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特開2024-48289情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048289
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/395 20220101AFI20240401BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/414 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/273 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/30 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240401BHJP
   F24H 15/156 20220101ALI20240401BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240401BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20240401BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240401BHJP
   F24D 101/30 20220101ALN20240401BHJP
【FI】
F24H15/395
F24D18/00
F24H1/00 631A
F24H15/414
F24H15/20
F24H15/273
F24H15/30
F24H15/269
F24H15/156
H01M8/04313
H01M8/10 101
H01M8/12 101
F24D101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154246
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】内 一隆
(72)【発明者】
【氏名】山内 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】黒部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 武
【テーマコード(参考)】
3L122
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA28
3L122AA42
3L122AA53
3L122AA63
3L122AA65
3L122AA66
3L122AA73
3L122AD05
3L122BA36
3L122BA45
3L122DA01
3L122FA02
3L122FA04
3L122FA05
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA25
5H126BB04
5H126BB05
5H126BB06
5H127AA03
5H127AA04
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB11
5H127AB23
5H127DB98
(57)【要約】
【課題】燃料電池の発電に伴って発生する熱の有効利用に資する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する。情報処理装置は、需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジの受信に基づいて、需要家が熱を要求する位置と燃料電池の位置とに応じて、熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを需要家に送信する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する情報処理装置であって、
需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信する、情報処理装置。
【請求項2】
前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置との距離が所定の距離以内であるか否かに応じて、前記第2メッセ―ジを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2メッセージは、前記燃料電池の現在の蓄熱状態及び未来の蓄熱状態の少なくとも一方を示す情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2メッセージは、前記燃料電池による給湯可能な湯量及び給湯温度の少なくとも一方を示す情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2メッセージは、前記燃料電池が設置される施設において使用される予定の湯量及び湯温の少なくとも一方を示す情報を含む、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1メッセ―ジに第1温度の熱要求を示す情報が含まれ、前記燃料電池が前記第1温度より高い第2温度の熱を供給可能である場合において、前記第2温度の熱要求を示す情報を所定時間受信しないとき、前記第2メッセージとして、前記第1温度の熱要求に対応可能である旨を示す情報を含むメッセージを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記燃料電池の熱を使用する予定が設定されている場合、前記第2メッセージとして、前記熱要求に対応不能である旨を示す情報を含むメッセージを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置との距離が所定の距離以内でない場合、前記第2メッセージとして、前記熱要求に対応不能である旨を示す情報を含むメッセージを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記燃料電池が前記熱要求に対応したことに基づいて、前記燃料電池が前記需要家に供給した熱量及び給湯量の少なくとも一方を示す情報を含む第3メッセージを送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第3メッセージは、前記燃料電池が設置されているエリアの外気温を示す情報を含む、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する情報処理装置の情報処理方法であって、
需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジを受信するステップと、
前記第1メッセージの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理するプログラムであって、
情報処理装置に、
需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジを受信するステップと、
前記第1メッセージの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池による発電及び/又は発熱を有効に利用するために、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1は、複数の需要家への電気及び熱の供給を行う技術を開示している。特許文献2は、コージェネレーションシステムの熱管理を行う技術を開示している。特許文献3は、停電時に燃料電池ユニットを適切に動作させる技術を開示している。特許文献4は、燃料電池システムが備えられている建物へのユーザの到着状況に応じて、燃料電池システムを制御する技術を開示している。特許文献5は、災害時に補助電源を利用することなく燃料電池によって電力供給を行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-20426号公報
【特許文献2】特開2018-42420号公報
【特許文献3】特開2020-119829号公報
【特許文献4】特開2019-71170号公報
【特許文献5】特開2014-179199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池の発電に伴って発生する熱を、極力無駄にせずに有効利用することが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、燃料電池の発電に伴って発生する熱の有効利用に資する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る情報処理装置は、燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する。
前記情報処理装置は、需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信する。
【0007】
一実施形態に係る情報処理方法は、
燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する情報処理装置の情報処理方法である。
前記情報処理方法は、
需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジを受信するステップと、
前記第1メッセージの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信するステップと、
を含む。
【0008】
一実施形態に係るプログラムは、
燃料電池の発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する情報処理装置に実行させるプログラムである。
前記プログラムは、前記情報処理装置に、
需要家からの熱要求を示す情報を含む第1メッセ―ジを受信するステップと、
前記第1メッセージの受信に基づいて、前記需要家が熱を要求する位置と前記燃料電池の位置とに応じて、前記熱要求への対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジを前記需要家に送信するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、燃料電池の発電に伴って発生する熱の有効利用に資する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るシステム全体を概略的に示す図である。
図2】一実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。
図3】熱媒体の距離に応じた温度変化について例示する図である。
図4】一実施形態に係るシステムに含まれる機器間のやり取りを示すシーケンス図である。
図5】一実施形態に係るシステムに含まれる機器間のやり取りを示すシーケンス図である。
図6】一実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。
図7】一実施形態に係る情報処理装置の他の動作を説明するフローチャートである。
図8】一実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。
図9】熱媒体の距離に応じた温度変化について例示する図である。
図10】一実施形態に係る情報処理装置の動作を説明するフローチャートである。
図11】熱媒体の距離に応じた温度変化について例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る情報処理装置及び情報処理装置を含むシステムについて、図面を参照しながら説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係及び/又は比率が異なる部分が含まれ得る。
【0012】
図1は、一実施形態に係る情報処理装置を含むシステムを概略的に示す図である。
【0013】
図1に示すように、一実施形態に係るシステムは、例えば、情報処理装置1、アグリゲータAG、燃料電池FC、及び需要家CSを含んでよい。一実施形態に係るシステムは、図1に示す機能部の少なくともいずれかを含まなくてもよいし、図1に示す機能部以外の機能部(機器など)を含んでもよい。
【0014】
一実施形態に係るシステムは、需要家からの熱要求に基づいて、燃料電池による電力の発電に伴って発生する熱(例えば燃料電池システムの貯湯タンク(蓄熱タンク)に貯湯される湯(水)が有する熱)を、当該需要家に適宜供給する。以下、このような需要家からの熱についてのデマンドレスポンス(Demand Response)を、「熱のデマンドレスポンス」、又は単に「熱DR」とも記す。一実施形態に係るシステムにおいて、各燃料電池は、需要家からの熱要求に応じて当該需要家に熱を供給するため、当該需要家(又は需要家施設)まで、水又は湯のような熱媒体を伝達する導管(熱伝導管/熱伝送路)で接続されてよい。図1において、熱媒体を伝達する導管の図示は省略してある。もちろん、一実施形態に係るシステムは、それぞれの燃料電池が発電した電力を、各需要家に供給してもよい。以下、一実施形態に係るシステムを用いる熱DRについて説明し、一実施形態に係るシステムにおける電力の供給については、説明を省略する。
【0015】
燃料電池FCは、公知の種々の燃料電池としてよい。図1においては、例として、燃料電池FC1、燃料電池FC2、及び燃料電池FC3のように3つの燃料電池を示してある。しかしながら、一実施形態に係るシステムは、1つ以上の任意の数の燃料電池を含んでよい。燃料電池FC1、燃料電池FC2、及び燃料電池FC3をそれぞれ区別せずに示す場合、又は、燃料電池FC1、燃料電池FC2、及び燃料電池FC3をまとめて示す場合、単に「燃料電池FC」と示すことがある。
【0016】
一実施形態に係るシステムにおいて熱DRを実現するために、燃料電池FCは、燃料電池による電力の発電に伴って熱を発生するものを採用してよい。燃料電池FCは、電力の発電に伴って熱を発生するものであれは、任意の発電装置としてよい。例えば、燃料電池FCは、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)、リン酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、又は溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)等としてよい。
【0017】
需要家CSは、一実施形態に係るシステムにおいて、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱を要求する者としてよい。また、需要家CSは、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱を要求する者が当該熱を要求する地点における施設(設備)など示すものとしてもよい。図1においては、例として、需要家CS1、需要家CS2、及び需要家CS3のように3つの需要家を示してある。しかしながら、一実施形態に係るシステムは、1つ以上の任意の数の需要家を含んでよい。需要家CS1、需要家CS2、及び需要家CS3をそれぞれ区別せずに示す場合、又は、需要家CS1、需要家CS2、及び需要家CS3をまとめて示す場合、単に「需要家CS」と示すことがある。
【0018】
上述のように、図1に示すシステムは、燃料電池FC1、燃料電池FC2、及び燃料電池FC3などの少なくともいずれかの発電に伴って発生する熱を、需要家CS1、需要家CS2、及び需要家CS3などの少なくともいずれかに供給する。このため、図1においては図示を省略してあるが、燃料電池FCは、熱を要求する需要家CSの地点(又は需要家CSが熱を要求する地点)まで、熱媒体を伝達する導管などによって接続されてよい。
【0019】
アグリゲータAGは、燃料電池FCと需要家CSとの間でデータのやり取りを仲介する任意の存在としてよい。図1に示すシステムにおいて、アグリゲータAGは、例えば燃料電池FCと需要家CSとの間で各種データのやり取りを仲介してよい。アグリゲータAGは、図1に示すシステムにおいて熱DRを実現するために、各種の機能を備えてよい。アグリゲータAGの機能については、さらに後述する。また、アグリゲータAGは、電力のデマンドレスポンスの場合のように、例えば電力会社の供給余力が少なくなった場合などに、電力の需要家に電力の使用抑制を働きかける存在としての機能を有してもよい。
【0020】
情報処理装置1は、パソコン、ノートパソコン、サーバ、ワークステーション、タブレット端末、又はスマートフォンなどのような、各種の情報を処理可能な各種の機器を採用してよい。一実施形態に係る情報処理装置1の機能については、さらに後述する。
【0021】
ネットワークNは、図1に示すシステムにおける各機能部を有線及び無線の少なくとも一方で接続する任意のネットワークとしてよい。図1において、一実施形態に係るシステムを構成する各機能部が、有線及び無線の少なくとも一方によってネットワークNに接続されている様子を、破線により示してある。
【0022】
一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、任意の場所に設置されてよい。例えば、一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、アグリゲータAGの施設内に設置されてよい。また、一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、燃料電池FCの施設内に設置されてもよい。また、一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、需要家CSの施設内に設置されてもよい。さらに、一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、アグリゲータAG、燃料電池FC、又は需要家CSの施設内とは異なる場所に設置されてもよい。
【0023】
図2は、一実施形態に係る情報処理装置1の機能的な構成を概略的に示すブロック図である。以下、図2を参照して、一実施形態に係る情報処理装置1の機能的な構成について、さらに説明する。
【0024】
一実施形態に係る情報処理装置は、例えば専用端末として構成することができる。一方、一実施形態に係る情報処理装置は、上述のように、パソコン、ノートパソコン、サーバ、ワークステーション、タブレット端末、又はスマートフォンなどのような電子機器で構成してもよい。また、一実施形態に係る情報処理装置の機能は、他の電子機器の機能の一部として実現されてもよい。一実施形態に係る情報処理装置の機能は、コンピュータを搭載する任意の電子機器において、一実施形態に係る情報処理装置の処理を行うアプリケーションプログラムを実行させて実現することもできる。
【0025】
図2に示すように、一実施形態に係る情報処理装置1は、制御部10と、入力部20と、出力部30と、通信部40と、記憶部50とを備えている。
【0026】
制御部10は、情報処理装置1を構成する各機能部をはじめとして、情報処理装置1の全体を制御及び管理する。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などを含めて構成することができる。一実施形態に係る情報処理装置1において、制御部10は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を演算及び/又は処理してよい。
【0027】
情報処理装置1は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、制御部10として、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、又は複数の通信可能に接続された集積回路、及び/又はディスクリート回路(discrete circuits)として実現されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実現されることが可能である。
【0028】
一実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続又は処理を実行するために構成された、1以上の回路又はユニットを含む。例えば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又はこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、又は他の既知のデバイス若しくは構成の組み合わせを含むことにより、以下に説明する機能を実行してもよい。
【0029】
入力部20は、例えばキーボードのようなキー(物理キー)、及び/又は、マウス若しくはトラックボールのようなポインティングデバイスなど、情報処理装置1のユーザが操作を行うために使用する任意の入力デバイスとすることができる。一実施形態において、入力部20は既知の各種入力デバイスとすることができるため、より詳細な説明は省略する。一実施形態において、情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を、入力部20から取得してよい。
【0030】
出力部30は、情報処理装置1による処理結果などを表示する。一実施形態において、出力部30は、例えばディスプレイとして、例えば燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を表示してよい。また、一実施形態において、出力部30は、例えば上述した情報を出力するために、ユーザに所定の情報の入力を促す画面を構成する文字、記号、及び/又は画像なども表示する。出力部30において表示を行うために必要なデータは、制御部10又は記憶部50から供給されてよい。
【0031】
出力部30は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence panel)、又は無機ELディスプレイ(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の任意の表示デバイスとしてよい。出力部30は、文字、図形、記号、又はグラフ等の各種の情報を表示してよい。出力部30は、情報処理装置1を操作するユーザに操作を促すために、ポインタをはじめとする種々のGUIを構成するオブジェクト、及びアイコン画像などを表示してもよい。また、出力部30は、適宜、バックライトなどを含んで構成してもよい。
【0032】
また、出力部30は、必ずしもユーザに視覚的効果を与えるデバイスに限定されない。出力部30は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報をユーザに伝えることができれば、任意の構成を採用してよい。例えば、出力部30は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を音声などで伝えるスピーカなどで代用してもよい。さらに、このようなスピーカを、出力部30に併設してもよい。
【0033】
一実施形態において、出力部30は、入力部20とともに、例えばタッチスクリーンディスプレイとして構成されてもよい。この場合、タッチスクリーンディスプレイは、出力部30として、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスと備えてよい。また、この場合、タッチスクリーンディスプレイは、入力部20として、例えば、ユーザによる接触の有無及び当該接触の位置を検出するタッチセンサ又はタッチパネルを備えてよい。このような構成においては、例えばテンキーなどのキー又はアイコン等をオブジェクトとして出力部30に表示して、当該オブジェクトに対して操作者が接触する操作を、入力部20により検出することができる。入力部20は、抵抗膜方式、静電容量方式、又は光学式などの種々の方式のタッチパネルなどを採用することができる。
【0034】
通信部40は、情報処理装置1以外の他の電子機器との間で、各種情報の送信及び受信の少なくとも一方を実現する任意の機能部としてよい。通信部40は、例えば無線通信をはじめとする各種の機能を実現することができる。通信部40は、例えばITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)において通信方式が標準化されたモデムを含んでよい。通信部40は、例えばアンテナを介して、例えば外部サーバ又はクラウドサーバのような外部機器と、ネットワークを介して無線通信してよい。一実施形態において、通信部40は、例えば外部サーバ又はクラウドサーバなどの外部のデータベースから、各種情報を受信してよい。また、このようにして通信部40が受信した各種情報は、記憶部50に記憶してもよい。一実施形態において、情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を、通信部40を経て受信又は取得してよい。
【0035】
通信部40は、無線通信を行う機能部に限定されるものではない。例えば、通信部40は、例えば外部の機器などと無線及び/又は有線により通信するためのインタフェースの機能を有してもよい。一実施形態の通信部40によって行われる通信方式は、無線通信規格としてよい。例えば、無線通信規格は、2G、3G、4G、及び5G等のセルラーフォンの通信規格を含む。例えば、セルラーフォンの通信規格は、LTE(Long Term Evolution)、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、及びPHS(Personal Handy-phone System)等を含む。例えば、無線通信規格は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、WiFi、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、及びNFC(Near Field Communication)等を含む。通信部40は、上記の通信規格の1つ又は複数をサポートすることができる。
【0036】
記憶部50は、制御部10及び通信部40などから取得した情報を記憶する。また記憶部50は、制御部10によって実行されるプログラム等を記憶する。その他、記憶部50は、例えば制御部10による演算結果などの各種データも記憶する。さらに、記憶部50は、制御部10が動作する際のワークメモリ等も含むことができるものとして、以下説明する。記憶部50は、例えば半導体メモリ又は磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部50は、光ディスクのような光学記憶装置としてもよいし、光磁気ディスクなどとしてもよい。また、例えば、記憶部50は、本実施形態に係る情報処理装置1に挿入されたメモリカードのような記憶媒体としてもよい。また、記憶部50は、制御部10として用いられるCPUの内部メモリであってもよい。一実施形態において、情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する種々の情報を、記憶部50に記憶してよい。
【0037】
図2において、入力部20、出力部30、通信部40、及び記憶部50は、それぞれ情報処理装置1に内蔵されてもよいし、情報処理装置1の外部に設けてもよい。
【0038】
以下の説明において、一実施形態に係る情報処理装置1が行う各種の演算及び/又は処理は、制御部10が行うものとしてよい。一実施形態に係る情報処理装置1において、制御部10が行う各種の演算及び/又は処理に必要な情報は、記憶部50に記憶されていてもよく、入力部20から取得してもよく、通信部40から受信してもよい。また、一実施形態に係る情報処理装置1において、制御部10が行った各種の演算及び/又は処理の結果は、記憶部50に記憶されてもよく、出力部30から出力してもよく、通信部40から外部に送信してもよい。
【0039】
また、情報処理装置1が燃料電池FCと通信する際、例えば情報処理装置1の通信部40は、燃料電池FCの通信部との間で、各種情報の送信及び受信の少なくとも一方を行ってよい。情報処理装置1が需要家CSと通信する際、例えば情報処理装置1の通信部40は、需要家CSが使用する電子機器の通信部との間で、各種情報の送信及び受信の少なくとも一方を行ってよい。情報処理装置1がアグリゲータAGと通信する際、例えば情報処理装置1の通信部40は、アグリゲータAGにおいて使用される電子機器の通信部との間で、各種情報の送信及び受信の少なくとも一方を行ってよい。
【0040】
次に、一実施形態に係るシステムにおける熱の供給について説明する。
【0041】
上述のように、一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱を需要家CSに供給する動作を実現する。また、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱は、水又は湯のような熱媒体によって、導管を経て、需要家CSまで供給される。ここで、熱媒体が導管を経て流れる最中に、熱媒体の温度は、種々の要因により変化し得る。例えば、燃料電池FCの発電に伴って発生した時点では熱媒体が比較的高温であったとしても、当該熱媒体が導管を経て需要家CSまで供給される間に、当該熱媒体の温度は低下することが想定される。このような温度変化は、燃料電池FCと、需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する場所(若しくは位置))との距離が長くなるにつれて大きくなり得る。また、このような温度変化は、例えば導管の外気温の影響などにより、熱の供給を行う季節及び/又は時間帯などによっても大きくなり得る。
【0042】
例えば、需要家CSが熱を要求した際の条件(温度及び/又は湯量など)が、燃料電池FCの発電により熱が発生した際の条件を満たしていても、当該需要家CSに熱が供給される時点では、当該条件を満たさなくなっていることが想定される。また、例えば、需要家CSが熱を要求した際の条件(温度及び/又は湯量など)は、ある季節のある時間帯において満たされていても、他の季節又は他の時間帯においては、当該条件を満たさなくなっていることが想定される。
【0043】
したがって、一実施形態に係るシステムにおいて、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱を需要家CSに供給する際は、当該燃料電池FCと当該需要家CSとの距離(実際には両者を接続する導管の長さ)が重要な要因になる。一般的に、外気温よりも高い温度の熱媒体が導管を流れている場合、当該導管を流れる距離が長くなるほどに、当該熱媒体の温度は当該外気温に近づく(平衡する)と想定される。逆に、外気温よりも低い温度の熱媒体が導管を流れている場合も、当該導管を流れる距離が長くなるほどに、当該熱媒体の温度は当該外気温に近づく平衡する)と想定される。
【0044】
以下の式(1)を用いることにより、燃料電池FC側を開始地点として、そこからx[m]離れた地点に存在する需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する場所(若しくは位置))まで流れた熱媒体(流体)の温度を算出することができる。
【数1】
【0045】
上記式(1)において、Tは、熱の発生地点からx[m]流れた点における流体の温度を示す。T0は、熱の発生地点における流体の温度(燃料電池FC側を熱の発生地点とする)を示す。Tsは、外気温度を示す。kは、流体の熱伝導率を示す。cは、流体の比熱を示す。ρは、流体の密度を示す。vは、流体の流量を示す。また、xは、流体が熱の発生地点から流れた位置までの距離を示す。
【0046】
図3は、燃料電池FCによる、需要家CSからの熱要求への対応可能制について説明する図である。
【0047】
図3の横軸は、ある需要家CSから、燃料電池FCまでの距離を示す。特に、図3の横軸は、ある需要家CSが熱を要求する位置と、燃料電池FCの位置との距離を示すものとしてもよい。また、図3の横軸は、熱媒体の温度を示す。図3に示す4つの曲線は、それぞれ、燃料電池FC1、燃料電池FC2、燃料電池FC3、及び燃料電池FC4から供給される熱媒体の温度が、需要家CSの位置までの距離に応じて変化する様子を示している。すなわち、図3に示す曲線FC1は、燃料電池FC1から供給される熱媒体の温度が、需要家CSの位置までの距離に応じて変化する様子を示している。図3に示す曲線FC2は、燃料電池FC2から供給される熱媒体の温度が、需要家CSの位置までの距離に応じて変化する様子を示している。図3に示す曲線FC3及びFC4についても同様である。燃料電池FC1、燃料電池FC2、燃料電池FC3、及び燃料電池FC4のいずれの場合も、需要家CSの位置までの距離が遠くなるにつれて、それぞれの燃料電池FCから供給させる熱媒体の温度が低下する傾向にあることが分かる。
【0048】
例えば、ある需要家CS1が、ある時刻にある量の40度以上の温度の熱要求を発したとする。この場合、例えば燃料電池FC1から熱の供給を受けようとすると、図3に示すように、需要家CS1が燃料電池FC1から8000mまでの距離に位置する必要がある。また、例えば燃料電池FC2から熱の供給を受けようとすると、図3に示すように、需要家CS1が燃料電池FC2から7000mまでの距離に位置する必要がある。また、例えば燃料電池FC3から熱の供給を受けようとすると、図3に示すように、需要家CS1が燃料電池FC3から5000mまでの距離に位置する必要がある。また、例えば燃料電池FC4から熱の供給を受けようとすると、図3に示すように、需要家CS1が燃料電池FC4から3000mまでの距離に位置する必要がある。
【0049】
したがって、需要家CS1が熱を要求する位置と、それぞれの燃料電池FCの位置との距離が分かれば、需要家CS1が発した熱要求に、それぞれの燃料電池FCが対応可能か否か判定することができる。例えば、需要家CS1が熱を要求する位置と燃料電池FC1の位置との距離が8000m以内であれば、燃料電池FC1は需要家CS1の熱要求に対応可能である。一方、需要家CS1が熱を要求する位置と燃料電池FC1の位置との距離が例えば9000mであれば、燃料電池FC1は需要家CS1の熱要求に対応不可能である。例えば、需要家CS1が熱を要求する位置と燃料電池FC2の位置との距離が例えば6000mであれば、燃料電池FC2は需要家CS1の熱要求に対応可能である。一方、需要家CS1が熱を要求する位置と燃料電池FC2の位置との距離が例えば8000mであれば、燃料電池FC1は需要家CS1の熱要求に対応不可能である。
【0050】
一実施形態に係るシステムにおいて、上記式(1)に示したように、燃料電池FCと需要家CSとの間の距離によって、当該燃料電池FCが熱DRに対応可能か否を判定することができる。一実施形態に係るシステムによれば、各燃料電池FCにおいて、このような熱DRに対応可能か否か、予めアグリゲータAGにおいて把握することができる。
【0051】
次に、一実施形態に係るシステムにおける熱要求及び熱要求の対応について説明する。
【0052】
図4は、一実施形態に係る情報処理装置1と、燃料電池FC及び需要家CSとの間のやり取りを示すシーケンス図である。図4においては特定の燃料電池FCを例にして示しているが、一実施形態に係るシステムは複数台の燃料電池FCを含んでよい。この場合、図4に示す燃料電池FCは、複数台の燃料電池FCそれぞれを示すものとしてよい。図4は、例えば、図1に示した情報処理装置1と、図1に示した燃料電池FC1、燃料電池FC2、及び燃料電池FC3のいずれか(燃料電池FC)と、需要家CSとの間で行うデータのやり取りを示す図としてよい。図4において、情報処理装置1は、アグリゲータAGに備えられてもよいし、燃料電池FCに備えられてもよいし、アグリゲータAG及び燃料電池FCの双方に備えられてもよい。情報処理装置1がアグリゲータAGに備えられている場合には、下記の情報処理装置1と燃料電池FCとのやり取りは、実質的に、アグリゲータAGと燃料電池FCとのやり取りと言い換えることもできる。
【0053】
図4に示す情報処理装置1は、例えば図2において説明した情報処理装置1のような構成を有するものとしてよい。図4に示す需要家CSは、例えば当該需要家CSが使用する情報処理装置又は電子機器などを示すものとしてもよい。また、図4に示す燃料電池FCは、例えば当該燃料電池FCが設置された施設において使用される情報処理装置又は電子機器などを示すものとしてもよい。
【0054】
図4に示す動作が開始すると、燃料電池FCは、当該燃料電池FCの位置情報を、情報処理装置1に送信する(ステップS11)。燃料電池FCの位置情報は、燃料電池の設置時、又は当該システムへの参加登録時等に、物理的に(書面等により)アグリゲータAGに伝達したものを、情報処理装置1に設定してもよい。この場合、ステップS11は省略してもよい。
【0055】
情報処理装置1は、燃料電池FCの位置情報を受信(設定)後、ある需要家CSからの熱要求の問合せを受信すると(ステップS12)、熱要求の対応可能性の確認を、燃料電池FCに送信する(ステップS13)。ステップS12において送信される情報を、「第1メッセージ」又は「第1メッセージM1」とも記す。第1メッセージM1は、燃料電池FCが保有する熱媒体に関する情報を要求する情報を含んでよい。また、第1メッセージM1は、ある需要家CSからの熱要求(以下、「熱要求TD」とも記す)を示す情報を含んでよい。
【0056】
燃料電池FCは、熱要求TDの対応可能性の確認を受信すると、第1メッセージM1の内容に応じて、当該熱要求への対応可能性を応答(回答)する(ステップS14)。図4に示す実施形態において、第1メッセージM1が、燃料電池FCが保有する熱媒体に関する情報を要求している場合、熱要求への対応可能性を示す情報としては、各種情報を含んでよい。例えば、熱要求への対応可能性を示す情報として、熱要求TDに対応可能な熱媒体(水又は湯)の温度、対応可能な熱媒体(水又は湯)の量、及び/又は、当該燃料電池FCから当該需要家CSまでの距離などを示す情報を含んでもよい。
【0057】
情報処理装置1は、燃料電池FCから熱要求TDへの対応可能性の応答を受信すると、需要家CSの要求する熱要求TDに対応可能か否か判定する(ステップS15)。この判定においては、あわせて複数の燃料電池FCのそれぞれが、当該熱要求TDに対応可能か否か判定する。ステップS15において、情報処理装置1は、種々の条件に基づいて、熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。例えば、情報処理装置1は、熱要求TDによって要求される熱媒体(水又は湯)の温度、量、及び/又は、当該燃料電池FCから当該需要家CSまでの距離などに基づいて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。あわせて、情報処理装置1は、複数の燃料電池FCのそれぞれが熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。情報処理装置1は、それぞれの燃料電池FCから提供される対応可能性を総合的に勘案して、熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。
【0058】
情報処理装置1は、ステップS15の判定結果に基づいて、需要家CSに対して、熱要求TDへの対応可能性を回答する(ステップS16)。ステップS16において送信される情報を、「第2メッセージ」又は「第2メッセージM2」とも記す。第2メッセージM2は、熱要求TDへの対応可能性に関する情報を含んでよい。第2メッセージM2は、熱要求TDに対応する現時点における可能性を示すものとしてもよい。また、第2メッセージM2は、熱要求TDに所定時間後に対応する可能性を示すものとしてもよい。
【0059】
第2メッセージM2を受信した需要家CSは、その内容に基づいて、情報処理装置1に熱要求TDを送信してもよい(ステップS17)。一方、需要家CSは、第2メッセージM2の回答(ステップS16)を待つのではなく、ステップS12における熱要求TDの問合せが熱要求TD自体を含むようにしてもよい。この場合、ステップS17は省略してもよい。
【0060】
情報処理装置1は、需要家CSからの熱要求TDがあった場合、又は熱要求TDに対応可能と判定した場合、熱要求TDに対応可能な燃料電池FCに対し、実際に熱要求TDの対応を指示してよい(ステップS18)。ここで、情報処理装置1は、熱要求TDの対応可能性を回答した燃料電池FCのそれぞれに対して、それぞれ対応の要否を指示してもよい。また、情報処理装置1は、燃料電池FCが熱要求TDに対応可能でないと判定したら、当該燃料電池FCには、熱要求TDの対応を指示しなくてもよい。この場合、以降のステップS18からステップS22までの動作は実行されなくてよい。
【0061】
燃料電池FCは、ステップS18の対応指示を受けて、実際に熱要求TDに対応したら、当該熱要求TDへの対応を実行した旨を、情報処理装置1に送信してよい(ステップS19)。当該燃料電池FCは、ステップS19において、実際に需要家CSに向けて提供した熱媒体(水又は湯)の温度、量、及び/又は、当該燃料電池FCから当該需要家CSまでの距離などの情報を、情報処理装置1に送信してよい。
【0062】
情報処理装置1は、熱要求TDに対応した燃料電池FCからの実行報告を受けた後、需要家CSに対して、熱要求TDへの対応が完了した旨を報告してもよい(ステップS20)。ステップS20において送信される情報を、「第3メッセージ」又は「第3メッセージM3」とも記す。第3メッセージM3は、例えば、熱要求TDに対応した燃料電池FCの熱要求TDに対する貢献度の把握又は判定などに用いられる情報としてもよい。したがって、第3メッセージM3は、例えば、当該燃料電池FCが実際に需要家CSに供給した熱量、及び/又は、給湯量などを含む情報としてよい。このようにすれば、第3メッセージM3を、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブの評価及び/又は算出などに利用することができる。情報処理装置1においててインセンティブの算出を行う場合には、情報処理装置1は、あわせてインセンティブの結果を例えば需要家CSなどに報告してもよい。
【0063】
情報処理装置1から熱要求TDに対する対応が完了した旨の報告(ステップS20)を受けたら、需要家CSは、所定のインセンティブを情報処理装置1又はアグリゲータAGに支払う(ステップS21)。この場合、需要家CSは、情報処理装置1からのインセンティブ情報、又は需要家CS自身での算出結果などに基づいて、所定のインセンティブを算出してよい。
【0064】
需要家CSよりインセンティブの支払いを受けると、情報処理装置1(アグリゲータAG)は、熱要求TDに対応した燃料電池FCに対して、熱要求TDに対する貢献度に基づいて、各燃料電池FCにインセンティブを分配してもよい(ステップS22)。ステップS18からステップS22までの動作は、電力のデマンドレスポンスと同様に行ってよいため、より詳細な説明は省略する。
【0065】
このように、図4に示す動作において、燃料電池FCと需要家CSとの間の距離に応じて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応する可能性が判定される。このため、図4に示すような動作によって、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応する可能性を、情報処理装置1が把握できるようにすると、利便性を高めることができる。
【0066】
図4においては、ある燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを、情報処理装置1が判定する態様を説明した。一方、一実施形態に係るシステムにおいて、ある燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを、当該燃料電池FCにおいて判定してもよい。
【0067】
図5は、一実施形態に係る情報処理装置1と、燃料電池FC及び需要家CSとの間のやり取りを示すシーケンス図である。図5は、図4に示した動作において、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを、当該燃料電池FCにおいて判定する態様を説明している。以下、図4において既に説明したのと同様又は類似となる内容は、適宜省略する。
【0068】
図5に示すように、情報処理装置1は、ある需要家CSからの熱要求の問合せを受信する場合について説明する(ステップS12)。この場合、情報処理装置1は、熱要求対応可能性を確認する第1メッセージM1として、当該燃料電池FCと需要家CSとの間の距離情報を、燃料電池FCに送信する(ステップS13)。情報処理装置1は、予め受信した当該燃料電池FCの位置情報(ステップS11)と、熱要求を発したある需要家CSの位置情報とから、当該燃料電池FCと需要家CSとの間の距離情報を生成してよい。当該距離情報は、当該燃料電池FCと当該需要家CSとの間で熱媒体を伝達する導管の長さとすることもできるし、導管の距離を算出することが難しい場合には、直線距離とすることもできる。
【0069】
燃料電池FCは、燃料電池FCと需要家CSとの間の距離情報を受信すると、当該燃料電池FCが当該熱要求TDに対応可能か否か判定する(ステップS31)。ステップS231において、燃料電池FCは、種々の条件に基づいて、燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。例えば、燃料電池FCは、熱要求TDによって要求される熱媒体(水又は湯)の温度、熱媒体の量、及び/又は、当該燃料電池FCから当該需要家CSまでの距離などに基づいて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か判定してよい。
【0070】
当該燃料電池FCは、熱要求TDに対応可能と判定したら、当該熱要求への対応可能性を、情報処理装置1に応答(回答)する(ステップS14)。図5に示す実施形態において、熱要求への対応可能性を示す情報は、熱要求TDに対応可能な熱媒体(水又は湯)の温度、対応可能な熱媒体(水又は湯)の量、及び/又は、当該燃料電池FCから当該需要家CSまでの距離などを示す情報を含んでもよい。その後、情報処理装置1と、需要家CS及び/又は燃料電池FCとのやり取りは、図4で示した実施例と同様に動作が行われてよい。
【0071】
一方、燃料電池FCは、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能でないと判定したら、その旨を情報処理装置1に応答(回答)してよい(ステップS14)。当該燃料電池FCが熱要求TDに対応しない場合、以降のステップの動作は実行されなくてよい。
【0072】
このように、ある燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを、当該燃料電池FCにおいて判定してもよい。情報処理装置1は、収集される情報に基づいて、複数の燃料電池FCの動作状態を把握したうえで、例えば複数の燃料電池FCに対応可能性の高い順に優劣つけるなどの判定をしてもよい。
【0073】
次に、一実施形態に係る情報処理装置1の動作について、さらに説明する。
【0074】
図6は、一実施形態に係る情報処理装置1の動作を説明するフローチャートである。図6は、図4において説明したように、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを、情報処理装置1が判定する態様を含む動作を説明している。一実施形態に係る情報処理装置1は、需要家CSからの熱要求TDを含む第1メッセージM1の受信に基づいて、熱要求TDへの対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジM2を送信する。
【0075】
図6に示す動作が開始すると、情報処理装置1(の制御部10)は、需要家CSからの熱要求TDを含む第1メッセージM1を受信したか否か判定する(ステップS101)。ステップS101において、情報処理装置1は、例えば通信部40から第1メッセージM1を受信してよい。また、ステップS101において、情報処理装置1は、例えば入力部20から第1メッセージM1が入力されるものとしてもよい。また、ステップS101において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に記憶された第1メッセージM1が読み出されるものとしてもよい。
【0076】
ステップS101において第1メッセージM1を受信すると、情報処理装置1は、当該需要家CSが熱を要求する位置と、燃料電池FCとの距離を示す情報(距離情報)を作成する(ステップS102)。ステップS102の動作を行うために、情報処理装置1は、当該燃料電池FCの位置情報を取得して、例えば記憶部50に記憶してよい。また、情報処理装置1は、当該需要家CSが熱を要求する位置も取得して、例えば記憶部50に記憶してよい。また、当該需要家CSが熱を要求する位置は、例えば第1メッセージM1に含まれるものとしてもよい。
【0077】
ステップS102において、当該需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCとの距離情報がすでに取得されている場合、情報処理装置1は、当該取得した情報を読み出せばよい。一方、ステップS102において、当該需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCとの距離情報が取得されていない場合、情報処理装置1は、当該情報を通信部40から受信したり、入力部20から入力されてもよい。
【0078】
ステップS102において需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCとの距離情報が生成されたら、情報処理装置1は、燃料電池FCに、熱要求対応可能性として、熱情報(熱媒体(水又は湯)の温度、量)を要求する(ステップS103)。ここで、情報処理装置1は、例えば通信部40から当該要求を送信してよい。また、ステップS103において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に熱情報の要求が記憶されるものとしてもよい。
【0079】
続いて、情報処理装置1は、ステップS103にて要求した熱情報を燃料電池FCから受信したか否か判定(ステップS104)する。ステップ104にて、情報処理装置1は、例えば通信部40から熱情報を受信してよい。また、ステップS104において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に熱情報が記憶されるものとしてもよい。
【0080】
情報処理装置1は、ステップ104にて燃料電池FCから受信した熱情報と、ステップS102で生成した距離情報とに基づいて、需要家CSの熱要求に対応可能か否かを判定する(ステップS105)。ステップ104において、熱情報と距離情報とを記憶部50に記憶している場合、情報処理装置1は、記憶部50より当該情報を読み出せばよい。
【0081】
次に、情報処理装置1は、ステップ104にて各燃料電池FCから受信した熱情報と、ステップS102で生成した各距離情報とに基づいて、需要家CSの熱要求に対応可能か否かを総合判定する(ステップS106)。ステップ104において、熱情報と距離情報とを記憶部50に記憶している場合、情報処理装置1は、記憶部50より当該情報を読み出せばよい。
【0082】
情報処理装置1は、ステップ105及び/又はステップS106にて判定又は総合判定した結果について、熱要求TDへの対応可能性に関する情報を含む第2メッセージを需要家CSに送信する(ステップS107)。ステップS107において、情報処理装置1は、例えば通信部40から第2メッセージM2を送信してよい。また、ステップS107において、情報処理装置1は、例えば出力部30から第2メッセージM2が出力されるものとしてもよい。また、ステップS107において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に第2メッセージM2が記憶されるものとしてもよい。
【0083】
また、ステップS107において、第1メッセージM1の内容を含め各種条件が満たされるか否かに応じて、第2メッセージM2が送信されるか否か決定してもよい。また、ステップS107において、第1メッセージM1の内容を含めた各種条件が満たされるか否かに応じて、送信される第2メッセージM2の内容が変更されるようにしてもよい。
【0084】
例えば、ステップS107において、情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱媒体の温度及び/又は量が、需要家CSからの熱要求TDの条件を満たす場合、当該熱要求TDに対応可能である旨を示す第2メッセージを送信してよい。また、上述のように、燃料電池FCにおいて発生した時点では熱媒体の温度及び/又は量が熱要求TDの条件を満たしていたとしても、熱媒体が導管を経て流れるうちに、当該熱媒体の温度及び/又は量が熱要求TDの条件を満たさなくなることも想定される。したがって、ステップS107において、情報処理装置1は、ある燃料電池FCの位置と需要家CSが熱を要求する位置との距離が所定の距離以内である場合に、当該熱要求TDに対応可能である旨を示す第2メッセージを送信してよい。すなわち、情報処理装置1は、燃料電池FCにおいて発生した熱媒体が、需要家CSが熱を要求する位置まで導管を経て流れても、当該熱媒体の温度が熱要求TDの条件を満たす場合に、当該熱要求TDに対応可能である旨を示す第2メッセージを送信してよい。
【0085】
一方、ステップS107において、情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱媒体が、需要家CSからの熱要求TDの条件を満たさない場合、当該熱要求TDに対応可能である旨を示す第2メッセージを送信しなくてもよい。また、この場合、情報処理装置1は、当該熱要求TDに対応不可能である旨を示す第2メッセージを送信してもよい。
【0086】
情報処理装置1は、予め熱媒体の温度と、距離との関係を示すマップを記憶部50に記憶しておいてもよい。この場合、情報処理装置1は、ある需要家CSから熱要求TDを含む第1メッセージM1を受信した場合に、当該マップを読み出してもよい。そして、情報処理装置1は、需要家CSと燃料電池FCとの距離が、需要家CSの要求する熱要求を満たさない燃料電池FCがあるは否か判定してもよい。需要家CSと燃料電池FCとの距離が明らかに需要家CSの要求する熱要求を満たさない場合、情報処理装置1は、当該燃料電池FCに関して、ステップS104における距離情報の送信、及び/又は、ステップS107における熱情報の要求を実行しなくてもよい。あわせて、情報処理装置1は、当該燃料電池FCに関して、需要家CSに対する第2メッセージM2に含めなくてもよい。
【0087】
図7は、一実施形態に係る情報処理装置1の他の動作を説明するフローチャートである。図7は、図5において説明したように、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを当該燃料電池FCが判定する場合における、情報処理装置1の動作を説明している。以下、図6において既に説明したのと同様又は類似となる内容は、適宜省略する。
【0088】
図7に示すステップS101及びステップS102の動作は、図6に示したS101及びステップS102の動作と同様に行ってよい。
【0089】
燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否かの判定を各燃料電池FCが行う場合、ステップS101及びステップS102の後、情報処理装置1は、距離情報を燃料電池FCに送信する(ステップS121)。ステップS121において、情報処理装置1は、例えば通信部40から距離情報を送信してよい。また、ステップS121において、情報処理装置1は、例えば出力部30から距離情報が出力されるものとしてもよい。また、ステップS121において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に距離情報が記憶されるものとしてもよい。
【0090】
ステップS121の動作によって情報処理装置1から送信される距離情報を受信した燃料電池FCは、図5のステップS31に示したように、需要家CSの熱要求に対応可能か否かを判定する。ここで、燃料電池FCは、情報処理装置1から受信した距離情報と、燃料電池FCが保有する熱情報(熱媒体(水又は湯)の温度、量)とに基づいて、需要家CSの熱要求に対応可能か否かを判定してよい。続いて、燃料電池FCは、需要家CSの熱要求に対応可能か否かの判定結果を、情報処理装置1に送信してよい。
【0091】
次に、情報処理装置1は、燃料電池FCからの判定結果を受信したか否か判定する(ステップS122)。ステップS122において、情報処理装置1は、燃料電池FCからの判定結果を、通信部40から受信してもよいし、入力部20から入力されてもよい。ステップS122において判定結果を受信したら、情報処理装置1は、各燃料電池FCから受信した判定結果に基づいて、需要家CSの熱要求に対応可能か否かを総合判定する(ステップS123)。次のステップS107の動作は、図6において説明したのと同様に行われてよい。
【0092】
一実施形態において、情報処理装置1は、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを判断可能な場合、図7に示すような動作を実行してよい。一方、情報処理装置1は、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを判断可能でない場合、図6に示すような動作を実行してよい。すなわち、情報処理装置1は、燃料電池FCが熱要求に対応可能か否かを判断可能か否かに応じて、図7に示すような動作を実行するか、図6に示すような動作を実行するかを決定してよい。
【0093】
以上説明したように、一実施形態に係る情報処理装置1は、燃料電池FCの発電に伴って発生する熱の供給に関する情報を処理する。また、情報処理装置1は、需要家CSからの熱要求TDを示す情報を含む第1メッセ―ジM1を受信してよい。また、情報処理装置1は、第1メッセ―ジM1の受信に基づいて、需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCの位置とに応じて、需要家CSからの熱要求TDへの対応可能性に関する情報を含む第2メッセ―ジM2を需要家CSに送信してよい。
【0094】
また、一実施形態に係る情報処理装置1は、需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCの位置との距離が所定の距離以内であるか否かに応じて、第2メッセ―ジM2を送信してもよい。ここで、一実施形態に係る情報処理装置1は、需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCの位置との距離が所定の距離以内であるか否かに応じて内容の異なる第2メッセ―ジM2を送信してもよい。
【0095】
通常、燃料電池FCが設置された際の位置は、その後変更されることは少ない。したがって、燃料電池FCが設置された際に、当該燃料電池FCの位置を登録しておけばよい。すなわち、第1メッセージには、その都度燃料電池FCの位置情報を含める必要はなく、初回の第1メッセージに燃料電池FCの位置情報が含まれれば事足りる。この場合、その後は、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能な場合にのみ、当該燃料電池FCの位置情報を送信するようにしてもよい。
【0096】
一実施形態に係るシステムにおいて熱DRを実現する場合、燃料電池FCと需要家CSが熱を要求する位置との間の距離が重要な要素となる。燃料電池FCを設置した際に例えばウェブ(Web)などで燃料電池FCの位置情報を登録させるだけでは、当該位置情報の信憑性の担保が困難であることも想定される。その場合、例えば、燃料電池FCの位置情報が、燃料電池FCの本体側(リモコン含む)から少なくとも1回は送信されるようにしてよい。ここで、燃料電池FCの位置情報は、燃料電池FCのリモコンなどから送信されるようにしてもよい。
【0097】
燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否かを情報処理装置1が判定する場合、熱媒体の温度及び/又は量、言い換えれば熱媒体の熱量の情報が重要な要素となる。燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か当該燃料電池FCが判定する場合、熱要求に対応可能か否かを示す情報が重要な要素となる。また、燃料電池FCが熱要求TDに対応可能であり、実際に当該熱要求TDに対応する場合、熱媒体の熱量に関する情報を送信してもよい。
【0098】
一実施形態において、上述の第2メッセージM2は、需要家CSの熱要求に対応できる熱媒体の具体的な熱量に関する種々の情報を含んでよい。例えば、一実施形態において、第2メッセージM2は、燃料電池FCによる給湯可能な湯量及び給湯温度の少なくとも一方を示す情報を含んでもよい。
【0099】
また、一実施形態において、第2メッセージM2は、燃料電池FCの現在の蓄熱状態及び未来の蓄熱状態の少なくとも一方を示す情報を含んでもよい。第2メッセージM2が燃料電池FCの現在の蓄熱状態を示す情報を含むことにより、需要家CSは、当該燃料電池FCの現時点における熱要求TDへの対応可能性を把握することができる。また、第2メッセージM2が燃料電池FCの未来の蓄熱状態を示す情報(予測情報)を含むことにより、需要家CSは、未来時点における熱要求TDへの対応可能性を把握することができる。
【0100】
一実施形態に係るシステムにおいて、熱要求TDへの対応とは、例えば、燃料電池FCの余剰熱を収集して利用するようなものとしてよい。具体的には、熱要求TDへの対応は、燃料電池FCによるの発電の際に蓄熱タンク内に存在する湯の温度及び/又は量に依存する。そこで、熱要求TDに対応する際は、蓄熱タンクの蓄熱状態を示す情報があると好適である。ここで、蓄熱タンクの蓄熱状態を示す情報は、蓄熱タンクに蓄熱された湯の自家消費分を除いて、当該蓄熱タンクからどの程度の温度の湯をどの程度の量だけ供給可能であるかを示すものとしてよい。例えば、蓄熱タンクが満蓄に近い状態であれば、多くの湯を供給することができる。一方、蓄熱タンクの湯を使い切ってしまい、バックアップボイラにより湯沸中である場合、湯を供給することができないため、熱要求TDへの対応もできない。一実施形態に係るシステムにおいて、燃料電池FCの蓄熱タンクの湯(例えば70~80℃としてよい)は、水が加えられずに、直接利用されるようにしてもよい。
【0101】
一実施形態に係るシステムによれば、情報処理装置1は、各燃料電池FCから送信される熱媒体の熱量の情報を受信することにより、各燃料電池FCのそれぞれが需要家CSからの熱要求TDに対応可能か否か把握することができる。一実施形態に係るシステムによれば、情報処理装置1は、需要家CSが要求する熱の温度、及び/又は、燃料電池FCと需要家CSとの間の距離に基づいて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か判定することができる。したがって、一実施形態に係るシステムに含まれる情報処理装置1は、燃料電池の発電に伴って発生する熱の有効利用に資することができる。
【0102】
また、一実施形態において、第2メッセージM2は、燃料電池FCが設置される施設において使用される予定の湯量及び湯温の少なくとも一方を示す情報を含んでもよい。第2メッセージM2がこのような情報を含むことにより、需要家CSは、燃料電池FCが設置される施設において使用される予定の湯量及び湯温を含めた上で、熱要求TDへの対応可能性を把握することができる。
【0103】
また、情報処理装置1は、燃料電池FCの熱要求TDへの対応可能性を判定する際に、燃料電池FCの運転パターンを考慮してもよい。ここで、燃料電池FCの運転パターンとは、例えば、標準的な湯の使用量及び/又は使用時間帯などの情報を含むものとしてよい。このように、燃料電池FCの運転パターンを反映させることにより、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したとしても、燃料電池FCのユーザが自家消費する熱に与える影響を低減することができる。より具体的には、燃料電池FCが家庭用である場合、例えば入浴時にお湯張りをする際には多くの湯を用いる。このため、蓄熱タンクの蓄熱状態は、このようなお湯張りのタイミングに影響される。このため、燃料電池FCによるお湯張りのタイミングが、熱要求TDに対応するタイミングと重なってしまうと、熱要求TDへの対応可能性は低くなってしまう。一方で、燃料電池FCによるお湯張りのタイミングが、熱要求TDに対応するタイミングと重ならなければ、熱要求TDへの対応可能性は高まる。
【0104】
一実施形態において、上述した燃料電池FCの運転パターンは、例えば燃料電池FCのユーザの生活パターンを反映したものとしてもよい。また、一実施形態において、燃料電池FCの運転パターンは、熱要求TDに対応する指令の前の所定期間(例えば3日から1週間程度など)の平均から算出してもよい。通常、燃料電池FCのユーザの入浴時間などは、仕事などの生活パターンに左右される。したがって、この場合の燃料電池FCの運転パターンは、平日と休日とで区別してもよい。また、燃料電池FCの運転パターンは、お湯張りなどの予約を考慮するようにしてもよい。
【0105】
図8は、一実施形態に係る情報処理装置1の動作を説明するフローチャートである。図8は、上述のような燃料電池FCの運転パターンを考慮する場合に、情報処理装置1が行う動作を示すものとしてよい。
【0106】
図8に示す動作が開始すると、情報処理装置1は、需要家CSからの熱要求TDへの対応可能性を確認する(ステップS31)。図8に示すステップS31の動作は、図4に示したステップS13の動作に対応するものとしてよい。
【0107】
次に、情報処理装置1は、燃料電池FCの使用予定を読み出す(ステップS32)。ステップS32において、情報処理装置1は、燃料電池FCの使用予定として、上述した燃料電池FCの運転パターンを読み出してよい。ステップS32において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に予め記憶された燃料電池FCの使用予定を読み出してもよいし、例えば通信部40から燃料電池FCの使用予定を受信してもよい。
【0108】
次に、情報処理装置1は、読み出された燃料電池FCの使用予定に基づいて、熱要求TDへの対応可能性を応答(回答)する(ステップS33)。図7に示すステップS33の動作は、図4に示したステップS16の動作に対応するものとしてよい。
【0109】
例えば、燃料電池FC1に対し、夕方18:00から19:00までの熱要求TDへの対応可能性が確認されたとする。そして、燃料電池FC1の使用予定が読み出されたところ、18:30からお湯張りの予定が判明したとする。この場合、燃料電池FC1は、当該熱要求TDへの対応は不可能であると応答してよい。一方、例えば、燃料電池FC2に対し、同様に夕方18:00から19:00までの熱要求TDへの対応可能性が確認されたとする。そして、燃料電池FC2の使用予定が読み出されたところ、20:30からお湯張りの予定が判明したとする。この場合、燃料電池FC2は、当該熱要求TDへの対応は可能であると応答してよい。また、例えば、燃料電池FC3に対し、同様に夕方18:00から19:00までの熱要求TDへの対応可能性が確認されたとする。そして、燃料電池FC3の使用予定が読み出されたところ、翌朝7:00からシャワーでお湯を使用する予定が判明したとする。この場合、燃料電池FC3は、当該熱要求TDへの対応は可能であると応答してよい。
【0110】
また、一実施形態に係るシステムは、例えば、燃料電池FCと需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する位置)との距離に関連する位置情報を取得する取得部を備えてもよい。ここで、位置情報とは、例えば燃料電池FC及び/又は需要家CS(若しくは需要家CSが熱を要求する位置)それぞれの位置情報でもよいし、燃料電池FCから見た需要家CS(若しくは需要家CSが熱を要求する位置)の位置情報としてもよい。燃料電池FC及び/又は需要家CS(若しくは需要家CSが熱を要求する位置)における機器がGPSを備える場合、当該GPSから情報を取得してもよい。
【0111】
また、当該システムは、取得部で取得した位置情報を、燃料電池FCに送信する通信部を備えてもよい。通信部から送信される情報は、需要家CSの位置情報又は需要家CSが熱を要求する位置の情報でもよいし、燃料電池FCと需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する位置)との距離の情報でもよい。
【0112】
上述の式(1)に示したように、燃料電池FCと需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する位置)との距離に応じて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否か決まる。したがって、情報処理装置1及び/又は燃料電池FCが、熱要求TDへの対応可能性を判定できるようにしてもよい。ここで説明したシステムは、例えば図4又は図5に示したような動作を行うものとしてよい。
【0113】
また、一実施形態に係るシステムは、例えば、需要家CSからの熱要求TDに関する情報として、要求される熱媒体の温度及び/又は量を示す情報を、燃料電池FCに送信する通信部を備えてもよい。需要家CSからの熱要求TDに関する情報を燃料電池FCに送信することにより、当該燃料電池FCは、当該熱要求TDに対応可能か否か判定することができる。この場合、通信部は、燃料電池FCの位置情報を含む情報を受信してよい。ここで、通信部は、燃料電池FCの位置情報を含む情報に代えて、又は当該位置情報とともに、燃料電池FCの蓄熱タンクの蓄熱量、燃料電池FCの運転パターン、及び/又は、燃料電池FCのユーザの生活パターンなどを示す情報を含んでもよい。
【0114】
上述の式(1)に示したように、燃料電池FCと需要家CS(又は需要家CSが熱を要求する位置)との距離に応じて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応可能か否かが決まる。したがって、燃料電池FCが、熱要求TDへの対応可能性を判定する際の情報として、上述の情報を利用できるようにしてもよい。一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCの運転パターン(標準的な湯の使用量及び/又は使用時間帯)を反映させることにより、熱要求TDへの対応可能性を判定してよい。このような判定により、一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCのユーザが自家消費する熱に与える影響を低減することができる。また、一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCの熱要求TDへの対応可能性を判定する際に、当該燃料電池FCにおいて湯の使用頻度が過去に最も高かった時間帯の情報を利用してもよい。ここで説明したシステムは、例えば図5に示したような動作を行うものとしてよい。
【0115】
上述のように、一実施形態に係る情報処理装置1は、燃料電池FCの熱を使用する予定が設定されている場合、第2メッセージM2として、需要家CSからの熱要求TDに対応不能である旨を示す情報を含むメッセージを送信してもよい。また、一実施形態に係る情報処理装置1は、需要家CSが熱を要求する位置と燃料電池FCの位置との距離が所定の距離以内でない場合、第2メッセージM2として、需要家CSからの熱要求TDに対応不能である旨を示す情報を含むメッセージを送信してもよい。
【0116】
このような制御により、需要家CS及び/又は情報処理装置1が熱要求TDI対応不能である燃料電池FCを把握することができる。したがって、一実施形態に係る情報処理装置1によれば、燃料電池の発電に伴って発生する熱を有効活用し易くすることができる。
【0117】
以上、一実施形態に係るシステム及び当該システムに含まれる情報処理装置1について説明した。次に、他の実施形態について説明する。
【0118】
(他の実施形態1)
財団法人省エネルギーセンターによる「工場群のエネルギーシステムに関する調査研究平成12年度成果報告書」(平成13年5月)によれば、ガス排熱、温水排熱、及び固体排熱のそれぞれについて、温度帯区分が規定されている。例えば、温水排熱100℃以上(蒸気含む)は、温度帯区分H100と規定されている。温水排熱80℃-99℃は、温度帯区分H080と規定されている。温水排熱60℃-79℃は、温度帯区分H060と規定されている。温水排熱40℃-59℃は、温度帯区分H040と規定されている。
【0119】
このように、排熱温度帯には区分があり、排熱の用途によって、熱要求TDにおいて要求される温度区分は異なり得る。したがって、一実施形態に係るシステムは、熱要求TDにおいて要求される温度区分ごとに、熱要求TDに対応可能な燃料電池FCを決定するようにしてもよい。
【0120】
図9は、図3と同様に、燃料電池FCによる、需要家CSからの熱要求への対応可能制について説明する図である。図9に示す内容は、図3に示した内容と同様に解釈してよい。したがって、図9において、図3と同様又は類似となる説明は、適宜省略する。
【0121】
図9の下側の破線で示す基準線は、40℃以上(温度帯区分H040)の熱要求に対応可能である旨を示している。すなわち、燃料電池FC1は、需要家CSまでの距離が約8000m程度であれば、40℃以上の熱要求に対応可能とわかる。また、燃料電池FC2は、需要家CSまでの距離が約7000m程度であれば、40℃以上の熱要求に対応可能とわかる。燃料電池FC3は、需要家CSまでの距離が約5000m程度であれば、40℃以上の熱要求に対応可能とわかる。燃料電池FC4は、需要家CSまでの距離が約3000m程度であれば、40℃以上の熱要求に対応可能とわかる。
【0122】
図9の上側の破線で示す基準線は、60℃以上(温度帯区分H060)の熱要求に対応可能である旨を示している。すなわち、燃料電池FC1は、需要家CSまでの距離が約3000m程度であれば、60℃以上の熱要求に対応可能とわかる。また、燃料電池FC2は、需要家CSまでの距離が約2000m程度であれば、60℃以上の熱要求に対応可能とわかる。燃料電池FC3及び燃料電池FC4は、60℃以上の熱要求に対応するのは困難とわかる。
【0123】
(他の実施形態2)
例えば、ある燃料電池FCが70℃の熱を供給可能な場合、熱要求TDにおいて60℃以上(温度帯区分H060)の温度が要求されても、当該燃料電池FCは当該熱要求TDに対応可能である。しかしながら、このような状況において、当該燃料電池FCが40℃以上(温度帯区分H040)の温度を要求する熱要求TDを受信するような場面も想定される。この場合、温度帯区分H060の熱要求TDに対応可能なのに、温度帯区分H040の熱要求TDに対応してしまうのは、熱を有効に利用していないようにも思われる。しかしながら、温度帯区分H060の熱要求TDの予定がない場合、何らかの熱要求TDに対応しないと、やはり熱を有効に利用していないようにも思われる。
【0124】
そこで、一実施形態に係るシステムにおいて、情報処理装置1は、次回の熱要求TDの予定を確認するとともに、燃料電池FCのユーザの生活パターンを参酌してもよい。そして、情報処理装置1は、次に燃料電池FCが満蓄になるまでに温度帯区分H060の熱要求TDの予定がない場合、温度帯区分H040の熱要求TDに対応するようにしてもよい。一方、情報処理装置1は、温度帯区分H060の熱要求TDの予定がある場合は、温度帯区分H040の熱要求TDには対応せずに、満蓄になるまでの間に温度帯区分H060の熱要求TDに対応できるようにしてもよい。
【0125】
図10は、上述した実施形態に係る情報処理装置1の動作を説明するフローチャートである。図10は、ある燃料電池FCが所定の温度の熱要求TDへの対応可能性を受信する際に、所定の温度を超える熱要求TDにも対応可能であるような場合に、情報処理装置1が行う動作を示すものとしてよい。
【0126】
図10に示す動作が開始すると、情報処理装置1は、需要家CSからの40℃-59℃(温度帯区分H040)の熱要求TDへの対応可能性を確認する(ステップS41)。図10に示すステップS41の動作は、図4に示したステップS13又は図8に示したステップS31の動作に対応するものとしてよい。
【0127】
次に、情報処理装置1は、現在の燃料電池FCの状況から、70℃(温度帯区分H060)の熱要求TDに対応可能である旨を確認する(ステップS42)。すなわち、ステップS42において、情報処理装置1は、当該燃料電池FCが70℃の熱媒体を供給可能であることを確認する。ステップS42において、情報処理装置1は、例えば記憶部50に記憶された燃料電池FCの稼働状況を読み出してもよいし、例えば通信部40から燃料電池FCの稼働状況を受信してもよい。
【0128】
次に、情報処理装置1は、当該燃料電池FCが次回満蓄になる時までに、需要家CSからの60℃-79℃(温度帯区分H060)の熱要求TDを実施する予定があるか否かを確認する(ステップS43)。
【0129】
当該燃料電池FCが次回満蓄までに温度帯区分H060の熱要求TDを実施する予定がない場合(ステップS43においてNo)、情報処理装置1は、40℃-59℃(温度帯区分H040)の熱要求TDに対応可能である旨を応答する(ステップS44)。一方、当該燃料電池FCが次回満蓄までに温度帯区分H060の熱要求TDを実施する予定がある場合(ステップS43においてYes)、情報処理装置1は、40℃-59℃(温度帯区分H040)の熱要求TDに対応可能でない旨を応答する(ステップS44)。図10に示すステップS44及びステップS45の動作は、図4に示したステップS16又は図8に示すステップS33の動作に対応するものとしてよい。
【0130】
このように、情報処理装置1は、第2メッセージM2として、第1温度T1の熱要求TDに対応可能である旨を示す情報を含むメッセージを送信してもよい。この動作は、第1メッセ―ジM1に第1温度T1の熱要求TDを示す情報が含まれ、燃料電池FCが第1温度T1より高い第2温度T2の熱を供給可能である場合において、第2温度T2の熱要求TDを示す情報を所定時間受信しないときに実行されてもよい。以上のような制御により、燃料電池の発電に伴って発生する熱を有効利用し得る。
【0131】
(他の実施形態3)
上述した実施形態に代えて、又は上述した実施形態とともに、情報処理装置1は、例えば所定の場合には、(第2メッセージM2以外に)第3メッセージM3を送信してもよい。
【0132】
例えば、ある燃料電池FCが熱要求TDに対応した場合、情報処理装置1の通信部40は、例えば需要家CS又は需要家CSが保有するサーバなどに対して、第3メッセージM3を送信してよい。ここで、第3メッセージM3は、実際に熱要求TDに対応した旨を示す情報としてよい。また、第3メッセージM3は、例えば、当該燃料電池FCの熱要求TDに対する貢献度の把握又は判定などに用いられる情報としてもよい。したがって、第3メッセージM3は、例えば、当該燃料電池FCが実際に需要家CSに供給した熱量、及び/又は、給湯量などを含む情報としてよい。このようにすれば、第3メッセージM3は、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブの評価及び/又は算出などに利用することができる。
【0133】
また、ある需要家CSに供給される熱の温度が同じ(不変)であるとしても、当該温度の熱が供給される時期が異なる場合、当該熱が供給される時期に応じて、熱としての価値が異なることも想定される。例えば、日本国のように四季の温度変化が比較的大きい場合、40度の熱の価値は、多くの場合、夏の時期よりも冬の時期の方が、熱として(例えば経済的な)価値が大きい傾向にある。このため、ある燃料電池FCが熱要求TDに対応した場合、情報処理装置1の通信部40は、例えば需要家CS又は需要家CSが保有するサーバなどに対して、当該燃料電池FCが設置されているエリアの外気温を示す情報を含む第3メッセージM3を送信してもよい。
【0134】
以上のように、情報処理装置1は、燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに基づいて、燃料電池FCが需要家CSに供給した熱量及び給湯量の少なくとも一方を示す情報を含む第3メッセージM3を送信してもよい。この場合、第3メッセージM3は、燃料電池FCが設置されているエリアの外気温を示す情報を含んでもよい。このようにすれば、燃料電池FCが熱要求TDに対応した際の外気温を参酌したうえで、当該燃料電池FCの貢献度に基づいて、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブを決定することができる。例えば、熱要求TDにおいて要求される熱の温度と、燃料電池FCが熱要求TDに対応した際の外気温との差が大きくなるほど、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブを多くなるように設定(決定)してもよい。
【0135】
(他の実施形態4)
上述した各実施形態において、燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブは、種々の観点から決定してよい。
【0136】
例えば、需要家CSが実際に利用した熱媒体の熱量の他、(季節ごとの)基準温度を参酌した上で、各発電装置FCの貢献度に基づいて、燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブを決定してもよい。上述した式(1)に示したように、熱媒体の入口温度(燃料電池FC)が同じであるとしても、当該熱媒体の出口温度(需要家CSが熱を要求する位置)は気温によって変わり得る。しかしながら、当該熱媒体の出口温度は、気温より下になることはない。したがって、一実施形態において、上記基準温度は、例えば気温としてもよい。また、当該気温は、熱要求TDの受信時、及び/又は、熱要求TDへの対応時などに都度測定してもよいし、例えば月ごとに一定の値としてもよい。
【0137】
例えば、一実施形態において、熱要求TD対応時のインセンティブは、次の式(2)によって算出してもよい。
(熱媒体の出口温度-基準温度(例えば気温))×熱媒体の流量×所定の係数 (2)
【0138】
(他の実施形態5)
上述した各実施形態において、各燃料電池FCは、少なくとも、熱を保持する熱媒を貯え、熱を導出する熱導管(下水熱を含む)が接続されている熱媒ユニットを備えるようにしてよい。このように、熱媒ユニットと熱利用部分とを熱導管で接続することにより、熱の融通を実行可能にしてもよい。例えば、複数の建物を熱導管で繋ぐことにより、当該建物の間で熱の融通することにより、熱の言わば面的利用を行うことができる。このような構成によれば、熱媒体として水を利用することができるため、既存の設備から大幅に設計を変更する必要がなくなる。ここで、熱媒ユニットの湯は、不純物の量が少ないため、不純物除去などの処理を行うことなく、そのまま熱利用部分で使用することができるというメリットがある。
【0139】
上述した熱要求TDにおいて要求される温度として、例えば出湯温度を測定してよい。燃料電池FCの場合、熱媒体として出湯しなければ、出湯温度を測定することは困難である。このような出湯温度の計測には、一般的に、別途温度センサを設置することが必要になる。したがって、一実施形態において、例えば、上述の出湯温度を、燃料電池FCの蓄熱タンクの温度から換算してもよい。
【0140】
(他の実施形態6)
上述した各実施形態において、燃料電池FCの発電ユニットで発生したオフガスと、熱利用部分とを熱導管で接続することにより、熱の供給を行うようにしてよい。
【0141】
燃料電池FCの発電ユニットから出たばかりのオフガスは、約250℃と比較的高温であり、熱利用部分における利用可能な温度範囲を拡大することができる。オフガスが燃焼触媒を通過している場合、一酸化炭素及び水素は除去されており、安全性が高いというメリットがある。また、この場合、不純物除去などの処理を行うことなく、そのまま熱利用部分で使用することができるというメリットもある。
【0142】
オフガスと熱利用部分とを熱導管で接続する場合、例えば三方弁などを用いることにより、通常はオフガスが熱交換器側に流れるようにして、熱要求TDへの対応時にのみ熱利用部分に流れるようにしてもよい。また、上述のような構成において、熱導管側に燃焼触媒を配置してもよい。この場合、熱要求TDにおいて要求される温度として、例えばオフガスの温度を測定してよい。しかしながら、このような構成においては、オフガスを実際に出さないと、オフガスの温度を測定することは困難である。このようなオフガスの温度の計測には、一般的に、別途温度センサを設置することが必要になる。したがって、一実施形態において、例えば、上述のオフガスの温度を、燃焼触媒サーミスタの温度から換算してもよい。
【0143】
図11は、上述したオフガスの距離に応じた温度変化について例示する図である。図11は、図3及び図9と同様に、燃料電池FCによる、需要家CSからの熱要求への対応可能制について説明する図である。図11に示す内容は、図3及び図9に示した内容と同様に解釈してよい。したがって、図8において、図3及び図9と同様又は類似となる説明は、適宜省略する。
【0144】
図11に示すように、熱媒体として燃焼触媒を通過したオフガス(約250℃)を用いることにより、一実施形態に係るシステムは、水又は湯よりも広い範囲の温度区分の熱を要求する熱要求TDに対応することができる。上述した式(1)において、水の比熱は約1kcal/kg℃であるのに対し、空気の比熱は約1/4.181kcal/kg℃と、比較的小さい。したがって、オフガスを用いても、燃料電池FVと需要家CSが熱を要求する位置との間の距離による温度低下の割合はやや大きくなるが、熱要求TDに対応することは可能である。
【0145】
(他の実施形態7)
上述した各実施形態において、燃料電池FCによっては、熱要求TDに対応することで自家消費可能な熱が少なくなる事態を回避したいという要望、又は、次の熱要求TDに備えたいという要望が生じことも想定される。したがって、一実施形態に係るシステムにおいて、例えば発電側(燃料電池FC)を制御してもよい。
【0146】
例えば、需要家CSによる熱要求TDを受信した場合、燃料電池FCの熱媒ポンプのデューティ比を上げてもよい。熱交換器からの排熱を回収することにより、低下した蓄熱タンク(湯)の温度を再度上昇させて、湯を利用できるようにしてもよい。また、必要に応じて、浴室排水を複数回行うことができるようにしてもよい。このようにすれば、熱交換器からの排熱の有効活用に資することができる。
【0147】
また、例えば、燃料電池FCにおいて燃料利用率を下げるようにしてもよい。このようにして、排ガスに含まれる水素の量が増えることから、排ガスの温度が上昇し、低下した蓄熱タンク(湯)の温度を再度上昇させ、湯を利用できるようにしてもよい。
【0148】
さらに、燃料電池FCの出力を(例えば定格まで)上昇させて、余剰電力をヒータによって消費するようにしてもよい。余剰電力ヒータの熱で媒体ラインを加熱することで、低下した蓄熱タンク(湯)温度を再度上昇させ、湯を利用できるようにしてよい。このように、出力を定格に上げることによっても、排熱の量を増やして、湯を利用することができる。
【0149】
(他の実施形態8)
例えば、集合住宅内において、燃料電池FC(の蓄熱タンクユニット)同士を熱導管で連結してもよい。このような構成において、一実施形態に係るシステムは、例えば、熱媒体(湯)が不足している燃料電池FCに対し、熱要求TDの指令により、熱媒体(湯)に余裕がある燃料電池FCから湯を供給するようにしてもよい。
【0150】
このとき、熱媒体(湯)を受け取った側はバックアップボイラを使用しなくて済む。このため、温室効果ガス削減分を例えばJクレジットなどに申請することにより、熱媒体(湯)を供給した側、及び/又は、アグリゲータAG(例えば集合住宅のオーナ)に経済的なメリットを提供してもよい。
【0151】
また、一実施形態に係るシステムにおいて、熱要求TDに対応した燃料電池FCのうち、例えば保温材の熱損失の低減に努力したものに対し、より多くのインセンティブが与えられるようにしてもよい。さらに、一実施形態に係るシステムにおいて、共電解SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell)を用いたメタネーションによって生成された原料を用いてもよい。このようにすれば、熱要求TDに対応してやり取りする熱の環境価値を高めることができる。
【0152】
さらに、一実施形態に係るシステムにおいて、下水熱を用いた熱要求TDを実行してもよい。すなわち、燃料電池FCが熱導管に下水熱を排出して、需要家CSが当該下水熱を利用することができるようにしてもよい。例えば、今後、配管用の断熱材が進歩して、熱導管における熱損失が無視(又はほぼ無視)できるようになれば、このような構成の効果を高めることができる。このような構成においては、燃料電池FCと、需要家CSが熱を要求する位置が繋がってさえいれば、熱要求TDに対応することができる。
【0153】
(他の実施形態9)
一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCから供給される熱の検出量(燃料電池FCから出た直後の熱)、及び/又は、燃料電池FCと需要家CSが熱を要求する位置との間の距離に基づいて、全体を集計してよい。このようにして集計された結果に基づいて、一実施形態に係るシステムは、各燃料電池FCそれぞれの貢献度に基づいて、インセンティブを決定してよい。
【0154】
各燃料電池FC側の観点からは、自らの側で排出した湯の量及び/又は温度によって、熱要求TD対応時のインセンティブを決定する方が好都合なこともある。しかしながら、このような構成によれば、熱媒体(湯)が需要家CSに供給されるまでに、当該熱媒体の温度が下がってしまうとともに、当該熱媒体の温度の低下にばらつきが生じ得る。このため、需要家CSの側においては、どの燃料電池FCからどのくらいの温度の熱媒体(湯又は蒸気など)が流れたか判定することができない。このような温度の計測には、一般的に、別途温度センサを設置することが必要になる。しかしながら、このような温度センサの設置は、コストを上昇させる。そこで、例えば情報処理装置1が全体的に情報を集計することにより、各燃料電池FCの貢献度に基づいて、熱要求TD対応時のインセンティブを決定してもよい。
【0155】
ここで、一実施形態に係るシステムは、燃料電池FCから需要家CSに供給される熱(需要家CSに供給された時点の推計熱量)の検出量と、その熱量について、全体を集計してよい。そして、一実施形態に係るシステムは、各燃料電池FCの貢献度に基づいて、熱要求TD対応時のインセンティブを決定してもよい。
【0156】
(他の実施形態10)
上述した実施形態に係るシステムにおいて、熱媒体としての湯(又は蒸気など)が、需要家CSが熱要求する位置に流れるまでに、温度が下がるということはあり得る。しかしながら、熱媒体の入口温度(燃料電池FC側の換算出湯温度)、及び、燃料電池FCと需要家CSが熱要求する位置との間の距離に基づいて、上記式(1)により、熱媒体の出口温度(需要家CS側に接続する配管における温度)を算出することができる。したがって、当該算出の結果に基づいて、熱要求TD対応時のインセンティブを決定してもよい。
【0157】
例えば、一実施形態において、熱要求TD対応時のインセンティブは、次の式(3)によって算出してもよい。
熱媒体の出口温度×熱媒体の流量×所定の係数 (3)
【0158】
上述のように、熱を面的に利用する場合、他の燃料電池FCからの湯と混合した場合などにおいて、当該混合部分における湯の温度が変化することも想定される。しかしながら、このような場合においても、需要家CSが熱を要求する位置まで温度変化なく湯が流れたと仮定して計算してもよい。
【0159】
(他の実施形態11)
上述した実施形態に係るシステムにおいて、熱媒体の入口温度(燃料電池FC側の出湯温度)を、当該燃料電池FCが熱要求TDに対応したことに対するインセンティブを算出する指標としてもよい。
【0160】
例えば、一実施形態において、熱要求TD対応時のインセンティブは、次の式(4)によって算出してもよい。
熱媒体の入口温度×熱媒体の流量×所定の係数 (4)
【0161】
例えば、上述した実施形態のように、熱要求TD対応時のインセンティブを出口温度によって算出すると、複数の需要家CSから同時に熱要求TDを受信した場合、距離が近い方に熱供給するのみでは、他の需要家CSに熱を供給できなくなり得る。そこで、一実施形態に係るシステムにおいて、需要家CS側の出口温度が熱要求TDの条件を満たしていれば、燃料電池FCは当該熱要求TDに対応可能としてもよい。
【0162】
この場合において、供給される熱媒体(湯)の量は、燃料電池FCと需要家CSが熱を要求する位置と間の距離に応じて配分されるようにしてよい。例えば、需要家CS1が熱を要求する位置までの距離が2kmとし、需要家CS2が熱を要求する位置までの距離が4kmとする場合、熱媒体(湯)の量の比率は、例えば4:2としてよい。このようにすれば、他の需要家(例えば需要家CS2)にも熱を供給しつつ、全体としても、より効率的に熱を有効活用することができる。
【0163】
また、一実施形態において、熱を要求した需要家CSがアグリゲータAGに支払う金銭は、入口温度に基づいて算出されるようにしてもよい。この場合、例えば、供給される熱の温度が、例えば需要家CS2の方が需要家CS1よりも低くなる場合であっても、そのことにより需要家CS2に損失が生じないようにしてもよい。一実施形態に係るシステムは、全体を集計することにより、例えば情報処理装置1が、入口温度に基づいて、熱要求TD対応時のインセンティブを算出してもよい。
【0164】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサなどにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体若しくは記録媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0165】
上述した実施形態は、システムとしての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、システムの制御方法として実施してもよいし、システムにおいて実行されるプログラムとして実施してもよい。また、例えば、上述した実施形態に係る情報処理装置1のような電子機器として実施してもよい。また、上述した実施形態は、情報処理装置1のような電子機器の制御方法として実施してもよい。さらに、上述した実施形態は、情報処理装置1のような電子機器によって実行されるプログラム、又は当該プログラムを記録した記憶媒体若しくは記録媒体としてとして実施してもよい。
【0166】
上述した各実施形態において、第2メッセージM2は、例えば、需要家CSからの熱要求TDに対応可能である旨を示す情報を含むものとしてもよいし、需要家CSからの熱要求TDに対応可能ででない(又は対応しない)旨を示す情報を含むものとしてもよい。さらに、上述した各実施形態において、第2メッセージM2は、例えば、需要家CSからの熱要求TDに対応可能である度合い(例えば対応可能性80%、又は対応可能性30%などのような)を示す情報を含むものとしてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1情報処理装置
10 制御部
20 入力部
30 出力部
40 通信部
50 記憶部
FC 燃料電池
CS 需要家
TD 熱要求
N ネットワーク
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