(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048293
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機およびドラム式乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
D06F58/02 H
D06F58/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154261
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA08
3B166BA09
3B166BA48
3B166BA52
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB13
3B166CB14
3B166CB20
3B166CC02
3B166CD02
3B166CD05
3B166CD15
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3B166DC12
3B166DC14
3B166DC43
3B166DC45
3B166DC47
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3B166DE02
3B166DE04
3B166DE06
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3B166EA11
3B166EA17
3B166ED01
3B166ED02
3B166FA06
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3B166FB01
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA24
3B166GA44
3B166GA47
(57)【要約】
【課題】ドラムのみの機械力による洗浄とドラムおよび回転体の機械力による洗浄とがドラム内で一度期に行われるダブル洗浄方式のドラム式洗濯機を実現する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、筐体10内に配置され、水が溜められる外槽20と、外槽20内に、水平軸を中心に回転可能に配置され、洗濯物が収容されるドラム23と、ドラム23の後面に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部26aを有する回転体26と、ドラム23と回転体26とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる駆動部30と、ドラム23内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室28aと後側の第2室28bとに分割する仕切板27と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、水が溜められる外槽と、
前記外槽内に、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置され、洗濯物が収容されるドラムと、
前記ドラムの後面に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部を有する回転体と、
前記ドラムと前記回転体とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる、または、相反する方向に回転させる駆動部と、
前記ドラム内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室と後側の第2室とに分割する仕切板と、
を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム洗濯機において、
前記仕切板は、
前記第2室内に洗濯物を出し入れするための出入口と、
前記出入口を塞ぎ、前記第1室側に開放可能なドアと、を含む、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドアは、折り畳み可能である、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記仕切板には、前記第2室側の面に、前記ドラムの径方向に延びる突起部が設けられる、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラム内に温風を供給する温風供給部を、さらに備え、
前記仕切板には、前記ドラム内に供給された温風が通る通気口が設けられる、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項6】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記仕切板を前後方向に移動可能に保持する移動機構を、さらに備える、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項7】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラムの前面には、洗濯物が出し入れされる開口部が設けられ、
前記ドラムの内周面には、前側および後側にそれぞれ、複数の第1バッフルおよび複数の第2バッフルが前後方向に隙間を有して設けられ、
前記仕切板は、
前記開口部を通過可能な大きさとなるように変形でき、
前記隙間に嵌め込まれることにより、前記ドラム内に着脱可能に配置される、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項8】
筐体内に、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置され、被乾燥物が収容されるドラムと、
前記ドラムの後面に配置され、表面に被乾燥物と接触する突状部を有する回転体と、
前記ドラムと前記回転体とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる、または、相反する方向に回転させる駆動部と、
前記ドラム内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室と後側の第2室とに分割する仕切板と、
前記ドラム内に温風を供給する温風供給部と、を備え、
前記仕切板には、前記ドラム内に供給された温風が通る通気口が設けられる、
ことを特徴とするドラム式乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機およびドラム式乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
横軸型のドラムの後面に、突状部を有する回転体を配置し、洗いやすすぎ時に、ドラムと回転体とを異なる回転数で別々に回転させるようにしたドラム式洗濯機が、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1のドラム式洗濯機では、ドラムの回転により洗濯物を持ち上げては落とすだけでなく、回転体の突状部により洗濯物を擦ったり攪拌したりすることができる。即ち、上記ドラム式洗濯機では、ドラム内の洗濯物に、ドラムの回転による機械力のみならず、回転体の回転による機械力を付与できるので、洗浄力を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗濯物に付与される機械力が大きくなれば、その分、洗濯物に布傷みが生じやすくなる。よって、汚れが軽い洗濯物や布傷みが生じやすい洗濯物には、大きな機械力が付与されないようにすることが望ましい。
【0006】
そこで、汚れが酷いなど、高い機械力の付与が望まれる洗濯物と、汚れが軽いなど、高い機械力が望まれない洗濯物とがドラム内に分けて収容され、前者の洗濯物にはドラムの回転と回転体の回転とによる機械力が付与されるとともに後者の洗濯物にはドラムの回転のみによる機械力が付与されるようなドラム式洗濯機が実現できれば、前者の洗濯物の汚れ落ちを良くしつつ後者の洗濯物の布傷みを低減でき、しかも、双方の洗濯物を一度に洗濯できて便利である。
【0007】
さらに、上記ドラム式洗濯機が乾燥機能を有するドラム式洗濯乾燥機である場合、乾燥時に、効果的に衣類等の被乾燥物のしわ付きが低減されることが望ましい。ドラム式洗濯乾燥機以外のドラム式乾燥機、即ち、乾燥機能のみを有するドラム式乾燥機においても、同様に、乾燥時に、効果的に被乾燥物のしわ付きが低減されることが望ましい。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであり、ドラムのみの機械力による洗浄とドラムおよび回転体の機械力による洗浄とがドラム内で一度期に行われるダブル洗浄方式のドラム式洗濯機を実現することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、乾燥時に、効果的に被乾燥物のしわ付きが低減され得るドラム式乾燥機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るドラム式洗濯機は、筐体内に配置され、水が溜められる外槽と、前記外槽内に、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置され、洗濯物が収容されるドラムと、前記ドラムの後面に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部を有する回転体と、前記ドラムと前記回転体とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる、または、相反する方向に回転させる駆動部と、前記ドラム内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室と後側の第2室とに分割する仕切板と、を備える。
【0011】
本態様に係るドラム式洗濯機によれば、洗い工程において、第1室内では、洗濯物にドラムの回転のみによる相対的に低い機械力を付与して当該洗濯物を洗浄でき、第2室内では、洗濯物にドラムの回転と回転体の回転とによる相対的に高い機械力を付与して当該洗濯物を洗浄できる。
【0012】
本態様に係るドラム洗濯機において、前記仕切板は、前記第2室内に洗濯物を出し入れするための出入口と、前記出入口を塞ぎ、前記第1室側に開放可能なドアと、を含むような構成とされ得る。
【0013】
上記の構成によれば、ユーザは、ドアを開放し、出入口を通じて洗濯物を第2室内に出し入れできる。
【0014】
上記の構成とされた場合、前記ドアは、折り畳み可能であるような構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされれば、開放されたドアが邪魔になりにくく、第2室内への洗濯物の出し入れを円滑に行うことができる。
【0016】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記仕切板には、前記第2室側の面に、前記ドラムの径方向に延びる突起部が設けられるような構成が採られ得る。
【0017】
上記の構成によれば、洗い工程において、第2室内でタンブリングする洗濯物が突起部に擦られるので、より高い機械力を洗濯物に付与でき、洗濯物を良く洗浄できる。
【0018】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記ドラム内に温風を供給する温風供給部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記仕切板には、前記ドラム内に供給された温風が通る通気口が設けられ得る。
【0019】
上記の構成によれば、乾燥工程において、しわの付きやすい被乾燥物をしわが付きにくい被乾燥物と分けて第2室内に収容し、しわの付きやすい被乾燥物にドラムの回転と回転体の回転とによる引き伸ばし効果を付与しつつ、当該被乾燥物を、通気口を通じて第1室から流れてきた温風により乾燥させることができる。よって、被乾燥物を、効果的にしわ付つきを低減しつつ乾燥させることが期待できる。
【0020】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記仕切板を前後方向に移動可能に保持する移動機構を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザは、仕切板の前後方向の位置を調整することにより、第1室と第2室のそれぞれに収容する洗濯物の量に応じて、第1室と第2室の大きさを調整することができる。
【0022】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記ドラムの前面には、洗濯物が出し入れされる開口部が設けられ、前記ドラムの内周面には、前側および後側にそれぞれ、複数の第1バッフルおよび複数の第2バッフルが前後方向に隙間を有して設けられるような構成が採られ得る。この場合、前記仕切板は、前記開口部を通過可能な大きさとなるように変形でき、前記隙間に嵌め込まれることにより、前記ドラム内に着脱可能に配置されるような構成とされ得る。
【0023】
上記の構成によれば、仕切板が不要である場合、ドラムから仕切板を取り外しておくことにより、ドラムが2つの部屋に区切られないようにできるので、ドラム内に洗濯物を出し入れしやすくなる。さらに、仕切板が着脱可能な構成を、ドラム内に設けられた第1バッフルおよび第2バッフルを利用して実現できる。
【0024】
本発明の第2の態様に係るドラム式乾燥機は、筐体内に、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置され、被乾燥物が収容されるドラムと、前記ドラムの後面に配置され、表面に被乾燥物と接触する突状部を有する回転体と、前記ドラムと前記回転体とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる、または、相反する方向に回転させる駆動部と、前記ドラム内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室と後側の第2室とに分割する仕切板と、前記ドラム内に温風を供給する温風供給部と、を備える。ここで、前記仕切板には、前記ドラム内に供給された温風が通る通気口が設けられる。
【0025】
本態様に係るドラム式乾燥機によれば、しわの付きやすい被乾燥物をしわが付きにくい被乾燥物と分けて第2室内に収容し、しわの付きやすい被乾燥物にドラムの回転と回転体の回転とによる引き伸ばし効果を付与しつつ、当該被乾燥物を、通気口を通じて第1室から流れてきた温風により乾燥させることができる。よって、被乾燥物を、効果的にしわ付つきを低減しつつ乾燥させることが期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によればドラムのみの機械力による洗浄とドラムおよび回転体の機械力による洗浄とがドラム内で一度期に行われるダブル洗浄方式のドラム式洗濯機を実現できる。さらに、乾燥時に、効果的に被乾燥物のしわ付きが低減され得るドラム式乾燥機を実現できる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る、乾燥装置の構成を示すドラム式洗濯機の要部の側面断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、駆動部の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る、駆動部の構成を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)および(b)は、それぞれ、実施形態1に係る、第1固定具が取り付けられた仕切板の正面斜視図および背面斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る、仕切板におけるドアラッチ機構の周辺部の側面断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る、仕切板よりも前方で切断されたドラムの正面断面図である。
【
図8】
図8は、変更例1に係る、ドラムの側面断面図である。
【
図9】
図9(a)および(b)は、それぞれ、変更例1に係る、第1固定具が取り付けられた仕切板の正面斜視図および背面斜視図である。
【
図10】10(a)は、変更例2に係る、仕切板が最も前方に移動した状態を示すドラムの側面断面図であり、
図10(b)は、変更例2に係る、仕切板が最も後方に移動した状態を示すドラムの側面断面図である。
【
図11】
図11(a)は、変更例2に係る、仕切板よりも前方で切断されたドラムの正面断面図であり、
図11(b)は、変更例2に係る、仕切板よりも後方で切断されたドラムの背面断面図である。
【
図12】
図12(a)は、変更例3に係る、ドラムの側面断面図である。
図12(b)は、変更例3に係る、仕切板よりも前方で切断されたドラムの正面断面図である。
【
図13】
図13(a)は、変更例3に係る、仕切板の背面図である。
図13(c)は、変更例3に係る、他の仕切板の正面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る、ドラム式乾燥機の構成を示す側面断面図である。
【
図15】
図15(a)は、実施形態2に係る、回転体の正面図であり、
図15(b)は、実施形態2に係る、後軸受部の正面図である。
【
図16】
図16(a)および(b)は、実施形態2に係る、ドラム式乾燥機の背面の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
<実施形態1>
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
図2は、乾燥装置60の構成を示すドラム式洗濯機1の要部の側面断面図である。
図2では、乾燥装置60において、ハウジング61aおよびファンケーシング61bが断面図として描かれている。
【0031】
ドラム式洗濯機1は、洗濯機能に加えて乾燥機能を有する、いわゆるドラム式洗濯乾燥機である。
【0032】
ドラム式洗濯機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0033】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、横軸型のドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。開口部23aを通じてドラム23内に洗濯物が出し入れされる。
【0034】
外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のドアパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がドアパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0035】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向にほぼ120度の間隔を置いて、ほぼ三角柱形状を有する2つの大型バッフル25aと1つの小型バッフル25bとが設けられる。
【0036】
ドラム23の後面には、回転体26が回転自在に配置される。回転体26は、ほぼ円盤形状を有する。回転体26の表面には、中央部から放射状に延びる複数の突状部26aが形成される。回転体26は、ドラム23と同軸に回転する。
【0037】
ドラム23内には、仕切板27が配置される。ドラム23内は、仕切板27により前後方向に仕切られることにより、前側の第1室28aと後側の第2室28bに分割される。第1室28aは、第2室28bよりも広くなっている。仕切板27の詳細な構成は、追って説明される。
【0038】
外槽20の後方には、ドラム23および回転体26を駆動するトルクを発生させる駆動部30が配置される。駆動部30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23および回転体26を同一方向に異なる回転数で回転させる。具体的には、駆動部30は、ドラム23を、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で回転させ、回転体26を、ドラム23の回転数よりも速い回転数で回転させる。一方、駆動部30は、脱水工程時には、ドラム23および回転体26を、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一体的に回転させる。駆動部30の詳細な構成は、追って説明される。
【0039】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、外槽20内から排水を行う排水部40が接続される。排水部40は、排水バルブ41、排水ホース42および排水フィルタ43により構成される。排水口部20bに、排水フィルタ43が接続される。排水バルブ41は、排水フィルタ43の下流に設けられ、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41に、排水ホース42が接続される。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20b、排水フィルタ43および排水ホース42を通じて機外に排出される。リント等の異物が排水フィルタ43により捕獲される。
【0040】
筐体10内の上部には、左側に給水装置50が配置され、右側に乾燥装置60が配置される。給水装置50は、外槽20内に給水を行う。また、給水装置50は、外槽20内に洗剤および柔軟剤を自動投入する機能を有する。乾燥装置60は、外槽20およびドラム23内に温風を供給し、当該温風によりドラム23内の衣類等の洗濯物を乾燥させる。乾燥装置60は、本発明の温風供給部に相当する。
【0041】
給水装置50は、給水バルブユニット51と、注水ユニット52と、シャワーノズルユニット53と、を備える。
【0042】
給水バルブユニット51は、第1給水バルブ51aと第2給水バルブ51bとを有する。これら給水バルブ51a,51bは、接続ホースを介して水道栓に接続される。第1給水ホース51cの入口が第1給水バルブ51aに接続され、第2給水ホース51dの入口が第2給水バルブ51bに接続される。
【0043】
注水ユニット52は、前面が開口する注水口部材52aと、注水口部材52aに引出可能に収容された液剤タンク52bと、注水口部材52aの上面に配置された水路形成部材52cと、を含む。注水口部材52aの底部から延びる注水パイプ52dが外槽20に接続される。液剤タンク52bには、液体の洗剤および柔軟剤が個別に貯められる。水路形成部材52cの内部には、第1給水ホース51cの出口が接続される第1水路と第2給水ホース51dの出口が接続される第2水路とが形成される。
【0044】
シャワーノズルユニット53は、シャワーノズル53aと送水ホース53bとを含む。シャワーノズル53aは、ドアパッキン24の上部の内側に配置され、その放水口がドラム23の底部の方向に向いている。送水ホース53bは、水路形成部材52cの第2水路とシャワーノズル53aとの間を接続する。
【0045】
第1給水バルブ51aが開放されると、第1給水ホース51cを介して水路形成部材52cの第1水路に水が供給される。第1水路を流れた水は、注水口部材52aの底部に排出され、注水パイプ52dを介して外槽20内に供給される。外槽20内へ洗剤または柔軟剤を自動投入する際には、第1給水バルブ51aが開放される前に洗剤または柔軟剤が液剤タンク52bから第1水路内に導入される。洗剤または柔軟剤は、第1水路を流れる水と混合されて外槽20内に供給される。
【0046】
第2給水バルブ51bが開放されると、第2給水ホース51dを介して水路形成部材52cの第2水路に水が供給される。第2水路を流れた水は、送水ホース53bを通ってシャワーノズル53aへと至り、シャワーノズル53aからドラム23内に向かってシャワー状に放出される。
【0047】
乾燥装置60は、循環路61と、送風ファン62と、冷却器63と、加熱器64と、を備える。
【0048】
循環路61は、空気、即ち風が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路61は、外槽20の上部に前後に並ぶハウジング61aおよびファンケーシング61bを含む。循環路61の入口が外槽20の後部に設けられた排気口20cに接続され、循環路61の出口がドアパッキン24の上部に形成された導入口24aに接続される。
【0049】
送風ファン62は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング61b内に収容されたファン62aと、ファン62aを回転駆動するためのファンモータ62bとを含む。送風ファン62は、外槽20と循環路61との間で空気を循環させる。
【0050】
冷却器63および加熱器64は、ハウジング61a内の上流側および下流側に配置される。冷却器63および加熱器64は、ヒートポンプ装置に含まれる。ヒートポンプ装置には、冷却器63および加熱器64とともに冷熱回路を構成するコンプレッサ、膨張弁等が含まれる。
【0051】
冷却器63の内部には、低温の冷媒が流れる。冷却器63は、循環路61内を流れる空気を低温の冷媒との間の熱交換により冷却して、空気の除湿を行う。加熱器64の内部には、高温の冷媒が流れる。加熱器64は、循環路61内を流れる除湿後の空気を高温の冷媒との間の熱交換により加熱する。
【0052】
乾燥装置60は、加熱器64として半導体ヒータ等を備えてもよく、冷却器63として水冷式の熱交換器等を備えてもよい。
【0053】
次に、駆動部30の構成について詳細に説明する。
【0054】
図3および
図4は、駆動部30の構成を示す断面図である。
図3は、駆動部30の駆動形態が、二軸駆動形態に切り替えられた状態を示し、
図4は、駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態に切り替えられた状態を示す。
【0055】
駆動部30は、駆動モータ110と、第1回転軸120と、第2回転軸130と、遊星歯車機構140と、軸受ユニット150と、クラッチ機構部160とを含む。
【0056】
駆動モータ110は、アウターロータ型のDCブラシレスモータであり、回転体26およびドラム23を駆動するためのトルクを発生する。駆動モータ110は、ロータ111とステータ112とを含む。ロータ111の中央部には、環状の被係合凹部113が形成される。被係合凹部113内の外側の周面は、全周に亘って凹凸部を有する。
【0057】
第1回転軸120は、中央部が外側に膨出した中空形状を有し、第2回転軸130と遊星歯車機構140とを内包する。
【0058】
遊星歯車機構140は、第2回転軸130の回転、即ち駆動モータ110のロータ111の回転を減速して第1回転軸120に伝達する。遊星歯車機構140は、太陽歯車141と、太陽歯車141を囲む環状の内歯車142と、太陽歯車141と内歯車142との間に介在する複数の遊星歯車143と、これら遊星歯車143を回転自在に保持する遊星キャリア144とを含む。
【0059】
太陽歯車141が第2回転軸130に固定され、内歯車142が第1回転軸120に固定される。各遊星歯車143は、互いに噛み合い、相反する方向に回転する第1歯車と第2歯車とを含む。遊星キャリア144は、後方へ延びるキャリア軸144aを含む。キャリア軸144aは、第1回転軸120と同軸であり、第2回転軸130が挿入されるために内部が中空に形成される。
【0060】
第2回転軸130の後端部は、キャリア軸144aから後方に突出し、ロータ111の中央部に固定される。
【0061】
軸受ユニット150は、内部に設けた2つの軸受151,152により、第1回転軸120を回転可能に支持する。軸受ユニット150の後端部には、内面に、全周に亘ってスプライン153が形成される。軸受ユニット150は、外槽20の後面に固定され、この状態において、第1回転軸120および第2回転軸130が外槽20の内部に臨む。第1回転軸120にドラム23が固定され、第2回転軸130に回転体26が固定される。
【0062】
クラッチ機構部160は、駆動部30の駆動形態を、回転体26がドラム23よりも速い回転数で回転するようにドラム23と回転体26とを別体的に回転させる二軸駆動形態と、ドラム23と回転体26とが同じ回転数で回転するようにドラム23と回転体26とを一体的に回転させる一軸駆動形態との間で切り替える。
【0063】
クラッチ機構部160は、クラッチ体161と、クラッチスプリング162と、クラッチレバー163と、レバー支持部164と、中継棒165と、クラッチ駆動装置166と、を含む。
【0064】
クラッチ体161は、前後方向への移動はできるが、周方向への回動はできない状態となるように、キャリア軸144aの後部に装着される。
【0065】
クラッチ体161の前端部には、外周面に、環状のスプライン161aが形成される。さらに、クラッチ体161には後端部に、環状の係合フランジ部161bが形成される。係合フランジ部161bは、ロータ111の被係合凹部113と同じ形状を有し、外周部に全周に亘って凹凸部を有する。
【0066】
クラッチスプリング162は、一端が軸受ユニット150の後端部に接し、他端がクラッチ体161に接する。クラッチスプリング162は、クラッチ体161を後方、即ちロータ111側に押す。
【0067】
クラッチレバー163は、レバー支持部164に設けられた支軸164aに回動自在に支持される。クラッチレバー163の上端部は、クラッチ体161を前方へ押すことができるように、クラッチ体161に接触する。クラッチレバー163の下端部には、中継棒165の上端が接続される。
【0068】
クラッチ駆動装置166は、トルクモータ166aと、トルクモータ166aのトルクにより水平軸周りに回転する円盤状のカム166bとを含む。中継棒165の下端がカム166bに接続される。
【0069】
駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態から二軸駆動形態に切り替えられる場合、
図3に示すように、クラッチ駆動装置166によって中継棒165が引き下げられる。クラッチレバー163が支軸164aを中心に前方へ回転し、クラッチ体161がクラッチレバー163の上端部に押されて前方へ移動する。これにより、クラッチ体161のスプライン161aと軸受ユニット150のスプライン153とが係合する。クラッチ体161が、軸受ユニット150に対して周方向へ回動できない状態となり、遊星歯車機構140のキャリア軸144a、即ち遊星キャリア144が、回転できないよう固定された状態となる。
【0070】
ロータ111が回転すると、第2回転軸130が回転して回転体26が回転する。第2回転軸130の回転に伴い、遊星歯車機構140では、太陽歯車141が回転する。遊星キャリア144は固定されているため、遊星歯車143の第1歯車および第2歯車が、それぞれ、太陽歯車141と逆方向および同方向に回転し、内歯車142が太陽歯車141と同方向に回転する。これにより、内歯車142に固定された第1回転軸120が第2回転軸130と同方向に、第2回転軸130よりも遅い回転数で回転し、ドラム23が、回転体26よりも遅い回転数で回転体26と同方向に回転する。言い換えれば、回転体26がドラム23よりも速い回転数でドラム23と同方向に回転する。
【0071】
一方、駆動部30の形態が、二軸駆動形態から一軸駆動形態に切り替えられる場合、
図4に示すように、クラッチ駆動装置166によって中継棒165が押し上げられる。
クラッチレバー163が支軸164aを中心に後方へ回転し、クラッチ体161が、クラッチスプリング162により押されて後方へ移動し、クラッチ体161の係合フランジ部161bとロータ111の被係合凹部113のそれぞれの凹凸部同士が係合する。ロータ111に対してクラッチ体161が周方向へ回動できなくなり、クラッチ体161は、ロータ111とともに回転可能な状態となる。
【0072】
ロータ111が回転すると、第2回転軸130およびクラッチ体161がロータ111の回転数と等しい回転数で回転する。このとき、遊星歯車機構140では、太陽歯車141と遊星キャリア144とがロータ111と等しい回転数で回転する。これにより、内歯車142が、太陽歯車141および遊星キャリア144と等しい回転数で回転し、内歯車142に固定された第1回転軸120がロータ111と等しい回転数で回転する。即ち、駆動部30では、第2回転軸130、遊星歯車機構140および第1回転軸120が一体となって回転する。これにより、ドラム23と回転体26が一体的に回転する。
【0073】
次に、仕切板27の構成について詳細に説明する。
【0074】
図5(a)および(b)は、それぞれ、第1固定具310が取り付けられた仕切板27の正面斜視図および背面斜視図である。
【0075】
仕切板27は、ほぼ円盤状を有し、その外径がドラム23の内径とほぼ等しい。仕切板27は、仕切本体210と、ドア220と、蝶番230と、ドアラッチ機構240とを含む。仕切本体210およびドア220は、金属材料や樹脂材料により形成される。
【0076】
仕切本体210は、円盤状に形成される。仕切本体210の中央には、円形の出入口211が形成される。出入口211の直径は、仕切板27の直径の半分よりも大きくなっている。また、仕切板27の外周縁部には、大型バッフル25aの断面とほぼ等しいV字形状を有する2つの大型切欠部212と、小型バッフル25bの断面とほぼ等しいV字形状を有する1つの小型切欠部213とが、周方向にほぼ120度の間隔を置いて形成される。さらに、仕切板27には、出入口211を円環状に取り囲むように、複数個の通気口214が形成される。
【0077】
3つの第1固定具310が、仕切本体210の前面における、各大型切欠部212の内側と小型切欠部213の内側とに取り付けられる。各第1固定具310は、大型バッフル25aまたは小型バッフル25bの先端部の形状に対応するU字状の嵌合部311を有する。
【0078】
ドア220は、円盤状に形成され、出入口211と等しい直径を有し、出入口211を塞ぐ。ドア220は、半円板状の第1ドア部材221と第2ドア部材222とが2つの蝶番223により連結された構成を有し、2つに折り畳み可能である。ドア220は、仕切板27の前面側において、蝶番230により仕切本体210に連結され、蝶番230を軸にして前後方向に開閉する。ドア220の後面には、中央部から放射状に延びる3つの突起部224が設けられる。
【0079】
なお、突起部224の個数は、3つに限られず、いくつでもよい。また、突起部224が、仕切本体210における出入口211の周囲に設けられてもよい。
【0080】
ドア220における蝶番230と相対する側の部分には、ドアラッチ機構240が設けられる。ドアラッチ機構240は、出入口211がドア220により閉じられた状態において、ドア220が開かないように固定するとともに、解除操作に基づいてドア220の固定を解除する。
【0081】
図6は、仕切板27におけるドアラッチ機構240の周辺部の側面断面図である。
【0082】
ドアラッチ機構240は、ハウジング241と、ラッチ体242と、バネ243と、解除レバー244と、を含む。ハウジング241は、前面が開口する第1収容部241aと、第1収容部241aの後方に位置する第2収容部241bとを含む。ハウジング241には、第1収容部241aに回動軸241cが設けられ、第2収容部241bの仕切本体210と対向する面に開口部241dが形成される。
【0083】
ラッチ体242は、その先端部242aがハウジング241から開口部241dを通じて出し入れ可能となるように、ハウジング241の第2収容部241bに収容される。バネ243は、第2収容部241b内に配置され、ラッチ体242に対して、当該ラッチ体242の先端部242aがハウジング241から突出する方向に弾性力を付与する。
【0084】
解除レバー244は、ハウジング241の第1収容部241aに、回動軸241cを中心に回動可能に配置される。解除レバー244は、長円環状の持ち手部244aと、第2収容部241b側に突き出してラッチ体242と係合する押圧部244bとを含む。
【0085】
仕切本体210には、その後面にラッチ穴構成部材250が取り付けられることにより、ラッチ穴251が形成される。ドア220が閉じられた状態では、ラッチ体242の先端部242aが、ハウジング241から突出してラッチ穴251に嵌まり込む。これにより、ドア220が閉じた状態に固定される。
【0086】
ドア220が開かれる際には、ユーザの指により持ち手部244aが摘まれて、解除レバー244を前方向に回動させる解除操作が行われる。ラッチ体242が解除レバー244の押圧部244bに押されてバネ243側に移動し、ラッチ体242の先端部242aがラッチ穴251から離脱してハウジング241内に引っ込む。これにより、ドア220の固定が解除される。
【0087】
図7は、仕切板27よりも前方で切断されたドラム23の正面断面図である。
【0088】
仕切板27がドラム23内に配置された状態において、仕切板27の2つの大型切欠部212と小型切欠部213とが、それぞれ、2つの大型バッフル25aと小型バッフル25bとに嵌まり込む。仕切板27は、3つの第1固定具310により、2つの大型バッフル25aと小型バッフル25bとに固定される。この際、3つの第1固定具310の嵌合部311が、2つの大型バッフル25aおよび小型バッフル25bの先端部に嵌合する。さらに、仕切板27は、3つの第2固定具320によりドラム23の内周面に固定される。各第2固定具320は、L字状を有し、仕切本体210とドラム23の内周面とにネジ止めされる。
【0089】
ドラム式洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転および乾燥運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に行われる。洗濯乾燥運転では、最終脱水工程に続いて乾燥工程が行われる。乾燥運転では、乾燥工程のみが行われる。なお、運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0090】
洗濯運転および洗濯乾燥運転のそれぞれに、ダブル洗浄モードと、シングル洗浄モードとが含まれる。ドラム式洗濯機1では、ダブル洗浄モードの運転が行われる運転コースと、シングル洗浄モードの運転が行われる運転コースとが用意される。
【0091】
ダブル洗浄モードの運転では、ドラム23の第2室28b内と第1室28a内に、それぞれ、汚れが酷いなど、高い機械力により強く洗浄したい洗濯物と、汚れが酷くない、布傷みが生じやすいなど、高い機械力により強く洗浄したくない洗濯物とが収容される。洗い工程において、第1室28a内では、ドラム23の回転による洗濯物の洗浄が行われ、第2室28b内では、ドラム23の回転と、ドラム23と異なる回転数での回転体26の回転とによる洗濯物の洗浄が行われる。
【0092】
シングル洗浄モードの運転では、第1室28a内および第2室28b内に、洗濯物が種類分けされることなく収容される。洗い工程において、第1室28a内および第2室28b内では、ドラム23の回転による洗濯物の洗浄が行われる。
【0093】
ドラム23の第2室28b内に洗濯物を出し入れする際、ユーザは、仕切板27のドア220を開放し、出入口211を通じて第2室28b内に洗濯物を出し入れする。
図1の一点鎖線に示すように、開放されたドア220は2つに折り畳まれる。折り畳まれたドア220は第1室28a内に収まる。これにより、ドア220が邪魔になりにくく、第2室28b内への洗濯物の出し入れを円滑に行うことができる。
【0094】
なお、ドラム式洗濯機1では、運転終了時に、小型バッフル25bが最下点に位置する状態となり、ドア220を上から下に開放できる状態となるようにドラム23が停止するよう、ドラム23の停止制御が行われることが望ましい。このようになされれば、ユーザが開放されたドア220を手から離しても出入口211の開放状態が維持されるので、第2室28b内への洗濯物の投入しやすくなる。
【0095】
ダブル洗浄モードの運転が行われる場合、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動部30の駆動形態が、二軸駆動形態に切り替えられる。ドラム23内の洗濯物が水に浸かるよう、投入口11の下縁に至らない所定の水位まで外槽20内に水が溜められる。洗い工程では、洗剤を含む水が外槽20内に溜められ、すすぎ工程では、柔軟剤を含む水が外槽20内に溜められる。すすぎ工程が複数回行われる場合は、最後のすすぎ工程において柔軟剤が用いられる。
【0096】
外槽20内に水が溜められた状態で、駆動モータ110が、交互に、正回転および逆回転する。これにより、ドラム23と回転体26とが、回転体26の回転数がドラム23の回転数より速い状態で、交互に正回転および逆回転する。このとき、ドラム23は、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で回転する。
【0097】
ドラム23の第1室28a内および第2室28b内では、洗濯物が、大型バッフル25aおよび小型バッフル25bで掻き上げられては落とされることにより、ドラム23の内周面に叩き付けられる。加えて、第2室28b内では、回転する回転体26の突状部26aに洗濯物が接触し、突状部26aに洗濯物が擦られたり、突状部26aによって洗濯物が撹拌されたりする。さらに、洗濯物は、仕切板27の突起部224に擦られる。
【0098】
このようにして、第1室28a内では、洗濯物が相対的に低い機械力により弱く洗われる、あるいは、すすがれる。また、第2室28b内では、洗濯物が相対的に高い機械力により強く洗われる、あるいは、すすがれる。
【0099】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態に切り替えられる。駆動モータ100、即ち、ドラム23および回転体26が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一体的に回転する。遠心力の作用により、第1室28a内および第2室28b内の洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。
【0100】
ダブル洗浄モードの洗濯乾燥運転の場合には、乾燥工程が行われる。乾燥工程では、送風ファン62の動作により外槽20と循環路61との間で空気が循環し、加熱器64の動作により外槽20に導入される空気が加熱され、温風となる。さらに、駆動部30の駆動形態が一軸駆動形態である状態において、ドラム23および回転体26が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で一体的に正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。
【0101】
導入口24aから外槽20およびドラム23内に導入された温風が、第1室28a内でタンブリングする洗濯物に当たり、第1室28a内の洗濯物が乾燥する。第1室28a内に導入された温風は、仕切板27に設けられた複数の通気口214を通過して第2室28b内に導入される。第2室28b内でタンブリングする洗濯物に温風が当たり、第2室28b内の洗濯物が乾燥する。第1室28a内および第2室28b内で洗濯物から水分を奪った温風は、脱水孔23bを通じてドラム23の外に排出され、排気口20cから循環路61へ戻る。循環路61内において、温風は、加熱器64で加熱される前に冷却器63を通過して、冷却器63により除湿される。
【0102】
シングル洗浄モードの運転が行われる場合、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態に切り替えられる。外槽20内に水が溜められた状態で、駆動モータ110が、交互に、正回転および逆回転する。これにより、ドラム23および回転体26が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で一体的に正回転および逆回転する。
【0103】
ドラム23の第1室28a内および第2室28b内では、洗濯物が、大型バッフル25aおよび小型バッフル25bで掻き上げられては落とされることにより、ドラム23の内周面に叩き付けられる。これにより、第1室28a内および第2室28b内では、洗濯物が同等な機械力により同等な強さで洗われる、あるいは、すすがれる。
【0104】
中間脱水工程、最終脱水工程および洗濯乾燥運転での乾燥工程については、ダブル洗浄モードの運転と同様である。
【0105】
ドラム式洗濯機1では、乾燥運転に、ダブル乾燥モードとシングル乾燥モードとが含まれる。ドラム式洗濯機1では、ダブル乾燥モードの運転が行われる運転コースと、シングル乾燥モードの運転が行われる運転コースが用意される。
【0106】
ダブル乾燥モードの運転では、ドラム23の第2室28b内と第1室28a内に、それぞれ、カッターシャツ等のしわが付きやすい被乾燥物と、タオル等のしわが付きにくい被乾燥物とが収容される。
【0107】
乾燥工程において、駆動部30の駆動形態が、二軸駆動形態に切り替えられる。乾燥装置60からのドラム23内への温風の供給とともに、ドラム23と回転体26とが、回転体26の回転数がドラム23の回転数より速い状態で、交互に正回転および逆回転する。このとき、ドラム23は、ドラム23内の被乾燥物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で回転する。第1室28a内および第2室28b内では、ドラム23の回転により被乾燥物がタンブリングする。このとき、第2室28b内では、被乾燥物の一部分がドラム23よりも速く回転する回転体26の突状部26aに接触して引っ張られることにより、被乾燥物が引き伸ばされやすくなり得る。これにより、被乾燥物のしわ付が低減されることが期待される。
【0108】
シングル乾燥モードの運転では、第1室28a内および第2室28b内に、被乾燥物が種類分けされることなく収容される。洗濯乾燥運転の場合と同様、乾燥工程において、駆動部30の駆動形態が一軸駆動形態に切り替えられた状態において、ドラム23および回転体26が一体的に正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。
【0109】
<実施形態1の効果>
本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、ドラム23の後面に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部26aを有する回転体26と、ドラム23と回転体26とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる駆動部30と、ドラム23内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室28aと後側の第2室28bとに分割する仕切板27と、を備えている。これにより、洗い工程において、第1室28a内では、洗濯物にドラム23の回転のみによる相対的に低い機械力を付与して当該洗濯物を洗浄でき、第2室28b内では、洗濯物にドラム23の回転と回転体26の回転とによる相対的に高い機械力を付与して当該洗濯物を洗浄できる。
【0110】
このように、本実施の形態によれば、ドラム23および回転体26の機械力による洗浄とドラム23のみの機械力による洗浄とがドラム23内で一度期に行われるダブル洗浄方式のドラム式洗濯機1を実現できる。
【0111】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1において、仕切板27は、第2室28b内に洗濯物を出し入れするための出入口211と、出入口211を塞ぎ、第1室28a側に開放可能なドア220と、を含むような構成とされている。これにより、ユーザは、ドア220を開放し、出入口211を通じて洗濯物を第2室28b内に出し入れできる。よって、ユーザは、第2室28b内に洗濯物を出し入れする際に、逐一、仕切板27をドラム23に着脱する作業を行わなくてよい。
【0112】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1において、ドア220は、2つに折り畳むことができるような構成とされている。これにより、開放されたドア220が邪魔になりにくく、第2室28b内への洗濯物の出し入れを円滑に行うことができる。
【0113】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、仕切板27の第2室28b側の面に、ドラム23の径方向に延びる突起部224が設けられるような構成とされている。これにより、洗い工程において、第2室28b内でタンブリングする洗濯物が突起部224に擦られるので、より高い機械力を洗濯物に付与でき、洗濯物を良く洗浄できる。
【0114】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、ドラム23内に温風を供給する乾燥装置60をさらに備え、ドラム23内に供給された温風が通る通気口214が仕切板27に設けられるような構成とされている。これにより、乾燥工程において、しわの付きやすい被乾燥物をしわが付きにくい被乾燥物と分けて第2室28b内に収容し、しわの付きやすい被乾燥物にドラム23の回転と回転体26の回転とによる引き伸ばし効果を付与しつつ、当該被乾燥物を、通気口214を通じて第1室28aから流れてきた温風により乾燥させることができる。よって、被乾燥物を、効果的にしわ付つきを低減しつつ乾燥させることが期待できる。
【0115】
<変更例1>
図8は、変更例1に係る、ドラム23の側面断面図である。
図9(a)および(b)は、それぞれ、変更例1に係る、第1固定具310が取り付けられた仕切板27Aの正面斜視図および背面斜視図である。
【0116】
上記実施形態1では、2つ折り可能なドア220を有する仕切板27がドラム23内に配置される。
【0117】
これに対し、本変更例では、
図8に示すように、1枚もののドア220Aを有する仕切板27Aがドラム23内に配置される。
【0118】
図9(a)および(b)に示すように、本変更例に係る仕切板27Aは、ドア220Aが、上記実施形態1のドア220と同様、蝶番230により仕切本体210と連結されるとともに、ドアラッチ機構240および3つの突起部224を有する。
【0119】
ユーザは、ドア220Aを開放し、第2室28b内に洗濯物を出し入れする。
図8の一点鎖線に示すように、開放されたドア220Aは、ドラム23の開口部23aから僅かに前方にはみ出す。
【0120】
本変更例では、仕切板27Aのドア220Aが一枚ものであるため、ドア220Aの剛性が高くなる。このため、ドラム23内でタンブリングする洗濯物がドア220Aに強く衝突しても、ドア220Aが破損しにくい。
【0121】
<変更例2>
図10(a)は、変更例2に係る、仕切板27が最も前方に移動した状態を示すドラム23の側面断面図であり、
図10(b)は、変更例2に係る、仕切板27が最も後方に移動した状態を示すドラム23の側面断面図である。
図11(a)は、変更例2に係る、仕切板27よりも前方で切断されたドラム23の正面断面図であり、
図11(b)は、変更例2に係る、仕切板27よりも後方で切断されたドラム23の背面断面図である。
【0122】
上記実施形態1では、ドラム23内において、仕切板27は、前後方向に移動できないように固定される。
【0123】
これに対し、本変更例では、ドラム23内に移動機構400が設けられ、当該移動機構400により仕切板27が前後方向に移動可能に保持される。
【0124】
移動機構400は、ドラム23の内周面に、周方向にほぼ120度の間隔を有して配置された2つの大型バッフル410と1つの小型バッフル420とにより構成される。即ち、移動機構400は、ドラム23が回転したときに洗濯物を掻き揚げるバッフルとしての機能も備える。
【0125】
大型バッフル410は、前部固定バッフル411と、後部固定バッフル412と、移動バッフル413とを含む。
【0126】
前部固定バッフル411は、前後方向に長い中空な三角柱状を有し、後端面が開放されている。前部固定バッフル411は、ドラム23内の前側に配置される。後部固定バッフル412は、前後方向に長い中空な三角柱状を有する。後部固定バッフル412は、ドラム23内の後側に配置される。
【0127】
移動バッフル413は、前後方向に長い中空な三角柱状を有し、後端面が開放されている。移動バッフル413は、その径方向の外形サイズが前部固定バッフル411の径方向の内形サイズとほぼ等しく、その径方向の内形サイズが後部固定バッフル412の径方向の外形サイズとほぼ等しい。
【0128】
移動バッフル413は、後方から前部固定バッフル411の内部に挿入される。また、移動バッフル413の内部に、後方から後部固定バッフル412が挿入される。これにより、移動バッフル413は、前部固定バッフル411と後部固定バッフル412とにより案内されて、前後方向にスライド移動可能となる。
【0129】
小型バッフル420は、大型バッフル410と同様な構成を有し、前部固定バッフル421と、後部固定バッフル422と、移動バッフル423とを含む。
【0130】
2つの大型バッフル410の移動バッフル413と小型バッフル420の移動バッフル423の後端部に、第1固定具310により、仕切板27が固定される。このとき、仕切板27が強固に固定されるよう、第1固定具310と移動バッフル413,423とがネジや接着剤で止められることが望ましい。
【0131】
仕切板27が後方へ押されると、移動機構400の3つの移動バッフル413,423が後方へ移動し、仕切板27が後方へ移動する。仕切板27が前方へ引かれると、3つの移動バッフル413,423が前方へ移動し、仕切板27が前方へ移動する。なお、仕切板27を前後方向に移動させやすいよう、仕切板27の前面に取手部が設けられることが望ましい。
【0132】
図10(a)に示すように、仕切板27が最も前方に移動しているとき、第1室28aのスペースが最も小さくなり、第2室28bのスペースが最も大きくなる。
図10(b)に示すように、仕切板27が最も後方に移動しているとき、仕切板27は回転体26に近接し、第2室28bが無くなり、実質的にドラム23内は第1室28aのみとなる。
【0133】
ユーザは、仕切板27の前後方向の位置を調整することにより、第1室28aと第2室28bのそれぞれに収容する洗濯物の量に応じて、第1室28aと第2室28bの大きさを調整することができる。
【0134】
なお、洗濯物が種類で分けられないシングル洗浄モードが行われる場合、仕切板27を最も後方に移動させてドラム23内を第1室28aのみの状態にすれば、ドラム23内への洗濯物の出し入れが行いやすくなる。
【0135】
本変更例において、ドア220が折り畳み可能な仕切板27に替えて、上記変更例1のドア220Aが1枚ものである仕切板27Aが用いられてもよい。
【0136】
また、上記の例では、仕切板27が最も前方に移動している状態においても、第1室28aが第2室28bより広くなっている。しかしながら、仕切板27が最も前方に移動している状態において、第2室28bが第1室28aより広くなってもよい。
【0137】
<変更例3>
図12(a)は、変更例3に係る、ドラム23の側面断面図である。
図12(b)は、変更例3に係る、仕切板27Bよりも前方で切断されたドラム23の正面断面図である。
図13(a)は、変更例3に係る、仕切板27Bの背面図である。
図13(c)は、変更例3に係る、他の仕切板27Cの正面図である。
【0138】
上記実施形態1では、仕切板27がドラム23に固定されており、着脱可能でない。仕切板27が着脱できないため、仕切板27には、ドア220により開閉される出入口211が設けられる。
【0139】
これに対して、本変更例では、仕切板27Bが、ドラム23内に着脱可能に配置される。仕切板27Bが着脱できるため、仕切板27Bには、出入口が設けられない。
【0140】
ドラム23の内周面には、前側に、ほぼ三角柱形状を有する2つの前部大型バッフル25cと1つの前部小型バッフル25dとが、周方向にほぼ120度の間隔を有して配置される。また、ドラム23の内周面には、後側に、ほぼ三角柱形状を有する3つの後部小型バッフル25eが、周方向にほぼ120度の間隔を有して配置される。2つの前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dと3つの後部小型バッフル25eとの間には、前後方向に、仕切板27Bの厚みより僅かに広い隙間が形成される。2つの前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dと3つの後部小型バッフル25eの周方向における位置は、ほぼ60度、ずらされている。前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dは、本発明の第1バッフルに相当し、後部小型バッフル25eは、本発明の第2バッフルに相当する。
【0141】
なお、ドラム23の前側および後側に配置されるバッフルの個数は、複数であれば如何なる個数でもよく、バッフルの大きさも如何なる大きさでもよい。
【0142】
仕切板27Bは、硬質の樹脂材料により形成され、ほぼ円盤状を有し、その外径がドラム23の内径とほぼ等しい。仕切板27Bは、半円板状の第1仕切部材261と第2仕切部材262とが2つの蝶番263により連結された構成を有し、2つに折り畳み可能である。
【0143】
仕切板27Bには、中央部に、仕切板27Bが分割された方向に並ぶ2つの取手孔264が形成される。ユーザは、2つの取手孔264に指を入れることにより、仕切板27Bを掴むことができる。
【0144】
仕切板27Bには、外周縁部に、後部小型バッフル25eの断面形状に対応したV字形状を有する3つの切欠部265が、周方向にほぼ120度の間隔を置いて形成される。さらに、仕切板27Bには、複数個の通気口266が形成される。
【0145】
仕切板27Bがドラム23内に装着される際、仕切板27Bは、2つに折り畳まれ、その正面をドラム23の正面に向けない状態で、開口部23aを通じてドラム23内に挿入される。折り畳まれた仕切板27Bは、ドラム23内において、その正面がドラム23の正面を向くように方向が変えられ、3つの後部小型バッフル25eの位置において拡げられる。このとき、仕切板27Bの切欠部265に、後部小型バッフル25eが収まるようにされる。その後、仕切板27Bは、2つの前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dと3つの後部小型バッフル25eとの間の位置まで移動され、周方向における切欠部265と後部小型バッフル25eの位置がずれるように、周方向に回される。
【0146】
これにより、
図12(a)および(b)に示すように、仕切板27Bは、2つの前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dと3つの後部小型バッフル25eとで前後方向から挟まれ、固定された状態となる。
【0147】
仕切板27Bは、装着時と逆の手順によってドラム23内からが取り外すことができる。
【0148】
ダブル洗浄モードの運転が行われる場合、ユーザは、汚れが酷いなど、強く洗浄したい洗濯物を、第2室28bとなるドラム23の奥方に投入した後、ドラム23内に仕切板27Bを装着する。その後、他の洗濯物をドラム23内の仕切板27Bの前方、即ち第1室28a内に投入する。ダブル洗浄モードの運転が終了すると、ユーザは、第1室28a内から洗濯物を取り出した後に、仕切板27Bをドラム23から取り外し、ドラム23の奥方から残りの洗濯物を取り出す。
【0149】
本変更例によれば、ダブル洗浄モードの運転を行わないなど、仕切板27Bが不要である場合、ドラム23から仕切板27Bを取り外しておくことにより、ドラム23が2つの部屋に区切られないようにできるので、ドラム23内に洗濯物を出し入れしやすくなる。さらに、本変更例によれば、仕切板27Bが着脱可能な構成を、ドラム23内に設けられたバッフル25c,25d,25eを利用して実現できる。
【0150】
なお、仕切板27Bに替えて、
図13(b)の仕切板27Cを用いることができる。
【0151】
仕切板27Cは、ほぼ円盤状を有し、その外径がドラム23の内径とほぼ等しい。仕切板27Cは、軟質の樹脂材料により形成されており、大きく変形することが可能である。仕切板27Cには、全面に亘り、複数個の通気口267が形成される。
【0152】
仕切板27Cは、開口部23aを通過できるように小さく変形されて、ドラム23内に入れられ、2つの前部大型バッフル25cおよび前部小型バッフル25dと3つの後部小型バッフル25eとで前後方向から挟まれるように、ドラム23内に配置される。
【0153】
<実施形態2>
図14は、ドラム式乾燥機2の構成を示す側面断面図である。
図15(a)は、回転体550の正面図であり、
図15(b)は、後軸受部531の正面図である。
図16(a)および(b)は、ドラム式乾燥機2の背面の一部を示す図である。
図16(a)は、背面カバー512が取り外された状態を示す。
【0154】
ドラム式乾燥機2は、方形状の筐体510を備える。筐体510は、後面が開口する本体511と、本体511の後面を覆う背面カバー512とで構成される。筐体510の前面には、衣類等の被乾燥物が投入される円形の投入口513が形成される。投入口513は、開閉自在なドア520により覆われる。円筒状を有する前軸受部514が、投入口513の外周縁から後方に突出する。
【0155】
筐体510内には、後部に、有底円筒状を有する後軸受部531が配置される。筐体510の本体511の後端には、軸受保持板532が左右方向にかけ渡されるように取り付けられる。後軸受部531は、軸受保持板532に固定される。
【0156】
筐体510には、背面カバー512の後方に、モータ保持板533が左右方向にかけ渡されるように取り付けられる。モータ保持板533には、円筒状の軸受部534が設けられる。軸受部534は、背面カバー512および軸受保持板532を貫通して前方へ延びる。
【0157】
筐体510内には、被乾燥物が収容される横軸型のドラム540が配置される。ドラム540には、前面に円形の前開口部540aが形成され、後面に円形の後開口部540bが形成される。ドラム540には、前開口部540aの外周縁に、前方に突出する円筒状の前回転軸541が設けられ、後開口部540bの外周縁に、後方に突出する円筒状の後回転軸542が設けられる。
【0158】
前軸受部514が前回転軸541内に挿入され、後軸受部531が後回転軸542内に挿入されることにより、ドラム540が水平軸周りに回転可能にとなるように前軸受部514および後軸受部531に支持される。前回転軸541の内周面に取り付けられた前カラー543が前軸受部514の外周面に接触し、後回転軸542の内周面に取り付けられた後カラー544が後軸受部531の外周面に接触する。前カラー543および後カラー544は、低摩擦性と耐摩耗性を有する。
【0159】
ドラム540の前面には、前開口部540aの周囲に、多数の孔545aからなる吸気口545が環状に形成される。ドラム23の内周面には、周方向にほぼ120度の間隔を有して、ほぼ三角柱形状を有する2つの大型バッフル546aと1つの小型バッフル546bとが設けられる。
【0160】
ドラム540の後部には、後開口部540bを塞ぐように、回転体550が配置される。回転体550は、ほぼ円盤形状を有する。回転体550の表面には、中央部から放射状に延びる複数の突状部551が形成される。さらに、回転体550には、多数の排気孔552が形成される。回転体550には、駆動軸553が取り付けられる。駆動軸553は、後軸受部531に形成された開口部531aを貫通して後方へ延び、モータ保持板533の軸受部534に回転可能に支持される。
【0161】
モータ保持板533には、駆動モータ560が固定される。回転体550の駆動軸553が、駆動モータ560のロータに接続される。駆動モータ560は、回転体550を回転させるためのトルクを発生させる。駆動モータ560は、モータカバー561により覆われる。
【0162】
後軸受部531の前面には、外周縁側に、全周に亘って形成された多数の孔からなる排気口531bが形成される。軸受保持板532、背面カバー512およびモータ保持板533にも、それぞれ、後軸受部531の排気口531bに対応して、多数の孔からなる排気口532a,512a,533aが形成される。
【0163】
ドラム540の後開口部540bが、ドラム540からの温風の排気口となり、後開口部540bの後方が、機外への温風の排気路となる。回転体550および駆動モータ560は、ドラム式乾燥機2の正面から見て、ドラム540の後回転軸542内に配置される。
【0164】
筐体510内の上部には、ドラムモータ570が配置される。ドラムモータ570に取り付けられたプーリ571とドラム540との間にベルト572が掛けられる。ドラムモータ570は、ベルト572を介してドラム540を回転駆動する。
【0165】
筐体510内には、ドラム540内に温風を供給する温風供給部580が設けられる。温風供給部580は、導風ダクト581と、ヒータ582と、吸気ファン583と、を含む。
【0166】
導風ダクト581は、筐体510内の前上部に配置され、上端部に導入口581aを有し、下端部に導出口581bを有する。導出口581bは、ドラム540の吸気口545に向けて開口する。ヒータ582は、たとえば、半導体ヒータであり、導風ダクト581内に配置される。吸気ファン583は、筐体510内の後上部に配置され、ファン583aと、ファン583aを回転駆動するファンモータ583bとを含む。筐体510の背面カバー512には、吸気ファン583の後方位置に、多数の孔からなる吸気口512bが形成される。
【0167】
ドラム540内に温風が供給される際には、ヒータ582および吸気ファン583が動作する。吸気ファン583の動作により、吸気口512bを通じて外部の空気が筐体510内に取り込まれる。取り込まれた空気は、前方へ流れて導入口581aから導風ダクト581内に流入する。導風ダクト581内を流れる空気、即ち風は、ヒータ582により加熱されて温風となる。温風は、導出口581bを通じて導風ダクト581から流出し、吸気口545を通じてドラム540内に導入される。
【0168】
ドラム540内には、仕切板590が配置される。ドラム540内は、仕切板590により前後方向に仕切られることにより、前側の第1室547aと後側の第2室547bに分割される。仕切板590は、上記実施形態1の仕切板27と同様の構成を有し、出入口211を有する仕切本体210と、出入口211を塞ぐ折り畳み可能なドア220とを含む。仕切本体210には複数の通気口214が設けられる。仕切板590は、仕切板27と同様、3つの第1固定具310と3つの第2固定具320とにより、3つのバッフル546a,546bおよびドラム540の内周面に固定される。
【0169】
ドラム式乾燥機2では、各種運転コースの乾燥運転が行われる。乾燥運転には、ダブル乾燥モードとシングル乾燥モードとが含まれる。ドラム式乾燥機2では、ダブル乾燥モードの運転が行われる運転コースと、シングル乾燥モードの運転が行われる運転コースが用意される。
【0170】
ダブル乾燥モードの運転では、ドラム540の第2室547b内と第1室547a内に、それぞれ、カッターシャツ等のしわが付きやすい被乾燥物と、タオル等のしわが付きにくい被乾燥物とが収容される。
【0171】
乾燥運転において、温風供給部580からドラム540内へ温風が供給されるとともに、ドラム540と回転体550とが、回転体550の回転数がドラム540の回転数より速い状態で回転する。
【0172】
第1室547a内および第2室547b内では、ドラム540の回転により被乾燥物がタンブリングする。このとき、第2室547b内では、被乾燥物の一部分がドラム540よりも速く回転する回転体550の突状部551に接触して引っ張られることにより、被乾燥物が引き伸ばされやすくなり得る。これにより、被乾燥物のしわ付が低減されることが期待される。
【0173】
ドラム540内に導入された温風が、第1室547a内でタンブリングする洗濯物に当たり、第1室547a内の洗濯物が乾燥する。第1室547a内に導入された温風は、仕切板590に設けられた複数の通気口214を通過して第2室547b内に導入される。第2室547b内でタンブリングする洗濯物に温風が当たり、第2室547b内の洗濯物が乾燥する。温風は、回転体550の多数の排気孔552と後軸受部531の排気口531bを通ってドラム540の後開口部540bから排出され、軸受保持板532、背面カバー512およびモータ保持板533の排気口532a,512a,533aを通って機外に排出される。
【0174】
シングル乾燥モードの運転では、第1室547a内および第2室547b内に、被乾燥物が種類分けされることなく収容される。温風供給部580からドラム540内へ温風が供給されるとともに、ドラム540および回転体550が同じ回転数で一体的に回転する。これにより、ドラム540内において、洗濯物がタンブリングしつつ温風により乾燥する。
【0175】
なお、駆動モータ560およびドラムモータ570は、ドラム540と回転体550とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる駆動部を構成する。
【0176】
<実施形態2の効果>
本実施の形態によれば、ドラム式乾燥機2は、ドラム540の後面に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部551を有する回転体550と、ドラム23と回転体26とを、異なる回転数で同じ方向に回転させる駆動部560,570と、ドラム540内を、前後方向に仕切ることにより前側の第1室547aと後側の第2室547bとに分割する仕切板590と、ドラム540内に温風を供給する温風供給部580と、を備え、仕切板590に、ドラム540内に供給された温風が通る通気口214が設けられるような構成とされている。
【0177】
これにより、乾燥運転において、しわの付きやすい被乾燥物をしわが付きにくい被乾燥物と分けて第2室547b内に収容し、しわの付きやすい被乾燥物にドラム540の回転と回転体550の回転とによる引き伸ばし効果を付与しつつ、当該被乾燥物を、通気口214を通じて第1室547aから流れてきた温風により乾燥させることができる。よって、被乾燥物を、効果的にしわ付つきを低減しつつ乾燥させることが期待できる。
【0178】
なお、本実施の形態のドラム式乾燥機2にも、上記変更例1、2および3と同様な変更を適用できる。
【0179】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、駆動部30が、ドラム23と回転体26とを、異なる回転数で同じ方向に回転させている。しかしながら、駆動部30が、ドラム23と回転体26とを、相反する方向に回転させるようにしてもよい。この場合、駆動部30において、遊星歯車機構140は、各遊星歯車143が1つの歯車によりなる構成に変更される。
【0180】
同様に、上記実施形態2においても、駆動モータ560の回転方向をドラムモータ570の回転方向と異ならせることにより、ドラム540と回転体550とを、相反する方向に回転させるような構成が採られてもよい。
【0181】
さらに、上記実施形態1では、駆動部30が、1つの駆動モータ110によりドラム23と回転体26とを回転させるような構成とされている。しかしながら、駆動部30は、ドラム23を回転させる駆動モータと回転体26を回転させる駆動モータとを個別に備えるような構成とされてもよい。
【0182】
さらに、上記実施形態1では、仕切板27の第2室28b側の面に複数の突起部224が設けられる。しかしながら、仕切板27に突起部224が設けられなくてもよい。
【0183】
さらに、上記実施形態1では、ドラム23が、外槽20内に、水平軸を中心に回転可能に配置される。しかしながら、ドラム23が、外槽20内に、水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置されるような構成が採られてもよい。
【0184】
同様に、上記実施形態2では、ドラム540が、筐体510内に、水平軸を中心に回転可能に配置される。しかしながら、ドラム540が、筐体510内に、水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能に配置されるような構成が採られてもよい。
【0185】
さらに、上記実施形態1では、ドラム式洗濯機1は、乾燥装置60を備えることにより、乾燥機能を有するような構成とされる。しかしながら、ドラム式洗濯機1は、乾燥装置60を備えず、乾燥機能を有さないような構成とされてもよい。
【0186】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0187】
1 ドラム式洗濯機
2 ドラム式乾燥機
10,510 筐体
20 外槽
23,540 ドラム
23a 開口部
25c 前部大型バッフル(第1バッフル)
25d 前部小型バッフル(第1バッフル)
25e 後部小型バッフル(第2バッフル)
26,550 回転体
26a,551 突状部
27,590 仕切板
27A 仕切板
27B 仕切板
27C 仕切板
28a,547a 第1室
28b,547b 第2室
30 駆動部
60 乾燥装置(温風供給部)
210 仕切本体
211 出入口
214 通気口
220 ドア
224 突起部
400 移動機構
560 駆動モータ(駆動部)
570 ドラムモータ(駆動部)
580 温風供給部