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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048106
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】吸着式取付具
(51)【国際特許分類】
   F16B 47/00 20060101AFI20240401BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F16B47/00 A
B60R11/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153979
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】モハマド シャフィク ビン マット ナウィ
(72)【発明者】
【氏名】桜井 龍裕
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 剛太郎
【テーマコード(参考)】
3D020
3J038
【Fターム(参考)】
3D020BA07
3D020BC03
3D020BD11
3J038AA02
3J038CA20
(57)【要約】
【課題】物品の脱落を防止できる吸着式取付具を提供する。
【解決手段】本発明の吸着式取付具10は、物品の取付箇所に接着するプレート20と、前記プレート20に吸着すると共に前記物品を支持する吸盤30を備えた吸着式取付具10において、
前記プレート20は吸着面に凸部22を、前記吸盤30は吸着面に凹部36を設け、前記吸盤30を前記プレート20の吸着面上に配置したときに前記凸部22及び前記凹部36が嵌り合うことを特徴としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の取付箇所に接着するプレートと、前記プレートに吸着すると共に前記物品を支持する吸盤を備えた吸着式取付具において、
前記プレートは吸着面に凸部を、前記吸盤は吸着面に凹部を設け、前記吸盤を前記プレートの吸着面上に配置したときに前記凸部及び前記凹部が嵌り合うことを特徴とする吸着式取付具。
【請求項2】
請求項1に記載された吸着式取付具において、
前記凹部は開口付近に絞り部を設け、前記凸部は先端と根本の間に前記先端よりも細いくびれ部を設け、前記くびれ部は前記絞り部よりも長く形成したことを特徴とする吸着式取付具。
【請求項3】
請求項1に記載された吸着式取付具において、
前記吸盤は吸着面と反対面中央に吸着時に真空を発生させるレバーを備え、
前記吸盤の反対面を覆うと共に前記レバーが突出する貫通孔と、前記物品に接続するアームを有する吸盤ベースを備えたことを特徴とする吸着式取付具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1に記載された吸着式取付具において、
前記凸部は前記プレートの吸着面中央に、前記凹部は前記吸盤の吸着面中央に設けたことを特徴とする吸着式取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸盤の負圧を利用して物品を設置箇所に取り付ける吸着式取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を設置箇所に固定する際、吸盤の負圧(吸着力ともいう)を利用する取付具を用いることがある。この吸盤は設置箇所の吸着面に僅かでも凹凸があると密着せず隙間から空気が入り込み吸着力が著しく低下してしまう。このため、特許文献1に開示の技術は、設置箇所との間に吸着補助板(プレートともいう)を配置して固定している。これにより吸着面に僅かな凹凸がある場合でも補助板を介して吸盤を密着させることができ物品を固定することができる。
物品の一例として携帯端末などは、吸盤付きのホルダーを利用して車両のダッシュボードに取り付けることがある。
しかしながら携帯端末などの物品は、重量物のため所定の吸着力が必要となる。そのため吸着面をある程度確保しなければならず、プレート及び吸盤の形状が大きくなり設置する箇所が限られてしまう。また、車両に生じる衝撃又は振動や、長時間の使用により吸着力が低下して吸盤が外れることがあった。そうすると物品が脱落して破損するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3134886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、物品の脱落を防止できる吸着式取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、物品の取付箇所に接着するプレートと、前記プレートに吸着すると共に前記物品を支持する吸盤を備えた吸着式取付具において、
前記プレートは吸着面に凸部を、前記吸盤は吸着面に凹部を設け、前記吸盤を前記プレートの吸着面上に配置したときに前記凸部及び前記凹部が嵌り合うことを特徴とする吸着式取付具を提供することにある。
上記第1の手段によれば、吸盤の吸着力が低下して剥がれても、吸盤がプレート上に留まり、物品が脱落することがなく破損するおそれがない。物品の脱落のおそれがないため、従来よりもプレート及び吸盤の形状をコンパクト化することができ取付箇所の選択の幅を広げられる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記凹部は開口付近に絞り部を設け、前記凸部は先端と根本の間に前記先端よりも細いくびれ部を設け、前記くびれ部は前記絞り部よりも長く形成したことを特徴とする吸着式取付具を提供することにある。
上記第2の手段によれば、吸盤の吸着力が低下して剥がれても、凸部先端が凹部の絞り部に引っ掛かって吸盤がプレート上に留まり、または吸盤とプレートが接続した状態を維持でき、物品が脱落することがなく破損するおそれがない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1の手段において、前記吸盤は吸着面と反対面中央に吸着時に真空を発生させるレバーを備え、
前記吸盤の反対面を覆うと共に前記レバーが突出する貫通孔と、前記物品に接続するアームを有する吸盤ベースを備えたことを特徴とする吸着式取付具を提供することにある。
上記第3の手段によれば、吸盤の真空状態を容易に形成できる。また吸盤の吸着力を高めることができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記凸部は前記プレートの吸着面中央に、前記凹部は前記吸盤の吸着面中央に設けたことを特徴とする吸着式取付具を提供することにある。
上記第4の手段によれば、凹部及び凸部を嵌め合わせるとプレート及び吸盤の位置合わせが容易に行える。このため、位置ズレによる吸着力の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸盤の吸着力が低下して外れてもプレートから吸盤が脱落することを防止できる。
従来よりもプレートの形状を小さくして吸着力が低下しても吸盤の脱落を防止できる。
吸盤をプレートに吸着させる位置合わせが容易となり、取り付け不良による吸着力の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の吸着式取付具の分解斜視図である。
図2】吸着式取付具の凹凸部の説明図である。
図3】本発明の吸着式取付具の取付方法の説明図である。
図4】吸着式取付具の吸盤が剥がれたときの説明図である。
図5】吸着式取付具の凹凸部の変形例の説明図である。
図6】本発明の吸着式取付具の使用状態の説明図1である。
図7】本発明の吸着式取付具の使用状態の説明図2である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吸着式取付具の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0012】
[吸着式取付具10]
図1は本発明の吸着式取付具の分解斜視図である。図2は吸着式取付具の凹凸部の説明図である。図示のように本発明の吸着式取付具10は、物品の取付箇所に接着するプレート20と、前記プレート20に吸着すると共に前記物品を支持する吸盤30を備えた吸着式取付具10において、前記プレート20は吸着面に凸部22を、前記吸盤30は吸着面に凹部36を設け、前記吸盤30を前記プレート20の吸着面上に配置したときに前記凸部22及び前記凹部36が嵌り合う構成となる。
【0013】
プレート20は、一方の主面が物品の取付箇所に接着する接着面となり、他方の主面が吸盤の吸着面となるポリカーボネート(PC)などのプラスチック樹脂を用いている。プレート20の形状は、吸盤30の吸着面とほぼ同じ円形の構成を採用している。プレート20は接着面に両面テープ21を張り付けて取付箇所に接着できる。プレート20の吸着面の中心には凸部22を設けている。凸部22はプレート20の主面から垂直方向に突出してプレート20と一体形成した構成である。また凸部22は先端の形状を球状に形成し、先端と根本の間に先端よりも細いくびれ部24を形成している。くびれ部24は先端の球状よりも厚みを薄く形成している。
【0014】
吸盤30は、一方の主面が吸着面となり、他方の主面にレバー支持部32およびレバー34を設けている。吸盤30は材質にエラストマーを用い、レバー支持部32及びレバー34は材質にポリカーボネート(PC)などのプラスチック樹脂を用いている。レバー支持部32は他方の主面の中心から垂直方向に突出した円柱の部材であり、先端にピン孔33を設けている。ピン孔33は軸心を吸着面と平行に配置している。レバー34はピン孔33を挟むように接続孔34aを設けてあり、ピン孔33および接続孔34aにピン35を水平方向から挿入して固定すると、ピン35を起点として揺動する。吸盤30の吸着面の中心には凹部36を設けている(図2参照)。凹部36は、吸着面に開口を有し、レバー支持部32の内部に亘って形成されており、凸部22と嵌め合う構成である。凹部36の開口付近は絞り部38を形成し、内部よりも孔の大きさを絞っている。絞り部38はプレート20の凸部22のくびれ部24よりも短く、換言するとくびれ部24は絞り部38よりも長く形成している。従って、凹部36に凸部22を嵌め合わせたとき、凸部22のくびれ部24は絞り部38に接した箇所より上方に凹部36の内壁との間で隙間(遊び)39が形成される(図3のステップ2参照)。なお吸盤30には周縁に剥離用の舌片を設けている。これにより、吸着した吸盤30をプレート20から剥がす作業が容易となる。
【0015】
吸盤ベース40は吸盤30の他方の主面(吸着面と反対面)を覆う、ポリカーボネート(PC)などのプラスチック樹脂を用いた部材である。吸盤ベース40は、吸盤30と同じく円形であり、レバー支持部32およびレバー34が突出する貫通孔42を中心に設けている。また吸盤ベース40は表面にアーム46に接続するアーム支持部44を設けている。アーム支持部44は吸盤ベース40の上面の貫通孔42の周縁から斜め上方に突出し先端にピン孔44aを設けている。ピン孔44aは吸着面と平行に配置している。アーム46はピン孔44aを挟むように接続孔46aを設けてあり、ピン孔44aおよび接続孔46aにピン48を水平方向から挿入して固定すると、ピン48を起点として任意の角度に揺動する。アーム46は先端にボールジョイント50を設けている。ボールジョイント50には物品を把持する把持部を取り付けることができる。
【0016】
[吸着式取付具10の取り付け方法]
上記構成による本発明の吸着式取付具の取付方法について、以下説明する。図3は本発明の吸着式取付具の取付方法の説明図である。
(ステップ1)
物品の取付箇所にプレート20を接着する。あらかじめ吸盤30と吸盤ベース40は結合させておく。すなわち、吸盤ベース40の貫通孔42にレバー支持部32を挿入して、レバー支持部32の先端を吸盤ベース40の上面に突出させる。レバー支持部32のピン孔33およびレバー34の接続孔34aにピン35を挿入して固定する。これにより吸盤ベース40と吸盤30の間に所定間隔を開けて固定することができる。
【0017】
(ステップ2)
プレート20上に吸盤30及び吸盤ベース40を配置する。そしてプレート20の凸部22に吸盤30の凹部36を嵌め合わせる。凸部22の先端は凹部36の絞り部38よりも大きいが、凸部22の先端を挿入し続けるとエラストマーの絞り部38が伸びて凹部36の内部に収まる。このときプレート20の吸着面中心に凸部22と、吸盤30の吸着面中心に凹部36を配置しているため、嵌め合わせるとプレート20の中心位置に吸盤30を取り付けることができ、位置合わせが容易に行える。このため、位置ズレによる吸着力の低下を防止できる。凸部22のくびれ部24は、凹部36の絞り部38よりも長く形成している。このため凸部22のくびれ部24の根本で接触している絞り部38より上方に凹部36の内壁との間で隙間(遊び)39が形成されている。
【0018】
(ステップ3)
次に吸盤ベース40の上で上方に起き上がっているレバー34を水平方向に倒すと、吸盤30の周縁部分は上方の吸盤ベース40の周縁部分でプレート20に向けて押え付けられる。吸盤30の中心、換言するとレバー支持部32の周囲は、レバー34のカム機構により吸盤30が上方の吸盤ベース40側に押し上げられて吸着面の空気を抜いて真空状態にすることができる。このとき凹部36の絞り部38は、凸部22のくびれ部24と先端の球状の境目付近まで上昇する。
【0019】
図4は吸着式取付具の吸盤が剥がれたときの説明図である。図示のように、吸盤30の吸着力が弱まってプレート20から剥がれて、ボールジョイント50に取り付けた物品の重量によりアーム支持部44の反対側に倒れようとしても、凸部22及び凹部36が嵌まり合った状態となり物品が脱落することがない。特に凸部22のくびれ部24の根本で接触している絞り部38より上方に凹部36の内壁との間で隙間(遊び)が形成されているため、凸部22の先端球状部分が凹部36の絞り部38に引っ掛かり、プレート20からの吸盤30の脱落を阻止できる。
【0020】
図5は吸着式取付具の凹凸部の変形例の説明図である。図示のようにプレート20Aの凸部22Aの先端形状は球状の他、フック状に形成しても良い。この場合吸盤30Aの凹部36Aの形状はフック状の凸部22Aが嵌る鍵穴形状に形成する。これにより、凸部22Aと凹部36Aが嵌る位置が限定されるため、プレート20Aに対する吸盤30Aの取り付け位置が決まっている場合に容易に位置合わせすることができる。
【0021】
図6は本発明の吸着式取付具の使用状態の説明図1である。同図に示す物品12は携帯端末であり、物品は把持部52により把持固定されている。把持部52はアーム46のボールジョイントにフレキシブルに接続している。
図7は本発明の吸着式取付具の使用状態の説明図2である。同図に示す物品12はミラーである。ミラーのような軽量物は、吸盤ベースを用いずに吸盤30に直接取り付ける構成であっても良い。吸盤30の吸着力が弱まって、プレート20から剥がれても、凸部22及び凹部36が嵌まり合った状態となり物品が脱落することがない。
【0022】
このような本発明によれば、吸盤の吸着力が低下して外れてもプレートから吸盤が脱落することを防止できる。従来よりもプレートの形状を小さくして吸着力が低下しても吸盤の脱落を防止できる。吸盤をプレートに吸着させる位置合わせが容易となり、取り付け不良による吸着力の低下を防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0023】
10 吸着式取付具
12 物品
20,20A プレート
21 両面テープ
22,22A 凸部
24 くびれ部
30,30A 吸盤
32 レバー支持部
33 ピン孔
34 レバー
34a 接続孔
35 ピン
36,36A 凹部
38 絞り部
39 隙間
40 吸盤ベース
42 貫通孔
44 アーム支持部
44a ピン孔
46 アーム
46a 接続孔
48 ピン
50 ボールジョイント
52 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7