(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048300
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240401BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154268
(22)【出願日】2022-09-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】元山 純一
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】本間 拓也
(72)【発明者】
【氏名】三国 司
(72)【発明者】
【氏名】早川 和裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】金田 拓也
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129CC19
2F129DD26
2F129DD34
2F129DD38
2F129DD39
2F129DD40
2F129EE02
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2F129EE52
2F129FF11
2F129FF19
2F129FF71
2F129HH12
2F129HH35
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向にマッチした経由地や経路を、ユーザの操作を必要とせずに精度よく提示する車両を提供する。
【解決手段】車両1は、乗員の携帯端末10と通信を行い、乗員の情報を取得する情報取得部100と、取得した情報に基づいて、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する推定部200と、推定結果に基づいて、目的地に対する付加情報として、経由地情報や経路情報を含む情報を決定して提示部500に表示させる表示制御部300と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の携帯端末と通信を行い、前記乗員の情報を取得する情報取得部と、
該取得した情報に基づいて、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する推定部と、
該推定結果に基づいて、目的地に対する付加情報として、経由地情報や経路情報を含む情報を決定して提示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記情報取得部が前記乗員の携帯端末から取得する情報には、前記乗員が撮影した写真の画像情報、SNSへの投稿履歴、Webでの閲覧履歴、過去の滞在情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記推定部が、前記取得した情報から抽出した、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向に関係する文言に基づいて、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記推定部が、前記取得した情報から、現在日時における前記乗員の行動パターンを推定し、該推定した行動パターンに基づいて、前記乗員のこの先の行動傾向を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記推定部が、前記取得した情報から、前記乗員のWebページの閲覧傾向を推定し、該閲覧傾向にある特定情報に関係する文言に基づいて前記乗員が関心を寄せる事柄を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の乗員の興味や嗜好に合った行先を提案するシステムが知られている。
この種の技術として、例えば、乗員の興味度に基づいて行先を提案し、提案した行先に対する乗員の興味度を追加で入力することで興味度に対する環境の変化によって、行先の提案変更を行うシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、乗員の趣味嗜好を過去のナビシステムの検索情報から推定を行って、乗員の嗜好に合う目的地を提案するシステムも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-077263号公報
【特許文献2】特開2006-10326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、乗員が興味の有無に関する情報を入力することが必須であり、また、特許文献2に記載のシステムは、提案を行うために用いる乗員の趣味嗜好は、車両に蓄積された乗員の過去の行動から導き出されるために、乗員以外の者も使用する車両の場合には、適切な提案ができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向にマッチした経由地や経路を、ユーザの操作を必要とせずに精度よく提案することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、乗員の携帯端末と通信を行い、前記乗員の情報を取得する情報取得部と、該取得した情報に基づいて、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する推定部と、該推定結果に基づいて、目的地に対する付加情報として、経由地情報や経路情報を含む情報を決定して提示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする車両を提案している。
【0007】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記情報取得部が前記乗員の携帯端末から取得する情報には、前記乗員が撮影した写真の画像情報、SNSへの投稿履歴、Webでの閲覧履歴、過去の滞在情報を含むことを特徴とする車両を提案している。
【0008】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記推定部が、前記取得した情報から抽出した、前記乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向に関係する文言に基づいて、当該乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定することを特徴とする車両を提案している。
【0009】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記推定部が、前記取得した情報から、現在日時における前記乗員の行動パターンを推定し、該推定した行動パターンに基づいて、当該乗員のこの先の行動傾向を推定することを特徴とする車両を提案している。
【0010】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記取得した情報から、前記乗員のWebページの閲覧傾向を推定し、該閲覧傾向にある特定情報に関係する文言に基づいて前記乗員が関心を寄せる事柄を推定することを特徴とする車両を提案している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向にマッチした経由地や経路を、ユーザの操作を必要とせずに精度よく提示することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報取得部が収集したSNS履歴を例示した図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る情報取得部が収集したWeb閲覧履歴を例示した図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る情報取得部が収集した撮影画像情報を例示した図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る情報取得部が収集した滞在履歴を例示した図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る車両の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1から
図6を用いて、第1の実施形態に係る車両1について説明する。
なお、本実施形態に係る車両1は、乗員の携帯端末から取得した情報に基づいて、経由地情報や経路情報を乗員に提案するものである。
【0014】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、情報取得部100と、推定部200と、表示制御部300と、記憶部400と、提示部500と、を含んで構成されている。
また、記憶部400には、ナビゲーションに用いられる地図情報や道路情報等を記憶する地図情報DB410と、店舗や施設といった地点の地点名(POI:Point Of Interest)に関連する情報が記憶されているPOI情報DB420とを含む。
また、提示部500には、表示部510と、音声出力部520とを含む。
【0015】
情報取得部100は、乗員の携帯端末10と通信を行い、乗員の情報を取得する。
詳細には、情報取得部100は、車両の電源が入れられたことに応じて、運転者である乗員の携帯端末10と、Wi-FiやBluetooth等の近距離無線通信を用いて、通信を行う。
ここで、携帯端末10は、乗員が所有する、例えば、スマートフォン、タブレット等を例示することができる。
【0016】
そして、情報取得部100は、携帯端末10から乗員の行動履歴を示すライフログを取得する。
ここで、ライフログには、SNS(Social Networking Service)に関する履歴情報、Web閲覧履歴情報、撮影画像情報、および滞在履歴情報が含まれる。
なお、情報取得部100は、携帯端末10から取得した、乗員のライフログを、後述する推定部200に送信する。
【0017】
図2に、本実施形態に係る情報取得部100が収集したSNS(Social Networking Service)に関する履歴情報を例示した図を示す。
SNSに関する履歴情報は、乗員のSNSへの投稿履歴情報であって、投稿日時、投稿内容等を示す情報が含まれている。
なお、SNSに関する履歴情報には、投稿したSNSを識別する情報を含んでいてもよい。
本実施形態では、投稿内容は、文字データであるテキスト、静止画及び動画のデータである画像データ、投稿時に指定された属性を含む。
また、投稿内容のテキストに、他ユーザの投稿に対するコメントや、評価を含めてもよい。なお、画像データは画像ファイル名で示している。
【0018】
図3に、本実施形態に係る情報取得部100が収集したWeb閲覧履歴情報を例示した図を示す。
Web閲覧履歴情報には、閲覧/視聴日時、閲覧したWebサイトや視聴したWebコンテンツのタイトル、検索クエリといったテキスト情報を含むなどが含まれる。
【0019】
図4に、本実施形態に係る情報取得部100が収集した撮影画像情報を例示した図を示す。
撮影画像情報は、画像を識別する画像ID,撮影日時、撮影位置情報、撮影画像データなどが含まれる。
同図において、撮影画像データは画像ファイル名で示している。なお、撮影画像データは静止画またが動画のいずれであってもよい。
【0020】
図5に、本実施形態に係る情報取得部100が収集した滞在履歴情報を例示した図を示す。
滞在履歴情報は、滞在開始日時、滞在終了日時、滞在した地点名称、地点位置情報などが含まれる。なお、移動した経路や、移動手段を含んでもよい。
【0021】
なお、情報取得部100は、携帯端末10から乗員のライフログを取得するときには、例えば、携帯端末10の表示部に、乗員のライフログを取得して良いか否かを確認するための表示を行い、乗員からの承諾を確認した後に、乗員のライフログの取得を開始するようにしてもよい。
また、情報取得部100は、携帯端末10の表示部に、乗員に取得してもよい乗員のライフログを選択させるための表示を行い、乗員が選択したライフログのみの取得を開始してもよい。
【0022】
推定部200は、情報取得部100から取得した乗員のライフログに基づいて、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する。
詳細には、推定部200は、SNS履歴情報、Web閲覧履歴情報、撮影画像情報、および滞在履歴情報の少なくとも1つに基づいて、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定して、推定結果を取得する。
【0023】
さらに詳細には、推定部200は、SNS履歴情報の投稿内容、および/またはWeb閲覧履歴情報のテキスト情報から、地点名称、アーティスト名、コンテンツ名、料理名などの乗員の関心や行動傾向に関係する可能性のある文言を抽出する。
なお、以下では、地点名称には、地点名称だけでなく施設名称も含む。
【0024】
また、推定部200は、撮影画像データの画像解析を行って判定した対象物の名称、撮影画像データに含まれる撮影位置情報に基づいて特定される撮影地点名称を乗員の関心や行動傾向に関係する可能性のある文言として抽出する。
更にまた、推定部200は、滞在履歴情報から、滞在した地点名称を乗員の関心や行動傾向に関係する可能性のある文言として抽出する。
【0025】
そして、推定部200は、抽出した複数の文言について、所定以上の出現頻度である文言があるか否かを判定し、所定以上の出現頻度の文言がある場合には、当該文言を乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向と推定し、推定結果とする。
ここで、所定以上の出現頻度とは、予め設定され、例えば出現頻度10回以上等を例示することができる。
なお、推定結果とする文言は、最も出現頻度が高い1つでもよいし、出現頻度が高い順の複数であってもよい。
【0026】
推定部200は、所定以上の出現頻度の文言がない場合には、抽出した複数の文言それぞれについてカテゴリーを特定し、出現頻度が高い1以上のカテゴリーを乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向と推定し、推定結果とする。
例えば、文言「靴」にはファッションのカテゴリーが特定され、文言「パンケーキ」にはカフェのカテゴリーが特定され、このカテゴリーを推定結果とする。
【0027】
なお、文言またはカテゴリーに重みづけを行って、出現頻度を算出してもよい。
例えば、新しい情報から抽出された文言またはカテゴリーほど重要度を上げる重みづけを行うようにしてもよい。
また、文言またはカテゴリーの抽出元であるSNS履歴情報、Web閲覧履歴情報、撮影画像情報、および滞在履歴情報の重要度に応じて、文言またはカテゴリーに重みづけを行うようにしてもよい。
【0028】
推定部200は、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向の推定結果を表示制御部300に送信する。
なお、推定部200は、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定して推定結果が得られればよいため、上述した分析方法に限定するものではない。
【0029】
表示制御部300は、推定部200の推定結果に基づいて、目的地に対する付加情報として、経由地情報や経路情報を含む情報を決定して、提示部500を介して乗員に報知する。
【0030】
詳細には、まず、表示制御部300は、車両の現在の位置情報を取得する。
次に、表示制御部300は、取得した車両の現在の位置情報と、推定部200の推定結果の文言と、記憶部400の地図情報DB410およびPOI情報DB420とに基づいて、経由地や経路を決定する。
そして、表示制御部300は、目的地に向かおうとしている乗員に、付加的に、経由地や経路を、提示部500を介して地図表示や音声にて乗員に報知する。
なお、表示制御部300は、経由地に関する情報や経路に関する情報を乗員に報知してもよい。
【0031】
より詳細には、表示制御部300は、車両の現在位置から所定範囲内にあって、かつ推定部200の推定結果と完全一致または部分一致する情報を有する地点を、POI情報DB420を参照して抽出する。
なお、表示制御部300は、目的地が設定された場合には、車両の現在位置と目的地との間のエリアにあって、かつ推定部200の推定結果と完全一致または部分一致する情報を有する地点を、POI情報DB420を参照して抽出してもよい。
【0032】
ここで、POI情報DB420とは、図示を省略するが、地点(POI)に関連する情報、例えば、地点識別情報と、地点名称と、地点カテゴリーと、地点のキーワードやキーフレーズ、地点の位置情報などの情報を含む。
【0033】
表示制御部300は、抽出した地点を経由地として決定し、少なくとも決定した経由地を含む地図を地図情報DB410から取得して、経由地を表示した地図情報を表示部510に表示させる。
経由地を表示した地図には、車両の現在位置や目的地が表示されてもよい。
【0034】
この時、表示制御部300は、経由地の名称やカテゴリーといった情報をPOI情報DB420から取得して、地図情報に重畳表示させてもよい。
表示制御部300は、経由地を含む地図を表示部510に表示させるとともに、経由地に関する情報、例えば「麺や〇×ラーメンに立ち寄るのはいかがですか?」といった音声案内を音声出力部に出力させてもよい。
【0035】
また、表示制御部300は、車両の現在位置から決定した経由地への経路を特定し、経由地を表示した地図に併せて表示する。
表示制御部300は、経由地および経路を表示した地図を表示部510に表示させるとともに、経路に関する情報、例えば「国道〇号線を進み、15分で到着します。」といった音声案内を音声出力部に出力させてもよい。
【0036】
表示部510は、例えば、液晶パネルであって、表示制御部300から受信した地図を出力する。
【0037】
音声出力部520は、例えば、スピーカであって、表示制御部300から受信した音声情報を出力する。
【0038】
<車両1の処理>
図6を用いて、本実施形態に係る車両1の処理について説明する。
【0039】
図6に示すように、情報取得部100は、乗員の携帯端末10と通信を行い、乗員の情報、例えば、SNS履歴、Web閲覧履歴、撮影画像情報、および滞在履歴が含む携帯端末10から乗員の行動履歴を示すライフログを取得する(ステップS110)。
【0040】
推定部200は、情報取得部100から取得した乗員のライフログに基づいて、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する。詳細には、推定部200は、SNS履歴、Web閲覧履歴、撮影画像情報、および滞在履歴の少なくとも1つに基づいて、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定して、推定結果を取得する(ステップS110)。
【0041】
そして、表示制御部300は、推定部200の推定結果に基づいて、目的地に対する付加情報として、経由地情報や経路情報を含む情報を決定して、提示部500を介して乗員に報知を行い、処理を終了する。
【0042】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1の推定部200は、乗員の端末10から取得した乗員のライフログに基づいて、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を推定する。
すなわち、乗員のSNS投稿履歴情報、Web閲覧履歴情報、撮影画像情報、および滞在履歴情報の少なくとも1つから、乗員の関心や行動傾向に関係する可能性のある文言を抽出し、抽出した文言のうち所定以上の出現頻度の文言、または、文言のカテゴリー別の出現頻度が高いカテゴリーを、乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向と推定する。
表示制御部300は、推定部200の推定結果に基づいて、POI情報DB420を参照して経由地を決定し、目的地に向かおうとしている乗員に付加的に、決定した経由地を表示部510および/または音声出力部520を用いて、乗員に報知する。
また、表示制御部300は、推定部200の推定結果に基づいて、POI情報DB420および地図情報DB410を参照して、経由地および車両の現在位置から経由地への経路を決定し、目的地に向かおうとしている乗員に付加的に、決定した経路を表示部510および/または音声出力部520を用いて、乗員に報知する。
例えば、本実施形態では、推定部200が乗員の関心を寄せる事柄を「ラーメン」、「行列ができる」と推定した場合には、表示制御部300は、POI情報DB420を参照し、車両の現在位置から所定範囲にあり、「ラーメン」および/または「行列ができる」を名称、カテゴリー、キーワードやキーフレーズに含む地点、例えば「麺や〇×ラーメン」を経由地として決定する。
そして、乗員に、経由地「麺や〇×ラーメン」を表示した地図や経由地「麺や〇×ラーメン」の情報を、提示部500を介して報知し、経由地「麺や〇×ラーメン」を提案する。
また、表示制御部300は、地図情報DB410を参照して、車両の現在位置から経由地「麺や〇×ラーメン」への経路を決定する。
そして、乗員に、経由地「麺や〇×ラーメン」への経路を表示した地図や経路の情報を、提示部500を介して報知し、経由地と併せて経路を提案する。
これにより、乗員が何ら操作することなく乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向を分析でき、分析した乗員が関心を寄せる事柄や行動傾向にマッチした経由地情報や経路情報を、目的地に対する付加情報として、乗員に提示することができる。
【0043】
<変形例1>
車両は、乗員の携帯端末から取得した乗員の情報(ライフログ)に含まれる滞在履歴情報に基づいて、現在日時における乗員の行動パターンを推定し、推定した行動パターンに基づいて経由地情報や経路情報を提案してもよい。
なお、本変形例1に係る車両は、上述した行動パターンを推定する機能が推定部200に追加されたものであって、推定部200以外の機能部は第1の実施形態の車両と同様に構成されている。
推定部200は、情報取得部100から取得した乗員のライフログに基づいて、現在日時における行動パターンを推定し、推定した行動パターンから乗員のこの先の行動傾向を推定する。
ここで、行動パターンとは、特定の日時に特定の行動を繰り返すパターンであって、各曜日または平日・休日の特定時間帯に内容が共通または類似する行動である。
図5の滞在履歴を用いて、推定部200の行動パターンの推定例について説明する。
現在日時が日曜日の10:00の場合に、推定部200は、まず、滞在履歴情報から日曜日の10:00を含む所定時間帯の情報を取得する。
所定時間帯は任意に予め設定され、本変形例では、ある時刻の前後2時間とする。
また、日曜だけでなく、日曜日と同様に休日である土曜および祝日の所定時間帯の情報を取得してもよい。
推定部200は、取得した情報から、7/1および7/8の日曜日10:00~12:00頃は運動施設(××ジム)を利用した後に入浴施設(A銭湯、スパE)を利用するという共通する行動をとっていることを分析し、現在日時における行動パターンは「運動施設から入浴施設」である推定する。
また、現在時刻が火曜日の19:00の場合に、推定部200は、滞在履歴情報から火曜日の19:00を含む所定時間帯の情報を取得する。
推定部200は、取得した情報では、7/3(火)19:00~21:00頃は飲食店に滞在しているが、次の火曜日7/10には同様の行動をとっていないため、現在日時における行動パターンはないと推定する。
そして、推定部200は、現在日時における行動パターンが推定できた場合に、行動パターンが含む地点の地点名称や地点名称から特定されるカテゴリーを、乗員のこの先の行動傾向と推定し、推定結果とする。
【0044】
<作用・効果>
以上、説明したように、変形例1に係る車両の推定部200は、乗員の端末10から取得した乗員の滞在履歴情報に基づいて推定した乗員の現在日時における行動パターンが含む地点名称や地点カテゴリーに基づいて、乗員のこの先の行動傾向を推定することができる。
すなわち、乗員が現在日時にとる頻度が高い行動パターンが含む地点の名称やカテゴリーから、乗員のこの先の行動傾向を推定することができる。
そして、推定した行動傾向に基づいて、表示制御部300は、第1の実施形態で説明した方法にて、決定した経由地や車両の現在位置から経由地への経路を表示部510および/または音声出力部520を用いて、乗員に報知する。
例えば、推定部200は、現在日時「土曜10:00」における行動パターンを「運動施設から入浴施設」と推定した場合には、行動パターン「運動施設から入浴施設」から地点を示す「運動施設」および「入浴施設」を抽出する。
次に、表示制御部300は、抽出された「運動施設」および「入浴施設」それぞれを名称、カテゴリー、キーワードやキーフレーズに一部または全部を含む地点として、F総合運動場やスパリゾートG、を経由地として決定する。
そして、表示制御部300は、経由地として決定されたF総合運動場やスパリゾートGを含む地図や更に車両の現在位置から経由地までの経路をも含む地図を表示部510に表示して乗員に提案する。
つまり、地図を表示するとともに、地図に表示された経由地や経路を音声出力部520によって音声案内することもできる。
なお、車両の現在位置が運動施設である場合には、「入浴施設」のみを提案する。
また、目的地に「運動施設」または「入浴施設」が設定されている場合には、目的地に設定されなかった方のみ提案する。
これにより、乗員が何ら操作することなく、乗員の現在日時における行動パターンから乗員のこの先の行動傾向を推定し、乗員の行動傾向にマッチした経由地情報や経路情報を、目的地に対する付加情報として、乗員に提案することができる。
【0045】
<変形例2>
本変形例に係る車両は、乗員の携帯端末から取得した乗員の情報(ライフログ)に基づいて、乗員の閲覧傾向を推定して、閲覧傾向にある特定の情報に関係する経由地や経路を提案する。
なお、本変形例に係る車両は、上述した閲覧傾向を推定する機能が推定部200に追加されたものであって、推定部200以外の機能部は第1の実施形態の車両と同様に構成されている。
推定部200は、情報取得部100から取得した乗員のライフログに基づいて、乗員の閲覧傾向も推定する。
詳細には、推定部200は、Web閲覧履歴情報に基づいて、WebページやWebコンテンツ(以下、Webページ等という)の閲覧における乗員の行動傾向を閲覧傾向として推定する。
具体的には、推定部200は、Web閲覧履歴情報を参照して、Webページ等毎に総閲覧時間を算出し、算出した総閲覧時間が長いWebページ等を乗員の閲覧傾向にあるWebページ等として推定する。
また、推定部200は、Web閲覧履歴情報を参照して、日毎のWebページ等の閲覧回数を算出し、算出した閲覧回数が増加する傾向にあるWebページ等を乗員の閲覧傾向にあるWebページ等と推定する。
なお、総閲覧時間や日別閲覧回数は、Webページ等毎に限らず、Webページのジャンル毎に算出されてもよい。
推定部200は、閲覧傾向にあると推定したWebページ等に関係する文言を抽出し、推定結果として表示制御部300に送信する。
【0046】
<作用・効果>
以上、説明したように、本変形例に係る車両の推定部200は、乗員の端末10から取得した乗員のWeb閲覧履歴情報に基づいて推定された閲覧傾向にあるWebページ等に関係する文言に基づいて、乗員が強く関心を寄せる事柄を推定することができる。
すなわち、乗員が長く閲覧している、閲覧回数が増加傾向にあるといった乗員が強く興味を引き付けられているWebページ等に関係する文言から、乗員が強く関心を寄せる事柄を推定することができる。
そして、推定した閲覧傾向に基づいて、表示制御部300は、第1の実施形態で説明した方法にて、決定した経由地や車両の現在位置から経由地への経路を表示部510および/または音声出力部520を用いて、乗員に報知する。
例えば、推定部200は、閲覧傾向にあるWebページ等が、閲覧時間の長さから「海がきれいな場所」を紹介するページ等と推定した場合には、当該Webページに関係する文言として「海の景色」を抽出する。
次に、表示制御部300は、抽出された「海の景色」を名称、カテゴリー、キーワードやキーフレーズに一部または全部を含む地点として、A岬展望台やB海浜公園等を経由地として決定する。
そして、表示制御部300は、経由地として決定されたA岬展望台やB海浜公園を含む地図や更に車両の現在位置から経由地までの経路をも含む地図を表示部510に表示して乗員に提案する。
つまり、地図を表示するとともに、地図に表示された経由地や経路を音声出力部520によって音声案内することもできる。
これにより、乗員が何ら操作することなく、乗員が閲覧する傾向にあるWebページから乗員が強く関心を寄せる事柄を推定し、乗員が強く関心を寄せる事柄にマッチした経由地情報や経路情報を、目的地に対する付加情報として、乗員に提示することができる。
【0047】
<変形例3>
上述した実施形態において、車両1は、推定部200の推定結果に基づいて提案された経由地に立ち寄ったかおよび/または経路を走行したかを、対応付けてフィードバック情報として蓄積してもよい。
つまり、蓄積したフィードバック情報を表示制御部300で推定結果に基づいて経由地や経路を決定する際に用いることによって、より乗員の好みに合う経由地や経路を提案することができる。
【0048】
また、上述した実施形態において、乗員のライフログには、SNS(Social Networking Service)履歴、Web閲覧履歴、撮影画像情報、および滞在履歴が含まれたが、メールの送受信メッセージ、ブログの投稿内容、スケジュール、商品購入履歴などを含んでもよい。それにより、推定部200での推定精度を向上させることができる。
【0049】
なお、推定部200、表示制御部300等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを推定部200、表示制御部300等に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0050】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0051】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0052】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1;車両
10;携帯端末
100;情報取得部
200;推定部
300;表示制御部
400;記憶部
410:地図情報DB
420:POI情報DB
500:提示部
510:表示部
520:音声出力部