(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048147
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】媒体傷補修装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240401BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20240401BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240401BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/20
G03G21/00 370
B41J29/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154032
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】植原 牧雄
【テーマコード(参考)】
2C061
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061CK01
2C061CK07
2H033AA45
2H033BA01
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB01
2H033BB18
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA09
2H033CA30
2H033CA39
2H033CA43
2H270KA35
2H270LA24
2H270LC02
2H270LD01
2H270LD08
2H270MB27
2H270MH09
2H270SB16
2H270SB23
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】媒体の傷を補修すること。
【解決手段】画像が記録された媒体(S)を加熱する加熱手段(12)と、加熱手段(12)と媒体(S)を挟んで対向し、前記媒体(S)の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段(13)と、を備えた媒体傷補修装置(11)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が記録された媒体を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段と媒体を挟んで対向し、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段と、
を備えたことを特徴とする媒体傷補修装置。
【請求項2】
媒体において画像が記録された面に対向する側に配置された前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体傷補修装置。
【請求項3】
現像剤で構成された未定着画像を定着させる定着手段に対して、媒体搬送方向の下流側に配置された前記加圧手段および前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体傷補修装置。
【請求項4】
現像剤の融点よりも低温で前記媒体を加熱する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の媒体傷補修装置。
【請求項5】
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の媒体傷補修装置。
【請求項6】
中空筒状の前記加熱手段と、
前記加熱手段の内部を貫通して配置されて、通電時に前記加熱手段を加熱する熱源と、
前記加熱手段の端部に配置された前記冷却手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の媒体傷補修装置。
【請求項7】
媒体にインクを吐出されて画像が記録された媒体を加熱する前記加熱手段であって、加熱により前記インクを乾燥させる前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体傷補修装置。
【請求項8】
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の加熱を実行する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体傷補修装置。
【請求項9】
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、加熱する温度が高温である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の媒体傷補修装置。
【請求項10】
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体ではない場合には、媒体の加熱を実行しない前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の媒体傷補修装置。
【請求項11】
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の媒体傷補修装置。
【請求項12】
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、媒体の搬送速度が低速である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の媒体傷補修装置。
【請求項13】
前記媒体の種類に基づいて、前記媒体に加わる圧力が予め定められた範囲内になるように前記加圧手段の圧力を調整する圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体傷補修装置。
【請求項14】
前記媒体が厚くなるほど前記加圧手段の圧力を低くする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の媒体傷補修装置。
【請求項15】
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体に該当しない場合には、前記加圧手段の圧力を、媒体の搬送に必要な最低限の圧力にする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の媒体傷補修装置。
【請求項16】
媒体の幅方向の全域に接触して、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段、
を備えたことを特徴とする媒体傷補修装置。
【請求項17】
画像を媒体に記録する像記録手段と、
画像が記録された媒体の傷を補修する請求項1ないし16のいずれかに記載の媒体傷補修装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体傷補修装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、媒体に転写された未定着の現像剤を定着させる定着装置に関し、以下の特許文献1に記載の技術が公知である。
特許文献1としての特開2020-52142号公報には、定着装置(50)として、上流側の加圧ロール(61)と加熱ベルト(62)とを有する第1定着部と、下流側の加圧ロール(34)と加熱ロール(32)とを有する第2定着部と、加圧ロール(34)の下流側で媒体を冷却する冷却装置(90)と、を有する構成が記載されている。特許文献1に記載の構成では、第1定着部と第2定着部とでトナー像に熱と圧力が加えられて定着されると共に、冷却装置(90)でトナー像が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-52142号公報(「0074」-「0114」、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、媒体の傷を補修することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体傷補修装置は、
画像が記録された媒体を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段と媒体を挟んで対向し、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体傷補修装置において、
媒体において画像が記録された面に対向する側に配置された前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の媒体傷補修装置において、
現像剤で構成された未定着画像を定着させる定着手段に対して、媒体搬送方向の下流側に配置された前記加圧手段および前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の媒体傷補修装置において、
現像剤の融点よりも低温で前記媒体を加熱する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の媒体傷補修装置において、
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の媒体傷補修装置において、
中空筒状の前記加熱手段と、
前記加熱手段の内部を貫通して配置されて、通電時に前記加熱手段を加熱する熱源と、
前記加熱手段の端部に配置された前記冷却手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の媒体傷補修装置において、
媒体にインクを吐出されて画像が記録された媒体を加熱する前記加熱手段であって、加熱により前記インクを乾燥させる前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の加熱を実行する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、加熱する温度が高温である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体ではない場合には、媒体の加熱を実行しない前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の媒体傷補修装置において、
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、媒体の搬送速度が低速である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類に基づいて、前記媒体に加わる圧力が予め定められた範囲内になるように前記加圧手段の圧力を調整する圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体が厚くなるほど前記加圧手段の圧力を低くする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の媒体傷補修装置において、
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体に該当しない場合には、前記加圧手段の圧力を、媒体の搬送に必要な最低限の圧力にする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
前記技術的課題を解決するために、請求項16に記載の発明の媒体傷補修装置は、
媒体の幅方向の全域に接触して、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
前記技術的課題を解決するために、請求項17に記載の発明の画像形成装置は、
画像を媒体に記録する像記録手段と、
画像が記録された媒体の傷を補修する請求項1ないし16のいずれかに記載の媒体傷補修装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1,16,17に記載の発明によれば、媒体の傷を補修することができる。
請求項2に記載の発明によれば、傷が目立つと問題になりやすい画像が記録された面側の傷を加熱しながら補修できる。
請求項3に記載の発明によれば、画像定着後にそれまでに発生した傷を補修でき、未定着の画像の乱れが防止される。
請求項4に記載の発明によれば、現像剤の融点よりも高温で加熱する場合に比べて、現像剤が焦げたり、加熱手段に現像剤の一部が付着して画像の一部が欠けたりする画像欠陥の発生が抑制される。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、冷却しない場合に比べて、媒体傷補修装置を通過した後に画像に傷が発生することが抑制される。
請求項6に記載の発明によれば、加熱手段を内部から熱源で加熱しつつ、端部で冷却することができる。
請求項7に記載の発明によれば、インクで画像が記録された媒体の傷を補修できる。
請求項8に記載の発明によれば、補修対象媒体の傷を加熱しながら補修できる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、補修対象媒体が低温で加熱される場合に比べて、傷が補修されやすい。
請求項10に記載の発明によれば、非補修対象媒体でも加熱する場合に比べて、加熱に伴う電力消費を抑制できる。
請求項11に記載の発明によれば、冷却しない場合に比べて、媒体傷補修装置を通過した後に画像に傷が発生することが抑制される。
【0025】
請求項12に記載の発明によれば、補修対象媒体を低速で搬送しない場合に比べて、傷を補修しやすい。
請求項13に記載の発明によれば、圧力が調整されない場合に比べて、媒体の種類に応じた傷が補修されやすい。
請求項14に記載の発明によれば、媒体の厚さに関わらず圧力が一定の場合に比べて、媒体の傷を補修しつつ搬送抵抗が過大になることが抑制される。
請求項15に記載の発明によれば、補修対象媒体でない場合に加圧手段の圧力が搬送に必要な最低限の圧力にされない場合に比べて、媒体の搬送抵抗が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の定着装置や媒体傷補修装置、排出ローラの要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0028】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としてのコピー機Uは、操作部UI、画像読取手段の一例としてのスキャナ装置U1、給紙装置U2、画像記録手段の一例としてのプリンタ部U3、および用紙排出部U4を有している。
【0029】
前記操作部UIは、入力部の一例としての電源ボタンやコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等や、表示部等を有している。
前記スキャナ装置U1は、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、プリンタ部U3に入力する。
給紙装置U2は、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を有する。各給紙トレイTR1~TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。各給紙トレイTR1~TR4からプリンタ部U3に向けて、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が延びている。
【0030】
図1において、プリンタ部U3は、制御部Cや、前記制御部Cにより制御されてプリンタ部U3の各部材に給電する電源回路E等を有する。制御部Cは、スキャナ装置U1で読み取られた原稿の画像情報や、コピー機Uに接続された図示しない情報送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータから送信された画像情報を受信する。
前記制御部Cは、受信した画像情報を、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の印刷用の情報に処理して、潜像書込装置の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dに出力する。レーザ駆動回路Dは、制御部Cから入力されたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成手段の一例としての露光装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0031】
各露光装置ROSy~ROSkの下方には、Y,M,C,Kの像保持体ユニットUy,Um,Uc,Ukが配置されている。
図1において、K:黒の像保持体ユニットUkは、像保持手段の一例としての感光体ドラムPkと、帯電手段の一例としての帯電コロトロンCCkと、像保持手段用の清掃手段の一例としての感光体クリーナCLkとを有する。そして、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUy,Um,Ucも、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電コロトロンCCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有する。
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPy,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
【0032】
感光体ドラムPy~Pkは、それぞれ帯電コロトロンCCy~CCkにより一様に帯電された後、露光装置ROSy~ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより、感光体ドラムPy~Pkの表面に静電潜像が形成される。前記感光体ドラムPy~Pkの表面の静電潜像は、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに設けられた現像部材の一例としての現像ロールR0により、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色のトナー像に現像される。
【0033】
感光体ドラムPy~Pk表面上のトナー像は、一次転写手段の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、1次転写領域Q3において、中間転写手段の一例であって、像保持手段の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPy~Pkの表面に残留した残留トナーは感光体クリーナCLy~CLkによりクリーニングされる。
前記各像保持体ユニットUy~Ukと、現像装置Gy~Gkとにより、像形成手段の一例としてのトナー像形成部Uy+Gy,Um+Gm,Uc+Gc,Uk+Gkが構成されている。
【0034】
プリンタ部U3の上部には、補給手段の一例としてのトナーディスペンサーU3aが配置されており、トナーディスペンサーU3aには、現像剤の収容手段の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkが着脱可能に装着されている。画像形成に伴って現像装置Gy~Gkにおいてトナーが消費されると、各トナーカートリッジKy~Kkから各現像装置Gy~Gkにトナーが供給される。
【0035】
前記感光体ドラムPy~Pkの下方に配置された中間転写ベルトBは、中間転写手段の駆動手段の一例としての中間駆動ロールRdと、中間転写ベルトBに張力を付与する張力付与手段の一例としての中間テンションロールRtと、中間転写ベルトBの片寄り、蛇行を補正する第1の片寄り補正手段の一例としての中間ステアリングロールRwと、従動手段の一例としての複数の中間アイドラロールRfと、2次転写領域の対向手段の一例としてのバックアップロールT2aと、により張架されている。そして、前記中間転写ベルトBは、中間駆動ロールRdの駆動により矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
前記中間駆動ロールRd、中間テンションロールRt、中間ステアリングロールRw、中間アイドラロールRf、バックアップロールT2a、1次転写ロールT1y~T1k、中間転写ベルトB等により、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが構成されている。なお、実施例1のベルトモジュールBMは、プリンタ部U3に対して、着脱、交換が可能なユニットにより構成されている。
【0036】
前記バックアップロールT2aの下方には、転写搬送手段の一例としての2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。2次転写ロールT2bは、バックアップロールT2aに対向して配置されている。2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと対向する領域により2次転写領域Q4が構成されている。また、前記バックアップロールT2aには、電圧印加用の接触手段の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。コンタクトロールT2cには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記各ロールT2a~T2cにより、2次転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。また、中間転写ベルトBや1次転写ロールT1y~T1k、2次転写器T2等により、転写手段の一例としての転写装置B+T1+T2が構成されている。
【0037】
前記ベルトモジュールBMの下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、搬送手段の一例としての搬送ロールRaで用紙搬送路SH2に搬送される。用紙搬送路SH2の記録用紙Sは、送出手段の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて送り出され、媒体案内手段の一例としての用紙ガイドSG1,SG2に案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に、前記2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写手段の清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。
【0038】
トナー像が2次転写された記録用紙Sは、搬送手段の一例としての媒体搬送ベルトBHに送られる。媒体搬送ベルトBHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。定着手段の一例としての定着装置Fは、定着用の加熱手段の一例としての加熱ローラFhと、定着用の加圧手段の一例としての加圧ローラFpとを有し、加熱ローラFhと加圧ローラFpとが対向、接触する領域により定着領域Q5が形成されている。
記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。定着装置Fでトナー像が定着された記録用紙Sは、媒体搬送手段の一例としての排出ローラRhにより排出部の一例としての排出トレイTRhに排出される。
前記符号SH1,SH2等により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,SG1,SG2,BH等により用紙搬送装置SUが構成されている。
また、前記トナー像形成部Uy+Gy~Uk+Gkや転写装置B+T1+T2、定着装置F、用紙搬送装置SU等により、像を記録用紙Sに記録する像記録手段が構成されている。
【0039】
(定着装置、媒体傷補修装置、排出ローラの説明)
図2は実施例1の定着装置や媒体傷補修装置、排出ローラの要部説明図である。
図1、
図2において、実施例1の定着装置Fの加熱ローラFhおよび加圧ローラFpは、媒体幅方向、軸方向の長さが、使用可能な最大の大きさの記録用紙Sの幅方向の全域よりも長く設定されている。また、実施例1の加熱ローラFhには、熱源の一例としてのヒータ1が貫通した状態で配置されている。したがって、ヒータ1の作動と停止が制御されて、定着領域Q5の定着温度が現像剤を溶融可能な予め定められた温度に制御される。
【0040】
定着装置Fに対して、用紙搬送方向の下流側には、媒体傷補修装置11が配置されている。実施例1の媒体傷補修装置11は、傷補修用の加熱手段の一例としての加熱プレスローラ12と、傷補修用の加圧手段の一例としての加圧プレスローラ13とを有する。実施例1では、記録用紙Sにおいて画像が記録された面(画像記録面)に対向する側である上側に、加熱プレスローラ12が配置され、画像記録面とは反対側である下側に加圧プレスローラ13が配置されている。
実施例1の加熱プレスローラ12と加圧プレスローラ13とは、加熱ローラFhや加圧ローラFpと同様に、媒体幅方向、軸方向の長さが、使用可能な最大の大きさの記録用紙Sの幅方向の全域よりも長く設定されている。実施例1では、図示しない駆動源の一例としてのモータから加熱プレスローラ12に駆動が伝達される。
【0041】
加熱プレスローラ12は、中空円筒状に形成されている。加熱プレスローラ12には、熱源の一例としての傷補修ヒータ14が貫通した状態で配置されている。
加熱プレスローラ12の軸方向の端部には、放熱手段の一例としてのヒートシンク16が支持されている。ヒートシンク16には、送風手段の一例としての送風ファン17が対向して配置されている。したがって、送風ファン17は、作動時にヒートシンク16に冷却用の風を送ることが可能となっている。前記ヒートシンク16と送風ファン17とにより冷却手段の一例としての冷却装置16+17が構成されている。
また、加熱プレスローラ12の外周の外側には、温度検出手段の一例としての温度センサSN1が配置されている。温度センサSN1は、加熱プレスローラ12の表面の温度を検出する。
【0042】
実施例1の加圧プレスローラ13は、回転軸13aが可動手段の一例としてのレバー21で支持されている。レバー21は、回転中心21aを中心として回転可能に支持されており、レバー21の回転により加圧プレスローラ13が加熱プレスローラ12に対して接近、離間する方向に移動して、加圧プレスローラ13と加熱プレスローラ12との接触圧力が変更可能に構成されている。
レバー21の先端部には、作動手段の一例としての偏心カム22が接触して配置されている。偏心カム22は、図示しない圧力調整用の駆動源の一例としてのモータから駆動が伝達可能に構成されている。したがって、モータの回転に伴って偏心カム22が回転すると、レバー21が回転して、加圧プレスローラ13と加熱プレスローラ12との接触圧力が調整可能である。
【0043】
実施例1の加熱プレスローラ12は、加圧プレスローラ13に比べて、熱伝導性が高い材料を使用することが好ましい。熱伝導性の高い材料としては、一例として、銅やアルミニウム、真鍮、ステンレス等の金属材料を好適に使用可能である。
実施例1の加圧プレスローラ13は、表面が加熱プレスローラ12よりも弾性の高い材料で構成することが好ましい。加圧プレスローラ13は、記録用紙Sの全域に渡って圧力をかけられると共に、記録用紙Sの表面の傷を潰すことが可能とするために、例えば、ゴム等の材料で構成することが高定期である。
また、実施例1の加熱プレスローラ12および加圧プレスローラ13は、表面への記録用紙Sの貼り付きや現像剤の付着を抑制するために、離型性の良いフッ素樹脂の被膜(コーティング)や、低摩擦係数の材料のメッキ、あるいは、表面を鏡面加工する等の表面処理をすることが好ましい。
【0044】
媒体傷補修装置11に対して、用紙搬送方向の下流側には、排出ローラRhが配置されている。排出ローラRhは、媒体幅方向に延びる回転軸51と、回転軸51に沿って間隔をあけて支持された複数の駆動ロール52と、駆動ロール52に対向して配置された従動ロール53とを有する。回転軸51には図示しない駆動源の一例としてのモータから駆動が伝達されて、記録用紙Sを搬送可能である。
【0045】
(実施例1の制御部の説明)
図2において、コピー機Uの制御手段の一例としての制御部(コントローラ)Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
実施例1の制御部Cは、信号出力要素からの信号が入力され、被制御要素に信号を出力して制御する。
【0046】
(信号出力要素の説明)
制御部Cには、温度センサSN1等の図示しないセンサ等の信号出力要素からの信号が入力される。
(被制御要素の説明)
制御部Cは、電源回路Eや、定着装置Fや媒体傷補修装置11、排出ローラRhを駆動するモータM1、ヒータ1や傷補修ヒータ14、送風ファン17、偏心カム22を駆動する圧力調整用のモータM2、等の被制御要素へ信号を出力する。
【0047】
(制御部Cの機能)
実施例1の制御部Cは以下の機能手段(機能モジュール、プログラムモジュール)C1~C4を有する。
【0048】
媒体種類判別手段C1は、画像形成で使用されている記録用紙Sの種類が、予め定められた補修対象媒体であるか否かを判別する。実施例1では、一例として、媒体の種類がコート紙やメタリック紙、透明フィルムが、補修対象媒体として予め定められている。コート紙は、例えば、紙の表面にPET:ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂が被覆された媒体である。また、メタリック紙は、例えば、紙の表面にアルミ箔等の金属箔と、透明な樹脂被膜(ウレタン塗膜等)とが積層された媒体である。また、透明フィルムは、例えば、OHP:オーバーヘッドプロジェクタ等で使用可能なPET等の透明な樹脂で構成されたフィルム状の媒体である。これらの媒体は、表面の材料が、記録用紙Sをガイドする搬送路の壁面を構成する金属材料よりも軟らかく、普通紙等に比べて、傷が発生しやすく、表面の平滑度や光沢の関係から傷が目立ちやすい特徴がある。
【0049】
モータ制御手段C2は、モータM1を制御して、定着装置Fや媒体傷補修装置11、排出ローラRhの回転を制御する。実施例1のモータ制御手段C2は、画像形成動作が開始されると加熱ローラFhや加熱プレスローラ12、回転軸51を回転させ、画像形成動作が終了すると回転を停止させる。また、実施例1のモータ制御手段C2は、記録用紙Sの種類が、補修対象媒体である場合には、定着装置F等での記録用紙Sの搬送速度を、補修対象媒体でない場合(普通紙等の場合)に比べて、低速に制御する。
【0050】
定着制御手段C3は、定着装置Fの定着温度を制御する。実施例1の定着制御手段C3は、ヒータ1の作動/停止を制御して、現像剤を溶融可能な予め定められた温度に定着温度を制御する。実施例1では、一例として、定着温度が200℃程度に設定されている。
傷補修制御手段C4は、加熱制御手段C41と、冷却制御手段C42と、圧力調整手段の一例としての加圧制御手段C43とを有し、媒体傷補修装置11の動作を制御する。
【0051】
加熱制御手段C41は、傷補修ヒータ14の点灯/消灯を制御して、加熱プレスローラ12と加圧プレスローラ13との間の接触領域Q6の温度を制御する。実施例1の加熱制御手段C41は、温度センサSN1の温度検知結果に基づいて、接触領域Q6の温度が予め定められた温度となるように、傷補修ヒータ14の点灯制御を行う。実施例1の加熱制御手段C41では、接触領域Q6の温度は、現像剤の融点よりも十分低温な温度に予め定められており、一例として70℃程度に設定されている。
実施例1の加熱制御手段C41は、記録用紙Sの種類が補修対象媒体である場合に傷補修ヒータ14の点灯制御を行って加熱プレスローラ12を加熱し、記録用紙Sを加熱する。また、実施例1の加熱制御手段C41は、記録用紙Sが補修対象媒体でない場合にはヒータの点灯を行わず、加熱プレスローラ12を加熱せず、記録用紙Sも加熱しない。したがって、補修対象媒体では、補修対象媒体でない場合に比べて、加熱する温度が高温に制御される。
【0052】
冷却制御手段C42は、送風ファン17を制御して、加熱プレスローラ12を冷却する。実施例1の冷却制御手段C42は、記録用紙Sの種類が補修対象媒体である場合には送風ファン17を停止して冷却は行わない。また、実施例1の冷却制御手段C42は、記録用紙Sが補修対象媒体でない場合には送風ファン17を作動させて、加熱プレスローラ12を冷却し、定着装置Fの通過時に昇温した記録用紙Sを冷却する。
【0053】
加圧制御手段C43は、圧力調整用のモータM2を制御して、偏心カム22の停止位置を制御することで、加圧プレスローラ13の接触圧力を調整、制御する。実施例1の加圧制御手段C43は、記録用紙Sが補修対象媒体である場合には、予め定められた記録用紙Sの傷を押しつぶす圧力となるように接触圧力を制御する。実施例1では、補修対象媒体の場合は、補修対象媒体ではない場合に比べて、接触圧力が高くなるように設定されている。また、実施例1では、補修対象媒体に該当しない場合は、記録用紙Sの搬送に必要な最低限の圧力、すなわち、加熱プレスローラ12および加圧プレスローラ13と記録用紙Sとが滑って搬送できない状況とならない程度の圧力となるように、接触圧力が調整される。
【0054】
また、実施例1では、補修対象媒体であっても、記録用紙Sの厚さが厚い媒体は、厚さが薄い場合に比べて、接触圧力が低く調整される。なお、記録用紙Sの厚さで接触圧力を調整することを例示したが、これに限定されない。例えば、記録用紙Sの表面の材質に応じて接触圧力を調整することも可能である。すなわち、傷がつきやすく補修の必要性の高い材質の媒体では接触圧力を高くし、補修の必要性が相対的に低い材質の媒体では接触圧力を低くすることも可能である。
【0055】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1のコピー機Uでは、画像形成動作が開始されると、記録用紙Sに画像が転写されて、定着装置Fで定着される。記録用紙Sが補修対象媒体である場合には、媒体傷補修装置11の傷補修ヒータ14が作動して、加熱プレスローラ12が加熱されると共に、加圧プレスローラ13の接触圧力が高い状態の接触領域Q6に記録用紙Sが送られる。補修対象媒体は、媒体傷補修装置11に到達するまでの搬送経路において表面に擦過傷が発生している場合があるが、実施例1では、接触領域Q6において、記録用紙Sは加圧プレスローラ13で加圧されて表面の傷が押しつぶされ、いわば傷が補修される。したがって、実施例1では、媒体傷補修装置11を通過した記録用紙Sの表面の傷が補修され、目立ちにくくなる。
また、実施例1では、加熱プレスローラ12および加圧プレスローラ13が記録用紙Sの媒体幅方向の全域に渡って延びており、記録用紙Sの表面の全域が補修される。したがって、排出ローラRhのような幅方向に間隔をあけて配置される構成に比べて、傷の補修が不完全とならず、傷が目立ちにくくなる。
【0056】
さらに、実施例1では、補修対象媒体が接触領域Q6を通過する際に、加熱プレスローラ12が加熱されている。補修対象媒体の表面が加熱されない場合に比べて、加熱された実施例1では、表面の材料が熱で変形しやすく、補修がされやすい。
また、実施例1では、画像記録面側に加熱プレスローラ12が配置されており、画像記録面側の方がより熱による補修効果が高くなる。したがって、実施例1では、傷が目立つと問題になりやすい画像記録面側の傷を補修しやすくなっている。
【0057】
さらに、実施例1では、接触領域Q6の温度が、定着領域Q5よりも低温となっており、トナーの融点よりも十分低温に設定されている。したがって、接触領域Q6において現像剤の定着は行われず、現像剤が加熱されて焦げたり、加熱プレスローラ12に現像剤の一部が付着して画像が欠けたりする画像欠陥が発生しにくい。
また、実施例1では、記録用紙Sが補修対象媒体の場合には、加熱プレスローラ12が加熱されており、傷が目立ちやすい補修対象媒体の傷が補修される。
実施例1では、記録用紙Sが補修対象媒体ではない場合は、記録用紙Sが加熱されない。したがって、傷がそもそも目立ちにくい非補修対象媒体では、傷の補修が行われず、加熱に必要な電力消費や費用が抑制される。
【0058】
なお、実施例1では、補修対象媒体ではない場合は、加熱プレスローラ12が加熱されない構成を例示したがこれに限定されない。非補修対象媒体でも加熱プレスローラ12を加熱して傷の補修を行うようにすることも可能である。この場合、傷つきやすい補修対象媒体の傷を安定して補修するために、非補修対象媒体よりも補修媒体の方の加熱する温度を高温にすることが好ましい。
【0059】
さらに、実施例1では、記録用紙Sが補修対象媒体ではない場合は、送風ファン17が作動して加熱プレスローラ12が冷却される。したがって、接触領域Q6を通過する記録用紙Sが冷却されて、記録用紙Sの表面の現像剤も冷却される。定着領域Q5の通過時に溶融された現像剤が固まりきっていない状態でコピー機Uの各部に接触すると、現像剤が乱れて、画像に欠陥が発生する場合がある。これに対して、実施例1では、定着領域Q5の下流の接触領域Q6において、記録用紙Sが冷却されており、冷却されない場合に比べて、接触領域Q6通過後に記録用紙Sがコピー機Uの各部に接触する際の傷の発生が抑制される。
【0060】
また、実施例1では、記録用紙Sが補修対象媒体の場合には、補修対象媒体ではない場合に比べて、搬送速度が低速になっている。したがって、補修対象媒体が高速で接触領域Q6を通過する場合に比べて、接触領域Q6で傷が補修される時間が長くなり、傷が補修されやすくなっている。
さらに、実施例1では、記録用紙Sが補修対象媒体の場合には、接触領域Q6の接触圧力が所定の圧力となり、補修対象媒体ではない場合には搬送に必要な最低限の圧力となっている。したがって、補修対象媒体は接触領域Q6を通過する際に傷が補修されると共に、非補修対象媒体は搬送抵抗が少ない状態で搬送される。さらに、記録用紙Sの厚さに応じて接触圧力が調整されており、傷の確実な補修と搬送抵抗の不要な上昇が抑制される。
【0061】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのコピー機Uを例示したが、これに限定されず、例えば、FAX、プリンタ、複合機により構成することも可能である。
【0062】
(H02)前記実施例において、画像形成装置として、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、3色以下または5色以上の多色の画像形成装置にも適用可能である。
(H03)前記実施例において、電子写真方式の画像形成装置に適用する場合を例示したが、他の方式の画像形成装置にも適用可能である。例えば、インクジェット方式の画像形成装置において、画像を書き込むヘッド部の下流側に、本発明の媒体傷補修装置11を設置して媒体の傷を補修することも可能である。なお、ヘッド部の下流側にインクを乾燥させる加温ロールが設置されている場合には、加温ロールの下流側に媒体傷補修装置11を設置することも可能である。
【0063】
(H04)前記実施例において、加熱プレスローラ12を加熱したり、加圧プレスローラ13の接触圧力を高くしたりして傷の補修を行うか否かは、媒体の種類から自動的に判別する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、ユーザが手動で傷の補修を行うか否かを設定するように構成することも可能である。
【0064】
(H05)前記実施例において、補修対象媒体ではない場合には傷の補修を行わない構成としたがこれに限定されない。媒体の種類に関わらず、傷の補修を行う構成とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、補修対象媒体の場合に搬送速度を低速にすることが望ましいが、これに限定されない。補修対象媒体でも非補修対象媒体と同じ搬送速度とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、媒体の厚さに応じて接触領域Q6の接触圧力を調整することが望ましいが、これに限定されない。媒体の厚さに関わらず接触圧力を一定にすることも可能である。
(H08)前記実施例において、実施例に例示した具体的な数値や材料名等は例示したものに限定されず、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。
【0065】
(H09)前記実施例において、定着装置Fや媒体傷補修装置11は、加熱ローラFhや加熱プレスローラ12がロール形状の場合を例示したが、これに限定されない。複数のロールとロール間に張架されたベルトとを有する構成、いわゆる、加熱ベルトを使用する構成等、任意の構成に変更可能である。同様に、加圧ローラFpや加圧プレスローラ13もベルトを使用する構成に変更可能である。
【0066】
(付記)
(((1)))
画像が記録された媒体を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段と媒体を挟んで対向し、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段と、
を備えたことを特徴とする媒体傷補修装置。
(((2)))
媒体において画像が記録された面に対向する側に配置された前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))に記載の媒体傷補修装置。
(((3)))
現像剤で構成された未定着画像を定着させる定着手段に対して、媒体搬送方向の下流側に配置された前記加圧手段および前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))または(((2)))に記載の媒体傷補修装置。
(((4)))
現像剤の融点よりも低温で前記媒体を加熱する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((3)))に記載の媒体傷補修装置。
(((5)))
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((3)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((6)))
中空筒状の前記加熱手段と、
前記加熱手段の内部を貫通して配置されて、通電時に前記加熱手段を加熱する熱源と、
前記加熱手段の端部に配置された前記冷却手段と、
を備えたことを特徴とする(((5)))に記載の媒体傷補修装置。
(((7)))
媒体にインクを吐出されて画像が記録された媒体を加熱する前記加熱手段であって、加熱により前記インクを乾燥させる前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))または(((2)))に記載の媒体傷補修装置。
(((8)))
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の加熱を実行する前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((7)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((9)))
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、加熱する温度が高温である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((8)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((10)))
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体ではない場合には、媒体の加熱を実行しない前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((9)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((11)))
前記加熱手段を冷却する冷却手段であって、前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体でない場合には前記加熱手段を冷却する前記冷却手段、
を備えたことを特徴とする(((7)))ないし(((10)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((12)))
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体である場合には、媒体の種類が補修対象媒体でない場合に比べて、媒体の搬送速度が低速である前記加熱手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((11)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((13)))
前記媒体の種類に基づいて、前記媒体に加わる圧力が予め定められた範囲内になるように前記加圧手段の圧力を調整する圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする(((1)))ないし(((12)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置。
(((14)))
前記媒体が厚くなるほど前記加圧手段の圧力を低くする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする(((13)))に記載の媒体傷補修装置。
(((15)))
前記媒体の種類が予め定められた補修対象媒体に該当しない場合には、前記加圧手段の圧力を、媒体の搬送に必要な最低限の圧力にする前記圧力調整手段、
を備えたことを特徴とする(((13)))または(((14)))に記載の媒体傷補修装置。
(((16)))
媒体の幅方向の全域に接触して、前記媒体の傷を押しつぶす圧力を加える加圧手段、
を備えたことを特徴とする媒体傷補修装置。
(((17)))
画像を媒体に記録する像記録手段と、
画像が記録された媒体の傷を補修する(((1)))ないし (((16)))のいずれかに記載の媒体傷補修装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0067】
(((1)))に係る媒体傷補修装置によれば、媒体の傷を補修することができる。
(((2)))に係る媒体傷補修装置によれば、傷が目立つと問題になりやすい画像が記録された面側の傷を加熱しながら補修できる。
(((3)))に係る媒体傷補修装置によれば、画像定着後にそれまでに発生した傷を補修でき、未定着の画像の乱れが防止される。
(((4)))に係る媒体傷補修装置によれば、現像剤の融点よりも高温で加熱する場合に比べて、現像剤が焦げたり、加熱手段に現像剤の一部が付着して画像の一部が欠けたりする画像欠陥の発生が抑制される。
(((5)))に係る媒体傷補修装置によれば、冷却しない場合に比べて、媒体傷補修装置を通過した後に画像に傷が発生することが抑制される。
(((6)))に係る媒体傷補修装置によれば、加熱手段を内部から熱源で加熱しつつ、端部で冷却することができる。
(((7)))に係る媒体傷補修装置によれば、インクで画像が記録された媒体の傷を補修できる。
(((8)))に係る媒体傷補修装置によれば、補修対象媒体の傷を加熱しながら補修できる。
【0068】
(((9)))に係る媒体傷補修装置によれば、補修対象媒体が低温で加熱される場合に比べて、傷が補修されやすい。
(((10)))に係る媒体傷補修装置によれば、非補修対象媒体でも加熱する場合に比べて、加熱に伴う電力消費を抑制できる。
(((11)))に係る媒体傷補修装置によれば、冷却しない場合に比べて、媒体傷補修装置を通過した後に画像に傷が発生することが抑制される。
【0069】
(((12)))に係る媒体傷補修装置によれば、補修対象媒体を低速で搬送しない場合に比べて、傷を補修しやすい。
(((13)))に係る媒体傷補修装置によれば、圧力が調整されない場合に比べて、媒体の種類に応じた傷が補修されやすい。
(((14)))に係る媒体傷補修装置によれば、媒体の厚さに関わらず圧力が一定の場合に比べて、媒体の傷を補修しつつ搬送抵抗が過大になることが抑制される。
(((15)))に係る媒体傷補修装置によれば、補修対象媒体でない場合に加圧手段の圧力が搬送に必要な最低限の圧力にされない場合に比べて、媒体の搬送抵抗が低減される。
(((16)))に係る媒体傷補修装置によれば、媒体の傷を補修することができる。
(((17)))に係る画像形成装置によれば、媒体の傷を補修することができる。