁との間に延びた阻止壁と、第2の隣接帯と第2の端縁との間に延びた第2の対向壁と、を備え、第1の対向壁が、間隙から中間状態の板材の内側に向かって延びており、第2の対向壁が、間隙から中間状態の板材の内側に向かって延びており、阻止壁が、内部屈曲帯から中間状態の板材の外側に向かって延びており、加工帯に直交する断面において、阻止壁の長さが第1の対向壁より短く、中間状態の板材の阻止壁の少なくとも一部が、第1の対向壁と第2の対向壁との間に位置しており、プレス曲げ加工管製造方法が、接合工程を含み、接合工程が、第1の隣接帯と第2の隣接帯とを近づける力を中間状態の板材に外側から印加することにより、間隙が狭くされた接合状態の板材を製造することを含み、接合状態において、第2の対向壁が第1の対向壁と阻止壁との間に位置していることにより、第1の隣接帯と第2の隣接帯との間隔を広げる動きが抑制される。
【0008】
第1の態様によれば、第1の隣接帯と第2の隣接帯とが近づくときに、第2の対向壁と阻止壁とが押し合うことにより板材が弾性変形し、第2の対向壁が阻止壁を乗り越え、第2の対向壁が第1の対向壁と阻止壁との間に移動するように力が印加される。結果として第1の隣接帯と第2の隣接帯との間隔を広げる動きが抑制される。すなわち、本態様によれば溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができる。
【0009】
第2の態様のプレス曲げ加工管製造方法は、4つの角帯が、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第2の隣接帯との間において第1の隣接帯に近い側から順に並んだ第1の角帯と第2の角帯と第3の角帯と第4の角帯とを含み、接合工程が、接合金型を使用して実行され、接合金型が、第1の押圧部と、第2の押圧部と、第1の押圧部を第2の押圧部に向けて相対的に移動させるための駆動部材と、を備え、接合工程が、第1の角帯と第2の角帯との間の少なくとも一部を第2の押圧部に接触させるとともに、第3の角帯と第4の角帯との間の少なくとも一部を第1の押圧部に接触させた状態で、第1の押圧部を第2の押圧部に向けて相対的に移動させることにより、板材を中間状態から接合状態に遷移させることを含む、第1の態様のプレス曲げ加工管製造方法である。
【0010】
第2の態様によれば、第1の押圧部を第2の押圧部に向けて相対的に移動させるという簡単な動作により、溶接せずに4つの角帯をもつ接合状態の板材を製造することができる。
【0011】
第3の態様のプレス曲げ加工管製造方法は、第1の押圧部が、支持部材と可動部材とを備え、支持部材が、第2の押圧部に対向して位置する支持面を備え、可動部材が、支持面に固定可能に構成されており、支持面に対する可動部材の固定位置が変更可能であるように、支持部材と可動部材とが相互に固定可能に構成されており、可動部材と第2の押圧部との距離が、支持部材と第2の押圧部との距離よりも小さく、接合工程において、可動部材が板材に接触し、接合工程において、支持部材が板材に接触しない、第2の態様のプレス曲げ加工管製造方法である。
【0012】
第3の態様によれば、可動部材が板材に接触するとともに支持部材が板材に接触しないので、板材の意図しない箇所に支持部材が接触して力が分散すること防ぎながら、可動部材と板材との接触部分に力を効果的に集中させることができる。更に、支持面に対する可動部材の固定位置が変更可能であるので、加工対象の板材の形状に応じて、所望の力が印加できるように可動部材と板材との接触位置を変えることができる。
【0013】
第4の態様の接合金型は、曲げ加工することにより形成された中間状態にある金属の板材を接合状態にするために使用される接合金型であって、板材が、第1の端縁と第2の端縁とをもち、中間状態の板材が、第1の端縁と第2の端縁とに平行な、曲げ加工された複数の加工帯を含み、複数の加工帯が、第1の隣接帯と、第2の隣接帯と、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第1の端縁との間に位置する内部屈曲帯と、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第2の隣接帯との間に位置する4つの角帯と、を含み、中間状態の板材が、第1の隣接帯と第2の隣接帯との間に間隙を設けた状態で管状に形成されており、中間状態の板材が、4つの角帯において中間状態の板材の外側に向かって凸状に曲げられた形状をもち、中間状態の板材が、第1の隣接帯と内部屈曲帯との間に延びた第1の対向壁と、内部屈曲帯と第1の端縁との間に延びた阻止壁と、第2の隣接帯と第2の端縁との間に延びた第2の対向壁と、を備え、第1の対向壁が、間隙から中間状態の板材の内側に向かって延びており、第2の対向壁が、間隙から中間状態の板材の内側に向かって延びており、阻止壁が、内部屈曲帯から中間状態の板材の外側に向かって延びており、加工帯に直交する断面において、阻止壁の長さが第1の対向壁より短く、中間状態の板材の阻止壁の少なくとも一部が、第1の対向壁と第2の対向壁との間に位置しており、4つの角帯が、板材に沿った位置関係において第1の隣接帯と第2の隣接帯との間において第1の隣接帯に近い側から順に並んだ第1の角帯と第2の角帯と第3の角帯と第4の角帯とを含み、接合金型が、第1の隣接帯と第2の隣接帯とを近づける力を中間状態の板材に外側から印加することにより、間隙が狭くされた接合状態の板材を製造するためのものであり、接合金型が、第3の角帯と第4の角帯との間の少なくとも一部を押圧するための第1の押圧部と、第1の角帯と第2の角帯との間の少なくとも一部を押圧するための第2の押圧部と、板材を中間状態から接合状態に遷移させるために第1の押圧部を第2の押圧部に向けて相対的に移動させることができる駆動部材と、を備え、第1の押圧部が、支持部材と可動部材とを備え、支持部材が、第2の押圧部に対向して位置する支持面を備え、可動部材が、支持面に固定可能に構成されており、支持面に対する可動部材の固定位置が変更可能であるように、支持部材と可動部材とが相互に固定可能に構成されており、可動部材と第2の押圧部との距離が、支持部材と第2の押圧部との距離よりも小さい。
【0014】
第4の態様によれば、第1の隣接帯と第2の隣接帯とが近づくときに、第2の対向壁と阻止壁とが押し合うことにより板材が弾性変形し、第2の対向壁が阻止壁を乗り越え、第2の対向壁が第1の対向壁と阻止壁との間に移動するように力が印加されることをもたらす接合金型が得られる。結果として第1の隣接帯と第2の隣接帯との間隔を広げる動きが抑制される。すなわち、本態様によれば溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができる。
【0015】
第5の態様のプレス機械は、第4の態様に記載の接合金型を備える。
【0016】
第5の態様によれば、第1の隣接帯と第2の隣接帯とが近づくときに、第2の対向壁と阻止壁とが押し合うことにより板材が弾性変形し、第2の対向壁が阻止壁を乗り越え、第2の対向壁が第1の対向壁と阻止壁との間に移動するように力が印加されることをもたらすプレス機械が得られる。結果として第1の隣接帯と第2の隣接帯との間隔を広げる動きが抑制される。すなわち、本態様によれば溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、溶接を必要としないプレス曲げ加工管製造方法、接合金型、及びプレス機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るプレス曲げ加工管製造方法に使用される例示的なプレス機械の概略的な正面図である。
図2図1のプレス機械が備える接合金型の斜視図である
図3】接合工程開始時における図2の接合金型と中間状態の板材との右側面図である。
図4】接合工程終了時における図2の接合金型と接合状態の板材との右側面図である。
図5】変形例の中間状態の板材の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(プレス機械)
図1は、本実施形態のプレス曲げ加工管製造方法に使用される例示的なプレス機械10の概略正面図である。プレス機械10は、左端及び右端において設置場17に固定された2つのフレーム11を備える。各フレーム11は上下方向に延びている。プレス機械10は更に、フレーム11の下側に搭載された下テーブル12を備える。下テーブル12は、フレーム11間において左右方向にある程度の幅をもつ。プレス機械10は更に、フレーム11に搭載されたサーボモーター等の駆動源13と、駆動源13の動力によりフレーム11に対して上下に移動可能な上テーブル14とを備える。
【0020】
プレス機械10は、例えば曲げ加工、押圧、成型、及び接合工程といった種々の加工を行うことができる。例えば曲げ加工を行うときには、上テーブル14の下端に上型(図示せず)を取り付けるとともに、下テーブル12の上端に下型(図示せず)を取り付ける。上型と下型との間に加工対象物を入れ、上テーブル14を下テーブル12に向けて下降させると、上型及び下型の構成に応じて加工対象物が所望の形態に曲げ加工される。
【0021】
後述の接合工程を行うとき、プレス機械10の下テーブル12の上端に、下型の代わりに図1に示す複数の接合金型15が取り付けられる。ワーク(後述の板材50)の長さに対応して任意の個数の接合金型15を使用することができる。例えば図1の例では接合金型15が3つ存在するが、接合金型15の個数は2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。プレス機械10は、曲げ加工のための機構を備えず接合工程のみを行う機械であってもよい。
【0022】
(接合金型)
図2は接合工程開始時の接合金型15の斜視図である。図3は接合工程開始時における接合金型15と中間状態の板材50とを示す右側面図である。図4は接合工程終了時における接合金型15と接合状態の板材50とを示す右側面図である。図2に示すように、接合金型15は、下側基礎部20、後側基礎部21、第1の押圧部22、第2の押圧部23、駆動部材24、及びガイド部材25を備える。
【0023】
下側基礎部20は、図1の下テーブル12に対して例えばねじなどの固定具により固定可能に形成されている。下側基礎部20は下に突出した突起30を備え、固定前の突起30を下テーブル12の上端に設けられた溝に沿って左右方向にスライドさせることにより位置決めできるように構成されている。下側基礎部20は、最上部に前後方向及び左右方向に平行な平面状の基礎支持面31を備える。基礎支持面31は上を向くように位置している。基礎支持面31には適宜ねじ穴などの凹凸が設けられていてもよい。
【0024】
後側基礎部21は、下側基礎部20の後端から上に向かって延びている。後側基礎部21は、左右方向及び上下方向に延びた板状部材である。後側基礎部21は下側基礎部20に固定されている。後側基礎部21は、1つ以上のガイド穴32と、図3に示すような押圧シャフト穴39とを備える。ガイド穴32及び押圧シャフト穴39(図3)は後側基礎部21を前後に貫通している。
【0025】
第1の押圧部22は、支持部材33、可動部材34、及び2つの固定部材35を備える。支持部材33は、左右方向及び上下方向に広がった板状部材である。支持部材33は、最前部に前後方向及び左右方向に平行な支持面36を備える。支持面36は、後述の第2の押圧部23に対向して位置しており、すなわち前を向いて配置されている。支持部材33は、支持部材33を前後方向に貫通した2つの固定用孔37を備える。各固定用孔37は、上下方向に直線状に延びている。
【0026】
可動部材34は、左右方向及び上下方向に広がる板状部材であり、前後方向にある程度の厚さをもつ。可動部材34は、左右方向に直交する断面がおおむね長方形である。可動部材34の最前面は、左右方向及び上下方向に平行な平面である。他の例において可動部材34は断面は長方形以外であってもよい。例えば可動部材34は断面は長方形の角を面取りすることにより、長方形に類似した角に丸みのある形状となっていてもよい。可動部材34のうち板材50に接触する部分は左右方向に平行であることが望ましい。
【0027】
2つの固定部材35は別々の固定用孔37に挿入されている。各固定部材35はボルトである。固定部材35の前端は可動部材34の後端のねじ溝に挿入されて、取り外し可能に固定されている。固定部材35の後端には固定用孔37を通らない大きさのボルトの頭が設けられている。固定部材35のシャフトが前端から後端まで延びており、シャフトは固定用孔37を通して配置されている。シャフトは固定用孔37に沿って上下に移動可能な直径をもつ。従って、可動部材34は支持面36に固定可能に構成されており、更に、支持面36に対する可動部材34の固定位置が変更可能であるように、支持部材33と可動部材34とが相互に固定可能に構成されている。固定位置は、固定用孔37により制限される。他の例において可動部材34はボルト以外の部材により固定されてもよい。
【0028】
第2の押圧部23は、下側基礎部20の前端から上方に向かって延びている。第2の押圧部23は、左右方向及び上下方向に広がる板状部材である。第2の押圧部23は、最後部に前後方向及び左右方向に平行な対向面38を備える。
【0029】
図4に示すように駆動部材24は、駆動基部40と押圧シャフト41とを備え、第1の押圧部22を第2の押圧部23に近づけるように及び遠ざけるように相対的に移動させるための部材である。駆動基部40は後側基礎部21の後端に固定されている。押圧シャフト41は押圧シャフト穴39を通るように配置されている。押圧シャフト41の前端は支持部材33の後端に固定されている。駆動基部40は、押圧シャフト41の後端側から押圧シャフト41を前後に移動させることができる。押圧シャフト41の移動は油圧により実現される。他の例において、押圧シャフト41の移動はエア、電動モーター、その他の手段により実現されてもよい。押圧シャフト41の移動に追従して第1の押圧部22が前後に移動する。
【0030】
図2に示すように、ガイド部材25は円筒形のガイドシャフト42を備える。ガイドシャフト42は後側基礎部21のガイド穴32に通されている。前後方向に直交する断面で見たとき、ガイドシャフト42の断面とガイド穴32の断面とが円形であり、ガイドシャフト42の直径はガイド穴32の直径に非常に近いが、ガイド穴32の直径よりわずかに小さい。図4に示すようにガイドシャフト42の前端は支持部材33の後端に固定されている。第1の押圧部22が押圧シャフト41に追従して前後方向に移動するとき、ガイドシャフト42の上下方向及び左右方向における動きが極めて小さく抑制される。結果として第1の押圧部22の移動方向が前後方向のみに制限され、第1の押圧部22の動きが滑らかになる。
【0031】
図3は、第1の押圧部22が最後端まで移動した初期状態を示している。図4は、初期状態に比べて第1の押圧部22が第2の押圧部23に近づいた状態を示す。第1の押圧部22の位置にかかわらず、可動部材34と第2の押圧部23との距離が、支持部材33と第2の押圧部23との距離よりも小さい。
【0032】
(板材)
図3には接合金型15に加えて、中間状態の板材50が示されている。図3を参照して中間状態の板材50について説明する。
【0033】
板材50は金属製である。予め曲げ加工することにより中間状態の板材50が形成される。板材50はカラー塗装が施されている。カラー塗装が施されている板材50は溶接するとカラー塗装を損なうので、溶接を伴わずに接合してプレス曲げ加工管(すなわち、図4の接合状態の板材50)を製造することが好ましい。曲げ加工を施す前の板材50は長方形の表面をもつ平板である。なお、板材50には、孔が形成されていてもよく、端部に切り欠きが設けられていてもよく、一部に何らかの加工がされていてもよい。他の例において、板材50はカラー塗装が施されていないものであってもよい。曲げ加工する前の板材50に対し複数回の曲げ加工を行うことにより、中間状態の板材50が形成される。
【0034】
中間状態の板材50は、長手方向(加工時には左右方向に一致する)に平行な第1の端縁51と第2の端縁52とをもつ。中間状態の板材50は、第1の端縁51及び第2の端縁52に平行な、曲げ加工された複数の加工帯53を含む。複数の加工帯53は、第1の隣接帯53-1、第2の隣接帯53-2、内部屈曲帯53-3、及び4つの角帯53-4を含む(これらを区別せずに加工帯53と呼ぶ場合がある)。
【0035】
内部屈曲帯53-3は、板材50に沿った位置関係において第1の隣接帯53-1と第1の端縁51との間に位置する。板材50に沿った位置関係とは、長手方向に直交する断面において板材50を見たとき、板材50を辿る曲がりくねった経路上でどのように位置しているかを意味する。4つの角帯53-4は、板材50に沿った位置関係において第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間に位置する。4つの角帯53-4は、板材50に沿った位置関係において第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間において第1の隣接帯53-1に近い側から順に並んだ第1の角帯53-4aと第2の角帯53-4bと第3の角帯53-4cと第4の角帯53-4dとを含む。第1の角帯53-4a~第4の角帯53-4dの4つを区別せずに単に角帯53-4と呼ぶ場合がある。
【0036】
中間状態の板材50は、空間的に第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間に間隙54を設けた状態で管状に形成されている。中間状態の板材50は、4つの角帯53-4において中間状態の板材50の外側に向かって凸状に曲げられた形状をもつ。
【0037】
図5に示す中間状態の板材50は、第1の対向壁61、第2の対向壁62、及び阻止壁63を備える。第1の対向壁61は、間隙54から中間状態の板材50の内側に向かって、第1の隣接帯53-1と内部屈曲帯53-3との間に延びている。第2の対向壁62は、間隙54から中間状態の板材50の内側に向かって、第2の隣接帯53-2と第2の端縁52との間に延びている。阻止壁63は、内部屈曲帯53-3から中間状態の板材50の外側に向かって、内部屈曲帯53-3と第1の端縁51との間に延びている。
【0038】
第1の対向壁61、第2の対向壁62、及び阻止壁63は、それぞれ平面状に広がっている。なお、第1の対向壁61、第2の対向壁62、及び阻止壁63の一部に穴、凹凸などを包含する何らかの加工が施されていてもよい。加工帯53に直交する断面において、阻止壁63の長さは第1の対向壁61より短い。中間状態の板材50の阻止壁63の少なくとも一部が、第1の対向壁61と第2の対向壁62との間に位置している。すなわち、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2と内部屈曲帯53-3と第2の端縁52とにより囲まれた領域内に第1の端縁51が位置している。
【0039】
中間状態の板材50は、第1の隣接帯53-1と第1の角帯53-4aとの間に延びた第1の外壁64、第1の角帯53-4aと第2の角帯53-4bとの間に延びた第2の外壁65、第2の角帯53-4bと第3の角帯53-4cとの間に延びた第3の外壁66、第3の角帯53-4cと第4の角帯53-4dとの間に延びた第4の外壁67、第4の角帯53-4dと第2の隣接帯53-2との間に延びた第5の外壁68を備える。第1の外壁64、第2の外壁65、第3の外壁66、第4の外壁67、及び第5の外壁68はそれぞれ平面状に広がっているが、一部に穴、凹凸などを包含する何らかの加工を含んでもよい。
【0040】
長手方向に直交する断面で見たときの角度について説明する。阻止壁63の延長線と第1の対向壁61の延長線との間の角度は、板材50の外側から測定したとき鋭角である。第1の対向壁61の延長線と第1の外壁64の延長線との間の角度は、板材50の内側において90度である。第1の外壁64の延長線と第2の外壁65の延長線との間の角度は、板材50の内側において90度である。第2の外壁65の延長線と第3の外壁66の延長線との間の角度は、板材50の内側において90度である。第3の外壁66の延長線と第4の外壁67の延長線との間の角度は、板材50の内側において鈍角(限定されないが例えば100度)である。第4の外壁67の延長線と第5の外壁68の延長線との間の角度は、板材50の内側において90度である。第5の外壁68の延長線と第2の対向壁62の延長線との間の角度は、板材50の内側において90度である。
【0041】
(プレス曲げ加工管製造方法)
プレス曲げ加工管製造方法について説明する。プレス曲げ加工管製造方法は、まず図3に示す中間状態の板材50まで曲げ加工する工程を含む。曲げ加工は、例えば、曲げ加工用の金型を装着したプレス機械により実行される。間隙54は曲げ加工用の金型の通り道に使用される。プレス曲げ加工管製造方法は更に接合工程を含む。既に説明したように、図3は接合工程開始時における接合金型15と中間状態の板材50とを示す。図4は接合工程終了時における接合金型15と接合状態の板材50とを示す。
【0042】
接合工程は、第1の角帯53-4aと第2の角帯53-4bとの間の少なくとも一部を第2の押圧部23に接触させるとともに、第3の角帯53-4cと第4の角帯53-4dとの間の少なくとも一部を第1の押圧部22に接触させた状態で、第1の押圧部22を第2の押圧部23に向けて相対的に移動させることにより、板材50を中間状態から接合状態に遷移させることを含む。駆動部材24の押圧シャフト41を前方に継続的に移動させることにより、第1の押圧部22が第2の押圧部23に向かって移動する。
【0043】
詳細に説明すると、図3の接合工程開始時から図4の接合工程終了時まで、第2の外壁65の外面のおおむね全体が対向面38に接触している。更に、図3の接合工程開始時から図4の接合工程終了時まで、第2の角帯53-4bと第3の角帯53-4cの間の少なくとも一部が下側基礎部20に接触した状態を維持している。本例では第3の外壁66の外面のおおむね全体が基礎支持面31に接触している。
【0044】
図3の接合工程開始時には、駆動部材24の押圧シャフト41は最後端まで退避している。すなわち、支持部材33の後端が後側基礎部21の前端に接触した状態にある。可動部材34は、板材50より後方において板材50から離れて位置している。接合工程が開始した後、押圧シャフト41を前方に移動させることにより、第1の押圧部22を第2の押圧部23に向けて相対的に移動させる。開始後しばらくして、可動部材34が第3の角帯53-4cと第4の角帯53-4dとの間の少なくとも一部に接触する。本例では、可動部材34は最初に第4の角帯53-4dに接触する。
【0045】
可動部材34が板材50に接触することにより、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2とを近づける力が中間状態の板材50に外側から印加される。可動部材34が板材50に接触した後、第2の対向壁62が阻止壁63に接触するまで近づく。その後、第2の対向壁62と阻止壁63とが押し合うことにより板材50が弾性変形し、その結果、第2の対向壁62が上方に移動すると同時に阻止壁63が下方に移動する。弾性変形により第2の対向壁62が阻止壁63を乗り越え、最終的に図4に示すように第2の対向壁62が第1の対向壁61と阻止壁63との間に位置した状態となる。このような乗り越えが発生するように、予め中間状態の第1の隣接帯53-1、第2の隣接帯53-2、及び阻止壁63が形成されている。
【0046】
このようにして、図4に示すような接合状態の板材50が製造される。接合状態では、第2の対向壁62が第1の対向壁61と阻止壁63との間に位置しているので、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間隔を広げる動きが抑制される。接合工程中、可動部材34は板材50に接触するが、支持部材33は板材50に接触しない。
【0047】
接合状態の板材50では、第1の外壁64と第5の外壁68とがおおむね同じ平面に沿って広がった状態となる。接合状態の板材50の断面は全体として角が丸みを帯びた長方形(本例ではおおむね正方形)となる。接合状態では阻止壁63が第2の対向壁62と第1の対向壁61との両方に接触した状態であることが、動きを抑制するという観点から好ましい。
【0048】
上下方向における可動部材34の位置は、移動中に第4の角帯53-4d又は第4の外壁67に接触するような位置において支持部材33に固定されている。図2に示すように固定用孔37は上下方向に平行に延びており、固定部材35のシャフトを上下に案内するように形成されている。固定部材35のシャフトを固定用孔37に沿って上下に移動させることにより可動部材34の位置を変えることができる。例えば板材50の大きさ、第4の角帯53-4dの上下方向の位置、第4の外壁67の長さに応じて可動部材34の位置を変えることができ、その結果、第2の対向壁62が阻止壁63を乗り越えやすくなるように、可動部材34から板材50への力の印加位置を決定することができる。
【0049】
一例において、接触開始時の可動部材34と板材50との接触領域は、第4の角帯53-4dの一部であることが好ましい。その理由は、外側に凸状である第4の角帯53-4dに接触する場合、第4の外壁67に面で接触する場合に比べて板材50が変形しにくいからである。更に、第4の外壁67の塗装に傷が付きにくいという利点がある。他の一例において接触開始時における可動部材34と板材50との接触領域は、第4の外壁67などを包含する他の領域であってもよい。移動中に第2の対向壁62が阻止壁63を乗り越えるような弾性変形が生じる適切な位置が接触位置として選択される。
【0050】
本例では、第3の角帯53-4cが鈍角である例について説明しているが、他の例において、他の角帯53-4が鈍角とされてもよい。鈍角とされる角帯53-4は1つまたは複数であってもよい。
【0051】
本例では、図4の接合状態において、空間的に第1の角帯53-4aと第4の角帯53-4dとのおおむね中心付近に第1の隣接帯53-1および第2の隣接帯53-2が位置する。他の例において、接合状態において第1の隣接帯53-1および第2の隣接帯53-2が第1の角帯53-4aと第4の角帯53-4dとのいずれかに近くなるように板材50が曲げ加工されていてもよい。接合金型15は、本例とは異なる方向(例えば上下方向)に押圧するものであってもよい。
【0052】
(まとめ)
本実施形態によれば、第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2とが近づくときに、第2の対向壁62と阻止壁63とが押し合うことにより板材50が弾性変形し、第2の対向壁62が阻止壁63を乗り越え、第2の対向壁62が第1の対向壁61と阻止壁63との間に移動するように力が印加される。結果として第1の隣接帯53-1と第2の隣接帯53-2との間隔を広げる動きが抑制される。すなわち、本態様によれば溶接せずに接合部が開くことを防ぐことができる。
【0053】
本実施形態によれば、第1の押圧部22を第2の押圧部23に向けて相対的に移動させるという簡単な動作により、溶接せずに4つの角帯53-4をもつ接合状態の板材50を製造することができる。
【0054】
本実施形態によれば、可動部材34が板材50に接触するとともに支持部材33が板材50に接触しないので、板材50の意図しない箇所に支持部材33が接触して力が分散すること防ぎながら、可動部材34と板材50との接触部分に力を効果的に集中させることができる。更に、支持面36に対する可動部材34の固定位置が変更可能であるので、加工対象の板材50の形状に応じて、所望の力が印加できるように可動部材34と板材50との接触位置を変えることができる。
【0055】
(変形例)
図5は、図3と同じ方向からみたときの変形例の中間状態の板材150の右側面図である。100の位を除くと図3の板材50と同じ番号になる構成要素は、特に断りのない限り図3の板材50と同じ構成要素である。以下では異なる部分を重点的に説明する。
【0056】
図5の変形例では、第3の外壁166は逆反り帯170を備える。第3の外壁166は、1つの平面に沿って広がる板材150を逆反り帯170において内側に凸になるように屈曲させた形状をもつ。第3の角帯153-4c付近における第3の外壁166の延長線と第4の外壁167の延長線との間の角度は、板材150の内側において90度である。すなわち、逆反り帯170を設けることで、中間状態の板材150において第1の隣接帯153-1と第2の隣接帯153-2との間隙154を設けることができる。
【0057】
変形例によれば、図3の例に比べて、接合状態の板材150において、第3の角帯153-4c付近における第3の外壁166および第4の外壁167の外側への膨らみを抑制することができる。
【符号の説明】
【0058】
10…プレス機械、11…フレーム、12…下テーブル、13…駆動源、
14…上テーブル、15…接合金型、17…設置場、20…下側基礎部、
21…後側基礎部、22…第1の押圧部、23…第2の押圧部、24…駆動部材、
25…ガイド部材、30…突起、31…基礎支持面、32…ガイド穴、33…支持部材、
34…可動部材、35…固定部材、36…支持面、37…固定用孔、38…対向面、
39…押圧シャフト穴、40…駆動基部、41…押圧シャフト、42…ガイドシャフト、
50…板材、51…第1の端縁、52…第2の端縁、53…加工帯、
53-1…第1の隣接帯、53-2…第2の隣接帯、53-3…内部屈曲帯、
53-4…角帯、53-4a…第1の角帯、53-4b…第2の角帯、
53-4c…第3の角帯、53-4d…第4の角帯、54…間隙、61…第1の対向壁、
62…第2の対向壁、63…阻止壁、64…第1の外壁、65…第2の外壁、
66…第3の外壁、67…第4の外壁、68…第5の外壁、150…板材、
153-4c…第3の角帯、153-1…第1の隣接帯、153-2…第2の隣接帯、
154…間隙、166…第3の外壁、167…第4の外壁、170…逆反り帯
図1
図2
図3
図4
図5