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特開2024-48213操作装置、手術支援システムおよび操作装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048213
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】操作装置、手術支援システムおよび操作装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240401BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20240401BHJP
   A61B 34/37 20160101ALN20240401BHJP
   B25J 1/00 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00
A61B34/37
B25J1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154131
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】栗原 剛史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS14
3C707BT09
3C707HS27
3C707HT02
3C707JT04
3C707JU02
3C707KS17
3C707KS20
3C707KS22
3C707KS29
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT06
3C707KT17
3C707KT18
3C707LT08
3C707LU01
3C707LV04
3C707LV05
(57)【要約】
【課題】リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することが可能な操作装置を提供する。
【解決手段】遠隔操作装置2では、操作制御部340は、リンク部112cの回転位置に基づいて、リンク部112cとリンク部112bとがなす角が所定の角度を維持するようにサーボモータSM7dによりリンク部112aをA24軸線の周りに回転させる追従制御を実行する。追従制御によるリンク部112aのA24軸線の周りの回転量は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、
制御装置と、を備え、
前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、
前記リスト部は、
基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、
基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、
基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、
操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、
前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、
前記制御装置は、前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記操作者の操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、操作装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記移動速度の絶対値が前記所定の閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにする、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記所定の閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも絶対値の大きい第2閾値と、を含み、
前記制御装置は、
前記移動速度の絶対値が前記第1閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにし、
前記移動速度の絶対値が前記第1閾値以上前記第2閾値未満の場合に、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量を、前記第2リンク部の回転速度の増加とともに0から所定の回転量まで増加させ、
前記移動速度の絶対値が前記第2閾値以上の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量を、前記所定の回転量にする、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第2リンク部の基準回転位置と現在の回転位置との偏差と、前記第2リンク部の回転速度と、に基づいて、前記追従制御を実行し、
前記移動速度が前記所定の閾値未満の場合、前記回転速度に基づく前記追従リンク部の回転量は維持しながら、前記偏差に基づく前記追従リンク部の回転量を小さくする、請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2リンク部の基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく速度指令に、所定の係数を乗算した値に基づいて、前記追従制御を実行し、
前記所定の係数は、前記移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、請求項1に記載の操作装置。
【請求項6】
先端に手術器具が取り付けられるロボットアームを含む手術装置と、
前記手術器具に対する操作を受け付ける操作部を含む操作装置と、
制御装置と、を備え、
前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、
前記リスト部は、
基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、
基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、
基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、
操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、
前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、
前記制御装置は、前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記操作者の操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、手術支援システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記移動速度の絶対値が前記所定の閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにする、請求項6に記載の手術支援システム。
【請求項8】
ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、制御装置と、を備え、前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、前記リスト部は、基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有する、操作装置の制御方法であって、
前記第2リンク部の回転位置を取得することと、
前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行することと、を備え、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記手術器具に対する操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、操作装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、操作装置、手術支援システムおよび操作装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術器具が取り付けられるロボットアームを備える手術支援システムが知られている。特許文献1には、マニピュレータアームと、マニピュレータアームを操作するマスター装置と、を備えるロボット手術システムが開示されている。マスター装置には、アーム部と、操作者の右手または左手によって操作されるリスト部と、が配置されている。リスト部は、複数のリンク部と、操作者の指に把持されるハンドルと、を含む。アーム部と、複数のリンク部と、ハンドルとは、この順で、互いに関節によって連結されている。関節には、モータが配置されている。特許文献1では、複数のリンク部のうちの一のリンク部が回転した場合、複数のリンク部の回転軸線が互いに直角に近い角度をなすように、回転した一のリンク部に追従して、他のリンク部が回転する。他のリンク部は、関節のモータによって回転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0120363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数のリンク部うちの一のリンク部が回転した場合、回転した一のリンク部に追従して、他のリンク部が回転する。しかしながら、特許文献1のような構成において、一のリンク部の回転速度が比較的遅い場合には、他のリンク部を回転させる関節のモータのトルクが小さいため、関節内で生じる比較的大きい摩擦に起因して、他のリンク部が追従して回転しないと考えられる。そして、一のリンク部の回転速度が徐々に速くなり、関節を回転するモータのトルクが大きくなった際に、他のリンク部が急に大きく回転すると考えられる。このように、一のリンク部の回転に追従せずに停止していた他のリンク部が急に大きく回転することに起因して、操作者のマスター装置の操作に手術器具が滑らかに追従しないという問題点が考えられる。
【0005】
この開示は、リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することが可能な操作装置、手術支援システムおよび操作装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面による操作装置は、ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、制御装置と、を備え、操作部は、アーム部とリスト部とを含み、リスト部は、基端部がアーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、基端部が追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、基端部が第1リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が第2リンク部の先端部に接続され、第2回転軸線および第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、制御装置は、第2リンク部の回転位置に基づいて、第2リンク部と第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように駆動部により追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。なお、回転量が小さいとは、回転量がゼロの場合も含む。
【0007】
本開示の第1の局面による操作装置では、上記のように、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。これにより、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合のように比較的遅い場合、追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量が小さくなる。このため、操作者の操作によるリスト部の移動速度が徐々に速くなり、追従リンク部が回転した際でも、追従リンク部の回転量は小さい。すなわち、第2リンク部の回転に追従せずに停止していた追従リンク部が急に大きく回転することが抑制される。その結果、リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することができる。
【0008】
本開示の第2の局面による手術支援システムは、先端に手術器具が取り付けられるロボットアームを含む手術装置と、手術器具に対する操作を受け付ける操作部を含む操作装置と、制御装置と、を備え、操作部は、アーム部とリスト部とを含み、リスト部は、基端部がアーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、基端部が追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、基端部が第1リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が第2リンク部の先端部に接続され、第2回転軸線および第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、制御装置は、第2リンク部の回転位置に基づいて、第2リンク部と第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように駆動部により追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。
【0009】
本開示の第2の局面による手術支援システムは、上記のように、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。これにより、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合のように比較的遅い場合、追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量が小さくなる。このため、操作者の操作によるリスト部の移動速度が徐々に速くなり、追従リンク部が回転した際でも、追従リンク部の回転量は小さい。すなわち、第2リンク部の回転に追従せずに停止していた追従リンク部が急に大きく回転することが抑制される。その結果、リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することが可能な手術支援システムを提供できる。
【0010】
本開示の第3の局面による操作装置の制御方法は、ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、制御装置と、を備え、操作部は、アーム部とリスト部とを含み、リスト部は、基端部がアーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、基端部が追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、基端部が第1リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が第2リンク部の先端部に接続され、第2回転軸線および第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有する、操作装置の制御方法であって、第2リンク部の回転位置を取得することと、第2リンク部の回転位置に基づいて、第2リンク部と第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように駆動部により追従リンク部を追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行することと、を備え、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、手術器具に対する操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。
【0011】
本開示の第3の局面による操作装置の制御方法は、上記のように、追従制御による追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量は、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。これにより、操作者の操作によるリスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合のように比較的遅い場合、追従リンク部の追従回転軸線の周りの回転量が小さくなる。このため、操作者の操作によるリスト部の移動速度が徐々に速くなり、追従リンク部が回転した際でも、追従リンク部の回転量は小さい。すなわち、第2リンク部の回転に追従せずに停止していた追従リンク部が急に大きく回転することが抑制される。その結果、リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することが可能な操作装置の制御方法を提供できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、リスト部の移動速度が比較的遅い場合にも、操作者の操作部の操作に手術器具が滑らかに追従することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による手術支援システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態による医療用台車の表示部を示す図である。
図3】一実施形態による医療用台車の構成を示す図である。
図4】一実施形態によるロボットアームの構成を示す図である。
図5】鉗子を示す図である。
図6】一実施形態によるアーム操作部の構成を示す斜視図である。
図7】ロボットアームの並進移動を説明するための図である。
図8】ロボットアームの回転移動を説明するための図である。
図9】内視鏡を示す図である。
図10】ピボット位置設定器具を示す図である。
図11】一実施形態による操作部を示す図である。
図12】一実施形態による右手用のリスト部を示す図である。
図13】一実施形態による左手用のリスト部を示す図である。
図14】リスト部のA25軸線およびA26軸線を含む平面で切断した断面図である。
図15】リスト部のA26軸線およびA27軸線を含む平面で切断した断面図である。
図16】一実施形態によるフットペダルを示す斜視図である。
図17】一実施形態による手術支援ロボットの制御ブロック図である。
図18】一実施形態によるロボットアームの制御ブロック図である。
図19】一実施形態によるポジショナおよび医療用台車の制御ブロック図である。
図20】一実施形態による操作部の制御ブロック図である。
図21】追従制御を実行するための構成を示すブロック図である。
図22】位置制御部の構成を示すブロック図である。
図23】第1閾値および第2閾値と、所定の係数との関係を示す図である。
図24】FF速度指令生成部の構成を示すブロック図である。
図25】リンク部112cの回転角と連続化係数との関係を示す図である。
図26】リンク部112bの回転角とFF調整係数との関係を示す図である。
図27】リンク部112cが第1基準回転位置から+45度回転した場合のリスト部の状態を示す図である。
図28】リンク部112cが第1基準回転位置から+90度回転した場合のリスト部の状態を示す図である。
図29】一実施形態による操作装置の制御フローを示す図である。
図30】追従制御についての実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(手術支援システムの構成)
本実施形態による手術支援システム500の構成について説明する。手術支援システム500は、手術支援ロボット100と、遠隔操作装置200と、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400と、を備えている。手術支援ロボット100および遠隔操作装置200は、それぞれ、手術装置および操作装置の一例である。
【0015】
なお、本願明細書において、手術器具1の長手方向をZ方向とする。手術器具1の先端側をZ1側とし、手術器具1の基端側をZ2側とする。Z方向に直交する方向をX方向とする。X方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とする。Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。Y方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とする。
【0016】
また、本願明細書において、入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た左右方向をXa方向とする。右方向を、Xa1方向とし、左方向を、Xa2方向とする。入力装置22の表示部22aを操作する操作者から見た前後方向をYa方向とする。前方向をYa1方向とし、後方向をYa2方向とする。手術支援ロボット100が配置される床面に対して垂直な方向をZa方向とする。上方向をZa1方向とし、下方向をZa2方向とする。
【0017】
また、本願明細書において、遠隔操作装置200が配置される床面に垂直な方向をZb方向とし、Zb方向に直交し、操作部110を操作する操作者の前後方向をYb方向とし、Zb方向およびYb方向に直交する方向をXb方向とする。Zb方向において、上方向をZb1方向とし、下方向をZb2方向とする。Yb方向において、一方側をYb1方向とし、他方側をYb2方向とする。Xb方向において、一方側をXb1方向とし、他方側をXb2方向とする。また、Xb方向、Yb方向およびZb方向を、それぞれ、Xb軸、Yb軸およびZb軸を呼ぶ場合がある。
【0018】
図1に示すように、手術支援ロボット100は、手術室内に配置されている。遠隔操作装置200は、手術支援ロボット100から離間した位置に配置されている。遠隔操作装置200は、手術器具1に対する操作を受け付ける。具体的には、医師などの操作者は、手術支援ロボット100に所望の動作を行わせるための指令を遠隔操作装置200に入力する。遠隔操作装置200は、入力された指令を手術支援ロボット100に送信する。手術支援ロボット100は、受信した指令に基づいて動作する。手術支援ロボット100は、滅菌された滅菌野である手術室内に配置されている。
【0019】
(手術支援ロボットの構成)
図1に示すように、手術支援ロボット100は、医療用台車10と、台車ポジショナ操作部20と、ポジショナ30と、アームベース40と、複数のロボットアーム50と、各ロボットアーム50に設けられたアーム操作部60と、を備えている。
【0020】
図3に示すように、台車ポジショナ操作部20が、医療用台車10の後方に台車ポジショナ操作支持部21により支持されており、台車ポジショナ操作部20が操作されることで、医療用台車10またはポジショナ30が移動される。台車ポジショナ操作部20は、入力装置22と、操作ハンドル23を含む。入力装置22は、主に施術前に手術の準備を行うために、ポジショナ30、アームベース40、および、複数のロボットアーム50の移動や姿勢の変更の操作を受け付ける。医療用台車10は、操作ハンドル23、図10に示されるスタビライザ24および電動シリンダ25を含む。
【0021】
図3に示すように、医療用台車10の入力装置22は、表示部22aと、ジョイスティック22bと、イネーブルスイッチ22cと、エラーリセットボタン22dと、スピーカ22eと、を含む。表示部22aは、たとえば、液晶パネルである。図2に示すように、表示部22aには、複数のロボットアーム50に対応する番号が表示されている。また、表示部22aには、複数のロボットアーム50の各々に取り付けられている手術器具1の種類が表示される。表示部22aには、後述するピボット位置PPが設定されたことを示すチェックマークCMが表示される。
【0022】
図3に示すように、ジョイスティック22bは、医療用台車10の入力装置22の表示部22a近傍に配置されている。表示部22aに表示される動作モードを選択し、ジョイスティック22bを操作することによりポジショナ30が3次元的に移動される。
【0023】
イネーブルスイッチ22cは、医療用台車10のジョイスティック22bの近傍に配置されている。イネーブルスイッチ22cは、ポジショナ30の移動を許可または不許可とする。そして、イネーブルスイッチ22cが押下されポジショナ30の移動が許可された状態でジョイスティック22bが操作されることにより、ポジショナ30が移動される。
【0024】
エラーリセットボタン22dは、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。スピーカ22eは、一対配置されている。一対のスピーカ22eは、医療用台車10のうちのポジショナ30が配置される場所の近傍に配置されている。
【0025】
また、操作ハンドル23は、医療用台車10の表示部22aの近傍に配置されている。そして、操作ハンドル23は、看護師、技師などの操作者が把持するとともに回動されることにより医療用台車10の移動を操作するスロットル23aを有する。具体的には、操作ハンドル23は、入力装置22の下方に配置されている。そして、スロットル23aが、手前側から奥側に回動されることにより、医療用台車10が前進する。また、スロットル23aが、奥側から手前側に回動されることにより、医療用台車10が後進する。また、スロットル23aの回動量に応じて医療用台車10の速度が変更される。また、操作ハンドル23は、R方向で示される左右に回動可能に構成されており、操作ハンドル23の回動とともに医療用台車10が回動する。
【0026】
また、医療用台車10の操作ハンドル23に、医療用台車10の移動を許可または不許可とするイネーブルスイッチ23bが配置されている。そして、イネーブルスイッチ23bが押下され医療用台車10の移動が許可された状態で操作ハンドル23のスロットル23aが操作されることにより、医療用台車10が移動される。
【0027】
図1に示すように、ポジショナ30は、たとえば、7軸多関節ロボットからなる。ポジショナ30は、医療用台車10上に配置されている。ポジショナ30は、アームベース40の位置を調整する。ポジショナ30は、アームベース40の位置を3次元的に移動させる。
【0028】
ポジショナ30は、ベース部31と、ベース部31に連結された複数のリンク部32とを含む。複数のリンク部32同士は、関節33により連結されている。
【0029】
アームベース40は、ポジショナ30の先端に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、各々のロボットアーム50の基端が、アームベース40に取り付けられている。複数のロボットアーム50は、折り畳まれた収納姿勢をとることが可能である。アームベース40と、複数のロボットアーム50とは、滅菌ドレープにより覆われて使用される。また、ロボットアーム50は、手術器具1を支持する。
【0030】
アームベース40には、図17に示される、ステータスインジケータ41およびアームステータスインジケータ42が配置されている。ステータスインジケータ41は、手術支援システム500の状態を表示する。アームステータスインジケータ42は、ロボットアーム50の状態を表示する。
【0031】
ロボットアーム50は、複数配置されている。具体的には、4つのロボットアーム50a、50b、50cおよび50dが配置されている。ロボットアーム50a、50b、50cおよび50dは、互いに同様の構成を有する。
【0032】
図4に示すように、ロボットアーム50は、アーム部51と、第1リンク部52と、第2リンク部53と、並進移動機構部54とを含む。ロボットアーム50は、関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6、JT7およびJT8を有する。関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7は、各々、の回転軸線としての、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7軸線を有する。JT8は、直動軸線としてのA8軸線を有する。A1からA7までの軸線は、各々、アーム部51のJT1からJT7までの回転軸線である。また、A7軸線は、第1リンク部52の回転軸線である。A8軸線は、並進移動機構部54が、第2リンク部53を第1リンク部52に対してZ方向に沿って相対的に移動させる直動軸線である。アーム部51は、ベース部51a、および、リンク部51bを含む。
【0033】
アーム部51は、7軸多関節ロボットアームからなる。第1リンク部52は、アーム部51の先端に配置されている。第2リンク部53には、後述するアーム操作部60が取り付けられる。並進移動機構部54は、第1リンク部52と第2リンク部53との間に配置されている。第2リンク部53には、手術器具1を保持するホルダ55が配置されている。並進移動機構部54は、手術器具1が取り付けられたホルダ55を第1の位置と第2の位置の間で並進させる。第1の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ2方向側の端部の位置である。第2の位置とは、A8軸線に沿った並進移動機構部54によるホルダ55の移動範囲のうちのZ1方向側の端部の位置である。
【0034】
複数のロボットアーム50の各々の先端には、手術器具1が取り付けられている。手術器具1は、たとえば、取り換え可能なインストゥルメント2、手術部位の画像を取り込むための図9に示される内視鏡3、および、ピボット位置PPを設定するための図10に示されるピボット位置設定器具4などを含む。インストゥルメント2は、被駆動ユニット2aと鉗子2bとシャフト2cとを含む。
【0035】
図1に示すように、複数のロボットアーム50のうちの一つの、たとえば、ロボットアーム50cの先端には内視鏡3が取り付けられ、残りの、たとえば、ロボットアーム50a、50bおよび50dの先端には、インストゥルメント2が取り付けられる。内視鏡3は、互いに隣り合うように配置されている4つのロボットアーム50のうちの、中央に配置される2つのロボットアーム50bおよび50cのうちのいずれかに取り付けられることが望ましい。
【0036】
(インストゥルメントの構成)
図5に示すように、インストゥルメント2の先端には、たとえば、鉗子2bが設けられている。インストゥルメント2の先端には、鉗子2b以外に、関節を有する器具として、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダ、マイクロジセクター、ステーブルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄ツール、スネアワイヤ、および、クリップアプライヤーなどが配置される。インストゥルメント2の先端には、関節を有しない器具として、切断刃、焼灼プローブ、洗浄器、カテーテル、および、吸引オリフィスなどが配置される。
【0037】
鉗子2bは、第1支持体2dと、第2支持体2eとを含む。第1支持体2dは、ジョー部材2gおよびジョー部材2fの基端側をA11軸線周りに回転可能に支持する。第2支持体2eは、第1支持体2dの基端側をA10軸線周りに回転可能に支持する。シャフト2cは、A9軸線周りに回動する。ジョー部材2gおよびジョー部材2gは、A12軸線周りに開閉する。
【0038】
(アーム操作部の構成)
図6に示すように、アーム操作部60は、ロボットアーム50に取り付けられており、ロボットアーム50を操作する。具体的には、アーム操作部60は、第2リンク部53に取り付けられている。
【0039】
アーム操作部60は、イネーブルスイッチ61と、ジョイスティック62と、リニアスイッチ63と、モード切替ボタン64と、モードインジケータ65と、ピボットボタン66と、アジャストメントボタン67と、を含む。
【0040】
イネーブルスイッチ61は、押下されることにより、ジョイスティック62およびリニアスイッチ63によるロボットアーム50の移動を許可または不許可とする。看護師、助手などの操作者によりアーム操作部60が把持された状態で、イネーブルスイッチ61が押下されることにより、ロボットアーム50による手術器具1の移動が許可される。
【0041】
ジョイスティック62は、ロボットアーム50による手術器具1の移動を操作するための操作具である。ジョイスティック62は、ロボットアーム50の移動方向および移動速度を操作する。ジョイスティック62が倒された方向および倒された角度に応じて、ロボットアーム50が移動される。
【0042】
リニアスイッチ63は、手術器具1の長手方向であるZ方向に手術器具1を移動させるためのスイッチである。リニアスイッチ63は、手術器具1を患者Pに挿入する方向に移動させるリニアスイッチ63aと、手術器具1を患者Pから離間するに方向に移動させるリニアスイッチ63bとを含む。リニアスイッチ63aとリニアスイッチ63bとは、共に、押しボタンスイッチからなる。
【0043】
モード切替ボタン64は、手術器具1を並進移動させるモードと回転移動させるモードとを切り替えるための押しボタンスイッチである。図7に示すように、ロボットアーム50を並進移動させるモードでは、手術器具1の先端1aが、X-Y平面上において移動するように、ロボットアーム50が移動される。図8に示すように、ロボットアーム50を回転移動させるモードでは、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されていない時は、手術器具1としてのインストゥルメント2の鉗子2bを中心に回転移動し、ピボット位置PPが記憶部351に記憶されている時は、ピボット位置PPを支点として手術器具1が回転移動するように、ロボットアーム50が移動される。なお、手術器具1のシャフト1cがトロカールTに挿入された状態で、手術器具1が回転移動される。モード切替ボタン64は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0044】
モードインジケータ65は、切り替えられたモードを表示する。モードインジケータ65の点灯は、回転移動モードを表し、消灯は、並進移動モードを表す。また、モードインジケータ65は、ピボット位置PPが設定されたことを表示するピボット位置インジケータを兼ねている。モードインジケータ65は、アーム操作部60のZ方向側の面に配置されている。
【0045】
ピボットボタン66は、ロボットアーム50に取り付けられた手術器具1の移動の支点となるピボット位置PPを設定するための押しボタンスイッチである。
【0046】
アジャストメントボタン67は、ロボットアーム50の位置を最適化するためのボタンである。内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50に対するピボット位置PPの設定後、アジャストメントボタン67が押下されることにより、他のロボットアーム50およびアームベース40の位置が最適化される。アジャストメントボタン67は、イネーブルスイッチ61とは異なるボタンである。
【0047】
(遠隔操作装置)
図1に示すように、遠隔操作装置200は、たとえば、手術室の中または手術室の外に配置されている。遠隔操作装置200は、操作部110と、フットペダル120と、タッチパネル130と、モニタ140と、支持アーム150と、支持バー160と、エラーリセットボタン161と、を含む。操作部110は、医師などの操作者が指令を入力するための操作用のハンドルを構成する。
【0048】
(操作部)
図11に示すように、操作部110は、手術器具1を操作するためのハンドルである。また、操作部110は、手術器具1に対する操作を受け付ける。操作部110は、医師などの操作者から見て、左側に配置され、操作者の左手により操作される操作部110Lと、右側に配置され、操作者の右手により操作される操作部110Rと、を含んでいる。操作部110は、アーム部111とリスト部112とを含む。また、操作部110Rは、アーム部111Rとリスト部112Rとを含む。また、操作部110Lは、アーム部111Lとリスト部112Lとを含む。
【0049】
図11図12および図13に示すように、操作部110は、関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27を有する。関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27の回転軸線は、各々、A21、A22、A23、A24、A25、A26およびA27軸線である。
【0050】
(アーム部)
アーム部111は、リンク部111aと、リンク部111bと、リンク部111cとを有する。リンク部111aの上端側は、鉛直方向に沿ったA21軸線回りに回転可能に遠隔操作装置200に取り付けられている。リンク部111bの上端側は、水平方向に沿ったA22軸線回りに回転可能にリンク部111aの下端側に取り付けられている。リンク部111cの一方端側は、水平方向に沿ったA23軸線回りに回転可能にリンク部111bの下端側に取り付けられている。リンク部111cの他方端側には、A24軸線回りに回転可能にリスト部112が取り付けられている。リンク部111aは、関節JT21により遠隔操作装置200に接続されている。リンク部111aとリンク部111bとは、関節JT22により接続されている。リンク部111bとリンク部111cとは、関節JT23により接続されている。アーム部111は、リスト部112を支持する。
【0051】
リスト部112は、図12に示す操作者の右手によって操作されるリスト部112Rと、図13に示す操作者の左手によって操作されるリスト部112Lとを含む。図12は操作部110Rの基準姿勢を表し、図13は操作部110Lの基準姿勢を表している。リスト部112Rの構成と、リスト部112Lの構成とは同様である。
【0052】
リスト部112は、リンク部112a、リンク部112b、リンク部112c、医師などの操作者が操作するグリップ部112dと、を含む。リンク部112aは、基端部がアーム部111の先端部に接続され、A24軸線周りに回転する。リンク部112bは、基端部がリンク部112aの先端部に接続され、A25軸線周りに回転する。リンク部112cは、基端部がリンク部112bの先端部に接続され、A26軸線周りに回転する。グリップ部112dは、基端部がリンク部112cの先端部に接続され、A27軸線周りに回転する。リンク部112a、リンク部112bおよびリンク部112cは、各々、L字形状を有する。操作部110の基準姿勢において、A24軸線と、A26軸線とは、一致する。操作部110の基準姿勢において、A24軸線と、A25軸線と、A26軸線およびA27軸線とは、互いに直交する。A24軸線、A25軸線、A26軸線およびA27軸線は、それぞれ、追従回転軸線、第1回転軸線、第2回転軸線および第3回転軸線の一例である。リンク部112a、リンク部112b、および、リンク部112cは、それぞれ、追従リンク部、第1リンク部、および、第2リンク部の一例である。
【0053】
リスト部112は、操作者によって開閉される一対のグリップ部材112eを含む。グリップ部材112eは、細長いプレート状のレバー部材からなり、一対のグリップ部材112eは、それぞれの近位端がグリップ部112dの近位端に回転可能に接続されている。グリップ部材112eには、円筒状の指挿入部112fが配置されている。操作者は、一対の指挿入部112fに指を挿入してリスト部112を操作する。一対のグリップ部材112eは、それぞれの基端がグリップ部112dに接続されており、一対のグリップ部材112e間の角度を大きくしたり小さくしたりすることにより、ジョー部材2fとジョー部材2gとの開き角度が変更される。グリップ部材112eの一方に磁石が配置され、グリップ部112dにホールセンサが配置されている。操作者がグリップ部材112eを開閉すると、磁石とホールセンサとが角度検知センサとして機能し、ホールセンサは開き角度を出力する。なお、角度検知センサとして、グリップ部材112eにホールセンサを、グリップ部112dに磁石を配置しても良い。また、グリップ部材112eの両方に、角度検知センサとして磁石またはホールセンサを配置しても良い。
【0054】
操作部110の複数の回転軸線の交点は、ジンバル点GPと呼ばれる。具体的には、ジンバル点GPは、A24軸線と、A25軸線と、A26軸線と、A27軸線とが交差する点である。ジンバル点GPは、一対のグリップ部材112eが取り付けられるグリップ部112dに位置している。ジンバル点GPは、操作部110Lと操作部110Rとの各々に個別に存在する。操作部110Rのジンバル点をGPRとする。操作部110Lのジンバル点をGPLとする。
【0055】
基準姿勢において、操作部110のA24軸線とA26軸線とは、Zb方向に沿っている。A25軸線は、Xb方向に沿っている。A27軸線は、Yb方向に沿っている。図12に示すように、基準姿勢において、リスト部112Rのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb1側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。なお、基準姿勢における、リンク部112bの回転位置を第1基準回転位置と呼ぶ。また、基準姿勢における、リンク部112cの回転位置を第2基準回転位置と呼ぶ。
【0056】
図13に示すように、基準姿勢において、リスト部112Lのリンク部112aおよびリンク部112bは、Xb-Zb平面に沿うように、かつ、A27軸線に対してXb2側に配置されている。基準姿勢において、リンク部112cは、Yb-Zb平面に沿うように配置されている。基準姿勢において、グリップ部112dは、A27軸線に沿うように配置されている。
【0057】
図14に示すように、リンク部112aは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112aの主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112aの一方の端部には、回転軸R24が配置させている。回転軸R24が、軸受B24を介して、リンク部111cの他方の端部に、A24軸線の周りに回動可能に取り付けられている。回転軸R24および軸受B24によって、関節JT24が形成されている。これにより、リンク部112aが、リンク部111cに対し、A24軸線の周り回動することが可能である。
【0058】
また、リンク部111cの内部には、サーボモータSM7dが、主軸S24の中心軸がA24軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7dには、サーボモータSM7dの回転角を検知するエンコーダEN7dが配置されている。エンコーダEN7dは、回転角を検知できるものであればよく、エンコーダEN7dの代わりに回転計等が用いられてもよい。エンコーダEN7dは、サーボモータSM7dの主軸S24に直結されている。サーボモータSM7dの主軸S24は、ベベルギア機構G24を介して回転軸R24に接続されている。これにより、リンク部112aの回動によるサーボモータSM7dの回転角をエンコーダEN7dによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7dによって回転軸R24を回転駆動することが可能である。
【0059】
リンク部112bは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112b主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112bの一方の端部には、回転軸R25が配置されている。この回転軸R25が、軸受B25を介して、リンク部112aの他方の端部に、A25軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R25および軸受B25によって、関節JT25が形成されている。これにより、リンク部112bが、リンク部112aに対し、A25軸線の周りに回動することが可能である。
【0060】
また、リンク部112aの内部には、サーボモータSM7eが、主軸S25の中心軸がA25軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7eには、サーボモータSM7eの回転角を検知するエンコーダEN7eが配置されている。エンコーダEN7eの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7eは、サーボモータSM7eの主軸S25に直結されている。サーボモータSM7eの主軸S25は、ベベルギア機構G25を介して回転軸R25に接続されている。これにより、リンク部112bの回動によるサーボモータSM7eの回転角をエンコーダEN7eによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7eによって回転軸R25を回転駆動することが可能である。
【0061】
リンク部112aの所定の箇所と回転軸R25との間に圧縮コイルバネSP25が配置されている。所定の箇所は、たとえば、リスト部112の基準姿勢におけるリンク部112aの後端部の下端部である。この圧縮コイルバネSP25は、中心軸がA24軸線に平行で且つA25軸線に直交するように配置されている。また、圧縮コイルバネSP25は、リンク部112bがリスト部112の基準姿勢から回動すると、回動方向に所定のトルクをリンク部112bに対して作用させるように設計されている。所定のトルクは、リスト部112のリンク部112bから先の部分の自重によって回転軸R25に発生する重力トルクの一部を打ち消すようなトルクに設定されている。これにより、回転軸R25に発生する重力トルクの一部が圧縮コイルバネSP25によって打ち消される。
【0062】
図14および図15に示すように、リンク部112cは、エルボー状(L字状)の箱体であり、リンク部112cの主要な要素が箱体の内部に収容されている。リンク部112cの一方の端部には、回転軸R26が配置されている。この回転軸R26が、軸受B26を介して、リンク部112bの他方の端部に、A26軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R26および軸受B26によって、関節JT26が形成されている。これにより、リンク部112cが、リンク部112bに対し、A26軸線の周りに回動することが可能である。
【0063】
また、リンク部112bの内部には、サーボモータSM7fが、主軸S26の中心軸がA26軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7fには、サーボモータSM7fの回転角を検知するエンコーダEN7fが配置されている。エンコーダEN7fの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7fは、サーボモータSM7fの主軸S26に直結されている。サーボモータSM7fの主軸S26は、ベベルギア機構G26を介して回転軸R26に接続されている。これにより、リンク部112cの回動によるサーボモータSM7fの回転角をエンコーダEN7fによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7fによって回転軸R26を回転駆動することが可能である。
【0064】
図15に示すように、グリップ部112dの一方の端部には、回転軸R27が配置されている。この回転軸R27が、軸受B27を介して、リンク部112cの他方の端部に、A27軸線の周りに回動可能に取り付けられている。この回転軸R27および軸受B27によって、関節JT27が形成されている。これにより、グリップ部112dが、リンク部112cに対し、A27軸線の周りに回動することが可能である。
【0065】
また、リンク部112cの内部には、サーボモータSM7gが、主軸S27の中心軸がA27軸線と直交するように配置されている。サーボモータSM7gには、サーボモータSM7gの回転角を検知するエンコーダEN7gが配置されている。エンコーダEN7gの代わりに回転計等を用いてもよい。エンコーダEN7gは、サーボモータSM7gの主軸S27に直結されている。サーボモータSM7gの主軸S27は、ベベルギア機構G27を介して回転軸R27に接続されている。これにより、グリップ部112dの回動によるサーボモータSM7gの回転角をエンコーダEN7gによって検知することが可能であり、且つ、サーボモータSM7gによって回転軸R27を回転駆動することが可能である。
【0066】
図1に示すように、モニタ140は、内視鏡3によって取り込まれた画像を表示するためのスコープ型表示装置である。また、モニタ140には、報知部141が配置されている。報知部141は、エラー音を報知する。支持アーム150は、モニタ140の高さを医師などの操作者の顔の高さに合わせるようにモニタ140を支持する。タッチパネル130は、支持バー160に配置されている。モニタ140近傍に設けられたセンサにより操作者の頭部を検知することにより手術支援ロボット100は遠隔操作装置200による操作が可能になる。操作者は、モニタ140により患部を視認しながら、操作部110およびフットペダル120を操作する。これにより、遠隔操作装置200に指令が入力される。遠隔操作装置200に入力された指令は、手術支援ロボット100に送信される。
【0067】
エラーリセットボタン161は、支持バー160に配置されている。エラーリセットボタン161は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。
【0068】
(フットペダル)
図16に示すように、フットペダル120は、手術器具1に関する機能を実行するように複数設けられている。また、複数のフットペダル120は、基台部121に配置されている。フットペダル120は、切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126と、足検知部127と、を含んでいる。切替ペダル122と、クラッチペダル123と、カメラペダル124と、切開ペダル125と、凝固ペダル126とは、操作者の足により操作される。また、切開ペダル125は、右側のロボットアーム50用の切開ペダル125Rと、左側のロボットアーム50用の切開ペダル125Lとを含む。また、凝固ペダル126は、右側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Rと、左側のロボットアーム50用の凝固ペダル126Lとを含む。
【0069】
切替ペダル122は、操作部110で動作させるロボットアーム50を切り替える。クラッチペダル123は、ロボットアーム50と操作部110との操作接続を一時切断するクラッチ操作を実行する。クラッチペダル123が操作者によって踏み込まれている間、操作部110による操作が、ロボットアーム50に伝達されなくなる。また、カメラペダル124が操作者によって踏み込まれている間、操作部110によって、内視鏡3が取り付けられたロボットアーム50を操作することが可能になる。切開ペダル125または凝固ペダル126が操作者によって踏み込まれている間、電気手術装置が起動する。
【0070】
足検知部127は、フットペダル120を操作する操作者の足を検知する。足検知部127は、切替ペダル122、クラッチペダル123、カメラペダル124、切開ペダル125及び凝固ペダル126の各々について設けられ、各フットペダル120の上方に位置するホバー状態の足を検知する。足検知部127は、基台部121に配置されている。
【0071】
(ビジョンユニットおよび画像処理ユニット)
図1に示すように、ビジョンユニット300および画像処理ユニット400は、カート210に載置されている。画像処理ユニット400は、内視鏡3により撮影された画像を処理する。カート210には、表示部220が配置されている。表示部220には、内視鏡3により撮影された画像が表示される。ビジョンユニット300には、エラーリセットボタン230および報知部240が配置されている。エラーリセットボタン230は、手術支援システム500のエラーを解除する。エラーは、たとえば、偏差異常のエラーである。報知部240は、エラー音を報知する。
【0072】
(制御系の構成)
図17に示すように、手術支援システム500は、第1制御装置310と、アーム制御部320と、ポジショナ制御部330と、操作制御部340と、第2制御装置350と、を備えている。また、手術支援システム500は、第1制御装置310に接続される記憶部311と、第2制御装置350に接続される記憶部351と、を備えている。操作制御部340は、制御装置の一例である。
【0073】
第1制御装置310は、医療用台車10の内部においてアーム制御部320およびポジショナ制御部330と通信するように配置され、手術支援システム500の全体を制御する。具体的には、第1制御装置310は、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340の各々と通信し、制御する。第1制御装置310と、アーム制御部320、ポジショナ制御部330、および、操作制御部340とは、LANなどによって接続されている。第1制御装置310は、医療用台車10の内部に配置されている。
【0074】
アーム制御部320は、複数のロボットアーム50ごとに配置されている。すなわち、医療用台車10の内部には、複数のロボットアーム50の数に対応した複数のアーム制御部320が配置されている。
【0075】
図17に示すように、入力装置22は、第1制御装置310にLANなどによって接続されている。ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25と、ポジショナ制御部330とは、配線360によって、互いの情報を共有可能な通信ネットワークによりシリアル通信接続されている。なお、図17では、1つの配線360に、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42などの全てが接続されているように記載されているが、実際には、ステータスインジケータ41、アームステータスインジケータ42、操作ハンドル23、スロットル23a、ジョイスティック22b、スタビライザ24および電動シリンダ25ごとに、配線360が配置されている。
【0076】
図18に示すように、アーム部51には、複数の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7の各々に対応するように、複数のサーボモータSM1と、エンコーダEN1と、減速機とが設けられている。エンコーダEN1は、サーボモータSM1の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM1の回転を減速させてトルクを増大させる。医療用台車10の内部には、サーボモータSM1を制御するためのサーボ制御部SC1がアーム制御部320に隣接して配置されている。また、サーボ制御部SC1には、サーボモータSM1の回転角を検出するためのエンコーダEN1が電気的に接続されている。
【0077】
第2リンク部53には、手術器具1の被駆動ユニット2aに配置された被駆動部材を回転させるためのサーボモータSM2と、エンコーダEN2と、減速機とが配置されている。エンコーダEN2は、サーボモータSM2の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM2の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を駆動するサーボモータSM2を制御するためのサーボ制御部SC2が配置されている。サーボ制御部SC2には、サーボモータSM2の回転角を検出するためのエンコーダEN2が電気的に接続されている。なお、サーボモータSM2、エンコーダEN2およびサーボ制御部SC2は、各々複数配置されている。
【0078】
並進移動機構部54には、手術器具1を並進移動させるためのサーボモータSM3と、エンコーダEN3と、減速機とが設けられている。エンコーダEN3は、サーボモータSM3の回転角を検出する。減速機は、サーボモータSM3の回転を減速させてトルクを増大させる。また、医療用台車10には、手術器具1を並進移動するサーボモータSM3を制御するためのサーボ制御部SC3が配置されている。サーボ制御部SC3には、サーボモータSM3の回転角を検出するためのエンコーダEN3が電気的に接続されている。
【0079】
第1制御装置310は、遠隔操作装置200が受け付けた操作に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置を指令する指令値を生成し、指令値に基づいてサーボモータSM1、SM2およびSM3を駆動する。そして、第1制御装置310は、指令値とセンサにより検出されたサーボモータSM1、SM2およびSM3の位置との差が許容範囲を超えた場合に偏差異常のエラーを検出する。
【0080】
図19に示すように、ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、複数のサーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが設けられている。エンコーダEN4は、サーボモータSM4の回転角を検出するように構成されている。減速機は、サーボモータSM4の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。
【0081】
医療用台車10は、車輪を備えており、駆動輪としての前輪と、操作ハンドル23によって操舵される後輪とを有する。なお、後輪は、前輪よりも操作ハンドル23に近い側に配置されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5と、エンコーダEN5と、減速機と、ブレーキBRKとが配置されている。減速機は、サーボモータSM5の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP1が配置されており、スロットル23aの捻りに応じてポテンショメータP1で検出した回転角に基づき、前輪のサーボモータSM5は駆動される。また、医療用台車10の後輪は、双輪形式であり、操作ハンドル23の左右の回動に基づき、後輪は操舵される。また、医療用台車10の操作ハンドル23には、図3に示すポテンショメータP2が回動軸に配置されており、医療用台車10の後輪には、サーボモータSM6とエンコーダEN6と減速機が配置されている。減速機は、サーボモータSM6の回転を減速させてトルクを増大させるように構成されている。操作ハンドル23の左右の回動に応じてポテンショメータP2で検出した回転角に基づき、サーボモータSM6は駆動される。すなわち、操作ハンドル23の左右の回動による後輪の操舵は、サーボモータSM6によりパワーアシストされるように構成されている。
【0082】
医療用台車10は、前輪が駆動されることにより、前後方向に移動する。また、医療用台車10の操作ハンドル23が回動されることにより、後輪が操舵されて、医療用台車10が左右方向に回動する。
【0083】
図19に示すように、医療用台車10には、ポジショナ30を移動するサーボモータSM4を制御するためのサーボ制御部SC4が配置されている。また、サーボ制御部SC4には、サーボモータSM4の回転角を検出するためのエンコーダEN4が電気的に接続されている。また、医療用台車10には、医療用台車10の前輪を駆動するサーボモータSM5を制御するためのサーボ制御部SC5が配置されている。サーボ制御部SC5には、サーボモータSM5の回転角を検出するためのエンコーダEN5が電気的に接続されている。医療用台車10には、医療用台車10の後輪の操舵をパワーアシストするサーボモータSM6を制御するためのサーボ制御部SC6が配置されている。サーボ制御部SC6には、サーボモータSM6の回転角を検出するためのエンコーダEN6が電気的に接続されている。
【0084】
図18および図19に示すように、アーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と、ポジショナ30の関節33の各々には、ブレーキBRKが搭載されている。また、医療用台車10の前輪と、アームベース40および並進移動機構部54にもブレーキBRKが搭載されている。アーム制御部320からアーム部51の関節JT1、JT2、JT3、JT4、JT5、JT6およびJT7と並進移動機構部54とに搭載された各ブレーキBRKへ制御信号が各々一方通行で送信される。制御信号は、ブレーキBRKをオンオフする信号である。ブレーキBRKをオンする信号は、ブレーキBRKが効いている状態を保持する信号を含む。ポジショナ制御部330から、ポジショナ30の関節33とアームベース40とに搭載された各ブレーキBRKへの制御信号についても同様である。アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とは、起動時に全てのブレーキBRKが解除され、重力に抗するようにサーボモータSMが駆動されることにより、ロボットアーム50の姿勢とアームベース40の姿勢とが維持される。手術支援システム500にエラーが発生した際には、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKがオンされる。手術支援システム500のエラーが解除されると、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオフされる。手術支援システム500のシャットダウン操作によって、アームベース40とアーム部51と並進移動機構部54とに搭載されたブレーキBRKはオンされる。また、医療用台車10の前輪は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ23bが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。また、ポジショナ30の各関節33は、常にブレーキBRKがオンされており、医療用台車10のイネーブルスイッチ22cが押下されている間だけブレーキBRKが解除される。
【0085】
図20に示すように、操作部110の関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27には、各々、サーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gが配置されている。各サーボモータを制御するためのサーボ制御部SC7a、SC7b、SC7c、SC7d、SC7e、SC7fおよびSC7gが配置されている。各サーボ制御部には、各サーボモータの回転角を検出するためのエンコーダEN7a、EN7b、EN7c、EN7d、EN7e、EN7fおよびEN7gが電気的に接続されている。なお、各サーボモータ、各サーボ制御部、および、各エンコーダは、操作部110Lと、操作部110Rとに各々設けられている。なお、サーボモータSM7dは、駆動部の一例である。
【0086】
第1制御装置310は、操作制御部340を介して、操作部110の姿勢に応じて、各サーボモータの回転軸線に発生する重力トルクを打ち消すようなトルクを発生するように、各サーボモータを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部110を操作することが可能になる。
【0087】
第1制御装置310は、操作制御部340を介して、操作部110の操作に応じて、各サーボモータの各回転軸線にトルクを発生させ、操作者の操作をアシストするように各サーボモータを制御する。これにより、操作者は、比較的小さい力で操作部110を操作することが可能になる。
【0088】
図17に示すように、第1制御装置310は、アーム操作部60に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。たとえば、第1制御装置310は、アーム操作部60のジョイスティック62に受け付けられた操作に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、ジョイスティック62から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は受け取った入力信号と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1に出力する。サーボ制御部SC1は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1に出力する。これにより、ジョイスティック62に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0089】
第1制御装置310は、アーム操作部60のリニアスイッチ63からの入力信号に基づいてロボットアーム50を制御する。具体的には、アーム制御部320は、リニアスイッチ63から入力された入力信号を第1制御装置310に出力する。第1制御装置310は受け取った入力信号と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて位置指令を生成するとともに、アーム制御部320を介して、位置指令をサーボ制御部SC1またはSC3に出力する。サーボ制御部SC1またはSC3は、アーム制御部320から入力された位置指令と、エンコーダEN1またはEN3により検出された回転角とに基づいて、電流指令を生成するとともに、電流指令をサーボモータSM1またはSM3に出力する。これにより、リニアスイッチ63に入力された動作指令に沿うように、ロボットアーム50が移動される。
【0090】
ポジショナ制御部330は、医療用台車10に配置されている。ポジショナ制御部330は、ポジショナ30および医療用台車10を制御する。ポジショナ30には、ポジショナ30の複数の関節33に対応するように、サーボモータSM4と、エンコーダEN4と、減速機とが配置されている。ポジショナ30のサーボモータSM4を制御するサーボ制御部SC4は、医療用台車10に配置されている。医療用台車10には、医療用台車10の複数の前輪の各々を駆動するサーボモータSM5およびSM6と、エンコーダEN5およびEN6と、減速機と、サーボ制御部SC5およびSC6と、ブレーキBRKとが配置されている。
【0091】
操作制御部340は、遠隔操作装置200の本体に配置されている。操作制御部340は、操作部110を制御する。操作制御部340は、図17に示すように、左手用の操作部110Lと右手用の操作部110Rとの各々に対応するように配置されている。操作部110には、操作部110の複数の関節JT21からJT27までに対応するように、サーボモータSMと、エンコーダENと、減速機とが配置されている。操作部110のサーボモータSMを制御するサーボ制御部SCは、操作制御部340に隣接して遠隔操作装置200の本体に配置されている。
【0092】
図17に示すように、ビジョンユニット300と、画像処理ユニット400とは、LANなどにより、第1制御装置310に接続されている。表示部220は、ビジョンユニット300に接続されている。
【0093】
(干渉の説明)
図12に示すように、リンク部112aは、互いに直交するA24軸線およびA25軸線を含む平面上に配置されている。リンク部112bは、互いに直交するA25軸線およびA26軸線を含む平面上に配置されている。リンク部112cは、互いに直交するA26軸線およびA27軸線を含む平面上に配置されている。そして、この状態から、リンク部112cがリンク部112bの近傍まで回転すると、リンク部112cの下端部LEがリンク部112bと干渉する。
【0094】
そこで、本実施形態では、操作制御部340は、リンク部112cの回転位置に基づいて、リンク部112cとリンク部112bとがなす角が所定の角度を維持するようにサーボモータSM7dによりリンク部112aをA24軸線の周りに回転させる追従制御を実行する。所定の角度は、たとえば、90度である。以下、具体的に説明する。
【0095】
(干渉回避の説明)
図21に示すように、操作制御部340は、位置制御部341と、加減算部342と、速度制御部343と、重力補償部344と、加減算部345と、サーボアンプ346と、微分部347と、FF速度指令生成部348と、微分部349と、を備える。
【0096】
位置制御部341、加減算部342、速度制御部343、重力補償部344、加減算部345、微分部347、FF速度指令生成部348、および、微分部349は、たとえば、プロセッサとメモリとを有する演算器からなる。たとえば、演算器は、マイクロコントローラなどである。また、プロセッサは、たとえば、CPU、MPU、FPGA(FieldProgrammable GateArray)、PLC(Programmable Logic Controller)などからなる。メモリは、ROM、RAM等のプロセッサの内部メモリ、ハードディスクドライブ等の外部メモリなどである。
【0097】
位置制御部341、加減算部342、速度制御部343、重力補償部344、加減算部345、微分部347、FF速度指令生成部348、および、微分部349は、演算器のメモリに格納された所定の制御プログラムを演算器のプロセッサが読み出して実行することによって実現される機能ブロックである。具体的には、演算器が、位置制御部341、加減算部342、速度制御部343、重力補償部344、加減算部345、微分部347、FF速度指令生成部348、および微分部349として動作する。
【0098】
なお、位置制御部341、加減算部342、速度制御部343、重力補償部344、加減算部345、微分部347、FF速度指令生成部348、および、微分部349を、電子回路等のハードウェアにより構成してもよい。
【0099】
(重力補償)
まず、重力補償に関する構成について説明する。重力補償部344は、操作部110により受け付けられたサーボモータSM7a、SM7b、SM7c、SM7d、SM7e、SM7fおよびSM7gの回転角AGに基づいて、操作部110の姿勢を決定する。重力補償部344は、決定した姿勢に基づいて、関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27に発生する重力トルクを打ち消す重力打消しトルクを演算する。重力補償部344は、関節JT21、JT22、JT23、JT24、JT25、JT26およびJT27に発生する重力トルクを打ち消す重力補償量を、重力補償電流指令Igとして出力する。
【0100】
(リンク部の干渉防止制御)
次に、リンク部112aの干渉防止制御に関する構成について説明する。グリップ部112dが操作され、リンク部112cがA26軸線の周りに回転することにより、関節JT26のサーボモータSM7fが回転する。エンコーダEN7fは、サーボモータSM7fの回転を検知し、エンコーダEN7fは、検知した回転角AG26を出力する。位置制御部341は、回転角AG26の第2基準回転位置からの偏差を算出し、偏差を、速度指令v1に変換する。
【0101】
微分部349は、エンコーダEN7fから出力された回転角AG26を微分して回転角速度vf26を生成する。FF速度指令生成部348は、回転角速度vf26に基づいてフィードフォワード制御用の速度指令v2を生成する。
【0102】
エンコーダEN7dは、リンク部112aを駆動するサーボモータSM7dの回転を検知し、検知した回転角AG24を出力する。微分部347は、回転角AG24を微分してフィードバック回転角速度vf24を出力する。
【0103】
加減算部342は、速度指令v1とフィードフォワード制御用の速度指令v2とを加算し、加算した値からフィードバック回転角速度vf24を減算して、速度偏差veを生成する。速度制御部343は、速度偏差veに基づいて電流指令Icを生成する。
【0104】
電流センサCSは、サーボアンプ346が出力する駆動電流CRを検知し、検知した駆動電流CRをフィードバック電流Ifとして加減算部345に出力する。加減算部345は、電流指令Icと重力補償電流指令Igとを加算し、加算した値からフィードバック電流Ifを減算して、電流偏差Ieを生成する。サーボアンプ346は、電流偏差Ieに基づいて駆動電流CRをサーボモータSM7dに出力する。サーボモータSM7dは、駆動電流CRによって動作する。これにより、リンク部112cとリンク部112bとがなす角が所定の角度を維持するようにリンク部112aが回転する。所定の角度は、たとえば、90度である。リンク部112cとリンク部112bとがなす角が所定の角度を維持するようにリンク部112aが回転する操作制御部340による制御を、追従制御と呼ぶ。
【0105】
(位置制御部)
図22に示すように、位置制御部341は、減算部341aと、減速比補正部341bと、1次フィルタ341cと、不感帯部341dと、第1スイッチ部341eと、第2スイッチ部341fと、移動平均部341gと、係数乗算部341hと、を備える。
【0106】
減算部341aは、エンコーダEN7fからの回転角AG26からリンク部112cの第2基準回転位置の回転角AG26(0)を減算し、リンク部112cの回転位置偏差を生成する。第2基準回転位置の回転角AG26(0)は0度である。
【0107】
減速比補正部341bは、関節JT26についての回転位置偏差に対して減速比補正を実行して、関節JT26についての回転位置偏差を、関節JT24の減速比に相当する回転位置偏差に変換する。関節JT26の減速比と関節JT24の減速比とが互いに異なる。このため、関節JT26においてリンク部112cが1回転した場合にエンコーダEN7fが検知する回転角AG26と、関節JT24においてリンク部112aが1回転した場合にエンコーダEN7dが検知する回転角AG24とは、互いに異なる。具体的には、関節JT26の減速比をRR26とし、関節JT24の減速比をRR24とすると、関節JT26の減速比RR26の逆比1/RR26と、関節JT24の減速比RR24の逆比1/RR24との比率に対応して、回転角AG26と回転角AG24とが互いに異なる。そこで、減速比補正部341bは、関節JT26についての回転位置偏差に、RR26/RR24を乗算することにより、関節JT26についての回転位置偏差を、関節JT24の減速比に相当する回転位置偏差に変換する。
【0108】
次に、1次フィルタ341cは、減速比補正部341bにより変換された回転位置偏差から高周波成分を除去する。なお、高周波成分は、操作部110毎に異なるので、操作部110毎に1次フィルタ341cの時定数を調整できるようにしてもよい。この場合、たとえば、図示しない入力部によって所望の時定数の入力が受け付けられてもよい。
【0109】
次に、1次フィルタ341cによって高周波成分が除去された回転位置偏差は、不感帯部341dに入力される。不感帯部341dは、リンク部112cの動作が微小であり、入力された回転位置偏差が微小である場合におけるチャタリングの発生を防止する。不感帯部341dから出力された回転位置偏差は、第1スイッチ部341eおよび第2スイッチ部341fに入力される。第1スイッチ部341eは、操作中フラグf1がONするとONし、操作中フラグf1がOFFするとOFFする。第2スイッチ部341fは、動作範囲フラグf2がONするとONし、動作範囲フラグf2がOFFするとOFFする。
【0110】
操作中フラグf1は、グリップ部112dが操作されていること示すフラグである。前回のサンプリングにおけるリンク部112cの回転位置と、今回のサンプリングにおけるリンク部112cの回転位置との差分が、所定の変化閾値を超えた場合、操作制御部340により、操作部110が操作中であると判定される。操作中フラグf1を使用する理由は以下の通りである。所定の変化閾値は、たとえば、1.0度である。
【0111】
上記のように、操作者がグリップ部112dを操作することにより、リンク部112cが回転すると、リンク部112cが第2基準回転位置に位置するようにリンク部112aが回転する。操作者がグリップ部112dの操作を停止した場合、微小なリンク部112cの回転位置偏差が残存していると、リンク部112aが回転し続ける。このため、操作者は、違和感を覚える。そこで、グリップ部112dが操作されている場合には、操作中フラグf1がONになり、リンク部112aの回転位置のフィードバック制御が行われる。またグリップ部112dの操作が停止されると、操作中フラグf1がOFFになり、リンク部112aの回転位置偏差のフィードバック制御が停止されて、リンク部112aが停止する。これにより、操作者が違和感を覚えることを防止する。
【0112】
動作範囲フラグf2は、リンク部112aが所定の動作範囲にあることを示すフラグである。リンク部112aに構造上の可動範囲が存在するので、その可動範囲を超えないような追従指令を与える必要がある。そこで、リンク部112aとリンク部112bとの干渉防止のために、リンク部112aが追従すべき回転範囲が、動作範囲として設定されている。なお、リンク部112aに構造上の可動範囲が存在しない場合であっても、必要に応じて動作範囲フラグf2を使用してもよい。動作範囲は、操作部110の仕様等に基づいて適宜決定される。
【0113】
移動平均部341gは、第1スイッチ部341eおよび第2スイッチ部341fを通過した回転位置偏差を移動平均する。これにより、第1スイッチ部341eおよび第2スイッチ部341fが動作した場合に生じる回転位置偏差の不連続が抑制される。移動平均された回転位置偏差Xeに所定のゲインを乗算することによって、速度指令v1が生成される。
【0114】
ここで、本実施形態では、追従制御によるリンク部112aのA24軸線の周りの回転量は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。図23に示すように、所定の閾値は、第1閾値Th1と、第1閾値Th1よりも絶対値の大きい第2閾値Th2と、を含む。操作制御部340は、操作部110の軸値より求められるジンバル点GPの座標の変化からジンバル点GPの移動速度を算出し、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、回転位置偏差Xeに乗ずる係数をゼロにする。これによって、追従制御によるリンク部112aの回転量がゼロになる。操作制御部340は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1以上第2閾値Th2未満の場合に、操作部110のジンバル点GPの移動速度の増加とともに回転位置偏差Xeに乗ずる係数を増加させて、追従制御によるリンク部112aの回転量を0から所定の回転量まで増加させる。操作制御部340は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第2閾値Th2以上の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量を、所定の回転量にする。第1閾値Th1は、たとえば、操作部110のジンバル点GPの速度を基準とした場合、20mm/s以上30mm/s以下である。第2閾値Th2は、たとえば、操作部110のジンバル点GPの速度を基準とした場合、100mm/s以上150mm/s以下である。
【0115】
具体的には、本実施形態では、操作制御部340は、リンク部112cの第2基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく回転位置偏差Xeに、所定の係数を乗算した値に基づいて、追従制御を実行する。所定の係数の乗算は、係数乗算部341hにより実行される。所定の係数は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。詳細には、所定の係数は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、ゼロである。所定の係数は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1以上第2閾値Th2未満の場合に、操作部110のジンバル点GPの移動速度の増加とともに0から1まで直線的に増加する。所定の係数は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第2閾値Th2以上の場合、1である。
【0116】
(FF速度指令生成部348の構成)
図24に示すように、FF速度指令生成部348は、不感帯部348aと、第3スイッチ部348bと、第1乗算部348cと、1次フィルタ348dと、第2乗算部348eと、減速比補正部348fと、第3乗算部348gと、を備える。
【0117】
微分部349から出力されたリンク部112cの回転角速度vf26は、不感帯部348aに入力される。不感帯部348aは、グリップ部112dの操作が遅い場合である、回転角速度vf26が微小である場合、速度フィードフォワード制御を無効にする。不感帯部348aから出力された回転角速度vf26は、第3スイッチ部348bに入力される。第3スイッチ部348bは、動作範囲フラグf2がONするとONし、動作範囲フラグf2がOFFするとOFFする。
【0118】
第1乗算部348cは、第3スイッチ部348bを通過した回転角速度vf26に連続化係数を乗算する。図25は、リンク部112aの回転角と、連続化係数と、の関係を示すグラフである。連続化係数とは、速度フィードフォワード制御から位置フィードバック制御ループへ入力される値を調整する第1調整係数である。図25において、横軸は、リンク部112aの回転角を示し、縦軸は連続化係数を示す。
【0119】
図25に示すように、連続化係数は、0から1.0までの値である。連続化係数は、たとえば、リンク部112aの動作下限の近傍において、リンク部112aの回転角が動作下限から大きくなるにしたがって0から1.0まで増大する。そして、連続化係数は、リンク部112aの回転角が動作上限の近傍まで大きくなるまで、一定の1.0の値となる。連続化係数は、動作上限の近傍において、リンク部112aの回転角が動作上限まで大きくなるに従って、1.0から0まで減少する。なお、図25では、リンク部112aの動作下限近傍および動作上限近傍において、連続化係数が直線的に変化するように示されているが、連続化係数は、単調に変化すればよく、曲線的に変化してもよい。
【0120】
図24に示すように、第1乗算部348cには、関節JT24のエンコーダEN7dによって検知されたリンク部112aの回転角AG24が入力される。第1乗算部348cは、入力された回転角AG24に基づいて連続化係数を決定し、決定した連続化係数を、第3スイッチ部348bを通過した回転角速度vf26に乗算する。
【0121】
したがって、リンク部112aが、動作下限外から動作範囲内に回転した場合、第3スイッチ部348bがONして、回転角速度vf26は0から上昇する。また、リンク部112aが、動作上限外から動作範囲内に回転した場合、第3スイッチ部348bがONして、回転角速度vf26は0から上昇する。すなわち、リンク部112aが動作範囲外から動作範囲内に回転した際において、位置フィードバック制御ループへの速度フィードフォワード制御の入力が連続化される。これにより、リンク部112aが動作範囲の外から内に回転した際に、フィードフォワード制御による、位置フィードバック制御ループへの速度フィードフォワード制御の入力が急激に変化して、操作者が操作に違和感を覚えることが防止される。
【0122】
1次フィルタ348dは、連続化係数が乗算された回転角速度vf26から高周波成分を除去する。なお、高周波成分は、操作部110毎に異なるので、1次フィルタ348dの時定数を調整できるようにしてもよい。この場合、たとえば、図示しない入力部によって所望の時定数の入力が受け付けられてもよい。
【0123】
次に、第2乗算部348eは、1次フィルタ348dから出力された回転角速度vf26にFF調整係数を乗算する。図26は、リンク部112bの回転角と、FF調整係数と、の関係を示すグラフである。FF調整係数とは、速度フィードフォワード制御から位置フィードバック制御ループに入力される値を調整する第2調整係数である。図26において、横軸は、リンク部112bの回転角を示し、縦軸は、FF調整係数を示す。
【0124】
図26に示すように、リンク部112bの回転において、第2基準回転位置を0度として、時計回り方向に、最小回転角、最大回転角、及び+90度が定義され、反時計回り方向に、-最小回転角、-最大回転角、および-90度が定義される。FF調整係数は、0から1.0までの値である。FF調整係数は、リンク部112bが時計回りに最小回転角まで回転する間は1.0の値となる。FF調整係数は、リンク部112bが最小回転角から最大回転角まで回転するに従って、最小係数まで直線的に減少する。最小係数は、例えば0.33である。FF調整係数は、リンク部112bが最大回転角から+90度の近傍まで回転する間は最小係数の値となる。FF調整係数は、+90度の近傍において、リンク部112bが+90度まで回転するに従って最小係数から0まで直線的に減少する。また、FF調整係数は、リンク部112bが反時計回りに-最小回転角まで回転する間は1.0の値となる。FF調整係数は、リンク部112bが-最小回転角から-最大回転角まで回転するに従って最小係数まで直線的に減少する。FF調整係数は、リンク部112bが-最大回転角から-90度の近傍まで回転する間は最小係数の値である。FF調整係数は、-90度の近傍において、リンク部112bが-90度まで回転するに従って最小係数から0まで直線的に減少する。リンク部112bの回転角度の絶対値90度以上になった場合、リンク部112aが、リンク部112cの干渉を回避する方向と逆方向に回転してしまうため、リンク部112bの回転角度の絶対値が90度以上では、FF調整係数が0にされる。最小係数、最小回転角、最大回転角は、パラメータであり、タッチパネル130などから入力することが可能である。なお、図26のFF調整係数の変化は一例であり、リンク部112bの回転位置に対するFF調整係数の変化は、これには限定されない。FF調整係数は、リンク部112bの回転位置の-90度から+90度までの変化に対し、ゼロから単調に増加した後、ゼロまで単調に減少するように変化すればよい。
【0125】
図24に示すように、第2乗算部348eには、関節JT25のエンコーダEN7eが検知するリンク部112bの回転角AG25が入力される。第1乗算部348cは、入力された回転角AG25に基づいてFF調整係数を決定し、この決定したFF調整係数を、1次フィルタ348dを通過した回転角速度vf26に乗算する。
【0126】
ここで、グリップ部112dの操作により第1基準回転位置からのリンク部112bの回転角が大きくなると、リンク部112cの第2基準回転位置からの回転に伴うリンク部112aのA24軸線周りの回転量が大きくなる。その際にリンク部112aの回転速度が速いと、操作者が操作に違和感を覚える。以下、違和感について詳細に節笑みする。
【0127】
図27は、リンク部112bが第1基準回転位置から+45度回転した場合のリスト部112の状態を示している。図28は、リンク部112bが第1基準回転位置から+90度回転した場合のリスト部112の状態を示している。図27および図28において、符号PR26は、リンク部112cの回転面に平行な平面を示し、符号PR24は、リンク部112aの回転面に平行な平面を示す。
【0128】
まず、図12に示すように、リスト部112の基準姿勢においては、リンク部112bが第1基準回転位置に位置する。この状態では、リンク部112cの回転軸線である軸線A26がリンク部112aの回転軸線であるA24軸線に一致している。従って、グリップ部112dの操作によりリンク部112cが第2基準回転位置から回転角θだけ回転すると、リンク部112aがリンク部112cの回転と同じ方向に、回転角θと同じ回転角だけ回転する。
【0129】
次に、図27に示すリスト部112の状態では、リンク部112bが第1基準回転位置から+45度回転した回転位置にある。この状態では、軸線A26がA24軸線に対して45度傾いているため、リンク部112cの回転面である平面PR26に平行な平面が、リンク部112aの回転面である平面PR24に平行な平面に対して45度傾いている。したがって、グリップ部112dの操作によりリンク部112cが、第2基準回転位置から回転角θだけ回転すると、リンク部112aが、リンク部112aの回転面である平面PR24に平行な平面において、回転角θ以上の回転角まで回転する。
【0130】
次に、図28に示すリスト部12の状態では、リンク部112bが第1基準回転位置から+90度回転した回転位置にある。この状態では、軸線A26が追従回転軸線A4に対し90度傾いているため、リンク部112cの回転面である平面PR26に平行な平面が、リンク部112aの回転面である平面PR24に平行な平面に対し90度傾いている。したがって、グリップ部112dの操作によりリンク部112cが、第2基準回転位置から回転角θだけ回転すると、リンク部112aがリンク部112aの回転面である平面PR24に平行な平面において、回転角θより相当大きい回転角まで回転する。
【0131】
その際に、リンク部112aの回転速度が速いと、操作者が操作に違和感を覚える。
【0132】
そこで、図24に示すように、第2乗算部348eは、グリップ部112dの操作により第1基準回転位置からのリンク部112bの回転角が大きくなると、リンク部112aのA24軸線周りの回転角速度を抑制するので、操作者が操作に違和感を覚えることを抑制できる。
【0133】
減速比補正部348fは、このFF調整係数が乗算された回転角速度vf26を、減速比補正して、関節JT24の減速比に相当する回転角速度に変換する。この減速比補正は、上述の減速比補正部341bの場合と同様である。
【0134】
第3乗算部348gは、この変換された回転角に所定のゲインを乗じてフィードフォワード制御の速度指令v2を生成する。
【0135】
本実施形態では、上記のように、操作制御部340は、リンク部112cの第2基準回転位置と現在の回転位置との偏差と、リンク部112cの回転速度と、に基づいて、追従制御を実行する。操作制御部340は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、回転速度に基づくリンク部112aの回転量は維持しながら、偏差に基づくリンク部112aの回転量を小さくする。すなわち、位置制御部341は、回転角AG26の第2基準回転位置からの偏差を算出し、偏差を、速度指令v1に変換する。上記のように、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、速度指令v1には、1未満の所定の係数が乗算される。すなわち、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、速度指令v1は小さくされる。FF速度指令生成部348は、リンク部112cの回転速度に基づいて、速度指令v2を生成する。速度指令v1とは異なり、速度指令v2には、1未満の所定の係数は乗算されない。このため、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合でも、回転速度に基づくリンク部112aの回転量は維持される。
【0136】
(遠隔操作装置の制御方法)
図29に示すように、ステップS1において、操作制御部340は、リンク部112cの回転位置偏差が回転偏差閾値より大きいか否か判定する。たとえば、回転偏差閾値は、1.0度である。このステップS1の結果に応じて、位置制御部341の不感帯部341dが動作する。
【0137】
ステップS1においてNoの場合、ステップS9およびS10において、操作中フラグf1および動作範囲フラグf2がOFFされる。また、位置制御部341の第1スイッチ部341e、第2スイッチ部341f、FF速度指令生成部348の第3スイッチ部348bがOFFされる。
【0138】
ステップS1においてYesの場合、操作制御部340は、ステップS2において、リンク部112cの回転位置変化が変化閾値より大きいか否か判定する。回転位置変化は、リンク部112cの前回の回転位置に対する現在の回転位置の差分である。
【0139】
ステップS2においてNoの場合、ステップS7において、操作制御部340は、カウンタのカウントを開始する。そして、ステップS8において、操作制御部340は、カウント値が閾値を超えるか否か判定する。閾値は、たとえば、1000msである。このカウントは、リンク部112cの回転位置変化が変化閾値を超えると停止される。ステップS8において、Noの場合、操作制御部340は、操作部110が操作されたと判定し、ステップS2に戻る。
【0140】
ステップS8においてYesの場合、1000ms以上操作がなく、操作制御部340は、操作部110の操作が停止されたと判定し、ステップS9およびS10において、操作中フラグf1および動作範囲フラグf2がOFFされる。
【0141】
ステップS2においてYesの場合、操作制御部340は、操作部110が操作されている最中であると判定し、ステップS3において、操作中フラグf1をONし、ステップS4において、カウンタのカウント値をクリアする。これにより、位置制御部341の第1スイッチ部341eがONする。
【0142】
ステップS5において、操作制御部340は、リンク部112aが動作範囲にあるか否か判定する。ステップS5においてNoの場合、ステップS10において、動作範囲フラグf2がOFFされる。
【0143】
ステップS5において、Yesの場合、操作制御部340は、ステップS6において、動作範囲フラグf2をONする。
【0144】
これにより、位置制御部341の第2スイッチ部341fおよびFF速度指令生成部348の第3スイッチ部348bがONし、位置フィードバック制御およびフィードフォワード制御が行われる。すなわち、操作制御部340は、リンク部112cの回転位置に基づいて、リンク部112cとリンク部112bとがなす角が所定の角度を維持するようにサーボモータSM7dによりリンク部112aをA24軸線の周りに回転させる追従制御を実行する。ここで、本実施形態では、追従制御によるリンク部112aのA24軸線の周りの回転量は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。すなわち、上記のように、操作制御部340は、リンク部112cの第2基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく速度指令v1に、所定の係数を乗算した値に基づいて、追従制御を実行する。追従制御が実行されることにより、操作者の操作によって、リンク部112cがリンク部112bに向かって回動しても、リンク部112aの回動によってリンク部112cとリンク部112bとがなすが直角になるようにリンク部112bが逃げるので、リンク部112cがリンク部112bと干渉することを防止することができる。
【0145】
(実験)
図30の実線は、操作部110のジンバル点GPの移動速度に応じてリンク部112aのA24軸線の周りの回転量を小さくする本願の構成による、関節JT24の回転角度および電流指令値を示している。図30の点線は、操作部110のジンバル点GPの移動速度に応じてリンク部112aのA24軸線の周りの回転量を小さくしない比較例の構成による、関節JT24の回転角度および電流指令値を示している。図30の一点鎖線は、関節JT26の回転角度を示している。図30では、関節JT26の回転角度が時刻t0から時刻t1まで徐々に増加している。比較例では、追従制御によって、関節JT24を回転させるサーボモータSM7dの電流指令値が時刻t0から時刻t1までに徐々に増加している。一方、関節JT24において発生する摩擦に起因して、関節JT24の回転角は、時刻t0から時刻t1まで略一定である。そして、時刻t1から時刻t2の間において、関節JT24が回転する。その結果、時刻t1から時刻t2の間において、操作者の操作部110の操作に手術器具1が追従できなくなることが確認された。また、関節JT24が回転する、時刻t3から時刻t4の間、および、時刻t5から時刻t5の間においても、操作者の操作部110の操作に手術器具1が追従できなくなることが確認された。
【0146】
一方、図30の実線に示すように、本願では、追従制御において、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が小さい時刻t1からt6までの間において、関節JT26の回転角が増加しても、リンク部112aのA24軸線の周りの回転量がゼロである。このため、操作者の操作部110の操作に手術器具1が追従できることが確認された。
【0147】
[本実施形態の効果]
追従制御によるリンク部112aのA24軸線の周りの回転量は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。これにより、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合のように比較的遅い場合、リンク部112aのA24軸線の周りの回転量が小さくなる。このため、操作部110のジンバル点GPの移動速度が徐々に速くなり、リンク部112aが回転した際でも、リンク部112aの回転量は小さい。すなわち、リンク部112cの回転に追従せずに停止していたリンク部112aが急に大きく回転することが抑制される。その結果、操作部110のジンバル点GPの移動が比較的遅い場合にも、操作者の操作部110の操作に手術器具1が滑らかに追従することができる。
【0148】
操作制御部340は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量をゼロにする。これにより、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合には、リンク部112aの追従制御が実行されないので、リンク部112aが急に大きく回転することに起因して、操作者の操作部110の操作に手術器具1が追従できなくなることを確実に抑制できる。
【0149】
所定の閾値は、第1閾値Th1と、第1閾値Th1よりも絶対値の大きい第2閾値Th2と、を含み、操作制御部340は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量をゼロにし、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1以上第2閾値Th2未満の場合に、追従制御によるリンク部112aの回転量を、操作部110のジンバル点GPの移動速度の増加とともに0から所定の回転量まで増加させ、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第2閾値Th2以上の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量を、所定の回転量にする。これにより、追従制御によるリンク部112aの回転量が0から所定の回転量に急激に変化することが抑制されるので、リンク部112aの回転量が急激に変化することを抑制できる。
【0150】
操作制御部340は、リンク部112cの基準回転位置と現在の回転位置との偏差と、リンク部112cの回転速度と、に基づいて、追従制御を実行し、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、回転速度に基づくリンク部112aの回転量は維持しながら、偏差に基づくリンク部112aの回転量を小さくする。ここで、操作部110のジンバル点GPの移動速度が遅い場合には、リンク部112cの基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく追従制御が支配的になる。そこで、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、回転速度に基づくリンク部112aの回転量は維持しながら、偏差に基づくリンク部112aの回転量を小さくすることによって、リンク部112aの回転量を効果的に小さくすることができる。
【0151】
操作制御部340は、リンク部112cの基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく速度指令に、所定の係数を乗算した値に基づいて、追従制御を実行し、所定の係数は、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも所定の閾値未満の場合の方が小さい。これにより、操作制御部340は、係数を変化させるだけで、容易に、リンク部112aの回転量を変化させることができる。
【0152】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更または変形例が含まれる。
【0153】
上記実施形態では、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量がゼロになる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1未満の場合、追従制御によるリンク部112aの回転量がゼロよりも大きい、ゼロ近傍の大きさでもよい。
【0154】
上記実施形態では、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が第1閾値Th1以上第2閾値Th2未満の場合に、追従制御によるリンク部112aの回転量が、操作部110のジンバル点GPの移動速度の増加とともに0から所定の回転量まで直線的に増加する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、追従制御によるリンク部112aの回転量が、操作部110のジンバル点GPの移動速度の増加とともに0から所定の回転量まで2次関数的、指数関数的など、直線的以外の態様で増加してもよい。
【0155】
上記実施形態では、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、FF速度指令生成部348による回転速度に基づく追従リンク部の回転量は維持しながら、位置制御部341による偏差に基づくリンク部112aの回転量が小さくなる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、操作部110のジンバル点GPの移動速度の絶対値が所定の閾値未満の場合、FF速度指令生成部348による回転速度に基づく追従リンク部の回転量も小さくしてもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、ロボットアーム50が4つ設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボットアーム50の数は、少なくとも1つ以上設けられていれば他の任意の数であってもよい。
【0157】
また、上記実施形態では、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボットから構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、アーム部51およびポジショナ30が7軸多関節ロボット以外の軸構成の多関節ロボットなどから構成されていてもよい。7軸多関節ロボット以外の軸構成とは、例えば、6軸や8軸である。
【0158】
また、上記実施形態では、手術支援ロボット100が、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40とを備えている例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、医療用台車10と、ポジショナ30と、アームベース40は必ずしも必要なく、手術支援ロボット100が、ロボットアーム50だけで構成されてもよい。
【0159】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0160】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0161】
(項目1)
ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、
制御装置と、を備え、
前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、
前記リスト部は、
基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、
基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、
基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、
操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、
前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、
前記制御装置は、前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記操作者の操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、操作装置。
【0162】
(項目2)
前記制御装置は、前記移動速度の絶対値が前記所定の閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにする、項目1に記載の操作装置。
【0163】
(項目3)
前記所定の閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも絶対値の大きい第2閾値と、を含み、
前記制御装置は、
前記移動速度の絶対値が前記第1閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにし、
前記移動速度の絶対値が前記第1閾値以上前記第2閾値未満の場合に、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量を、前記第2リンク部の回転速度の増加とともに0から所定の回転量まで増加させ、
前記移動速度の絶対値が前記第2閾値以上の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量を、前記所定の回転量にする、項目2に記載の操作装置。
【0164】
(項目4)
前記制御装置は、
前記第2リンク部の基準回転位置と現在の回転位置との偏差と、前記第2リンク部の回転速度と、に基づいて、前記追従制御を実行し、
前記移動速度の絶対値が前記所定の閾値未満の場合、前記回転速度に基づく前記追従リンク部の回転量は維持しながら、前記偏差に基づく前記追従リンク部の回転量を小さくする、項目1から項目3までのいずれか1項に記載の操作装置。
【0165】
(項目5)
前記制御装置は、前記第2リンク部の基準回転位置と現在の回転位置との偏差に基づく速度指令に、所定の係数を乗算した値に基づいて、前記追従制御を実行し、
前記所定の係数は、前記移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、項目1から項目4までのいずれか1項に記載の操作装置。
【0166】
(項目6)
先端に手術器具が取り付けられるロボットアームを含む手術装置と、
前記手術器具に対する操作を受け付ける操作部を含む操作装置と、
制御装置と、を備え、
前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、
前記リスト部は、
基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、
基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、
基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、
操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、
前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有し、
前記制御装置は、前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行し、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記操作者の操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、手術支援システム。
【0167】
(項目7)
前記制御装置は、前記移動速度の絶対値が前記所定の閾値未満の場合、前記追従制御による前記追従リンク部の回転量をゼロにする、項目6に記載の手術支援システム。
【0168】
(項目8)
ロボットアームの先端に取り付けられる手術器具に対する操作を受け付ける操作部と、制御装置と、を備え、前記操作部は、アーム部とリスト部とを含み、前記リスト部は、基端部が前記アーム部の先端部に接続され、追従回転軸線の周りに回転する追従リンク部と、基端部が前記追従リンク部の先端部に接続され、第1回転軸線の周りに回転する第1リンク部と、基端部が前記第1リンク部の先端部に接続され、前記第1回転軸線に直交する第2回転軸線の周りに回転する第2リンク部と、操作者の指に把持されるグリップ部材が配置されているとともに、基端部が前記第2リンク部の先端部に接続され、前記第2回転軸線および前記第1回転軸線と直交する第3回転軸線の周りに回転するグリップ部と、前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる駆動部と、を有する、操作装置の制御方法であって、
前記第2リンク部の回転位置を取得することと、
前記第2リンク部の回転位置に基づいて、前記第2リンク部と前記第1リンク部とがなす角が所定の角度を維持するように前記駆動部により前記追従リンク部を前記追従回転軸線の周りに回転させる追従制御を実行することと、を備え、
前記追従制御による前記追従リンク部の前記追従回転軸線の周りの回転量は、前記手術器具に対する操作による前記リスト部の移動速度の絶対値が所定の閾値以上の場合よりも前記所定の閾値未満の場合の方が小さい、操作装置の制御方法。
【符号の説明】
【0169】
1 手術器具
50 ロボットアーム
100 手術支援ロボット(手術装置)
110 操作部
111 アーム部
112 リスト部
112a リンク部(追従リンク部)
112b リンク部(第1リンク部)
112c リンク部(第2リンク部)
112d グリップ部
112e グリップ部材
200 遠隔操作装置(操作装置)
340 操作制御部(制御装置)
500 手術支援システム
A24 軸線(追従回転軸線)
A25 軸線(第1回転軸線)
A26 軸線(第2回転軸線)
A27 軸線(第3回転軸線)
SM7d サーボモータ(駆動部)
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30