(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004826
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】発光エンブレム
(51)【国際特許分類】
B60R 13/00 20060101AFI20240110BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20240110BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240110BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240110BHJP
G09F 13/00 20060101ALI20240110BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20240110BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20240110BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240110BHJP
F21Y 103/30 20160101ALN20240110BHJP
【FI】
B60R13/00
F21S43/50
F21S2/00 431
F21S2/00 432
F21S2/00 439
F21V23/00 140
G09F13/00 W
G09F13/04 D
F21W104:00
F21Y115:10
F21Y103:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104679
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】風呂谷 育浩
【テーマコード(参考)】
3D024
3K014
3K244
5C096
【Fターム(参考)】
3D024CA15
3K014AA01
3K244AA09
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA19
3K244EA02
3K244EA19
3K244EA34
3K244GA08
3K244HA01
5C096AA11
5C096BA04
5C096BC02
5C096BC13
5C096CA02
5C096CA13
5C096CA22
5C096CB01
5C096CC06
5C096CD02
5C096DC02
5C096FA05
5C096FA11
(57)【要約】
【課題】複数の光源の発光状態を経時的に制御することにより、意匠性の向上した発光エンブレムを提供する。
【解決手段】
発光部と、前記発光部が発光した光を導光して出光させる導光板と、前記発光部を制御する制御系と、前記導光板の出光面側に配置されたカバー部材を備え、該カバー部材が、前記導光板から出光した光を透過する透光部と、前記導光板から出光した光を遮光する遮光部を有し、前記発光部が、複数の光源が弧状に配列された、第1の発光部分を含み、前記制御系が前記複数の光源を経時的に順次点灯させることにより、前記第1の発光部分において、光が流れるように発光する、発光エンブレムとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部が発光した光を導光して出光させる導光板と、
前記発光部を制御する制御系と、
前記導光板の出光面側に配置されたカバー部材を備え、
該カバー部材が、前記導光板から出光した光を透過する透光部と、
前記導光板から出光した光を遮光する遮光部を有し、
前記発光部が、複数の光源が弧状に配列された、第1の発光部分を含み、
前記制御系が前記複数の光源を経時的に順次点灯させることにより、
前記第1の発光部分において、光が流れるように発光する、発光エンブレム。
【請求項2】
請求項1に記載の発光エンブレムにおいて、
前記導光板には、前記複数の光源のそれぞれに対面する位置に凹部が形成されており、該凹部に、前記光源から発光した光が入射する入射面が形成されている、
発光エンブレム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光エンブレムにおいて、
前記制御系が前記複数の光源を経時的に順次点灯させた後、同時に点灯させることにより、前記第1の発光部分において、光が流れるように発光した後、全体が均一に発光するように制御される、
発光エンブレム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発光エンブレムにおいて、
前記発光部が、複数の光源が配置されて均一に発光する第2の発光部分をさらに備え、
前記導光板が前記第1の発光部分に対向する第1の導光領域と、前記第2の発光部分に対向する第2の導光領域を有し、前記第1の導光領域と、前記第2の導光領域との間に遮光領域が設けられている、
発光エンブレム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用の照明装置に関し、より具体的には、発光機能を有する車両用のエンブレムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、各種の照明装置を備えている。近年では、LEDなどの消費電力の低い発光体の開発に伴い、従来の実用的な機能を有する照明装置に加え、装飾を目的とする照明装置も用いられている。例えば特許文献1には、自動車のドアトリムに設置される照明装置が、導光体と、ドアの開閉に応じて点灯状態が制御される第1および第2の光源を備え、棒状または板状の導光体の長手軸に沿って配置される複数の第1の光源をドアが開かれた時に、一端から他端に向かって順に点灯し、ドアが閉められたときに順に消灯するよう制御される構成を記載している。
【0003】
自動車の外装の装飾としてエンブレムがあり、製造元や車種名を標示している。エンブレムは素材やデザイン等で装飾機能を発揮するが、これに装飾用の照明を加えることも検討されている。例えば特許文献2はエンブレムを載置したケーシングの内周面に設置されたLED光源とを備え、LED光源の指向性がケーシングの底面と平行、もしくはケーシングの底面側に向くように設置された構成を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-212038号公報
【特許文献2】実用新案登録第3169564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、長尺の棒状または板状の導光体に対向して複数のLED(第1の光源)を設置し、点灯状態を制御する構成が記載されているが、光源を弧状に配列する構成は記載されていない。特許文献2は発光エンブレムにおいて、LED光源の指向性をケーシングの底面に平行な方向または底面に向け、ケーシングからの反射光を上面に設置された拡散板を介して発光させることによりLEDの指向性を緩和して均一な発光を得ることを記載しているが、LEDの発光状態を個別に制御することは記載していない。
【0006】
本発明は、自動車等の車両のエンブレムに照明機能を組み合わせた発光エンブレムにおいて、複数の光源の発光状態を経時的に制御することにより、意匠性の向上した発光エンブレムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光エンブレムは、
発光部と、
前記発光部が発光した光を導光して出光させる導光板と、
前記発光部を制御する制御系と、
前記導光板の出光面側に配置されたカバー部材を備え、
該カバー部材が、前記導光板から出光した光を透過する透光部と、
前記導光板から出光した光を遮光する遮光部を有し、
前記発光部が、複数の光源が弧状に配列された、第1の発光部分を含み、
前記制御系が前記複数の光源を経時的に順次点灯させることにより、
前記第1の発光部分において、光が流れるように発光する。
【0008】
上記発光エンブレムによれば、導光板を活用することにより、発光エンブレムを薄型化できるとともに、少ない数の光源で照明効果を得ることができる。また、第1の発光部分で弧状に配列された光源が流れるように発光することにより、発光エンブレムに、これまでにない斬新な意匠性を付与することができる。
【0009】
上記構成の発光エンブレムにおいて、
前記導光板には、前記複数の光源のそれぞれに対面する位置に凹部が形成されており、該凹部に、前記光源から発光した光が入射する入射面が形成されていてもよい。
【0010】
上記構成の発光エンブレムによれば、光源から発光した光が、導光体の外に散逸するのを防止できるとともに、凹部に形成された入射面により、導光板に入射した光の導光方向を制御し、効率的に照明を行うことができる。
【0011】
上記構成の発光エンブレムにおいて、前記制御系が前記複数の光源を経時的に順次点灯させた後、同時に点灯させることにより、前記第1の発光部分において、光が流れるように発光した後、全体が均一に発光するように制御されるようにしてもよい。
【0012】
上記構成の発光エンブレムによれば、複数の光源を常時点灯させることにより、昼間でも発光状態を視認可能なものとすることができる。
【0013】
上記構成の発光エンブレムにおいて、
前記発光部が、複数の光源が配置されて均一に発光する第2の発光部分をさらに備え、
前記導光板が前記第1の発光部分に対向する第1の導光領域と、前記第2の発光部分に対向する第2の導光領域を有し、前記第1の導光領域と、前記第2の導光領域との間に遮光領域が設けられている構成としてもよい。
【0014】
上記構成の発光エンブレムによれば、発光状態が変化する第1の領域と、均一に発光する第2の領域との組み合わせにより、照明デザインの幅を広げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光源が弧状に配列された発光部分の発光状態を動的に制御することにより、発光エンブレムの意匠性を高め、エンブレムを装着した車両の視覚的高級感を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる発光エンブレムの正面図である。
【
図2】
図1の発光エンブレムの構成要素を示す斜視図である。
【
図3】導光板に基板および裏面カバーを組付けた状態を示す正面図である。
【
図4】
図3において、枠IVで示した部分の拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる発光エンブレムの制御部を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる発光エンブレム(以下、エンブレムと記述する)について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1はエンブレム1の正面図である。エンブレム1のデザインは基本的に任意であるが、この例では、エンブレム1の外面を構成するカバー部材10が、正面視において、半円状の上部10aと、略矩形の中央部10bと、半円状の下部10cからなり、中央部10bにはロゴマークMが表示されている。この例では、ロゴマークMおよび上部10aと下部10cにそれぞれ形成された弧状の透光部100が、切り欠きまたは透明部材により形成されており、カバー部材10の裏側に配置された導光板(
図2の符号11参照)から出光する光を透過する。ロゴマークMおよび透光部100以外の部分は不透明部材からなる遮光部101となっている。
【0019】
なお、上の説明および以下の記載において、上側、下側は、エンブレム1を車両(図示せず)に装着した状態での上側、下側を示すものとし、表側は車外側、裏側は車体側を示すものとする。
【0020】
図2は、エンブレム1の基本的構成要素を示す斜視図である。エンブレム1のカバー部材10の裏側には、導光板11が配置され、さらにその裏側には基板12が配置されている。基板12の裏側には裏面カバー13が配置され、ねじ14により、導光板11と基板12をカバー部材10に対して固定している。
【0021】
導光板11には、複数の切り込み(スリット状の開口)110が形成されており、略半円状の上部11aと、略矩形の中央部11bと、略半円状の下部11bとが狭い接合部11dを除いてほぼ分離されている。導光板の上部11a及び下部11cには、略半円状の開口111が形成されており、中央部11bの中心付近には、略矩形の開口112が形成されている。上部11aおよび下部11bの開口111の縁をなす弧状の内周111aには、複数の凹部Rが形成されている。
【0022】
基板12は、半円状の上部12aと、略矩形の中央部12bと、半円状の下部12cとが接合部12dで接合された形状を有し、中央部の上下において、外周12eから接合部12dに向けて切り込み120が形成されている。基板の表面側12fには複数の光源Pが配置されており、裏面側12gには、回路(図示せず)が形成され、発光部15を構成している。上部12a及び下部12bには、それぞれ複数の光源Pが弧状に配置され、第1の発光部分15a、15cを構成しており、中央部には、複数の光源Pが2列の直線状に配置され、第2の発光部分15bを構成している。基板12は、裏面カバー13に挿通されるハーネス16とコネクタ17を介して、制御系を形成する制御部18に接続される。
【0023】
裏面カバー13の表面側13aには、基板12に当接するスペーサ13bと、複数(4枚)の壁板13cが設けられている。
【0024】
図3は、基板12および裏面カバー13を導光板11に組付けた状態を示す正面図である。導光板11の上部11aおよび下部11cの円弧状の内周面には、略半円状の凹部Rが複数形成されている。第1の発光部分15a、15cの複数の光源Pは、それぞれ1:1で導光板11の個々の凹部Rに対置される。第2の発光部分15bの光源Pは、導光板11の中央部11bの開口112の壁に対置される。導光板11および基板12の切り込み110,120には裏面カバー13の壁板13cが挿入される。この場合、第1の発光部分15a、15cに対向する導光板上部11aと下部11cの領域と、第2の発光部分15bに対向する導光板中央部11bの領域とは、切り込み110と壁板13cが構成する領域により遮蔽されているので、導光板の上部11a、中央部11b、下部11cに入光した光が混在することはほぼなく、それぞれの部分が個別に照明される。
【0025】
図4は、
図3のIVで示す部分の拡大図である。本実施形態では、光源PとしてはLEDを用いており、凹部Rの壁面R1は光源Pの発光体P1から、導光板11へ入射する光の入射面を形成しており、凹部Rの形状によって、導光板11に入光した光Lの導光方向を制御することができる。ここで隣接する凹部R間の領域には、隣接する光源Pからの光が入光するので、少数の光源Pを用いて、導光板11からの発光を滑らかなものとすることができる。
【0026】
図5は、制御部18の構成要素を示す概念図である。制御部18は、光源の点灯制御回路18a、マイクロコントローラ(マイコン)18b、電源回路18cを備えており、ハーネス18dとコネクタ18eを介して、基板12側のコネクタ17に接続され、ハーネス18fを介して電源(図示せず)に接続される。また、この例では、車内のコントロールパネル(図示せず)側に設置される起動スイッチ18gにハーネス18hを介して接続されている。
【0027】
制御部18は、
図2の上側と下側の第1の発光部分15a、15cおよび第2の発光部分15bをそれぞれ独立して制御することができる。例えば第1の発光部分15a、15cにおいて、光源Pを円弧に沿って順次点灯・消灯させることにより、光が流れるような照明を演出することができる。その際点灯制御回路18aに設置されたコンデンサ(図示せず)などを用いて、フェードイン・フェードアアウトの時間を調整してもよい。あるいは、光源(例えばLED)が徐々に明るくなるフェードインでの点灯に要する時間を順次長くすることにより、第1の発光部分15a、15cが流れるように点灯した後、全体が弧状に発光する照明効果を得ることができる。また、その際のフェードインに要する時間を調整することにより、光の流れの速さを調整することもできる。なお、第2の発光部分15bは、常時点灯させ、ロゴマークMを標示させておくことができる。
【0028】
上記のエンブレム1によれば、流れるような発光によりエンブレム1の意匠性を高め得るとともに、常時点灯時には、多数の光源Pを用いることにより、昼間でもエンブレムの視認が可能となる。
【0029】
上記構成のエンブレム1において、光源PにはLEDを用いることができる、LEDは単色の発光体であってもよいが、色変換機能をもつものであってもよい。カバー部材10は、アルミニウム等の軽量金属でもよいが、例えばポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックを用いてもよい。その際、
図1のロゴマークMおよび弧状の透光部100には、シリコーン粒子等の光拡散性部材を分散させてもよい。また、遮光部101の一部に加飾のため金属めっきを行ってもよい。
図2の導光板11としてはPMMAなどのアクリル樹脂を用いてもよく、必要に応じ、シリコーン粒子などの光拡散材を分散させてもよい。発光部15を構成する基板12には絶縁性の材料を用いればよく、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂からなるFR4などを用いてもよい。裏面カバーもDR4や、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチック、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属を用いることができる。エンブレム1の形状は特に限定されず、弧状発光する部分(15a、15cに相当)は、円弧状であっても、楕円弧状であってもよい。エンブレム1の設置場所も特に限定はされず、車両のデザインに応じ、ボンネットに設置してもよく、ラジエータグリル上に設置してもよい。また車両後部のバックドアまたはトランクに設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の発光エンブレムによれば、これを装着する車両の審美性を高めることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 発光エンブレム
10 カバー部材
100 透光部
101 遮光部
11 導光板
11a 導光板上部(第1の導光領域)
11b 導光板中央部(第2の導光領域)
11c 導光板下部(第3の導光領域)
110 切り込み(遮光領域)
12 基板
13 裏面カバー
15 発光部
15a、15c 第1の発光部分
15b 第2の発光部分
18 制御部