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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004817
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41M5/00 700
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104665
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】堀川 竜太郎
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA57
2H270LA79
2H270LA98
2H270MC55
2H270MC78
2H270MD02
2H270MF14
2H270PA83
2H270ZC03
(57)【要約】
【課題】箔転写の生産性を向上させることができる箔転写装置を提供する。
【解決手段】箔転写装置1Aは、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能であるとともに、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能である。制御部10は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させ、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔を転写する場合、更新した箔使用履歴情報に基づいて、シートSの画像が形成された部分の全体に箔フィルムFの箔を転写していない領域が重なるように箔フィルムFを搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムが巻回される第1リールおよび第2リールと、
前記第1リールと前記第2リールの間で搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する箔転写部と、
箔フィルムのシートに箔を転写した領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶するメモリと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1リールから前記第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写可能であるとともに、
前記第2リールから前記第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写可能であり、
少なくとも、
前記第1リールから前記第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新して前記メモリに記憶させ、
前記第2リールから前記第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、更新した箔使用履歴情報に基づいて、シートの画像が形成された部分の全体に箔フィルムの箔を転写していない領域が重なるようにシートと箔フィルムを搬送することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2リールから前記第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新して前記メモリに記憶させ、
前記第1リールから前記第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて前記箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、更新した箔使用履歴情報に基づいて、シートの画像が形成された部分の全体に箔フィルムの箔を転写していない領域が重なるようにシートと箔フィルムを搬送することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、前記第1リールおよび前記第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、
前記箔転写部は、シートに箔を転写する場合、箔フィルムとシートを所定の移動方向に向けて搬送し、
前記フィルムカートリッジは、
前記移動方向において、前記第1リールが前記箔転写部の上流に配置され、前記第2リールが前記箔転写部の下流に配置される第1装着姿勢で前記筐体に装着可能であるとともに、
前記移動方向において、前記第2リールが前記箔転写部の上流に配置され、前記第1リールが前記箔転写部の下流に配置される第2装着姿勢で前記筐体に装着可能であり、
前記フィルムカートリッジが前記第1装着姿勢で装着されている状態でシートに箔を転写する場合、箔フィルムが前記第1リールから前記第2リールに向けて搬送され、
前記フィルムカートリッジが前記第2装着姿勢で装着されている状態でシートに箔を転写する場合、箔フィルムが前記第2リールから前記第1リールに向けて搬送されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、シートに箔を転写する場合において、
前記箔転写部で箔フィルムとシートを第1移動方向に向けて搬送する第1箔転写モードと、
前記箔転写部で箔フィルムとシートを前記第1移動方向と逆の第2移動方向に向けて搬送する第2箔転写モードと、を実行可能であり、
前記第1箔転写モードが実行されている場合、箔フィルムが前記第1リールから前記第2リールに向けて搬送され、
前記第2箔転写モードが実行されている場合、箔フィルムが前記第2リールから前記第1リールに向けて搬送されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項5】
画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成部であって、シートの搬送方向における前記箔転写部の上流に配置された画像形成部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新する、または、シートの画像が形成された部分の情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項7】
外部の装置からシートに形成される画像の画像データを取得する画像データ取得部を備え、
前記制御部は、前記画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新する、または、シートの画像が形成された部分の情報を取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、前記第1リールおよび前記第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、
前記メモリは、前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、前記第1リールおよび前記第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、
前記メモリは、前記フィルムカートリッジに設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねてシートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
箔転写装置として、例えば、特許文献1には、箔が積層された箔用紙の箔が転写されなかった部分を再利用する際、給送部においてロール状に巻回された箔用紙が全て巻取部に巻き取られた後、巻取部から給送部に箔用紙を巻き戻し、巻き戻した箔用紙を箔転写部に再度給送して再利用するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-072863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の構成では、箔用紙を巻取部から給送部に巻き戻している間は箔転写ができないので、箔転写の生産性が低下する可能性があった。
【0005】
そこで、箔転写の生産性を向上させることができる箔転写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
箔転写装置は、箔を含む箔フィルムが巻回される第1リールおよび第2リールと、第1リールと第2リールの間で搬送される箔フィルムにシートを重ねてシートに形成された画像に箔を転写する箔転写部と、箔フィルムのシートに箔を転写した領域の情報、および、箔フィルムのシートに箔を転写していない領域の情報の少なくとも一方を含む箔使用履歴情報を記憶するメモリと、制御部と、を備える。
制御部は、第1リールから第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写可能であるとともに、第2リールから第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写可能である。
制御部は、少なくとも、第1リールから第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新してメモリに記憶させ、第2リールから第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、更新した箔使用履歴情報に基づいて、シートの画像が形成された部分の全体に箔フィルムの箔を転写していない領域が重なるようにシートと箔フィルムを搬送する。
【0007】
このような構成によれば、第1リールから第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写が可能であるとともに、第2リールから第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写が可能であるので、箔フィルムを再使用する前に箔フィルムを巻き戻す必要がない。すなわち、箔フィルムを巻き戻すことなく、箔フィルムを再使用することができるので、箔転写の生産性を向上させることができる。
【0008】
制御部は、第2リールから第1リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新してメモリに記憶させ、第1リールから第2リールに向けて搬送される箔フィルムにシートを重ねて箔転写部でシートに形成された画像に箔を転写する場合、更新した箔使用履歴情報に基づいて、シートの画像が形成された部分の全体に箔フィルムの箔を転写していない領域が重なるようにシートと箔フィルムを搬送する構成であってもよい。
【0009】
これによれば、箔フィルムを2回再使用することが可能となるので、箔が無駄になるのをより抑制することができる。
【0010】
箔転写装置は、筐体と、筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、第1リールおよび第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、箔転写部は、シートに箔を転写する場合、箔フィルムとシートを所定の移動方向に向けて搬送し、フィルムカートリッジは、移動方向において、第1リールが箔転写部の上流に配置され、第2リールが箔転写部の下流に配置される第1装着姿勢で筐体に装着可能であるとともに、移動方向において、第2リールが箔転写部の上流に配置され、第1リールが箔転写部の下流に配置される第2装着姿勢で筐体に装着可能であり、箔転写装置は、フィルムカートリッジが第1装着姿勢で装着されている状態でシートに箔を転写する場合、箔フィルムが第1リールから第2リールに向けて搬送され、フィルムカートリッジが第2装着姿勢で装着されている状態でシートに箔を転写する場合、箔フィルムが第2リールから第1リールに向けて搬送される構成であってもよい。
【0011】
これによれば、箔フィルムとシートの移動方向を切り替える機構を省略できるので、コストを抑えたり、小型化したりすることができる。
【0012】
制御部は、シートに箔を転写する場合において、箔転写部で箔フィルムとシートを第1移動方向に向けて搬送する第1箔転写モードと、箔転写部で箔フィルムとシートを第1移動方向と逆の第2移動方向に向けて搬送する第2箔転写モードと、を実行可能であり、箔転写装置は、第1箔転写モードが実行されている場合、箔フィルムが第1リールから第2リールに向けて搬送され、第2箔転写モードが実行されている場合、箔フィルムが第2リールから第1リールに向けて搬送される構成であってもよい。
【0013】
これによれば、箔転写の生産性を向上させることができる。
【0014】
箔転写装置は、画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成部であって、シートの搬送方向における箔転写部の上流に配置された画像形成部を備える構成であってもよい。
【0015】
これによれば、箔転写装置へのシートの供給により画像形成と箔転写を一挙に行うことができるので、画像形成および箔転写の生産性を向上させることができる。
【0016】
制御部は、画像形成部でシートに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新する、または、シートの画像が形成された部分の情報を取得する構成であってもよい。
【0017】
これによれば、画像形成時と箔転写時とで同一の画像データを用いることができるので、高精度に、箔使用履歴情報を更新したり、シートの画像が形成された部分の情報を取得したりすることができる。
【0018】
箔転写装置は、外部の装置からシートに形成される画像の画像データを取得する画像データ取得部を備え、制御部は、画像データ取得部が取得した画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新する、または、シートの画像が形成された部分の情報を取得する構成であってもよい。
【0019】
これによれば、小型で最小限の機能を有する箔転写装置を実現することができる。
【0020】
箔転写装置は、筐体と、筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、第1リールおよび第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、メモリは、筐体に設けられている構成であってもよい。
【0021】
これによれば、消耗品であるフィルムカートリッジにメモリを設けることなく、箔使用履歴情報を記憶させることができる。また、フィルムカートリッジのメモリと筐体との間の通信に用いる回路、および、フィルムカートリッジのメモリと筐体との間の安定した電気的な接点を実現する構成を必要としないので、コストを抑えることができる。
【0022】
箔転写装置は、筐体と、筐体に着脱可能なフィルムカートリッジであって、第1リールおよび第2リールを有するフィルムカートリッジと、を備え、メモリは、フィルムカートリッジに設けられている構成であってもよい。
【0023】
これによれば、フィルムカートリッジのメモリから箔使用履歴情報を取得することができるので、フィルムカートリッジを一旦取り外して再び装着した場合でも、箔転写装置において、当該フィルムカートリッジの箔使用履歴情報を取得することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述の箔転写装置によれば、箔転写の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る箔転写装置であって、フィルムカートリッジが第1装着姿勢で装着された状態を示す図である。
図2】フィルムカートリッジを取り出した状態の箔転写装置を示す図である。
図3】フィルムカートリッジが第2装着姿勢で装着された状態の箔転写装置を示す図である。
図4】箔フィルムの1回目の使用について説明する図(a)~(c)である。
図5】箔フィルムの2回目の使用(1回目の再使用)について説明する図(a)~(c)である。
図6】箔フィルムの3回目の使用(2回目の再使用)について説明する図(a)~(c)である。
図7】第1実施形態の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態の変形例に係る箔転写装置を示す図である。
図9】第2実施形態に係る箔転写装置であって、第1箔転写モードが実行されている場合を示す図である。
図10】第2箔転写モードが実行されている場合の箔転写装置を示す図である。
図11】箔フィルムの1回目の使用について説明する図(a)~(c)である。
図12】箔フィルムの2回目の使用(再使用)について説明する図(a),(b)である。
図13】第2実施形態の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の箔転写装置1Aは、筐体2と、シート供給部3と、画像形成部4と、フィルムカートリッジ5と、箔転写部6と、シート排出部7と、メモリ55と、制御部10とを備える。
【0027】
筐体2は、画像形成部4や箔転写部6などを収容する筐体本体21と、カバー22とを有する。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有し、カバー22は、開口21Aを開閉可能である。カバー22は、開口21Aを露出させる開位置(図2参照)と、開口21Aを閉じる閉位置(図1参照)との間で回動可能となるように筐体本体21に支持されている。
【0028】
シート供給部3は、供給トレイ31と、シート供給機構32とを有する。シート供給部3は、供給トレイ31にセットされたシートS(太い実線参照)をシート供給機構32によって画像形成部4に供給する。
【0029】
画像形成部4は、筐体2内においてシートSの搬送方向(「移動方向」参照)における箔転写部6の上流に配置されている。画像形成部4は、4つの感光体ドラム41と、4つの帯電装置42と、露光装置43と、4つの現像装置44と、転写装置45と、定着装置46とを有する。感光体ドラム41、帯電装置42、現像装置44および後述する転写ローラ45Dは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して設けられている。
【0030】
感光体ドラム41は、シートSの搬送方向に並んで配置されている。
帯電装置42は、対応する感光体ドラム41に対向して配置されている。
露光装置43は、図示しない光源、偏向器、レンズ、ミラーなどを有し、光ビーム(一点鎖線参照)を出射して感光体ドラム41の表面を露光する。
現像装置44は、対応する感光体ドラム41に対向して配置されている。現像装置44は、現像ローラ44Aと、トナーを収容する現像筐体44Bとを有する。現像筐体44Bには、イエロー、マゼンタ、シアンまたはブラックのトナーが収容されている。
【0031】
転写装置45は、駆動ローラ45Aと、従動ローラ45Bと、搬送ベルト45Cと、4つの転写ローラ45Dとを有する。搬送ベルト45Cは、駆動ローラ45Aと従動ローラ45Bとの間に張設され、外側の面が感光体ドラム41に対向して配置されている。転写ローラ45Dは、対応する感光体ドラム41との間で搬送ベルト45Cを挟むように搬送ベルト45Cの内側に配置されている。
【0032】
定着装置46は、加熱ローラ46Aと、加圧ローラ46Bとを有する。加熱ローラ46Aは、図示しないヒータによって加熱されることでシートSを加熱する。加圧ローラ46Bは、加熱ローラ46Aに対向して配置され、加熱ローラ46Aを押圧する。
【0033】
画像形成部4は、受信した画像データに基づいてシートSに画像を形成する。詳しくは、画像形成部4は、帯電装置42によって感光体ドラム41の表面を一様に帯電した後、露光装置43が画像データに基づく光ビームを出射することで感光体ドラム41の表面を露光する。これにより、感光体ドラム41の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0034】
次に、画像形成部4は、トナーを現像ローラ44Aから感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像に供給する。これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム41上にトナー像が形成される。次に、画像形成部4は、シート供給部3から搬送ベルト45C上に供給されたシートSを感光体ドラム41と転写ローラ45Dとの間で搬送することで、感光体ドラム41上のトナー像をシートSに転写する。そして、画像形成部4は、トナー像が転写されたシートSを加熱ローラ46Aと加圧ローラ46Bとの間で搬送することで、トナー像をシートSに定着してシートSに画像を形成する。
【0035】
フィルムカートリッジ5は、第1リール51および第2リール52と、ケース53とを有する。第1リール51および第2リール52には、箔フィルムFが巻回される。第1リール51には、箔フィルムFの一端が固定され、第2リール52には、箔フィルムFの他端が固定されている。箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。一例として、箔フィルムFは、支持層と、被支持層とを有する。
【0036】
支持層は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層を支持する。
被支持層は、剥離層と、転写層と、接着層とを有する。剥離層は、支持層から転写層を剥離しやすくするための層であり、支持層と転写層の間に配置されている。剥離層は、支持層から剥離しやすい透明な材料、例えば、ワックス系樹脂を含む。
【0037】
転写層は、トナー像に転写される層であり、箔を含む。箔とは、薄く延ばされた金属であり、例えば、金、銀、銅、アルミニウムなどからなる。また、転写層は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層は、剥離層と接着層の間に配置されている。接着層は、転写層をシートSに形成されたトナー像に接着しやすくするための層である。接着層は、箔転写部6によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば、塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含む。
【0038】
ケース53は、第1リール51および第2リール52と、箔フィルムFを収容する。ケース53は、第1リール51および第2リール52を回転可能に支持している。フィルムカートリッジ5は、筐体2に着脱可能である。詳しくは、フィルムカートリッジ5は、カバー22を開位置(図2参照)とした状態で開口21Aを通して筐体本体21に着脱可能である。
【0039】
箔転写部6は、加熱ローラ61と、加圧ローラ62とを有する。加熱ローラ61は、図示しないヒータによって加熱されることでシートSを加熱する。加圧ローラ62は、加熱ローラ61に対向して配置され、加熱ローラ61を押圧する。加熱ローラ61は、カバー22に回転可能に支持されており、カバー22を開位置(図2参照)に回動させることで、カバー22とともに移動して加圧ローラ62から離間する。加圧ローラ62は、筐体本体21に回転可能に支持されている。
【0040】
箔転写部6は、第1リール51と第2リール52の間で搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに形成された画像であるトナー像に箔を転写する。箔転写部6は、シートSに箔を転写する場合、箔フィルムFとシートSを所定の移動方向に向けて搬送する。以下では、箔転写部6における箔フィルムFとシートSの移動方向を、単に「移動方向」ともいう。第1実施形態では、移動方向は、筐体2内におけるシートSの搬送方向と同じ方向である。
【0041】
シート排出部7は、第1シート排出機構71と、第1排出トレイ72と、第2シート排出機構73と、第2排出トレイ74とを有する。第2シート排出機構73は、シートSを搬送する複数の搬送ローラ73A,73Bおよび排出ローラ73Cを有する。シート排出部7は、箔転写部6から搬送される、箔が転写されたシートSを第1シート排出機構71によって第1排出トレイ72上に排出する。また、シートSへの箔転写を実行しない場合、シート排出部7は、画像形成部4から搬送されるシートSを、箔転写部6を通過させず、第2シート排出機構73によって第2排出トレイ74上に排出する。
【0042】
なお、第1実施形態では、シートSへの箔転写を実行する場合、画像形成部4は、ブラックのトナーのみを用いてシートSにトナー像を形成する。また、シートSへの箔転写を実行しない場合において、シートSにモノクロ画像を形成する場合、画像形成部4は、ブラックのトナーのみを用いてシートSにトナー像を形成し、シートSにカラー画像を形成する場合、画像形成部4は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いてシートSにトナー像を形成する。
【0043】
メモリ55は、フィルムカートリッジ5に設けられている。言い換えると、フィルムカートリッジ5は、メモリ55を有する。メモリ55は、フィルムカートリッジ5のケース53に支持されている。メモリ55は、情報を記憶する媒体であり、例えば、ICチップである。メモリ55は、電気的接触面を有し、メモリ55の電気的接触面は、フィルムカートリッジ5が筐体2に装着された状態で筐体2に設けられた電気接点と接触する。
【0044】
メモリ55は、箔使用履歴情報を記憶する。箔使用履歴情報は、箔フィルムFのシートSに箔を転写した領域の情報、および、箔フィルムFのシートSに箔を転写していない領域の情報の少なくとも一方を含む。一例として、図4(c)に示すように、箔使用履歴情報は、箔フィルムFのシートSに箔を転写した領域である使用領域UA(図4(b)参照)の情報Jを含む。使用領域UAの情報Jは、箔フィルムF上における箔フィルムFの長さ方向および幅方向の位置(座標)の情報を含む。
【0045】
なお、図4(b)などでは、参考までに、箔フィルムFの右側に、ドットのハッチを付して示した箔が転写されたシートSを示している。シートSの箔が転写された部分は、シートSの画像(トナー像)が形成された部分でもある。以下では、シートSの画像(トナー像)が形成された部分を「画像形成領域」ともいう。
【0046】
図1に示すように、制御部10は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備える。制御部10は、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
【0047】
制御部10は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能である。これとともに、図3に示すように、制御部10は、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能である。
【0048】
詳しくは、図2に示すように、フィルムカートリッジ5は、第1装着姿勢で筐体2に装着可能であるとともに、第2装着姿勢で筐体2に装着可能である。図1に示すように、第1装着姿勢では、フィルムカートリッジ5は、移動方向において、第1リール51が箔転写部6の上流に配置され、第2リール52が箔転写部6の下流に配置される。また、図3に示すように、第2装着姿勢では、フィルムカートリッジ5は、移動方向において、第2リール52が箔転写部6の上流に配置され、第1リール51が箔転写部6の下流に配置される。
【0049】
図1に示すように、フィルムカートリッジ5が第1装着姿勢で装着されている状態でシートSに箔を転写する場合、箔フィルムFが第1リール51から第2リール52に向けて搬送される。この場合、箔転写部6は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間でシートSに形成されたトナー像に箔フィルムFから箔を転写する。
【0050】
また、図3に示すように、フィルムカートリッジ5が第2装着姿勢で装着されている状態でシートSに箔を転写する場合、箔フィルムFが第2リール52から第1リール51に向けて搬送される。この場合、箔転写部6は、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間でシートSに形成されたトナー像に箔フィルムFから箔を転写する。
【0051】
制御部10は、シートSに形成された画像に箔を転写する場合、メモリ55から取得した箔使用履歴情報に基づいて、シートSの画像形成領域TAの全体に箔フィルムFの箔を転写していない領域が重なるように、シート供給部3や画像形成部4、フィルムカートリッジ5、箔転写部6などを制御して、シートSと箔フィルムFを搬送する。
【0052】
詳しくは、制御部10は、シートSに形成された画像に箔を転写する場合、メモリ55から取得した箔使用履歴情報に基づいて箔フィルムF上の使用領域UAの情報を取得するとともに、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいてシートSの画像形成領域TAの情報を取得する。そして、制御部10は、シートSの画像形成領域TAに、箔フィルムF上の使用領域UAが重ならないように各部を制御してシートSと箔フィルムFを搬送する。
【0053】
また、制御部10は、シートSに形成された画像に箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させる。詳しくは、制御部10は、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて箔フィルムF上の新たな使用領域UAの情報を取得し、この新たな使用領域UAの情報Jを更新前の箔使用履歴情報に追加して箔使用履歴情報を更新する。
【0054】
箔転写装置1Aは、新品のフィルムカートリッジ5を筐体2に第1装着姿勢で装着することで箔転写を実行可能である。この場合を箔フィルムFの1回目の使用という。
また、箔転写装置1Aは、第1リール51に巻回されていた箔フィルムFを使い切り、第2リール52に巻回された箔フィルムFの径が最大となって1回目の使用が終了した場合、フィルムカートリッジ5を筐体2に第2装着姿勢で装着し直すことで箔転写を実行可能である。この場合を箔フィルムFの2回目の使用という(1回目の再使用ともいう)。
【0055】
さらに、箔転写装置1Aは、第2リール52に巻回されていた箔フィルムFを使い切り、第1リール51に巻回された箔フィルムFの径が最大となって2回目の使用が終了した場合、フィルムカートリッジ5を筐体2に再び第1装着姿勢で装着し直すことで箔転写を実行可能である。この場合を箔フィルムFの3回目の使用という(2回目の再使用ともいう)。
【0056】
以降も同様で、箔フィルムFは、フィルムカートリッジ5が交換時期であると判定されるまで筐体2に装着し直して4回目の使用、5回目の使用と繰り返し使用が可能である。
【0057】
図4(a)(b)に示すように、1回目の使用では、制御部10は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写する。この場合において、箔フィルムF上には、移動方向における加熱ローラ61と加圧ローラ62のニップ部よりも上流側に使用領域UAが存在しない。そのため、シートSの画像形成領域TA1に、箔フィルムF上の使用領域UAが重なることはないため、制御部10は、予め設定された所定のタイミングでシートSと箔フィルムFを搬送することで、シートSの画像形成領域TA1に箔を転写する。
【0058】
また、シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させる。詳しくは、図4(c)に示すように、制御部10は、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて箔フィルムF上の使用領域UA1の情報J1を取得し、この使用領域UA1の情報J1を更新前の箔使用履歴情報に追加して箔使用履歴情報を更新する。
【0059】
図5(a),(b)に示すように、2回目の使用では、制御部10は、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写する。この場合において、箔フィルムFには、移動方向における加熱ローラ61と加圧ローラ62のニップ部よりも上流側に使用領域UA(例えば、UA1)が存在する。
【0060】
そのため、制御部10は、メモリ55から取得した、1回目の使用で更新した箔使用履歴情報に基づいて箔フィルムF上の使用領域UA(例えば、UA1)の情報を取得するとともに、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいてシートSの画像形成領域TA2の情報を取得する。そして、制御部10は、シートSの画像形成領域TA2に、箔フィルムF上の使用領域UA(UA1)が重ならないようにシートSと箔フィルムFを搬送することで、シートSの画像形成領域TA2に箔を転写する。
【0061】
また、2回目の使用においても、シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させる。詳しくは、図5(c)に示すように、制御部10は、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて箔フィルムF上の使用領域UA2の情報J2を取得し、この使用領域UA2の情報J2を更新前の箔使用履歴情報に追加して箔使用履歴情報を更新する。
【0062】
図6(a),(b)に示すように、3回目の使用では、制御部10は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写する。この場合、制御部10は、1回目および2回目の使用で更新した箔使用履歴情報に基づいて、箔フィルムF上の使用領域UA(例えば、UA1,UA2)の情報を取得するとともに、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいてシートSの画像形成領域TA3の情報を取得する。そして、制御部10は、シートSの画像形成領域TA3に、箔フィルムF上の使用領域UA(UA1,UA2)が重ならないようにシートSと箔フィルムFを搬送することで、シートSの画像形成領域TA3に箔を転写する。
【0063】
また、3回目の使用においても、シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させる。詳しくは、図6(c)に示すように、制御部10は、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて箔フィルムF上の使用領域UA3の情報J3を取得し、この使用領域UA3の情報J3を更新前の箔使用履歴情報に追加して箔使用履歴情報を更新する。
【0064】
4回目以降の使用も同様である。制御部10は、フィルムカートリッジ5が交換時期であると判定した場合、箔転写を実行せず、交換時期であること報知させる。なお、一例として、制御部10は、箔フィルムF上の使用領域UAの割合が予め設定した閾値以上となった場合、フィルムカートリッジ5が交換時期であると判定し、交換時期であると判定した場合、筐体2に設けられた図示しないディスプレイに「カートリッジ交換」のような文字情報を表示させる。
【0065】
次に、第1実施形態の制御部10の動作の一例について説明する。
図7に示すように、制御部10は、箔転写を開始した場合(S11,Yes)、まず、箔使用履歴情報をメモリ55から取得する(S12)。次に、制御部10は、取得した箔使用履歴情報に基づいてシートSと箔フィルムFを重ねて箔転写を実行する(S13)。
【0066】
シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新する(S14)。そして、制御部10は、更新した箔使用履歴情報をメモリ55に記憶させる(S15)。箔転写を終了しない場合(S16,No)、制御部10は、ステップS12に戻って以降の処理を繰り返す。箔転写を終了する場合(S16,Yes)、制御部10は、処理を終了する。
【0067】
以上の第1実施形態によれば、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写が可能であるとともに、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写が可能であるので、箔フィルムFを再使用する前に箔フィルムFを巻き戻す必要がない。すなわち、箔フィルムFを巻き戻すことなく、箔フィルムFを再使用することができるので、箔転写の生産性を向上させることができる。
【0068】
また、箔フィルムFの2回目の使用時(1回目の再使用時)に、シートSに箔を転写する場合、箔使用履歴情報を更新してメモリ55に記憶させるので、2回目の使用時に更新した箔使用履歴情報に基づいて箔フィルムFの3回目の使用が可能となる。言い換えれば、箔フィルムFを2回再使用することが可能となる。これにより、箔が無駄になるのをより抑制することができる。
【0069】
第1実施形態では、フィルムカートリッジ5が交換時期であると判定されるまで箔フィルムFを繰り返し使用することが可能なので、箔が無駄になるのをより一層抑制することができる。
【0070】
また、フィルムカートリッジ5が第1装着姿勢で装着されている状態でシートSに箔を転写する場合に箔フィルムFが第1リール51から第2リール52に向けて搬送され、フィルムカートリッジ5が第2装着姿勢で装着されている状態でシートSに箔を転写する場合に箔フィルムFが第2リール52から第1リール51に向けて搬送される構成であるので、箔フィルムFとシートSの移動方向を切り替える機構を省略することができる。これにより、コストを抑えたり、小型化したりすることができる。
【0071】
また、画像形成部4と箔転写部6を備えるので、箔転写装置1AへのシートSの供給により画像形成と箔転写を一挙に行うことができる。これにより、箔転写装置とは別の画像形成装置にシートSを供給して画像形成を行った後に箔転写装置に当該シートSを供給して箔転写を行う場合に比べ、画像形成および箔転写の生産性を向上させることができる。
【0072】
また、画像形成部4でシートSに画像を形成するのに用いた画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新したり、シートSの画像が形成された部分の情報を取得したりするので、画像形成時と箔転写時とで同一の画像データを用いることができる。これにより、高精度に、箔使用履歴情報を更新したり、シートSの画像が形成された部分の情報を取得したりすることができる。
【0073】
また、箔使用履歴情報を記憶するメモリ55がフィルムカートリッジ5に設けられているので、フィルムカートリッジ5のメモリ55から箔使用履歴情報を取得することができる。これにより、フィルムカートリッジ5を筐体2から一旦取り外して再び筐体2に装着した場合でも、箔転写装置1Aにおいて、当該フィルムカートリッジ5の箔使用履歴情報を取得することができる。
【0074】
なお、上述の箔転写装置1Aは、シートSへの箔転写を実行する場合、ブラックのトナーのみ(1色のトナー)を用いてシートSにトナー像を形成する構成であったが、例えば、シートSへの箔転写を実行する場合、複数色のトナーを用いてシートSにトナー像を形成する構成であってもよい。この場合、複数色のトナーは、すべて箔が転写されるトナーであってもよいし、箔が転写されるトナーと箔が転写されないトナーとを含むものであってもよい。
【0075】
また、上述の箔転写装置1Aは、箔使用履歴情報を記憶するメモリ55がフィルムカートリッジ5に設けられている構成であったが、例えば、図8に示すように、箔使用履歴情報を記憶するメモリ15は、筐体2に設けられている構成であってもよい。一例として、変形例に係る箔転写装置1Aでは、制御部10がメモリ15を備えている。メモリ15は、例えば、RAM、ROMである。
【0076】
メモリ15を筐体2に設けることで、消耗品であるフィルムカートリッジ5にメモリを設けることなく、箔使用履歴情報を記憶させることができる。また、フィルムカートリッジ5のメモリと筐体2との間の通信に用いる回路、および、フィルムカートリッジ5のメモリと筐体2との間の安定した電気的な接点を実現する構成を必要としないので、コストを抑えることができる。
【0077】
また、図8に示すように、箔転写装置1Aは、加熱ローラ61および加圧ローラ62の少なくとも一方が、他方に圧接する圧接位置と、他方から離間する離間位置との間で移動可能な構成であってもよい。この場合、箔転写装置1Aは、例えば、加熱ローラ61を圧接位置(実線参照)に位置させた状態で、画像形成部4でトナー像が形成されたシートSを、箔転写部6を通過させることで、シートSへの箔転写を実行し、箔が転写されたシートSをシート排出機構71によって排出トレイ72上に排出する。また、箔転写装置1Aは、加熱ローラ61を離間位置(仮想線参照)に位置させた状態で、画像形成部4でトナー像が形成されたシートSを、箔転写部6を通過させることで、シートSへの箔転写を実行せず、トナー像のみが形成されたシートSをシート排出機構71によって排出トレイ72上に排出する。
【0078】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる点について説明し、同じ点については同様の構成要素に同じ符号を付して適宜説明を省略する。
図9に示すように、第2実施形態の箔転写装置1Bは、筐体2と、シート供給部3と、第1リール51および第2リール52と、箔転写部6と、シート排出部7と、シート搬送部8と、メモリ15と、制御部10とを備える。
【0079】
箔転写装置1Bは、シートSに画像を形成する画像形成部を備えない。箔転写装置1Bは、レーザプリンタなどの画像形成装置Pで画像が形成されたシートSに箔を転写する。画像形成装置Pは、シートSにトナー像を転写して定着することで、シートSに画像を形成するように構成されている。画像形成装置Pは、外部の装置の一例であり、箔転写装置1Bとは別の装置である。
【0080】
筐体2は、第1リール51や第2リール52、箔転写部6などを収容する。
シート供給部3は、供給トレイ31にセットされたシートS(太い実線参照)をシート供給機構32によって筐体2内に供給する。
【0081】
シート搬送部8は、第1搬送ローラ81と、第2搬送ローラ82と、スイッチバックローラ83と、第3搬送ローラ84とを有する。シート搬送部8は、筐体2内に供給されたシートSを第1搬送ローラ81によって第1リール51が配置された側(図9の左側)から箔転写部6に供給可能である。また、図10に示すように、シート搬送部8は、筐体2内に供給されたシートSを第2搬送ローラ82およびスイッチバックローラ83によってシートSの一部を筐体2の外に排出し、途中でスイッチバックローラ83を逆回転させることでシートSを筐体2内に引き込んで第3搬送ローラ84によって第2リール52が配置された側(図10の右側)から箔転写部6に供給可能である。
【0082】
図9に示すように、シート排出部7は、第1シート排出機構71Aと、第1排出トレイ72Aと、第2シート排出機構71Bと、第2排出トレイ72Bとを有する。シート排出部7は、箔転写部6から図9の右に向けて搬送されるシートSを第1シート排出機構71Aによって第1排出トレイ72A上に排出可能である。また、図10に示すように、シート排出部7は、箔転写部6から図10の左に向けて搬送されるシートSを第2シート排出機構71Bによって第2排出トレイ72B上に排出可能である。
【0083】
メモリ15は、筐体2に設けられている。詳しくは、制御部10がメモリ15を備えている。メモリ15は、箔使用履歴情報を記憶する。
【0084】
制御部10は、画像データ取得部11をさらに備える。画像データ取得部11は、画像形成装置PからシートSに形成される画像の画像データを取得する。画像データ取得部11が画像形成装置Pから取得する画像データは、画像形成装置Pにおいて画像形成に用いる画像データである。
【0085】
図9に示すように、制御部10は、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能である。これとともに、図10に示すように、制御部10は、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写可能である。
【0086】
詳しくは、制御部10は、シートSに箔を転写する場合において、第1箔転写モードと、第2箔転写モードとを実行可能である。図9に示すように、第1箔転写モードにおいて、制御部10は、箔転写部6で箔フィルムFとシートSを第1移動方向に向けて搬送する。図10に示すように、第2箔転写モードにおいて、制御部10は、箔転写部6で箔フィルムFとシートSを第1移動方向と逆の第2移動方向に向けて搬送する。
【0087】
図9に示すように、箔転写装置1Bでは、第1箔転写モードが実行されている場合、第2リール52が箔フィルムFを巻き取る方向(図9の反時計回り)に回転駆動し、箔フィルムFが第1リール51から第2リール52に向けて搬送される。また、図10に示すように、箔転写装置1Bでは、第2箔転写モードが実行されている場合、第1リール51が箔フィルムFを巻き取る方向(図10の時計回り)に回転駆動し、箔フィルムFが第2リール52から第1リール51に向けて搬送される。
【0088】
第2箔転写モードが実行されている場合の第1リール51、第2リール52、加熱ローラ61および加圧ローラ62の回転方向は、第1箔転写モードが実行されている場合の第1リール51、第2リール52、加熱ローラ61および加圧ローラ62の回転方向と逆になる。
【0089】
制御部10は、第1リール51に巻回された箔フィルムFの径が最大である状態から第1箔転写モードを実行して箔転写を実行する(箔フィルムFの1回目の使用)。
制御部10は、第1リール51に巻回されていた箔フィルムFを使い切り、第2リール52に巻回された箔フィルムFの径が最大となった場合、その後、第2箔転写モードを実行して箔転写を実行する(箔フィルムFの再使用)。
【0090】
本実施形態では、制御部10は、第2リール52に巻回されていた箔フィルムFを使い切り、第1リール51に巻回された箔フィルムFの径が再び最大となった場合、箔転写の実行を禁止する。なお、箔転写装置1Bは、箔フィルムFを交換可能な構成であってもよいし、箔フィルムFを交換できない構成であってもよい。
【0091】
図11(a),(b)に示すように、1回目の使用では、制御部10は、第1箔転写モードを実行し、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写する。この場合において、制御部10は、予め設定された所定のタイミングでシートSと箔フィルムFを搬送することで、シートSの画像形成領域TA1に箔を転写する。
【0092】
また、シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新してメモリ15に記憶させる。詳しくは、図11(c)に示すように、制御部10は、画像データ取得部11が取得した、画像形成装置Pで画像形成に用いる画像データに基づいて箔フィルムF上の使用領域UA1の情報J1を取得し、この使用領域UA1の情報J1を更新前の箔使用履歴情報に追加して箔使用履歴情報を更新する。
【0093】
図12(a),(b)に示すように、再使用では、制御部10は、第2箔転写モードを実行し、第2リール52から第1リール51に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねて箔転写部6でシートSに形成された画像に箔を転写する。この場合、制御部10は、第1箔転写モードを実行したときに更新した箔使用履歴情報に基づいて箔フィルムF上の使用領域UA(例えば、UA1)の情報を取得するとともに、画像データ取得部11が取得した、画像形成装置Pで画像形成に用いる画像データに基づいてシートSの画像形成領域TA2の情報を取得する。
【0094】
そして、制御部10は、シートSの画像形成領域TA2に、箔フィルムFの使用領域UA(UA1)が重ならないようにシートSと箔フィルムFを搬送することで、シートSの画像形成領域TA2に箔(使用領域UA2)を転写する。
【0095】
次に、第2実施形態の制御部10の動作の一例について説明する。
図13に示すように、制御部10は、箔転写を開始した場合(S21,Yes)、まず、箔フィルムFの再使用か否かを判定する(S22)。再使用か否かは、例えば、箔転写モードを第1箔転写モードから第2箔転写モードに切り替えたか否かによって判定することができる。
【0096】
再使用でない場合(S22,No)、すなわち、箔フィルムFの1回目の使用である場合、制御部10は、第1箔転写モードを実行し、第1リール51から第2リール52に向けて搬送される箔フィルムFにシートSを重ねてシートSに箔を転写する(S23)。シートSに箔を転写した場合、制御部10は、箔使用履歴情報を更新して、更新した箔使用履歴情報をメモリ55に記憶させる(S24)。
【0097】
箔転写を終了する場合(S25,Yes)、制御部10は、処理を終了する。箔転写を終了しない場合(S25,No)、制御部10は、箔フィルムFの1回目の使用において、箔フィルムFを使い切ったか否かを判定する(S26)。箔フィルムFを使い切ったか否かは、例えば、供給側のリールに巻回されている箔フィルムFの量や、巻取側のリールに巻き取られた箔フィルムFの量などに基づいて判定することができる。
【0098】
箔フィルムFを使い切っていない場合(S26,No)、制御部10は、ステップS23に戻って以降の処理を実行する。箔フィルムFを使い切った場合(S26,Yes)、制御部10は、第2箔転写モードを実行してステップS27に進む。
【0099】
ステップS22において、再使用である場合(Yes)、制御部10は、第2箔転写モードを実行する。この場合、制御部10は、箔使用履歴情報をメモリ55から取得する(S27)。次に、制御部10は、取得した箔使用履歴情報に基づいてシートSと箔フィルムFを重ねてシートSに箔を転写する(S28)。
【0100】
箔転写を終了する場合(S29,Yes)、制御部10は、処理を終了する。箔転写を終了しない場合(S29,No)、制御部10は、箔フィルムFの再使用において、箔フィルムFを使い切ったか否かを判定する(S30)。箔フィルムFを使い切っていない場合(S30,No)、制御部10は、ステップS27に戻って以降の処理を実行する。箔フィルムFを使い切った場合(S30,Yes)、制御部10は、箔転写の実行を禁止して(S31)、処理を終了する。
【0101】
以上の第2実施形態によれば、第1箔転写モードが実行されている場合に箔フィルムFが第1リール51から第2リール52に向けて搬送され、第2箔転写モードが実行されている場合に箔フィルムFが第2リール52から第1リール51に向けて搬送される構成であるので、箔フィルムFを巻き戻したり、装着し直したりする必要がない。これにより、箔転写の生産性を向上させることができる。
【0102】
また、画像データ取得部11が外部の装置である画像形成装置Pから取得した画像データに基づいて、箔使用履歴情報を更新したり、シートSの画像が形成された部分の情報を取得したりするので、小型で、最小限の機能、具体的には、箔転写機能のみを有する箔転写装置1Bを実現することができる。
【0103】
また、外部の装置としての画像形成装置Pから画像形成に用いる画像データを取得するので、画像形成時と箔転写時とで同一の画像データを用いることができる。これにより、高精度に、箔使用履歴情報を更新したり、シートSの画像が形成された部分の情報を取得したりすることができる。
【0104】
なお、第2実施形態の箔転写装置1Bは、第1実施形態の箔転写装置1Aと同様に、筐体2に着脱可能なフィルムカートリッジであって、第1リール51および第2リール52を有するフィルムカートリッジを備える構成であってもよい。この構成において、箔使用履歴情報を記憶するメモリは、筐体2に設けられていてもよいし、フィルムカートリッジに設けられていてもよい。
【0105】
また、第2実施形態の箔転写装置1Bは、第1実施形態の箔転写装置1Aと同様に、フィルムカートリッジ(箔フィルムF)が交換時期であると判定されるまで、第1箔転写モードと第2箔転写モードを切り替えて箔フィルムFを繰り返し使用することが可能な構成であってもよい。すなわち、箔転写装置1Bは、箔フィルムFを2回以上再使用可能な構成であってもよい。逆に、第1実施形態の箔転写装置1Aが、第2実施形態の箔転写装置1Bと同様に、箔フィルムFを1回だけ再使用可能な構成であってもよい。
【0106】
以上、実施形態について説明したが、箔転写装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0107】
前記実施形態では、箔転写装置1A,1Bは、箔フィルムFを使い切った後に、フィルムカートリッジ5の装着姿勢を変えたり、箔転写モードを切り替えたりして箔フィルムFを再使用する構成であったが、例えば、箔転写装置は、箔フィルムを使い切る前に、フィルムカートリッジの装着姿勢を変えたり、箔転写モードを切り替えたりして使用可能な構成であってもよい。
【0108】
前記実施形態では、制御部10が、筐体2に設けられるメモリ15を備える構成を例示したが、箔転写装置は、筐体に設けられるメモリを制御部とは別に備える構成であってもよい。
【0109】
前記実施形態では、制御部10が画像データ取得部11を備える構成を例示したが、箔転写装置は、画像データ取得部を制御部とは別に備える構成であってもよい。
【0110】
前記実施形態で説明した箔転写部6の構成は一例である。例えば、前記実施形態では、加熱ローラ61と加圧ローラ62を有する箔転写部6を例示したが、箔転写部は、ローラと無端状のベルトとの間でシートに箔を転写する構成であってもよいし、対向して配置された2つの無端状のベルトの間でシートに箔を転写する構成であってもよい。
【0111】
前記実施形態で説明した画像形成部4の構成は一例である。例えば、前記実施形態では、光ビームによって感光体ドラム41を露光する露光装置43を例示したが、露光装置は、複数のLEDが配列された露光ヘッドを有し、LEDからの光によって感光体ドラムを露光する構成であってもよい。また、前記実施形態では、感光体ドラム41上のトナー像をシートSに直接転写する転写装置45を例示したが、転写装置は、感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトからシートに転写する構成であってもよい。
【0112】
また、前記実施形態では、加熱ローラ46Aと加圧ローラ46Bを有する定着装置46を例示したが、定着装置は、ローラと無端状のベルトとの間でトナー像を定着する構成であってもよいし、対向して配置された2つの無端状のベルトの間でトナー像を定着する構成であってもよい。また、前記実施形態では、感光体ドラム41、帯電装置42、現像装置44および転写ローラ45Dを4つずつ備える画像形成部4を例示したが、画像形成部は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置および転写ローラを1つずつ備える構成であってもよい。
【0113】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1A,1B 箔転写装置
2 筐体
4 画像形成部
5 フィルムカートリッジ
6 箔転写部
10 制御部
11 画像データ取得部
15,55 メモリ
51 第1リール
52 第2リール
F 箔フィルム
P 画像形成装置
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13