(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048205
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240401BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240401BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F27/29 125
H01F27/28 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154110
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃三
(72)【発明者】
【氏名】大場 裕一
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EA01
5E043EA02
5E043EB05
5E070AA01
5E070AB10
5E070BB03
5E070CA16
5E070EA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】磁気特性を向上させたコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、導線が巻回軸に基づいて巻回された巻回部10と磁性体部20を備えた略六面体の素体1と、導線の第1端11aおよび第2端11bがそれぞれ接合部Jに電気的に接続された一対の金属端子30と、を備える。一対の金属端子30は、巻回軸と平行な素体1の外面から引き出されており、各接合部Jにおける面積の半分より多くは、巻回軸方向からの平面視において素体1中心を原点として互いに直交する仮想座標軸Ax、Ayによって分けられる4つの象限R1~R4のうち、互いに隣接しない象限内に配置されており、第1端11a側の接合部Jと第2端11b側の接合部Jとの高さの差が、導線の径以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線が巻回軸に基づいて巻回された巻回部と磁性体部を備えた略六面体の素体と、
前記導線の第1端および第2端がそれぞれ接合部に電気的に接続された一対の金属端子と、を備え、
一対の前記金属端子は、巻回軸と平行な前記素体の外面から引き出されており、
前記各接合部における面積の半分より多くは、前記巻回軸方向からの平面視において前記素体中心を原点として互いに直交する仮想座標軸によって分けられる4つの象限のうち、互いに隣接しない象限内に配置されており、
前記第1端側の前記接合部と前記第2端側の前記接合部との高さの差が、前記導線の径以下である、コイル部品。
【請求項2】
前記巻回軸は、前記素体の略中心を貫くように配置されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記接合部は、前記巻回軸が貫かれる仮想面の対角線上に設けられている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記導線は巻回軸方向に沿って複数巻回されており、
前記第1端側の接合部または前記第2端側の接合部と、前記巻回部の最上段の上面または最下段の下面との高さの差が、前記導線の径以下である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記接合部と電気的に接続されている前記導線の端部が前記導線の径に対して2/3以下の厚みに偏平されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記巻回軸は前記素体の略中心にあり、前記導線において前記巻回部から引き出された部分から前記導線の第1端までの仮想直線と、前記巻回部から引き出された部分から前記導線の第2端までの仮想直線とが成す角度は、鋭角である、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記磁性体部は、金属磁性体粒子と樹脂とを含有する、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記巻回部の最上段または最下段から前記導線が各前記接合部に向けて引き出されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記導線の巻始めおよび巻終わりが前記巻回部の最外側に位置している、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記接合部の全体は、前記素体内に位置している、請求項1に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁性材料を含有する磁芯と、磁芯の内部に埋め込まれた導線を巻回してなるコイルと、コイルの両端部の引き出し線が電気的に接続される端子と、を備え、一対の引き出し線は、コイルの巻回軸方向から見て金属端子が配置されていない磁芯の一側面に向けて引き出され、各引き出し線が端子と電気的に接続されているコイル部品が開示されている(特許文献1の
図7~9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、従前のコイル部品では克服すべき課題があることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0005】
特許文献1に開示されたコイル部品は、引き出し線200と端子210との電気的接続位置が、コイル230の巻回軸方向から見て一側面に偏った配置となっている(
図11(a)参照)。そのため、磁芯240内に埋め込まれたコイル230の平衡性が悪く、コイル部品の製造時においてコイル230を磁芯240に埋め込む際の応力220により、
図11(b)に示すようにコイル230が傾いてしまう問題があった。そして、コイル230が傾くことによってコイル230を覆っている磁芯240の被覆態様が不均一となり、磁気特性に影響を及ぼしていた。
【0006】
本開示は、かかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本開示の主たる目的は、磁気特性を向上させたコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された開示に至った。
【0008】
本開示に係るコイル部品は、
導線が巻回軸に基づいて巻回された巻回部と磁性体部を備えた素体と、
前記導線の第1端および第2端がそれぞれ接合部に電気的に接続された一対の金属端子と、を備え、
一対の前記金属端子は、巻回軸と平行な前記素体の外面から引き出されており、
前記各接合部における面積の半分より多くは、前記巻回軸方向からの平面視において前記素体中心を原点として互いに直交する仮想座標軸によって分けられる4つの象限のうち、互いに隣接しない象限内に配置されており、
前記第1端側の前記接合部と前記第2端側の前記接合部との高さの差が、前記導線の径以下である。
【発明の効果】
【0009】
本開示のコイル部品は、各接合部における面積の半分より多くは、巻回軸方向からの平面視において素体中心を原点として互いに直交する仮想座標軸によって分けられる4つの象限のうち、互いに隣接しない象限内に配置されており、第1端側の接合部と第2端側の接合部との高さの差が、導線の径以下であるため、導線が巻回された巻回部が傾きにくくなっている。そのため、巻回部の傾きに起因する磁気特性の悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示に係るコイル部品の斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、本開示に係るコイル部品の平面透視図であり、
図2(b)は、本開示に係るコイル部品の変形例であって、象限と接合部との関係を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2(a)のiii-iii線に沿って切断した本開示に係るコイル部品の断面図である。
【
図4】
図4は、巻回された導線を示し、
図4(a)は、その斜視図であり、
図4(b)は、その平面図である。
【
図5】
図5(a)は、導線の巻回を説明する説明図であり、
図5(b)は、導線の巻回の変形例を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、巻回された導線の端部の皮膜を除去した態様を示す斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、巻回された導線の端部の高さを合わせる工程を説明する工程模式図であり、
図7(b)は、
図7(a)に示す工程後の巻回された導線の態様を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、巻回された導線と金属端子とを接合する工程を示し、
図8(a)は、その工程斜視図であり、
図8(b)は、その工程平面図である。
【
図9】
図9は、巻回された導線を磁性材料に埋め込む工程を説明する工程模式図である。
【
図10】
図10は、素体から突出する金属端子を折り曲げる工程を説明する工程模式図である。
【
図11】
図11(a)は、従来のコイル部品における、引き出し線と端子とを接続した態様を示す斜視図であり、
図11(b)は、従来のコイル部品におけるコイルを磁心に埋め込む工程を説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のコイル部品を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。なお、ここで説明されるコイル部品の構成は、あくまでも発明の理解のための例示にすぎず、発明を限定するものではない。
【0012】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、「未満」や「より多い/より大きい」などの特段の用語が付されない限り、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。つまり、例えば1~10といった数値範囲を例にとれば、下限値の“1”を含むと共に、上限値の“10”も含むものとして解釈され得る。また“約”および“程度”といった用語は、数パーセント、例えば±10%の変動を含み得ることを意味する。
【0013】
<コイル部品の説明>
本開示のコイル部品Cは、導線Lが巻回軸Wに基づいて巻回された巻回部10と磁性体部20を備えた素体1と、導線Lの第1端11aおよび第2端11bがそれぞれ接合部Jに電気的に接続された一対の金属端子30と、を備え、導線Lおよび一対の接合部Jの一部は、素体1中に位置している。そして、各接合部Jにおける面積の半分より多くは、巻回軸方向からの平面視において素体1中心を原点として互いに直交する仮想座標軸Ax,Ayによって分けられる4つの象限R1~R4のうち、互いに隣接しない象限内に配置されている(
図2(a),(b)参照)。そして、第1端11a側の接合部Jと第2端11b側の接合部Jとの高さの差が、導線Lの径以下である(
図3参照。なお、
図3は、高さの差が略無い態様を例示している)。
【0014】
本明細書でいう「仮想座標軸」とは、素体1中心を原点として互いに直交する軸を意図する。具体的には、
図2(a)に示すように素体1の中心を通り、素体1を構成する辺の二等分線が仮想座標軸Ax,Ayとなっている。また、本明細書でいう「素体の中心」とは、仮想座標軸Axと仮想座標軸Ayとの交点を意図している。また、「素体の略中心」とは、上記交点に限定されるものではなく、交点近傍の領域を意図している。一例として、「交点近傍の領域」とは、交点を包含し、素体1を巻回軸方向から平面視した表面積に対して10%程度の面積の円状領域を意図してよい。また、本明細書でいう「象限」とは、平面上で直交する二直線(仮想座標軸Ax,Ay)によって仕切られた4つの領域を意図し、仮想座標軸Axが正の座標を示し且つ仮想座標軸Ayが正の座標を示す領域を第1象限R1、仮想座標軸Axが負の座標を示し且つ仮想座標軸Ayが正の座標を示す領域を第2象限R2、仮想座標軸Axが負の座標を示し且つ仮想座標軸Ayが負の座標を示す領域を第3象限R3、仮想座標軸Axが正の座標を示し且つ仮想座標軸Ayが負の座標を示す領域を第4象限R4に対応する。また、本明細書でいう「隣接しない象限」とは、2つの象限がその境界線を共有していないことを意図している。本明細書でいう「高さの差」とは、巻回軸方向における高さの差分を意図している。また、本明細書でいう「接合部の面積」は、接合部を巻回軸方向から平面視した際の表面積を意図している。
【0015】
図2(a)に示す態様では、導線Lの第1端11a側の接合部Jが第4象限R4に位置し、導線Lの第2端11b側の接合部Jが第2象限R2に位置している。つまり、各接合部Jは互いに隣接しない象限内に配置されている。なお、
図2(a)に示す態様は、接合部Jが象限内に包含されている態様を図示しているが、この態様に代えて、
図2(b)に示すように接合部Jにおける面積の半分より多くが互いに隣接しない象限内に配置されているようにしてもよい。ここで、
図2(b)に示す態様は、象限R1~R4と接合部Jとの関係のみを図示しており、その他の構成は省略している。そのため、従来のコイル部品(例えば、
図11(a)および)と比較して、コイル部品の製造時に巻回部10を傾きにくくすることができる。また、互いに隣接しない象限内に接合部を配置することで、コイル内径を大きくとることができ、インダクタンスを大きくすることができる。
【0016】
さらに、第1端11a側の接合部Jと第2端11b側の接合部Jとの高さの差が、導線Lの径以下であるため、コイル部品製造時に巻回部10に対して均等に応力がかかる。したがって、従来のコイル部品(例えば、
図11(a),(b))と比較して、巻回部10を傾きにくくすることができる。
【0017】
以下、本開示のコイル部品の構成を詳細に説明する。なお、本開示のコイル部品は、体積として35mm3以上1100mm3以下の製品を想定している。より好ましくは、45mm3以上350mm3以下の製品を想定している。
【0018】
[素体]
素体1は、略六面体で構成されてよい。本明細書でいう「略六面体」とは、6つの平面に囲まれた立体形状を指し、6つの平面それぞれが略四角形のもの、および四角形の辺又は角が丸められたものを包含する概念である。また、「略六面体」において、コイル導体の巻回軸方向において互いに対向する面が「上面」および「下面」に相当し、巻回軸と平行な4面が「側面」に相当する。なお、本明細書でいう「平行」とは、完全な平行だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な平行も含む。また、本明細書でいう「直交」とは、完全な直交だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な直交も含む。素体1は、導線Lが巻回された巻回部10と、巻回部10を被覆する磁性体部20を備えている。
【0019】
[巻回部]
巻回部10は、導線L(例えば、金属線、好ましくは銅線)を巻回して構成されてよい。
図3に示す例では、導線Lは、巻回軸方向に沿って複数巻回されてよい。巻回は、α巻き、ガラ巻、エッジワイズ巻、整列巻等のいずれであってもよい。言い換えると、巻回部10の中央に磁性体部20が配置される空間を備えていることが好ましい。導線Lの巻回手法は、後述するが、巻回部10から引き出される導線Lの高さを考慮すると、導線Lの巻始め及び巻終わりが巻回部10の最外側に位置することが好ましい(いわゆる、外外巻きコイル;適宜、
図5(b)参照)。なお、導線Lの巻始め及び巻終わりの一方を巻回部10の最外側とし、他方を巻回部10の最内側としてもよいし(いわゆる、内外巻きコイル;適宜、
図5(a)参照)、導線Lの巻始めおよび巻終わりを巻回部10の最内側としてもよい(いわゆる、内内巻きコイル)。
【0020】
巻回部10の巻回軸Wは、素体1の略中心を貫くように配置されてよい。このように巻回軸Wを配置することにより、巻回部10を素体1に対して対称に設けることができ、好適なインダクタンス特性を得ることができる。
【0021】
導線Lは、断面視で丸線であってもよいし、平角線であってもよい。なお、本明細書でいう「導線の径」とは、丸線の場合は導線の直径を意図し、平角線の場合は短辺の長さを意図する概念である。より具体的には、「導線の径」とは、導線Lが丸線の場合、巻回部10を断面視した際の巻回軸方向の各導線Lの最大寸法の平均値を意図し、導線Lが平角線の場合、巻回部10を断面視した際の各導線Lの短辺の最大寸法の平均値を意図している。なお、上述の巻回部10の断面視は、本開示のコイル部品を製造後に一対の金属端子30の中央と巻回軸Wとを結ぶ線に沿った断面における導線Lの短辺寸法を意図してもよい。
【0022】
導線Lの第1端11aまたは第2端11bの引き出しは、巻回部10の最上段または最下段から引き出されてよい。一例を示す
図3では、巻回部10の最下段から導線Lの第1端11aまたは第2端11bが引き出された態様を例示している。この理由は、後述の「コイル部品の製造方法」で詳述するが、このような引き出しの態様によれば、導線の第1端11aの高さ位置と第2端11bの高さ位置とを揃えることができる。高さ位置が揃っていると、素体1の形成のために巻回軸方向からの応力が加わっても、第1端11a側の接合部Jにかかる応力と第2端11b側の接合部Jにかかる応力との差を小さくすることができる。
【0023】
好ましい導線Lの引き出し態様として、巻回部10の最下段の下面と、金属端子30の接合部Jと接合する導線の第1端11aまたは第2端11bの接合面(下面)との間に導線Lの径以下の高さの差hが生じていてもよい(
図3参照)。このように高さの差hが導線Lの径以下であれば、コイル部品の製造時における巻回部10に掛かる応力に起因する巻回部10の傾きを低減することができる。なお、一例を示す
図3では、巻回部10の最下段の下面と導線の第1端11a(または第2端11b)の接合面との間に高さの差hが生じている態様を示しているが、この例に限定されず、巻回部10の最上段から導線Lを引き出して巻回部10の最上段の上面と導線の第1端11a(または第2端11b)の接合面との間に高さの差が生じていてもよい。また、高さの差hを生じさせずに面一となっていてもよい。
【0024】
さらに、
図3では、導線Lの第1端11aの延長線上に導線Lの第2端11bが位置してよい。しかしながら、本開示はこの態様に限定されず、導線Lの第1端11a及び第2端11bの間に導線Lの径以下の高さの差が生じていてもよい。高さの差が導線Lの径以下であれば、コイル部品の製造時において巻回部10の傾きを低減することができる。
【0025】
導線Lの第1端11a及び第2端11bは、後述する一対の金属端子30の接合部Jと電気的に接続される。好ましい態様として、導線Lの第1端11aまたは第2端11bは、偏平形状を有していてよい。偏平形状とすることによって、金属端子30との接触面積を広くすることができ、導線Lの第1端11aまたは第2端11bと一対の金属端子30とを強固に接合することができる。具体的には、導線Lの径に対して2/3以下の厚みに偏平されることが好ましい。
【0026】
導線Lの周囲は、絶縁材料によって被覆されていてよい。この場合、上述した磁性体部20内に含有された樹脂と相俟って巻回部10を素体1内に強固に固定することができる。なお、導線Lの第1端11a及び第2端11bを金属端子30と互いに電気的に接続するため、周囲の絶縁材料が除去されてよい。
【0027】
好ましい巻回部10の態様として、巻回部10から引き出された引出部分と導線Lの第1端11aとを結ぶ仮想直線B1(
図2(a)参照)と、巻回部10から引き出された引出部分と導線Lの第2端11bとを結ぶ仮想直線B2(
図2(a)参照)とが巻回軸方向から平面視したときに成す角度βが鋭角であってよい。鋭角である場合、導線Lの第1端11aおよび第2端11bと金属端子30とが接合する接合部Jの配置を好適な配置とすることができる。また、鋭角の好ましい角度の範囲として、70°以上90°未満が好ましい。より好ましくは、75°以上85°以下である。このような範囲であれば、接合部Jの配置を最適にできる。
【0028】
本明細書でいう「巻回部から引き出された部分」とは、平面視において巻回部10から導線Lが引き出された部分を意図し、より具体的には、平面視で導線Lの重畳から外れた巻回部10の位置を意図している。そして、本明細書でいう「巻回部から引き出された部分から導線の第1端(または第2端)までの仮想直線」とは、上述の「巻回部から引き出された部分」に対応する点と、導線Lの第1端11a(または第2端11b)に対応する点同士を結ぶ仮想直線を意図している。別の観点から上記「仮想直線」を特定すると、導線Lの端部から巻回部10の外輪郭とを結ぶ接線としてもよい。
【0029】
[磁性体部]
磁性体部20は、磁性材料を硬化させた構成としてよい。磁性材料は、少なくとも磁性原料粒子と、樹脂と、溶剤を含んでよい。なお、溶剤は、磁性材料の硬化の際に蒸発してよい。
【0030】
-磁性原料粒子-
磁性原料粒子としては、従来から用いられているFe系の金属磁性粒子を用いてよく、例えば、Fe(純鉄)またはFe合金としてよい。Fe合金の一例として、FeおよびNiを含む合金、FeおよびCoを含む合金、FeおよびSiを含む合金、Fe、SiおよびCrを含む合金、Fe、SiおよびAlを含む合金、Fe、Si、BおよびCrを含む合金ならびにFe、P、Cr、Si、B、NbおよびCを含む合金からなる群から選択される1以上の金属磁性材料の粒子であってよい。さらに、磁性原料粒子は、その表面が絶縁処理済みのものであってよい。例えば、磁性原料粒子は、その表面に絶縁性被膜を有してよい。絶縁性被膜は、例えば、無機ガラス被膜、有機-無機ハイブリッド被膜、および金属アルコキシドのゾルゲル反応により形成された無機系絶縁性被膜から成る群から選択される1以上の絶縁性被膜であってよい。磁性原料粒子は、磁性材料全体基準で93重量%以上99重量%以下含んでよい。より好ましくは、磁性原料粒子は、磁性材料全体基準で93重量%以上98重量%以下を含んでよい。
【0031】
-樹脂-
樹脂は、硬化反応に寄与する官能基を含有してよい。つまり、樹脂の硬化反応によって硬化されて磁性体の製造を可能としてよい。より具体的には、磁性体を製造する前段階の樹脂は、未硬化のものである。本明細書でいう「未硬化」とは、ほぼ完全に硬化された状態の前段階のものをいい、半硬化状態のものを包含する。樹脂の一例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。なかでも、樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、電気絶縁性および/または機械的強度の高い磁性体を得ることができる。別法として、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルファイドおよび/または液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。硬化反応は、熱によるものが好ましい。つまり、樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。一例として熱硬化性エポキシ樹脂が挙げられる。このような樹脂を用いれば、簡易な方法によって硬化反応を生じさせることができる。樹脂は、磁性材料全体基準で1.0重量%以上5.6重量%以下含んでよい。より好ましくは、樹脂は、磁性材料全体基準で2.0重量%以上5.6重量%以下含んでよい。
【0032】
-溶剤-
溶剤は、上記磁性原料粒子および樹脂を混合するために用いられ、有機溶剤であることが好ましい。例えば、トルエンまたはキシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、または、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、または、イソプロピルアルコール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、または、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類のいずれかを含んでよい。
【0033】
上記磁性材料に基づく磁性体部20は、導線Lが巻回された巻回部10を被覆している(
図3参照)。これによって、磁性体部20が磁化されて所望のインダクタンス特性を得ることができる。
【0034】
好ましい磁性体部20の態様として、素体1における基板実装面側に折り曲げられた金属端子30を収納する収納部21(
図3参照)を備えていてよい。具体的には、金属端子30を収納するように角部が切り欠けられていてよい。このような構成によれば、切り欠き量に応じてコイル部品を低背化することができ、製品を小型化することができる。
【0035】
[金属端子]
金属端子30は、素体1の内部に内包されている内側部31と、素体1の外部で露出している外側部32と、を有してよい(
図1~3参照)。
【0036】
金属端子30の内側部31において、金属端子30は、巻回部10から引き出された導線Lと互いに接合部Jにおいて電気的に接合されてよい。つまり、接合部Jは、素体1内に内包されてよい。したがって、電気的接合位置が素体1外の場合と比較し、外力等による金属端子30と導線Lとの電気的接合の剥離が起きにくくなっている。
【0037】
金属端子30の接合部Jにおいて、各接合部Jにおける平面積の半分より多くは、互いに隣接しない象限内に配置されてよい。具体的に、
図2(a)に示すように、導線Lの第1端11a側の接合部Jが第4象限R4に位置し、導線Lの第2端11b側の接合部Jが第2象限R2に位置してよい。また、
図2(a)に示す態様に代えて、
図2(b)に示すように、接合部Jにおける面積の半分より多くが互いに隣接しない象限内に配置されているようにしてもよい。
【0038】
別の観点から接合部Jの配置を特定すると、接合部Jにおいて、一対の接合部Jを結ぶ仮想直線A(
図2(a)参照)は、導線Lの巻回軸方向から見て金属端子30が露出されている素体1の外面に対し、鋭角(
図2(a)の角度α参照)を成してよい。言い換えると、仮想直線Aは、金属端子30が露出されている素体1の外面に対し、直角(90°)とはなっていない。ここで、「接合部を結ぶ仮想直線」とは、接合部Jとしての接合領域内に位置する任意の点同士を結ぶ仮想直線A(
図2(a)参照)を意図している。つまり、仮想直線Aを引くための任意の点は、上記接合領域内に有していればどのように選んでもよい。したがって、本開示のコイル部品を製造する際、従来技術を示す
図11(a)のコイル部品と比較して、巻回部10を傾きにくくすることができる。
【0039】
さらに別の観点から接合部Jの配置を特定すると、接合部Jは、巻回軸Wが貫かれる仮想平面の対角線上に設けられてよい。本明細書でいう「巻回軸Wが貫かれる仮想平面」とは、素体1の内部に存在する仮想的な平面を意図している。一例を示す
図2(a)および
図3では、接合部Jが配置されている仮想平面は、巻回軸Wに対して略垂直(90°)に配置して貫かれている態様を示しているが、この図示例に限定されず、巻回軸Wに対し仮想平面が所定の角度に傾いて配置して貫かれていてもよい。接合部Jが配置されている仮想平面と巻回軸Wとが所定角度で傾いた関係であっても、従来技術を示す
図11(a),(b)のコイル部品と比較して、巻回部10を傾きにくくすることができる。
【0040】
金属端子30の内側部31は、巻回部10の湾曲形状に対応して、外縁が湾曲形状とされてよい(
図1参照)。したがって、内側部31と巻回部10との離間距離が一定に保たれてよい。離間距離を一定とすることにより、耐電圧を向上させることができる。
【0041】
金属端子30の外側部32は、素体1の外部で露出していてよい。そして、素体1の側面および下面に沿うように屈曲されて構成されていてよい。言い換えると、金属端子30の外側部32は、素体1の側面及び下面に亘って設けられていてよい。
【0042】
金属端子30は、巻回軸Wと平行な素体の外面から引き出されてよい。より具体的には、金属端子30は、素体1の対向する二側面より露出してよい。このような配置によれば、金属端子30同士を可能な限り離間できるため、金属端子30同士の短絡を防止することができる。なお、一対の接合部Jを結ぶ仮想直線Aが、金属端子30を露出する素体1の外面に対して鋭角である構成を満たしていれば、金属端子30は、素体1の直交する二側面より露出させてもよい。
【0043】
外側部32は、素体1の下面側で基板S等に実装されてよい(
図3参照)。当該実装は、例えば、半田Hまたは導電性接着剤で行われてよい。本開示のコイル部品Cは、基板Sへの実装に金属端子30が用いられているため、基板Sに外力が加わって撓みが生じても、当該撓みに追随して金属端子30が撓むこととなる。つまり、基板Sの撓みに対する影響を低減することができる。
【0044】
<コイル部品の製造方法の説明>
次に、本開示のコイル部品の製造方法について説明する。本開示のコイル部品の製造方法は、以下の工程を備えている。
・導線を巻回する工程
・導線の第1端と第2端との高さ位置を揃える工程
・導線の第1端および第2端に金属端子を電気的に接合する工程
・導線が巻回された巻回部を磁性体部で被覆して素体を形成する工程
・金属端子を素体に沿って折り曲げる工程
以下、各工程について詳述する。
【0045】
[導線を巻回する工程]
まず、導線Lを準備する。一例として、表面に絶縁皮膜が形成された金属線(例えば、銅線)を巻回する(
図4参照)。導線Lの巻回手法の一例として、
図5(a)および
図5(b)に示す手法が挙げられる。
【0046】
図5(a)に示す手法は、巻始めを内側とし、図中の1~4までは導線を巻回軸下側に向けて巻回し、その後4~7までは導線を巻回軸上側に向けて巻回し、巻終わりを巻回部の外側に位置させる巻回手法である。このように、導線を巻回すると、巻始め側で引き出された導線は、巻回軸方向において巻回部10より突出する。そのため、後述する「導線の第1端と第2端との高さ位置を揃える工程」において、巻始め側で引き出された導線と巻終わり側で引き出された導線との高さの調整をより多く必要とする。
【0047】
一方、
図5(b)に示す手法は、巻始めを外側とし、図中の1から2は導線を巻回軸上側に向けて巻回し、その後2~5までは導線を巻回軸下側に向けて巻回し、その後、5~7までは導線を再度巻回軸上側に向けて巻回し、巻終わりを巻回部の外側に位置させる巻回手法である。このように導線を巻回すると、巻始め側で引き出された導線Lおよび巻終わり側で引き出された導線は、巻回軸方向において巻回部10から突出することを低減できる。そのため、後述する「導線の第1端と第2端との高さ位置を揃える工程」において、より簡易に高さ位置を揃えることができる。
【0048】
導線Lの巻回は、巻回軸方向から平面視した際に、巻回部10から引き出された引出部分と導線Lの第1端11aとを結ぶ仮想直線B1(
図4(b)参照)と、巻回部10から引き出された引出部分と導線Lの第2端11bとを結ぶ仮想直線B2(
図4(b)参照)とが成す角度βが鋭角となるように巻回する。鋭角の好ましい角度の範囲として、70°以上90°未満が好ましい。このような範囲であれば、後述の「素体を形成する工程」において巻回部10を傾きにくくできる。
【0049】
次に、
図6に示すように、導線の第1端11aおよび第2端11bの絶縁被膜を、レーザー照射等によって除去する。これにより、導線Lの第1端11aおよび第2端11bから金属が露出して電気的な接合が可能となる。
【0050】
[導線の第1端と第2端との高さ位置を揃える工程]
図7(a)に示すように、巻回した導線Lを台座D1に載置し、導線Lの第1端11aおよび第2端11bの上方から押圧装置D2で押圧する。これにより、導線Lの第1端11aおよび第2端11bの高さを略同一に揃えることができる(
図7(b)参照)。言い換えると、導線Lの第1端11aの延長線上に導線の第2端11bを配置することができる。さらに、巻回部10の下面と導線Lの第1端11aおよび第2端11bとを、略同一に揃えてもよい。
【0051】
また、押圧装置D2によって導線Lの第1端11aおよび第2端11bを押圧することにより、導線Lの第1端11aおよび第2端11bは偏平形状となる。本明細書でいう「偏平形状」とは、非対象物を押圧して上面および/または下面に平面を有している形状を意図している。具体的には、導線Lの径に対し、2/3以下の厚みに偏平されることが好ましい。これにより、金属端子30との接触面積を広くすることができ、導線Lの第1端11aまたは第2端11bと一対の金属端子30とを強固に接合可能となる。
【0052】
[導線の第1端および第2端に金属端子を電気的に接合する工程]
まず、板状の金属端子30を準備する。この金属板における金属端子30に導線Lの第1端11aおよび第2端11bと電気的に接合する(
図8参照)。当該電気的な接合は、金属端子30を導線Lの第1端11aおよび第2端11bに接触させた状態でレーザー溶接により接合する。巻回した導線Lの第1端11aおよび第2端11bの高さが前述の工程によって揃えられているため、導線Lと金属端子30とを容易に接合できる。また、導線Lが最下段(または最上段)から引き出されてレーザー溶接等が行われるため、導線Lの最上段側(または最下段側)へのレーザーによる影響を低減できる。なお、接合手法はこの例に限定されず、例えば導電性接着剤等を用いて接合してもよい。以上により、導線Lの第1端11aおよび第2端11bと金属端子30とが互いに電気的に接続される。
【0053】
ここで、金属端子30の接合部Jにおいて、各接合部Jにおける平面積の半分より多くは、互いに隣接しない象限内に配置されてよい。具体的には、導線の第1端11a側の接合部Jが第1象限R1に位置し、導線の第2端11b側の接合部Jが第3象限R3に位置してよい。別の観点から接合部Jの配置を特定すると、一対の接合部Jを結ぶ仮想直線Aは、金属端子が延在する方向と直交する線D(
図8(b)参照)に対して鋭角(角度α)を成している。つまり、仮想直線Aと線Dとのなす角度は、90°未満とされている。このような範囲であれば、後述の「素体を形成する工程」において巻回部10を傾きにくくすることができる。
【0054】
[導線が巻回された巻回部を磁性体部で被覆して素体を形成する工程]
まず、素体を形成するための金型について説明する。
【0055】
-金型の説明-
金型100は、
図9に示すように上金型110と下金型120を備えてよい。上金型110と下金型120が相対的に近づくように可動させることによって、型締めされる。
【0056】
金型100は、磁性体部20を形成するための磁性材料20jを収容する収容部100aと、金属端子30を挟持する挟持部100bと、を備えてよい。より具体的には、上金型110と下金型120との間に、収容部100aおよび挟持部100bが配置されてよい。
【0057】
金型100は、巻回された導線(巻回部10)に向けて磁性材料を供給する磁性材料供給部121を備えてよい(
図9参照)。磁性材料供給部121は、金型100に収容された磁性材料を供給するように可動する構造を有している。なお、磁性材料供給部121は、上金型および下金型の両方に備えられていてもよいし、上金型および下金型のいずれか一方に設けられていてもよい。
【0058】
-素体を形成する工程の説明-
上述の金型100を用いて、素体1を形成する工程を説明する。上金型110および下金型120に磁性材料20jを収容する。ここで、上金型および下金型に収容する磁性材料20jは、一例として1t/cm2以上10t/cm2以下程度の圧力で数秒以上数分以下の間、加圧されていてよい。このように磁性材料が加圧により押し固められていることにより、金型に磁性材料を収容する際の取り扱いを容易に行うことができる。
【0059】
上金型110と下金型120に磁性材料20jを収容するとともに、上金型110と下金型120との間に金属端子30が接続された巻回部10を配置する。その後、上金型110および下金型120を型締めする。そして、磁性材料供給部121を巻回部10に向けて可動させ、巻回部10を磁性材料20jで包み込む。
【0060】
ここで、上述したとおり、本開示の製造方法では、各接合部Jにおける平面積の半分より多くは、互いに隣接しない象限内に配置されている。そのため、従来のコイル部品と比較して、巻回部10を傾かせる応力を低減することができる。また、導線Lの第1端11aと第2端11bとの高さが揃えられているため、巻回部10に対して均等に応力をかけることができる。したがって、巻回部10の傾きを低減できる。
【0061】
巻回部10を磁性材料20jで包み込んだ後に、金型100を加熱し磁性材料を硬化させる。なお、この硬化は金型100内で型崩れがしない程度に半硬化させ、他の工程で完全に硬化させてもよい。その後、金型100を型開きし、成形品を取り出す。そして、金属端子の余分箇所を切断する等して成形品の形状を整える。
【0062】
[金属端子を素体に沿って折り曲げる工程]
素体を形成後に、金属端子30を素体1の側面および素体1の実装面に沿って折り曲げる。これにより、金属端子30を介して実装可能なコイル部品Cを製造することができる。
【0063】
なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0064】
本開示のコイル部品の態様は、以下のとおりである。
<1>導線が巻回軸に基づいて巻回された巻回部と磁性体部を備えた略六面体の素体と、
前記導線の第1端および第2端がそれぞれ接合部に電気的に接続された一対の金属端子と、を備え、
一対の前記金属端子は、巻回軸と平行な前記素体の外面から引き出されており、
前記各接合部における面積の半分より多くは、前記巻回軸方向からの平面視において前記素体中心を原点として互いに直交する仮想座標軸によって分けられる4つの象限のうち、互いに隣接しない象限内に配置されており、
前記第1端側の前記接合部と前記第2端側の前記接合部との高さの差が、前記導線の径以下である、コイル部品。
<2>前記巻回軸は、前記素体の略中心を貫くように配置されている、<1>に記載のコイル部品。
<3>前記接合部は、前記巻回軸が貫かれる仮想面の対角線上に設けられている、<1>または<2>に記載のコイル部品。
<4>前記導線を巻回軸方向に沿って複数巻回されており、
前記第1端側の接合部または前記第2端側の接合部と、前記巻回部の最上段の上面または最下段の下面との高さの差が、前記導線の径以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<5>前記接合部と電気的に接続されている前記導線の端部が前記導線の径に対して2/3以下の厚みに偏平されている、<1>~<4>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<6>前記巻回軸は前記素体の略中心にあり、前記導線において前記巻回部から引き出された部分から前記導線の第1端までの仮想直線と、前記巻回部から引き出された部分から前記導線の第2端までの仮想直線とが成す角度は、鋭角である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<7>前記磁性体部は、金属磁性体粒子と樹脂とを含有する、<1>~<6>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<8>前記巻回部の最上段または最下段から前記導線が各前記接合部に向けて引き出されている、<1>~<7>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<9>前記導線の巻始めおよび巻終わりが前記巻回部の最外側に位置している、<1>~<8>のいずれか1つに記載のコイル部品。
<10>前記接合部の全体は、前記素体内に位置している、<1>~<9>のいずれか1つに記載のコイル部品。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示にコイル部品は、磁気特性のばらつきを改善できる電子部品として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 素体
10 巻回部
11 端部
11a 第1端
11b 第2端
20 磁性体部
20j 磁性材料
21 収納部
30 金属端子
31 内側部
32 外側部
100 金型
100a 収容部
100b 挟持部
110 上金型
120 下金型
121 磁性材料供給部
200 引き出し線
210 端子
220 応力
230 コイル
240 磁芯
A 仮想直線
Ax,Ay 仮想座標軸
B1 仮想直線
B2 仮想直線
C コイル部品
D1 台座
D2 押圧装置
H 半田
h 高さ
J 接合部
L 導線
R1 第1象限
R2 第2象限
R3 第3象限
R4 第4象限
S 基板
W 巻回軸