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特開2024-48128X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048128
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/041 20180101AFI20240401BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240401BHJP
【FI】
G01N23/041
A61B6/00 330Z
A61B6/00 320Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154009
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】小島 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】前田 祐人
【テーマコード(参考)】
2G001
4C093
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001BA18
2G001CA01
2G001DA09
2G001EA01
2G001HA07
2G001HA13
2G001JA07
4C093AA07
4C093CA17
4C093FA20
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】第2X線画像を更新するタイミング、および/または、第2X線画像を生成する必要があることをユーザが容易に把握することが可能なX線位相イメージング装置を提供する。
【解決手段】このX線位相イメージング装置100は、X線源10と、X線検出器11と、複数の格子と、被写体90が写る第1X線画像30と、被写体90が写らない第2X線画像31とに基づいてX線位相コントラスト画像32を生成する画像処理部2bと、第2X線画像31を撮影条件40と対応付けて記憶する記憶部2cと、制御部2aと、を備える。制御部2aは、記憶された第2X線画像31に基づくX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶されていないと判定される場合に、対応する第2X線画像31の更新、または、生成をユーザに促す報知を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源と前記X線検出器との間に配置された複数の格子と、
設定された撮影条件によって被写体を撮影した第1X線画像と、被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とを取得し、前記第1X線画像と前記第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記第2X線画像を前記撮影条件に対応付けて記憶する記憶部と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記記憶部に記憶された前記第2X線画像であって、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応する前記第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行う、X線位相イメージング装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まるか否かの指標として、前記第2X線画像が予め設定された使用期限を超過しているか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記第2X線画像を、前記第2X線画像が撮影された時間である判定基準時間と関連付けて記憶するように構成されており、
前記制御装置は、前記判定基準時間からの経過時間、または、前記記憶部に前記第2X線画像が記憶されてからの累積撮影回数に基づいて決定される時間が、前記使用期限を超過しているか否かを判定するように構成されている、請求項2に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2X線画像が前記使用期限を超過している場合に、前記第2X線画像の更新を促す情報を表示装置に表示させる、請求項2に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2X線画像が前記使用期限を超過している場合には、前記画像処理部によって前記X線位相コントラスト画像が生成される前に、前記第2X線画像の更新を促す情報を表示させるように構成されている、請求項4に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項6】
被写体と前記複数の格子とを、X線の照射軸線周りの回転方向に相対回転させる回転機構をさらに備え、
前記撮影条件は、被写体と前記複数の格子との相対角度を含む、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記回転機構によって被写体と前記複数の格子とを相対回転させ、複数の前記相対角度において撮影した前記第1X線画像および前記第2X線画像を取得するように構成されており、
前記画像処理部は、複数の前記相対角度毎の前記第1X線画像および前記第2X線画像に基づいて、前記複数の相対角度毎の前記X線位相コントラスト画像を生成するように構成されており、
前記記憶部は、前記複数の相対角度毎の前記第2X線画像を記憶するように構成されており、
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度に対応する前記第2X線画像を用いた前記複数の相対角度毎の前記X線位相コントラスト画像の各々の画質の劣化が、前記許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている、請求項6に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項8】
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度毎に、対応する前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定するように構成されており、
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度のうち、対応する前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記X線位相コントラスト画像の生成を行えないことを報知するように構成されている、請求項6または7に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まらないと判定する場合であっても、ユーザ操作に基づいて前記X線位相コントラスト画像を生成する制御を行う、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項10】
前記制御装置は、予め設定された時間毎に、前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のX線位相イメージング装置。
【請求項11】
設定された撮影条件によって被写体を撮影した第1X線画像と、被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成するX線位相イメージング方法であって、
記憶部に記憶された前記第2X線画像であり、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定するステップと、
取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が、前記許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応する前記第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行うステップと、を備える、X線位相イメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線位相イメージング装置およびX線位相イメージング方法に関し、特に、複数の格子を備えるX線位相イメージング装置およびX線位相イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の格子を備えるX線位相イメージング装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、X線源と、複数の格子と、X線画像検出器と、を備えたX線撮像装置が開示されている。上記特許文献1に開示されているX線撮像装置は、X線源、複数の格子、および、X線画像検出器を所定の相対位置に配置し、複数の格子のいずれかを格子ピッチの方向に並進移動させながら撮影することにより、吸収像、微分位相像、および、暗視野像を生成する。具体的には、上記特許文献1には、被写体を配置していない状態で複数の格子のいずれかを並進移動させながら撮影したモアレ干渉縞と、被写体を配置した状態で複数の格子のいずれかを並進移動させながら撮影したモアレ干渉縞との変化に基づいて、吸収像、微分位相像、および、暗視野像を生成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-16370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には開示されていないが、被写体を配置しないで撮影したモアレ干渉縞(第2X線画像)は、被写体を配置して撮影されたモアレ干渉縞(第1X線画像)を撮影する度に撮影する必要はない。第2X線画像は、たとえば、予め撮影して記憶部などに記憶しておき、吸収像、微分位相像、および、暗視野像を含むX線位相コントラスト画像を生成する際に用いることができる。複数の格子の相対位置の変化などにより、生成されるX線位相コントラスト画像の画質が劣化する場合がある。X線位相コントラスト画像の画質の劣化を抑制するためには、記憶部に記憶された第2X線画像を更新することが考えられる。しかしながら、上記特許文献1には、X線撮像装置(X線位相イメージング装置)が、第2X線画像を更新する構成については開示されていない。また、上記特許文献1には開示されていないが、第1X線画像に対応する第2X線画像が存在しない場合、X線位相コントラスト画像を生成することができない。そのため、上記特許文献1に開示されているようなX線位相イメージング装置では、ユーザが第2X線画像を更新するタイミング、および/または、第2X線画像を生成する必要があることを把握することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、第2X線画像を更新するタイミング、および/または、第2X線画像を生成する必要があることをユーザが容易に把握することが可能なX線位相イメージング装置およびX線位相イメージング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線位相イメージング装置は、X線を照射するX線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線源とX線検出器との間に配置された複数の格子と、設定された撮影条件によって、被写体を撮影した第1X線画像と被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とを取得し、第1X線画像と第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、画像処理部によって生成された第2X線画像を撮影条件に対応付けて記憶する記憶部と、制御装置とを備え、制御装置は、記憶部に記憶された第2X線画像であって、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像を用いて生成されるX線位相コントラスト画像の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像が記憶部に記憶されているか否かを判定し、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像を用いて生成されるX線位相コントラスト画像の画質の劣化が許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像が記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応する第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行う。
【0008】
また、この発明の第2の局面におけるX線位相イメージング方法は、設定された撮影条件によって被写体を撮影した第1X線画像と、被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成するX線位相イメージング方法であって、記憶部に記憶された第2X線画像であり、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像を用いて生成されるX線位相コントラスト画像の画質の劣化が所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像が記憶部に記憶されているか否かを判定するステップと、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像を用いて生成されるX線位相コントラスト画像の画質の劣化が、許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像が記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応する第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行うステップと、を備える、X線位相イメージング方法。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面におけるX線位相イメージング装置、および、上記第2の局面におけるX線位相イメージング方法では、上記のように、記憶部に記憶された第2X線画像であって、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像を用いて生成されるX線位相コントラスト画像の画質の劣化が所定の許容範囲に収まらないと判定される場合に、第2X線画像の更新をユーザに促す報知を行う。これにより、報知によって、第2X線画像の更新が必要であることを、ユーザに把握させることができる。また、上記のように、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応付けられた第2X線画像が記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像の撮影条件に対応する第2X線画像の生成をユーザに促す報知を行う。これにより、第2X線画像を生成する必要があることを、ユーザに把握させることができる。これらの結果、第2X線画像を更新するタイミング、および/または、第2X線画像を生成する必要があることをユーザが容易に把握することができる。また、第2X線画像を更新するタイミングをユーザに把握させたことにより、ユーザが第2X線画像の更新を実行することによって、X線位相コントラスト画像の画質の劣化が、許容範囲から外れることが抑制されることが期待できる。また、第2X線画像を生成する必要があることをユーザに把握させたことにより、ユーザが第2X線画像の生成を実行することによって、X線位相コントラスト画像を生成できないことが防止されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるX線位相イメージング装置の全体構成を示した模式図である。
図2】一実施形態によるX線位相イメージング装置のX線撮影部の構成を説明するための模式図である。
図3】一実施形態によるX線位相イメージング装置の回転機構の構成を説明するための模式図である。
図4】一実施形態によるX線位相イメージング装置の格子位置調整機構の構成を説明するための模式図である。
図5】一実施形態によるX線位相イメージング装置の被写体位置切替機構の構成を説明するための模式図である。
図6】X線検出器の撮影領域内の位置である撮影位置に被写体を配置する構成を説明するための図である。
図7】X線検出器の撮影領域外の位置である退避位置に被写体を配置する構成を説明するための図である。
図8】一実施形態による画像処理部が、第1X線画像および第2X線画像からX線位相コントラスト画像を生成する構成を説明するための模式図である。
図9】一実施形態による画像処理部が、X線位相コントラスト画像を生成する詳細な構成を説明するための模式図である。
図10】一実施形態によるX線位相イメージング装置が生成する、吸収像、位相微分像、および、暗視野像を説明するための模式図である。
図11】撮影条件を設定する画面を説明するための模式図である。
図12】第2X線画像の更新を促す情報を表示する画面例を説明するための模式図である。
図13】X線位相コントラスト画像を生成することができない情報を表示する画面例を説明するための模式図である。
図14】一実施形態による制御部および画像処理部が、X線位相コントラスト画像をする処理を説明するためのフローチャートである。
図15】一実施形態による制御部が、第2X線画像を測定することを報知する処理を説明するためのフローチャートである。
図16】変形例による制御部が、第2X線画像を測定することを報知する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態によるX線位相イメージング装置100の全体構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、タルボ(Talbot)効果を利用して、被写体90(図3参照)の内部を画像化する装置である。X線位相イメージング装置100は、X線撮影部1と、コンピュータ2と、を含む。また、X線位相イメージング装置100は、表示部3と、入力受付部4を含む。なお、表示部3は、特許請求の範囲の「表示装置」の一例である。
【0014】
X線撮影部1は、X線源10と、複数の格子と、X線検出器11と、回転機構15と、格子位置調整機構16と、被写体位置切替機構17と、を含む。複数の格子は、第1格子12と、第2格子13と、第3格子14とを含む。X線源10、複数の格子、X線検出器11の配置など、X線撮影部1の詳細については、後述する。
【0015】
コンピュータ2は、制御部2aと、画像処理部2bと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリと、記憶部2cとを含む。制御部2aは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA、回路(Circuitly)などにより構成される。画像処理部2bは、たとえば、GPUまたは画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)、回路(Circuitly)などにより構成される。なお、制御部2aは、特許請求の範囲の「制御装置」の一例である。
【0016】
制御部2aは、X線位相イメージング装置100の各部を制御するように構成されている。また、制御部2aは、画像取得部20と、判定部21と、画像生成制御部22と、を含む。画像取得部20、判定部21、および、画像生成制御部22は、制御部2aが各種プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。画像取得部20、判定部21、および、画像生成制御部22は、専用のプロセッサ(処理回路)を設けてハードウェアにより構成されていてもよい。
【0017】
画像取得部20は、後述する被写体90を撮影した第1X線画像30および被写体90を配置しない状態で撮影した第2X線画像31を取得するように構成されている。具体的には、画像取得部20は、X線源10、格子位置調整機構16、および、被写体位置切替機構17を制御することにより、第1X線画像30および第2X線画像31を取得する。すなわち、画像取得部20は、第1X線画像30および第2X線画像31の撮影の制御を行う。画像取得部20が第1X線画像30および第2X線画像31を取得する構成の詳細については、後述する。
【0018】
判定部21は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31に基づくX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定するように構成されている。
【0019】
画像生成制御部22は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合であっても、X線位相コントラスト画像32を生成する制御を行うように構成されている。
【0020】
また、制御部2aは、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応する第2X線画像31の更新、または、生成をユーザに促す報知を行うように構成されている。本実施形態では、制御部2aは、表示部3への情報の表示を行う。表示部3は、たとえば、液晶モニタを含む。
【0021】
画像処理部2bは、設定された撮影条件40によって第1X線画像30と第2X線画像31とを取得し、第1X線画像30と第2X線画像31とに基づいてX線位相コントラスト画像32を生成するように構成されている。なお、本実施形態では、画像処理部2bは、同一の撮影条件40で撮影された第1X線画像30と第2X線画像31とに基づいてX線位相コントラスト画像32を生成するように構成されている。また、撮影条件40は、被写体90と複数の格子との相対角度40aを含む。また、撮影条件40は、撮影モード40bを含む。また、撮影条件40は、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間、画像処理部2bがX線位相コントラスト画像32を生成する際に第1X線画像30および第2X線画像31を積算する回数(積算回数)などを含む。
【0022】
記憶部2cは、第2X線画像31を記憶するように構成されている。また、記憶部2cは、撮影条件40(例えば、被写体90と複数の格子の相対角度40a)と、使用期限41と、第2X線画像31が撮影された時間である判定基準時間42と、X線位相コントラスト画像32とを記憶するように構成されている。記憶部2cは、撮影条件40毎に、第2X線画像31を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部2cは、第2X線画像31を、判定基準時間42と関連付けて記憶するように構成されている。
【0023】
記憶部2cは、複数の相対角度40a毎の第2X線画像31を記憶するように構成されている。記憶部2cは、第2X線画像31と、判定基準時間42とを、相対角度40a毎に関連付けて記憶している。また、記憶部2cは、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含む。
【0024】
入力受付部4は、ユーザの操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部4は、たとえば、ユーザによる撮影条件40の選択操作の入力を受け付ける。入力受付部4は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスを含む。
【0025】
図2に示すように、X線源10と、第3格子14と、第1格子12と、第2格子13と、X線検出器11とが、X線の照射軸線70方向に、この順に並んで配置されている。すなわち、第3格子14、第1格子12、および、第2格子13は、X線源10とX線検出器11との間に配置されている。なお、本明細書では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、X線源10からX線検出器11に向かう方向をX方向とし、一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向とし、一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。
【0026】
X線源10は、被写体90にX線を照射するように構成されている。具体的には、X線源10は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるように構成されている。
【0027】
X線検出器11は、X線源10から照射されたX線を検出するように構成されている。また、X線検出器11は、検出されたX線を電気信号に変換するように構成されている。X線検出器11は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。X線検出器11は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、Y方向およびZ方向に並んで配置されている。X線検出器11の検出信号(画像信号)は、後述する画像処理部2bに送られる。
【0028】
第1格子12は、X線源10とX線検出器11との間に配置され、X線源10からX線が照射される。第1格子12は、Z方向に所定の周期(格子ピッチ)12cで配列されるスリット12aおよびX線位相変化部12bを有している。各スリット12aおよびX線位相変化部12bは、Y方向に直線状に延びるように形成されている。第1格子12は、いわゆる位相格子である。第1格子12は、X線源10と第2格子13との間に配置されており、X線源10から照射されたX線により(タルボ効果によって)自己像を形成するために設けられている。なお、タルボ効果とは、可干渉性を有するX線が、スリットが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像)が形成されることを意味する。
【0029】
第2格子13は、第1格子12からのX線が照射される。第2格子13は、Z方向に所定の周期(格子ピッチ)13cで配列される複数のX線透過部13aおよびX線吸収部13bを有している。各X線透過部13aおよびX線吸収部13bは、Y方向に直線状に延びるように形成されている。第2格子13は、いわゆる、吸収格子である。第2格子13は、第1格子12とX線検出器11との間に配置されており、第1格子12により形成された自己像に干渉するように構成されている。第2格子13は、自己像と第2格子13とを干渉させるために、第1格子12からタルボ距離だけ離れた位置に配置されている。
【0030】
第3格子14は、X線源10と第1格子12との間に配置される。第3格子14は、Z方向に所定の周期(ピッチ)14cで配列される複数のスリット14aおよびX線吸収部14bを有している。各スリット14aおよびX線吸収部14bはそれぞれ、Y方向に直線状に延びるように形成されている。また、各スリット14aおよびX線吸収部14bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第3格子14は、X線源10と第1格子12との間に配置されており、X線源10からX線が照射される。第3格子14は、各スリット14aを通過したX線を、各スリット14aの位置に対応する線光源とするように構成されている。
【0031】
なお、本実施形態では、第1格子12、第2格子13、および、第3格子14の各々は、格子パターンがY方向に延びる向きに配置される。なお、格子パターンとは、スリット12a、X線位相変化部12b、X線透過部13a、X線吸収部13b、スリット14a、および、X線吸収部14bなどである。
【0032】
回転機構15は、被写体90と複数の格子とを、X線の照射軸線70周りの回転方向に相対回転させるように構成されている。具体的には、回転機構15は、複数の格子の各々に設けられており、複数の格子の各々を、X線の照射軸線70周りの回転方向に回転させることにより、被写体90と複数の格子とをX線の照射軸線70周りの回転方向に相対回転させるように構成されている。
【0033】
格子位置調整機構16は、第1格子12を、X方向、Y方向、Z方向、Z方向の軸線周りの回転方向Rz、X方向の軸線周りの回転方向Rx、および、Y方向の軸線周りの回転方向Ryに移動可能に構成されている。
【0034】
(回転機構)
次に、図3を参照して、本実施形態による回転機構15の構成について説明する。なお、回転機構15は、複数の格子の各々に設けられるが、いずれの回転機構15も、回転させる格子が異なる以外は同様の構成であるため、図3では、代表して、第1格子12を回転させる回転機構15について説明する。
【0035】
回転機構15は、格子保持部15aと、格子保持部15aをX線の照射軸線70周りの回転方向に回転させる駆動部15bと、格子保持部15aを回転可能に収容する収容部15cとを備える。収容部15cには、開口15dが設けられている。格子保持部15aに保持された第1格子12のうち、開口15dに面する位置(図4に示す第1格子12のうちの実線で図示した位置)に対して、X線源10からのX線が照射される。駆動部15bは、格子保持部15aをX線の照射軸線70周りの回転方向に回転させることにより、第1格子12をX線の照射軸線70周りの回転方向に回転させる。駆動部15bは、たとえば、ステッピングモータと、プーリーと、ベルト部材とを含む。
【0036】
画像取得部20は、回転機構15を制御することにより、撮影条件40(図1)に応じた相対角度40aとなるように、複数の格子を回転させる。なお、相対角度40aとは、被写体90に対する複数の格子の角度である。たとえば、格子パターンがZ1方向を向いた状態を基準角度(0度)とした場合の、X線の照射軸線70周りの回転方向における格子の角度が、被写体90に対する複数の格子の相対角度40aである。画像取得部20は、複数の格子の各々に設けられた回転機構15を制御することにより、複数の格子の各々の相対角度40aが、同一の角度となるように、複数の格子を回転させる。たとえば、相対角度40aが45度の場合、複数の格子の各々は、回転機構15によって45度回転させられる。
【0037】
(格子位置調整機構)
図4に示すように、格子位置調整機構16は、X方向直動機構16aと、Z方向直動機構16bと、Y方向直動機構16cと、直動機構接続部16dと、ステージ支持部駆動部16eと、ステージ支持部16fと、ステージ駆動部16gと、ステージ16hと、を含む。
【0038】
X方向直動機構16a、Z方向直動機構16b、および、Y方向直動機構16cは、それぞれ、X方向、Z方向、および、Y方向に移動可能に構成されている。X方向直動機構16a、Z方向直動機構16b、および、Y方向直動機構16cは、たとえば、ステッピングモータなどを含む。格子位置調整機構16は、X方向直動機構16a、Z方向直動機構16b、および、Y方向直動機構16cの動作により、それぞれ、第1格子12(図1参照)を、X方向、Z方向、および、Y方向に移動させるように構成されている。
【0039】
ステージ支持部16fは、第1格子12を載置させるためのステージ16hを図4の下方(Z2方向)から支持している。ステージ駆動部16gは、ステージ16hをX方向に往復移動させるように構成されている。ステージ16hは、底部がステージ支持部16fに向けて凸曲面状に形成されており、X方向に往復移動されることにより、Y方向の軸線周り(Ry方向)に回動するように構成されている。また、ステージ支持部駆動部16eは、ステージ支持部16fをY方向に往復移動させるように構成されている。また、ステージ支持部16fは底部が直動機構接続部16dに向けて凸曲面状に形成されており、Y方向に往復移動されることにより、X方向の軸線周り(Rx方向)に回動するように構成されている。また、直動機構接続部16dは、Z方向の軸線周り(Rz方向)に回動可能にY方向直動機構16cに設けられている。上記の構成により、格子位置調整機構16では、Z方向直動機構16bの動作により、第1格子12をZ方向に縞走査させることができる。
【0040】
(被写体位置切替機構)
次に、図5を参照して、被写体位置切替機構17の構成について説明する。図5に示すように、被写体位置切替機構17は、被写体保持部17aと、駆動部17bと、伸縮部17cとを備える。
【0041】
被写体保持部17aは、平面視において、円筒形状を有している。Z方向における被写体保持部17aの一方側(Z1方向側)の端面には、被写体90が保持される保持面17dが設けられている。また、Z方向における被写体保持部17aの他方側(Z2方向側)の端面には、伸縮部17cと接続される接続面17eが設けられている。
【0042】
また、図5に示すように、駆動部17bは、伸縮部17cを介して、被写体保持部17aと接続されている。駆動部17bは、伸縮部17cをZ2側方向から保持するように構成されている。駆動部17bは、伸縮部17cをZ方向に伸縮させるように構成されている。
【0043】
伸縮部17cは、Z方向における一方側(Z2方向側)の端面が駆動部17bに接続されており、他方側(Z1方向側)の端面が、被写体保持部17aの接続面17eと接続されている。伸縮部17cは、駆動部17bによって、Z方向に伸縮可能に構成されている。すなわち、本実施形態における被写体位置切替機構17は、伸縮部17cの伸縮によって被写体保持部17aを上下方向(Z方向)に移動させることにより、後述する撮影位置72と退避位置73とに、被写体90の位置を切り替えるように構成されている。
【0044】
(撮影位置および退避位置)
次に、図6および図7を参照して、撮影位置72および退避位置73について説明する。
【0045】
図6に示すように、撮影位置72は、被写体90がX線検出器11の撮影視野領域71内となる位置である。撮影視野領域71とは、X線源10と、X線検出器11と、X線源10から照射されるX線とによって決定される領域である。図6に示す例では、X線は、一点鎖線71aおよび一点鎖線71bの範囲に照射される。したがって、X線源10と、X線検出器11と、一点鎖線71aと一点鎖線71bとにおいて決定された領域が、撮影視野領域71である。本実施形態では、被写体位置切替機構17は、被写体90が退避位置73に配置されている状態で、被写体90をZ1方向側に移動させることにより、被写体90を撮影位置72に移動させる。
【0046】
画像取得部20は、予め設定された撮影条件40によって、X線検出器11の撮影視野領域71内となる撮影位置72に配置された被写体90を撮影した第1X線画像30を取得するように構成されている。すなわち、第1X線画像30は、被写体90が写る画像である。
【0047】
図7に示すように、退避位置73は、被写体90の位置がX線検出器11の撮影視野領域71外となる位置である。被写体位置切替機構17は、被写体90が撮影位置72に配置されている状態で、被写体90をZ2方向に移動させることにより、被写体90の位置を退避位置73に移動させる。
【0048】
本実施形態では、被写体位置切替機構17は、被写体90をZ方向に移動させることにより、撮影位置72と退避位置73とを切り替える。すなわち、退避位置73と撮影位置72とは、X方向およびY方向における位置が同一で、Z方向の位置が互いに異なる位置である。
【0049】
画像取得部20は、撮影条件40によって、X線検出器11の撮影視野領域71外となる退避位置73に被写体90を配置し、被写体90が撮影視野領域71に配置されない状態で撮影した第2X線画像31を取得するように構成されている。すなわち、第2X線画像31は、被写体90が写らない画像である。
【0050】
(X線位相コントラスト画像を生成する構成)
次に、図8および図9を参照して、画像処理部2bがX線位相コントラスト画像32を生成する構成について説明する。
【0051】
図8に示すように、画像取得部20の制御により、第1X線画像30と、第2X線画像31と、が撮影される。第1X線画像30は、撮影位置72において撮影された画像である。また、第2X線画像31は、退避位置73において撮影された画像である。
【0052】
本実施形態では、画像処理部2bは、格子位置調整機構16によって第1格子12を並進移動させながら撮影する、いわゆる縞走査法によってX線位相コントラスト画像32を生成する。したがって、第1X線画像30および第2X線画像31は、第1格子12を並進させる回数分、取得される。第1格子12を並進させる回数は、たとえば、4回である。そのため、図8に示す例では、第1X線画像30として、各並進位置に対応する第1X線画像30a、第1X線画像30b、第1X線画像30c、および、第1X線画像30dの4枚の画像が撮影される。また、第2X線画像31についても、各並進位置に対応する第2X線画像31a、第2X線画像31b、第2X線画像31c、および、第2X線画像31dの4枚の画像が撮影される。
【0053】
画像処理部2bは、第1格子12を並進させて撮影した複数の第1X線画像30および複数の第2X線画像31に基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成するように構成されている。本実施形態では、画像処理部2bは、X線位相コントラスト画像32として、吸収像32a、位相微分像32b、および、暗視野像32cを生成するように構成されている。
【0054】
図9に示すように、画像処理部2bは、X線検出器11によって検出されたX線の強度分布に基づいて取得された強度信号曲線60および強度信号曲線61を用いて、X線位相コントラスト画像32を生成する。なお、強度信号曲線60は、被写体90を配置した状態で撮像することにより得られるX線の強度の分布を示す曲線である。また、強度信号曲線61は、被写体90を配置していない状態で撮像することにより得られるX線の強度の分布を示す曲線である。すなわち、強度信号曲線60は、複数の第1X線画像30に基づいて取得される。また、強度信号曲線61は、複数の第2X線画像31に基づいて取得される。強度信号曲線60は、第1X線画像30の全ての画素において取得される。また、強度信号曲線61は、第2X線画像31のすべての画素において取得される。
【0055】
図9に示すように、吸収像32aは、被写体90を配置して撮像した際のX線の平均強度Csと、被写体90を配置せずに撮像した際のX線の平均強度Crとの比によって生成することができる。また、位相微分像32bは、被写体90を配置した状態で撮像して取得した強度信号曲線60と、被写体90を配置しない状態で撮像して取得した強度信号曲線61との位相差Δφに対して、所定の算出によって求められた数を乗算することにより生成することができる。また、暗視野像32cは、被写体90を配置せずに撮像した際のVisibility(Vr)と被写体90を配置して撮像した際のVisibility(Vs)との比によって生成することができる。Vrは、強度信号曲線60の振幅Arと平均強度Crとの比によって求めることができる。また、Vsは、強度信号曲線61の振幅Asと平均強度Csとの比によって求めることができる。
【0056】
(吸収像、位相微分像、および、暗視野像)
図10に示すように、画像処理部2bは、吸収像32aと、位相微分像32bと、暗視野像32cとを生成する。
【0057】
(撮影条件設定画面)
図11に示す撮影条件設定画面5は、ユーザが撮影条件40を設定する際に、表示部3(図1参照)に表示される画面である。撮影条件設定画面5は、格子角度選択欄5aと、撮影モード選択欄5bと、第2X線画像更新モード選択欄5cと、開始ボタン5dとを含む。なお、図11には図示していないが、ユーザは、X線源10から照射されるX線の線量、X線の露光時間、画像処理部2bがX線位相コントラスト画像32を生成する際に第1X線画像30および第2X線画像31を積算する回数(積算回数)などを設定する。
【0058】
格子角度選択欄5aには、被写体90を撮影する際の、複数の格子の角度の選択肢が表示される。格子角度選択欄5aに表示される複数の格子の角度の選択肢は、たとえば、0度、45度、90度を含む。ユーザは、格子角度選択欄5aによって、被写体90に対する複数の格子の相対角度40aを選択することができる。格子角度選択欄5aは、たとえば、プルダウン形式の選択欄である。
【0059】
撮影モード選択欄5bには、撮影モード40bの選択欄が表示される。具体的には、撮影モード選択欄5bには、撮影モード40bとして、被写体90を撮影する際の、被写体90に対する複数の格子の方向の選択肢が表示される。撮影モード選択欄5bに表示される格子の方向の選択肢は、たとえば、1方向、2方向、および、4方向を含む。ユーザは、撮影モード選択欄5bによって、格子の方向を選択することにより、被写体90に対する格子の方向を選択することができる。撮影モード選択欄5bは、たとえば、プルダウン形式の選択欄である。
【0060】
なお、格子の方向とは、撮影条件40に含まれる相対角度40aの個数を意味する。1方向が選択された場合、1つの相対角度40aにおいて撮影を行う。具体的には、格子角度選択欄5aによって選択された相対角度40aのみで撮影を行う。
【0061】
また、2方向が選択された場合、2つの相対角度40aにおいて撮影を行う。具体的には、格子角度選択欄5aによって選択された相対角度40aによって撮影を行った後、予め設定された角度(たとえば、90度)分、複数の格子を回転させて撮影を行う。すなわち、2方向が選択された場合、選択された相対角度40aと、選択された相対角度40aから90度回転させた角度との2つの相対角度40aにおいて撮影を行う。
【0062】
また、4方向が選択された場合、4つの相対角度40aにおいて撮影を行う。具体的には、格子角度選択欄5aによって選択された相対角度40aによって撮影を行った後、予め設定された角度(たとえば、45度)ずつ、複数の格子を回転させながら撮影を行う。すなわち、4方向が選択された場合、選択された相対角度40aと、選択された相対角度40aから45度回転させた角度と、選択された相対角度40aから90度回転させた角度と、選択された相対角度40aから135度回転させた角度との、4つの相対角度40aにおいて撮影を行う。
【0063】
第2X線画像更新モード選択欄5cには、第2X線画像31を撮影するか否かの選択肢が表示される。図11に示す例では、第2X線画像更新モード選択欄5cには、選択肢として、「あり」および「なし」が表示される。
【0064】
開始ボタン5dは、GUI(Graphical User Interface)の押しボタンである。開始ボタン5dが押下された場合、画像取得部20による第1X線画像30の取得、および、画像処理部2bによるX線位相コントラスト画像32の生成が開始される。
【0065】
ユーザが「あり」を選択し、開始ボタン5dを押下した場合、第1X線画像30を撮影する前に、第2X線画像31の撮影が行われる。ユーザが「なし」を選択した場合、第2X線画像31の撮影は行わずに、第1X線画像30の撮影が行われ、記憶部2c(図1参照)に記憶された第2X線画像31を用いてX線位相コントラスト画像32が生成される。なお、第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択された場合、第1X線画像30が撮影される前に、第2X線画像31が撮影される。すなわち、画像取得部20(図1参照)は、被写体位置切替機構17を制御することにより、被写体90を退避位置73に移動させる。また、画像取得部20は、回転機構15を制御することにより、相対角度40aが所定の角度となるように、複数の格子を回転させる。そして、画像取得部20は、第2X線画像31を撮影する。また、第2X線画像31の撮影後に、画像取得部20は、被写体位置切替機構17を制御することにより、被写体90を撮影位置72に移動させる。そして、画像取得部20は、第1X線画像30の撮影を行う。その後、画像処理部2bは、撮影した第1X線画像30および第2X線画像31に基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する。また、制御部2aは、X線位相コントラスト画像32を生成した後、撮影した第2X線画像31を記憶部2cに記憶する。
【0066】
なお、格子角度選択欄5aによって選択される格子角度は、選択された撮影モード40b(図1参照)において撮影を行う際の、被写体90に対する複数の格子の初期角度である。すなわち、開始ボタン5dが押下された際に、画像取得部20は、回転機構15を制御し、格子角度選択欄5aによって選択された相対角度40aとなるように、複数の格子を回転させる。そして、撮影モード選択欄5bによって選択された方向が1方向の場合、初期角度のみで撮影を行う。
【0067】
また、ユーザが撮影モード40bとして、複数の方向に格子を向けて撮影するモードを選択した場合、画像取得部20は、回転機構15を制御することにより、選択肢に対応する複数の相対角度40aとなるように、複数の格子を回転させる。
【0068】
そして、画像取得部20は、回転機構15によって被写体90と複数の格子とを相対回転させ、複数の相対角度40aにおいて撮影した第1X線画像30および第2X線画像31を取得するように構成されている。
【0069】
また、画像処理部2bは、複数の相対角度40a毎の第1X線画像30および第2X線画像31に基づいて、複数の相対角度40a毎のX線位相コントラスト画像32を生成するように構成されている。たとえば、ユーザが2方向によって撮影するモードを選択した場合、画像処理部2bは、複数の格子を2方向に回転させて撮影された、各方向に対応する相対角度40a毎の第1X線画像30よび第2X線画像31に基づいて、2枚のX線位相コントラスト画像32を生成する。
【0070】
(第2X線画像の判定処理)
ここで、第2X線画像31を撮影した際の撮影条件40と、第1X線画像30を撮影した際の撮影条件40とが互いに異なる場合、X線位相コントラスト画像32を生成できない場合がある。また、撮影条件40が同一であった場合でも、生成されるX線位相コントラスト画像32の画質が劣化する場合がある。たとえば、複数の格子は、X線源10から発せられる熱、X線位相イメージング装置100が設置されている場所の温度変化、格子位置調整機構16による並進移動の際の振動などによって、複数の格子の相対位置にずれが生じる場合がある。また、X線検出器11は、X線が露光される度に徐々に劣化する。そのため、記憶部2cに記憶された第2X線画像31を撮影してから時間が経過するにつれて、第2X線画像31を撮影した際の複数の格子の状態およびX線検出器11の状態と、第1X線画像30を撮影した際の複数の格子の状態およびX線検出器11の状態とにおいて、差異が生じる。この場合、第1X線画像30と、第2X線画像31との間に、被写体90以外の要因による変化が生じるため、第1X線画像30と、記憶部2cに記憶された第2X線画像31とに基づいて生成されたX線位相コントラスト画像32の画質が劣化する。
【0071】
そこで、本実施形態では、判定部21は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31が撮影された際の撮影条件40と、第1X線画像30が撮影された際の撮影条件40とが一致しているか否かを判定する。また、本実施形態では、判定部21は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31に基づくX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている。具体的には、判定部21は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かの指標として、第2X線画像31が予め設定された使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成されている。
【0072】
より具体的には、判定部21は、判定基準時間42からの経過時間、または、記憶部2cに第2X線画像31が記憶されてからの累積撮影回数に基づいて決定される時間が、使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成されている。使用期限41は、たとえば、24時間である。なお、使用期限41は、24時間以外の時間であってもよい。使用期限41は、X線位相イメージング装置100の設置環境、撮影頻度などにより任意の値に設定し得る。
【0073】
なお、ユーザによって複数の方向に格子を配置して撮影する撮影モード40bが選択された場合、判定部21は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31を用いた複数の相対角度40a毎のX線位相コントラスト画像32の各々の画質の劣化が、許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている。
【0074】
ここで、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合、ユーザは、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化を抑制するために、第2X線画像31の更新を行うことが考えられる。この際、たとえば、ユーザが開始ボタン5dを押下した後に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらないことをユーザに報知する構成の場合、ユーザは、開始ボタン5dを押下した後に、第2X線画像更新モード選択欄5cにおいて「あり」を選択し、再び開始ボタン5dを押下することにより、第2X線画像31の更新を行うことになる。
【0075】
そこで、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させるため、本実施形態では、判定部21は、予め設定された時間毎に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている。すなわち、判定部21は、ユーザの操作に基づかず、設定された時間が経過する度に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かの判定を行うように構成されている。なお、判定部21がX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する時間間隔は、使用期限41よりも短い時間間隔である。
【0076】
(第2X線画像の更新を促す報知)
図12に示す例は、表示部3が、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する際の画面例である。具体的には、表示部3は、制御部2aの制御によって、第2X線画像31が予め設定された使用期限41を超過している場合に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示するように構成されている。すなわち、制御部2aは、第2X線画像31が予め設定された使用期限41を超過している場合に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示部3に表示させる。本実施形態では、表示部3は、ポップアップ形式によって、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する。また、第2X線画像31の更新を促す情報50は、たとえば、ユーザの操作によってポップアップウィンドウが閉じられるか、ユーザが開始ボタン5dを押下した際に非表示となる。
【0077】
本実施形態では、表示部3は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合には、画像処理部2bによってX線位相コントラスト画像32が生成される前に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示するように構成されている。
【0078】
また、画像生成制御部22は、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けら得た第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらないと判定する場合であっても、ユーザ操作に基づいてX線位相コントラスト画像32を生成する制御を行うように構成されている。すなわち、画像生成制御部22は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合であっても、開始ボタン5dを押下可能にする制御を行うように構成されている。第2X線画像31が使用期限41を超過している状態で開始ボタン5dが押下された場合、画像処理部2bは、記憶部2cに記憶されている第2X線画像31と、撮影された第1X線画像30とに基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する。
【0079】
図12に示すように、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合、撮影条件設定画面5において、第2X線画像31の更新を促す情報50が表示される。この際、ユーザは、たとえば、プレビュー撮影を行うことにより、使用期限41を超過している第2X線画像31を用いて生成されたX線位相コントラスト画像32の画質を確認することができる。使用期限41を超過している第2X線画像31を用いて生成されたX線位相コントラスト画像32の画質がユーザの許容範囲に収まる場合、ユーザは、第2X線画像31の更新を行わず、第1X線画像30の撮影、および、X線位相コントラスト画像32の生成処理を継続することができる。また、使用期限41を超過している第2X線画像31を用いて生成されたX線位相コントラスト画像32の画質が、ユーザの許容範囲に収まらない場合、ユーザは、第2X線画像31の更新を行うことができる。なお、プレビュー撮影とは、積算回数などを少なくし、短時間でX線位相コントラスト画像32を生成する撮影である。
【0080】
(X線位相コントラスト画像の生成を行えないことの報知)
ここで、ユーザが、格子角度選択欄5aによって選択した格子角度、および、撮影モード選択欄5b(図11参照)によっては、X線位相コントラスト画像32を生成できない場合がある。具体的には、ユーザが選択した格子角度に対応する相対角度40a、および、撮影モード40bにおける相対角度40aに対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、画像処理部2bは、X線位相コントラスト画像32を生成することができない。そこで、本実施形態では、判定部21は、相対角度40aに対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定するように構成されている。なお、ユーザが選択した撮影モード40bに複数の相対角度40aが含まれる場合、判定部21は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40a毎に、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定するように構成されている。
【0081】
また、図13に示すように、表示部3は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合に、X線位相コントラスト画像32の生成を行えないことを報知するように構成されている。言い換えると、制御部2aは、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合に、相対角度40aに対応する第2X線画像31を生成する必要がある旨をユーザに報知する。具体的には、表示部3は、制御部2aの制御によって、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51を表示するように構成されている。本実施形態では、表示部3は、ポップアップ形式によって、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51を表示する。
【0082】
また、画像生成制御部22は、複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、X線位相コントラスト画像32を生成できない制御を行うように構成されている。具体的には、画像生成制御部22は、複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、開始ボタン5dを操作不可(押下不可)にする制御を行うように構成されている。なお、図13に示す例では、開始ボタン5dを破線で図示することにより、開始ボタン5dが押下不可であることを示している。なお、制御部2aは、対複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、開始ボタン5dを操作不可にする制御を行う前に、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51を表示する。
【0083】
また、画像生成制御部22は、ユーザによって第2X線画像測定モードが「あり」に選択された場合、開始ボタン5dを押下可能にする制御を行うように構成されている。
【0084】
また、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51は、ユーザの操作によってポップアップウィンドウが閉じられるか、ユーザが第2X線画像測定モードが「あり」を選択した後に開始ボタン5dを押下した際に非表示となる。
【0085】
(X線位相コントラスト画像生成処理)
次に、図14を参照して、本実施形態による制御部2aおよび画像処理部2bが、X線位相コントラスト画像32を生成する処理について説明する。
【0086】
ステップ101において、制御部2aは、開始ボタン5dが操作可能であるか否かを判定する。開始ボタン5dが操作可能でない場合、処理は、ステップ102へ進む。開始ボタン5dが操作可能である場合、処理は、ステップ105へ進む。
【0087】
ステップ102において、制御部2aは、第2X線画像31の更新を行うか否かを判定する。具体的には、制御部2aは、第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されているか否かを判定する。第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されていない場合、処理は、ステップ101へ進む。第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されている場合、処理は、ステップ103へ進む。
【0088】
ステップ103において、画像生成制御部22は、開始ボタン5dを操作可能にする制御を行う。
【0089】
次に、ステップ104において、制御部2aは、対応する第2X線画像31が存在しない旨の情報51(図13参照)を非表示する制御を行う。具体的には、制御部2aは、対応する第2X線画像31が存在しない旨の情報51を表示したポップアップウィンドウを閉じる制御を行う。その後、処理は、ステップ105へ進む。
【0090】
ステップ105において、制御部2aは、開始ボタン5dが操作されたか否かを判定する。開始ボタン5dが操作されていない場合、ステップ105の処理を繰り返す。開始ボタン5dが操作された場合、処理は、ステップ106へ進む。
【0091】
ステップ106において、制御部2aは、第2X線画像31の更新を促す情報50(図12参照)を非表示にする制御を行う。具体的には、制御部2aは、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示したポップアップウィンドウを閉じる制御を行う。
【0092】
ステップ107において、制御部2aは、撮影条件40を取得する。具体的には、制御部2aは、撮影条件40として、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間、第1X線画像30および第2X線画像31の積算回数、格子角度選択欄5aによって選択された格子の角度(初期の相対角度40a)、および、撮影モード選択欄5bによって選択された格子の方向に対応する相対角度40aを取得する。
【0093】
ステップ108において、制御部2aは、第2X線画像31の更新を行うか否かを判定する。具体的には、判定部21は、第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されているか否かを判定する。第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されていない場合、処理は、ステップ110へ進む。第2X線画像更新モード選択欄5cの「あり」が選択されている場合、処理は、ステップ109へ進む。
【0094】
ステップ109において、画像取得部20(図1参照)は、撮影条件40に対応する第2X線画像31を撮影する。具体的には、画像取得部20は、X線源10、回転機構15を制御することにより、撮影条件40に含まれる相対角度40aに対応する第2X線画像31を撮影する。
【0095】
ステップ110において、画像取得部20は、撮影条件40に対応する第1X線画像30を撮影する。具体的には、画像取得部20は、X線源10、回転機構15を制御することにより、撮影条件40に含まれる相対角度40aに対応する第1X線画像30を撮影する。
【0096】
ステップ111において、画像処理部2bは、X線位相コントラスト画像32を生成する。具体的には、画像処理部2bは、第1X線画像30と第2X線画像31とに基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する。なお、ステップ108からステップ109へ処理が進んだ場合、画像処理部2bは、ステップ109において取得された第2X線画像31と、ステップ110において取得された第1X線画像30とに基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する。また、ステップ108からステップ110へ処理が進んだ場合、画像処理部2bは、ステップ110において取得された第1X線画像30と、記憶部2cに記憶された第2X線画像31とに基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する。その後、処理は、終了する。
【0097】
また、制御部2aは、ステップ109において撮影した第2X線画像31を、記憶部2cに記憶する。すなわち、制御部2aは、第2X線画像31の更新を行う。
【0098】
(第2X線画像測定報知処理)
次に、図15を参照して、本実施形態による制御部2aが、第2X線画像31を測定することを報知する処理について説明する。
【0099】
ステップ120において、制御部2aは、撮影条件40を取得する。具体的には、制御部2aは、撮影条件40として、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間、第1X線画像30および第2X線画像31の積算回数、格子角度選択欄5aによって選択された格子の角度(初期の相対角度40a)、および、撮影モード選択欄5bによって選択された格子の方向に対応する相対角度40aを取得する。
【0100】
ステップ121において、制御部2a(判定部21)は、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定する。具体的には、制御部2aは、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、および、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定する。X線源10の管電圧、管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されている場合、処理は、ステップ122へ進む。X線源10の管電圧、管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、処理は、ステップ126へ進む。
【0101】
ステップ122において、判定部21は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31であり、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否かを判定する。具体的には、判定部21は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31が、使用期限41を超過しているか否かを判定する。X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まる場合、処理は、ステップ123へ進む。X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まらない場合、処理は、ステップ125へ進む。
【0102】
ステップ123において、判定部21は、撮影モード40bに含まれる全ての格子角度(全ての相対角度40a)について、判定部21による判定を行ったか否かを判定する。全ての格子角度において、判定部21による判定を行った場合、処理は、終了する。全ての格子角度において判定部21による処理を行っていない場合、処理は、ステップ124へ進む。
【0103】
ステップ124において、制御部2aは、撮影モード40bに含まれる次の相対角度40aを取得する。その後、処理は、ステップ122へ進む。
【0104】
また、ステップ122からステップ125へ処理が進んだ場合、ステップ125において、制御部2aは、表示部3を制御することにより、第2X線画像31の更新を促す報知を行う。具体的には、制御部2aは、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合に、表示部3を制御することにより、第2X線画像31の更新を促す情報50(図12参照)を表示する。その後、処理は、終了する。
【0105】
また、ステップ122からステップ126へ処理が進んだ場合、ステップ126において、画像生成制御部22は、X線位相コントラスト画像32を生成できない制御を行う。具体的には、画像生成制御部22は、複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、撮影条件設定画面5(図12参照)における開始ボタン5d(図12参照)を押下不可に制御する。
【0106】
次に、ステップ127において、制御部2aは、表示部3を制御することにより、エラーメッセージを表示する。具体的には、制御部2aは、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51(図12参照)、すなわち第2X線画像31の生成を促す情報を表示部3に表示する制御を行う。その後、処理は、終了する。
【0107】
上記のように、本実施形態では、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31が1つでも記憶部2cに記憶されていない場合には、エラーメッセージが表示される。また、開始ボタン5dの操作が不可になり、処理が終了する。また、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31のうち、使用期限41を超過している画像が1つでもあれば、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示部3に表示し、処理が終了する。なお、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31が全てあり、かつ、全ての第2X線画像31が使用期限41を超過していない場合には、表示部3による報知は行われない。また、ステップ120~ステップ127の処理は、図14に示したX線位相コントラスト画像32の生成処理とは独立して行われる。
【0108】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0109】
本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、X線を照射するX線源10と、X線源10から照射されたX線を検出するX線検出器11と、X線源10とX線検出器11との間に配置された複数の格子と、設定された撮影条件40によって、被写体90を撮影した第1X線画像30と、被写体90を配置しない状態で撮影した第2X線画像31とを取得し、第1X線画像30と第2X線画像31とに基づいてX線位相コントラスト画像32を生成する画像処理部2bと、画像処理部2bによって生成された第2X線画像31を撮影条件40に対応付けて記憶する記憶部2cと、コンピュータ2(制御装置)とを備え、コンピュータ2(制御装置)は、記憶部2cに記憶された第2X線画像31であって、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定し、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応する第2X線画像31の更新、または、生成をユーザに促す報知を行う。
【0110】
これにより、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合には、第2X線画像31の更新をユーザに促す報知が行われる。そのため、報知によって、第2X線画像31の更新が必要であることを、ユーザに把握させることができる。また、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応する第2X線画像31の生成をユーザに促す報知が行われる。これにより、第2X線画像31を生成する必要があることを、ユーザに把握させることができる。これらの結果、第2X線画像31を更新するタイミング、および/または、第2X線画像31を生成する必要があることをユーザが容易に把握することができる。また、第2X線画像31を更新するタイミングをユーザに把握させたことにより、ユーザが第2X線画像31の更新を実行することによって、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、許容範囲から外れることが抑制されることが期待できる。また、第2X線画像31を生成する必要があることをユーザに把握させたことにより、ユーザが第2X線画像31の生成を実行することによって、X線位相コントラスト画像32を生成できないことが防止されることが期待できる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング方法は、設定された撮影条件40によって被写体90を撮影した第1X線画像30と、被写体90を配置しない状態で撮影した第2X線画像31とに基づいてX線位相コントラスト画像32を生成するX線位相イメージング方法であって、記憶部2cに記憶された第2X線画像31であり、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定するステップと、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が、許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていないと判定される場合に、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応する第2X線画像31の更新、または、生成をユーザに促す報知を行うステップと、を備える。
【0112】
これにより、上記実施形態によるX線位相イメージング装置100と同様に、第2X線画像31を更新するタイミング、および/または、第2X線画像31を生成する必要があることをユーザが容易に把握することが可能なX線位相イメージング方法を提供することができる。
【0113】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0114】
すなわち、本実施形態では、上記のように、判定部21(制御装置)は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かの指標として、第2X線画像31が予め設定された使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成されている。これにより、たとえば、ユーザがX線位相コントラスト画像32の画質を判断することにより、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する構成と異なり、判定部21は、第2X線画像31の使用期限41によって、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを、判定することができる。その結果、ユーザの熟練度によらず、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、記憶部2cは、第2X線画像31を、第2X線画像31が撮影された時間である判定基準時間42と関連付けて記憶するように構成されており、判定部21(制御装置)は、判定基準時間42からの経過時間、または、記憶部2cに第2X線画像31が記憶されてからの累積撮影回数に基づいて決定される時間が、使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成されている。これにより、第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを、判定基準時間42からの経過時間、または、累積撮影回数に基づいて決定される時間に基づいて判定することができる。すなわち、判定部21は、判定基準時間42からの経過時間、または、累積撮影回数に基づいて決定される時間と、使用期限41とを比較することにより、第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを容易に判定することができる。その結果、判定部21は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを、容易に判定することができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示部3(表示装置に)表示させる。これにより、第2X線画像31の更新を促す情報50が表示部3に表示されるので、ユーザは、第2X線画像31を更新するタイミングを、視覚的に容易に把握することができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合には、画像処理部2bによってX線位相コントラスト画像32が生成される前に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示させるように構成されている。これにより、ユーザは、X線位相コントラスト画像32が生成される前に、第2X線画像31の更新を促す情報50を確認することができる。したがって、ユーザは、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合には、予め第2X線画像31を更新することを選択することができる。その結果、たとえば、X線位相コントラスト画像32が生成された後に、第2X線画像31の更新を促す情報50を報知する構成と異なり、ユーザが、X線位相コントラスト画像32が生成される前に予め第2X線画像31を更新することが可能となるので、許容範囲を超えるほど画質が劣化したX線位相コントラスト画像32が生成されるのを効果的に抑制することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、被写体90と複数の格子とを、X線の照射軸線70周りの回転方向に相対回転させる回転機構15をさらに備え、撮影条件40は、被写体90と複数の格子との相対角度40aを含む。これにより、複数の相対角度40aを含む撮影条件40によって撮影する場合に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かをユーザに把握させることができる。したがって、被写体90と複数の格子とを、X線の照射軸線70周りの回転方向に相対回転させながら被写体90を撮影するようなX線位相イメージング装置100に本発明を適用することは好ましい。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、回転機構15によって被写体90と複数の格子とを相対回転させ、複数の相対角度40aにおいて撮影した第1X線画像30および第2X線画像31を取得するように構成されており、画像処理部2bは、複数の相対角度40a毎の第1X線画像30および第2X線画像31に基づいて、複数の相対角度40a毎のX線位相コントラスト画像32を生成するように構成されており、記憶部2cは、複数の相対角度40a毎の第2X線画像31を記憶するように構成されており、制御部2a(制御装置)は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31を用いた複数の相対角度40a毎のX線位相コントラスト画像32の各々の画質の劣化が、許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている。これにより、複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31のうち、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aの第2X線画像31がある場合に、第2X線画像31の更新をユーザに促すことができる。その結果、たとえば、複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31の各々を更新する必要があるか否かをユーザが確認する構成と比較して、ユーザの負担を低減することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40a毎に、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定するように構成されており、制御部2a(制御装置)は、取得すべき第1X線画像30の複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合に、X線位相コントラスト画像32の生成を行えないことを報知するように構成されている。これにより、複数の相対角度40aに対応するX線位相コントラスト画像32を生成する場合に、複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31が全て揃っていないことをユーザに把握させることができる。その結果、ユーザは、X線位相コントラスト画像32を生成するため、複数の相対角度40aに対応する第2X線画像31を取得する必要があることを予め把握することが可能となるので、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、取得すべき第1X線画像30の撮影条件40に対応付けられた第2X線画像31を用いて生成されるX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらないと判定する場合であっても、ユーザ操作に基づいて、X線位相コントラスト画像32を生成する制御を行う。これにより、たとえば、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合にはX線位相コントラスト画像32を生成しない構成と異なり、X線位相コントラスト画像32の画質が劣化したとしてもX線位相コントラスト画像32が生成される。したがって、たとえば、X線位相コントラスト画像32の許容範囲に収まらない画質の劣化をユーザが許可する場合には、第2X線画像31を更新することなく、X線位相コントラスト画像32を生成することができる。その結果、第2X線画像31を更新することなくX線位相コントラスト画像32が生成されるので、第2X線画像31を更新した後にX線位相コントラスト画像32を生成する構成と比較して、撮影時間を短縮することができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、制御部2a(制御装置)は、予め設定された時間毎に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている。ここで、たとえば、X線位相コントラスト画像32を生成する操作入力に基づいて、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する構成では、ユーザの操作が煩雑になる。具体的には、第2X線画像31を更新する場合、ユーザがX線位相コントラスト画像32を生成する操作入力の後に、第2X線画像31を更新するための操作入力を行い、もう一度X線位相コントラスト画像32を生成する操作入力が必要になる。そこで、上記のように、予め設定された時間毎に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定することにより、ユーザが不要な操作を行うことを抑制することができる。その結果、ユーザが不要な操作を行うことを抑制することが可能となるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0123】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0124】
たとえば、上記実施形態では、X線位相イメージング装置100が、被写体90と複数の格子とを相対回転させる回転機構15のみを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。被写体90と、X線源10と複数の格子とX線検出器11とを含む撮影系とを相対回転させる第2回転機構を、CT撮影を行うように構成されていてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、制御部2aが、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31のうち、使用期限41を超過している画像が1枚でもある場合、第2X線画像31の更新を促す情報50を報知して処理を終了構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、全ての相対角度40aの第2X線画像31が使用期限41を超過しているか以下を判定し、使用期限41を超過している第2X線画像31の相対角度40aを報知するように構成されていてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、制御部2aが、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合には、第2X線画像31の生成が行えない旨の情報51を報知して処理を終了する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、撮影モード40bに対応する相対角度40aの第2X線画像31のうちの不足している相対角度40aを報知するように構成されていてもよい。
【0127】
図16を参照して、変形例による制御部による第2X線画像測定報知処理について説明する。なお、上記実施形態による制御部2aと同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0128】
ステップ120~ステップ122において、制御部は、撮影条件40を取得し、X線源10の管電圧、管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定する。X線源10の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されている場合、処理は、ステップ122へ進む。X線源10の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、処理は、ステップ126へ進み、開始ボタン5dを操作不可とする制御を行う。その後、処理は、ステップ128へ進む。
【0129】
ステップ128において、制御部は、対応する第2X線画像31がない相対角度40aを取得する。たとえば、対応する相対角度40aが45度であり、45度の第2X線画像31が記憶部2cに記憶されていない場合、制御部は、45度を、対応する第2X線画像31がない相対角度40aとして取得する。その後、処理は、ステップ122へ進む。
【0130】
ステップ122において、判定部21は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する。X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まる場合、処理は、ステップ123へ進む。X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合、処理は、ステップ129へ進む。
【0131】
ステップ129において、制御部は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aを取得する。たとえば、対応する相対角度40aが90度であり、90度の第2X線画像31に基づくX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合、制御部は、90度を、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aとして取得する。その後、処理は、ステップ123へ進む。
【0132】
ステップ123において、制御部2aは、撮影モード40b(図1参照)に含まれる全ての格子角度(全ての相対角度40a)について、判定部21による判定を行ったか否かを判定する。全ての格子角度において判定部21による処理を行っていない場合、処理は、ステップ124へ進む。全ての格子角度において、判定部21による判定を行った場合、処理は、ステップ130へ進む。
【0133】
ステップ130において、制御部は、報知する必要があるか否かを判定する。具体的には、制御部は、複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31がない相対角度40a、および、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aの少なくともいずれかがあるか否かを判定する。報知する必要がある場合、処理は、ステップ131へ進む。報知する必要がない場合、処理は、終了する。
【0134】
ステップ131において、制御部は、不足または使用期限41を超過している相対角度40aを報知する。具体的には、制御部は、複数の相対角度40aのうち、対応する第2X線画像31がない相対角度40aがある場合、対応する第2X線画像31がない相対角度40aを表示部3に表示する。また、制御部は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aがある場合、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aを表示部3に表示する。その後、処理は、終了する。
【0135】
変形例では、対応する第2X線画像31がない相対角度40a、および、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない相対角度40aの少なくともいずれかがある場合、第2X線画像31を取得すべき相対角度40aがユーザに報知される。その結果、ユーザは、必要な相対角度40aの第2X線画像31だけを取得することにより、X線位相コントラスト画像を生成すること、および/または、X線位相コントラスト画像の画質の劣化を抑制することができる。その結果、第2X線画像31を測定してからX線位相コントラスト画像32を生成する場合に、X線位相コントラスト画像32の生成に要する時間を短縮することができる。
【0136】
また、上記実施形態では、判定部21が、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かの指標として、第2X線画像31が予め設定された使用期限41を超過しているか否かを判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、判定部は、第2X線画像31が記憶されてから所定の回数、撮影が行われたか否かに基づいて、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されていてもよい。X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定することができれば、判定部21はどのような指標によって判定してもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、判定部21が、判定基準時間42からの経過時間、または、記憶部2cに第2X線画像31が記憶されてからの累積撮影回数に基づいて決定される時間に基づいて、第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、判定部21は、X線の累積露光時間、第1X線画像30の撮影回数(撮影枚数)、などに基づいて、第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成されていてもよい。第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを判定することが可能であれば、判定部21による判定手法は問わない。
【0138】
また、上記実施形態では、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合に、報知部が、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する表示部3を含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、報知部は、光(報知光)、音(アラーム)などによって、第2X線画像31の更新を促す旨を報知するように構成されていてもよい。しかしながら、光または音によって第2X線画像31の更新を促す旨を報知する場合、ユーザが開始ボタン5dを押下するなどの操作を行うまでの間、常に報知され続ける。その場合、ユーザの他の操作などの妨げになる場合がある。したがって、報知部は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する表示部3であることが好ましい。
【0139】
また、上記実施形態では、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合に、表示部3が、画像処理部2bによってX線位相コントラスト画像32が生成される前に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、表示部3は、X線位相コントラスト画像32を生成している間、または、X線位相コントラスト画像32が生成された後に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示するように構成されていてもよい。しかしながら、X線位相コントラスト画像32の生成中、または、生成後に第2X線画像31の更新を促す情報50を表示する構成の場合、第2X線画像31を更新するためには、ユーザが第2X線画像更新モード選択欄5cによる選択操作を行い、再度開始ボタン5dを押下する必要がある。そのため、表示部3は、第2X線画像31が使用期限41を超過している場合に、画像処理部2bによってX線位相コントラスト画像32が生成される前に、第2X線画像31の更新を促す情報50を表示するように構成することが好ましい。
【0140】
また、上記実施形態では、X線位相イメージング装置100が、回転機構15を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線位相イメージング装置100は、回転機構15を備えていなくてもよい。この場合、制御部2aは、複数の格子の角度(相対角度40a)を取得し、取得した相対角度40aに対応する第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否か、および、対応する第2X線画像31が使用期限41を超過しているか否かを判定するように構成すればよい。しかしながら、X線位相イメージング装置100が回転機構15を備えていない場合、被写体90と複数の格子との相対角度40aによっては、被写体90に含まれる内部構造のうち、画像化できない構造が生じうる。したがって、X線位相イメージング装置100は、回転機構15を備えていることが好ましい。
【0141】
また、上記実施形態では、画像生成制御部22が、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合であっても、X線位相コントラスト画像32を生成する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像生成制御部22は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合に、X線位相コントラスト画像32を生成できないように制御するように構成されていてもよい。しかしながら、画像生成制御部22がX線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合に、X線位相コントラスト画像32を生成できないように制御する構成の場合、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化をユーザが許容する場合であっても、X線位相コントラスト画像32を生成することができない。そのため、画像生成制御部22は、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まらない場合であっても、X線位相コントラスト画像32を生成する制御を行うように構成することが好ましい。
【0142】
また、上記実施形態では、判定部21が、予め設定された時間毎に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、判定部21は、ユーザによる開始ボタン5dの操作(押下)に基づいて、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されていてもよい。しかしながら、ユーザによって開始ボタン5dが押下された際に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定する構成の場合、X線位相コントラスト画像32の生成中、または、生成後に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かの判定結果が出る。第2X線画像31を更新する必要があった場合、第2X線画像31を更新するためには、ユーザは、X線位相コントラスト画像32が生成された後に、ユーザが第2X線画像更新モード選択欄5cによる選択操作を行い、再度開始ボタン5dを押下する必要がある。そのため、判定部21は、予め設定された時間毎に、X線位相コントラスト画像32の画質の劣化が許容範囲に収まるか否かを判定するように構成することが好ましい。
【0143】
また、上記実施形態では、制御部2aが、X線源10(図1参照)の管電圧、X線源10の管電流、X線の露光時間が一致し、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かを判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、撮影条件40のうち、優先度の高い条件が一致しているか否かを判定し、優先度の低い条件については、一致しているか否かを判定しなくてもよい。優先度の高い条件は、たとえば、対応する相対角度40aの第2X線画像31が記憶部2cに記憶されているか否かである。また、優先度の低い条件は、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、および、X線の露光時間である。すなわち、記憶部2cに記憶されている第2X線画像31の相対角度40aと、第1X線画像30を撮影する際の相対角度40aと一致していれば、X線源10の管電圧、X線源10の管電流、および、X線の露光時間については、完全に一致していなくてもよい。
【0144】
また、上記実施形態では、回転機構15が、複数の格子をX線の照射軸線70周りの回転方向に回転させることにより、被写体90と複数の格子とを相対回転させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、回転機構は、複数の格子を回転させず、被写体90をX線の照射軸線70周りの回転方向に回転させることにより、被写体90と複数の格子とを相対回転させるように構成されていてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、被写体位置切替機構17が、被写体90をZ方向に移動させることにより、撮影位置72と退避位置73とを切り替える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体位置切替機構は、被写体90を移動させず、X線源10と複数の格子とX線検出器11とを含む撮影系をZ方向に移動させることにより、撮影位置72と退避位置73とを切り替えるように構成されていてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、格子位置調整機構16が、第1格子12を、X方向、Y方向、Z方向、回転方向Rz、回転方向Rxおよび回転方向Ryに移動可能に構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、格子位置調整機構16は、X方向、Y方向、Z方向、回転方向Rz、回転方向Rxおよび回転方向Ryの内、いずれか1つまたは複数の方向のみに移動可能に構成されていてもよい。また、格子位置調整機構16は、第2格子13または第3格子14を移動可能に構成されていてもよい。なお、縞走査を行う場合は、格子位置調整機構16を、縞走査を行う方向に格子を移動可能に構成する必要がある。
【0147】
また、上記実施形態では、複数の格子は、X線源10から照射されたX線の可干渉性を高めるための第3格子14を含むように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。X線源10から照射されるX線の可干渉性が高ければ、第3格子14を含まない構成としてもよい。
【0148】
また、上記実施形態では、タルボ効果による自己像を形成するために、第1格子12を位相格子とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、自己像は縞模様であればよいので、位相格子の代わりに吸収格子を用いてもよい。吸収格子を用いると、距離などの光学条件により単純に縞模様が発生する領域(非干渉計)と、タルボ効果による自己像が生じる領域(干渉計)とが生じる。
【0149】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0150】
(項目1)
X線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源と前記X線検出器との間に配置された複数の格子と、
設定された撮影条件によって被写体を撮影した第1X線画像と、被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とを取得し、前記第1X線画像と前記第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された前記第2X線画像を前記撮影条件に対応付けて記憶する記憶部と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記記憶部に記憶された前記第2X線画像であって、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が、所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応する前記第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行う、X線位相イメージング装置。
【0151】
(項目2)
前記制御装置は、前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まるか否かの指標として、前記第2X線画像が予め設定された使用期限を超過しているか否かを判定するように構成されている、項目1に記載のX線位相イメージング装置。
【0152】
(項目3)
前記記憶部は、前記第2X線画像を、前記第2X線画像が撮影された時間である判定基準時間と関連付けて記憶するように構成されており、
前記制御装置は、前記判定基準時間からの経過時間、または、前記記憶部に前記第2X線画像が記憶されてからの累積撮影回数に基づいて決定される時間が、前記使用期限を超過しているか否かを判定するように構成されている、項目2に記載のX線位相イメージング装置。
【0153】
(項目4)
前記制御装置は、前記第2X線画像が前記使用期限を超過している場合に、前記第2X線画像の更新を促す情報を表示装置に表示させる、項目3に記載のX線位相イメージング装置。
【0154】
(項目5)
前記制御装置は、前記第2X線画像が前記使用期限を超過している場合には、前記画像処理部によって前記X線位相コントラスト画像が生成される前に、前記第2X線画像の更新を促す情報を表示させるように構成されている、項目4に記載のX線位相イメージング装置。
【0155】
(項目6)
被写体と前記複数の格子とを、X線の照射軸線周りの回転方向に相対回転させる回転機構をさらに備え、
前記撮影条件は、被写体と前記複数の格子との相対角度を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【0156】
(項目7)
前記制御装置は、前記回転機構によって被写体と前記複数の格子とを相対回転させ、複数の前記相対角度において撮影した前記第1X線画像および前記第2X線画像を取得するように構成されており、
前記画像処理部は、複数の前記相対角度毎の前記第1X線画像および前記第2X線画像に基づいて、前記複数の相対角度毎の前記X線位相コントラスト画像を生成するように構成されており、
前記記憶部は、前記複数の相対角度毎の前記第2X線画像を記憶するように構成されており、
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度に対応する前記第2X線画像を用いた前記複数の相対角度毎の前記X線位相コントラスト画像の各々の画質の劣化が、前記許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている、項目6に記載のX線位相イメージング装置。
【0157】
(項目8)
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度毎に、対応する前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定するように構成されており、
前記制御装置は、取得すべき前記第1X線画像の前記複数の相対角度のうち、対応する前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記X線位相コントラスト画像の生成を行えないことを報知するように構成されている、項目6または7に記載のX線位相イメージング装置。
【0158】
(項目9)
前記制御装置は、
取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まらないと判定する場合であっても、ユーザ操作に基づいて前記X線位相コントラスト画像を生成する制御を行う、項目1~8のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【0159】
(項目10)
前記制御装置は、予め設定された時間毎に、前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が前記許容範囲に収まるか否かを判定するように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線位相イメージング装置。
【0160】
(項目11)
設定された撮影条件によって被写体を撮影した第1X線画像と、被写体を配置しない状態で撮影した第2X線画像とに基づいてX線位相コントラスト画像を生成するX線位相イメージング方法であって、
記憶部に記憶された前記第2X線画像であり、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が所定の許容範囲に収まるか否か、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されているか否かを判定するステップと、
取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像を用いて生成される前記X線位相コントラスト画像の画質の劣化が、前記許容範囲に収まらないと判定される場合に、および/または、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応付けられた前記第2X線画像が前記記憶部に記憶されていないと判定される場合に、取得すべき前記第1X線画像の前記撮影条件に対応する前記第2X線画像の更新、または、生成をユーザに促す報知を行うステップと、を備える、X線位相イメージング方法。
【符号の説明】
【0161】
2a 制御部(制御装置)
2b、202b 画像処理部
3 表示部(表示装置)
10 X線源
11 X線源出器
15 回転機構
30 第1X線画像
31 第2X線画像
32 X線位相コントラスト画像
40 撮影条件
40a 相対角度(被写体と複数の格子との相対角度)
50 第2X線画像の更新を促す情報
70 X線の照射軸線
71 撮影視野領域
72 撮影位置
73 退避位置
90 被写体
100、200 X線イメージング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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