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特開2024-4811箔転写装置およびフィルムカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004811
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】箔転写装置およびフィルムカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/42 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65C9/42
B41J29/00 H
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104656
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】市川 智也
(72)【発明者】
【氏名】中西 有樹子
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
3E095
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ06
2C061CK01
2C187AC07
2C187AD20
2C187BF60
2C187BG03
2C187BG44
2C187CD26
3E095AA20
3E095BA02
3E095CA10
3E095DA03
3E095DA06
3E095DA42
3E095DA48
3E095DA59
3E095DA69
3E095DA82
3E095DA90
3E095EA14
3E095EA40
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる箔転写装置およびフィルムカートリッジを提供する。
【解決手段】箔転写装置1は、筐体2と、筐体2に着脱可能なフィルムカートリッジFCであって、箔を含む箔フィルムFが巻回される供給リール31、箔フィルムFを巻き取る巻取リール35、および、筐体2に配置される電気接点151と接触する電気的接触面120を有するカートリッジメモリ100を有するフィルムカートリッジFCと、箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに箔を転写する箔転写部50と、制御部160とを備える。カートリッジメモリ100は、箔フィルムFのシートSに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムFのシートSに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶する。制御部160は、カートリッジメモリ100に記憶された箔使用履歴情報を取得可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置であって、
筐体と、
前記筐体に配置される電気接点と、
前記筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、
箔フィルムが巻回される供給リールと、
箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
フィルムカートリッジが前記筐体に装着された状態で前記電気接点と接触する電気的接触面を有するカートリッジメモリと、を有するフィルムカートリッジと、
前記供給リールから供給される箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写部と、
制御部と、を備え、
前記カートリッジメモリは、箔フィルムのシートに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶し、
前記制御部は、前記筐体に装着された前記フィルムカートリッジの前記カートリッジメモリに記憶された前記箔使用履歴情報を取得可能であることを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記制御部は、シートに箔を転写した場合、前記箔使用履歴情報を更新して前記カートリッジメモリに記憶させることを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記制御部は、
箔フィルムをメッシュ状に区画した複数の分割領域ごとに、シートに箔を転写した分割領域か、シートに箔を転写していない分割領域かを判定し、
前記箔使用履歴情報に、前記使用領域の情報としてのシートに箔を転写した分割領域の情報、および、前記未使用領域の情報としてのシートに箔を転写していない分割領域の情報の少なくとも一方を含ませることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数の分割領域ごとに、一の分割領域と、当該一の分割領域の周囲の領域であって、当該一の分割領域の外周から外側へ所定長さの領域とからなる拡張領域を規定し、
拡張領域ごとに、シートに箔を転写した拡張領域か、シートに箔を転写していない拡張領域かを判定し、
前記箔使用履歴情報に、前記使用領域の情報としてのシートに箔を転写した拡張領域に含まれる分割領域の情報、および、前記未使用領域の情報としてのシートに箔を転写していない拡張領域に含まれる分割領域の情報の少なくとも一方を含ませることを特徴とする請求項3に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記箔転写部は、シートに形成された画像の部分に箔を転写し、
前記制御部は、
シートに形成される画像のデータを取得し、
取得したデータがページ記述言語で記述された印刷データである場合、前記箔使用履歴情報に、前記印刷データの情報と、箔フィルム上における前記印刷データに基づいて画像に箔を転写した領域の位置の情報とを含ませることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記筐体に配置される本体メモリを備え、
前記制御部は、前記箔使用履歴情報を前記本体メモリにも記憶させることを特徴とする請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記フィルムカートリッジが前記筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの前記箔使用履歴情報を前記本体メモリから削除することを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記フィルムカートリッジが前記筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの前記箔使用履歴情報を前記本体メモリに残すことを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記フィルムカートリッジが前記筐体に装着された場合、当該フィルムカートリッジが装着される直前に前記筐体から取り外された他の前記フィルムカートリッジの前記箔使用履歴情報を、前記本体メモリから削除するか、前記本体メモリに残すか、ユーザに選択させる画面を表示させ、
ユーザの選択に応じて、当該箔使用履歴情報を、前記本体メモリから削除する、または、前記本体メモリに残すことを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記箔使用履歴情報に基づいて前記フィルムカートリッジが交換時期であるか否かを判定し、
前記フィルムカートリッジが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を報知させることを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記箔使用履歴情報に基づいて前記フィルムカートリッジが交換時期であるか否かを判定し、
前記フィルムカートリッジが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジの前記カートリッジメモリに当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を記憶させ、
前記カートリッジメモリに前記フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合、当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を報知させることを特徴とする請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項12】
前記制御部は、交換時期であると判定された前記フィルムカートリッジが前記筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの前記箔使用履歴情報を前記本体メモリから削除することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の箔転写装置。
【請求項13】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置の筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、
箔フィルムが巻回される供給リールと、
箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、
フィルムカートリッジが前記筐体に装着された状態で前記筐体に配置される電気接点と接触する電気的接触面を有するカートリッジメモリと、を備え、
前記カートリッジメモリは、箔フィルムのシートに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶することを特徴とするフィルムカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔転写装置および箔転写装置の筐体に着脱可能なフィルムカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
箔転写装置として、例えば、特許文献1には、使用済み箔ロールを再使用する際に、箔押し済み領域が箔ロールのどの位置にあるかを箔転写装置に設けられたメモリに記憶し、このメモリに記憶した箔押し済み位置に基づいて箔押し済み位置を避けて箔押しを行うものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-042971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の構成では、例えば、箔の色などを変えるため、箔を使い切る前に箔ロールを別の箔ロールに取り替えた場合、箔転写装置において、別の箔ロールの箔押し済み位置を把握することができなかった。そのため、箔を使い切る前に箔ロールを取り替えて使用するというような使い方をする場合に箔ロールを再使用することが難しかった。
【0005】
そこで、箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる箔転写装置およびフィルムカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置であって、筐体と、筐体に配置される電気接点と、筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、箔フィルムが巻回される供給リール、箔フィルムを巻き取るための巻取リール、および、フィルムカートリッジが筐体に装着された状態で電気接点と接触する電気的接触面を有するカートリッジメモリを有するフィルムカートリッジと、供給リールから供給される箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写部と、制御部と、を備える。
カートリッジメモリは、箔フィルムのシートに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶する。
制御部は、筐体に装着されたフィルムカートリッジのカートリッジメモリに記憶された箔使用履歴情報を取得可能である。
【0007】
このような構成によれば、フィルムカートリッジのカートリッジメモリから箔使用履歴情報が取得可能となるので、箔フィルムを使い切る前にフィルムカートリッジを取り替えても、箔転写装置において、フィルムカートリッジごとに箔使用履歴情報を把握することが可能となる。これにより、箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる。
【0008】
制御部は、シートに箔を転写した場合、箔使用履歴情報を更新してカートリッジメモリに記憶させる構成であってもよい。
【0009】
制御部は、箔フィルムをメッシュ状に区画した複数の分割領域ごとに、シートに箔を転写した分割領域か、シートに箔を転写していない分割領域かを判定し、箔使用履歴情報に、使用領域の情報としてのシートに箔を転写した分割領域の情報、および、未使用領域の情報としてのシートに箔を転写していない分割領域の情報の少なくとも一方を含ませる構成であってもよい。
【0010】
これによれば、カートリッジメモリの記憶容量を節約することができる。
【0011】
制御部は、複数の分割領域ごとに、一の分割領域と、当該一の分割領域の周囲の領域であって、当該一の分割領域の外周から外側へ所定長さの領域とからなる拡張領域を規定し、拡張領域ごとに、シートに箔を転写した拡張領域か、シートに箔を転写していない拡張領域かを判定し、箔使用履歴情報に、使用領域の情報としてのシートに箔を転写した拡張領域に含まれる分割領域の情報、および、未使用領域の情報としてのシートに箔を転写していない拡張領域に含まれる分割領域の情報の少なくとも一方を含ませる構成であってもよい。
【0012】
これによれば、箔フィルムの再使用時における箔の転写不良を抑制することができる。
【0013】
箔転写部は、シートに形成された画像の部分に箔を転写し、制御部は、シートに形成される画像のデータを取得し、取得したデータがページ記述言語で記述された印刷データである場合、箔使用履歴情報に、印刷データの情報と、箔フィルム上における印刷データに基づいて画像に箔を転写した領域の位置の情報とを含ませる構成であってもよい。
【0014】
これによれば、カートリッジメモリの記憶容量を節約することができる。
【0015】
箔転写装置は、筐体に配置される本体メモリを備え、制御部は、箔使用履歴情報を本体メモリにも記憶させる構成であってもよい。
【0016】
これによれば、箔使用履歴情報を本体メモリから取得できるので、制御部とカートリッジメモリとの間の通信量を削減することができる。
【0017】
制御部は、フィルムカートリッジが筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの箔使用履歴情報を本体メモリから削除する構成であってもよい。
【0018】
これによれば、本体メモリの記憶容量を節約することができる。
【0019】
制御部は、フィルムカートリッジが筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの箔使用履歴情報を本体メモリに残す構成であってもよい。
【0020】
制御部は、フィルムカートリッジが筐体に装着された場合、当該フィルムカートリッジが装着される直前に筐体から取り外された他のフィルムカートリッジの箔使用履歴情報を、本体メモリから削除するか、本体メモリに残すか、ユーザに選択させる画面を表示させ、ユーザの選択に応じて、当該箔使用履歴情報を、本体メモリから削除する、または、本体メモリに残す構成であってもよい。
【0021】
これによれば、前に装着されていた他のフィルムカートリッジの箔使用履歴情報を、本体メモリから削除するか、本体メモリに残すか、ユーザが自由に選択することができる。
【0022】
制御部は、箔使用履歴情報に基づいてフィルムカートリッジが交換時期であるか否かを判定し、フィルムカートリッジが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を報知させる構成であってもよい。
【0023】
これによれば、フィルムカートリッジが交換時期であることを知らせることができる。
【0024】
制御部は、箔使用履歴情報に基づいてフィルムカートリッジが交換時期であるか否かを判定し、フィルムカートリッジが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジのカートリッジメモリに当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を記憶させ、カートリッジメモリにフィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合、当該フィルムカートリッジが交換時期であることを示す情報を報知させる構成であってもよい。
【0025】
これによれば、交換時期であると判定されたフィルムカートリッジが再び装着された場合に、当該フィルムカートリッジが交換時期であることを知らせることができる。
【0026】
制御部は、交換時期であると判定されたフィルムカートリッジが筐体から取り外された場合、当該フィルムカートリッジの箔使用履歴情報を本体メモリから削除する構成であってもよい。
【0027】
これによれば、本体メモリの記憶容量を節約することができる。
【0028】
フィルムカートリッジは、箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置の筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、箔フィルムが巻回される供給リールと、箔フィルムを巻き取るための巻取リールと、フィルムカートリッジが筐体に装着された状態で筐体に配置される電気接点と接触する電気的接触面を有するカートリッジメモリと、を備える。
カートリッジメモリは、箔フィルムのシートに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶する。
【0029】
このような構成によれば、フィルムカートリッジのカートリッジメモリから箔使用履歴情報が取得可能となるので、箔フィルムを使い切る前にフィルムカートリッジを取り替えても、箔転写装置において、フィルムカートリッジごとに箔使用履歴情報を把握することが可能となる。これにより、箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる。
【発明の効果】
【0030】
上述の箔転写装置およびフィルムカートリッジによれば、箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置の筐体からフィルムカートリッジを取り出した状態を示す図である。
図3】第1実施形態の箔使用履歴情報を説明する図(a),(b)である。
図4】シートへの箔の転写を説明する図であり、(a)は新品の箔フィルムを使用する場合を示し、(b)は箔フィルムを再使用する場合を示す。
図5】制御部の動作の一例を示すフローチャートであり、フィルムカートリッジが装着された場合を示す。
図6】制御部の動作の一例を示すフローチャートであり、箔の転写を開始した場合を示す。
図7】制御部の動作の一例を示すフローチャートであり、フィルムカートリッジが交換時期であると判定した場合を示す。
図8】第2実施形態の箔使用履歴情報を説明する図(a),(b)である。
図9】第3実施形態の箔使用履歴情報を説明する図(a)~(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、金箔などの箔を含む箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに箔を転写するための装置である。詳しくは、箔転写装置1は、シートSに形成された画像の一例としてのトナー像の上に箔を転写する。なお、トナー像は、例えば、レーザプリンタなどの画像形成装置PによってシートS上に形成される。箔転写装置1は、筐体2と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、箔転写部50と、制御部160とを備えている。
【0033】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2も参照)を有している。カバー22は、開口21Aを開閉する。カバー22は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0034】
箔転写装置1は、ユーザが操作する操作部としてのタッチパネルTPをさらに備えている。タッチパネルTPは、ユーザによって操作されるボタンなどを表示するパネルである。一例として、タッチパネルTPは、カバー22の上面に設けられている。
【0035】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート搬送部10は、メインモータMによって回転駆動される。シート供給機構11は、図示せぬシートトレイ上のシートSを一枚ずつ箔転写部50に向けて搬送する機構である。シート排出機構12は、箔転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。
【0036】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムカートリッジFCと、第1案内軸41と、第2案内軸42と、メインモータMとを備えている。第1案内軸41および第2案内軸42は、筐体本体21に設けられている(図2参照)。
【0037】
フィルムカートリッジFCは、箔転写装置1の筐体2に着脱可能となっている。詳しくは、図2に示すように、フィルムカートリッジFCは、カバー22が開位置に位置する状態で、開口21Aを通して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムカートリッジFCは、箔フィルムFを有するフィルムユニットFUと、フィルムユニットFUを支持するホルダ90とを備えている。
【0038】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えば、ワックス系樹脂を含んでいる。
【0039】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属であって薄く形成された金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0040】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、箔転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば、塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0041】
図1(a)に示すように、フィルムユニットFUは、供給リール31と、供給ケース32と、巻取リール35と、カートリッジメモリ100とを主に備えている。ホルダ90は、シャフト43を有している。
【0042】
供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。
供給ケース32は、供給リール31を収容する中空のケースである。供給ケース32は、樹脂などからなる。
【0043】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。巻取軸部35Aは、メインモータMによって回転駆動される。
【0044】
カートリッジメモリ100は、情報を記憶する媒体であり、例えば、ICチップである。カートリッジメモリ100は、電気的接触面120を有する。カートリッジメモリ100は、例えば、供給ケース32に設けられている。
【0045】
箔転写装置1は、カートリッジメモリ100から情報を読み取るリーダ150をさらに有している。
リーダ150は、筐体2に配置されている。詳しくは、リーダ150は、筐体本体21に配置されている。リーダ150は、フィルムカートリッジFCが筐体本体21に装着された場合に、カートリッジメモリ100と向かい合う位置に配置されている。リーダ150は、電気接点151を有している。カートリッジメモリ100の電気的接触面120は、フィルムカートリッジFCが筐体2の筐体本体21に装着された状態で電気接点151と接触する。リーダ150は、制御部160と接続されている。
【0046】
第1案内軸41は、箔フィルムFを案内する軸である。詳しくは、第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFに接触して、箔フィルムFの進行方向を変更する。第1案内軸41は、例えば、SUS(ステンレス鋼)からなっている。
【0047】
第2案内軸42は、箔フィルムFを案内する軸である。詳しくは、第2案内軸42は、第1案内軸41で案内された箔フィルムFに接触して、箔フィルムFの進行方向を変更する。第2案内軸42は、例えば、SUSからなっている。
【0048】
シャフト43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度を調整するためのシャフトである。シャフト43は、SUSなどからなる。シャフト43は、第2案内軸42で案内された箔フィルムFに接触して、箔フィルムFの進行方向を変更する。
【0049】
第1案内軸41は、トナー像が形成された面を下にした状態で搬送されるシートSに対して、供給リール31から引き出された箔フィルムFを下から重ねるように案内している。第1案内軸41は、供給リール31から引き出された箔フィルムFの搬送方向を変えて、シートSの搬送方向と略平行に箔フィルムFを案内する。
【0050】
第2案内軸42は、箔転写部50を通過した箔フィルムFと接触し、箔転写部50を通過した箔フィルムFの搬送方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから離れる方向に案内する剥離ローラである。箔転写部50を通過してシートSと重なった状態で搬送された箔フィルムFは、第2案内軸42を通過する際にシートSとは異なる方向に案内され、シートSから剥離される。
【0051】
箔転写部50は、供給リール31から供給される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに箔を転写するための部分である。箔転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の部分に箔を含む転写層F22を転写する。箔転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、第1ヒータ62と、第2ヒータ63とを有する。箔転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0052】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0053】
加圧ローラ51は、カバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、メインモータMによって回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび箔フィルムFが搬送される。
【0054】
加熱ローラ61は、円筒状に形成されている。第1ヒータ62および第2ヒータ63は、加熱ローラ61の内部に配置され、加熱ローラ61を加熱する。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。加熱ローラ61は、図示せぬ圧接離間機構によって、加圧ローラ51に圧接または加圧ローラ51から離間可能となっている。
【0055】
制御部160は、CPU、本体メモリ161、入出力回路などを備えている。制御部160は、本体メモリ161に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行するように構成されている。本体メモリ161を含む制御部160は、筐体2に配置されている。制御部160は、シートSが箔転写部50のニップ部を通過する間、加熱ローラ61を加圧ローラ51に圧接させ、シートSが箔転写部50のニップ部を通過していないときには、加熱ローラ61を加圧ローラ51から離間させる機能を有する。本体メモリ161は、例えば、RAM、ROMである。
【0056】
このように構成された箔転写装置1では、図示せぬシートトレイに載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ箔転写部50に向けて搬送される。シートSは、箔転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で箔転写部50に搬送される。
【0057】
箔転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22が転写される。なお、以下の説明では、トナー像への転写層F22の転写を、単に「箔転写」とも称する。
【0058】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で第2案内軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが第2案内軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって筐体2の外部に排出される。
【0059】
カートリッジメモリ100は、例えば、フィルムカートリッジFCの識別情報、仕様情報、箔使用履歴情報などを記憶する。識別情報は、例えば、フィルムカートリッジFCを識別するためのシリアルナンバーなどの情報である。仕様情報は、例えば、箔フィルムFの長さ、幅、箔の色などの情報である。
【0060】
箔使用履歴情報は、箔フィルムFのシートSに箔を転写した使用領域の情報、および、箔フィルムFのシートSに箔を転写していない未使用領域の情報の少なくとも一方を含む。本実施形態では、図3(a)に示すように、箔フィルムF上に、箔フィルムFをメッシュ状に区画した複数の分割領域BAを仮想的に設定し、分割領域BAごとに、シートSに箔を転写した分割領域である使用分割領域BA1と、シートSに箔を転写していない分割領域である未使用分割領域BA0とに区別している。一例として、分割領域BAは、正方形状を有し、一辺の長さが10mmである。
【0061】
図3(b)に示すように、箔使用履歴情報は、箔フィルムFのシートSに箔を転写した使用領域の情報としての使用分割領域BA1の情報J1、および、箔フィルムFのシートSに箔を転写していない未使用領域の情報としての未使用分割領域BA0の情報J0の少なくとも一方を含む。箔フィルムFが新品である場合、箔使用履歴情報は、未使用分割領域BA0の情報J0のみを含む。
【0062】
各分割領域BAの情報は、使用分割領域BA1であるか未使用分割領域BA0であるかの情報のほかに、さらに、箔フィルムF上における位置の情報を含む。分割領域BAの箔フィルムF上における位置の情報は、例えば、箔フィルムF上における長さ方向および幅方向の位置(座標)の情報であってもよいし、分割領域BAごとに連続して振った番号の情報であってもよい。
【0063】
なお、図3(a)および後で参照する図4(a),(b)では、参考までに、箔フィルムFの右側に、ドットのハッチを付して示した箔が転写されたシートSを示している。箔転写装置1では、シートSは、箔が転写される面が箔フィルムFに接触した状態で加圧ローラ51と加熱ローラ61との間のニップ部を通過する。
【0064】
制御部160は、筐体2に装着されたフィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に記憶された箔使用履歴情報などを取得可能である。詳しくは、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2に装着された場合、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100からリーダ150によって箔使用履歴情報などを読み取って取得する。
【0065】
また、制御部160は、シートSに箔を転写した場合、箔使用履歴情報を更新してカートリッジメモリ100に記憶させる。本実施形態では、制御部160は、画像形成装置P(図1(a)参照)からシートSに形成される画像のデータを取得し、複数の分割領域BAごとに、シートS上の画像(トナー像)の少なくとも一部と重なり箔が転写される使用分割領域BA1か、シートS上の画像と重ならず箔が転写されない未使用分割領域BA0かを判定する。そして、制御部160は、箔使用履歴情報に、使用分割領域BA1の情報J1、および、未使用分割領域BA0の情報J0の少なくとも一方を含ませる。具体的には、制御部160は、使用分割領域BA1であると判定した分割領域BAの情報を、判定前の情報J0から情報J1に更新する。
【0066】
制御部160は、箔使用履歴情報を本体メモリ161にも記憶させる。詳しくは、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2に装着された場合、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100からリーダ150によって箔使用履歴情報を読み取って取得し、本体メモリ161に記憶させる。また、制御部160は、箔使用履歴情報を更新した場合、更新した箔使用履歴情報をカートリッジメモリ100に記憶させるとともに、本体メモリ161にも記憶させる。
【0067】
制御部160は、フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を、例えば、当該フィルムカートリッジFCの識別情報と対応させて本体メモリ161に記憶させる。これにより、本体メモリ161に、複数のフィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を、フィルムカートリッジFCごとに記憶させることができる。制御部160は、箔使用履歴情報を本体メモリ161に記憶させたら、箔使用履歴情報を本体メモリ161から取得して制御を実行する。
【0068】
箔転写装置1は、箔フィルムFを使い切って巻取リール35に巻回された箔フィルムFの径が最大となった場合、制御部160からの指令またはユーザの操作によって供給リール31を逆回転させ、箔フィルムFを巻取リール35から供給リール31に巻き戻すことができるように構成されている。そして、箔転写装置1は、供給リール31に巻き戻された箔フィルムFを再び箔転写に使用(再使用)することができるようになっている。
【0069】
図4(a),(b)に示すように、制御部160は、シートSに箔を転写する場合、本体メモリ161から取得した箔使用履歴情報に基づいて、シートSの画像が形成された部分(以下、「画像形成領域」ともいう。)TAの全体に、箔フィルムFの未使用分割領域BA0が重なるように、シート搬送部10、フィルム供給部30および箔転写部50を制御してシートSと箔フィルムFを搬送する。
【0070】
図4(a)に示すように、新品の箔フィルムFを使用する場合、太い二点鎖線で示す、シートSと箔フィルムFの搬送方向における箔が転写される位置(加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部)よりも上流側に、シートSに箔を転写した使用分割領域BA1は存在しない。この場合、制御部160は、シート搬送部10、フィルム供給部30および箔転写部50を制御して、予め設定された所定のタイミングでシートSと箔フィルムFを搬送する。
【0071】
図4(b)に示すように、箔フィルムFを供給リール31に巻き戻して再使用する場合、シートSと箔フィルムFの搬送方向における箔が転写される位置よりも上流側に、シートSに箔を転写した使用分割領域BA1が存在する。この場合、制御部160は、シート搬送部10、フィルム供給部30および箔転写部50を制御して、シートSの画像形成領域TAの全体に箔フィルムFの未使用分割領域BA0が重なるようなタイミングで、言い換えれば、画像形成領域TAに箔フィルムFの使用分割領域BA1が重ならないように、シートSと箔フィルムFを搬送する。
【0072】
制御部160は、箔使用履歴情報に基づいてフィルムカートリッジFCが交換時期であるか否かを判定する。一例として、制御部160は、全分割領域BAに占める使用分割領域BA1の割合が予め設定した閾値以上となった場合、または、全分割領域BAに占める未使用分割領域BA0の割合が予め設定した閾値以下となった場合、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定する。箔フィルムFは、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定されるまで再使用が可能である。
【0073】
制御部160は、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させる。一例として、制御部160は、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合、「カートリッジ交換」のような文字情報をタッチパネルTPに表示させる。
【0074】
制御部160は、交換時期であると判定されたフィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する。一例として、制御部160は、リーダ150を介して、情報をカートリッジメモリ100から取得できる場合にフィルムカートリッジFCが筐体2に装着されていると判定し、情報をカートリッジメモリ100から取得できない場合にフィルムカートリッジFCが筐体2に装着されていない(筐体2から取り外された)と判定する。
【0075】
また、制御部160は、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を記憶させる。一例として、カートリッジメモリ100は、交換時期判定フラグを記憶する。交換時期判定フラグの初期値は0である。制御部160は、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に記憶されている交換時期判定フラグを0から1に書き換えて記憶させる。
【0076】
制御部160は、カートリッジメモリ100にフィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させる。詳しくは、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2に装着された場合において、カートリッジメモリ100にフィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合(例えば、交換時期判定フラグが1である場合)、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させる。
【0077】
なお、一の箔転写装置1で、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定され、その後、当該フィルムカートリッジFCが一の箔転写装置1の筐体2から取り外された場合、上述したように、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報は、一の箔転写装置1の本体メモリ161から削除される。一方で、他の箔転写装置1で、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定され、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に記憶された場合、一の箔転写装置1の本体メモリ161には、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が残っている場合がある。
【0078】
そこで、制御部160は、筐体2に装着されたフィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合において、当該フィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合、本体メモリ161に当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が記憶されているか否かを判定する。そして、制御部160は、本体メモリ161に当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が記憶されている場合、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する。
【0079】
次に、制御部160の動作の一例について説明する。
図5に示すように、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2に装着された場合(S11,Yes)、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100から記憶されている情報を取得する(S12)。
【0080】
次に、制御部160は、カートリッジメモリ100にフィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が記憶されているか否かを判定する(S13)。交換時期であることを示す情報が記憶されていない場合(S13,No)、制御部160は、カートリッジメモリ100から取得した箔使用履歴情報を本体メモリ161に記憶させ(S14)、処理を終了する。
【0081】
図6に示すように、制御部160は、箔転写を開始した場合(S21,Yes)、まず、箔使用履歴情報を本体メモリ161から取得する(S22)。その後、制御部160は、取得した箔使用履歴情報に基づいてシートSと箔フィルムFを重ねて箔転写を実行する(S23)。シートSに箔を転写した場合、制御部160は、箔使用履歴情報を更新する(S24)。そして、制御部160は、更新した箔使用履歴情報をカートリッジメモリ100と本体メモリ161に記憶させる(S25)。
【0082】
箔転写を終了しない場合(S26,No)、制御部160は、ステップS22に戻って以降の処理を繰り返す。箔転写を終了する場合(S26,Yes)、制御部160は、処理を終了する。
【0083】
図7に示すように、制御部160は、箔使用履歴情報に基づいてフィルムカートリッジFCが交換時期であるか否かを判定する(S31)。フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合(S31,Yes)、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を記憶させる(S32)。
【0084】
また、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させる(S33)。具体的には、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報をタッチパネルTPに表示させる。その後、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合(S34,Yes)、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除し(S35)、処理を終了する。
【0085】
図5に示すように、ステップS13において、筐体2に装着されたフィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報が記憶されている場合(Yes)、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させる(S15)。具体的には、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報をタッチパネルTPに表示させる。
【0086】
その後、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合(S16,Yes)、本体メモリ161に当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が記憶されているか否かを判定する(S17)。本体メモリ161に当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が記憶されていない場合(S17,No)、制御部160は、処理を終了する。本体メモリ161に当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報が記憶されている場合(S17,Yes)、制御部160は、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除し(S18)、処理を終了する。
【0087】
以上の第1実施形態によれば、フィルムカートリッジFCが箔使用履歴情報を記憶するカートリッジメモリ100を有するので、フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100から箔使用履歴情報が取得可能となる。これにより、フィルムカートリッジFCの箔フィルムFを使い切る前にフィルムカートリッジFCを取り替えても、箔転写装置1において、フィルムカートリッジFCごとに箔使用履歴情報を把握することが可能となる。これにより、箔を使い切る前に箔を取り替えても再使用することができる。これにより、箔が無駄になるのを抑制したり、再使用時における、画像形成領域TAと箔フィルムFの使用分割領域BA1とが重なることによる箔の転写不良(箔の欠け)を抑制したりすることができる。
【0088】
また、箔使用履歴情報に、箔フィルムFをメッシュ状に区画した複数の分割領域BAの情報を含ませるので、箔フィルムFの使用領域の情報を、例えば、ドットの集合としてのビットマップ形式の画像データに基づいてカートリッジメモリ100や本体メモリ161に記憶させる場合と比較して、カートリッジメモリ100や本体メモリ161の記憶容量を節約することができる。
【0089】
また、箔使用履歴情報を本体メモリ161にも記憶させるので、箔使用履歴情報を本体メモリ161から取得することができる。これにより、箔使用履歴情報が必要な場合に、毎回、箔使用履歴情報をカートリッジメモリ100からリーダ150によって読み取って取得する場合と比較して、制御部160とカートリッジメモリ100との間の通信量を削減することができる。
【0090】
また、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合に、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させるので、フィルムカートリッジFCが交換時期であることをユーザに知らせることができる。
【0091】
また、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定した場合に、当該フィルムカートリッジFCのカートリッジメモリ100に当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を記憶させ、この情報が記憶されている場合に、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報を報知させるので、一度交換時期であると判定されたフィルムカートリッジFCが再び筐体2に装着された場合に、当該フィルムカートリッジFCが交換時期であることをユーザに知らせることができる。
【0092】
また、交換時期であると判定されたフィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合に、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除するので、本体メモリ161の記憶容量を節約することができる。
【0093】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる点について説明し、同じ点については同様の構成要素に同じ符号を付して適宜説明を省略する。
第2実施形態の制御部160も、図8(b)に示すように、箔使用履歴情報に、箔フィルムFのシートSに箔を転写した使用領域の情報である情報J1、および、箔フィルムFのシートSに箔を転写していない未使用領域の情報である情報J0の少なくとも一方を含ませる。
【0094】
図8(a)に示すように、第2実施形態において、制御部160は、シートSへの箔転写に伴って箔使用履歴情報を更新する場合、箔フィルムFの複数の分割領域BAごとに、一の分割領域BAと、当該一の分割領域BAの周囲の領域CAであって、当該一の分割領域BAの外周から外側へ所定長さLの領域CAとからなる拡張領域DAを規定する。一例として、所定長さLは、2mmであり、拡張領域DAは、正方形状を有し、一辺の長さが14mmである。
【0095】
制御部160は、拡張領域DAごとに、シートSに箔を転写した拡張領域DAか、シートSに箔を転写していない拡張領域DAかを判定する。そして、制御部160は、箔使用履歴情報に、使用領域の情報としてのシートSに箔を転写した拡張領域DAに含まれる分割領域BAの情報J1、および、未使用領域の情報としてのシートSに箔を転写していない拡張領域DAに含まれる分割領域BAの情報J0の少なくとも一方を含ませる。
【0096】
例えば、制御部160は、図8(a)に示す、一の分割領域BAnについて、当該分割領域BAnと、周囲の領域CAとからなる拡張領域DAを設定する。そして、制御部160は、当該拡張領域DAが図8の右上にシートSに箔を転写した部分を含むので、シートSに箔を転写した拡張領域DAであると判定する。そして、制御部160は、当該拡張領域DAに含まれる分割領域BAnの情報を、未使用であることを示す情報J0から使用済みであることを示す情報J1n(図8(b)参照)に書き換えて箔使用履歴情報を更新する。
【0097】
以上の第2実施形態によれば、分割領域BA自体にシートSに箔を転写した部分が含まれなくても、周囲の領域CAにシートSに箔を転写した部分が含まれれば、当該分割領域BAがシートSに箔を転写した領域として扱われるので、例えば、フィルムカートリッジFCの取り替えなどで筐体2内における箔フィルムFの位置が多少ずれた場合であっても、箔フィルムFの位置ずれを吸収することができる。これにより、箔フィルムFの再使用時における、シートSの画像(トナー像)が形成された部分と箔フィルムFの箔が使用された部分とが重なることによる箔の転写不良(箔の欠け)を抑制することができる。
【0098】
次に、第3実施形態について説明する。
画像形成装置P(図1(a)参照)は、図9(a)に示すように、ページ記述言語で記述された印刷データを受信したときに、受信した印刷データを、ベクトルデータあるいはビットマップデータからなるオブジェクトデータD1~D4に展開し、オブジェクトデータD1~D4を、仮想のシートSV内に配置して、複数のバンドデータBD1~BD15からなるラスタ画像RIに展開した上で、シートSに画像(トナー像)を形成する。
【0099】
第3実施形態において、制御部160は、シートSへの箔転写に伴って箔使用履歴情報を更新する場合、画像形成装置Pから取得した画像のデータがページ記述言語で記述された印刷データである場合、箔使用履歴情報に、印刷データの情報と、箔フィルムF上における印刷データに基づいて画像に箔を転写した領域の位置の情報とを含ませる。一例として、制御部160は、図9(b),(c)に示すように、カートリッジメモリ100および本体メモリ161に記憶させる箔使用履歴情報に、画像形成装置Pから取得した印刷データの情報そのものと、箔フィルムF上における印刷データに基づいて画像に箔を転写した領域の開始位置の情報とを対応させて含ませる。
【0100】
以上の第3実施形態によれば、ページ記述言語で記述された印刷データは、例えば、ドットの集合としてのビットマップ形式の画像データなどよりもデータサイズが小さいので、箔フィルムFの使用領域の情報を、ビットマップ形式の画像データに基づいてカートリッジメモリ100や本体メモリ161に記憶させる場合と比較して、カートリッジメモリ100や本体メモリ161の記憶容量を節約することができる。
【0101】
以上、実施形態について説明したが、箔転写装置およびフィルムカートリッジは以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
例えば、箔使用履歴情報に、ビットマップ形式の画像データの情報と、箔フィルム上における当該画像データに基づいて画像に箔を転写した領域の位置の情報とを含ませてもよい。
【0102】
前記実施形態では、制御部160は、交換時期であると判定されたフィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合に、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する構成であった。しかし、例えば、制御部160は、フィルムカートリッジFCが交換時期であるか否かに関わらず、フィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合に、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する構成であってもよい。このような構成によれば、本体メモリ161の記憶容量を節約することができる。
【0103】
また、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2から取り外された場合でも、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161に残す構成であってもよい。なお、この構成の場合、例えば、フィルムカートリッジFCが交換時期であると判定され、筐体2から取り外された場合に、当該フィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する構成とすることで、不要な箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除することができる。
【0104】
また、箔転写装置1は、箔使用履歴情報を、本体メモリ161から削除するか、本体メモリ161に残すかをユーザが選択できる構成であってもよい。例えば、制御部160は、フィルムカートリッジFCが筐体2に装着された場合、当該フィルムカートリッジFCが装着される直前に筐体2から取り外された他のフィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を、本体メモリ161から削除するか、本体メモリ161に残すか、ユーザに選択させる画面をタッチパネルTPに表示させる。
【0105】
そして、制御部160は、ユーザの選択に応じて、当該箔使用履歴情報を、本体メモリから削除する、または、本体メモリに残す。詳しくは、制御部160は、ユーザがタッチパネルTPを操作して、直前に筐体2から取り外された他のフィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除することを選択した場合、当該箔使用履歴情報を本体メモリ161から削除する。また、制御部160は、ユーザがタッチパネルTPを操作して、直前に筐体2から取り外された他のフィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を本体メモリ161に残すことを選択した場合、当該箔使用履歴情報を本体メモリ161に残す。
【0106】
このような構成によれば、前に装着されていた他のフィルムカートリッジFCの箔使用履歴情報を、本体メモリ161から削除するか、本体メモリ161に残すか、ユーザが自由に選択することができる。
【0107】
前記実施形態では、制御部160が本体メモリ161を備える構成であったが、例えば、箔転写装置は、本体メモリを制御部とは別に備える構成であってもよい。
【0108】
前記実施形態では、制御部160が箔使用履歴情報を本体メモリ161にも記憶させる構成であったが、例えば、制御部は、箔使用履歴情報を本体メモリに記憶させない構成であってもよい。すなわち、制御部は、箔使用履歴情報を、必要な場合に毎回、カートリッジメモリから取得する構成であってもよい。
【0109】
前記実施形態では、フィルムカートリッジFCが交換時期であることを示す情報をタッチパネルTPに表示させることで報知したが、例えば、スピーカからの音声や警告音によって報知してもよいし、ランプの点灯や点滅などによって報知してもよい。また、画面への表示、スピーカからの音、ランプの点灯や点滅などの方法を2つ以上組み合わせて報知してもよい。
【0110】
前記実施形態では、レーザプリンタなどの画像形成装置Pでトナー像(画像)が形成されたシートSに箔を転写する箔転写装置1を例示したが、例えば、箔転写装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部でシートに形成された画像の部分に箔を転写する箔転写部とを備える構成であってもよい。すなわち、箔転写装置は、画像形成装置と一体となったような構成であってもよい。
【0111】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 箔転写装置
2 筐体
31 供給リール
35 巻取リール
50 箔転写部
100 カートリッジメモリ
120 電気的接触面
151 電気接点
160 制御部
161 本体メモリ
F 箔フィルム
FC フィルムカートリッジ
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9