(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048295
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/43 20200101AFI20240401BHJP
D06F 103/04 20200101ALN20240401BHJP
D06F 103/66 20200101ALN20240401BHJP
D06F 105/48 20200101ALN20240401BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F103:04
D06F103:66
D06F105:48
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154263
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】前場 克之
(72)【発明者】
【氏名】三▲崎▼ 日奈子
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA01
3B167AA11
3B167AB43
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA78
3B167BA82
3B167HA11
3B167HA16
3B167HA21
3B167HA22
3B167HA32
3B167HA34
3B167HA53
3B167HA54
3B167HA56
3B167JA03
3B167JA52
3B167JA68
3B167JC03
3B167KA02
3B167KA18
3B167KA52
3B167KB16
3B167LA23
3B167LA39
3B167LC02
3B167LC09
3B167LC30
3B167LD03
3B167LD12
3B167LE04
3B167LE07
3B167LF15
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】衣類の除菌性能を確保しつつ、紫外線発光部を長く使用可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、筐体と、筐体内に配置された外槽と、外槽内に回転可能に配置され、衣類が収容されるドラムと、外槽内に溜められた水に向けてUV-Cを発光するUV-C発光モジュール60と、ドラム内の衣類から出た菌が含まれた外槽内の水にUV-C発光モジュール60から紫外線を照射する除菌運転を実行する制御部301と、を備える。制御部301は、除菌運転において、ドラム内の衣類の負荷量を判定し、負荷量が多いほど、1回の除菌運転において外槽内の水に照射されるUV-Cの総光量が多くなるように、UV-C発光モジュール60にUV-Cを発光させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、衣類が収容される内槽と、
前記外槽内に溜められた水に向けて紫外線を発光する紫外線発光部と、
前記内槽内の衣類から出た菌が含まれた前記外槽内の水に前記紫外線発光部から紫外線を照射する除菌運転を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記除菌運転において、
前記内槽内の衣類の負荷量を判定し、
前記負荷量が多いほど、1回の前記除菌運転において前記外槽内の水に照射される紫外線の総光量が多くなるように、前記紫外線発光部に紫外線を発光させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記負荷量が多いほど、紫外線の照射時間を長くする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記負荷量が多いほど、紫外線の輝度を高くする、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記内槽は、横軸型のドラムであり、
前記ドラムを回転させるための駆動モータを、さらに備え、
前記制御部は、
前記駆動モータにより前記ドラム内の衣類がタンブリングする第1回転数で前記ドラムを回転させる第1動作を行い、
前記第1動作の後、前記ドラムが停止した状態において前記紫外線発光部から紫外線を発光させる第2動作を行う、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記第1動作の後、前記第2動作と、前記駆動モータにより前記ドラムを前記第1回転数よりも低い第2回転数で回転させる第3動作とを、繰り返し行う、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線発光装置を備えたドラム式洗濯機が、特許文献1に記載されている。このドラム式洗濯機では、すすぎ行程において、洗濯物およびAgイオン水を添加したすすぎ液に、紫外線発光装置が紫外線を照射する。Agイオンは、紫外線が照射されると、除菌作用の大きいヒドロキシラジカルあるいはスーパーオキシド等の活性酸素種を生成する。これら活性酸素種の強い酸化力によって、洗濯物を除菌できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線発光装置を備えたドラム式洗濯機において、特許文献1のような、Agイオンに紫外線を照射して活性酸素種を生成し、当該活性酸素種により衣類の除菌を行うような構成とは異なり、水が溜められた外槽内でドラムを回転させて衣類をタンブリングさせ、衣類から外槽内の水の中に放出された菌に紫外線を照射し、菌を死滅させて衣類に再付着しづらくし、これによって衣類の除菌を行うような構成を採ることができる。
【0005】
このような構成が採られた場合、ドラム内の衣類の量、即ち負荷量が多いほど、外槽内の水中に放出される菌が多くなる。このため、1回の除菌運転において外槽内の水に照射される紫外線の総光量が、衣類の負荷量に関係なく一定とされた場合、総光量が少なくすれば、衣類が多いときに除菌が十分に行えない虞がある。一方、紫外線の総光量を多くすれば、紫外線発光装置が早期に寿命に達して、十分な期間、使用できなくなる虞がある。
【0006】
なお、除菌運転において、紫外線の照射時間が長くなるほど、あるいは、紫外線の輝度が高くなるほど、総光量は多くなる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、衣類の除菌性能を確保しつつ、紫外線発光部を長く使用可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体と、前記筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、衣類が収容される内槽と、前記外槽内に溜められた水に向けて紫外線を発光する紫外線発光部と、前記内槽内の衣類から出た菌が含まれた前記外槽内の水に前記紫外線発光部から紫外線を照射する除菌運転を実行する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記除菌運転において、前記内槽内の衣類の負荷量を判定し、前記負荷量が多いほど、1回の前記除菌運転において前記外槽内の水に照射される紫外線の総光量が多くなるように、前記紫外線発光部に紫外線を発光させる。
【0009】
たとえば、前記制御部は、前記負荷量が多いほど、紫外線の照射時間を長くする。また、たとえば、前記制御部は、前記負荷量が多いほど、紫外線の輝度を高くする。
【0010】
本態様に係る洗濯機によれば、衣類の負荷量が多い場合にも衣類を十分に除菌できる結果、衣類の除菌性能を確保することが可能となる。さらに、衣類の負荷量が少ない場合に無駄に紫外線が照射されない結果、紫外線発光部を長く使用することが可能となる。
【0011】
本態様に係る洗濯機において、前記内槽が横軸型のドラムであり、前記ドラムを回転させるための駆動モータを、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記駆動モータにより前記ドラム内の衣類がタンブリングする第1回転数で前記ドラムを回転させる第1動作を行い、前記第1動作の後、前記ドラムが停止した状態において前記紫外線発光部から紫外線を発光させる第2動作を行うような構成とされ得る。
【0012】
上記の構成によれば、タンブリングにより衣類がドラムの内周面にたたきつけられるので、衣類に付着した菌がたたき出されて外槽内の水の中に放出されやすくなる。さらに、ドラムが停止した状態にあり、外槽内の水が動きにくく菌も動きにくい状態において紫外線が発光されるので、同じ菌に紫外線が照射され続けやすくなり、菌が死滅しやすくなる。
【0013】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記第1動作の後、前記第2動作と、前記駆動モータにより前記ドラムを前記第1回転数よりも低い第2回転数で回転させる第3動作とを、繰り返し行うような構成とされ得る。
【0014】
このような構成とされれば、外槽内の水が少しずつ紫外線発光部の近傍へ移動し、その近傍の水に含まれた菌に紫外線が照射され、菌が死滅する。これにより、外槽内の水全体に含まれた菌が死滅しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、衣類の除菌性能を確保しつつ、紫外線発光部を長く使用可能な洗濯機を提供できる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、外槽およびドラムの底部を示す正面部分断面図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
図3(b)は、実施の形態に係る、記憶部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、除菌運転で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、除菌運転に含まれる、菌たたき出し処理および菌含有水除菌処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0020】
ドラム式洗濯機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0021】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、横軸型のドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。ドラム23は、本発明の内槽に相当する。
【0022】
外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のドアパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がドアパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0023】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0024】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0025】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、外槽20内から排水を行う排水部40が接続される。排水部40は、排水バルブ41、排水ホース42および排水フィルタ43により構成される。排水口部20bに、排水フィルタ43が接続される。排水バルブ41は、排水フィルタ43の下流に設けられ、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41に、排水ホース42が接続される。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20b、排水フィルタ43および排水ホース42を通じて機外に排出される。リント等の異物が排水フィルタ43により捕獲される。
【0026】
筐体10内の上部には、給水装置50が配置される。給水装置50は、外槽20内に給水を行う。また、給水装置50は、外槽20内に液体洗剤および液体柔軟剤を自動投入する機能を有する。
【0027】
給水装置50は、給水バルブユニット51と、注水ユニット52と、ノズルユニット53と、を備える。
【0028】
給水バルブユニット51は、給水バルブ110と、第1給水ホース120と、第2給水ホース130とを含む。給水バルブ110は、第1バルブ111および第2バルブ112を有する。給水バルブ110の給水口113は、図示しない接続ホースを介して水道栓に接続される。
【0029】
第1給水ホース120の入口が第1バルブ111に接続され、第2給水ホース130の入口が第2バルブ112に接続される。第1バルブ111が開放されると、第1給水ホース120に水が流れ、第2バルブ112が開放されると、第2給水ホース130に水が流れる。
【0030】
注水ユニット52は、前面が開口する注水口部材140と、注水口部材140に引出可能に収容される液剤タンク150と、注水口部材140の上面に配置された水路形成部材160と、を含む。
【0031】
注水口部材140の底部には、注水口141が形成される。注水口141から延びる注水パイプ54が外槽20に接続される。
【0032】
液剤タンク150は、液体洗剤が貯められる洗剤室と液体柔軟剤が貯められる柔軟剤室とを有する。液剤タンク150は、筐体10の前面に設けられた収容口13を通じて注水口部材140に収容される。液剤タンク150の前面には、収容口13を塞ぐ蓋151が設けられる。
【0033】
水路形成部材160の内部には、第1給水ホース120の出口が接続される第1水路と第2給水ホース130の出口が接続される第2水路とが形成される。
【0034】
第1給水ホース120から水路形成部材160に供給された水は、第1水路を流れて注水口部材140の底部に排出され、注水口141および注水パイプ54を介して外槽20内に供給される。外槽20内へ液体洗剤または液体柔軟剤を自動投入する際には、第1バルブ111が開放される前に、液体洗剤または液体柔軟剤が、図示しない洗剤ポンプまたは柔軟剤ポンプにより液剤タンク150から第1水路内に導入される。液体洗剤または液体柔軟剤は、第1水路を流れる水と混合されて外槽20内に供給される。
【0035】
第2給水ホース130から水路形成部材160に供給された水は、第2水路を流れてノズルユニット53へ送られる。
【0036】
ノズルユニット53は、ドアパッキン24の上部の内側に配置されたシャワーノズル170を含む。シャワーノズル170の放水口は、後下方向、即ちドラム23の底部の方向に向いている。水路形成部材160の第2水路から延びる送水ホース180が、シャワーノズル170に接続される。第2水路から流出した水が送水ホース180を通ってシャワーノズル170へと至り、シャワーノズル170の放出口からドラム23内に向かってシャワー状に放出される。これにより、ドラム23内の洗濯物に水が掛かり、洗濯物の内部に水が浸透しやすくなる。
【0037】
図2は、外槽20およびドラム23の底部を示す正面部分断面図である。
【0038】
外槽20の底部には、UV-C発光モジュール60が配置される。UV-C発光モジュール60は、UV-C発光素子61を有し、除菌効果が高い、100nm~280nmの波長の紫外線であるUV-Cを発光する。UV-C発光モジュール60は、本発明の紫外線発光部に相当する。
【0039】
外槽20の底部には、中央部に、前後方向に長く延びるように、凹部201が形成される。凹部201には、その右側面壁の前後方向における中央部に開口部202が形成されるとともに、右側面壁における開口部202の位置の外側に筒状の装着部203が形成される。UV-C発光モジュール60は、その先端部が開口部202に挿入されるように装着部203に装着される。UV-C発光モジュール60と開口部202との間は、パッキン204により水封される。
【0040】
UV-C発光モジュール60の発光面60aが、斜め上方を向くように外槽20内に臨む。当該発光面60aからUV-Cが、外槽20内に、斜め上方に向けて発光される。
【0041】
図3(a)は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
図3(b)は、記憶部302の構成を示す図である。
【0042】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部301と、記憶部302と、操作部303と、表示部304と、音出力部305と、水位検出部306と、モータ駆動部307と、給水駆動部308と、排水駆動部309と、発光モジュール駆動部310と、を備える。
【0043】
操作部303は、電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンと、洗濯運転を開始および一時停止させるためのスタートボタンと、を含む。操作部303は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部301に出力する。
【0044】
表示部304は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部301からの制御信号に従って、選択された運転コースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。音出力部305は、スピーカを含み、当該スピーカから音声、アラーム音等の音を出力する。操作部303と表示部304とが、タッチパネル等の操作表示部により構成されてもよい。
【0045】
水位検出部306は、外槽20内の水位を検出し、水位に応じた水位信号を制御部301に出力する。
【0046】
モータ駆動部307は、制御部301からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部307は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部301により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。さらに、モータ駆動部307は、駆動モータ30に流れる電流を検出する電流センサを含む。
【0047】
給水駆動部308は、制御部301からの制御信号に従って、給水バルブ110の第1バルブ111および第2バルブ112を駆動する。排水駆動部309は、制御部301からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。
【0048】
発光モジュール駆動部310は、制御部301からの制御信号に従って、UV-C発光モジュール60を駆動する。即ち、発光モジュール駆動部310は、制御部301により設定された値の電流が流れるように、UV-C発光モジュール60のUV-C発光素子61に通電する。通電する電流値が大きいほど、UV-C発光モジュール60から発光されるUV-Cの輝度が高くなる。
【0049】
記憶部302は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部302には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部302には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0050】
制御部301は、CPU等を含み、操作部303、水位検出部306等からの各信号に基づいて、記憶部302に記憶されたプログラムに従い、表示部304、音出力部305、モータ駆動部307、給水駆動部308、排水駆動部309、発光モジュール駆動部310等を制御する。
【0051】
図3(b)に示すように、記憶部302には、後述する除菌運転に使用される負荷量-発光電流テーブルTA1および負荷量-照射時間テーブルTA2が記憶される。負荷量-発光電流テーブルTA1には、除菌運転の際にUV-C発光モジュール60に通電する電流値が、負荷量に対応付けられて登録されている。電流値は、負荷量が多くなるほど大きくなる。負荷量-照射時間テーブルTA2には、除菌運転でのUV-C発光モジュール60からのUV-Cの照射時間が、負荷量に対応付けられて登録されている。照射時間は、負荷量が多くなるほど長くなる。
【0052】
さて、ドラム式洗濯機1では、ユーザによる操作部303の操作に基づき、制御部301による制御の下、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0053】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた洗い水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングする。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0054】
すすぎ工程では、外槽20内にすすぎ水位まで水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転を繰り返し、洗濯物がタンブリングする。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0055】
洗い工程およびすすぎ工程の給水時には、給水装置50により注水口部材140を通じた外槽20内への給水と、シャワーノズル170を通じた外槽20内への給水とが行われる。また、洗い工程では、給水装置50により給水とともに液剤タンク150内の液体洗剤の自動投入が行われ、すすぎ工程では、給水装置50により給水とともに液剤タンク150内の液体柔軟剤の自動投入が行われる。すすぎ工程が2回以上行われる場合、最後のすすぎ工程で液体柔軟剤が投入される。
【0056】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0057】
洗い工程の前には、洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出工程が行われる。ドラム23が、ドラム23内の洗濯物がタンブリングする回転数、たとえば40~50rpmで回転し、回転時にドラム23に加わる負荷が、駆動モータ30に流れる電流値より検出される。洗濯物の負荷量が多いほど、ドラム23に加わる負荷が大きくなり、駆動モータ30に流れる電流値が大きくなる。制御部301は、電流値の大きさに基づいて負荷量を判定する。負荷量に基づいて洗い工程での給水量、即ち洗い水位が決され、決定された給水量が表示部304に表示される。給水装置50により自動投入される液体洗剤の量は、負荷量、即ち給水量に応じたものとなる。
【0058】
本実施の形態のドラム式洗濯機1では、洗濯運転に加えて、衣類等の除菌を行う除菌運転を行うことができる。
【0059】
図4は、除菌運転で実行される制御部301の制御動作を示すフローチャートである。
図5(a)および(b)は、それぞれ、除菌運転に含まれる、菌たたき出し処理および菌含有水除菌処理を示すフローチャートである。
【0060】
ユーザは、除菌する衣類をドラム23内に投入した後、操作部303において、除菌運転の開始操作を行う。これにより、除菌運転が開始される。
【0061】
図4を参照して、制御部301は、ドラム23内に収容された衣類の負荷量を判定する(S1)。除菌運転での負荷量の判定は、上述した洗濯運転で負荷量の判定と同様である。
【0062】
次に、制御部301は、負荷量-発光電流テーブルTA1を参照し、UV-C発光モジュール60に通電する電流値を、判定した負荷量に応じて設定する(S2)。負荷量が多いほど、設定された電流値は大きくなり、UV-C発光モジュール60から発光されるUV-Cの輝度は高くなる。
【0063】
さらに、制御部301は、負荷量-照射時間テーブルTA2を参照し、UV-C発光モジュール60からのUV-Cの照射時間を、判定した負荷量に応じて設定する(S3)。負荷量が多いほど、設定された照射時間は長くなる。
【0064】
次に、制御部301は、給水装置50を動作させて、即ち第1バルブ111および第2バルブ112を開放して、規定水位まで外槽20内へ給水を行う(S4)。液体洗剤および液体柔軟剤は自動投入されない。負荷量が多いほど、規定水位が高く設定され、外槽20内に溜められる水量が多くなる。
【0065】
次に、制御部301は、菌たたき出し処理を実行する(S5)。
【0066】
図5(a)に示すように、菌たたき出し処理では、制御部301は、駆動モータ30によりドラム23を第1回転数で回転させる(S101)。第1回転数は、ドラム23内の衣類に加わる遠心力が重力より小さく、衣類がタンブリングする回転数に設定される。
【0067】
衣類がタンブリングしてドラム23の内周面にたたきつけられることにより、衣類に付着した菌が、衣類からたたき出されて外槽20内の水の中に放出される。
【0068】
制御部301は、ドラム23の回転回数が規定回転回数に到達すると(S102:YES)、ドラム23を停止させる(S103)。規定回転回数は、たとえば、十回~数十回程度に設定できる。なお、制御部301は、ドラム23が規定時間(たとえば、十秒~数十秒程度)回転すると、ドラム23を停止させるようにしてもよい。
【0069】
制御部301は、菌たたき出し処理に続いて、菌含有水除菌処理を実行する(S6)。
【0070】
図5(b)に示すように、菌含有水除菌処理では、制御部301は、ステップS2で設定された電流値でUV-C発光モジュール60に通電を行う(S201)。UV-C発光モジュール60からUV-Cが発光され、衣類から出た菌が含まれた外槽20内の水にUV-Cが照射される。これにより、UV-Cが照射された領域に含まれる菌が死滅していく。
【0071】
このとき、ドラム23は停止した状態にあるため、外槽20内で水が動きにくく菌も動きにくい。よって、同じ菌にUV-Cが照射され続けやすくなる。
【0072】
なお、菌たたき出し処理でのドラム23の回転により動いた外槽20内の水が沈静化するのを待つため、ステップS201の処理が行われる前に、所定の待機時間が設けられるとよい。
【0073】
制御部301は、通電開始から単位照射時間が経過したか否かを判定する(S202)。単位照射時間は、UV-Cが照射され続けた菌が十分に死滅し得る時間、たとえば、数秒~十数秒程度の時間に設定される。
【0074】
制御部301は、単位照射時間が経過すると(S202:YES)、UV-C発光モジュール60への通電を停止する(S203)。制御部301は、通電を停止する度に、単位照射時間を積算していく(S204)。積算された単位照射時間は、総照射時間として、記憶部302に記憶される。
【0075】
次に、制御部301は、ステップS201によるUV-Cの照射回数が規定照射回数に到達したか否かを判定する(S205)。規定照射回数は、たとえば、十回~数十回程度に設定できる。
【0076】
制御部301は、UV-Cの照射回数が規定照射回数に到達していなければ(S205:NO)、駆動モータ30によりドラム23を第2回転数で1回転させる(S206)。ドラム23で攪拌されることにより、外槽20内の底部で水が動く。このとき、外槽20内の底部で水がゆっくりと移動するよう、第2回転数は、第1回転数よりも低い回転数に設定される。
【0077】
ステップS201に戻り、制御部301は、再び、UV-C発光モジュール60への通電を行う。UV-C発光モジュール60の近傍へ移動してきた水の部分にUV-C発光モジュール60からUV-Cが照射され、その部分に含まれた菌が死滅する。なお、外槽20内の水が沈静化するのを待つため、ステップS206の処理とステップS201の処理との間に、所定の待機時間が設けられるとよい。
【0078】
このようにして、UV-Cの照射回数が規定照射回数に到達するまで、ステップS201~S206の処理が繰り返される。外槽20内の水が少しずつUV-C発光モジュール60の近傍へ移動し、その近傍の水に含まれた菌にUV-Cが照射され、菌が死滅する。これにより、外槽20内の水全体に含まれた菌が死滅しやすくなる。
【0079】
制御部301は、UV-Cの照射回数が規定照射回数に到達すると(S205:YES)、菌含有水除菌処理を終了する。
【0080】
菌含有水除菌処理が終了すると、制御部301は、記憶部302に記憶されている総照射時間が、ステップS3で設定された照射時間に到達したか否かを判定する(S7)。そして、制御部301は、総照射時間が、設定された照射時間に到達するまで、菌たたき出し処理と菌含有水除菌処理とを実行する(S7:NO→S5→S6)。
【0081】
菌たたき出し処理によりドラム23内の衣類に付着した菌が外槽20内の水の中に放出され、菌含有水除菌処理により外槽20内の水がUV-Cの照射により除菌される。衣類から水中に菌が排出され、水中の菌が死滅して衣類に再付着しない結果、ドラム23内の衣類が除菌される。
【0082】
制御部301は、総照射時間が、設定された照射時間に到達すると(S7:YES)、排水バルブ41を開放し、外槽20内から排水を行う(S8)。その後、制御部301は、駆動モータ30によりドラム23を高速回転させて、ドラム23内の衣類の脱水を行う(S9)。脱水が終了すると、除菌運転が終了する。
【0083】
ドラム23内の衣類の負荷量が多いほど、外槽20内の水の中に放出される菌の量が多くなる。本実施の形態では、負荷量が多いほど、UV-C発光モジュール60に供給される電流値が大きくなり、UV-C発光モジュール60からのUV-Cの輝度が高くなる。また、負荷量が多いほど、菌を含む外槽20内の水に長い時間、UV-C発光モジュール60からUV-Cが照射される。この結果、負荷量が多いほど、1回の除菌運転において、菌を含む外槽20内の水に照射されるUV-Cの総光量が多くなる。よって、1回の除菌運転において、UV-Cの総光量が衣類の負荷量に関係なく一定とされる場合と違って、衣類の負荷量が多い場合にも衣類を十分に除菌でき、衣類の除菌性能を確保できる。また、衣類の負荷量が少ない場合に無駄にUV-Cが照射されない結果、UV-C発光モジュール60が寿命により早期に使用できなくなることを防止できる。
【0084】
なお、本実施の形態において、菌たたき出し処理のステップS101の動作が、本発明の第1動作に相当し、菌含有水除菌処理のステップS201の動作が、本発明の第2動作に相当し、菌含有水除菌処理のステップS206の動作が、本発明の第3動作に相当する。
【0085】
本実施の形態のドラム式洗濯機1は、洗濯物を乾燥させる乾燥装置を備えていてもよい。この場合、乾燥装置は、たとえば、外槽20に接続される循環路を備える。循環路内には、送風ファン、冷却器および加熱器が配置される。加熱器で加熱された空気が送風ファンの動作により外槽20と循環路との間で循環し、ドラム23内の洗濯物が乾燥する。外槽20内から循環路に戻ってきた空気は、加熱器で加熱される前に冷却器で冷却され除湿される。
【0086】
このように、ドラム式洗濯機1が乾燥機能を有する場合、除菌運転において、衣類の脱水が行われた後に、乾燥装置による衣類の乾燥が行われてもよい。
【0087】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、外槽20内に溜められた水に向けて紫外線であるUV-Cを発光するUV-C発光モジュール60と、ドラム23内の衣類から出た菌が含まれた外槽20内の水にUV-C発光モジュール60からUV-Cを照射する除菌運転を実行する制御部301と、を備え、制御部301が、除菌運転において、ドラム23内の衣類の負荷量を判定し、負荷量が多いほど、1回の除菌運転において外槽20内の水に照射されるUV-Cの総光量が多くなるように、UV-C発光モジュール60にUV-Cを発光させるような構成とされている。
【0088】
具体的には、制御部301は、負荷量が多いほど、UV-Cの総光量が多くなるよう、UV―Cの照射時間を長くしたり、紫外線の輝度を高くしたりする。
【0089】
この構成によれば、衣類の負荷量が多い場合にも衣類を十分に除菌できる結果、衣類の除菌性能を確保できる。また、衣類の負荷量が少ない場合に無駄にUV-Cが照射されない結果、UV-C発光モジュール60が寿命により早期に使用できなくなることを防止できる。
【0090】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、制御部301が、駆動モータ30によりドラム23内の衣類がタンブリングする第1回転数でドラム23を回転させる第1動作を行い、第1動作の後、ドラム23が停止した状態においてUV-C発光モジュール60からUV-Cを発光させる第2動作を行うような構成とされている。
【0091】
この構成によれば、タンブリングにより衣類がドラム23の内周面にたたきつけられるので、衣類に付着した菌がたたき出されて外槽20内の水の中に放出されやすくなる。さらに、ドラム23が停止した状態にあり、外槽20内の水が動きにくく菌も動きにくい状態においてUV-Cが発光されるので、同じ菌にUV-Cが照射され続けやすくなり、菌が死滅しやすくなる。
【0092】
さらに、本実施の形態によれば、ドラム式洗濯機1は、制御部301が、ドラム23が停止した状態においてUV-C発光モジュール60からUV-Cを発光させる第2動作と、駆動モータ30によりドラム23を第1回転数よりも低い第2回転数で回転させる第3動作とを、繰り返し行うような構成とされている。
【0093】
この構成によれば、外槽20内の水が少しずつUV-C発光モジュール60の近傍へ移動し、その近傍の水に含まれた菌にUV-Cが照射され、菌が死滅する。これにより、外槽20内の水全体に含まれた菌が死滅しやすくなる。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0095】
たとえば、上記実施の形態では、UV-C発光モジュール60に通電する電流値とUV-C発光モジュール60からのUV-Cの照射時間の双方が、衣類の負荷量に応じて設定される。しかしながら、通電電流値および照射時間のうち一方のみが、衣類の負荷量に応じて設定されるようにし、他方は一定となるようにされてもよい。通電電流値のみが負荷量に応じて設定される場合、
図4のステップS3の処理が行われず、
図4のステップS7では、総照射時間が一定の照射時間に到達したか否かが判定される。一方、照射時間のみが負荷量に応じて設定される場合、
図4のステップS2の処理が行われず、
図5(b)のステップS201では、一定の電流値でUV-C発光モジュール60に通電が行われる。
【0096】
さらに、上記実施の形態では、
図4のステップS3でUV-Cの照射時間が負荷量に応じて設定され、
図4のステップS7で総照射時間が設定された照射時間に到達したか否かが判定される。しかしながら、
図4のステップS3で菌たたき出し処理および菌含有水除菌処理が実行される回数または時間が負荷量に応じて設定され、
図4のステップS7で菌たたき出し処理および菌含有水除菌処理が設定された回数または時間だけ実行されたか否かが判定されるようにしてもよい。負荷量が多いほど、菌たたき出し処理および菌含有水除菌処理が実行される回数が多くされる、あるいは時間が長くされる。これにより、負荷量が多いほど、1回の除菌運転におけるUV-Cの照射時間が長くなる。
【0097】
さらに、上記実施の形態では、洗濯運転とは別に、衣類の除菌を行う専用の除菌運転が実行される。しかしながら、洗濯運転の洗い工程やすすぎ工程において、制御部301が、ドラム23の回転による洗濯物の洗いやすすぎが行われている間に、衣類の負荷量に応じて設定された通電電流値および/または照射時間でUV-C発光モジュール60からUV-Cを発光させ、洗濯物から出た菌を含む外槽20内の水にUV-Cを照射させるようにしてもよい。この場合も、負荷量が多いほど通電電流値が大きくなってUV-Cの輝度が高くなる。また、負荷量が多いほどUV-Cの照射時間が長くなる。この構成では、洗い工程やすすぎ工程が、本発明の除菌運転に相当することになる。
【0098】
さらに、上記実施の形態では、菌含有水除菌処理のステップ206において、ドラム23を1回転させているが、ドラム23を2回転以上させるようにしてもよい。
【0099】
さらに、上記実施の形態では、ドラム式洗濯機1が示された。しかしながら、本発明は、外槽内に内槽として縦軸型の洗濯脱水槽を有する全自動洗濯機にも適用できる。この場合、全自動洗濯機は、乾燥機能を有してもよい。
【0100】
なお、全自動洗濯機の場合、除菌運転では、外槽内に水が溜められた状態でパルセータが回転することにより洗濯脱水槽内の衣類が攪拌され、衣類に付着した菌が水中に放出される。
【0101】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 ドラム式洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(内槽)
30 駆動モータ
60 UV-C発光モジュール(紫外線発光部)
301 制御部