(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048230
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板の接合構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20240401BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H05K1/14 C
H05K3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154154
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
(72)【発明者】
【氏名】代田 雄人
(72)【発明者】
【氏名】行徳 一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 和彦
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB04
5E344CC23
5E344DD03
5E344DD05
5E344EE24
5E344EE27
(57)【要約】
【課題】短絡抑制効果を高めることのできるフレキシブルプリント配線板の接合構造を提供する。
【解決手段】FPC10は、ベースフィルム100と、ベースフィルム100上に設けられる複数の配線200と、複数の配線200を保護するカバーレイ300と、を備えると共に、複数の配線200と複数の接続対象配線とをそれぞれ接続するために、カバーレイ300には、複数の配線200のそれぞれに個別に開口部310が設けられ、かつ、各配線200の両側と各開口部310の内周面との間にはそれぞれ隙間Sが設けられることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続対象配線に対して、フレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配線がそれぞれ半田により接続されるフレキシブルプリント配線板の接合構造であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に設けられる前記複数の配線と、
前記複数の配線を保護するカバーレイと、
を備えると共に、
前記複数の配線と前記複数の接続対象配線とをそれぞれ接続するために、前記カバーレイには、前記複数の配線のそれぞれに個別に開口部が設けられ、かつ、各配線の両側と各開口部の内周面との間にはそれぞれ隙間が設けられることを特徴とするフレキシブルプリント配線板の接合構造。
【請求項2】
前記複数の配線において隣り合う配線に対応して各々設けられる前記開口部は、前記フレキシブルプリント配線板の長手方向でずれるように配されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板の接合構造。
【請求項3】
前記複数の配線における前記フレキシブルプリント配線板の長手方向の一端側の各端部は、前記フレキシブルプリント配線板の長手方向の一端に最も近い位置に設けられた前記開口部よりも前記一端に近い位置に配されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)においては、製法上の理由から一つのFPCだけで長手方向の寸法を長くするのには限度がある。例えば、自動車用途においては、全長500mmを超えるFPCが求められることがある。そのため、複数のFPCを接合することで、FPCの全長を長尺化することが行われている。また、FPCはリジッドな回路基板など、他の基板に対して接合されて利用されることがある。
【0003】
図8は従来技術に係るFPCの接合構造の説明図である。同図(a)は従来技術に係るFPCの端部(接合する部分)付近の拡大図であり、同図(b)は同図(a)中のCC断面図であり、同図(c)はFPC同士を接合した状態を示す模式的断面図である。
【0004】
FPC700は、ベースフィルム710と、ベースフィルム710上に設けられる複数の配線720と、複数の配線720を保護するカバーレイ730とを備えている。そして、カバーレイ730には開口部731が設けられている。これにより、複数の配線720は、開口部731において、その一部が露出する。以下、露出した部分を「露出部720X」と称する。
【0005】
以上のように構成されるFPC700を複数接合して長尺化する方法について簡単に説明する。ここでは、便宜上、接合する2つのFPCを、それぞれ、第1のFPC700A、第2のFPC700Bと称する。例えば、第1のFPC700Aにおける複数の配線720の各露出部720Xに半田ペーストが塗布される。そして、第1のFPC700Aにおける複数の配線720の各露出部720Xと、第2のFPC700Bにおける複数の配線720の各露出部720Xが重なるように、これら第1のFPC700Aと第2のFPC700Bが重ね合わされる。その後、例えば、ヒーターツールで加圧されつつ加熱されることで、半田付けが行われる。これにより、第1のFPC700Aにおける複数の配線720と第2のFPC700Bにおける複数の配線720が、それぞれ半田750によって接続される。
【0006】
以上のように構成されるFPCの接合構造においては、接合工程において、半田ボール750Xが発生する虞があり、短絡の懸念がある。特に、従来構造においては、
図8(c)に示すように、FPC700の幅方向の両側は一対のベースフィルム710の間にカバーレイ730が存在するため、開口部731が設けられる付近においても比較的強度が高くなる。これに対して、FPC700の幅方向の中央、かつ開口部731が設けられている領域内においては、ヒーターツールで加熱される前の状態においては、半田ペーストのみで一対のベースフィルムが支えられるため、半田ペーストが潰れやすい。これにより、半田ペーストの一部が離脱してしまい、半田ボールが発生し易い環境になってしまう。
【0007】
この対策として、
図9に示すように、幅の狭い配線720Aと幅の広い配線720Bとを半田750により接続させる技術が知られている。このような構成を採用すると、半田ペーストの一部が離脱することを抑制することができる。しかしながら、定格電流や限度電流によっては、配線の幅を狭くすることには限度があるため、幅の狭い配線720Aと幅の広い配線720Bを設けることができないことがある。特に、小型電子機器に比べて自動車用途の場合には、定格電流や限度電流が大きくなるため、配線を狭くするのは限度があり、上記のような対策を取ることができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-23147号公報
【特許文献2】特開2007-220961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、短絡抑制効果を高めることのできるフレキシブルプリント配線板の接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0011】
すなわち、本発明のフレキシブルプリント配線板の接合構造は、
複数の接続対象配線に対して、フレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配線がそれぞれ半田により接続されるフレキシブルプリント配線板の接合構造であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、
ベースフィルムと、
前記ベースフィルム上に設けられる前記複数の配線と、
前記複数の配線を保護するカバーレイと、
を備えると共に、
前記複数の配線と前記複数の接続対象配線とをそれぞれ接続するために、前記カバーレイには、前記複数の配線のそれぞれに個別に開口部が設けられ、かつ、各配線の両側と各開口部の内周面との間にはそれぞれ隙間が設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、カバーレイには複数の配線のそれぞれに個別に開口部が設けられているため、隣り合う配線が半田によって短絡してしまうことを抑制することができる。また、カバーレイにおいては、隣り合う開口部の間にはカバーレイの一部が存在するため、半田が固化する前のペースト状の状態であっても、潰されてしまうことを抑制することができ、その一部が離脱してしまうことも抑制することができる。更に、各配線の両側と各開口部の内周面との間にはそれぞれ隙間が設けられており、余剰分の半田は、隙間に収まるため、半田が隣の配線と繋がってしまうことも抑制することができる。
【0013】
前記複数の配線において隣り合う配線に対応して各々設けられる前記開口部は、前記フレキシブルプリント配線板の長手方向でずれるように配されているとよい。
【0014】
この構成を採用すれば、開口部同士が離れることで、より一層、隣り合う配線が半田によって短絡してしまうことを抑制することができる。
【0015】
また、このような構成を採用した上で、前記複数の配線における前記フレキシブルプリント配線板の長手方向の一端側の各端部は、前記フレキシブルプリント配線板の長手方向の一端に最も近い位置に設けられた前記開口部よりも前記一端に近い位置に配されていると好適である。
【0016】
これにより、隣り合う開口部間の部分の高さを均一化でき、かつ、通電時の熱の拡がり方を均一化することができる。また、フレキシブルプリント配線板の剛性を高める効果もある。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、短絡抑制効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の概略構成図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の模式的断面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の概略構成図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例4に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成図である。
【
図8】
図8は従来技術に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の説明図である。
【
図9】
図9は従来技術に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下に示すフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と称する)の接合構造は、自動車のEV・PHVのバッテリ監視モジュール用途に好適に適用可能である。ただし、本実施例に係る接合構造は各種用途に採用し得る。
【0020】
(実施例1)
図1~
図3を参照して、本発明の実施例1に係るFPC10の接合構造について説明する。
図1は本発明の実施例1に係るFPC10の概略構成図であり、同図(a)はFPC10の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のAA断面図である。
図2は本発明の実施例1に係るFPC10の接合構造の概略構成図であり、同図(a)はFPC10の接合構造の平面図であり、同図(b)はFPC10の接合構造の側面図である。
図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の接合構造の模式的断面図であり、同図(a)は
図2(a)中のB1B1断面図であり、
図3(b)は
図2(a)中のB2B2断面図である。なお、各図において、主要な構成については、透視して点線で示している。
【0021】
<FPC10>
FPC10は、ベースフィルム100と、ベースフィルム100上に設けられる複数の配線200と、複数の配線200を保護するカバーレイ300とを備えている。カバーレイ300は、接着剤層400によって、配線200及びベースフィルム100に接着される。なお、ベースフィルム100上に設けられる銅箔などの金属箔がエッチングされることで、所望の配線200が形成される。ベースフィルム100及びカバーレイ300の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、及びポリエチレンテレフタレート等を適用することができる。
【0022】
カバーレイ300には、複数の配線200のそれぞれに個別に開口部310が設けられ
、かつ、各配線200の両側と各開口部310の内周面との間にはそれぞれ隙間Sが設けられる。これにより、複数の配線200は、それぞれに対応した開口部310において、その一部が露出する。以下、露出した部分を「露出部200X」と称する。
【0023】
なお、予め、フィルムに接着剤を塗布したカバーレイ300に複数の開口部310を形成しておき、配線200が形成されたベースフィルム100にカバーレイ300を接着させることで、FPC10が得られる。なお、前述のフィルムタイプのカバーレイに代えて、開口部310を現像プロセスにて形成する感光性カバーレイを用いることもできる。また、一括開口したフィルムタイプカバーレイと個別に複数の開口部310を形成した感光性カバーレイとを組み合わせてもよい。
【0024】
<FPC10の接合構造>
以上のように構成されるFPC10を複数接合して長尺化する方法について説明する。ここでは、便宜上、接合する2つのFPCを、それぞれ、第1のFPC10A、第2のFPC10Bと称する。なお、第1のFPC10Aと第2のFPC10Bについては、少なくとも、接合に関連する構成(
図1に示す構成)は同一であり、配線200の配置及び幅寸法、及び開口部310の配置及び寸法形状は同一である。
【0025】
例えば、第1のFPC10Aにおける複数の配線200の各露出部200Xに半田ペーストが塗布される。そして、第1のFPC10Aにおける複数の配線200の各露出部200Xと、第2のFPC10Bにおける複数の配線200の各露出部200Xが重なるように、これら第1のFPC10Aと第2のFPC10Bが重ね合わされる(
図2参照)。その後、ヒーターツールで加圧されつつ加熱されることで、半田付けが行われる。なお、荷重をかける治具を用いて半田付け部を加圧しつつ、リフロー炉内で加熱されることで、いわゆるリフロー半田付けを行ってもよい。これにより、第1のFPC10Aにおける複数の配線200と第2のFPC10Bにおける複数の配線200が、それぞれ半田500によって接続される(
図3参照)。
【0026】
<本実施例に係るFPC10の接合構造の優れた点>
本実施例に係るFPC10の接合構造によれば、カバーレイ300には複数の配線200のそれぞれに個別に開口部310が設けられているため、隣り合う配線200が半田500によって短絡してしまうことを抑制することができる。すなわち、隣り合う配線200の間には、カバーレイ300の一部(隣り合う開口部310の間の部分)と接着剤層400により構成される隔壁が設けられる(
図3(a)参照)。これにより、隣り合う配線が半田500によって短絡してしまうことを抑制することができる。
【0027】
また、カバーレイ300においては、隣り合う開口部310の間にはカバーレイ300の一部が存在する。そのため、半田500が固化する前のペースト状の状態であっても、潰されてしまうことを抑制することができる。すなわち、上記の通り、カバーレイ300の一部と接着剤層400により構成される隔壁が、
図3中、上下のベースフィルム100を支える構造となるため、ペースト状の半田が潰されてしまうことを抑制することができる。従って、ペースト状の半田が潰れることでその一部が離脱して半田ボールとなってしまったりすることを抑制することができる。
【0028】
更に、各配線200の両側と各開口部310の内周面との間にはそれぞれ隙間Sが設けられている。これにより、余剰分の半田は、隙間Sに収まるため、半田の一部が離脱して半田ボールとなってしまったり、隣の配線200と繋がってしまうことも抑制することができる。すなわち、所望の量よりも多くの半田ペーストが塗布された場合には、第1のFPC10Aと第2のFPC10Bとを重ね合わせた際に、半田ペーストの一部がはみ出したり離脱したりする虞がある。しかしながら、隙間Sに余剰分の半田ペーストが収まるこ
とで、半田ボールができてしまったり、隣り合う配線200が半田ペーストによって繋がってしまったりすることを抑制することができる。
【0029】
(実施例2)
図4及び
図5には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、カバーレイに設ける開口部の配置構成が、実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0030】
図4は本発明の実施例2に係るFPCの概略構成図であり、同図(a)は第1のFPC10Cの平面図であり、同図(b)は第2のFPC10Dの平面図である。
図5は本発明の実施例2に係るFPCの接合構造の概略構成図であり、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dを接合した状態を示す平面図である。なお、各図において、主要な構成については、透視して点線で示している。
【0031】
本実施例に係るFPC(第1のFPC10Cと第2のFPC10D)においても、実施例1と同様に、ベースフィルム100と、配線200と、カバーレイ300と、接着剤層400とを備えている。本実施例においては、カバーレイ300に設ける開口部310の配置構成が実施例1とは異なっている。上記実施例では複数の開口部310が一列に並んでいたのに対し、本実施例においては、複数の配線200において隣り合う配線200に対応して各々設けられる開口部310は、FPCの長手方向でずれるように配されている。より具体的には、複数の開口部310は長手方向の前後に交互にずれるように配されて、2列に並ぶように構成されている。
【0032】
そして、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを重ね合わせる際に、それぞれの開口部310が一致するように、それぞれの開口部310は配置されている。つまり、第1のFPC10Cの場合には、
図4中上側の列に6個の開口部310が設けられ、下側の列に5個の開口部310が設けられている。これに対して、第2のFPC10Dの場合には、
図4中上側の列に5個の開口部310が設けられ、下側の列に6個の開口部310が設けられている。第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを接合する方法(手順)については、実施例1で説明した通りである。
【0033】
以上のように構成される本実施例に係るFPCの接合構造においても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例においては、開口部310同士が実施例1に比べて離れるため、より一層、隣り合う配線が半田によって短絡してしまうことを抑制することができる。なお、本実施例においては、複数の開口部310は長手方向の前後に交互にずれるように配されて、2列に並ぶように構成する場合を示した。しかしながら、複数の開口部310の配置構成については、このような構成に限られることはなく、3列以上並ぶような配置構成も採用し得る。
【0034】
なお、
図4に示すように、FPCの接合力を高めるために、接合用のパッド部250を設けることもできる。この接合用のパッド部250は、ベースフィルム100上に設けられた銅箔などの金属箔をエッチングして配線200を形成する際に、配線200とは別に、金属箔の一部を残すことで形成することができる。そして、カバーレイ300に開口部350を設けることで、このパッド部250を露出させることができる。
図4においては、4か所にパッド部250と開口部350が設けられる場合の構成が示されている。第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを接合する際に、各々のパッド部250同士も半田で固定することで、接合力を高めることができる。なお、このパッド部250に関する構成については、実施例1でも適用できることは言うまでもない。
【0035】
また、
図4に示すように、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dのそれぞれに位置決め用の貫通孔Hを設ける構成を採用することも好適である。この貫通孔Hは、カバーレイ300,接着剤層400及びベースフィルム100を貫通するように設けられる。このような貫通孔Hを設ければ、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを重ね合わせる際に、それぞれの貫通孔Hを一致させるようにすることで、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを所望の位置で重ねることができる(
図5参照)。例えば、台の2か所にピンを設けておき、これらのピンに貫通孔Hが通るように、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dを順次台上に配置することで、簡単に、第1のFPC10Cと第2のFPC10Dとを所望の位置で重ねることができる。なお、この貫通孔Hに関する構成については、実施例1でも適用できることは言うまでもない。また、貫通孔Hに代えて、
図5中、丸中に示すような切欠きH1で位置決めしてもよい。
【0036】
(実施例3)
図6には、本発明の実施例3が示されている。本実施例においては、複数の配線の配置構成が、実施例2とは異なる場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例2と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0037】
図6は本発明の実施例3に係るFPC10の概略構成図であり、同図(a)はFPC10Eの平面図であり、同図(b)は同図(a)中のCC断面図である。
【0038】
実施例2に係るFPC(第1のFPC10Cと第2のFPC10D)の場合、その長手方向の先端付近においては、隣り合う開口部310の間の領域の内部には配線200が存在しない。配線200が存在しない領域は、配線200が存在する領域に比べて剛性は低くなる。また、通電時においては、配線200の温度が高くなるため、配線200が存在しない領域と配線200が存在する領域との間に温度差が生じる。以上のことからFPCの寸法形状や使用環境によっては、品質に影響する場合もある。
【0039】
そこで、本実施例においては、複数の配線200におけるFPC10Eの長手方向の一端側(
図6(a)では上部の端側)の各端部は、FPC10Eの長手方向の一端に最も近い位置に設けられた開口部310(本実施例においては、図中上側の6個の開口部310に相当)よりも一端に近い位置に配される構成を採用している。配線200の配置構成以外の構成は、実施例2と同一である。
【0040】
以上のように構成される本実施例に係るFPC10Eの接合構造においても、上記実施例2と同様の効果を得ることができる。また、本実施例の場合には、複数の開口部310が設けられた領域全体について、剛性が一様となる。これにより、隣り合う開口部310間の部分の高さを均一化できる。また、FPC10Eの先端付近の剛性の低下を抑制することができるため、FPC10Eの先端付近が反ってしまうことを抑制することができる。また、通電時の熱の拡がり方を均一化することができる。更に、接続端子の周囲の配線200を合わせることで、熱の伝わりが均一化され、場所による出来栄え差を減らすこともできる。
【0041】
(実施例4)
図7には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においては、半田実装部の裏側に金属箔を設ける場合の構成を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例2と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0042】
図7は本発明の実施例4に係るFPC10Fの概略構成図であり、同図(a)はFPC
10Fの平面図であり、同図(b)は同図(a)中のDD断面図である。
【0043】
上記実施例2においては、いわゆる片面FPCを採用していたのに対し、本実施例においては、両面FPCを採用し、実施例2におけるFPCの裏面のうち、半田実装部の真裏の位置に金属箔を残す構成を採用している。
【0044】
すなわち、本実施例に係るFPC10Fは、実施例2と同様に、ベースフィルム100と、配線200と、パッド部250と、カバーレイ300と、接着剤層400とを備えている。配線200の露出部200Xとパッド部250は、実施例2で説明した通り、半田付けがなされる。このように半田付けされた部分が半田実装部である。
【0045】
本実施例においては、ベースフィルム100の裏面側にも金属箔が設けられている。この金属箔がエッチングされることで所望の形状の部分のみが残った後に、カバーレイ300Sが、接着剤層400Sにより金属箔が残った部分及びベースフィルム100に接着される。そして、本実施例においては、配線200の露出部200Xとパッド部250が設けられた部分(半田実装部)の真裏の位置において、金属箔が残るように構成されている。すなわち、ベースフィルム100を介して露出部200Xの真裏の位置に第1パターン200Sが設けられ、ベースフィルム100を介してパッド部250の真裏の位置に第2パターン250Sが設けられている。これらのパターンが金属箔を残した部分である。
【0046】
以上のように構成される本実施例に係るFPCの接合構造においても、上記実施例2と同様の効果を得ることができる。また、本実施例においては、半田実装部の裏面に、金属箔により構成されるパターンが設けられている。これにより、半田付けの際に、半田実装部がパターンに支えられて盛り上がり易い状態となるため、圧力がかかり易く好適に半田付けがなされる。なお、本実施例で示したパターン(半田実装部の真裏に設けるパターン)については、実施例1でも採用することができる。
【0047】
(その他)
上記各実施例においては、FPC同士を接合する場合の構成について説明したが、本発明に係るFPCの接合構造においては、FPCとリジッドな回路基板などFPC以外の回路基板とを接合する構造においても適用可能である。すなわち、本発明においては、上記のように構成されたFPCの配線と、各種回路基板に備えられる複数の配線(複数の接続対象配線)とが半田により接続される接合構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F:FPC
100:ベースフィルム
200:配線
200S:第1パターン
200X:露出部
250:パッド部
250S:第2パターン
300,300S:カバーレイ
310,350:開口部
400,400S:接着剤層
500:半田
H:貫通孔
H1:切欠き
S:隙間