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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048290
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】圧着接合装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240401BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240401BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 348
G09F9/30 330
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154249
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英治
【テーマコード(参考)】
2H092
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA50
2H092GA55
2H092GA57
2H092MA32
2H092MA35
2H092NA27
5C094AA31
5C094BA27
5C094BA43
5C094DB02
5G435AA14
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE47
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】FPC基板の先端部の長さ寸法が大きい場合においても画像表示パネルとFPC基板とを品質良く圧着接合することが可能な画像表示パネルの圧着接合装置を提供する。
【解決手段】第一基板103と第二基板104とが貼り合わされることで構成された画像表示パネル101の表面に設けられた電極端子部102にFPC基板201の表面に設けられた電極端子部202を圧着接合する圧着ヘッド301を備え、圧着ヘッド301は、側面と、底面とを有し、側面には、FPC基板201の先端部を保持する吸着孔303が設けられ、圧着ヘッド301は、吸着孔303によりFPC基板201の先端部を保持したまま、底面により画像表示パネル101の電極端子部102にFPC基板201の電極端子部202を圧着接合する、圧着接合装置である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と第二基板とが貼り合わされることで構成された画像表示パネルの表面に設けられた電極端子部にFPC基板の表面に設けられた電極端子部を圧着接合する圧着ヘッドを備えた圧着接合装置であって、
前記圧着ヘッドは、側面と、底面とを有し、
前記側面には、前記FPC基板の先端部を保持する保持部が設けられ、
前記圧着ヘッドは、前記保持部により前記FPC基板の先端部を保持したまま、前記底面により前記画像表示パネルの前記電極端子部に前記FPC基板の前記電極端子部を圧着接合する、
ことを特徴とする圧着接合装置。
【請求項2】
前記圧着ヘッドは、前記第一基板の外周部と前記第二基板の外周部との間に形成された段差部の角部に向かって前記FPC基板を押圧しながら、前記底面により前記画像表示パネルの前記電極端子部に前記FPC基板の前記電極端子部を圧着接合する、ことを特徴とする請求項1に記載の圧着接合装置。
【請求項3】
前記保持部は、真空吸着により前記FPC基板を保持する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置を製造するにあたって、画像表示装置に使用される画像表示パネル(例えば、液晶表示パネルや有機ELパネル)においては、電気的導通を得るために、画像表示パネルの一方の基板形成された電極端子部と、フレキシブル基板(以下、FPC基板)の電極端子部とを、異方性導電膜(以下、ACF)を介した熱圧着により接合する圧着接合方法が用いられている。
【0003】
図6は、従来技術における圧着接合装置の一例を示す側面図である。従来からの一般的な圧着接合手法としては、まず、画像表示パネル101を、放熱性を有する圧着ステージ304上へ載せ、画像表示パネル101の電極端子部102が覆われるようにACF401を供給し、所定の位置に貼り付けを行い、次いで、ACF401上にFPC基板201を供給し、FPC基板201の端子電極部202(後述の図3参照)と画像表示パネルの電極端子部102とを重ね合わせる。次に、圧着ヘッド301を加熱し、十分に温度が得られた状態で圧着ヘッド301を下降させ、重ね合わせた各電極端子部へ保護シート(不図示)を介して押圧し、各電極端子部の圧着接合を行う。
【0004】
図7は、従来技術における画像表示パネルを示す図であり、(a)画像表示パネルにFPC基板を圧着接合する前の状態を示す斜視図、(b)画像表示パネルにFPC基板を圧着接合した後の状態を示す斜視図である。画像表示パネル101は、第一基板103と第二基板104とを互いに基板の電極面を対向させて樹脂等で適切な位置で貼り合わされて形成されている。例えば、画像表示パネル101が液晶表示パネルである場合には、第一基板103と第二基板104との間の間隙に液晶106(図6参照)が注入されている。また、画像表示パネル101は、図7(a)に示すように、第一基板103の電極端子部102が配列されている一辺側の外周部が第二基板104の外周部よりも外側へ突出するように構成されており、これにより、第二基板104の外周部と第一基板103の外周部との間に段差部105が設けられている。段差部105に隣接する第一基板103の上面には、図7(b)に示すように、FPC基板201が圧着接合される。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-166104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、従来技術において画像表示パネルの電極端子部に長さ寸法が大きいFPC基板を圧着接合した状態を示す斜視図である。FPC基板201の電極端子部から先端までの長さ寸法が、図8に示すように、画像表示パネル101の第一基板103が第二基板104よりも外側へ突出した部分の長さ寸法よりも大きい場合には、従来の圧着接合方法では、FPC基板201を圧着接合する際にFPC基板201の先端が画像表示パネル101の段差部105に干渉するという問題がある。
【0007】
以上の問題は、結果的に、圧着接合におけるFPC基板201の接続位置精度の低下、FPC基板201と画像表示パネルの電極端子部102との平行度の低下、電極端子部の接合不良等の様々な問題を生じさせる。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、FPC基板の先端部の長さ寸法が大きい場合においても画像表示パネルとFPC基板201とを品質良く圧着接合することが可能な画像表示パネルの圧着接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一基板と第二基板とが貼り合わされることで構成された画像表示パネルの表面に設けられた電極端子部にFPC基板の表面に設けられた電極端子部を圧着接合する圧着ヘッド
を備えた圧着接合装置であって、前記圧着ヘッドは、側面と、底面とを有し、前記側面には、前記FPC基板の先端部を保持する保持部が設けられ、前記圧着ヘッドは、前記保持部により前記FPC基板の先端部を保持したまま、前記底面により前記画像表示パネルの前記電極端子部に前記FPC基板の前記電極端子部を圧着接合する、圧着接合装置である。
【0010】
前記圧着ヘッドは、前記第一基板の外周部と前記第二基板の外周部との間に形成された段差部の角部に向かって前記FPC基板を押圧しながら、前記底面により前記画像表示パネルの前記電極端子部に前記FPC基板の前記電極端子部を圧着接合する、圧着接合装置であっても良い。
【0011】
前記保持部は、真空吸着により前記FPC基板を保持する、圧着接合装置であっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像表示パネルとFPC基板とを品質良く圧着接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像表示パネルにFPC基板を圧着接合する方法を示すフロー図
図2】本発明の実施例における圧着接合工程を示す図であり、(a)圧着ヘッドにFPC基板が真空吸着される前の状態を示す断面図、(b)圧着ヘッドにFPC基板が真空吸着された後の状態を示す断面図
図3】本発明の実施例におけるFPC基板の上面図
図4】本発明の実施例における圧着接合工程を示す図であり、(a)圧着ヘッドに真空吸着されたFPC基板が画像表示パネルの周辺に搬送された状態を示す断面図、(b)圧着ヘッドに真空吸着されたFPC基板が画像表示パネルに圧着接合されている状態を示す断面図
図5】本発明の実施例における圧着接合装置によりFPC基板が圧着接合された後の画像表示パネルを示す(a)斜視図、(b)側面図
図6】従来技術における圧着接合装置の一例を示す断面図
図7】従来技術における画像表示パネルを示す図であり、(a)画像表示パネルにFPC基板を圧着接合する前の状態を示す斜視図、(b)画像表示パネルにFPC基板を圧着接合した後の状態を示す斜視図
図8】従来技術において画像表示パネルの電極端子部に長さ寸法が大きいFPC基板を圧着接合した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、画像表示パネルにFPC基板を圧着接合する方法を示すフロー図である。図2は、本発明の実施例における圧着接合工程を示す図であり、(a)圧着ヘッドにFPC基板が真空吸着される前の状態を示す断面図、(b)圧着ヘッドにFPC基板が真空吸着された後の状態を示す断面図である。図3は、本発明の実施例におけるFPC基板の上面図である。図4は、本発明の実施例における圧着接合工程を示す図であり、(a)圧着ヘッドに真空吸着されたFPC基板が画像表示パネルの周辺に搬送された状態を示す断面図、(b)圧着ヘッドに真空吸着されたFPC基板が画像表示パネルに圧着接合されている状態を示す断面図である。図5は、本発明の実施例における圧着接合装置によりFPC基板が圧着接合された後の画像表示パネルを示す(a)斜視図、(b)側面図である。以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0015】
本発明の実施例における圧着接合装置は、図2(a)に示すような圧着ヘッド301と、図6に示すような圧着ステージ304と同様の圧着ステージと、を備えている。圧着ヘッド301の側壁部には、FPC基板201を真空吸着する真空ラインおよび吸着孔303が設けられている。また、圧着ヘッド301の底部には、画像表示パネル101とFPC基板201とをACF401を介して熱圧着するためのヒーター302が設けられている。
【0016】
図3に示すように、本発明の実施例におけるFPC基板201では、電極端子部202がFPC基板201の先端よりも長さ方向の中央に寄った位置に設けられており、FPC基板201の先端から電極端子部202までの長さ寸法が画像表示パネル101の第一基板3の突出部分(第二基板4よりも外側へ突出した部分)の長さ寸法よりも大きいため、従来の圧着接合装置での圧着接合では、圧着接合の際に画像表示パネル101の段差部105がFPC基板201に干渉してしまい、適切な接合が行われない場合がある。これに対し、本発明の実施例では、FPC基板201を画像表示パネル101に圧着接合する際に、図2に示すような圧着ヘッドを備えた圧着接合装置を用いて、例えば、図1に示すようなフローに従って各プロセスが実行される。
【0017】
まず、図1に示す画像表示パネル製造工程G1にて、画像表示パネル101を製造する。画像表示パネル101は、例えば、図7に示す画像表示パネル101と同様のものである。
【0018】
次に、図1に示すACF貼り付け工程G2にて、画像表示パネルの端子電極部102にACF401(図6参照)を供給し貼り付ける。具体的には、まず、準備工程として、圧着接合装置の起動と、圧着ヘッド301の温度調整、位置調整等の生産前点検を順次行い、画像表示パネル101の端子電極部102およびFPC基板201の端子電極部202の清掃を行う。異物や汚れが端子電極部へ付着したままACF401の圧着接合を行うと接合が弱くなり接合面が剥離してしまう原因となる。端子電極部の清掃の後、圧着接合に必要な部品を所定のパーツローダーへ補充し、アンローダー側へ圧着接合された画像表示パネル101を収納する為のトレイを設置する。その後、画像表示パネル101の位置を圧着ステージ304に形成された凹部の開口内に画素部107(図6参照)が収まるように調整し、画像表示パネル101を圧着ステージ304上へ載置する。なお、圧着ステージ304および圧着ヘッド301は共にx軸方向、y軸方向、z軸方向へエアシリンダーにより動作可能である。
【0019】
これらの準備工程が終了した後、パーツローダーから圧着接合に必要な形状にカットされたACF401が搬送され、画像表示パネル101の端子電極部102を覆うように貼り付けられる。また、圧着ヘッド301は、FPC基板201の供給トレイへ移動し、図2(a)に示すように吸着孔303がFPC基板201の裏面と接する様に90°回転し、FPC基板201の上部から下降し、センサー等でFPC基板201と接しているかを検知する。圧着ヘッド301がFPC基板201と接していることが検知された後、圧着ヘッド301の吸着孔303がエアーを吸引し、FPC基板201が吸着固定される。また、それと同時にヒーター302を稼働させ、圧着ヘッド301の加熱を開始する。FPC基板201の吸着固定の後、圧着ヘッド301は上昇し、図2(b)に示すように圧着ヘッド301の圧着面(底面)が下方となるように、且つ、画像表示パネル101に対してFPC基板201が垂直となるように再度90°回転し、FPC基板201を圧着ステージ304付近へと搬送する。その搬送の際、画像表示パネル101の端子電極部102とFPC基板201の端子電極部202との位置が所定の接合位置になるように調整される。なお、FPC基板201を吸着固定する位置は、圧着ヘッド301が90°回転した際にヒーター302と各電極端子部が重畳する位置となるように調整される。
【0020】
次に、図1に示す仮圧着工程G3にて、図4(a)に示すように、予め熱しておいた圧着ヘッド301を画像表示パネル101の段差部105の角部602に向かって斜め上方から斜め下方へ移動させ、FPC基板201を画像表示パネル101の第一基板103の上面に搬送する。この時、圧着ヘッド301の片側の角部601を、画像表示パネル101の段差部105の角部602に合わせるように、斜め方向に圧着ヘッド301を移動させ、角部同士を押し当てる。圧着ヘッド301の角部601が画像表示パネル101の段差部105の角部602に押し当てられた際、FPC基板201は圧着ヘッド301の角部601の形状に合わせられるようにおよそ90°に曲がった状態で配置される。この状態で圧着ヘッド301に搭載されたヒーター302により熱を印加し、押圧しながらACF401を介して画像表示パネル101の電極端子部102とFPC基板201の電極端子部202との仮圧着接合を行う。なお、ACF401を貼り付ける際には、各端子電極部とACF401との間に気泡が混入しないように基板表面に密着していることが接合強度不足や圧着不具合の懸念を排除できるため好ましい。
【0021】
次に、図1の本圧着接合工程G4にて、圧着ヘッド301をACF401に対し仮圧着接合時よりも強く均一に加圧し、画像表示パネル101の端子電極部102とFPC基板202の端子電極部202との本圧着接合を行う。ACF401に伝わる熱は画像表示パネル101の画素部107に熱伝達しない約160℃~200℃の範囲内が望ましい。本圧着接合が行われた画像表示パネル101はアンローダー側の収納トレイに搬送され、一連のプロセスは終了する。これにより、図5に示すような、FPC基板201が圧着接合された画像表示パネル1が得られる。
【0022】
以上説明した本発明の実施例における圧着接合装置によれば、FPC基板201の先端部を容易に折り曲げることができるため、FPC基板201の先端部と画像表示パネル101の段差部105との干渉を抑制することができる。
【0023】
圧着接合の際は、従来技術と同様に圧着ヘッド301とFPC基板201との間に保護シートを配置しても良い。保護シートは圧着接合時の加熱によるFPC基板201の反りや熱劣化を防止するために使用される。
【0024】
圧着ヘッド301に形成される吸着孔303は1か所のみならず複数個所に設けられていても良く、吸着面の先端形状は実施例のものに限られず、その他の形状であっても良い。
【0025】
圧着接合時において、圧着ヘッド301の角部601と、画像表示パネル101の段差部105の角部602とを突き当てる際、段差部105に加わる応力を緩和する部材を各角部とFPC201との間に配置しても良い。
【0026】
圧着接合時において、画素部107を熱から保護するために気体若しくは液体を用いて画像表示パネル101を冷却する冷却機能を圧着接合装置に備えても良い。
【0027】
圧着接合時において、圧着ヘッド301は、圧着ヘッド301の角部601と、画像表示パネル101の段差部105の角部602とを突き当てる際、直線的に移動するが、それに限られるものでは無く、適宜動作を仕様に合わせて変更しても良い。
【0028】
FPC基板201を圧着ヘッド301に保持する方法は、真空吸着に限定されず、例えば、樹脂やシール等の粘着による保持、あるいは、機械的な把持機構等による保持でも構わない
【0029】
画像表示パネル101は、液晶表示パネルに限定されず、有機ELパネル等のその他の画像表示パネルであっても良い。
【符号の説明】
【0030】
101 画像表示パネル
102 画像表示パネルの電極端子部
103 第一基板
104 第二基板
105 段差部
106 液晶
107 画素部
201 FPC基板
202 FPC基板の電極端子部
301 圧着ヘッド
302 ヒーター
303 吸着孔
304 圧着ステージ
401 ACF(異方性導電膜)
601 圧着ヘッドの角部
602 画像表示パネルの段差部の角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8