(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048301
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60R 16/037 20060101AFI20240401BHJP
A61B 5/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B60R16/037
A61B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154269
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】三国 司
(72)【発明者】
【氏名】本間 拓也
(72)【発明者】
【氏名】元山 純一
(72)【発明者】
【氏名】早川 和裕
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PQ03
4C038PS00
4C038PS05
4C038PS07
(57)【要約】
【課題】運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていたとしても、その感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供する。
【解決手段】乗員が乗り込む前の感情を推定する推定部110と、推定部110の推定結果を総合評価し、その評価による乗員が乗り込む前の感情に応じて、車載機器700の作動態様を制御する制御部140と、を備え、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていたとしても、その感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が乗り込む前の感情を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を総合評価し、その評価による前記乗員が前記乗り込む前の感情に応じて、車載機器の作動態様を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記乗員が所持する携帯端末あるいはウェラブル端末との通信を行う通信部を備え、
前記推定部は、前記通信部により得られる情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記通信部により得られる情報にSNSの投稿内容、画像情報を含む情報を含み、
前記推定部は、前記SNSの投稿内容、画像情報を含む情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
車外情報を収集する車外情報収集部を備え、
前記推定部は、該収集された前記車外情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記制御部の総合評価結果と前記制御部の制御内容と前記制御部による制御を行ったときの前記乗員の感情の変化とのすべてを学習し、前記制御部に学習結果を出力する学習処理部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の心理状態(感情)を総合的に判断し、判断結果に基づいた車両制御を行なうシステムが実用化されている。
【0003】
上記の技術として、生体状態監視部によって運転者の身体状況を取得するとともに、情動要因検知部が運転者の情動を誘発する情動要因を取得し、感情推定部が運転者の身体状況と情動要因とを用いて感情を推定することで、運転者の心理状態を総合的に判断し、制御内容決定部による運転者への通知制御と、車両の挙動制御へ反映させることで、積極的に事故などを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、同種の技術として、車両の走行制御を行う制御装置であって、車両の複数の乗員の感情を推定する推定手段と、推定手段による複数の乗員の感情の推定結果に基づいて車両の走行制御態様を変更する変更手段と、を備える制御装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-70966号公報
【特許文献2】特開2019-131147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1、2に記載の技術は、運転中の運転者の感情と運転行動を関連付けて、運転中の運転者の感情に応じた車両制御を行うものである。
【0007】
一般に、感情による車両制御を行う場合、特許文献1、2に記載の技術のように、車載機器から得られる情報のみで感情を推定する方法では、運転開始行動前の乗員の感情は考慮されない。
【0008】
しかしながら、運転開始行動前の乗員の感情を考慮に入れず推定を行ってしまうと、例えば、イライラした状態で運転者が車両に乗り込んだ場合に、コンシェルジュ機能がデフォルト設定となっているために、コンシェルジュ機能による介入を煩わしく感じ、更に、乗員の感情を負の感情に遷移させてしまう虞もある。
【0009】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていたとしても、その感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、乗員が乗り込む前の感情を推定する推定部と、前記推定部の推定結果を総合評価し、その評価による前記乗員が前記乗り込む前の感情に応じて、車載機器の作動態様を制御する制御部と、を備えることを特徴とする車両を提案している。
【0011】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記乗員が所持する携帯端末あるいはウェラブル端末との通信を行う通信部を備え、前記推定部は、前記通信部により得られる情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする車両を提案している。
【0012】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記通信部により得られる情報にSNSの投稿内容、画像情報を含む情報を含み、前記推定部は、前記SNSの投稿内容、画像情報を含む情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする車両を提案している。
【0013】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車外情報を収集する車外情報収集部を備え、前記推定部は、該収集された前記車外情報に基づいて、前記乗員が乗り込む前の感情を推定することを特徴とする車両を提案している。
【0014】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記制御部の総合評価結果と前記制御部の制御内容と前記制御部による制御を行ったときの前記乗員の感情の変化とのすべてを学習し、前記制御部に学習結果を出力する学習処理部を備えたことを特徴とする車両を提案している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていたとしても、その感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る各装置により得られる取得情報をまとめた表である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る推定された感情と制御対象、制御内容の関係を例示する図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る車両の処理を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る車両の記憶部に格納されたデータベースを例示した図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る車両の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、
図1から
図4を用いて、本実施形態に係る車両1について説明する。
【0018】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る緊急通報システム1は、推定部110と、通信部120と、車外情報収集部130と、制御部140と、を含んで構成されている。
【0019】
推定部110は、乗員が乗り込む前の感情を推定する。
具体的には、推定部110は、
図2に示すように、乗員が乗り込んだ直後に得られる車両の撮像装置200からの乗員の挙動、表情、瞬きの回数、目の開度等に関する画像情報や乗員が乗り込んだ直後に得られる車両のマイク300からの乗員の音声情報、車室内の音情報、携帯端末400からの乗員によるSNSの投稿情報、投稿画像情報、ウェラブル端末500からの乗員の心拍数情報、心拍変動情報、呼吸数情報、睡眠時間情報、外部装置600からの渋滞情報、事故情報、工事情報、気象情報等から乗員が乗り込む前の感情を推定する。
推定部110は、例えば、撮像装置200およびマイク300から得られた情報に基づく乗員が乗り込む前の感情の推定処理と、携帯端末400あるいはウェラブル端末500から得られた情報に基づく乗員が乗り込む前の感情の推定処理、外部装置600から得られた情報に基づく乗員が乗り込む前の感情の推定処理を個別に行い、それぞれの推定結果を後述する制御部140に出力し、制御部140において、総合的な評価を行う。
推定部110は、撮像装置200からの画像情報から、落ち着きのない様子の画像や何かを叩いているような画像、うつむいている様子の画像、はしゃいでいる様子の画像、何かを叫んでいる様子の画像、問いかけに応じない様子の画像、ぼーとした表情の画像、怒りに満ちた表情の画像、満面の笑みを浮かべている表情の画像、悲しみにくれている表情の画像等を抽出し、さらに、これらの情報のうち、比較的直近のものを検索し、推定の評価に用いて感情の推定を行う。
推定部110は、マイク300からの音声情報から、怒気を含んだ音声や楽しそうな音声、すすり泣く声の音声、沈んだ声の音声、はしゃいでいる声の音声、何かを叫ぶ声の音声、何かを叩く音声、小刻みに響く音声、足をバタつかせる音声等を抽出し、さらに、これらの情報のうち、比較的直近のものを検索し、推定の評価に用いて感情の推定を行う。
推定部110は、携帯端末400からの乗員によるSNSの投稿情報、投稿画像情報の中から喜びに満ちた書込みや怒りに満ちた書込み、沈んだ様子の書き込み、フォロアーとの楽しそうなやりとりに関する書込み、喜びに満ちた表情の画像、怒りに満ちた表情や態度の画像、沈んだ様子の画像、みんなと楽しんでいる様子の画像等を抽出し、さらに、これらの情報のうち、比較的直近のものを検索し、推定の評価に用いて感情の推定を行う。
推定部110は、ウェラブル端末500および外部装置600から得られる情報については、定性的な情報であるため、定性的な評価をおこない、感情の推定を行う。
推定の評価手法は、得られる各情報に対して、その程度を評価して、乗員の感情に与える影響度を例えば、5段階でスコア化して、単純平均したものをランク付けしてもよいし、各情報に対して、乗員の感情に与える影響度合いに相当する重み付けをして、加重平均したものをランク付けしてもよい。
また、学術的に裏付けされた算定式や評価手法がある場合には、それらを利用して評価してもよい。
なお、推定部110は、撮像装置200およびマイク300からの情報は直接取得し、携帯端末400およびウェラブル端末500からの情報は、後述する通信部を介して、外部装置600からの情報は、後述する車外情報収集部130を介して取得する。
また、推定部110における推定結果は、例えば、「喜」、「怒」、「哀」、「楽」の4つの種別で判定されることを例示するが、これに限らず、より詳細に種別分けをしてもよい。
【0020】
通信部120は、携帯端末400やウェラブル端末500と通信を行うための、例えば、通信モジュールである。通信形態としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)あるいはBluetooth(登録商標)等の限定したエリアで通信が可能な形態を例示することができる。
通信部120は、携帯端末400から乗員によるSNSの投稿情報、投稿画像情報等のSNS関連情報を受信し、ウェラブル端末500から乗員の心拍数情報、心拍変動情報、呼吸数情報、睡眠時間情報等の生体情報を受信する。
通信部120は、携帯端末400やウェラブル端末500により受信した情報を後述する推定部110に送信する。
【0021】
車外情報収集部130は、例えば、外部装置600から渋滞情報、事故情報、工事情報、気象情報等の車外情報を収集する。
車外情報収集部130が収集した情報は、推定部110に出力される。
【0022】
制御部140は、図示しないROM(Read Only Memory)等に格納された制御プログラムにしたがって、車両1全体の動作を制御する。
本実施形態において、制御部140は、特に、推定部110により推定された推定結果を総合的に評価し、その評価結果に基づく乗員が乗り込む前の感情に応じて、車載機器700の作動態様を制御する。
ここで、車載機器700としては、コンシェルジュシステム、空調機器、音響機器、照明機器等を例示できるが、これに限られるものではない。
制御部140は、
図3に示すように、総合評価の結果が「喜」である場合には、例えば、コンシェルジュシステムの介入頻度を多くし、空調機器の風量を強とし、音響機器から共感が得られるような音を出力させ、照明機器の明るさを明るくする等の制御を行う。
また、制御部140は、総合評価の結果が「怒」である場合には、例えば、コンシェルジュシステムの介入頻度を控えめにし、空調機器の風量を弱とし、音響機器から気持ちを鎮めるような音を出力させ、照明機器の明るさを落ち着きのある明るさにする等の制御を行う。
また、制御部140は、総合評価の結果が「哀」である場合には、例えば、コンシェルジュシステムの介入頻度をやや控えめにし、空調機器の風量をやや控えめとし、音響機器から気持ちを励ますような音を出力させ、照明機器の明るさを抑え目の明るさにする等の制御を行う。
また、制御部140は、総合評価の結果が「楽」である場合には、例えば、コンシェルジュシステムの介入頻度を通常より多くし、空調機器の風量を強とし、音響機器からノリのよい音を出力させ、照明機器の明るさを音に合わせて変化させるように制御を行う。
【0023】
<車両1の処理>
図4を用いて、本実施形態に係る車両1の処理について説明する。
【0024】
図4に示すように、推定部110は、携帯端末400あるいはウェラブル端末500から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS110)。
推定部110は、制御部140に出力される。
【0025】
推定部110は、外部装置600から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS120)。
推定部110は、制御部140に出力される。
【0026】
制御部140は、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとったか否かを判定する(ステップS130)。そして、制御部140は、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとっていないと判定する場合(ステップS130の「NO」)には、処理をステップS110に戻す。
【0027】
一方で、制御部140は、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとったと判定する場合(ステップS130の「YES」)には、推定部110は、撮像装置200あるいはマイク300から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS140)。
推定部110は、制御部140に出力される。
【0028】
制御部140は、推定部110から入力した複数の推定結果を総合的に評価する(ステップS140)。
【0029】
そして、制御部140は、総合評価の結果に基づいて、車載機器の制御を実行して、処理を終了する(ステップS150)。
【0030】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1における推定部110は、乗員が乗り込む前の感情を推定する。
具体的には、推定部110は、例えば、乗員が乗り込んだ直後に得られる撮像装置200からの乗員の画像情報や乗員が乗り込んだ直後に得られるマイク300からの乗員の音声情報、車室内の音情報等から乗員が乗り込む前の感情を推定する。
つまり、人の感情は、挙動や表情、声色に現れるため、これらの情報を取得して推定することにより、乗員が乗り込む前の感情を的確に推定することができる。
そのため、乗員が乗り込む前の感情を推定することによって、例えば、乗員がイライラした状態であったとしても、更に乗員の感情を負の感情に遷移させてしまう可能性を効果的に防止することができる。
また、制御部140は、総合評価した乗員が乗り込む前の感情に応じて、車載機器の作動態様を制御する。
具体的には、制御部140は、総合評価した乗員が乗り込む前の感情に応じて、コンシェルジュシステム、空調機器、音響機器、照明機器等の車載機器700の作動態様を適切に制御する。
そのため、推定部110の推定結果に基づいて車載機器700の作動態様を適切に制御することによって、仮に、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていた場合であっても、その負の感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る車両1における推定部110は、通信部120を介して、携帯端末400あるいはウェラブル端末500から得られる情報に基づいて、乗員が乗り込む前の感情を推定する。
具体的には、推定部110は、携帯端末400からの乗員によるSNSの投稿情報、投稿画像情報、ウェラブル端末500からの乗員の生体情報等から乗員が乗り込む前の感情を推定する。
つまり、人の感情は、SNSの書き込みや画像、生体情報等に顕著に現れるため、これらの情報を取得して推定することにより、乗員が乗り込む前の感情を的確に推定することができる。
そのため、推定部110の推定結果に基づいて車載機器700の作動態様を適切に制御することによって、仮に、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていた場合であっても、乗員の負の感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る車両1における推定部110は、車外情報収集部130により収集された車外情報に基づいて、乗員が乗り込む前の感情を推定する。
具体的には、推定部110は、外部装置600からの渋滞情報、事故情報、工事情報、気象情報等から乗員が乗り込む前の感情を推定する。
つまり、人の感情の波は、渋滞情報、事故情報、工事情報等のネガティブな情報や気象情報等により影響を受ける。
そのため、推定部110の推定結果に基づいて車載機器700の作動態様を適切に制御することによって、仮に、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていた場合であっても、乗員の負の感情を緩和させて、より快適なドライブ環境を提供することができる。
【0033】
<変形例1>
本実施形態において、推定部110は、乗員が乗り込む前の感情を推定することを例示した。しかしながら、例えば、ここ1週間程度の感情の起伏を推定し、乗員が乗り込む前の感情が起伏の上昇局面にあるのか、停滞局面にあるのか、下降局面にあるのかを推定するようにしてもよい。
このような推定を行うことにより、制御部140は、きめの細かい適切な制御を実行することができ、より快適なドライブ環境を提供することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
以下、
図5から
図7を用いて、本実施形態に係る車両1Aについて説明する。
【0035】
<車両1Aの構成>
図5に示すように、本実施形態に係る車両1Aは、推定部110と、通信部120と、車外情報収集部130と、制御部140Aと、学習処理部150と、記憶部160と、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0036】
制御部140Aは、図示しないROM(Read Only Memory)等に格納された制御プログラムにしたがって、車両1A全体の動作を制御する。
本実施形態において、制御部140Aは、推定部110により推定された推定結果を総合的に評価するとともに、後述する学習処理部150は、制御部140Aのすべての総合評価、総合評価の指標について学習し、制御部140Aは、学習処理部150における学習結果に基づいて、車載機器700の作動態様を制御する。
【0037】
学習処理部150は、制御部140Aの総合評価と制御部140Aの制御内容と制御部140Aによる制御を行ったときの乗員の感情の変化と、のすべてを学習し、その学習結果を制御部140Aに出力する。
例えば、学習処理部150は、後述する記憶部160内に格納されたデータベースに基づいて、特定の乗員が、どのような感情の時に、どのような制御がなされた場合に感情の変化があったのか、特定の乗員が、どのような感情の時に、無意識にどのような環境に身を置くことを好むのかを学習する。
具体的には、記憶部160に格納されるデータベースが
図6に示すようであり、乗員イに対する制御部140Aにおける推定結果の総合評価が「哀」である時に、学習処理部150は、乗員イの感情が「哀」であった場合の情報をデータベース上で検索し、Aの曲を流すよりも、Cの曲を流す方が好ましいと学習して、制御部140Aにその学習結果を出力する。
【0038】
記憶部160は、特定の乗員に対して、なされた制御部140の総合評価と、その総合評価に対してなされた制御部140Aの制御内容、制御部140Aの制御がなされた後の推定部110により推定された感情、制御部140Aによる制御の前後における感情の変化度合いとが紐付けられたデータベースを格納する。
【0039】
<車両1Aの処理>
図7を用いて、本実施形態に係る車両1Aの処理について説明する。
【0040】
図7に示すように、推定部110は、携帯端末400あるいはウェラブル端末500から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS110)。
推定部110は、制御部140Aに出力される。
【0041】
推定部110は、外部装置600から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS120)。
推定部110は、制御部140Aに出力される。
【0042】
制御部140Aは、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとったか否かを判定する(ステップS130)。そして、制御部140Aは、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとっていないと判定する場合(ステップS130の「NO」)には、処理をステップS110に戻す。
【0043】
一方で、制御部140Aは、例えば、画像情報等から乗員が車両に乗り込む動作をとったと判定する場合(ステップS130の「YES」)には、推定部110は、撮像装置200あるいはマイク300から得られた情報から車両に乗り込む前の乗員の感情を推定する(ステップS140)。
推定部110は、制御部140Aに出力される。
【0044】
制御部140Aは、推定部110から入力した複数の推定結果を総合的に評価する一方で、学習処理部150の学習結果を取得する(ステップS210)。
【0045】
そして、制御部140Aは、学習処理部150の学習結果に基づいて、車載機器700の制御を実行して、処理を終了する(ステップS220)。
【0046】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1Aにおける制御部140Aは、推定部110により推定された推定結果を総合的に判定するとともに、学習処理部150は、制御部140Aのすべての総合評価について学習し、制御部140Aは、学習処理部150における学習結果に基づいて、車載機器700の作動態様を制御する。
具体的には、学習処理部150は、制御部140Aの総合評価と制御部140Aの制御内容と制御部140Aによる制御を行ったときの乗員の感情の変化とのすべてが紐ついた記憶部160に格納されたデータベースに基づいて学習を行い、制御部140Aは、学習処理部150の学習結果に基づいて、コンシェルジュシステム、空調機器、音響機器、照明機器等の車載機器の作動態様を適切に制御する。
つまり、制御部140Aは、過去のデータ群についての学習処理部150の学習結果に基づいて、コンシェルジュシステム、空調機器、音響機器、照明機器等の車載機器の作動態様を適切に制御する。
そのため、仮に、運転開始行動前の乗員が負の感情を抱いていた場合であっても、乗員の負の感情を適切に緩和させて、より快適なドライブ環境を提供することができる。
【0047】
<変形例2>
本実施形態において、学習処理部150が、特定の乗員に対して、制御部140Aの総合評価結果と制御部140Aの制御内容と制御部140Aによる制御を行ったときの乗員の感情の変化とのすべてを学習し、制御部140Aに学習結果を出力することを例示した。
しかしながら、例えば、SNSの書き込み情報等から、同様の感受性を有する他の乗員、例えば、姉妹の関係にあたる他の乗員がいる場合には、同様の学習結果を適用してもよいし、データベースを共通化して、学習処理部150が、学習するようにしてもよい。
このような学習形態を採用することにより、学習処理部150の処理負荷の軽減あるいは学習対象のデータが増えることによる学習精度の向上が期待できる。
【0048】
なお、推定部110、制御部140、140A、学習処理部150等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを推定部110、制御部140、140A、学習処理部150等に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1、1Aを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0049】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0051】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1;車両
110;推定部
120;通信部
130;車外情報収集部
140;制御部
140A;制御部
150;学習処理部
160;記憶部
200;撮像装置
300;マイク
400;携帯端末
500;ウェラブル端末
600;外部装置
700;車載機器