(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048222
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】セルスタック及びレドックスフロー電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20240401BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240401BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20240401BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/2475
H01M8/2465
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154140
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】505389547
【氏名又は名称】株式会社岐阜多田精機
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 憲生
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA22
5H126AA28
5H126BB10
5H126DD03
5H126EE11
5H126FF10
5H126GG18
5H126RR01
(57)【要約】
【課題】部品点数を少なくできコスト低減化が可能なこと。
【解決手段】セルスタック100は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成された複数の電池セル110と、電池セル110が複数積層されたその積層方向の両側端部に配置され、集電体128と集電体128がインサートされた枠体125とからなる1対のエンドプレート120A,120Bと、複数積層された電池セル110及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレート120A,120Bからなる積層体130を包囲して一体に封止した樹脂形成部140とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された複数の電池セルと、
前記電池セルが複数積層されたその積層方向の両側端部に配置され、集電体と前記集電体がインサートされた枠体とからなる1対のエンドプレートと、
前記複数積層された電池セル及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレートからなる積層体を包囲して一体に封止した樹脂形成部と
を具備することを特徴とするセルスタック。
【請求項2】
更に、前記エンドプレートの前記集電体に一体に設けられ前記エンドプレートの外面側に突出した通電端子を具備することを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項3】
前記樹脂形成部は、前記セルフレームに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記セルフレーム外側とを連通し前記セルフレーム面に設けた溝状の樹脂流路、並びに、前記エンドプレートに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記エンドプレート外側とを連通し前記エンドプレート面に設けた溝状の樹脂流路に充填された樹脂充填部を有することを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項4】
前記セルフレームは、電解液が流通するマニホールド及び電解液流路を有し、
前記セルフレームの樹脂流路に充填された樹脂充填部は、前記セルフレームのマニホールドと電解液流路の間に位置し、
また、前記エンドプレートは、電解液が流通する貫通孔及び電解液流路を有し、前記エンドプレートの樹脂流路に充填された樹脂充填部は、前記エンドプレートの貫通孔と電解液流路の間に位置することを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項5】
前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側に形成され電解液が給排液される筒状の樹脂形成口部を有することを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項6】
前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側の周縁部に形成された環状の樹脂形成端部を有することを特徴とする請求項1に記載のセルスタック。
【請求項7】
前記樹脂形成部の前記樹脂形成端部は、前記エンドプレートの外面側で前記エンドプレートに係合する樹脂係合部を有することを特徴とする請求項6に記載のセルスタック。
【請求項8】
正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された電池セルを複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレートを配置してなるセルスタックを有するレドックスフロー電池であって、
前記セルスタックの前記1対のエンドプレートは、集電体と前記集電体がインサートされた枠体とからなり、
前記セルスタックは、前記複数積層された電池セル及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレートからなる積層体を包囲して一体に封止した樹脂形成部を有することを特徴とするレドックスフロー電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の出力部である電解セルを積層してなるセルスタック及びそれを用いたレドックスフロー電池に関するものであって、特に、部品点数を少なくできコスト低減化が可能なセルスタック及びそれを用いたレドックスフロー電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の抑制、地球環境の保護から、太陽光発電や風力発電等の再生可能な自然エネルギを利用した発電技術の関心が急速に高まりその導入が推進されているところ、このような発電方法においては出力変動が生じることから、その出力変動を吸収し電力系統を安定化させる技術として電力貯蔵技術(蓄電技術)が注目されている。そして、その蓄電装置と一つとしてレドックスフロー電池が知られている。
レドックスフロー電池は、活物質を溶媒に溶解させた電解液をポンプで循環させ、電解液中のイオンの酸化還元反応によって充放電を行う蓄電池であり、電極や電解液が長寿命で安全性が高いものであるが、その普及のためには低コストが望まれている。
【0003】
このレドックスフロー電池においては、所定の電圧を得るために、複数の電池セル(単セル)を積層したセルスタックの構成を有するのが一般的である。概略的には、隣接するセルフレーム間に正負の電極が隔膜を介して配置されることで1つの電池セル(単セル)が構成され、かかる単セルを複数積層してセルスタックが構成される。
そして、セルスタックの電池セルの正極側に、正極電解液を収容した正極電解液タンクから正極電解液が供給され、また、負極側に、負極電解液を収容した負極電解液タンクから負極電解液が供給され、正負の電極上で酸化反応と還元反応が同時に進められることで充放電が行われる。このとき、正負の電解液は、循環ポンプを使用し電解液タンクと電池セルとの間で循環させている。
【0004】
ここで、従来、レドックスフロー電池のセルスタックは、各セルの積層方向中央に位置する隔膜と、その両側に配置する正負の電極と、正負の電極間に配置される双極板を備えたセルフレームとで構成される電池セルを積層し、その積層方向の両側端部に、集電板や電解液の給液管と排液管を備えた給排液板等を配設し、更にその両側に金属製の加圧板(押さえ板)を配置し、対向する加圧板間で複数の長ボルトを貫通させて金属製のナット等の締結具で締め付けることにより組み立てられることが知られている。
【0005】
そして、従来のセルスタックにおいては、各セルフレーム及び隔膜の間に、液封用のOリングまたは平パッキン等の環状のシール部材を介在させることによって隣接するセルフレーム間を封止して電解液の漏れを防止している。
例えば、特許文献1には、双極板と、前記双極板の外周縁部に対向配置される内周縁部を有する枠体と、前記双極板の外周縁部と前記枠体の内周縁部との間に介在され、前記双極板と前記枠体とに押圧された状態で使用される環状のシール材とを備えた電解液流通型電池用セルフレームの技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2では、隣接するセルフレームの各々が有するフレーム同士を接合して、フレームの内側に電池のセルとなる領域を形成するためのフレームの接合構造であって、前記フレームの間に、当該フレームの周方向に沿って環状に配置される導電性部材と、前記導電性部材に隣接し、前記フレームの一部で構成される融着層とを具え、前記融着層により、隣接するフレーム同士を接合して各フレームの内側領域を密封することが記載されており、セルフレーム同士を溶着する方法で、電解液の漏れを防止することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-006194号公報
【特許文献2】特開2012-104237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1のように、従来、セルスタックのセルフレーム間にシール部材を介在させることによりセルフレーム間を封止するものでは、部品点数、組立工数が多くなるうえ、シール性を担保するためにはシール部材の配置に精密性が要求され、セルスタックの組立作業に手間を要する。また、セルフレーム間にシール部材を介在させるからその分の厚みもでる。更に、シール部材の経年劣化やセルスタック内での充放電時に電解液の内圧や温度変化に起因する捩じれ等の変形や破断によるシール性の低下の懸念もある。
【0009】
一方、特許文献2に提示されたフレームの接合構造であっても、フレーム同士の融着による接合の際には、フレーム間に導電性部材を配置する必要があり、部品点数、工数が多くなるうえ、融着層による確実なシール性を考慮すると、通電部材の配置、組み立て作業には精密性が要求される。また、特許文献2のように、通電による発熱でフレームの融着層を形成するものでは、溶着部分に余肉(バリ)が生じやすいから、溶着の均一性の制御も難しい。更に、セルフレーム間を溶着するからその分の厚みもでる。加えて、セルフレームの対向面を部分的に溶着するものであるから、セルスタックに電解液を循環させる充放電時に電解液の内圧やセルスタック内の温度上昇に起因するセルフレームの熱膨張による生じた応力によっては、その溶着箇所に負荷が掛かることにより、その溶着箇所に亀裂等が生じやすくなり、そこから、電解液が外部に漏洩したり、正極電解液と負極電解液の接触が生じたりする恐れもある。
【0010】
そこで、本発明は、部品点数を少なくできコスト低減化が可能なセルスタック及びレドックスフロー電池の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明のセルスタックは、正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された複数の電池セルと、前記電池セルが複数積層されたその積層方向の両側端部に配置され集電体と前記集電体をインサート成型してなる枠体とからなる1対のエンドプレートとを具備し、前記複数積層された電池セル及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレートからなる積層体を樹脂形成部によって包囲して一体に封止したものである。
【0012】
ここで、上記セルフレームは、正負の電極が配設され、電極に供給する電解液を流通させる流路が形成されているものであり、通常、全体が略矩形状に形成され、例えば、塩化ビニル等で形成されるものである。
上記エンドプレートは、正負の電極と、正負の電極間に配置された隔膜と、正負の電極が配設したセルフレームとから構成された電池セルが複数積層されたその積層方向の両側端部に配置され、集電体とそれがインサートされた枠体とからなるものであり、例えば、集電体をインサート成型することにより集電体及び枠体が一体に形成されるものである。
上記集電体は、前記セルフレームに配設した電極と導通されるもので、外部電源と各電池セルとで電気の入出力を行う導電部材であり、電気抵抗の小さいグラファイト等のカーボンや金属等が使用される。
上記枠体は、集電体がインサートされたものであり、例えば、セルフレームと同じく塩化ビニル等の樹脂等で形成される。
【0013】
そして、上記樹脂形成部は、複数積層された電池セル及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレートからなる積層体の周囲面に形成されて積層体を包囲し、その積層間を封止するものである。例えば、積層体を配置した金型内に液状樹脂を充填、注入する射出成型によって、積層体の周囲に樹脂形成部を形成することができる。この樹脂形成部は、略直方体状をなす積層体の6面の周囲面の全体を包囲していることまでを要求するものではなく、少なくとも、セルフレーム及びエンドプレートの厚み方向で積層される積層方向の両側の2面を除く4面の周囲面全体を覆うことで積層体を一体に封止する。
【0014】
請求項2の発明のセルスタックは、更に、前記エンドプレートの前記集電体に一体に設けられ前記エンドプレートの外面側に突出した通電端子を具備するものである。
上記通電端子は、外部電源と各電池セルを電気的に接続させるための集電体に一体に設けられ外部電源と繋がるリード線等が接続されるものであり、例えば、銅棒等が使用できる。この通電端子は、集電体と一体に成形されたものであってもよいし、ナット等の固定具で集電体に取付けていてもよい。
【0015】
請求項3の発明のセルスタックの前記樹脂形成部は、前記セルフレームに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記セルフレーム外側とを連通し前記セルフレーム面に設けた溝状の樹脂流路、並びに、前記エンドプレートに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記エンドプレート外側とを連通し前記エンドプレート面に設けた溝状の樹脂流路に充填された樹脂充填部を有するものである。
【0016】
上記セルフレームに設けた樹脂用貫通孔は、積層体を包囲して封止した樹脂形成部を形成するための液状樹脂が流通、充填されるものであり、その位置や数や形状は特に限定されない。
上記セルフレーム面に設けた樹脂流路は、セルフレームの表裏の各面に形成され、樹脂用貫通孔とセルフレームの外部とを連通し、樹脂用貫通孔に流通した液状樹脂をセルフレームの外部に流通させるものであり、樹脂形成部を形成するための液状樹脂が流通、充填されるもので、その形状は特に限定されない。
上記エンドプレートに設けた樹脂用貫通孔は、セルフレームに設けた樹脂用貫通孔と対応し、積層体を包囲して封止した樹脂形成部を形成するための液状樹脂が流通、充填されるものであり、その位置や数や形状は特に限定されない。
上記エンドプレート面に設けた樹脂流路は、エンドプレートの表裏の各面に形成され、樹脂用貫通孔とエンドプレートの外部とを連通し、樹脂用貫通孔に流通した液状樹脂をエンドプレートの外部に流通させるものであり、樹脂形成部を形成するための液状樹脂が流通、充填されるもので、その形状は特に限定されない。
【0017】
そして、上記樹脂充填部は、積層体を包囲した樹脂形成部と一体で、セルフレーム及びエンドプレートに設けた樹脂用貫通孔及び樹脂流路に形成されたものである。この樹脂充填部は、セルフレーム及びエンドプレート内に液状樹脂を流通させる樹脂用貫通孔及び樹脂流路を設け、金型内で積層体のエンドプレートの樹脂用貫通孔から液状樹脂を注入、充填し、エンドプレートの樹脂用貫通孔及び樹脂流路並びにセルフレームの樹脂用貫通孔及び樹脂流路を通って、セルフレーム及びエンドプレートの外周に液状樹脂を行き渡らせることで、それらの外周に形成された樹脂形成部と一体に、セルフレーム及びエンドプレートに設けた樹脂用貫通孔及び樹脂流路に液状樹脂が充填されたことによって形成されたものである。
【0018】
請求項4の発明のセルスタックは、前記セルフレームにおいて、電解液を流通するマニホールド及び電解液流路を有し、前記セルフレームの樹脂流路に充填された樹脂充填部が、前記セルフレームのマニホールドと電解液流路の間に位置し、また、前記エンドプレートにおいて、電解液が流通する貫通孔及び電解液流路を有し、前記エンドプレートの樹脂流路に充填された樹脂充填部が、前記エンドプレートの貫通孔と電解液流路の間に位置するものであり、前記樹脂充填部が、前記マニホールドや前記貫通孔と、前記セルフレームや前記エンドプレートに形成されている電解液流路との間に形成されているものである。
【0019】
請求項5の発明のセルスタックの前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側に形成され前記電解液が給排液される筒状の樹脂形成口部を有するものである。
上記樹脂形成口部は、積層体の積層方向の両側の外面側、即ち、エンドプレートのセルフレーム対向面側とは反対面側に形成されたものであり、エンドプレートに形成され電解液が流通する貫通孔及びセルフレームに形成され電解液が流通するマニホールドの位置と対応し、電解液を収容する電解液タンクからポンプによってセルスタックに供給される電解液の給液用の管材や電解液タンクにセルスタックから電解液を送排する管材が接続され、外部から電解液が給液され、また、外部に電解液を排液するものである。
【0020】
請求項6の発明のセルスタックの前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側の周縁部に形成された環状の樹脂形成端部を有するものである。
上記樹脂形成端部は、積層体の積層方向の両側の外面側、即ち、エンドプレートのセルフレーム対向面側とは反対面側に形成されたものであり、樹脂形成部を形成するための液状樹脂がエンドプレートの外周囲から外面側に向かって流れこむことにより、エンドプレートの外面側の周縁部に環状に形成されたものである。
【0021】
請求項7の発明のセルスタックの前記樹脂形成部の樹脂形成端部は、前記エンドプレートの外面側で前記エンドプレートに係合する樹脂係合部を有するものである。
上記樹脂係合部は、例えば、エンドプレートの外面の周縁部に環状の溝部を設け、樹脂形成部を形成するための液状樹脂がエンドプレートの外周囲からエンドプレートの外面側に設けた溝部に流れ込んでそこに充填されることによりエンドプレートに係合する。
【0022】
請求項8の発明のレドックスフロー電池は、正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された電池セルを複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレートを配置してなるセルスタックを有し、前記セルスタックの前記1対のエンドプレートは、集電体と前記集電体がインサートされた枠体とからなり、前記セルスタックは、前記複数積層された電池セル及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレートからなる積層体を樹脂形成部によって包囲して一体に封止したものである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明に係るセルスタックによれば、正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された電池セルを複数積層し、前記電池セルの積層方向の両側端部に1対のエンドプレートを配置してなる積層体の周囲、即ち、積層されたセルフレーム及びエンドプレートの外周囲を樹脂形成部で一体に包囲することにより、その樹脂形成部によって積層体を一括して封止している。
【0024】
したがって、積層されたセルフレーム及びエンドプレートの外周囲を樹脂形成部によって一体に包囲して一括して封止するものであり、セルフレーム面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることにより部品数、工数を少なくできる。よって、低コスト化を図ることができる。
特に、電池セルの積層方向の両側端部に配置する1対のエンドプレートの枠体に集電体がインサートされているものであり、集電体の周囲でなく集電体をインサートした枠体の周囲で樹脂形成部が形成されるから、樹脂製等の枠体であれば、樹脂形成部との密着性を高くできる。
【0025】
請求項2の発明に係るセルスタックによれば、更に、前記エンドプレートの前記集電体に一体に設けられ前記エンドプレートの外面側に突出した通電端子を具備するから、請求項1に記載の効果に加えて、外部電源との電気的接続を容易にできる。
【0026】
請求項3の発明に係るセルスタックによれば、前記樹脂形成部は前記セルフレームに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記セルフレーム外側とを連通し前記セルフレームに設けた溝状の樹脂流路、並びに、前記エンドプレートに設けた樹脂用貫通孔及び当該樹脂用貫通孔と前記エンドプレート外側とを連通し前記エンドプレートに設けた溝状の樹脂流路に充填された樹脂充填部を有するから、請求項1に記載の効果に加えて、セルフレームやエンドプレートの位置ずれや変形を防止でき、セルフレームやエンドプレートの位置ずれや変形による正負の電解液の混合、漏洩を防止できる。
【0027】
請求項4の発明に係るセルスタックによれば、セルフレームの樹脂流路に充填された樹脂充填部が、セルフレームのマニホールドと電解液流路の間に位置し、また、エンドプレートの樹脂流路に充填された樹脂充填部が、エンドプレートの貫通孔と電解液流路の間に位置するから、セルフレームにおいてマニホールド外に電解液が食み出した場合でも、樹脂充填部とセルフレーム面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを阻止することができる。また、エンドプレートにおいても、貫通孔外に電解液が食み出た場合でも、樹脂充填部とエンドプレート面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを阻止することができる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、電池容量の低下を防止できる。
【0028】
請求項5の発明に係るセルスタックによれば、前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側に形成され前記電解液を給排液する筒状の樹脂形成口部を有するから、積層体の封止と共に、セルスタックに流通させる電解液の給排液口部を同時に形成できることにより、請求項1に記載の効果に加えて、生産効率が良いものである。
【0029】
請求項6の発明に係るセルスタックによれば、前記樹脂形成部は、前記エンドプレートの外面側でその周縁部に形成された環状の樹脂形成端部を有するから、請求項1に記載の効果に加えて、シール性の信頼性が向上する。
【0030】
請求項7の発明に係るセルスタックによれば、前記樹脂形成部の樹脂形成端部は、前記エンドプレートの外面側で前記エンドプレートに係合する樹脂係合部を有するから、請求項6に記載の効果に加えて、前記樹脂形成部の剥離が生じ難く、耐久性を高めることができる。
【0031】
請求項8の発明に係るレドックスフロー電池によれば、それを構成するセルスタックにおいて、正負の電極と、前記正負の電極間に配置された隔膜と、前記正負の電極が配設したセルフレームとから構成された電池セルを複数積層し、前記電池セルの積層方向の両側端部に1対のエンドプレートを配置してなる積層体の周囲、即ち、積層されたセルフレーム及びエンドプレートの外周囲を樹脂形成部で一体に包囲することにより、その樹脂形成部によって積層体を一括して封止している。
【0032】
したがって、積層されたセルフレーム及びエンドプレートの外周囲を樹脂形成部によって一体に包囲して一括して封止するものであり、セルフレーム面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることにより部品数、工数を少なくできる。よって、低コスト化を図ることができる。
【0033】
特に、電池セルの積層方向の両側端部に配置する1対のエンドプレートの枠体に集電体がインサートされているものであり、集電体の周囲でなく集電体をインサートした枠体の周囲で樹脂形成部が形成されるから、樹脂製等の枠体であれば、樹脂形成部との密着性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態のセルスタックの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態のセルスタックの構成を説明する断面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態のセルスタックの構成を説明する部分構成図であ る。
【
図4】
図4(a)は本発明の実施の形態のセルスタックの形成に使用されるセルフ レームの一方面(正極面)側の説明図であり、
図4(b)は、その他方面(負極面)側 の説明図である。
【
図5】
図5(a)は本発明の実施の形態のセルスタックの形成に使用される1対の エンドプレートの一方のエンドプレートの一方面(外面)側の説明図であり、
図5(b )は、その他方面(内面、負極面)側の説明図である。
【
図6】
図6(a)は本発明の実施の形態のセルスタックの形成に使用される1対の エンドプレートの他方のエンドプレートの一方面(外面)側の説明図であり、
図6(b )は、その他方面(内面、正極面)側の説明図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態のセルスタックを形成する積層体の構成を説明す る断面図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態のセルスタックの組立てを説明する説明図である 。
【
図9】
図9(a)は本発明の実施の形態のセルスタックの樹脂形成部を形成するた めの液状樹脂がセルフレームに流通し、その周囲に行き渡る状態を説明するセルフレー ムの一方面(正極面)側の説明図であり、
図9(b)は、その他方面(負極面)側の説 明図である。
【
図10】
図10(a)は本発明の実施の形態のセルスタックの樹脂形成部を形成す るための液状樹脂がエンドプレートに流通し、その周囲に行き渡る状態を説明するエン ドプレートの一方面(外面)側の説明図であり、
図10(b)は本発明の実施の形態の セルスタックの樹脂形成部を形成するための液状樹脂がエンドプレートに流通し、その 周囲に行き渡る状態を説明するエンドプレートの他方面(内面)側の説明図である。
【
図11】
図11は本発明の実施の形態のセルスタックのエンドプレートに樹脂形成 部が形成された状態を説明する
図10(a)のA-A拡大断面図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態のセルスタックに樹脂形成部を形成するため の液状樹脂が積層体に流通し、その周囲に行き渡る状態を説明する説明図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態のセルスタックに形成された樹脂形成部を説 明する説明図である。
【
図14】
図14(a)は本発明の実施の形態のセルスタックを構成するセルフレー ムの変形例1の一方面(正極面)側の説明図であり、
図4(b)は、その他方面(負極 面)側の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0036】
[実施の形態]
まず、レドックスフロー電池の概略構成について説明する。
レドックスフロー電池は、活物質イオンが溶解した電解液のタンク、正負の電極101と正負の電極101を隔てる隔膜103とを備え電解液を反応させて充放電を行う電池セル部(流通型電解槽)、及び、タンクと電池セル部との間で電解液を循環させるポンプ、配管等から構成されており、正極側の電極101に正極電解液を供給すると共に、負極側の電極101に負極電解液を供給し、それら正負の電極上で酸化反応と還元反応を同時に進めることによって充放電を行うものである。
【0037】
電池反応を行う電池セル部は、実用的な電圧を得るために、電池セル(単セル)110が複数個積層されたセルスタック100から構成される。電池セル110は、負極と正極の電極101によりイオン交換膜からなる隔膜103を挟んで構成されおり、それぞれの電極101に活物質を含んだ電解液がポンプによってタンクから供給されることにより、酸化還元反応を生じることで充放電を行う。
【0038】
電解液としては、特に限定されず、酸化還元反応を行うイオン性活物質を電気伝導する水系または非水系の溶媒に溶解させた溶液(懸濁、分散液を含み、液状またはスラリー状を問わない)が使用され、例えば、鉄-クロム系(Fe/Cr系)、バナジウム系(V/V系)、チタン-マンガン系(Ti/Mn系)等の金属イオン活物質を水系溶媒(例えば、硫酸、塩酸等の無機溶媒)に含んだ溶液や、臭素、ヨウ素、キノン系の有機物等の非金属イオンを活物質として水系溶媒(例えば、硫酸、塩酸等の無機溶媒)に含んだ溶液や、金属錯体系、ポリ酸等の金属イオン活物質を非水系溶媒(例えば、有機物溶媒)に含んだ溶液や、ラジカル系、キノン系の有機物等を活物質として水系溶媒(例えば、有機物溶媒)に含んだ溶液が使用できる。
【0039】
活物質がバナジウム系(V/V系)の電解液としては、例えば、硫酸バナジウム水溶液を用いることができ、バナジウム系電解液の場合には、充電時に正極に電流が流入して正極電解液の4価のVイオンが5価に酸化され、負極側の負極電解液の3価のVイオンが2価に還元されることにより充電される。放電時には、その逆の反応が生じ、電力として取り出される。
【0040】
ここで、本発明の実施の形態のセルスタック100について、
図1乃至
図13を参照して説明する。
本実施の形態において、レドックスフロー電池に適用されるセルスタック100は、正負の電極101と、正負の電極101に供給する電解液を流通させる流路を形成したセルフレーム1と、正負の電極101間に介在する隔膜103とを有する電池セル(最小単位の単セル)110を繰り返し積層し、その積層方向の両側に1対のエンドプレート120A,120Bを配設し、それら積層体130を所定の金型内に入れてその金型内で積層体130の周囲に液状樹脂140Aが行き渡るように液状樹脂140Aを充填して金型内で加熱固化し積層体130の周囲に樹脂形成部140を形成することにより、樹脂形成部140により積層体130の層間を一体に封止したものである。
【0041】
レドックスフロー電池において、セルスタック100を構成する各電池セル110は、電極101が配設するセルフレーム1によって互いに区画されており、隣接するセルフレーム1間には隔膜103が配置されている。
隔膜103を挟んで正極と負極に分けられる電極101は、不活性電極であり、炭素材料(カーボン材)が使用され、例えば、カーボンクロス、カーボンフェルト、カーボンペーパー等の多孔質の炭素繊維集合体が用いられる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維等が使用される。しかし、粒状、球状、タブレット状、ペレット状等の炭素材料を使用することも可能である。
【0042】
セルフレーム1は、後述するように、内周に正極及び負極の電極101が配設される電極配設部105を有し、電極配設部105の周囲に樹脂製の枠体5が形成されたものであり、その枠体5には、正負の電極に供給する電解液を流通させる流路31,32,41,42を設けている。
隔膜103としては、例えば、イオン交換膜が使用される。隔膜103は、電極101の面積以上であればよいが、セルフレーム1の面積と略同等面積に対応させる場合には、セルフレーム1のマニホールド11,12,21,22やエンドプレート120A,120Bの貫通孔211,212,221,222に対応して電解液が流通する孔411,412,421,422が設けられる。また、セルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dやエンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,252B,252C,252Dに対応して液状樹脂140Aが流通する樹脂用貫通孔451,452,453,454が設けられる。なお、セルフレーム1の面積と略同等面積に対応させる場合には、隔膜103の周囲に図示しない保護材(支持材)を配置し、セルフレーム1の流路を保護してもよい。
【0043】
そして、本実施の形態のセルスタック100では、電極101が配設するセルフレーム1及び隔膜103からなる電池セル(単セル)110を複数積層し、更に、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置することで構成される積層体130に対しその周囲面を樹脂形成部140で被覆、包囲してまとめている。
【0044】
即ち、本実施の形態のセルスタック100は、電池セル(単セル)110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配設してなる積層体130を、所定の金型内に入れてその金型内で積層体130の周囲に液状樹脂140Aが行き渡るように液状樹脂140Aを充填して、金型内で加熱固化させることにより、積層体130の周囲に樹脂形成部140を一体に形成し、封止したものである。
【0045】
ここで、本実施の形態のセルスタック100の樹脂形成部140を積層体130の周囲に形成する方法について説明する。
本実施の形態のセルスタック100においては、積層体130の周囲に樹脂形成部140を形成するための液状樹脂140Aを流通させる樹脂用貫通孔151A,151B,151C,152D及び溝状(凹部状)の樹脂流路152A,152B,152C,152Dを各セルフレーム1に形成している。また、各エンドプレート120A,120Bにも液状樹脂140Aを流通させるための樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び溝状(凹部状)の樹脂流路252A,252B,252C,252Dを形成している。そして、所定の金型内において、セルスタック100のエンドプレート120A,120Bに設けた樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから液状樹脂140Aを注入、充填していき、各セルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,152D及び樹脂流路152A,152B,152C,152D並びにエンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dに液状樹脂140Aを流通させて、各セルフレーム1及び各エンドプレート120A,120Bの外周に液状樹脂140Aを行き渡せることで、それらセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの積層体130の周囲に樹脂形成部140を形成したものである。
【0046】
本実施の形態のセルフレーム1の詳細を、主に
図4及び
図9を参照して説明すると、セルフレーム1は、その中央部に電極101が配設する電極配設部105とその外周に設けた枠体5とで全体形状が全辺の対向する2辺を同一長さとした4辺E1,E2,E3,E4を有する略矩形状に形成されたものである。
【0047】
電極配設部105は、正極及び負極の電極101を配設し、正極及び負極間で電解液を混合させない構成であれば特に問われず、例えば、双極板を介して正負の電極101を配設する構造とすることもできるし、枠体5に電極101を一体に設けてもよい。
セルフレーム1の枠体5には、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素、エポキシ等の樹脂やゴム等の絶縁材料からなり、電解液に対する耐性(耐薬品性、耐酸性等)を有するものが使用される。
【0048】
そして、本実施の形態のセルフレーム1は、電極配設部105の周囲の枠体5において、その矩形状の四隅の角部に、表裏を貫通した(厚みを貫通した)円形状の貫通孔であるマニホールド11,12,21,22が形成されている。具体的には、正極電解液が流通する正極側給液用マニホールド11及び正極側排液用マニホールド21と、負極電解液が流通する負極側給液用マニホールド12及び負極側排液用マニホールド22とを設けている。
これより、複数のセルフレーム1を積層した状態では、各セルフレーム1の枠体5のマニホールド11,12,21,22が連続した状態となることで、これらマニホールド11,12,21,22により積層方向に電解液の流路が形成される。
【0049】
なお、本実施の形態において、正極側給液用マニホールド11、負極側給液用マニホールド12、正極側排液用マニホールド21、負極側排液用マニホールド22は、何れも同一寸法形状に形成され、また、セルフレーム1の仮想縦中心線(図示せず)及び仮想横中心線(図示せず)を対称軸として、互いに左右及び上下の対称位置関係にある。正極側給液用マニホールド11及び正極側排液用マニホールド21はセルフレーム1の対角関係にあり、負極側給液用マニホールド12及び負極側排液用マニホールド22もセルフレーム1の他の対角関係にある。
【0050】
即ち、矩形状のセルフレーム1の対角する2角部(互いに隣接する2辺E1及びE4が交差することによって形成される角部と、互いに隣接する2辺E2とE3とが交差することによって形成される角部)に正極側給液用マニホールド11及び正極側排液用マニホールド21が位置し、別の対角する2角部(互いに隣接する2辺E1及びE2が交差することによって形成される角部と、互いに隣接する2辺E3とE4とが交差することによって形成される角部)に負極側給液用マニホールド12及び負極側排液用マニホールド22が位置する。
矩形状のセルフレーム1の下部において左右に対向する2角部に正極側給液用マニホールド11及び負極側給液用マニホールド12が位置し、上部において対向する2角部に正極側排液用マニホールド21及び負極側排液用マニホールド22が位置する。即ち、正極側給液用マニホールド11と負極側給液用マニホールド12とはセルフレーム1の縦中心線(図示しない)を対称軸として対称位置関係にあり、正極側排液用マニホールド21及び負極側排液用マニホールド22もセルフレーム1の縦中心線(図示しない)を対称軸として対称位置関係にある。
矩形状のセルフレーム1の左右の一方で上下に対向する2角部に正極側給液用マニホールド11及び負極側排液用マニホールド22が位置し、左右の他方で上下に対向する2角部に負極側給液用マニホールド12及び正極側排液用マニホールド21が位置する。
【0051】
また、セルフレーム1の枠体5の正極側の面には、電極配設部105と正極側給液用マニホールド11と間でそれらを連通する溝状(凹部状)の正極側導入流路31が形成され、更に、電極配設部105と正極側排液用マニホールド21との間にもそれらを連通する溝状(凹部)の正極側排出流路41が形成されている。
同様に、枠体5の負極側の面にも、電極配設部105と負極側給液用マニホールド12との間でそれらを連通する溝状(凹部状)の負極側導入流路32が形成され、また、電極配設部105と負極側排液用マニホールド22との間でそれらを連通する溝状の負極側排出流路42が形成されている。
【0052】
これより、正極電解液を収容した正極電解液タンクからポンプによって送給される正極電解液は、管を介して、セルスタック100の積層方向の両側に配置する後述の1対のエンドプレート120A,120Bに形成された電解液入出力部である正極電解液供給側の樹脂形成口部141A,141Bを通って各セルフレーム1の枠体5に形成された正極側給液用マニホールド11からなる流路を流通し、更に、その正極側給液用マニホールド11を介して、各セルフレーム1の枠体5に形成された正極側給液用マニホールド11と電極配設部105とを連通する溝状の正極側導入流路31に流れ込み、正極側導入流路31を流通する。そして、正極側導入流路31を流通した正極電解液は、セルフレーム1の電極配設部105の正極の電極101に流れ込み、その電極101上で電池反応する。また、電極101を下側から上側に通過した正極電解液は、各セルフレーム1の枠体5に形成された正極側排液用マニホールド21と電極配設部105とを連通する溝状の正極側排出流路41を流通し、正極側排液用マニホールド21から排出される。正極側排液用マニホールド21から排出された正極電解液は各セルフレーム1の枠体5に形成された正極側排液用マニホールド21からなる流路を流通し、後述の1対のエンドプレート120A,120Bに形成された電解液入出力部である負極電解液排出側の樹脂形成口部141C,141Dを通って正極電解液タンクに戻される。
【0053】
同様に、負極電解液を収容した負極電解液タンクからポンプによって送給される負極電解液においても、管を介して、セルスタック100の積層方向の両側に配置する後述の1対のエンドプレート120A,120Bに形成された電解液入出力部である負極電解液供給側の樹脂形成口部141A,141Bを通って各セルフレーム1の枠体5に形成された負極側給液用マニホールド12からなる流路を流通し、更に、その負極側給液用マニホールド12を介して、各セルフレーム1の枠体5に形成された負極側給液用マニホールド12と電極配設部105とを連通する溝状の負極側導入流路32に流れ込み、負極側導入流路32を流通する。そして、負極側導入流路32を流通した負極電解液は、セルフレーム1の電極配設部105の負極の電極101に流れ込み、その電極101上で電池反応する。また、電極101を下側から上側に通過した負極電解液は、各セルフレーム1の枠体5に形成された負極側排液用マニホールド22と電極配設部105とを連通する溝状の負極側排出流路42を流通し、負極側排液用マニホールド22から排出される。負極側排液用マニホールド22から排出された負極電解液は各セルフレーム1の枠体5に形成された負極側排液用マニホールド22からなる流路を流通し、後述の1対のエンドプレート120A,120Bに形成された電解液入出力部である負極排出側の樹脂形成口部141C,141Dを通って負極電解液タンクに戻される。
【0054】
なお、正極側給液用マニホールド11と負極側給液用マニホールド12とは、正極電解液か負極電解液の流路の違いであり、基本的構造は同一であるから、以下、特段に区別しないときは、単に給液用マニホールド11,12とする。正極側排液用マニホールド21と負極側排液用マニホールド22についても、同様であるから、以下、特段に区別しないときは、単に排液用マニホールド21,22とする。
また、正極側導入流路31と負極側導入流路32についても、正極電解液か負極電解液の流路の違いであり、基本的構造は同一であるから、以下、特段に区別しないときは、単に導入流路31,32とする。正極側排出流路41と負極側排出流路42についても、同様であるから、以下、特段に区別しないときは、単に排出流路41,42とする。
【0055】
ところで、
図4等においては、電極配設部105と給液用マニホールド11,12を連通する導入流路31,32は、給液用マニホールド11,12側から電極配設部105の横方向(幅方向)、即ち、電極配設部105の周囲の枠体5の内周の左右方向に対向する1対の内周端縁部に向かって徐々に幅広に形成され、給液用マニホールド11,12から供給された電解液をセルフレーム1の横方向(幅方向)及び導入流路31,32と対向する排出流路41,42が形成された上側に向かって案内し、電極配設部105の電極101に供給する。また、その途中には、電解液の逆流を防止する逆流防止部60を設けている。
また、電極配設部105と排液用マニホールド21,22を連通する排出流路41,42は、電極配設部105側から排液用マニホールド21,22に向かって徐々に幅狭に形成され、電極101を通過した電解液を、セルフレーム1の上側及びセルフレーム1の長手方向に案内し、排液用マニホールド21,22から排出させる。また、その途中には、電解液の逆流を防止する逆流防止部70を設けている。
【0056】
図4等に示したセルフレーム1によれば、マニホールド11,12,21,22と電極配設部105と間で電解液を流通させる流路31,32,41,42は、マニホールド11,12,21,22側から電極配設部105の周囲の枠体5の内周の幅と一致する幅広に拡幅されていることにより、流路31,32,41,42の幅がマニホールド11,12,21,22より径大であり、また、流路長も短いものであるから、そこを流通する電解液の流体抵抗を小さくでき、セルフレーム1に送給する電解液の圧力損失の低減化を可能とする。そのうえ、その流路31,32,41,42の途中には電解液の逆流を防止する逆流防止部60,70を設けたことで、電解液を通じでの電流損失(シャントカレントロス)を小さくすることができる。
したがって、
図4等に示すセルフレーム1によれば、電解液を低圧力損失で電極に供給でき、かつ、シャント電流損失も低減化できる。よって、レドックスフロー電池の高出力化を可能とする。
しかし、本発明を実施する場合には、電解液の流路の構成は上記に限定されるものではない。
【0057】
更に、本実施の形態のセルフレーム1においては、
図4等に示したように、流路31,32,41,42には、マニホールド11,12,21,22との接続端部に複数本のリブ115を形成している。これにより、マニホールド11,12,21,22の周囲を補強し、マニホールド11,12,21,22に流通する電解液や液状樹脂140Aの内圧によるセルフレーム1の変形を防止する。また、複数本のリブ115によって、セルスタック100において隣接するセルフレーム1間に配置される隔膜103を押え隔膜103の位置ずれを防止する。特に、本実施の形態では、セルフレーム1の表裏の各面において対角する2個所にリブ115が設けられ、隔膜103を挟み込んで対向するセルフレーム1同士の各2個所のリブ115によって、隔膜103の4隅(4箇所)の角部でリブ115により押さえられることで、隔膜103の位置ずれが防止される。更に、電解液や液状樹脂140Aの内圧で流路31,32,41,42の凹部に隔膜103が落ち込むのを防止し、隔膜103の落ち込みによる損傷を防止し隔膜103を長持ちさせることができる。
【0058】
なお、
図4等に示したリブ115は、流路31,32,41,42を複数に分割して突条に形成されており、マニホールド11、12の周囲面よりも低い位置に形成された溝底に突設している。これより、流路31,32,41,42には、突条のリブ115による分割によって互いに平行な複数の分岐溝が形成されている。また、
図4等においては、流路31,32,41,42を形成する流路形成壁と略同じ高さで3本の突条のリブ115が31,32,41,42に形成されていることにより、マニホールド11,12,21,22を形成する周囲壁の高さの1/2以下の深さの分岐溝が互いに並行に4本形成されている。よって、給液用マニホールド11,12から導入された電解液が四股に分岐して分岐溝に流通することになる。しかし、本発明を実施する場合には、3本のリブ115に限定されず、1本または2本、或いは4本以上であってもよい。
【0059】
そして、本実施の形態において、樹脂形成部140を有するセルスタック100の形成に使用されるセルフレーム1は、枠体5において、その外周囲に樹脂形成部140を形成するための液状樹脂140Aを流通させる円形状の小径の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び溝状(凹部状)の樹脂流路152A,152B,152C,152Dを設けている。
【0060】
液状樹脂140Aを流通させるための樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dは、セルフレーム1の枠体5の表裏面(厚み方向)を貫通して形成され、電池の充放電時に電解液が流通する給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22よりも小径で、給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22の近傍(セルフレーム1の角側とは反対側の近傍)に設けられている。
図4等のセルフレーム1においては、正極側給液用マニホールド11と導入流路31,32との間で樹脂用貫通孔151Aが形成され、正極側排液用マニホールド21と排出流路41,42の間で樹脂用貫通孔151Cが形成されている。また、負極側給液用マニホールド12と導入流路31,32の間で樹脂用貫通孔151Bが形成され、また、負極側排液用マニホールド22と排出流路41,42の間で樹脂用貫通孔151Dが形成されている。
【0061】
更に、電池の充放電時に正極電解液が流れる方のセルフレーム1の枠体5の正極側の面において、セルフレーム1の対角する2角部に設けた負極側給液用マニホールド12及び負極側排液用マニホールド22と、導入流路31及び排出流路41と間に、溝状(凹部状)の樹脂流路152B、152Dが形成されている。
【0062】
具体的には、
図4(a)等に示すように、セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E1及び辺E2が交差することによって形成される角部に設けられた負極側給液用マニホールド12と正極側導入流路31との間に形成された樹脂流路152Bは、負極側給液用マニホールド12とセルフレーム1の縦方向の辺E2とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の辺E2に対し略直角に交わるように形成されている。
セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E3及び辺E4が交差することによって形成される角部に設けられた負極側排液用マニホールド22と正極側排出流路41との間に形成された樹脂流路152Dは、樹脂用貫通孔151Dとセルフレーム1の縦方向の辺E4とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の辺E4に対し略直角に交わるように形成されている。
【0063】
同様に、電池の充放電時に負極電解液が流れる方のセルフレーム1の枠体5の負極側の面において、セルフレーム1の対角する2角部に設けた正極側給液用マニホールド11及び負極側給液用マニホールド21と、導入流路32及び排出流路42と間に、溝状(凹部状)の樹脂流路152A、152Cが形成されている。
【0064】
具体的には、
図4(b)等に示すように、セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E1及び辺E4が交差することによって形成される角部に設けられた正極側給液用マニホールド11と負極側導入流路32との間に形成された樹脂流路152Aは、樹脂用貫通孔151Aとセルフレーム1の縦方向の辺E4とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の辺E4の各辺に対し略直角に交わるように形成されている。
セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E2及び辺E3が交差することによって形成される角部に設けられた正極側排液用マニホールド21と負極側排出流路42との間に形成された樹脂流路152Cは、樹脂用貫通孔151Cとセルフレーム1の縦方向の辺E2とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の辺E2に対し略直角に交わるように形成されている。
【0065】
これより、複数のセルフレーム1を積層した状態では、各セルフレーム1の枠体5に形成された各樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dが連続した状態となることで、これら各樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dによってセルフレーム1の積層方向に液状樹脂140Aの流路が形成される。
そして、各セルフレーム1の枠体5には、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dとセルフレーム1の外縁とを連通する溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152Dが形成されていることにより、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dを流通する液状樹脂140Aは、各セルフレーム1の枠体5に形成された樹脂流路152A、152B、152C、152Dを通って各セルフレーム1の外周の周囲に流れ込み、セルフレーム1の外縁端面の4つの辺E1、E2、E3、E4の周囲全体に行き渡ることになる。
即ち、
図9及び
図12に示すように、各セルフレーム1に形成された樹脂用貫通孔151Aを流通する液状樹脂140Aは、セルフレーム1の面に形成された溝状の樹脂流路152Aを介してセルフレーム1の外縁の辺E4側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Bを流通する液状樹脂140Aは、セルフレーム1の面に形成された溝状の樹脂流路152Bを介して辺E2側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Cを流通する液状樹脂140Aは、セルフレーム1の面に形成された溝状の樹脂流路152Cを介して辺E2側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Dを流通する液状樹脂140Aは、セルフレーム1の面に形成された溝状の樹脂流路152Dを介して辺E4側に流れ込む。そして、樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aを通って辺E4側に流れ込んだ液状樹脂140A、また、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bを通って辺E2側に流れた液状樹脂140Aは、セルフレーム1の辺E4に隣接する辺E1側にも流れ込み、セルフレーム1の辺E1上で合流する。樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cを通って辺E2側に流れ込んだ液状樹脂140A、また、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dを通って辺E4側に流れた液状樹脂140Aは、セルフレーム1の辺E4に隣接する辺E3側に流れ込み、セルフレーム1の辺E3上で合流する。これにより、各セルフレーム1の外縁端面の4つの辺E1、E2、E3、E4の周囲全体に液状樹脂140Aが行き渡り、それが冷却固化されることで各セルフレーム1の外周囲に樹脂形成部140が形成される。
【0066】
更に、本実施の形態では、セルフレーム1の外縁部において、セルフレーム1の枠体5の外周囲に到達した液状樹脂140Aが入り込む樹脂溝155A,155B,155C,155Dが設けられている。
本実施の形態の樹脂溝155A,155B,155C,155Dは、樹脂流路152A、152B、152C、152Dによって樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと連通していない、即ち、樹脂流路152A、152B、152C、152Dが形成されていないセルフレーム1の辺E3側及び辺E1側の外縁端部に形成されており、それら樹脂溝155A,155B,155C,155Dにセルフレーム1の枠体5の外周囲に到達した液状樹脂140Aが流れ込むことで樹脂係合部140eが形成される。
【0067】
次に、セルフレーム1の積層方向の両側端部に配設されるエンドプレート120A,120Bの詳細を、主に
図5、
図6及び
図9を参照して説明すると、本実施の形態において、樹脂形成部140を有するセルスタック100の形成に使用され、セルフレーム1の積層方向両側に配置されるエンドプレート120A,120Bは、枠体125に集電体128をインサートしてなるものであり、射出成金型に集電体128をセットしてその周囲に枠体125を形成する樹脂を充填することにより集電体128と枠体125とが一体に形成されたインサート成形品である。こうしたインサート成型品によれは、精度良く一定の品質が安定して得られる。なお、本実施の形態のエンドプレート120A,120Bは、セルフレーム1と略同等の縦横寸法であるも、その厚みは、セルフレーム1のそれよりも3~5倍程度大きいものである。
【0068】
エンドプレート120A,120Bの枠体125は、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素、エポキシ等の樹脂やゴム等の絶縁材料からなり、電解液に対する耐性(耐薬品性、耐酸性等)を有するものが使用され、通常、セルフレーム1の枠体5と同一の樹脂等が使用されるが、異なる素材を用いてもよい。
【0069】
枠体125内にインサートされている集電体128は、セルフレーム1における電極配設部105の電極101と導通され、セルスタック100内の電極101と外部機器との間で電気の入出力を行うための導電部材である。例えば、グラファイト等のカーボンや、樹脂や、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅、アルミニウム等の金属や、例えば、金メッキ銅板等の金属メッキ等が使用できる。
そして、本実施の形態では、この集電体128には、例えば、インバータ等の外部機器にリード線等を介して接続し、セルスタック100と外部電源を電気的に接続するための銅棒等の金属製の通電端子182が接続されている。
【0070】
本実施の形態では、集電体128の厚み方向の表裏面のうちの外側となる方で通電端子182が挿入される螺子穴(凹部)128Aが複数形成され、その螺子穴128Aに、螺子が切られている通電端子182が螺挿される。
詳細には、集電体128がインサートされている枠体125において、集電体128の螺子穴128Aに対応する位置に螺子穴128Aよりも径大な丸穴の開口部125Aが形成されており、枠体125に形成された開口部125Aを介して集電体128の螺子穴(凹部)128Aに通電端子182を螺挿し、集電体128の螺子穴(凹部)128Aに螺挿された通電端子182は、ナット184による螺合によって集電体128に固定される。なお、図においては、ナット184は、枠体125に形成された開口部125Aよりも径小で、開口部125A内で通電端子182に螺嵌されている。
【0071】
特に、
図5等に示したエンドプレート120A,120Bにおいては、集電体128に螺子穴(凹部)128Aを、行列の行からすれば、上段に3箇所、中段に2個所、下段に3箇所の合計8か所、行列の列からすれば、左列に3箇所、中央列に2個所、右列に3箇所の合計8か所設け、また、枠体125にもそれら螺子穴(凹部)128Aと対応する開口部125Aを行列の行からすれば、上段に3箇所、中段に2個所、下段に3箇所の合計8か所、行列の列からすれば、左列に3箇所、中央列に2個所、右列に3箇所の合計8か所設けている。これより、セルスタック100のセルフレーム1の積層数等に応じ、それら任意の位置、任意の箇所で、通電端子182の接続箇所を選択できる。また、複数の開口部125A及び螺子穴128Aの形成により軽量化を図ることができる。
なお、
図5等においては、上段及び下段の中央列の2個所と左列及び右列の中段の2個所の計4箇所で集電体128に対し通電端子128を接続している。
【0072】
そして、本実施の形態において、樹脂形成部140を有するセルスタック100の形成に使用される1対のエンドプレート120A,120Bにも、セルフレーム1のマニホールド11,12,21,22に対応する円形状の大径の貫通孔211,212,221,222が設けられている。
即ち、正負の電解液タンクからポンプによって正負の電解液が流入する正極側給液用貫通孔211及び負極側給液用貫通孔212と、正負の電解液タンクに向かって正負の電解液が排出される正極側排液用貫通孔221及び負極側排液用貫通孔222とが、エンドプレート120A,120Bの正面視で矩形状の四隅の角部に表裏を貫通して、即ち、集電体128及び枠体125の厚みを貫通して、形成されている。
なお、セルフレーム1の積層方向の両側端部に配置されるエンドプレート120A,120Bにおいて、正極側給液用貫通孔211がセルフレーム1の正極側給液用マニホールド11に対応し、負極側給液用貫通孔212がセルフレーム1の負極側給液用マニホールド12に対応し、正極側排液用貫通孔221がセルフレーム1の正極側排液用マニホールド21に対応し、負極側給液用貫通孔222がセルフレーム1の負極側排液用マニホールド22に対応する。
【0073】
これより、後述する電解液入出力部である電解液供給側の樹脂形成口部141A,141Bから入った正負の電解液は、各エンドプレート120A,120Bの正極側給液用貫通孔211や負極側給液用貫通孔212を通って各セルフレーム1の正極側給液用マニホールド11や負極側給液用マニホールドに流通されるようになっている。また、各セルフレーム1の正極側排出貫通孔21や正極側排出貫通孔22を流通した正負の電解液は、各エンドプレート120A,120Bの正極側排出貫通孔221や正極側排出貫通孔222を通って後述する電解液入出力部である電解液排出側の樹脂形成口部141C,141Dから流出するようになっている。
【0074】
そして、1対のエンドプレート120A,120Bにおいても、正面視で矩形状の周囲の4隅の角部に設けた貫通孔211,212,221,222の近傍(エンドプレート120A,120Bの角側とは反対側の近傍)に、セルフレーム1の小径の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dに対応し、貫通孔211,212,221,222より径小である正面視で円形状の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dが貫設されている。
【0075】
即ち、正極側給液用貫通孔211の近傍に集電体128及び枠体125の厚みを貫通して樹脂用貫通孔251Aが形成され、負極側給液用貫通孔212の近傍に集電体128及び枠体125の厚みを貫通して樹脂用貫通孔251Bが形成され、正極側排液用貫通孔221の近傍に集電体128及び枠体125の厚みを貫通して樹脂用貫通孔251Cが形成され、負極側排液用貫通孔222の近傍に集電体128及び枠体125の厚みを貫通して樹脂用貫通孔251Dが形成されている。
【0076】
なお、エンドプレート120A,120Bに貫設された樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dも、樹脂形成部140を形成するための液状樹脂140Aを流通させるためのものであり、樹脂用貫通孔251Aがセルフレーム1の樹脂用貫通孔151Aに対応し、樹脂用貫通孔251Bがセルフレーム1の樹脂用貫通孔151Bに対応し、樹脂用貫通孔251Cがセルフレーム1の樹脂用貫通孔151Cに対応し、樹脂用貫通孔251Dがセルフレーム1の樹脂用貫通孔151Dに対応する。
【0077】
ここで、セルフレーム1の積層方向の両側端部に配置される1対のエンドプレート120A、120Bにおいて、セルフレーム1との対向面側には、それぞれ、セルフレーム1と同様に、電解液が流通する流路231、232,241,242が形成されている。
【0078】
1対のエンドプレート120A、120Bのうちの一方のエンドプレート120Aにおいて、隣接するセルフレーム1との対向面側には、
図6に示すように、その枠体125の中央部に略矩形状の開口部125Bが形成されており、開口部125Bと負極側給液用貫通孔212と間を連通する溝状(凹部状)の負極側導入流路232が枠体125に形成され、また、開口部125Bと負極側排液用貫通孔222との間にもそれらを連通する溝状(凹部)の負極側排出流路242が枠体125に形成されている。
同様に、他方のエンドプレート120Bにおいても、隣接するセルフレーム1との対向面側には、
図5に示すように、その枠体125の中央部に略矩形状の開口部125Bが形成されており、開口部125Bと正極側給液用貫通孔211と間を連通する溝状(凹部状)の正極側導入流路231が枠体125に形成され、また、開口部125Bと正極側排液用貫通孔221との間にもそれらを連通する溝状(凹部)の正極側排出流路241が枠体125に形成されている。
【0079】
即ち、
図6に示すように、エンドプレート120Aは、隣接するセルフレーム1との間で隔膜130を介して、セルフレーム1の正極側の面、即ち、正極電解液が流通する正極側導入流路31及び正極側排出流路41の形成側の面に対向し、セルフレーム1との対向面側に負極電解液が流通する負極側導入流路232及び負極側排出流路242が形成されている。
そして、負極側導入流路232及び負極側排出流路242との間には、開口部125Bが形成され、枠体125にインサートされた集電体128が表出している。
これより、エンドプレート120Aにおいても、負極側給液用貫通孔212に流通した負極電解液が、セルフレーム1との対向面側において、負極側導入流路232に流入し、そこを流通して開口部125Bから表出している集電体128に供給される。更に、集電体128を下から上へと通過した負極電解液は、負極側排出流路242を流通し、負極側排液用貫通孔222から排出される。
【0080】
また、
図5に示すように、エンドプレート120Bは、隣接するセルフレーム1との間で隔膜130を介して、セルフレーム1の負極側の面、即ち、負極電解液が流通する負極側導入流路32及び負極側排出流路42の形成側の面に対向し、セルフレーム1との対向面側に正極電解液が流通する正極側導入流路231及び正極側排出流路241が形成されている。
そして、正極側導入流路231及び正極側排出流路241との間には、開口部125Bが形成され、枠体125にインサートされた集電体128が表出している。
これより、エンドプレート120Bにおいても、正極側給液用貫通孔211に流通した正極電解液が、セルフレーム1との対向面側において、正極側導入流路231に流入し、そこを流通して開口部125Bから表出している集電体128に供給される。更に、集電体128を下から上へと通過した正極電解液は、正極側排出流路241を流通し、正極側排液用貫通孔221から排出される。
【0081】
なお、
図5及び
図6等においては、セルフレーム1のときと同様に、導入流路231,232は、給液用貫通孔211,212側から開口部125Bの横方向(幅方向)、即ち、枠体125の内周の左右方向に対向する1対の内周端縁部に向かって徐々に幅広に形成され、給液用貫通孔211,212から供給された電解液をエンドプレート120A,120Bの横方向(幅方向)及び導入流路31,32と対向する排出流路41,42が形成された上側に向かって案内し、開口部125Bから表出している集電体128に供給する。また、その途中には、電解液の逆流を防止する逆流防止部60を設けている。
また、排出流路241,242は、開口部125B側から排液用貫通孔221,222に向かって徐々に幅狭に形成され、集電体128を通過した電解液を、セルフレーム1の上側及びセルフレーム1の長手方向に案内し、排液用貫通孔221,222から排出させる。また、その途中には、電解液の逆流を防止する逆流防止部70を設けている。
【0082】
よって、
図5及び
図6等に示したエンドプレート120A,120Bによれば、貫通孔211,212,221,222と開口部105Bと間で電解液を流通させる流路231,232,241,242は、貫通孔211,212,221,222側から集電体128が表出する枠体125の内周の幅と一致する幅広に拡幅されていることにより、流路231,232,241,242の幅が貫通孔211,212,221,222より径大であり、また、流路長も短いものであるから、そこを流通する電解液の流体抵抗を小さくでき、エンドプレート120A,120Bに送給する電解液の圧力損失の低減化を可能とする。そのうえ、その流路231,232,241,242の途中には電解液の逆流を防止する逆流防止部60,70を設けたことで、電解液を通じでの電流損失(シャントカレントロス)を小さくすることができる。
【0083】
更に、本実施の形態のエンドプレート120A,120Bにおいては、
図10等に示したように、セルフレーム1と同様に、流路231,232,241,242には、貫通孔211,212,221,222との接続端部に複数本のリブ115を形成している。これにより、枠体125における貫通孔211,212,221,222の周囲を補強し、貫通孔211,212,221,222に流通する電解液や液状樹脂140Aの内圧による枠体125の変形を防止する。また、複数本のリブ115によって、セルスタック100において隣接するセルフレーム1との間に配置される隔膜103を押え隔膜103の位置ずれを防止する。特に、本実施の形態では、セルフレーム1の表裏の各面において対角する2個所にリブ115が設けられ、また、エンドプレート120A,120Bの内面においても枠体125の対角する2個所にリブ115が設けられ、隔膜103を挟み込んで対向するセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの各2個所のリブ115によって、隔膜103の4隅(4箇所)の角部がリブ115により押さえられることで、隔膜103の位置ずれが防止される。更に、電解液や液状樹脂140Aの内圧で流路231,232,241,24の凹部に隔膜103が落ち込むのを防止し、隔膜103の落ち込みよる損傷を防止し隔膜103を長持ちさせることができる。
【0084】
なお、
図5(b)及び
図6(b)等に示したリブ115においても、流路231,232,241,242を複数に分割して突条に形成されており、貫通孔211,212,221,222の周囲面よりも低い位置に形成された溝底に突設している。これより、流路231,232,241,242には、突条のリブ115による分割によって互いに平行な複数の分岐溝が形成されている。また、
図5(b)及び
図6(b)等においては、流路231,232,241,242を形成する流路形成壁と略同じ高さで3本の突条のリブ115が流路231,232,241,242に形成されていることにより、貫通孔211,212,221,222を形成する周囲壁の高さの1/2以下の深さの分岐溝が互いに並行に4本形成されている。よって、貫通孔211,212,221,222から導入された電解液が四股に分岐して分岐溝に流通することになる。しかし、本発明を実施する場合には、3本のリブ115に限定されず、1本または2本、或いは4本以上であってもよい。
【0085】
こうして、エンドプレート120A,120Bにおいても、枠体125にインサートされている集電体128に電解液を供給することで、そこで、電池反応を生じさせている。
即ち、本実施の形態のセルスタック100においては、積層したセルフレーム1の積層方向の両方端部で隔膜103を介して1対のエンドプレート120A,120Bを配置している。
【0086】
そして、本実施の形態のエンドプレート120A,120Bでは、セルフレーム1との対向面側において、枠体125の中央部に開口部125Bを形成してそこから集電体128を露出し、また、その開口部125Bと貫通孔211,212,221,222の間を連通する電解液流路231,232,241,242を設けている。これより、本実施の形態のエンドプレート120A,120Bにおいても、そのセルフレーム1の対向側の内面側で、貫通孔211,212から電解液流路231,232に電解液が流通し、その電解液が枠体125の開口部125Bか露出した集電体128に供給されることにより、そこで電池反応が生じる。なお、集電体128を通過した電解液は、電解液流路241,242を通って貫通孔221,222から排出される。
【0087】
特に、
図5及び
図6等に示したエンドプレート120A,120Bによれば、電解液を低圧力損失で集電体128に供給でき、かつ、シャント電流損失も低減化できる。
なお、本発明を実施する場合には、エンドプレート120A,120Bにおいては、電解液を流通させるものとしなくともよく、また、電解液の流路の構成は上記に限定されるものではない。しかし、エンドプレート120A,120Bにおいても集電体128に電解液を供給し、そこで、電池反応を生じさせるものであれば、省スペースでの出力を向上できる。
【0088】
また、樹脂形成部140を有するセルスタック100の形成に使用されるエンドプレート120Aにおいて、セルフレーム1と対向し、電池の充放電時に負極電解液が流通する流路232,242が形成された面側では、
図6に示すように、対角する2角部に設けた給液用貫通孔212及び排液用貫通孔222と、導入流路232及び排出流路242と間に、溝状(凹部状)の樹脂流路252A、252Cが形成されている。
【0089】
具体的には、
図6(b)に示すように、エンドプレート120Aの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E11及び端縁E14が交差することによって形成される角部に設けられた給液用貫通孔211と負極側導入流路132との間に形成された樹脂流路252Aは、給液用貫通孔211とセルフレーム1の縦方向の端縁E14とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E14に対し略直角に交わるように形成されている。エンドプレート120Aの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E12及び端縁E13が交差することによって形成される角部に設けられた排液用貫通孔221と負極側排出流路242との間に形成された樹脂流路252Cは、樹脂用貫通孔251Cとセルフレーム1の縦方向の端縁E12とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E12に対し略直角に交わるように形成されている。
【0090】
更に、エンドプレート120Aにおいてセルフレーム1との対向面側とは反対面側の外面側となる方の面には、即ち、上述の通電端子182が設けられ、開口部125Bが形成されている側の面には、対角する2角部に設けた給液用貫通孔212及び排液用貫通孔222と、凹部126との間に、溝状(凹部状)の樹脂流路252B、252Dが形成されている。
【0091】
具体的には、
図6(a)に示すように、エンドプレート120Aの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E11及び端縁E12が交差することによって形成される角部に設けられた給液用貫通孔212と凹部126との間に形成された樹脂流路252Bは、給液用貫通孔212とセルフレーム1の縦方向の端縁E12とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E12に対し略直角に交わるように形成されている。エンドプレート120Aの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E13及び端縁E14が交差することによって形成される角部に設けられた排液用貫通孔222と凹部126との間に形成された樹脂流路252Dは、排液用貫通孔222とセルフレーム1の縦方向の端縁E14とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E14に対し略直角に交わるように形成されている。
【0092】
同様に、樹脂形成部140を有するセルスタック100の形成に使用されるエンドプレー120Bにおいても、セルフレーム1と対向し、電池の充放電時に正極電解液が流通する流路231,241が形成された面側では、
図5に示すように、対角する2角部に設けた給液用貫通孔212及び排液用貫通孔222と、導入流路231及び排出流路241と間に、溝状(凹部状)の樹脂流路252B、252Dが形成されている。
【0093】
具体的には、
図5(b)に示すように、エンドプレート120Bの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E11及び端縁E12が交差することによって形成される角部に設けられた給液用貫通孔212と負極側導入流路231との間に形成された樹脂流路252Bは、給液用貫通孔212とセルフレーム1の縦方向の端縁E12とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E12に対し略直角に交わるように形成されている。エンドプレート120Bの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E13及び端縁E14が交差することによって形成される角部に設けられた排液用貫通孔222と負極側排出流路241との間に形成された樹脂流路252Dは、排液用貫通孔222とセルフレーム1の縦方向の端縁E12とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E12に対し略直角に交わるように形成されている。
【0094】
更に、エンドプレート120Bにおいてセルフレーム1との対向面側とは反対面側の外面側となる方の面には、即ち、上述の通電端子182が設けられ、開口部125Bが形成されている側の面には、対角する2角部に設けた給液用貫通孔211及び排液用貫通孔221と、凹部126との間に、溝状(凹部状)の樹脂流路252A、252Cが形成されている。
【0095】
具体的には、
図5(a)に示すように、エンドプレート120Bの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E11及び端縁E12が交差することによって形成される角部に設けられた給液用貫通孔211と凹部126との間に形成された樹脂流路252Aは、給液用貫通孔211とセルフレーム1の縦方向の端縁E14とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E14に対し略直角に交わるように形成されている。エンドプレート120Bの外縁のうち互いに隣接する2つの端縁E13及び端縁E14が交差することによって形成される角部に設けられた排液用貫通孔221と凹部126との間に形成された樹脂流路252Cは、排液用貫通孔221とセルフレーム1の縦方向の端縁E12とを連通するように、また、セルフレーム1の縦方向の端縁E12に対し略直角に交わるように形成されている。
【0096】
なお、各エンドプレート120A,120Bは、集電体128がインサートされセルフレーム1の厚みよりも大きく変形し難いものである。このため、各エンドプレート120A,120Bにおいて、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dは、セルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dよりも径大とし、樹脂を通過しやすくしている。一方、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dとエンドプレート120A,120B1の外縁とを連通する溝状の樹脂流路252A、252B、252C、252Dの流路幅は、セルフレーム1における樹脂流路152A、152B、152C、152Dのそれと略同一としている。
【0097】
こうして、各エンドプレート120A,120Bには、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dとエンドプレート120A,120B1の外縁とを連通する溝状の樹脂流路252A、252B、252C、252Dが形成されていることにより、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dを流通する液状樹脂140Aは、各エンドプレート120A,120Bの枠体125に形成された樹脂流路252A、252B、252C、252Dを通って各各エンドプレート120A,120Bの外周の周囲に流れ込み、各エンドプレート120A,120Bの外縁端面の4つの端縁E11、E12、E13、E14の周囲全体に行き渡ることになる。
【0098】
即ち、各エンドプレート120A,120Bに形成された樹脂用貫通孔251Aを流通する液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの面に形成された溝状の樹脂流路252Aを介してエンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E14側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Bを流通する液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの面に形成された溝状の樹脂流路252Bを介して端縁E12側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Cを流通する液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの面に形成された溝状の樹脂流路252Cを介して端縁E12側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Dを流通する液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの面に形成された溝状の樹脂流路252Dを介して端縁E14側に流れ込む。
【0099】
そして、樹脂用貫通孔251Aから樹脂流路252Aを通って端縁E14側に流れ込んだ液状樹脂140A、また、樹脂用貫通孔251Bから樹脂流路252Bを通って端縁E12側に流れた液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの端縁E14に隣接する端縁E11側にも流れ込み、エンドプレート120A,120Bの端縁E11上で合流する。樹脂用貫通孔251Cから樹脂流路252Cを通って端縁E12側に流れ込んだ液状樹脂140A、また、樹脂用貫通孔251Dから樹脂流路252Dを通って端縁E14側に流れた液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの端縁E14に隣接する端縁E13側に流れ込み、エンドプレート120A,120Bの端縁E13上で合流する。これにより、各エンドプレート120A,120Bの外縁端面の4つの端縁E11、E12、E13、E14の周囲全体に液状樹脂140Aが行き渡り、それが冷却固化されることで各エンドプレート120A,120の外周囲にも樹脂形成部140が形成される。
【0100】
更に、本実施の形態では、エンドプレート120A,120Bの外縁部において、エンドプレート120A,120Bの外周囲に到達した液状樹脂140Aが入り込む樹脂溝255A,255B,255C,255Dが設けられている。
本実施の形態の樹脂溝255A,255B,255C,255Dは、樹脂流路252A、252B、252C、252Dによって樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dと連通していない、即ち、樹脂流路252A、252B、252C、252Dが形成されていないエンドプレート120A,120Bの端縁E13側及び端縁E11側の外縁端部に形成されており、それら樹脂溝255A,255B,255C,255Dにセルフレーム1の枠体5の外周囲に到達した液状樹脂140Aが流れ込むことで樹脂係合部240eが形成される。
【0101】
加えて、各エンドプレート120A,120Bにおいてセルフレーム1との対向面側とは反対面側の外面側となる方の面には、即ち、上述の通電端子182が設けられ、開口部125が形成されている側の面には、その周縁寄りに、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dと連通していない環状の凹部126が形成されている。環状に形成された凹部126には、エンドプレート120A,120Bの外面側においてエンドプレート120A,120Bの外周から流れ込んだ液状樹脂140Aが充填されることにより後述する樹脂形成係合部140bが形成される。
【0102】
本実施の形態において、各エンドプレート120A,120Bの外面側に形成された環状の凹部126は、エンドプレート120A,120Bの外縁の直線状の端縁E11,E13に平行し互いに対向する1対の直線部126a,126cと、直線状の端縁E12,E14に平行し互いに対向する1対の直線部126b,126dと、直線部126aと直線部126bを繋ぎ樹脂用貫通孔251Bの近傍に位置しエンドプレート120A,120Bの中心側に向かって凸状にカーブしている曲線部126eと、直線部126cと直線部126bを繋ぎ樹脂用貫通孔251Cの近傍に位置しエンドプレート120A,120Bの中心側に向かって凸状にカーブしている曲線部126fと、直線部126cと直線部126dを繋ぎ樹脂用貫通孔251Dの近傍に位置し曲線部126eと対角関係にありエンドプレート120A,120Bの中心側に向かって凸状にカーブしている曲線部126gと、直線部126aと直線部126dを繋ぎ樹脂用貫通孔251Aの近傍に位置し曲線部126fと対角関係にありエンドプレート120A,120Bの中心側に向かって凸状にカーブしている曲線部126hとが環状に連続した構成の形状のものである。
なお、凹部126のカーブしている曲線部126e,126f,126g,126hと、貫通孔211,212,221,222との間に、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dや樹脂流路252A,252B,252C,252Dが形成されている。
【0103】
エンドプレート120A,120Bの外面側にこのような環状の凹部126が形成されていることにより、樹脂形成部140を形成する際に、エンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから、樹脂流路252A、252B、252C、252Dを通って、エンドプレート120A,120Bの外周囲に流れ込んだ液状樹脂140Aは、その外周側から、即ち、エンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E11、E12、E13、E14側から、エンドプレート120A,120Bのセルフレーム1との対向面側(内面側)とは反対面側の外面側に流れ込んで、環状の凹部126に充填される。
【0104】
本実施の形態では、上述した構成のセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bを使用し、正負の電極101を配設する電極配設部105を備えたセルフレーム1及び隔膜103からなる電池セル110を複数積層し、それら積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなる積層体130に対し、それを金型内に入れ、エンドプレート120A,120Bの一方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから液状樹脂140Aを注入していくことにより、各セルフレーム1の外縁の4つの辺E1、E2、E3、E4の周囲全体及び各エンドプレート120A,120Bの端縁E11、E12、E13、E14の周囲全体に液状樹脂140Aを行き渡らせ、また、各エンドプレート120A,120Bのセルフレーム1対向面側(内面側)とは反対面側の外面側の周縁部に環状に液状樹脂140Aを行き渡らせる。そして、積層体130の周囲に行き渡らせた液状樹脂140Aを冷却固化することで、積層体130の各セルフレーム1及び各エンドプレート120A,120Bの外周囲に樹脂形成部140を形成する。
【0105】
また、本実施の形態においては、液状樹脂140Aを各エンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部にも流れ込ませることにより、樹脂形成部140は、各エンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部に樹脂形成端部140aを環状に形成する。更に、各エンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部には環状の凹部126を設けていることにより、各エンドプレート120A,120Bの外周囲側から各エンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部に流入した液状樹脂140Aは環状の凹部126に流れ込み、その凹部126に液状樹脂140Aが充填されることにより、樹脂形成部140は各エンドプレート120A,120Bの外面側において、環状の凹部126に環状の樹脂形成係合部140bを形成する。
【0106】
ここで、液状樹脂140Aを使用して射出形成で樹脂形成部140を形成する際には、積層体130を構成するセルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22の各孔と隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422の各孔と1対のエンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222の各孔に金属製等の軸(棒)311を挿入し、軸(棒)311によって、積層体130のセルフレーム1、隔膜103、及びエンドプレート120A,120Bを位置決め固定する。
【0107】
特に、本実施の形態のセルフレーム1においては、位置決め用の突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dが形成されている。
本実施の形態では、位置決め用の突起153A,153B,153C,153Dは、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152D内において、樹脂流路152A、152B、152C、152Dの周囲の枠体5の面よりも突出して形成されている。また、凹部154A,154B,154C,1534は、突起153A,153B,153C,153Dと対向する位置に設けられており、セルフレーム1の表裏面からすれば、突起153A,153B,153C,153Dとそれに対応する凹部154A,154B,154C,1534とは、互いに表裏の関係ある。
【0108】
即ち、本実施の形態のセルフレーム1では、セルフレーム1の負極面側に形成された樹脂流路151A内に突起153Aが突設し、また、それと対角する樹脂流路151C内に突起153Cが突設しており、一方のセルフレーム1の正極面側において突起153Aと対応する位置に凹部154Aが形成され、また、突起153Cと対応する位置に凹部154Cが形成されている。更に、セルフレーム1の正極面側に形成された樹脂流路151B内に突起153Bが突設し、また、それと対角する樹脂流路151D内に突起153Dが突設しており、一方のセルフレーム1の負極面側において突起153Bと対応する位置に凹部154Bが形成され、また、突起153Dと対応する位置に凹部154Dが形成されている。
【0109】
これより、正負の電極101を配設したセルフレーム1が隔膜103を介して積層した状態で、セルフレーム1の枠体5の表裏面の何れかに形成された位置決め用の突起153A,153B,153C,153Dと、隣接するセルフレーム1の対向面の凹部154A,154B,154C,154Dとを嵌合させることによりセルフレーム1同士が位置決めされ、また、隔膜103を介するセルフレーム1の積層間を密着させることができる。
【0110】
更に、本実施の形態のエンドプレート120A、120Bにおいても、位置決め用の突起253A,253B,253C,253D及び凹部254A,254B,254C,254Dが形成されている。
本実施の形態では、位置決め用の突起253A,253B,253C,253Dは、エンドプレート120A、120Bの内面側の樹脂流路252A、252B、252C、252D内において、樹脂流路252A、252B、252C、252Dの周囲の枠体125の面よりも突出して形成されている。また、凹部254A,254B,254C,2534は、セルスタック100において隣接対向するセルフレーム1の突起153A,153B,153C,153Dと対向する位置に設けられている。
【0111】
即ち、本実施の形態のエンドプレート120Aにおいては、エンドプレート120Aのセルフレーム1対向面側に形成された樹脂流路252A内に突起253Aが突設し、また、それと対角する樹脂流路251C内に突起253Cが突設しており、対向するセルフレーム1の突起153Bと対応する位置に凹部254Bが形成され、また、突起153Dと対応する位置に凹部254Dが形成されている。エンドプレート120Aの内面側に形成された樹脂流路252A内に突起253Aが突設し、また、それと対角する樹脂流路251C内に突起253Cが突設しており、対向するセルフレーム1の突起153Bと対応する位置に凹部254Bが形成され、また、突起153Dと対応する位置に凹部254Dが形成されている。
本実施の形態のエンドプレート120Bにおいては、エンドプレート120Bのセルフレーム1対向面側に形成された樹脂流路252B内に突起253Bが突設し、また、それと対角する樹脂流路251D内に突起253Dが突設しており、対向するセルフレーム1の突起153Aと対応する位置に凹部254Aが形成され、また、突起153Cと対応する位置に凹部254Cが形成されている。エンドプレート120Bの内面側に形成された樹脂流路252B内に突起253Bが突設し、また、それと対角する樹脂流路251D内に突起253Dが突設しており、対向するセルフレーム1の突起153Aと対応する位置に凹部254Aが形成され、また、突起153Cと対応する位置に凹部254Cが形成されている。
【0112】
これより、正負の電極101を配設したセルフレーム1と隔膜103を介してエンドプレート120A,120Bが隣接した状態で、セルフレーム1の枠体5に形成された位置決め用の突起153A,153B,153C,153Dと、それと対向するエンドプレート120A,120Bの対向面の凹部254A,254B,254C,254Dとを嵌合させることにより、また、セルフレーム1の枠体5に形成された凹部154A,154B,154C,154Dと、それと対向するエンドプレート120A,120Bの対向面の位置決め用の突起253A,253B,253C,253Dとを嵌合させることにより、セルフレーム1とエンドプレート120A,120Bが位置決めされ、また、隔膜103を介するセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの積層間を密着させることができる。
【0113】
こうして、樹脂形成部140を形成する際には、正負の電極101を配設する電極配設部105を備えたセルフレーム1及び隔膜103からなる電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを隣接配置して積層体130を構成する。このとき、各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22の各孔と各隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422の各孔と各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222の各孔に金属製等の軸(棒)311を挿入し、また、各セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dを嵌合し、また、セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dをそれに対向するエンドプレート120A、120Bに形成された突起253A,253B,253C,253D及び凹部254A,254B,254C,254Dを嵌合し、積層体130のセルフレーム1、隔膜103、及びエンドプレート120A,120Bを位置決め固定する。
【0114】
ここで、本実施の形態では、樹脂形成部140を形成する液状樹脂140Aを注入する際には、積層体130の各エンドプレート120A,120Bの外面側には、各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22並びに各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222に挿通された軸(棒)311を突出した状態とする。
そして、金型内において、エンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dを通ってエンドプレート120A,120Bの外周に到達し、更に外面側に流れ込んだ液状樹脂140Aを、エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222に挿通されている軸311の周囲にも行き渡らせる。これにより、各エンドプレート120A,120Bの外面側に筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを形成する。
【0115】
本実施の形態のセルスタック100において樹脂形成部140を形成する工程の詳細を、
図8乃至
図12を参照して説明すると、本実施の形態では、まず、組立工程として、上述した構成の複数のセルフレーム1及び1対のエンドプレート120A,120Bを用い、積層体130を構成する複数のセルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22の各孔と複数の隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422の各孔と各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222の各孔に軸311を挿通し、正負の電極101を配設したセルフレーム1及び隔膜103を有する電池セル110を複数積層し、また、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置した積層体130を組み立てる。
【0116】
このとき、本実施の形態では、各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22の各孔と各隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422の各孔と各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222の各孔に金属製等の軸(棒)311を挿入し、また、各セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dを嵌合することにより、また、セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dをそれに対向するエンドプレート120A、120Bに形成された突起253A,253B,253C,253D及び凹部254A,254B,254C,254Dを嵌合することにより積層体130のセルフレーム1、隔膜103、及びエンドプレート120A,120Bが位置決め固定される。
【0117】
そして、樹脂形成工程として、その状態で、所定の金型内で積層体130の両側に配置されている1対のエンドプレート120A,120Bのうちの何れか一方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから液状樹脂140Aを注入し充填していく射出成型を行う。
【0118】
このように、軸311を積層体130の各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211、212及び排液用貫通孔221、222と各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22と各隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422とに挿通して積層してから金型内にセットするものでは、手間を要することなく、積層体130を構成するセルフレーム1、隔膜103、及びエンドプレート120A,120Bの位置ずれが少なく精度よく積層を整えて積層間の密着固定が可能であり、良好な組立ての作業効率でセルフレーム1、隔膜103、及びエンドプレート120A,120Bの位置ずれが少ない精度のよい積層が可能である。また、各セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dを嵌合し、また、セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dをそれに対向するエンドプレート120A、120Bに形成された突起253A,253B,253C,253D及び凹部254A,254B,254C,254D嵌合していることでも、セルフレーム1の位置ずれが少ない精度のよい積層が可能である。
【0119】
なお、本実施の形態において、積層体130の各エンドプレート120A,120Bの各給液用貫通孔211、212及び排液用貫通孔221、222と各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22と各隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422とに挿通される軸311は、金属等で形成され、その長さ方向の少なくとも一端部側では、孔への挿入が容易なように先端部に向かって縮径している。
【0120】
こうして、本実施の形態のセルスタック100において樹脂形成部140を形成する際には、各エンドプレート120A,120Bの正面視矩形状の4隅の角部に設けられた給液用貫通孔211、212及び排液用貫通孔221、222と各セルフレーム1の正面視矩形状の4隅の角部に設けられた給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22と各隔膜103の正面視矩形状の4隅の角部に設けられた給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422に対し、4本の軸311を挿通して積層し、また、各セルフレーム1に形成された突起153A,153B,153C,153D及び凹部154A,154B,154C,154Dを嵌合して、隔膜130を介し、セルフレーム1を密着させる。そして、その状態で、所定の金型内で1対のエンドプレート120A,120Bのうちの何れか一方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから液状樹脂140Aを注入、充填することにより、積層体130の内部から外周囲側に向かって液状樹脂140Aを流通させ、略直方体状の積層体130の長さ方向の両側端面の2面を除く周囲の4面全体に液状樹脂140Aを行き渡らせ、また、積層体130の長さ方向の両側端面の2面の一部にも液状樹脂140Aを行き渡らせる。
【0121】
詳しくは、液状樹脂充填工程として、エンドプレート120A,120Bのうちの一方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから注入された液状樹脂140Aは、積層された各セルフレーム1の各樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び各隔膜の各樹脂用貫通孔451,452,461,462を流通し、各セルフレーム1において樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと外周縁とを連通している樹脂流路152A、152B、152C、152Dに流れ込む。そして、各セルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと連通した樹脂流路152A、152B、152C、152Dがセルフレーム1の外側に向かって延びていることにより、各セルフレーム1の各樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dから各セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに流れ込んだ液状樹脂140Aは、樹脂流路152A、152B、152C、152Dを流通してセルフレーム1の外周に流れ込み、積層したセルフレーム1の周囲全体に行きわたる。
【0122】
また、エンドプレート120A,120Bのうちの一方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから注入された液状樹脂140Aは、積層された各セルフレーム1の各樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び各隔膜の各樹脂用貫通孔451,452,461,462を流通し、更にエンドプレート120A,120Bのうちの他方の樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dにも到達する。そして、各エンドプレート120A,120Bにおいて、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dを流通した液状樹脂140Aは、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dと外周縁とを連通している樹脂流路252A、252B、252C、252Dに流れ込む。各エンドプレート120A,120Bにおいて樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dと連通した樹脂流路252A、252B、252C、252Dがエンドプレート120A,120Bの外側にむかって延びていることにより、各エンドプレート120A,120Bの各樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから各エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A、252B、252C、252Dに流れ込んだ液状樹脂140Aは、樹脂流路252A、252B、252C、252Dを流通してエンドプレート120A,120Bの外周に流れ込みその外周囲全体に行き渡る。
【0123】
即ち、
図9に示したように、各セルフレーム1に形成された樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aに流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1の外縁の辺E4側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bに流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1の外縁の辺E2側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cに流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1の外縁の辺E2側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dに流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1の外縁の辺E4側に流れ込む。
【0124】
そして、セルフレーム1の辺E1上では、樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E2上では、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E3上では、樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E4上では、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流する。
こうして、各セルフレーム1の外縁の4つの辺E1、E2、E3、E4の周囲全体に液状樹脂140Aが行き渡る。
【0125】
特に、本実施の形態では、セルフレーム1の樹脂流路152A、152Cは、矩形状に形成されたセルフレーム1の表裏の一方面においてセルフレーム1の対向する2角部に設けられ、セルフレーム1の樹脂流路152B、152Dは、セルフレーム1の表裏の他方面において他の対向する2角部に設けられていることから、効率よくセルフレーム1の周囲の4辺E1、E2、E3、E4に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。このとき、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと連通した樹脂流路152A、152B、152C、152Dは、セルフレーム1の角部を形成するセルフレーム1外縁の隣接する2辺のうちの1辺に向かって延びるものであるから、特に、セルフレーム1の縦方向の辺E2、E4側に向かって樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dからの液状樹脂140Aが流れるから、セルフレーム1の横方向の辺E1、E3側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路31,32,41,42にも侵入し難い。
【0126】
また、
図10に示したように、各エンドプレート120A,120Bに形成された樹脂用貫通孔251Aから樹脂流路252Aに流れ込んだ液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E14側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Bから樹脂流路252Bに流れ込んだ液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E12側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Cから樹脂流路252Cに流れ込んだ液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E12側に流れ込み、樹脂用貫通孔251Dから樹脂流路252Dに流れ込んだ液状樹脂140Aは、エンドプレート120A,120Bの外縁の端縁E14側に流れ込む。
【0127】
そして、エンドプレート120A,120Bの端縁E11上では、樹脂用貫通孔251Aから樹脂流路252Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔251Bから樹脂流路252Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、エンドプレート120A,120Bの端縁E12上では、樹脂用貫通孔251Bから樹脂流路252Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔251Cから樹脂流路252Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、エンドプレート120A,120Bの端縁E13上では、樹脂用貫通孔251Cから樹脂流路252Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔251Dから樹脂流路252Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、エンドプレート120A,120Bの端縁E14上では、樹脂用貫通孔251Dから樹脂流路252Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔251Aから樹脂流路252Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流する。
こうして、各エンドプレート120A,120Bの外縁の4つの端縁E11、E12、E13、E14の周囲全体にも液状樹脂140Aが行き渡る。
【0128】
特に、本実施の形態では、各エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A、252Cは、矩形状に形成されたエンドプレート120A,120Bの表裏の一方面においてエンドプレート120A,120Bの対向する2角部に設けられ、エンドプレート120A,120Bの樹脂流路152B、152Dは、エンドプレート120A,120Bの表裏の他方面において他の対向する2角部に設けられていることから、効率よくエンドプレート120A,120Bの周囲の端縁E11、E12、E13、E14に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。このとき、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dと連通した樹脂流路252A、252B、252C、252Dは、エンドプレート120A,120Bの角部を形成するエンドプレート120A,120B外縁の隣接する2辺のうちの1辺に向かって延びるものであるから、特に、エンドプレート120A,120Bの縦方向の端縁E12、E14側に向かって樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dからの液状樹脂140Aが流れるから、エンドプレート120A,120Bの横方向の端縁E11、E13側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路231,232,241,242にも侵入し難い。
【0129】
こうして、各セルフレーム1及び各エンドプレート120A,120Bの周囲に流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1が薄い隔膜103を介して積層され、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bが配置された積層体130の外周囲全体に行き渡る。また、積層体130の積層方向の両側に配設された1対のエンドプレート120A,120Bにおいては、その外周囲に流れ込んだ液状樹脂140Aは、セルフレーム1の対向面側とは反対面側の外周面にも流れ込むようにする。
更に、エンドプレート120A,120Bの外周面側では、その周縁部に環状の凹部126を形成していることにより、エンドプレート120A,120Bの外周側から環状の凹部126の位置まで液状樹脂140Aを行き渡らせる。また、積層体130を挿通した軸(棒)311を突出させていることにより、軸(棒)311の周りにも液状樹脂140Aを行き渡らせる。
【0130】
そして、積層体130の外周囲全体に液状樹脂140Aを充填し、また、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側において、その外周側から環状の凹部126の位置まで液状樹脂140Aを充填し、更に、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側に突出させた軸311の周りにも液状樹脂140Aを充填したところで、冷却工程として冷却を行い、その後、樹脂形成部140が周囲に形成された積層体130である成形品を離型する。この際に、取外工程として積層体130を貫通させている軸311を突き出す操作により、軸311が積層体130から取り外され、軸311が外された状態で周囲に樹脂形成部140が形成された積層体130の成形品が取り出される。
【0131】
液状樹脂140Aが冷却固化されることにより積層体130の周囲に樹脂形成部140が形成、接着されたセルスタック100は、積層体130の周囲に樹脂形成部140が形成され接着されたことにより、その樹脂形成部140によって積層体130の積層間が接着され気密に封止される。即ち、積層体130の外周囲の4面全体が樹脂形成部140で覆われ、積層体130の積層方向に対して直角方向の周囲が一括して樹脂形成部140に取り巻かれることにより、積層体130の隔膜103を介するセルフレーム1間やセルフレーム1及びエンドプレート120A,120B間が接着され封止状態となり、密着性が維持される。
【0132】
積層体130を包囲した樹脂形成部140は、例えば、1mm~5mm程度の厚みであり、
図13に示すように、略角筒状であり、また、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側にも液状樹脂140Aが流れ込むことにより積層体130の積層方向の両の側端面側で、即ち、積層体130の積層方向の両側に配置した1対のエンドプレート120A,120Bの外面側でその周縁部に環状(フレーム状)を形成して角筒状の両端側に環状(フレーム状)の樹脂形成端部140aを有する。
【0133】
また、
図10に示されるように、本実施の形態では、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部に環状の凹部126を設け、そこに液状樹脂140Aが充填されることにより、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側に形成された樹脂形成端部140aにおいて、環状の凹部126に係合する環状の樹脂形成係合部140bを有する。
【0134】
即ち、本実施の形態のセルスタック100は、積層体130の積層方向の両側に配置された1対のエンドプレート120A,120Bの外面側において、1対のエンドプレート120に設けた環状の凹部126にエンドプレート120A,120Bの外周囲から液状樹脂140Aが流れ込んで、充填され、その状態で固化されたことにより、環状の凹部126に係合する環状の樹脂形成係合部140bが形成されている。したがって、積層体130の周囲を覆った樹脂形成部140のエンドプレート120A,120B側に形成された樹脂形成端部140aの端縁部である樹脂形成係合部140bがエンドプレート120A,120Bに係合していることにより、樹脂形成端部140aの端縁部をエンドプレート120A,120Bの環状の凹部126内で閉じて、セルスタック100が振動等の衝撃を受けた際でも樹脂形成部140の樹脂形成端部140bの端縁部をエンドプレート120A,120Bから剥がれ難くしている。即ち、樹脂形成端部140aの端縁部である樹脂形成係合部140bがエンドプレート120A,120Bに係合していることにより樹脂形成端部140aの端縁部とエンドプレート120A,120Bと間に隙間を生じ難くしている。これより、樹脂形成端部140aの端縁部からの電解液の漏れをより防止し液密性を向上させている。
【0135】
更に、積層体130を挿通し1対のエンドプレート120A,120Bの外面側に突出している4本の軸311の周りにも液状樹脂140Aが充填されることにより、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側に形成された樹脂形成端部140aにおいて、筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを有する。
【0136】
即ち、本実施の形態では、樹脂形成部140を形成する際には、各エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211、212及び排液用貫通孔221、222と各セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22と各隔膜103の給液用貫通孔411,412及び排液用貫通孔421,422の各孔に軸311を挿通し、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側で軸311の両側端部が突出した状態で金型内にセットし、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側で突出した軸311の周囲にも液状樹脂140Aを周り込ませることにより、1対のエンドプレート120A,120Bの外面側の周縁部に形成された樹脂形成端部140aに筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを形成する。
【0137】
そして、このように1対のエンドプレート120A,120Bの外面側でその4隅の角部に形成された筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dは、エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211、212に対応する位置にあることにより、電解液タンクから供給された電解液を1対のエンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211、212に流入する或いは1対のエンドプレート120A,120Bの排液用貫通孔221、222からの電解液を外部に流出する電解液流入口部となる。
【0138】
即ち、積層体130の積層方向の両側端部に配置された1対のエンドプレート120A,120Bの各外面側に形成された樹脂形成口部141A,141Bは、エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211、212と連通していることにより、電解液タンクからポンプによって送給される電解液をセルスタック100に流入させる流入口を構成し、樹脂形成口部141C,141Dは、エンドプレート120A,120Bの排液用貫通孔221、222と連通していることにより電解液タンクに電解液が排出される流出口を構成する。そして、レドックスフロー電池を形成する際には、これら樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dに対し、電解液タンクとセルスタック100の間で電解液を循環させるための電解液を流通させる管材が接続される。
【0139】
加えて、
図13に示すように、エンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及びセルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D、並びに、エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A,252B,252C,252D及びセルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに液状樹脂140Aが充填された状態で冷却固化されることにより、積層体130の内部においてエンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及びセルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dに充填されて形成された樹脂充填部140dと、エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A,252B,252C,252D及びセルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに充填されて形成された樹脂充填部140cを有する。
【0140】
即ち、積層体130を包囲した角筒状の樹脂形成部140の筒内には、エンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及びセルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dに樹脂が充填されることにより形成された積層方向に延びた積層方向の両端部側に形成された樹脂形成端部140a間を接続する樹脂充填部140dと、エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A,252B,252C,252D及びセルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに樹脂が充填されることにより形成された、樹脂充填部140aと筒の周囲面との間の樹脂充填部140cを有する。なお、それら積層方向の両端部側に形成された樹脂形成端部140a間を接続する樹脂充填部140c及び樹脂充填部140aと筒の周囲面間を接続する140dは、角筒の四隅の角部に形成されている。
【0141】
更に、本実施の形態では、セルフレーム1の面の外縁部において、エンドプレート120A,120Bの外周囲に到達した液状樹脂140Aが入り込む樹脂溝155A,155B,155C,155Dをマニホールド11,12,21,22の近傍に設けていることにより、セルフレーム1の枠体5の外周囲に到達した液状樹脂140Aは、それら樹脂溝155A,155B,155C,155Dにも流れ込む。よって、セルフレーム1の面の外縁部であってマニホールド11,12,21,22の近傍において、樹脂溝155A,155B,155C,155Dに樹脂が充填されることにより形成された樹脂係合部140eを有する。
【0142】
また、本実施の形態では、エンドプレート120A,120Bの面の外縁部においても、エンドプレート120A,120Bの外周囲に到達した液状樹脂140Aが入り込む樹脂溝255A,255B,255C,255Dを貫通孔211,212,221,222の近傍に設けていることにより、エンドプレート120A,120Bの外周囲に到達した液状樹脂140Aは、それら樹脂溝255A,255B,255C,255Dにも流れ込む。特に、エンドプレート120A,120Bのセルフレーム1との対向面の外縁部であって貫通孔211,212,221,222の近傍において、樹脂溝255A,255B,255C,255Dに樹脂が充填されることにより形成された樹脂係合部140eを有する。
【0143】
このように、本実施の形態では、セルフレーム1の面やエンドプレート120A,120Bの面においてその外縁部側であってマニホールド11,12,21,22や貫通孔211,212,221,222の近傍に形成された樹脂溝155A,155B,155C,155Dや樹脂溝255A,255B,255C,255Dに樹脂が充填されてなる樹脂係合部140eを有することで、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bが堅固に固定され、位置ずれを防止できる。故に、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形による正負の電解液の混合、漏洩を防止できる。
【0144】
また、本実施形態において、樹脂形成部140が周囲に形成されたセルフレーム1は、樹脂流路152A、152B、152C、152Dに樹脂充填部140cが形成され、その樹脂充填部140cは、セルフレーム1の給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22と電解液流路31,32,41,42との間に位置する。これより、樹脂流路152A、152B、152C、152Dに充填された樹脂充填部140cとその周囲のセルフレーム1の枠体5の面との段差によって、給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22に流通する電解液が、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを阻止することが可能となる。
【0145】
同様に、樹脂形成部140が周囲に形成されたエンドプレート120A,120Bにおいても、樹脂流路252A、252B、252C、252Dに樹脂充填部140cが形成され、その樹脂充填部140cは、エンドプレート120A,120Bの給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222と電解液流路231,232,241,242との間に位置する。これより、樹脂流路252A、252B、252C、252Dに充填された樹脂充填部140cとその周囲のセルフレーム1の枠体5の面との段差によって、給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222に流通する電解液が、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを阻止することが可能となる。
故に、電池効率の低下を防止できる。
【0146】
このようにして製造される本実施の形態のセルスタック100は、正負の電極101と、正負の電極101を配設する電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1と、正負の電極101間に配設する隔膜103とからなる電池セル部110と、電池セル部110が複数積層したその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレート120A,120Bと、電池セル部110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置した積層体130を包囲してセルフレーム1間並びにセルフレーム1とエンドプレート120A,120B間を一体に封止した樹脂形成部140とを具備するものである。
【0147】
本実施の形態のセルスタック1は、正負の電極101と、正負の電極101を配設する電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1と、正負の電極101間に配設する隔膜103とで構成される電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなる積層体130の周囲に金型内で液状樹脂140Aを充填し冷却固化することにより、積層体130の周囲を樹脂形成部140によって一体に覆い包んで一括して封止したものである。
【0148】
このように、金型内で積層体130の周囲に液状樹脂140Aを充填し冷却固化することにより、積層体130の周囲に樹脂形成部140を形成、接着して、積層体130の積層間を樹脂形成部140によって一体に封止したものでは、セルフレーム1等の積層間にOリングやパッキン等のシール部材を配置したりセルフレーム1等の積層間を溶着したりすることなく、積層体130の外周囲に樹脂形成部140を形成、接着して一体に封止したものであるから、部品数が少なくて済み、シール部材や溶着のための通電部材を精密に配置する作業、工数も不要である。よって、低コスト化が可能であり、また、セルスタック100の封止の手間が軽減され、生産効率が良いものとなる。更に、積層体130の外周囲と樹脂形成部140との接合は、積層体130の外周囲に形成した樹脂形成部140は、積層体130の外周囲に液状樹脂140Aを充填させて成型したものであるから、積層体130と樹脂形成部140の両者間が密に接着され、積層間が一体に封止されたものである。よって、樹脂形成部140が各セルフレーム1及び各エンドプレート120A,120Bの外周に密に接着していることにより、シール性が高いものであり、封止の信頼性が向上する。
【0149】
そして、本実施の形態のセルスタック100は、セルフレーム1間にOリングやパッキン等のシール部材を配置したりセルフレーム1間を溶着したりしないことにより、電池セル部110を積層したその積層構造が薄厚(薄肉)となるから、電流が流れやすくなり、電池効率が良いものとなる。また、小型化、省スペース化を可能とする。
加えて、セルフレーム1間のシール部材や溶着が不要となることで、セルフレーム1の枠体5の設計自由度が高く、枠体5の面積の縮小による小型化も可能である。
【0150】
更に、セルフレーム1間等に配置される隔膜103のシール部材等との接触による破れを生じさせないものであるから、隔膜103の破れに起因する正負の電解液の混合による充放電率の低下も生じ難いものである。
【0151】
特に、本実施の形態では、セルフレーム1の電解液用流路31,41,32,42においてマニホールド11,12,21,22との接続側でリブ115が形成されていることにより、マニホールド11,12,21,22の周囲が補強され、マニホールド11,12,21,22を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dを流通する液状樹脂140Aの内圧によるセルフレーム1の変形が防止される。また、マニホールド11,12,21,22を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dを流通する液状樹脂140Aの内圧により隣接する隔膜103が流路31,32,41,42に落ち込んで損傷するのを防止できる。よって、セルスタック100の耐久性を向上できる。更に、セルスタック100において隣接するセルフレーム1間に配置される隔膜103を押えて隔膜103の位置ずれを防止することが可能となる。よって、正負の電解液の混合による充放電率の低下を防止できる。
【0152】
また、エンドプレート120A,120Bの電解液流路231,232,241,242においても、電解液貫通孔211,212,221,222との接続側にリブ115が形成されていることから、電解液貫通孔211,212,221,222の周囲が補強され、電解液貫通孔211,212,221,222を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dを流通する液状樹脂140の内圧によるエンドプレート120A,120Bの変形が防止される。また、セルスタック100において隣接するセルフレーム1との間に配置される隔膜130を押えて隔膜130の位置ずれを防止することが可能となる。更に、電解液貫通孔211,212,221,222を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dを流通する液状樹脂140の内圧により隣接する隔膜が流路231,232,241,242に落ち込むのを防止できる。よってセルスタック100の耐久性を向上できる。
【0153】
本実施の形態のセルスタック100は、従来のセルスタックが積層体130の両側端部を重厚な金属製のエンドプレートで挟み込んで積層体130を長ボルト及びナットで締め付ける締結機構を備えているものであるのに対し、射出成型により積層体130の周囲面を液状樹脂140Aで充填、冷却固化して、積層体130の面を包み込むようにして樹脂形成部140を形成する形成することで積層体130を拘束、積層固定しているものである。よって、金属製の締結機構が不要であることにより軽量化でき、また、組み立て工数、部品数が少なくて済むから、手間がかからず、低コスト化でき、生産性を向上できる。金属製の締結機構が不要であることにより、電解液の内圧等に起因するボルトの緩みによるシール性の低下の懸念もなく、電解液の内圧等に対しても積層体130が変形し難く高いシール性が低下し難いものである。更に、パッキン等を配置しないことで電池セル部110が薄厚(薄肉)となるから、電気抵抗の低減化による、出力の向上、更に、小型化、省スペース化も可能となる。加えて、本実施の形態のセルスタック100は、その積層体130の周囲を樹脂形成部140でまとめてあることから、解体も容易であり、更に、樹脂形成部140を含めその構成部品がリサイクルしやすいものでもある。
【0154】
更に、本実施の形態のセルスタック100は、液状樹脂140Aの使用による成型で積層体130の周囲を樹脂形成部140によって一体に包囲して一括して封止したものであり、積層体130を包囲した樹脂形成部140の全体で積層体130の温度変化や内圧等に起因する膨張収縮の変化を吸収できる。よって、レドックスフロー電池の設置場所へ運搬する際や設置の際等における振動や衝撃、更には、セルスタック100に電解液を循環させる充放電時の電解液の内圧やセルスタック100内の温度上昇に起因するセルフレーム1の熱膨張による生じた応力等によっても、セルフレーム1に部分的な負荷が掛かり難く、セルフレーム1の位置ずれ、変形が生じ難いものである。よって、セルフレーム1の位置ずれ、変形に起因する電解液の漏れが生じ難く、また、正負の電解液の混合も生じ難く充放電効率の低下を防止できる。
【0155】
加えて、本実施の形態のセルスタック100は、積層体130の周囲を樹脂形成部140で覆い包んで一括に封止しており、積層体130の両側端部を重厚な金属製のエンドプレートで挟み込んで積層体130を長ボルト及びナットで締め付ける締結機構を備えることなく積層固定しているから、セルフレーム1に高い面圧が掛かり難いことでセルフレーム1が変形し難いものであり、セルフレーム1の変形に起因する電解液の漏れが生じ難いものである。
よって、シール性の信頼性が向上し、経時的にもセルスタック100に流通する電解液が外部に液漏れし難いものである。
【0156】
また、本実施の形態のセルスタック100は、積層体130の周囲に形成する樹脂形成部140は、積層体130の積層方向の両側端部に環状(枠状)に形成した樹脂形成端部140a,140bを有し、そこに樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを形成したことにより、別途、セルフレーム1のマニホールド11,12に電解液を給液またはセルフレーム1のマニホールド21,22から排出された電解液を排液する給排液部の作成を要しないものである。よって、部品数が少なく、低コスト化が可能であり、生産効率が良いものとなる。
即ち、樹脂形成部140は、各エンドプレート120A,120Bの外面側に、電解液が給排液される筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを有するから、積層体130の封止と共に、セルフレーム1に流通させる電解液の給排液口部を同時に形成できることにより、生産性を上げ、また、コスト低減化を図ることができる。
【0157】
こうして、本実施の形態のセルスタック100によれば、部品数や工数の少ない組立てが可能であり、組み立ての手間を軽減でき、低コスト化を図ることができ、また、生産性も高いものとなる。
【0158】
更に、本実施の形態のセルスタック100は、セルフレーム1に設けた樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152D並びにエンドプレート120A,120Bに設けた樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A、252B、252C、252Dに液状樹脂140Aを流通させることによって、即ち、積層体130の内側から外周側に液状樹脂140Aを流通させることによって、積層体130の外周に液状樹脂140Aを行き渡らせるものであり、それらセルフレーム1内及びエンドプレート120A、120B内の液状樹脂140Aの流路には、積層体130の周囲に形成した樹脂形成部140と一体に連続する樹脂充填部140c,140dが形成される。即ち、積層体130の周囲に形成した樹脂形成部140は、積層体130の内部においてそれと一体に連続する樹脂充填部140c,140dを有する。これより、積層体130をより強固に拘束し、セルスタック100に電解液を循環させる充放電時の電解液の内圧やセルスタック100内の温度上昇に起因するセルフレーム1の熱膨張による生じた応力等によっても、セルフレーム1の位置ずれ、変形が生じ難いものである。よって、セルフレーム1の変形に起因する電解液の漏れが生じ難いものである。
【0159】
特に、本実施の形態のセルスタック100では、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに充填された樹脂充填部140cは、矩形状に形成されたセルフレーム1の表裏の一方面においてセルフレーム1の対向する2角部に設けられ、他方面において他の対向する2角部に設けられたものであるから、効率よくセルフレーム1の周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。また、エンドプレート120A,120Bにおいても、樹脂流路252A、252B、252C、252Dに充填された樹脂充填部140cは、矩形状に形成されたエンドプレート120A,120Bの表裏の一方面においてエンドプレート120A,120Bの対向する2角部に設けられ、他方面において他の対向する2角部に設けられたものであるから、効率よくエンドプレート120A,120Bの周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。よって、成形性が良く、樹脂形成部140によるシール性の信頼性が向上し、また、セルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形が防止される。
【0160】
更に、本実施の形態のセルスタック100の樹脂形成部140は、各エンドプレート120A,120Bの外面の周縁部に環状の樹脂形成端部140aを形成しているから、シール性の信頼性が向上する。
特に、樹脂形成部140は、各エンドプレート120A,120Bの外面側でエンドプレート120A,120Bに係合する樹脂係合部140bを有するから、エンドプレート120A,120Bとの剥離が生じ難く、シール性をより高めることができる。
【0161】
以上説明してきたように、上記実施の形態のセルスタック100は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成された電池セル110が複数積層され、複数積層された電池セル110の積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bが配置されたセルスタック100であって、複数積層された電池セル110及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレート120A,120Bからなる積層体130がその周囲に形成された樹脂形成部140によって一体に封止されたものである。
【0162】
即ち、上記実施の形態のセルスタック100は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成された複数の電池セル110と、電池セル110が複数積層されたその積層方向の両側端部に配置され、集電体128と集電体128がインサートされた枠体125とからなる1対のエンドプレート120A,120Bと、複数積層された電池セル110及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレート120A,120Bからなる積層体130を包囲して一体に封止した樹脂形成部140とを具備するものである。
【0163】
したがって、上記実施の形態のセルスタック100によれば、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設したセルフレーム1とから構成された電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなる積層体130をその周囲に形成した樹脂形成部140によって一体に封止したものであり、それらセルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの積層間に通電部材を配置し通電により溶着することでセルフーム1面間を封止するものでなく、また、セルフレーム1面間に配置されるOリングや平パッキン等のシール部材を省略できるから、部品数、工数を少なくできることで低コスト化を図ることができる。
【0164】
即ち、封止のためのOリングや平パッキン等のシール部材を精密に配置する手間、工数や、セルフレーム1間を溶着するための通電部材を精密に配置する手間、工数を要さず、液状樹脂140Aの使用による成型により樹脂形成部140を積層体130の周囲に形成して封止するものであるから、積層体のセルフレームやエンドプレートがその周囲で密に接着されシール性が高いものであり、しかも、積層体130の封止に手間がかからず、セルスタック100の組立作業の効率化、品質の一定化、生産性の向上を図ることが可能となる。
更に、セルフレーム1間に配置されるOリングや平パッキン等のシール部材を省略でき、また、セルフレーム1間を溶着するものでもないため、セルフレーム1において電解液を流通させる流路設計等を含め、セルフレーム1の設計自由度を高めることができ、セルフレーム1の小型化も可能となる。加えて、セルフレーム1間やそれとエンドプレート120A,120Bとの間に配置される隔膜103がOリングや平パッキン等のシール部材等と接触することもなく破れ難いものとなる。よって、隔膜103の破れに起因する正負の電解液の混合による充放電率の低下も生じ難いものである。
【0165】
また、セルフレーム1間に封止のためのOリングや平パッキン等のシール部材を挟むことを省略でき、更に、セルフレーム1間を溶着したりすることによりセルフレーム1間を封止するものでもないから、積層体130の電池セル部110の薄型化を可能とする。よって、セルスタック100の小型化も可能であり、省スペース化を図ることが可能となる。そして、積層体130の電池セル部110を薄肉化できることにより電気抵抗の低減化も可能となり、電池効率、出力の向上を図ることができる。
【0166】
更に、積層体130の周囲を樹脂形成部140で覆い包んで一括に封止するものであり、積層体130を包囲した樹脂形成部140全体で封止するから、積層体130を拘束し、積層体130の内部を流通する電解液の内圧や温度変化による膨張収縮の変化を樹脂形成部140全体で吸収できる。このため、積層体130に部分的な負荷を生じさせ難くて構成部材の損傷等を防止でき、更に、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれを防止できることによりシール性の低下も生じ難いものである。よって、電解液の漏洩を効果的に防止し、電池の高寿命化を図ることができる。
【0167】
加えて、本実施の形態のセルスタック100によれば、樹脂形成部140はセルフレーム1の枠体5に設けた樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dとセルフレーム1の枠体5の外側とを連通する溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152D、並びに、エンドプレート120A,120Bに設けた樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dとエンドプレート120A,120B外側とを連通する溝状の樹脂流路252A、252B、252C、252Dに充填された樹脂充填部140c,140dを有するから、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形をより防止できる。
よって、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形による電解液の混合、漏洩が生じ難いものである。故に、電池性能を劣化させ難いものである。
【0168】
更に、上記実施の形態のセルスタック100においては、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dに充填された樹脂充填部140cは、全体が矩形状に形成されたセルフレーム1の一方面においてセルフレーム1の外縁の2辺が交差することによって形成される角部の対角する2角部に設けられ、また、セルフレーム1の他方面においてセルフレーム1の別の対角する2角部に設けられ、各角部において、セルフレーム1の樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dに充填された樹脂充填部140dとセルフレーム1の外縁の縦辺E2,E4との間に形成されたものである。よって、効率よくセルフレーム1の外周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができたものであり、成形性が良いものである。特に、セルフレーム1の縦方向の辺E2,E4側に向かって樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dからの液状樹脂140Aを流すものであれば、セルフレーム1の横方向の辺E1、E3側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路31,32,41,42に侵入し難く電解液の流通性を損なう恐れもない。
【0169】
また、上記実施の形態のセルスタック100においては、エンドプレート120A,120Bにおいても、その樹脂流路252A、252B、252C、252Dに充填された樹脂充填部140cは、全体が矩形状に形成されたエンドプレート120A,120Bの一方面においてエンドプレート120A,120Bの外縁の2辺が交差することによって形成される角部の対角する2角部に設けられ、また、エンドプレート120A,120Bの他方面においてエンドプレート120A,120Bの別の対角する2角部に設けられ、各角部において、エンドプレート120A,120Bの樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dに充填された樹脂充填部140cとエンドプレート120A,120Bの外縁の縦方向の端縁E12,14との間に形成されたものである。よって、効率よくエンドプレート120A,120Bの外周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができたものであり、成形性が良いものである。特に、エンドプレート120A,120Bの縦方向の端縁E12,E14側に向かって樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dからの液状樹脂140Aを流すものであれば、エンドプレート120A,120Bの横方向の端縁E11、E13側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路231,232,241,242に侵入し難く電解液の流通性を損なう恐れもない。
【0170】
更に、上記実施の形態のセルスタック100において、樹脂形成部140は、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dとは別にセルフレーム1面の外周端縁部に設けた樹脂溝155A、155B、155C、155Dに充填された樹脂係合部140eやエンドプレート120A,120B面の外周端縁部に設けた樹脂溝255A、255B、255C、255Dに充填された樹脂係合部140eを有することで、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bが堅固に固定され、位置ずれを防止できる。故に、セルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形による正負の電解液の混合、漏洩を防止できる。
【0171】
そして、従来のセルスタックにおいては、積層体130の積層方向の両側端部に格子枠で補強された金属製の1対のエンドプレートを配置して、それらの間を長ボルトで接続し、その長ボルトにナットを螺合する締結機構で積層体130を締結して固定しているのに対し、本実施の形態のセルフレーム1によれば、積層体130の周囲を一括して樹脂形成部140で拘束して固定しているものであり、金属製でありしかも格子枠で補強されていることにより重量が大きくて厚みもある重厚なエンドプレートが不要であり、積層体130の両側に配置される1対のエンドプレート120A,120Bの枠体125は、セルフレーム1の枠体5と同じ樹脂製のもので済み、上記締結機構を要さないことで軽量化、小型化が可能である。
【0172】
また、積層体130の周囲を包み込むように射出成型により樹脂形成部140を形成して拘束するから、セルスタック100の組立ても非常に容易にでき、組み立て工数、部品数を少なくできることで、生産性が高いものとなる。パッキン等を介すことなく正負の電極101を密接できることにより、電気抵抗の低減化も可能となり、電池効率、出力の向上を図ることもできる。
【0173】
更に、このように積層体130の周囲を樹脂形成部140で覆い包んで一括に封止するものでは、積層体130の周囲で樹脂形成部140とセルフレーム1やエンドプレート120A,120Bとの密着でセルフレーム1間を封止するものであり、上記締結機構のように高い面圧を与えることなくシール性を確保できるからセルフレーム1も変形し難く、セルフレーム1の変形に起因する電解液の漏れも防止できる。
【0174】
そして、上記実施の形態のセルスタック100によれば、樹脂形成部140は、エンドプレート120A,120Bの外面側でその周縁部に形成された環状の樹脂形成端部140aを有するから、シール性の信頼性が向上する。
更に、上記実施の形態のセルスタック100によれば、樹脂形成部140の樹脂形成端部140aは、エンドプレート120A,120Bの外面側でエンドプレート120A,120Bに係合する樹脂係合部140を有するから、樹脂形成部140とエンドプレート120A,120Bとの剥離が生じ難く、耐久性、シール性をより高めることができる。
【0175】
特に、上記実施の形態のセルスタック100によれば、電池セル110の積層方向の両側端部に配置する1対のエンドプレート120A,120Bの枠体125に集電体128がインサートされているものであり、集電体128の周囲でなく集電体128をインサートした枠体125の周囲で樹脂形成部140が形成されるから、樹脂製等の枠体125であれば、樹脂形成部140との密着性を高くできる。よって、集電体128を配設するセルスタック100であってもそのシール性が高いものとなる。
更に、エンドプレート120A,120Bの集電体128に一体に設けられエンドプレート120A,120Bの外面側に突出した通電端子182を具備するから、外部電源との電気的接続を容易にできる。
【0176】
加えて、積層体130の周囲に液状樹脂140Aの充填により樹脂形成部140を形成するものであり、その樹脂形成部140と一体に、セルフレーム1のマニホールド11,12に電解液を給液またはセルフレーム1のマニホールド21,22から排出された電解液を排液する給排液部としての樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを形成することが可能である。よって、別途、セルフレーム1のマニホールド11,12に電解液を給液またはセルフレーム1のマニホールド21,22から排出された電解液を排液する給排液部としての給排板等を作成して積層体130に配置する手間を要することなく、積層体130を封止する樹脂形成部140の成形と同時に樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを積層体130の積層方向の両側端部に位置するエンドプレート120A,120B側に形成することができる。よって、セルスタック100の部品数、工数を少なくでき、セルスタック100の製造の効率化、生産性の向上、低コスト化、軽量化を図ることができる。
【0177】
即ち、上記実施の形態のセルスタック100によれば、樹脂形成部140は、エンドプレート120A,120Bの外面側に形成され電解液を給排液する筒状の樹脂形成口部141A,141B,141C,141Dを有するから、積層体130の封止と共に、セルスタック100に流通させる電解液の給排液口部を同時に形成できることにより、生産効率が良いものであり、コスト低減化を図ることができる。
【0178】
加えて、上記実施の形態のセルスタック100によれば、セルフレーム1は、電解液を流通する給液用マニホールド11,12及び排液用マニホールド21,22並びに電解液流路31,32,41,42を有し、樹脂流路152A,152B,152C,152Dに充填された樹脂充填部140c及び樹脂貫通孔151A,151B,151C,151Dに充填された樹脂充填部140dが、マニホールド11,12,21,22と電解液流路31,32,41,42との間に位置する。また、エンドプレート120A,120Bにおいても、電解液を流通する給液用貫通孔211,212及び排液用貫通孔221,222並びに電解液流路231,232,241,242を有し、樹脂流路252A,252B,252C,252Dに充填された樹脂充填部140c及び樹脂貫通孔251A,251B,251C,251Dに充填された樹脂充填部140dが、貫通孔211,212,221,222と電解液流路231,232,241,242との間に位置する。
【0179】
よって、マニホールド11,12,13,14外に電解液が食み出した場合でも、樹脂充填部140c,140dとセルフレーム1の枠体5の面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを防止することができる。また、エンドプレート120A,120Bにおいても、貫通孔211,212,221,222外に電解液が食み出た場合でも、樹脂充填部140c,140dとエンドプレート120A,120Bの面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを阻止することができる。よって、電池容量の低下を防止できる。
【0180】
また、上記実施の形態は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成される電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなるセルスタック100を有するレドックスフロー電池であって、セルスタック100は、複数積層された電池セル110及びその積層方向の両側端部に配置した1対のエンドプレート120A,120Bからなる積層体130を包囲して一体に封止した樹脂形成部140を具備するレドックスフロー電池の発明と捉えることもできる。
【0181】
上記実施の形態のレドックスフロー電池によれば、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成される電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなる積層体130の周囲、即ち、積層されたセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの外周囲を樹脂形成部140で一体に包囲することにより、その樹脂形成部140によって積層体130を一括して封止している。
【0182】
したがって、積層されたセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの外周囲を樹脂形成部140で一括して封止するものであり、セルフレーム1面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることにより部品数、工数を少なくできる。よって、低コスト化を図ることができる。
【0183】
ところで、上記実施の形態は、正負の電極101が配設する電極配設部105と、電極配設部105の周囲に形成され、表裏面を貫通し電解液が流通するマニホールド11,12,21,22及び液状樹脂140Aが充填される樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dを設けた枠体5と、枠体5に形成され、電極配設部105とマニホールド11,12,21,22とを連通し電解液が流通する電解液流路31,41,32,42と、枠体5に形成され、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと枠体5の外側とを連通し液状樹脂140Aが充填される溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152Dとを具備するセルフレーム1の発明と捉えることもできる。
【0184】
上記実施の形態に係るセルフレーム1によれば、枠体5の表裏面を貫通して形成された樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dと、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び枠体5外側とを連通する溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152Dとに液状樹脂140Aを充填、流通することで、セルフレーム1の外周囲に液状樹脂140Aを行き渡らせることが可能である。これより、セルフレーム1を複数積層してなるセルスタック100においては、各セルフレーム1の外周囲に液状樹脂140Aを行き渡らせ、積層されたセルフレーム1の外周囲全体を樹脂形成部140で包囲して積層されたセルフレーム1同士を一括して封止することが可能となる。よって、セルスタック100において、セルフレーム1面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることになるから、部品数、工数を少なくでき、低コスト化を図ることができる。
【0185】
また、上記実施の形態に係るセルフレーム1によれば、樹脂流路152A、152B、152C、152Dは、全体が略矩形状に形成された枠体5の表裏の各面において枠体5の対向する2角部に設けられ、それぞれ、樹脂用貫通孔151A、151B、151C、151Dからセルフレーム1の縦辺に向かって延びているから、効率よくセルフレーム1の外周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。よって、セルフレーム1を積層してなるセルスタック100の積層体130を樹脂形成部140で封止するその成形性を向上できる。
特に、セルフレーム1の縦方向の辺E2,E4側に向かって樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dからの液状樹脂140Aを流すものであれば、セルフレーム1の横方向の辺E1、E3側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路31,32,41,42に侵入し難く電解液の流通性を損なう恐れもない。
【0186】
上記実施の形態に係るセルフレーム1によれば、樹脂用貫通孔151A、151B、151C、151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dが、マニホールド11,12,21,22と電解液流路31,32,41,42との間に位置するものであり、樹脂用貫通孔151A、151B、151C、151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dに液状樹脂140Aが充填され樹脂充填部140c,140dが形成されることによりその樹脂充填部140cと枠体5の面との段差が形成されることから、マニホールド11,12,21,22外に電解液が食み出た場合でも、樹脂充填部140c,140dと枠体5の面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを防止することができる。よって、電池効率の低下を防止できる。
【0187】
更に、上記実施の形態に係るセルフレーム1によれば、樹脂形成部140は、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dとは別にセルフレーム1面の外周端縁部に設けた樹脂溝155A、155B、155C、155Dに充填された樹脂係合部140eを有することで、セルフレーム1が堅固に固定され、位置ずれを防止できる。故に、セルフレーム1の位置ずれや変形による正負の電解液の混合、漏洩を防止できる。
【0188】
上記実施の形態に係るセルフレーム1によれば、電解液用流路31,41,32,42においてマニホールド11,12,21,22との接続側でリブ115が形成されていることにより、マニホールド11,12,21,22の周囲が補強され、マニホールド11,12,21,22を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dを流通する液状樹脂140Aの内圧によるセルフレーム1の変形が防止される。また、マニホールド11,12,21,22を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D及び樹脂流路152A、152B、152C、152Dを流通する液状樹脂140Aの内圧により隣接する隔膜103が流路31,32,41,42に落ち込んで損傷するのを防止できる。よって、セルスタック100の耐久性を向上できる。更に、セルスタック100において隣接するセルフレーム1間に配置される隔膜103を押えて隔膜103の位置ずれを防止することが可能となる。よって、正負の電解液の混合による充放電率の低下を防止できる。
【0189】
更に、上記実施の形態は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設したセルフレーム1とから構成される電池セル110を複数積層してなるセルスタック100の電池セル110の積層方向の端部に配置されるエンドプレート120A,120Bであって、その表裏面を貫通し電解液が流通する電解液貫通孔211,212,221,222、表裏面を貫通し液状樹脂140Aが充填されることにより樹脂充填部140cが形成される樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D、及び、樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dとエンドプレート120外側とを連通し液状樹脂140Aが充填される溝状の樹脂流路252A,252B,252C,252Dが形成されているエンドプレート120A,120Bの発明の捉えることもできる。
【0190】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、表裏面を貫通し液状樹脂140Aが充填される樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dが形成されていることにより、そこに液状樹脂140Aを充填、流通することで、エンドプレート120A,120Bの外周囲に液状樹脂140Aを行き渡らせることが可能である。これより、セルフレーム1を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなるセルスタック100においては、セルフレーム1と共にエンドプレート120A,120Bの外周囲にも液状樹脂140Aを行きわたらせ、積層されたセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの外周囲全体を樹脂形成部140で包囲してセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bを一括して封止することが可能となる。よって、セルスタック100においてセルフレーム1及びエンドプレート120A,120B面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることになるから、部品数、工数を少なくでき、低コスト化を図ることができる。
【0191】
更に、上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、表裏の一方面の周縁部に液状樹脂140Aが充填される環状の凹部126が形成されている。よって、その環状の凹部126が形成された面を組立時にセルスタック100の外面側に配置することで、セルスタック100のエンドプレート120A,120Bの外周囲からその外面側に流れた液状樹脂140Aが、環状の凹部126に充填されることになるから、環状の凹部126に液状樹脂140Aが充填されて形成された樹脂係合部140bとエンドプレート120A,120Bの凹部126との係合関係によって、樹脂形成部140とエンドプレート120A,120Bとの剥離が生じ難くなる。したがって、耐久性、シール性を高めることが可能となる。
【0192】
また、上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、樹脂流路252A,252B,252C,252Dは、全体が矩形状に形成された表裏の各面において対角する2角部に設けられ、それぞれ樹脂用貫通孔252A,252B,252C,252Dからエンドプレート120A,120Bの縦の外縁に向かって延びているから、効率よくエンドプレート120A,120Bの外周囲に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。よって、セルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bを積層してなるセルスタック100の積層体130を樹脂形成部140で封止するその成形性を向上できる。特にエンドプレート120A,120Bの縦方向の端縁E12,E4側に向かって樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dからの液状樹脂140Aを流すものであれば、エンドプレート120A,120Bの横方向の端縁E12、E13側で合流する液状樹脂140Aが溢れて電解液流路231,232,241,242に侵入し難く電解液の流通性を損なう恐れもない。
【0193】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、樹脂用貫通孔251A、251B、251C、251D及び樹脂流路252A、252B、252C、252Dが、貫通孔211,212,221,222と電解液流路231,232,241,242との間に位置するものであり、樹脂用貫通孔251A、251B、251C、251D及び樹脂流路252A、252B、252C、252Dに液状樹脂140Aが充填されることにより形成された樹脂充填部140c,14dとエンドプレート120A,120Bの面との段差が形成される。このため、電解液貫通孔211,212,221,222外に電解液が食み出たときでも、樹脂充填部140cとエンドプレート120A,120Bの面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを防止することができる。よって、電池容量の低下を防止できる。
【0194】
更に、上記実施の形態に係るエンドプレート120A,120Bによれば、樹脂形成部140は、エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A、252B、252C、252Dとは別にエンドプレート120A,120B面の外周端縁部に設けた樹脂溝255A、155B、255C、255Dに充填された樹脂係合部140eを有することで、エンドプレート120A,120Bとセルフレーム1が堅固に固定され、位置ずれを防止できる。故に、エンドプレート120A,120Bやセルフレーム1の位置ずれや変形による正負の電解液の混合、漏洩を防止できる。
【0195】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、集電体128と集電体がインサートされた枠体125とからなるものであるから、集電体128の周囲でなく集電体129をインサートした枠体125の周囲で樹脂形成部140が形成されるものであり、樹脂製等の枠体125であれば、その外周囲に形成される樹脂形成部140との密着性を高くできる。よって、集電体128を配設するセルスタック100であってもそのシール性が高いものとなる。
【0196】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、枠体125は、その一方面側の中央部に集電体128が表出する開口部125Bが設けられ、電解液貫通孔211,212,221,222と開口部125Bとを連通し電解液が流通する電解液流路231,232,241,242を有するから、集電体125上で電解液の電池反応を可能とする。よって、省スペースでの高出力化を可能とし、電池効率の向上が可能となる。
【0197】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、電解液流路231,232,241,242は、電解液貫通孔211,212,221,222との接続側にリブ115が形成されていることから、電解液貫通孔211,212,221,222の周囲が補強され、電解液貫通孔211,212,221,222を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dを流通する液状樹脂140の内圧によるエンドプレート120A,120Bの変形が防止される。また、セルスタック100において隣接するセルフレーム1との間に配置される隔膜130を押えて隔膜130の位置ずれを防止することが可能となる。更に、電解液貫通孔211,212,221,222を流通する電解液の内圧や樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂流路252A,252B,252C,252Dを流通する液状樹脂140の内圧により隣接する隔膜が流路231,232,241,242に落ち込むのを防止できる。更に、異物が電極101に到達するのを阻止できる。
よってセルスタック100の耐久性を向上できる。
【0198】
上記実施の形態のエンドプレート120A,120Bによれば、枠体125及び集電体128は、その一方面側に、棒状の通電端子182が挿入される端子用開口部128A,125Aが形成されているから、セルスタック100の構成時には棒状の通電端子182を開口部128A,125Aに挿入してそれにナット184等を螺合させて締め付けることで、容易に通電端子182を集電体128に接続できる。よって、外部電源との電気的接続を容易にできる。
【0199】
上記実施の形態のセルスタック100は、正極電極101及び負極電極102と、正極電極101及び負極電極102の間に配置される隔膜103と、正極電極101及び負極電極103が両面側に配置される電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成された電池セル110と、電池セル110が複数積層されたその積層方向の両側端部に配置された1対のエンドプレート120A,120Bと、エンドプレート120A,120Bとそれに隣接するセルフレーム1との間に配設した集電体128と、集電体128に一体に設けられエンドプレート120A,120Bを貫通した通電端子182と、エンドプレート120A,120Bを貫通した通電端子182に嵌合し、1対のエンドプレート120A,120B間を締付けて固定する締付具としてのナット184と、複数積層された電池セル1、集電体128及び1対のエンドプレート120A,120Bからなる積層体130を包囲して一体に封止した樹脂形成部140とを具備するものである。
【0200】
特に、集電体128に一体に形成されエンドプレート120A,120Bを貫通した通電端子182に締付具としてのナット184を嵌合し、ナット184によって1対のセルフレーム1間を締付けて固定していることで、セルフレーム1の位置ずれ、変形がより生じ難く、シール性の信頼性が高いものである。
【0201】
また、上記実施の形態は、正負の電極101と、正負の電極101間に配置された隔膜103と、正負の電極101が配設した電極配設部105及び電極配設部105の周囲に設けた枠体5からなるセルフレーム1とから構成される電池セル110を複数積層し、その積層方向の両側端部に1対のエンドプレート120A,120Bを配置してなる積層体130の各セルスタック100及び各エンドプレート120A,120Bにおいてその表裏面を貫通して形成され充放電時に電解液が流通される電解液用貫通孔としての貫通孔211,212,221,222及びマニホールド11,12,21,22に軸311を挿通し積層体130を組み立てる組立工程と、積層体130の周囲に樹脂形成部115を形成する樹脂形成工程と、軸311を積層体130から取外す取外工程とを具備するセルスタック100の製造方法の発明と捉えることもできる。
【0202】
上記実施の形態のセルスタック100の製造方法によれば、積層体130の周囲が樹脂形成部140で包囲されて封止されたセルスタック100が形成され、積層体130の周囲、即ち、積層されたセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの外周囲を樹脂形成部140で一体に包囲して積層体130のセルフレーム1同士並びにセルフレーム1とエンドプレート120A,120Bが密に接着され一括して封止されている。したがって、セルフレーム1の面間に配設するシール部材や溶着のための通電部材等の部品を省略できることにより部品数、工数を少なくできる。よって、低コスト化を図ることができる。
【0203】
特に、充放電時に電解液を流通させるエンドプレート120A,120B及びセルフレーム1に形成された電解液用貫通孔としての貫通孔211,212,221,222及びマニホールド11,12,21,22を利用し、そこに軸313を挿入してセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bを組立てるものであり、少ない部品点数、工数でセルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bを精度よく位置決め組立てでき、生産性やシール性の信頼性も高いものとなる。
【0204】
更に、上記セルスタック100の製造方法では、樹脂形成工程では、液状樹脂充填工程にてエンドプレート120A,120Bにおいてその表裏面を貫通して形成された樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dから樹脂形成部140を形成するための液状樹脂140Aを注入し、エンドプレート120A,120Bにおいて樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251Dとエンドプレート120A,120B外側とを連通する樹脂流路152A、152B、152C、152Dに液状樹脂140Aを流通させ、また、セルフレーム1においてその表裏面を貫通して形成された樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dとセルフレーム1外側とを連通する樹脂流路152A、152B、152C、152Dに液状樹脂140Aを流通させ、積層体130の周囲に液状樹脂140Aを行きわたらせ、冷却工程にて、液状樹脂140Aが冷却固化されることで樹脂形成部140となる。セルフレーム1及びエンドプレート120A,120Bの内部に液状樹脂140Aを流通させそれらの外周囲に行き渡らせることにより、セルフレーム1やエンドプレート120A,120B内に形成された樹脂用貫通孔251A,251B,251C,251D及び樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151D並びに樹脂流路152A、152B、152C、152D及び樹脂流路252A、252B、252C、252Dにも樹脂形成部140の樹脂充填部140c,140dが形成されることになるから、積層体130がより強固に拘束され、組み立て後のセルフレーム1やエンドプレート120A,120Bの位置ずれや変形を防止できる。よって、セルフレーム1やの位置ずれや変形による電解液の混合や漏洩を防止できるから、電池効率の低下を防止でき、また、シール性を向上できる。
【0205】
ところで、上記実施の形態においては、マニホールド11、12,21,22とセルフレーム1の外形の互いに隣接する2辺とを連通するように形成されている溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152Dは、樹脂用貫通孔151A、151B、151C、151Dからセルフレーム1の縦辺E2,E4側に向かって略曲線状に延びているものであるが、本発明を実施する場合には、樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dからの液状樹脂140Aをセルフレーム1の外周側に案内できれば、樹脂流路152A、152B、152C、152Dの形態は、上述の形態に限定されず、略直線状に延びるものであってもよいし、
図14に示すように、略L字状に形成されていてもよい。
【0206】
図14に示した変形例1のセルフレーム1においては、互いに対向する2辺を同一長とした4辺を有する略長方形状に形成されたセルフレーム1の表裏の各面で、隣接する2辺が交差することによって形成される少なくとも対向する2角部の両方において溝状の樹脂流路152A、152B、152C、152Dが隣接する2辺間を接続している略L字状である。
【0207】
詳細には、
図14(a)に示すように、セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E1及び辺E2が交差することによって形成される角部に設けられた負極側給液用マニホールド12と正極側導入流路31との間に形成された樹脂流路152Bは、負極側給液用マニホールド12と互いに隣接する2辺E1,E2とを連通するように略L字状に、また、互いに隣接する2辺E1,E2の各辺に対し略直角に交わるように形成されている。
セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E3及び辺E4が交差することによって形成される角部に設けられた負極側排液用マニホールド22と正極側排出流路41との間に形成された樹脂流路152Dは、樹脂用貫通孔151Dと互いに隣接する2辺E3,E4とを連通するように略L字状に、また、互いに隣接する2辺E3,E4の各辺に対し略直角に交わるように形成されている。
【0208】
図14(b)に示すように、セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E1及び辺E4が交差することによって形成される角部に設けられた正極側給液用マニホールド11と負極側導入流路32との間に形成された樹脂流路152Aは、樹脂用貫通孔151Aと互いに隣接する2辺E1,E4とを連通するように略L字状に、また、互いに隣接する2辺E1,E4の各辺に対し略直角に交わるように形成されている。
セルフレーム1の外縁のうち互いに隣接する2つの辺E2及び辺E3が交差することによって形成される角部に設けられた正極側排液用マニホールド21と負極側排出流路42との間に形成された樹脂流路152Cは、樹脂用貫通孔151Cと互いに隣接する2辺E2,E3とを連通するように略L字状に、また、互いに隣接する2辺E2,E3の各辺に対し略直角に交わるように形成されている。
【0209】
これより、変形例1のセルフレーム1に形成された樹脂用貫通孔151Aを流通する液状樹脂140Aは、樹脂流路152Aで分岐してセルフレーム1の外縁の辺E1側及び辺E4側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Bを流通する液状樹脂140Aは、樹脂流路152Bで分岐して辺E1側及び辺E2側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Cを流通する液状樹脂140Aは、樹脂流路152Cで分岐して辺E2側及び辺E3側に流れ込み、樹脂用貫通孔151Dを流通する液状樹脂140Aは、樹脂流路152Dで分岐して辺E3側及び辺E4側に流れ込む。そして、セルフレーム1の辺E1上では、樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E2上では、樹脂用貫通孔151Bから樹脂流路152Bを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E3上では、樹脂用貫通孔151Cから樹脂流路152Cを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流し、セルフレーム1の辺E4上では、樹脂用貫通孔151Dから樹脂流路152Dを通って流れ込んだ液状樹脂140Aと、樹脂用貫通孔151Aから樹脂流路152Aを通って流れ込んだ液状樹脂140Aとが合流する。これにより、各セルフレーム1の外縁端面の4つの辺E1、E2、E3、E4の周囲全体に液状樹脂140Aが行き渡り、それが冷却固化されることで各セルフレーム1の外周囲に樹脂形成部140が形成される。また、略L字状に樹脂形成部140cが形成される。
【0210】
したがって、この場合には、セルフレーム1の樹脂流路152A、152B、152C、152Dは、セルフレーム1の外形の互いに隣接する2辺間を接続しているものであるから、より効率よくセルフレーム1の周囲の辺E1、E2、E3、E4に液状樹脂140Aを均一に行き渡らせることができる。
また、マニホールド11、2,21,22が略L字状の樹脂形成部140cとセルフレーム1の外縁とに囲まれることになるから、マニホールド11、12,21,22外に電解液が食み出した場合でも、略L字状の樹脂形成部140cとセルフレーム1面との段差によって、その電解液の正負の極性とは反対の逆極性の電解液と混合されるのを効果的に阻止できることになる。
エンドプレート120A,120Bの樹脂流路252A,252B,252C,252Dについても同様である。
【0211】
また、上記実施の形態では、導入流路31,32,231,232及び排出流路41,42,241,242や、樹脂流路152A、152B、152C、152D,252A,252B,252C,252Dは、その断面が略凹部状であるが、それを形成する流路壁、溝底は、平面状(直線状)に限定されず、曲面状(曲線状)であってもよいし、対向する流路壁が並行状であってもよいし、テーパ状に形成されていてもよい。流路壁と溝底との角部を略直角状に限定されず、R状に形成してもよい。
また、樹脂流通用やで電解液流通用の貫通孔は、上記実施の形態では円形状に形成さるが、本発明を実施する場合には、円形状に限定されない。
【0212】
更に、上記実施の形態では、セルフレーム1の4隅の角部にマニホールド11、2,21,22を形成したことにより、マニホールドに11、2,21,22近傍に設けた樹脂用貫通孔151A,151B,151C,151Dとセルフレーム1の外側とを連通する樹脂流路152A、152B、152C、152Dは、セルフレーム1の一方面の一方の対角部の2個所と、他方面の他方の対角部の2個所に設けられたものである。
しかし、本発明を実施する場合には、セルフレーム1の各面に1箇所以上であってもよく、各面で4箇所以上形成してもよい。表裏面で樹脂流路151の個数を相違させてもよいし、表裏で同一の位置に設けてもよいし、異なる位置に設けてもよい。エンドプレート120A,120Bについても同様である。
【0213】
また、上記実施の形態では、複数の電池セル110は、電解液が各電池セル110を並列に流れるように互いに接続されている説明としたが、本発明を実施する場合には、複数の電気セル110の接続形態はこれに限定されず、例えば、電解液が複数の電池セル110を直列に流れるように互いに接続されていてもよい。
そして、上記説明では、本発明のセルスタックについて、レドックスフロー電池に適用する例で説明したが、本発明を実施する場合には、レドックスフロー電池に限定されるものではなく、その他の蓄電池や燃料電池に適用することができる。
【0214】
なお、本発明を実施する場合には、セルフレーム1、セルスタック100、レドックスフロー電池RFのその他の部分の構成、材料、製造工程等について、上記実施の形態の説明に限定されるものではない。また、上記実施の形態で上げている数値は、実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0215】
1 セルフレーム
5 枠体
11 正極側給液用マニホールド
12 負極側給液用マニホールド
21 正極側排液用マニホールド
22 負極側排液用マニホールド
31 正極側導入流路
32 負極側導入流路
41 正極側排出流路
42 負極側排出流路
100 セルスタック
101 電極
103 隔膜
110 電池セル
126 凹部
128 集電体
130 積層体
140 樹脂形成部
140A 液状樹脂
141A,141B,141C,141D 樹脂形成口部
140a 樹脂形成端部
140b 樹脂形成係合部
140c 樹脂充填部
140d 樹脂充填部
151A,151B,151C,151D 樹脂用貫通孔
152A,152B,152C,152D 樹脂流路
182 導電端子
211,212,221,222 貫通孔
251A,251B,251C,251D 樹脂用貫通孔
252A,252B,252C,252D 樹脂流路
311 軸