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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048101
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/50 20110101AFI20240401BHJP
【FI】
G06T15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153971
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】針貝 潤吾
(72)【発明者】
【氏名】宇野 美穂
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA19
5B080BA02
5B080DA06
5B080FA02
5B080FA09
5B080GA00
5B080GA11
5B080GA22
(57)【要約】
【課題】物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づける。
【解決手段】プロセッサが、全天球画像から主要な照明の位置を取得し、観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得し、物体の観察条件を取得し、主要な照明の位置、主要な法線の向き、観察条件に基づいて、主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
全天球画像から主要な照明の位置を取得し、
観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得し、
前記物体の観察条件を取得し、
前記主要な照明の位置、前記主要な法線の向き、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記物体の観察条件が指定された場合、前記位置関係を満たす前記全天球画像内における当該物体の姿勢を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記全天球画像内における前記物体の姿勢が指定された場合、前記位置関係を満たす当該物体の観察条件を制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像を回転制御して前記位置関係を満たす位置に前記主要な照明の位置を移動させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像内で当該構図と前記位置関係を満たす当該物体の姿勢と前記観察条件を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の輝度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の照度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記位置関係に基づいて前記物体の画像を生成し、ユーザが操作する端末の表示部に表示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記物体の画像で観察される前記光成分の強度の増減を受け付ける操作子を前記表示部に表示する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記操作子を通じて前記強度の調整を受け付けた場合、受け付けた強度に応じた画像を前記表示部に表示させる、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記表示部内における前記画像の姿勢の変化の方向を前記操作子の操作の方向と一致させる、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記物体は三次元形状を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータに、
全天球画像から主要な照明の位置を取得する機能と、
観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得する機能と、
前記物体の観察条件を取得する機能と、
前記主要な照明の位置、前記主要な法線、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の色味や光沢の見え方をコンピュータ技術により再現する技術の1つに、物理ベースレンダリングがある。ただし、物理ベースレンダリングは計算量が大きく、リアルタイムでのシミュレーションに難がある。そこで、照度分布を物体の全ての法線方向について予め算出することにより、照度分布の再現に必要な算出コストを低減する手法も使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-122719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、全方位を一度に撮像可能なカメラが実用化されている。この種のカメラは、全天球カメラとも呼ばれ、全天球カメラで撮像された画像は360度パノラマ画像(以下、「全天球画像」ともいう。)と呼ばれる。この全天球画像には、撮像地点における環境光の情報(以下、「輝度情報」ともいう。)が含まれている。このため、全天球画像を活用すれば、任意の地点における物体の色味や光沢の見え方をシミュレーションすることが可能になる。
ところで、物体の光沢や色味の見え方は、物体と光源とカメラの位置関係に応じて変化する。このため、シミュレーションによって再現された光沢や色味がユーザの期待と一致しないことがある。
【0005】
本発明は、物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づけることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、全天球画像から主要な照明の位置を取得し、観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得し、前記物体の観察条件を取得し、前記主要な照明の位置、前記主要な法線の向き、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体の観察条件が指定された場合、前記位置関係を満たす前記全天球画像内における当該物体の姿勢を制御する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記全天球画像内における前記物体の姿勢が指定された場合、前記位置関係を満たす当該物体の観察条件を制御する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像を回転制御して前記位置関係を満たす位置に前記主要な照明の位置を移動させる、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像内で当該構図と前記位置関係を満たす当該物体の姿勢と前記観察条件を検出する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の輝度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の照度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記位置関係に基づいて前記物体の画像を生成し、ユーザが操作する端末の表示部に表示する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記物体の画像で観察される前記光成分の強度の増減を受け付ける操作子を前記表示部に表示する、請求項8に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記操作子を通じて前記強度の調整を受け付けた場合、受け付けた強度に応じた画像を前記表示部に表示させる、請求項9に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記表示部内における前記画像の姿勢の変化の方向を前記操作子の操作の方向と一致させる、請求項9に記載の情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記物体は三次元形状を有する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、全天球画像から主要な照明の位置を取得する機能と、観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得する機能と、前記物体の観察条件を取得する機能と、前記主要な照明の位置、前記主要な法線、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項2記載の発明によれば、ユーザが指定する観察の条件を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項3記載の発明によれば、ユーザが指定した物体の姿勢を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項4記載の発明によれば、ユーザが指定した画像の構図を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項5記載の発明によれば、ユーザが指定した画像の構図を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項6記載の発明によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項7記載の発明によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項8記載の発明によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項9記載の発明によれば、ユーザによる表現の調整を可能にできる。
請求項10記載の発明によれば、ユーザの希望を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項11記載の発明によれば、ユーザの操作方向と画像の姿勢の変化を一致させることができる。
請求項12記載の発明によれば、3次元形状の物体についても物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
請求項13記載の発明によれば、物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1で使用する印刷システムの構成例を示す図である。
図2】印刷サーバのハードウェア上の構成例を説明する図である。
図3】クライアント端末のハードウェア上の構成例を示す図である。
図4】実施の形態1で想定する印刷サーバの機能上の構成例を示す図である。
図5】情報取得部による照明情報と、サンプル情報と、カメラ情報の取得動作を説明する図である。
図6】サンプルの一例を示す図である。
図7】サンプルの主要な法線ベクトルを取得する処理動作の一例を表す図である。
図8】クライアント端末のディスプレイに表示される光沢感の設定画面例を示す図である。
図9】制御例1における正反射位置の特定例を説明する図である。
図10】姿勢を制御した後のサンプルの見え方を再現した画像例を説明する図である。
図11】クライアント端末のディスプレイに表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。
図12】制御例2における正反射位置の特定例を説明する図である。
図13】クライアント端末のディスプレイに表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。
図14】制御例3における正反射位置の特定例を説明する図である。
図15】クライアント端末のディスプレイに表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。
図16】制御例4における正反射位置の特定例を説明する図である。
図17】実施の形態2における主要な照明の位置の取得の方法を説明する図である。
図18】クライアント端末のディスプレイに表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。
図19】アシスト表示付きのサンプル画像の表示例を説明する図である。
図20】ユーザによる反時計回りの操作により光沢感が増加したサンプルの画像例を示す図である。
図21】ユーザによる時計回りの操作により光沢感が減少したサンプルの画像例を示す図である。
図22】操作画面を規定するX軸と、操作画面内に表示されるサンプルのx軸とが直交する場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図23】プロセッサによる回転軸の補正処理を説明するフローチャートである。
図24】操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが平行の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図25】操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが概略45°の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図26】操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが概略90°の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図27】実施の形態5で使用する情報処理システムの構成例を示す図である。
図28】3次元形状のサンプルの主要な法線ベクトルを取得する処理動作の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
<システム構成>
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態1で使用する印刷システム1の構成例を示す図である。
図1に示す印刷システム1は、クライアント端末10と、画像形成装置20と、印刷サーバ30とで構成されている。これらの端末は、ネットワークN経由で通信可能に接続されている。
なお、クライアント端末10と、画像形成装置20と、印刷サーバ30は、いずれも情報処理装置の一例である。
【0010】
クライアント端末10と印刷サーバ30は、コンピュータを基本構成とする。なお、画像形成装置20と印刷サーバ30は、専用線で接続されてもよい。
画像形成装置20は、記録媒体である用紙等に画像を形成する装置をいう。画像の形成に使用する記録材には、トナーやインクが用いられる。記録材の色には、基本色と呼ばれるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の他、特色と呼ばれる金属色や蛍光色がある。
【0011】
クライアント端末10には、例えばデスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータが用いられる。本実施の形態の場合、クライアント端末10は、専ら入出力装置として使用される。
本実施の形態における画像形成装置20は、例えばプロダクションプリンタでも、オフィスで使用されるプリンタでも、家庭で使用されるプリンタでもよい。画像形成装置20には、プリント機能に加え、スキャナ機能が設けられてもよい。なお、プリント機能は、電子写真方式に対応する印刷方式でもインクジェット方式に対応する印刷方式でもよい。
【0012】
本実施の形態における印刷サーバ30には、クライアント端末10から印刷ジョブを受け付けて画像形成装置20に出力する機能と、観察地における物品の見え方を再現する機能が用意されている。
ここでの「見え方」は、物品の色味や光沢が人に与える印象(いわゆる質感)をいう。色味や光沢は、表面の凹凸構造、表面の法線方向と照明光の入射方向、照明光の強度、照明光の色等の影響を受ける。
【0013】
本実施の形態における印刷サーバ30は、観察地を撮像した画像(以下「環境画像」という。)と、見え方を再現する物品の情報とをクライアント端末10から受け付け、ユーザが指定する姿勢での物品の見え方をコンピュータ技術により再現する。物品の情報は、例えば3次元形状、表面の微細な構造、模様、色を含む。
【0014】
環境画像は、例えばクライアント端末10から印刷サーバ30にアップロードされる。なお、印刷サーバ30は、クライアント端末10から指示された環境画像を、インターネット上等からダウンロードしてもよいし、データストレージから読み出してもよい。
図1では、地点Aで撮像された環境画像を「環境画像A」、地点Bで撮像された環境画像を「環境画像B」という。
【0015】
本実施の形態における環境画像は、例えば全天球画像、上半球画像を含む。
上半球画像は、全天球画像の赤道から上半分をいう。もっとも、上半球画像は、厳密に赤道から天頂までを撮像した画像である必要はなく、ある緯度から天頂までを撮像した画像でもよい。本実施の形態では、全天球画像と上半球画像を総称して「全天球画像」という。
【0016】
観察地は、物品の観察を予定する場所であり、例えば展示会場の特定のブース、展示室、会議室等を想定する。ブースは、パーテーション等で区切られた空間である。もっとも、観察地は室内環境に限らず、屋外環境でもよい。
同じ物品でも、照明光の強度や色が異なれば、観察される質感が異なることがある。また、照明光の強度や色が同じでも、照明光の入射方向と物品の表面の法線方向が異なれば、観察される質感が異なることがある。
【0017】
図1におけるネットワークNは、LAN(=Local Area Network)を想定する。ネットワークNは、有線ネットワークでも無線ネットワークでもよい。有線ネットワークには、例えばイーサネット(登録商標)を使用する。無線ネットワークには、例えばWi-Fi(登録商標)を使用する。
なお、図1に示す印刷システム1のネットワークNには、各1台のクライアント端末10と、画像形成装置20と、印刷サーバ30が接続されているが、いずれも複数台であってもよい。
【0018】
<端末構成>
<印刷サーバのハードウェア構成>
図2は、印刷サーバ30のハードウェア上の構成例を説明する図である。
図2に示す印刷サーバ30は、プロセッサ31と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)32と、プロセッサ31のワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)33と、補助記憶装置34と、通信モジュール35とを有している。
各デバイスは、バスその他の信号線36を通じて接続されている。
【0019】
プロセッサ31と、ROM32と、RAM33は、いわゆるコンピュータとして機能する。
プロセッサ31は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現する。例えばプロセッサ31は、環境画像から照明に関する情報(以下「照明情報」ともいう。)を取得し、観察地における物品の見え方を再現する画像を生成する。本実施の形態では、物品の見え方を再現する画像を生成することを「画像の表現を制御する」という。
【0020】
補助記憶装置34は、例えばハードディスク装置や半導体ストレージで構成される。補助記憶装置34には、プログラムや各種のデータが記憶される。ここでのプログラムは、OS(=Operating System)やアプリケーションプログラムの総称として使用する。アプリケーションプログラムの1つに物品の質感をシミュレーションするプログラムがある。
図2の場合、補助記憶装置34が印刷サーバ30に内蔵されているが、補助記憶装置34は印刷サーバ30に対して外付けされてもよいし、ネットワークN(図1参照)上に存在してもよい。
【0021】
通信モジュール35は、ネットワークNを通じてクライアント端末10(図1参照)や画像形成装置20との通信を実現するインタフェースである。通信モジュール35には、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)その他の任意の通信規格に準拠したモジュールが使用される。
【0022】
<クライアント端末のハードウェア構成>
図3は、クライアント端末10のハードウェア上の構成例を示す図である。
図3に示すクライアント端末10は、装置全体の動作を制御するプロセッサ11と、BIOS等が記憶されたROM12と、プロセッサ11のワークエリアとして用いられるRAM13と、補助記憶装置14と、ディスプレイ15と、I/Oインタフェース16と、通信モジュール17を有している。なお、プロセッサ11と他のデバイスとは、バス等の信号線18を通じて接続されている。
【0023】
プロセッサ11と、ROM12と、RAM13は、いわゆるコンピュータとして機能する。プロセッサ11は、プログラムの実行を通じ、各種の機能を実現する。例えばプロセッサ11は、環境画像のアップロード、観察地で観察する物品の情報のアップロード、物品の見え方を再現した画像の表示を実行する。
補助記憶装置14は、例えばハードディスク装置や半導体ストレージである。補助記憶装置14には、OS等のプログラムの他、環境画像や処理対象とする物品の画像等が記憶される。
ディスプレイ15は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescent)ディスプレイである。ディスプレイ15には、観察地における物品の見え方を再現した画像が表示される。
【0024】
I/Oインタフェース16は、例えばキーボードやマウスを用いたユーザからの入力を受け付ける装置である。具体的には、I/Oインタフェース16は、マウスカーソルの位置決めや移動、クリック等の入力を受け付ける。I/Oインタフェース16は、外付けされたディスプレイや記憶装置等にデータを出力する装置でもある。
通信モジュール17は、ネットワークNに接続された印刷サーバ30等との通信を可能にするデバイスである。通信モジュール17には、イーサネット(登録商標)、WiFi(登録商標)その他の任意の通信規格に準拠したモジュールが使用される。
【0025】
<処理動作の概要>
以下では、印刷サーバ30(図1参照)が実行する物体の見え方を再現する処理について説明する。
本実施の形態における処理動作は、クライアント端末10(図1参照)から印刷サーバ30に対し、物品の情報と環境画像が与えられることで開始される。
【0026】
図4は、実施の形態1で想定する印刷サーバ30の機能上の構成例を示す図である。図4には、図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
プロセッサ31は、プログラムの実行を通じ、情報取得部311、正反射位置特定部312、対象制御部313、観察画像生成部314として機能する。
【0027】
情報取得部311は、照明情報、サンプル情報及びカメラ情報を取得する機能部である。情報取得部311は、例えばクライアント端末10からのアップロードを通じ、これらの情報を取得する。もっとも、情報取得部311は、クライアント端末10からの指示を通じ、補助記憶装置34(図2参照)から照明情報、サンプル情報及びカメラ情報を取得してもよい。
【0028】
本実施の形態の場合、照明情報は、観察地の照明環境を与える情報であり、全天球画像の輝度分布の解析を通じて取得される。
照明情報は、「主要な照明の位置」の一例である。本実施の形態では、主要な照明の位置を、全天球画像内で輝度が最も高い領域として特定する。なお、照明情報は、観察地の座標空間上で定義される。
【0029】
本実施の形態の場合、サンプル情報は、観察地におけるサンプルの位置、サンプルの姿勢、サンプルの主要な法線の方向を与える。サンプル情報は、観察地の座標空間上で定義される。
もっとも、サンプル情報には、サンプル表面の反射特性、サンプル表面の色、サンプル表面の粗さ、サンプル表面の反射特性、サンプルの材質を含んでもよい。サンプルの初期位置は、全天球画像の中心点として与えられる。サンプルは、「観察の対象である物体」の一例である。
【0030】
本実施の形態の場合、カメラ情報は、サンプルを観察するカメラの位置と視線の方向を与える。ここでの視線の方向は、後述する視線ベクトルV2(図9参照)として与えられる。以下では、「視線の方向」を「カメラの姿勢」ともいう。
カメラ情報は、観察地の座標空間上で定義される。本実施の形態の場合、カメラとサンプルとの距離は固定長とする。カメラ情報は、「観察条件」の一例である。
なお、本実施の形態におけるカメラは、観察地におけるサンプルの見え方を再現した画像を算出するための視点の位置と視線の方向を与える。ここでのカメラは、データ上の存在であり、実在するカメラではない。
【0031】
図5は、情報取得部311(図4参照)による照明情報と、サンプル情報と、カメラ情報の取得動作を説明する図である。なお、図中に示す記号のSはステップを意味する。
まず、プロセッサ31は、全天球画像を取得する(ステップ1)。図5では、全天球画像を上半球画像として表現している。全天球画像の画像フォーマットには、例えばHDR(=High Dynamic Range)フォーマットやOpenEXRフォーマットを想定する。HDRフォーマットやOpenEXRフォーマットは、高ダイナミックレンジのファイルフォーマットとして知られている。
【0032】
階調の精度は、HDRフォーマットよりOpenEXRフォーマットが大きい。つまり、OpenEXRフォーマットの方がHDRフォーマットよりも細かい階調表現が可能である。
HDRフォーマットは、RGBと指数(Exponent)を、1画素につきそれぞれ8ビット(すなわち計32ビット)で表現する形式である。
【0033】
OpenEXRフォーマットは、1画素につき、RGBのそれぞれを16ビットで表現し、符号を1ビットで表現し、指数を5ビットで表現し、仮数を10ビットで表現する。なお、RGBのそれぞれを32ビットで表現するバージョンや24ビットで表現するバージョンもある。
【0034】
次に、プロセッサ31は、全天球画像の輝度分布を解析し、最大輝度が出現する領域を主要な照明位置として検出する(ステップ2)。
次に、プロセッサ31は、サンプルの主要な法線ベクトルを取得する(ステップ3)。本実施の形態の場合、サンプルは、全天球画像の原点に配置される。
図6は、サンプルの一例を示す図である。図6では、サンプルの一例としてカラーチャートを表している。カラーチャートは、複数の色見本の集合体である。
図7は、サンプルの主要な法線ベクトルNを取得する処理動作の一例を表す図である。
【0035】
まず、プロセッサ31は、サンプルの各画素における法線ベクトルNを取得する(ステップ11)。次に、プロセッサ31は、取得された法線ベクトルの分布である法線ヒストグラムを取得する(ステップ12)。
次に、プロセッサ31は、法線ヒストグラムの中で最も出現頻度が高い法線を、「主要な法線ベクトル」に決定する(ステップ13)。本実施の形態の場合、サンプルは2次元のカラーチャートであるので主要な法線ベクトルは(x,y,z)=(0,0,1)となる。
【0036】
図5の説明に戻る。
次に、プロセッサ31は、サンプルを観察するカメラの位置と姿勢を取得する(ステップ4)。ここでの姿勢は、カメラの光軸の方向である。換言すると、サンプルを観察する視線の方向である。本実施の形態の場合、カメラの初期位置は定められており、カメラの位置と姿勢は、サンプルの主要な法線ベクトルが現れる面を観察する方向として規定される。
【0037】
正反射位置特定部312(図4参照)は、ユーザの設定に基づいて、サンプルの主要な法線ベクトルに対応する面で正反射された光成分がカメラで観察される位置関係を特定する機能部である。なお、ユーザの設定は、光沢感の設定画面を通じて実行される。
【0038】
<制御例1>
図8は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示される光沢感の設定画面例を示す図である。
図8に示す設定画面には、制御対象の指定欄151と、構図の維持の指定欄152と、光沢制御の指定欄153が配置されている。なお、図8では、黒塗りのチェックボックスがユーザにより選択された状態を表している。
【0039】
図8の場合、制御対象の指定欄151において制御対象が「サンプル」に指定されている。換言すると、「カメラ」と「照明」は制御しないことが指定されている。つまり、「カメラ」と「照明」の位置等は初期状態のままである。
図8の場合、構図の維持の指定欄152では「なし」が指定されている。つまり、カメラとサンプルの相対位置が維持されないことを意味する。なお、制御対象として「サンプル」が選択された場合には、自動的に「なし」が指定された状態で表示されてもよいし、構図の維持の指定欄152が表示されない設定としてもよい。
【0040】
図8の場合、光沢制御の指定欄153では「自動」が指定されている。後述するように、光沢制御の指定欄153では、「手動」の指定も可能である。
図8に示す設定画面では、サンプルの主要な法線ベクトルに対応する面で正反射された光成分がカメラで観察されるようにサンプルの姿勢を自動で制御することがユーザにより指定されている。
【0041】
図9は、制御例1における正反射位置の特定例を説明する図である。
図9の場合、初期状態ST0におけるサンプルは、全天球画像の中心に位置し、その主要な法線ベクトルNはZ軸に平行である。
図9の場合、主要な照明の位置は太陽のマークで示され、カメラの位置と姿勢はカメラのマークで示されている。
【0042】
図9では、サンプルの主要な法線ベクトルNに対応する面に入射する照明光の方向を照明ベクトルV1で示し、サンプルの主要な法線ベクトルNに対応する面を撮像するカメラの光軸の方向を視線ベクトルV2で表している。また、照明ベクトルV1と視線ベクトルV2の中間方向のベクトルをハーフベクトルVHで表している。
この場合に、ハーフベクトルVHの方向とサンプルの主要な法線ベクトルNが一致するとき、サンプルの表面で正反射された照明光がカメラに入射する。このため、正反射位置特定部312(図4参照)は、照明ベクトルV1と視線ベクトルV2で規定されるハーフベクトルVHの方向を、サンプルの法線ベクトルNが満たすべき位置関係として特定する。
【0043】
この制御例の場合、対象制御部313(図4参照)は、正反射位置特定部312で特定された位置関係を満たすようにサンプルの姿勢を制御する。
具体的には、対象制御部313は、例えば正規化されたサンプルの法線ベクトルNと正規化されたハーフベクトルVHとの内積が「1」となるように制御対象であるサンプルの姿勢を制御する。
観察画像生成部314(図4参照)は、姿勢を制御した後のサンプルについて観察される画像(以下「観察画像」という。)を生成する。生成された観察画像は、例えばクライアント端末10(図1参照)のディスプレイ15(図3参照)に表示される。
【0044】
図10は、姿勢を制御した後のサンプルの見え方を再現した画像例を説明する図である。図10に示す画像は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示されている。図10に示すカラーチャートでは、中央付近に光沢感が強く現れている。
なお、観察画像生成部314で生成された画像の出力先は、環境画像をアップロードしたクライアント端末10に限らず、他のクライアント端末10でもよく、印刷サーバ30内の補助記憶装置34(図2参照)でもよい。
また、観察画像生成部314で生成された画像の出力先は、印刷サーバ30と連携する他のサーバでもよい。
これにより、観察地におけるカメラと照明の位置関係を前提として、サンプルの光沢感を観察地の見え方に近づけることができる。
【0045】
<制御例2>
続いて、制御例2について説明する。
前述の制御例1では、制御対象としてサンプルを指定した例を説明したが、制御例2では、カメラを制御対象とする。
図11は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。図11には、図8との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0046】
図11の場合、制御対象の指定欄151において制御対象が「カメラ」に指定されている。換言すると、「サンプル」と「照明」は制御しないことが指定されている。つまり、「サンプル」と「照明」の位置等は初期位置のままである。
その他の設定については、制御例1と同じである。つまり、自動による光沢制御と構図を維持しないことが指定されている。
【0047】
図12は、制御例2における正反射位置の特定例を説明する図である。図12には、図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
図12の初期状態ST0は、図9の初期状態と同じである。
図12の場合も、ハーフベクトルVHの方向とサンプルの主要な法線ベクトルNが一致するとき、サンプルの表面で正反射された照明光がカメラに入射する。このため、正反射位置特定部312(図4参照)は、サンプルの法線ベクトルNの方向を、照明ベクトルV1と視線ベクトルV2で規定されるハーフベクトルVHが満たすべき位置関係として特定する。
【0048】
この制御例の場合、対象制御部313(図4参照)は、正反射位置特定部312で特定された位置関係を満たすようにカメラの位置と姿勢を制御する。
具体的には、対象制御部313は、例えば正規化されたサンプルの法線ベクトルNと正規化されたハーフベクトルVHとの内積が「1」となるように制御対象であるカメラの位置と姿勢を制御する。
観察画像生成部314(図4参照)は、位置と姿勢を制御した後のカメラにより観察される観察画像を生成する。生成された観察画像は、例えばクライアント端末10(図1参照)のディスプレイ15(図3参照)に表示される。
これにより、観察地におけるサンプルと照明の位置関係を前提として、サンプルの光沢感を観察地の見え方に近づけることができる。
【0049】
<制御例3>
続いて、制御例3について説明する。
前述の制御例1では、制御対象としてサンプルを指定した例を説明したが、制御例3では、照明を制御対象とする。
図13は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。図13には、図8との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0050】
図13の場合、制御対象の指定欄151において制御対象が「照明」に指定されている。換言すると、「サンプル」と「カメラ」は制御しないことが指定されている。つまり、「サンプル」と「照明」の位置等は初期位置のままである。この状態は、カメラによって撮像されるサンプルの構図が指定された場合でもある。
その他の設定については、制御例1と同じである。つまり、自動による光沢制御と構図を維持しないことが指定されている。
【0051】
図14は、制御例3における正反射位置の特定例を説明する図である。図14には、図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14の初期状態ST0は、図9の初期状態と同じである。
図14の場合も、ハーフベクトルVHの方向とサンプルの主要な法線ベクトルNが一致するとき、サンプルの表面で正反射された照明光がカメラに入射する。このため、正反射位置特定部312(図4参照)は、サンプルの法線ベクトルNの方向を、照明ベクトルV1と視線ベクトルV2で規定されるハーフベクトルVHが満たすべき位置関係として特定する。
【0052】
この制御例の場合、対象制御部313(図4参照)は、正反射位置特定部312で特定された位置関係を満たすように照明の位置と姿勢を制御する。
具体的には、対象制御部313は、例えば正規化されたサンプルの法線ベクトルNと正規化されたハーフベクトルVHとの内積が「1」となるように制御対象である照明の位置を制御する。図14では、全天球画像の中心と天頂を通る軸周りに全天球画像を回転している。具体的には、照明の経度をカメラの経度+180°の位置に移動させている。
【0053】
なお、図14の場合、初期状態ST0における照明の緯度とカメラの緯度が異なる場合、ハーフベクトルVHは、サンプルの法線ベクトルNと平行にならない。このため、照明の緯度がカメラの緯度と同じになるように照明の位置を移動してもよい。この場合、ハーフベクトルVHは、サンプルの法線ベクトルNと平行になる。
観察画像生成部314(図4参照)は、位置を制御した後の照明の下、カメラにより観察されるサンプルの観察画像を生成する。生成された観察画像は、例えばクライアント端末10(図1参照)のディスプレイ15(図3参照)に表示される。
これにより、観察地におけるサンプルとカメラの位置関係を前提として、サンプルの光沢感を観察地の見え方に近づけることができる。
【0054】
<制御例4>
続いて、制御例4について説明する。
前述した制御例1~3の場合には、サンプル、カメラ、照明のうちの1つだけを制御の対象とした。このため、サンプルを撮像するカメラの位置が変化することもあった。また、サンプルとカメラの位置関係を固定されていても、照明の位置が大きく変化することがあった。
そこで、制御例4では、光源の位置を固定し、光源に対してサンプルとカメラを一体的に制御する場合について説明する。すなわち、構図を固定した状態で光沢感が最大となるようにサンプルとカメラの位置等を制御する場合について説明する。
【0055】
図15は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。図15には、図8との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15の場合、構図の維持の指定欄152の「あり」が指定されている。このため、カメラとサンプルの相対位置が維持される。
【0056】
また、構図の維持の指定欄152が「あり」に指定された結果、制御対象の指定欄151における制御対象の指定欄151では、サンプルとカメラの両方が制御の対象に指定されている。もっとも、構図の維持の指定欄152が「あり」の場合には、制御対象の指定欄151の指定を解除してもよい。また、制御対象の指定欄151でサンプルとカメラが指定されると、構図の維持の指定欄152が自動的に「あり」に切り替わってもよい。
その他の設定については、制御例1と同じである。つまり、自動による光沢制御が指定されている。
【0057】
図16は、制御例4における正反射位置の特定例を説明する図である。図16には、図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
図16における初期状態ST0は、サンプルがx軸とy軸で規定される面に対して平行でない場合、すなわち主要な法線ベクトルNがz軸に対して傾斜している場合について表している。
また、サンプルの法線ベクトルNとカメラの視線ベクトルV2のなす角がθである場合について表している。この制御例4では、サンプルの法線ベクトルNとカメラの視線ベクトルV2のなす角をθに保ったまま一体的にサンプルとカメラを移動する。図16では、サンプルとカメラが一体的に移動される関係を破線の囲み枠で示している。
【0058】
図16の場合も、ハーフベクトルVHの方向とサンプルの主要な法線ベクトルNが一致するとき、サンプルの表面で正反射された照明光がカメラに入射する。
そこで、制御例4における正反射位置特定部312(図4参照)は、サンプルの法線ベクトルNの方向と、照明ベクトルV1と視線ベクトルV2で規定されるハーフベクトルVHの方向とが一致する位置関係を探索する。例えば正規化されたサンプルの法線ベクトルNと正規化されたハーフベクトルVHとの内積が「1」となるように制御対象であるサンプルとカメラの位置と姿勢を一体的に制御する。
【0059】
図16における状態ST4は、サンプルの法線ベクトルNと照明ベクトルV1と視線ベクトルV2で規定されるハーフベクトルVHが平行となるカメラとサンプルの位置と姿勢の関係を表している。
状態ST4におけるサンプルとカメラの位置と姿勢は、初期状態ST0における位置から一体的に変化している。
【0060】
この制御例の場合、対象制御部313(図4参照)は、正反射位置特定部312で特定された位置関係を満たすようにサンプルとカメラを光源に対して一体的に制御する。
観察画像生成部314(図4参照)は、光源に対する位置と姿勢をサンプルと一体的に制御したカメラによって観察される観察画像を生成する。生成された観察画像は、例えばクライアント端末10(図1参照)のディスプレイ15(図3参照)に表示される。
これにより、ユーザが指定した構図を前提としてサンプルの光沢感を観察地の見え方に近づけることができる。
【0061】
<まとめ>
本実施の形態によれば、観察地で撮像された全天球画像を与えるだけで、観察地における照明環境での光沢感を再現したサンプルの画像を生成することが可能になる。このとき、印刷サーバ30は、観察される光沢感が最大のサンプルの画像を自動的に生成する。
【0062】
<実施の形態2>
前述の実施の形態では、環境画像の輝度分布を解析し、最大輝度が出現する領域を主要な照明位置として検出する場合について説明したが、観察地に複数の光源が存在する場合や照明範囲が広い光源が存在する場合、照明位置を一位に特定することが難しくなる、又は、照明位置の特定の精度が低くなる。
そこで、本実施の形態では、環境画像から照度の分布を求めて解析し、主要な照明の位置を取得する場合について説明する。
【0063】
図17は、実施の形態2における主要な照明の位置の取得の方法を説明する図である。
まず、情報取得部311(図4参照)は、環境画像をクライアント端末10(図1参照)から取得する(ステップ11)。
次に、情報取得部311は、環境画像から照度マップEを生成する(ステップ12)。照度マップEは、環境画像内に現れる物体表面の照度の分布を表現したマップである。照度分布は、単位面積あたりの明るさの分布を表している。
なお、照度マップEは、既知の生成方法により作成が可能である。例えば情報取得部311は、全天球画像を仮想の立方体の表面に張り付けた環境マップを生成し、作成された環境マップから照度マップEを生成する。
【0064】
続いて、情報取得部311は、照度マップEの照度分布を解析して主要な照明の情報を取得する(ステップ13)。本実施の形態では、主要な照明を、単位エリア内の平均照度値が最大となる位置と定義する。この他、主要な照明は、例えば単位エリア内の照度の最大値、パーセンタイル値、輝度分散等の値に基づいて特定してもよい。本実施の形態では、ノイズの影響を除くため、平均照度値が出現する位置を主要な照明の位置とする。
また、情報取得部311は、主要な照明の情報として、主要な照明の色と強度を推定してもよい。もっとも、色だけを推定してもよいし、強度だけを推定することも可能である。なお、主要な照明の情報は、照明光の色と強度に限らない。
【0065】
本実施の形態では、前述した手法により特定された主要な照明の情報を実施の形態1と組み合わせて使用する。これにより、複数の光源や照明範囲が広い光源が環境画像に含まれる場合でも主要な照明の位置を高い精度で特定することが可能になる。結果的に、印刷サーバ30は、観察される光沢感が最大のサンプルの画像を自動的に生成できる。
なお、本実施の形態の照度分布だけを用いて主要な照明の位置を特定するのではなく、輝度分布を用いて主要な照明の位置を特定する手法と組み合わせてもよい。例えば輝度分布によっては主要な照明の位置が特定されない場合や主要な照明の位置の面積が閾値より広い場合には照度分布を用いて主要な照明の位置を特定する手法を実行してもよい。
【0066】
<実施の形態3>
前述の実施の形態では、印刷サーバ30の制御により、観察地における照明環境の下で光沢感を最大化したサンプルの画像を自動的に生成する例を説明したが、ユーザが手動で光沢感の変化を確認したい場合も考えられる。
そこで、本実施の形態では、サンプルの姿勢をユーザが手動で変化させる場合を前提として、ユーザによるサンプルの姿勢の操作を支援する機能について説明する。
【0067】
図18は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示される光沢感の他の設定画面例を示す図である。
図18の場合、制御対象の指定欄151では、制御対象として「サンプル」が指定され、構図の維持の指定欄152では、構図の維持が「なし」に指定され、光沢制御の指定欄153では、「手動」が指定されている。
なお、図18に示す設定画面では、手動による光沢制御が指定された効果として、アシスト表示の指定欄154が表示されている。図18では、アシスト表示が「あり」である。
【0068】
光沢制御のアシスト表示が「あり」の場合、画面上には、光沢感が増える操作の方向と光沢感が減る操作の方向がイラストや矢印等により示される。一方、光沢制御のアシスト表示が「なし」の場合、画面上には、これらのイラストや矢印等が表示されない。
ところで、アシスト表示の指定欄154は、光沢制御の指定欄153における指定が「自動」の場合にも画面上に表示してもよい。もっとも、アシスト表示の指定欄154は、グレーアウト等により操作を受け付けない表示の態様で表示してもよい。
【0069】
この他、図18に示す設定画面では、制御対象の指定欄151において、サンプルに代えてカメラや照明を制御の対象としてもよい。
例えばカメラが制御の対象に指定された場合、ユーザの手動操作に連動してサンプルとカメラの相対的な位置や姿勢が変化する。その結果、生成される画像内でのサンプルの光沢感が変化する。
また、照明が制御の対象に指定された場合、ユーザの手動操作に連動してサンプルと照明の相対的な位置が変化する。その結果、生成される画像内でのサンプルの光沢感が変化する。
【0070】
また、図18に示す設定画面では、構図の維持の指定欄152で構図の維持を「あり」に指定してもよい。この場合、ユーザの手動操作に連動して、サンプルとカメラの相対的な位置関係が維持されたまま、照明との相対的な位置が変化する。その結果、生成される画像内でのサンプルの光沢感が変化する。
ところで、本実施の形態では、アシスト表示としてイラストや矢印等を想定するが、操作の方向と光沢感の増減の関係を音声の内容や音の種類によりユーザに通知してもよい。
【0071】
図19は、アシスト表示付きのサンプル画像の表示例を説明する図である。図19に示す画像は、クライアント端末10のディスプレイ15に表示されている。
図19に示すサンプル画像は、初期状態におけるサンプルの見え方を表している。このため、サンプル画像は、サンプルを正面側から撮像した構図になっている。
図19の場合、光沢感が増える(アップする)操作の方向を示すイラストと矢印がサンプルの上辺に表示され、光沢感が減る(ダウンする)操作の方向を示すイラストと矢印がサンプルの下辺に表示されている。
【0072】
図19のアシスト表示では、サンプルを反時計回りに回転させると、光沢感が増加することが示され、サンプルを時計回りに回転させると、光沢感が減少することが示されている。
この他、図19に示す画面には、イラストと矢印の意味を説明する説明文160も表示されている。ここでは「サンプルの姿勢を矢印の方向に変化させると光沢感が変化します。」との文言により、画面内のイラストと矢印の説明を補足している。
【0073】
図20は、ユーザによる反時計回りの操作により光沢感が増加したサンプルの画像例を示す図である。図20に示すサンプル画像では、操作前(図19に示すサンプル画像)に比して、中央付近の光沢感が増加した上に、各カラーパッチの明るさが高くなっている。
図20に示すサンプル画像の光沢感は最大である。このため、反時計回りだけでなく時計回りに回転しても光沢感が減少することを示すイラストと矢印がサンプル画像に重ねて表示されている。
もっとも、反時計回りへの回転量が大きすぎた場合には、光沢感が増える方向と光沢感が減る方向とが入れ替わる。すなわち、光沢感が増える方向が時計回りとなり、光沢感が減る方向が反時計回りとなる。
【0074】
図21は、ユーザによる時計回りの操作により光沢感が減少したサンプルの画像例を示す図である。図21に示すサンプル画像では、操作前(図19に示すサンプル画像)に比して、光沢感が失われた上に、各カラーパッチの明るさが暗くなっている。
図21では、更に時計回りにサンプルを回転させると光沢感が減少すること、反対に反時計回りにサンプルを回転させると光沢感が増加することがイラストと矢印で示されている。
なお、図19図21に示すサンプル画像では、矢印の長さや大きさが光沢感の増減に必要な操作量を反映していないが、矢印の長さを光沢感が最大となる角度までの回転量を表してもよい。このアシスト表示であれば、ユーザは操作前に必要な操作量を予想することが可能になる。
【0075】
この他、アシスト表示では、光沢感が最大となる角度に達するまでの回転角を数字として画面上に表示してもよい。例えば「光沢感の最大化まで32°です。」等の表示を採用してもよい。このアシスト表示があれば、ユーザは操作前に必要な操作量を具体的に知ることが可能になる。
また、図19図21に示す画面例では、光沢感が増減する方向が水平面(図9等におけるx軸とy軸で規定される面)内における回転方向だけをアシストしているが、水平面に対する傾斜角などをアシストしてもよい。
本実施の形態におけるアシスト機能を用いれば、ユーザが手動でサンプル等の位置関係を調整する場合でも、サンプルの光沢感を容易に確認することが可能になる。
【0076】
<実施の形態4>
ユーザが手動でサンプル等の位置関係を調整する際に、操作画面に対する操作の方向が、サンプル等の特定の軸周りの回転に変換されることがある。
例えば操作画面の上下方向への操作が、操作画面内のサンプルの長辺軸(x軸)周りの回転に変換され、操作画面の左右方向への操作が、操作画面内のサンプルの短辺軸(y軸)周りの回転に変換されることがある。
この場合でも、操作画面を規定するX軸とY軸の関係が、操作画面内に表示されるサンプルのx軸とy軸の関係に一致している場合には、ユーザの操作とサンプル画像の回転方向とは一致する。
【0077】
しかし、操作画面を規定するX軸とY軸の関係が、操作画面内に表示されるサンプルのx軸とy軸の関係に一致しないことがある。
図22は、操作画面を規定するX軸と、操作画面内に表示されるサンプルのx軸とが直交する場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。図22に示す姿勢の変化は、本実施の形態では想定しない変化であるので「比較例」とのタイトルを図中に付している。
【0078】
図22における操作画面では水平方向がX軸であり、縦方向がY軸である。また、操作画面の上下方向(すなわちY軸方向)に対する操作は、サンプルの長辺軸(x軸)周りの回転に対応付けられている。具体的には、操作画面の上方向への操作は、サンプルのx軸に対する時計周りの回転に対応付けられ、操作画面の下方向への操作は、サンプルのx軸に対する反時計回りの回転に対応付けられている。
ユーザは操作画面を基準にサンプル画像に対する操作を予測する。従って、サンプル画像をX軸の周りに回転させたい場合、操作画面に対して上下方向の操作を入力する。
【0079】
しかし、図22の場合、操作画面に対する操作の方向とサンプル画像の回転軸との関係が固定である。
このため、ユーザが操作画面の上下方向に操作を入力すると、操作画面内のサンプル画像は、長辺軸であるx軸周りに回転してしまう。
図22の場合、操作前の状態ST11におけるサンプル画像の長辺軸は、操作画面のY軸に平行である。このため、ユーザによる上方向への操作は、操作画面のY軸周りの回転に変換される。その結果、操作後の状態ST12のサンプル画像の姿勢は、ユーザの想定した回転の方向とは全く異なる状態になる。
【0080】
そこで、本実施の形態では、操作画面の座標系と操作画面内のサンプルの座標系と相対関係に応じ、操作画面で受け付けた操作に対応付けるサンプルの回転軸を補正する機能について説明する。
図23は、プロセッサ31(図2参照)による回転軸の補正処理を説明するフローチャートである。
まず、プロセッサ31は、手動によるサンプルの姿勢制御か否かを判定する(ステップ21)。
【0081】
手動によるサンプルの姿勢制御ではない場合、ステップ21で否定結果が得られる。この例には、光沢感の自動制御が指定されている場合がある。この場合、プロセッサ31は、ステップ21の判定を繰り返す。
手動によるサンプルの姿勢制御の場合、ステップ21で肯定結果が得られる。この場合、プロセッサ31は、サンプルの座標系とカメラの座標系の相対的な関係を取得する(ステップ22)。ここでのカメラの座標系は、操作画面の座標系と同じになる。操作画面には、カメラで撮像されたサンプル画像が表示されるためである。
【0082】
次に、プロセッサ31は、取得された相対的な関係に応じ、サンプルの座標系における回転軸を補正する(ステップ23)。
例えばカメラの座標系におけるX軸とサンプルの座標系のx軸とのなす角θが0°の場合、カメラの座標系のX軸周りの回転操作は、サンプルのx軸周りの回転に対応付けられる。
【0083】
カメラの座標系におけるX軸に対するサンプルの座標系のx軸のなす角θが+45°の場合、カメラの座標系のX軸周りの回転操作は、サンプルのx軸を-45°回転させた補正後の回転軸周りの回転に対応付けられる。
カメラの座標系におけるX軸に対するサンプルの座標系のx軸のなす角θが+90°の場合、カメラの座標系のX軸周りの回転操作は、サンプルのx軸を-90°回転させた補正後の回転軸周りの回転に対応付けられる。
【0084】
その後、プロセッサ31は、補正後の回転軸周りに、受け付けた操作量だけサンプルを回転させて表示する(ステップ24)。
図24は、操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが平行の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図24の場合、操作前の状態ST11におけるサンプルのx軸は、操作画面のX軸と平行である。すなわち、サンプルのx軸は、カメラ座標系におけるX軸と平行である。
【0085】
図24の場合も、操作画面の上方向への操作は、サンプルのx軸に対する時計周りの回転に対応付けられ、操作画面の下方向への操作は、サンプルのx軸に対する反時計回りの回転に対応付けられている。
操作後の状態ST12では、操作画面上で下方向の操作を受け付けた場合のサンプル画像が表されている。操作後の状態ST12のサンプルは、操作前に比して立ち上がった姿勢に変化している。この結果、光沢感がサンプルの右側に現れている。
【0086】
図25は、操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが概略45°の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図25の場合、操作前の状態ST11におけるサンプルのx軸は、操作画面のX軸に対して傾斜している。しかし、ステップ23(図23参照)の補正により、補正後の回転軸は、操作画面のX軸に平行である。
このため、操作後の状態ST12におけるサンプルは、操作前に比して立ち上がった姿勢に変化している。図25の場合、光沢感がサンプルの左上方に現れている。
【0087】
図26は、操作画面を規定するX軸と、操作画面に表示されるサンプルのx軸とが概略90°の場合におけるサンプル画像の姿勢の変化を説明する図である。
図26の場合、操作前の状態ST11におけるサンプルのx軸は、操作画面のX軸に対して直交している。すなわち、サンプルのx軸は、操作画面のY軸に平行である。
しかし、ステップ23(図23参照)の補正により、補正後の回転軸は、操作画面のX軸に平行である。
このため、操作後の状態ST12におけるサンプルは、操作前に比して立ち上がった姿勢に変化している。この姿勢は、図22に示す比較例とは異なり、ユーザの意図する操作とも合致している。なお、図26の場合、光沢感がサンプルの表面全体に現れている。
このように、本実施の形態におけるアシスト機能を用いれば、ユーザが手動でサンプル等の位置関係を調整する場合でも、ユーザの意図する操作の通りの姿勢の制御がサンプル画像に反映される。
【0088】
<実施の形態5>
図27は、実施の形態5で使用する情報処理システム1Aの構成例を示す図である。図27には、図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図27に示す情報処理システム1Aは、クライアント端末10と、クラウドサーバ40とで構成されている。これらは、クラウドネットワークCN経由で通信可能に接続されている。
ここでのクラウドサーバ40も、情報処理装置の一例である。クラウドサーバ40のハードウェア構成は、図2に示すハードウェア構成と同じである。
【0089】
図27に示す情報処理システム1Aは、画像形成装置20(図1参照)による画像の形成を前提としない点で、図1に示す印刷システム1と相違する。
本実施の形態の場合、クラウドサーバ40におけるプログラムの実行を通じ、サンプル画像の見え方を観察地における見え方に近づけることが可能になる。
なお、図27の場合には、質感のシミュレーション専用のクラウドサーバ40を用意しているが、クライアント端末10単独で同様の処理動作を実行してもよい。
【0090】
<他の実施の形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0091】
(2)前述の実施の形態では、サンプルが印刷物、すなわち二次元形状の物体を想定したが、3次元形状の物体でもよい。3次元の物体をシミュレーションの対象とする場合には、3次元の物体の形状や表面を規定する情報(すなわちサンプル情報)を使用して観察地における物体の見え方を計算する。
図28は、3次元形状のサンプルの主要な法線ベクトルを取得する処理動作の一例を表す図である。
【0092】
まず、プロセッサ31(図2参照)は、サンプルの各ボクセルにおける法線ベクトルNを取得する(ステップ31)。次に、プロセッサ31は、取得された法線ベクトルの分布である法線ヒストグラムを取得する(ステップ32)。
プロセッサ31は、法線ヒストグラムの中で最も出現頻度が高い法線を「主要な法線ベクトル」とする(ステップ33)。本実施の形態の場合、サンプルの主要な法線ベクトルは(x,y,z)=(xh,yh,zh)となる。
【0093】
(3)前述した実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU(=Graphical Processing Unit)、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(=Field Programmable Gate Array)、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順番は、前述した各実施の形態に記載した順番のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【0094】
<付記>
(((1)))
プロセッサを有し、前記プロセッサは、全天球画像から主要な照明の位置を取得し、観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得し、前記物体の観察条件を取得し、前記主要な照明の位置、前記主要な法線の向き、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する、情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、前記物体の観察条件が指定された場合、前記位置関係を満たす前記全天球画像内における当該物体の姿勢を制御する、(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、前記全天球画像内における前記物体の姿勢が指定された場合、前記位置関係を満たす当該物体の観察条件を制御する、(((1)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像を回転制御して前記位置関係を満たす位置に前記主要な照明の位置を移動させる、(((1)))に記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、前記物体を観察する画像の構図が指定された場合、前記全天球画像内で当該構図と前記位置関係を満たす当該物体の姿勢と前記観察条件を検出する、(((1)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の輝度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、前記物体の位置を基準とする前記全天球画像の照度の分布の解析により前記主要な照明の位置を取得する、(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(((8)))
前記プロセッサは、前記位置関係に基づいて前記物体の画像を生成し、ユーザが操作する端末の表示部に表示する、(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(((9)))
前記プロセッサは、前記物体の画像で観察される前記光成分の強度の増減を受け付ける操作子を前記表示部に表示する、(((8)))に記載の情報処理装置。
(((10)))
前記プロセッサは、前記操作子を通じて前記強度の調整を受け付けた場合、受け付けた強度に応じた画像を前記表示部に表示させる、(((9)))に記載の情報処理装置。
(((11)))
前記プロセッサは、前記表示部内における前記画像の姿勢の変化の方向を前記操作子の操作の方向と一致させる、(((9)))又は(((10)))に記載の情報処理装置。
(((12)))
前記物体は三次元形状を有する、(((1)))~(((11)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(((13)))
コンピュータに、全天球画像から主要な照明の位置を取得する機能と、観察の対象である物体の主要な法線の向きを取得する機能と、前記物体の観察条件を取得する機能と、前記主要な照明の位置、前記主要な法線、前記観察条件に基づいて、当該主要な法線に対応する面で正反射された光成分が観察される位置関係を特定する機能と、を実現させるためのプログラム。
【0095】
(((1)))に係る情報処理装置によれば、物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((2)))に係る情報処理装置によれば、ユーザが指定する観察の条件を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((3)))に係る情報処理装置によれば、ユーザが指定した物体の姿勢を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((4)))に係る情報処理装置によれば、ユーザが指定した画像の構図を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、ユーザが指定した画像の構図を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((8)))に係る情報処理装置によれば、物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((9)))に係る情報処理装置によれば、ユーザによる表現の調整を可能にできる。
(((10)))に係る情報処理装置によれば、ユーザの希望を前提として物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((11)))に係る情報処理装置によれば、ユーザの操作方向と画像の姿勢の変化を一致させることができる。
(((12)))に係る情報処理装置によれば、3次元形状の物体についても物体の表現を観察したい環境での表現に近づけることができる。
(((13)))に係るプログラムによれば、物体と光源とカメラの位置関係を取得しない場合に比して、物体の表現の制御を観察したい環境での表現に近づけることができる。
【符号の説明】
【0096】
1…印刷システム、1A…情報処理システム、10…クライアント端末、11、31…プロセッサ、12、32…ROM、13、33…RAM、14、34…補助記憶装置、15…ディスプレイ、16…I/Oインタフェース、17、35…通信モジュール、18、36…信号線、20…画像形成装置、30…印刷サーバ、40…クラウドサーバ、311…情報取得部、312…正反射位置特定部、313…対象制御部、314…観察画像生成部
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