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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048312
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】発電機システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20240401BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F01K9/00 A
F28B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022165858
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】508156041
【氏名又は名称】株式会社MCラボ
(72)【発明者】
【氏名】幡手 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】幡手 淳治
(72)【発明者】
【氏名】幡手 共重
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】武井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】塩盛 弘一郎
(57)【要約】
【課題】火力発電所や原子力発電所は復水器の冷却に多量の水を必要とするため、都市から遠く離れた海や大きな湖近くに建設されているが、復水器から電力を生成し、復水器の冷却に水を使用せず、復水器を大幅に小規模化し、都市部での発電所の建設を可能にする。結果として、本システム発電で、高効率な電力生産性を実現し、システムを動かすために費やしたエネルギーと同等の使用可能エネルギーの供給を可能にする。
【解決手段】 復水器冷却手段として冷却管部分と加熱部分からなる密閉閉鎖回路に冷媒を循環させ、復水器から電力生成を実現するヒートポンプ方式を採用する。低圧部の冷却管部分は電力生成および冷却用とし、高圧部の加熱部分は給熱(湯)用として都市住民に、または現場熱源用として化学工場に供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本システムは、復水器の冷却と復水器からの熱量を利用した発電にかかわる冷却管部分および循環に伴って大量に発生する熱量の(一部はボイラー加熱に必要な熱量とするが、)大部分は市水や熱源を多く利用する工場へ熱量供給できる熱供給管システムを敷設した加熱部分からなるヒートポンプ回路、すなわち耐圧密閉回路に冷媒が、ほぼ気液(共存)平衡関係が維持された状態の作動媒体として流動し、発電機を管内に備えた冷却管部分、次に圧縮機に直結した加熱管(外部への熱供給管)を備えた液貯蔵容器よりなる加熱部分さらに流量調節ポンプへと循環するヒートポンプ回路を形成し、冷却管部分による発電と復水器の冷却および加熱部分による外部環境への熱供給を実現する発電機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却管部分は、復水器内にあり、その流入口は液体状態で、復水器からの熱量の移動(流入)に伴って液相は蒸発し、徐々に気液系混相流となることで復水器内水蒸気の凝縮を行うが、復水器内からの冷却管出口付近では気相のみの流体として流れるが、さらに冷却管内に風力発電機またはタービンを備え作動媒体の気液系混相流体の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を生成することを特徴とする発電機システム。
【請求項3】
請求項1に記載の加熱部分は、その流入容器口は圧縮機による比較的高圧高温下の気相であるが、外部環境への熱量供給のため熱交換器が敷設されており、外部環境に熱量を供給することで液化していき、最終段階では液相のみの流体として流れる、外部環境への熱量は給湯あるいは工場現場の熱源として使用されることを特徴とする発電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱エネルギーを電気エネルギーとして取り出す代表的な発電方式として、高温高圧の水蒸気を作り、その蒸気でタービンを回し発電する火力発電や原子力発電などがあるが、熱エネルギーの電気エネルギーへの変換効率はほぼ上限に至っており、通常の火力発電や原子力発電では熱エネルギーの30パーセントから40パーセント程度の効率である。
【0003】
これらの電気システムの重要な部分である復水器はその冷却のために多量の冷却水を必要とし、そのためにこれらの施設は海岸や大きな湖の近辺に位置している。
【0004】
したがって、地震に起因する津波による被害に備えなければならないという事で発電所建設への大きな障害になっている。
【0005】
また、一般に発電所は都市部からかなり遠距離にあり、発電所からの熱エネルギーの直接利用に問題を残している。
【0006】
本発明は、復水路の冷却法にヒートポンプ方式を取り入れることで、外部からの冷却水の導入を無くし、さらに装置の大幅な小型化を可能にしたもので、発電機システムを都市部や市街地の地下に設置可能にする。また、ヒートポンプ方式冷却管内に風力発電機を設置することで、復水器からの熱を電気エネルギーとして取り出すことで、発電能力の向上を可能にする。
【0007】
結果として、復水器の冷却に水を使用せず、復水器を大幅に小規模化し、都市部での発電所の建設を可能にする。また、本システム発電で、高効率な電力生産性を実現し、システムを動かすために費やしたエネルギーと同等の使用可能エネルギーの供給を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-82270号公報
【特許文献2】特開2020-122628号公報
【特許文献3】特開平4-090496号公報
【特許文献4】特願4-180627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発電機システムの向上のためには復水器機能の改善は極めて重要である。復水器の冷却は、従来から海や河川などより得た常温の水(冷却水)を使用するものであった。したがって、特許文献1および特許文献2にみられるように冷却機能向上に向けた復水器装置改善や運転方法改善にむけられている。
【0010】
復水器における水蒸気の凝縮に必要な熱量は水蒸気1kg当たり2,330kJであるが、冷却水は20℃で流入し30℃で流出するとしても、1kg当たり42kJしか冷却能力を持っていない。これが復水器冷却のためには大量の冷却水が必要な理由である。
【0011】
本発明は復水器の冷却法として、従来からの垂れ流し使用の例えば海水による冷却を止め、循環使用が可能ないわゆる冷媒を使用するヒートポンプ方式を採用するものである。すなわち、ヒートポンプ方式における低温低圧流動媒体部分を冷却管に流通させ、復水器の冷却部分として使用する。
【0012】
確かに特許文献3では、復水器を冷却する方法としてヒートポンプ方式を採用し、熱効率向上を可能にしたとしているが、ヒートポンプ方式で大量に発生する熱量は媒体の温度が低いため(せいぜい中温度の範囲)ボイラー加熱にほんの一部しか使用できないため、熱効率の向上は疑問である。
【0013】
本発明では、特許文献4で示した、外部環境からの熱量による発電機システムの利用、すなわち、外部環境を復水器とし、ここからの熱量を利用して気液系混相流を蒸発・流動させ、その運動エネルギーで風力発電機を作動させ、二次的に電気エネルギーを創出する発電機システムを採用し、熱効率を向上させ、さらに過剰熱エネルギーの利用を発電所が都市部に建設可能であることを踏まえて、エネルギーの給湯等への有効利用を提案するものである。また、100℃程の中温度の熱源を大量に使用する化学工場では利用価値は高い。
【0014】
ヒートポンプ回路では、作動媒体が低圧部分、圧縮機、高圧部分さらに減圧弁へと循環流動するものであるが、一般に低圧部分は低温で高圧部分は高温になる。
【0015】
本発明では、低圧部分は復水器の冷却および風力発電機またはタービンを設置することで二次的発電に利用し、高圧部分は高温度を外部環境への熱供給に利用する。
【0016】
この回路を循環する循環媒体流体を、例えばアンモニアとすることで達成される。アンモニアの場合、低圧部分はほぼ4.2気圧で制御され、ほぼ0℃に保たれている。この低圧部分は混相流の流れに風力発電機を備え二次的発電機能を有するが、冷却管として作用するので、以後この部分を冷却管部分と称する。高圧部分は10気圧である。この部分は管と容器で構成されるが、以後加熱部分と称する。
【0017】
冷媒作動流体が流れる冷却管部分は復水器内にあり、復水器内の熱を吸収しながら通過するが、流入口では液体状態であり、出口では4.2気圧の気体状態になっている。冷却管の後半部の気液系混相流では流体の運動エネルギーを風力発電機で電力に変換しているが、その電力エネルギーの源は復水器からの熱量である。冷却管部分の復水器出口では最早液滴群は存在せず、復水器内で温められ50℃位である。
【0018】
閉回路は冷却管部分を経て圧縮機さらに加熱部分に繋がるが、冷媒作動流体であるアンモニア流体は加熱部分の入口では10気圧118℃の気体であり、市水等の外部環境で冷却され凝縮し液体となり液貯蔵容器を経て、次の冷却管部分に液量調節ポンプで接続されている。
【0019】
アンモニアの蒸発熱は1kg当たり1,240kJであり、冷却能力は冷却水の少なくとも26倍あり、アンモニアを使用した場合には復水器をめぐる冷却に必要な冷却媒体量が圧倒的に少なくて済むことが分かる。すなわち復水器の大幅な縮小が可能である。また、外部から冷却水の導入も不要であるから都市部への建設が可能になる。
【0020】
加熱部分は圧倒的な量の熱量(循環アンモニア1kg当たり1,320kJの熱量)を提供できる。
【0021】
本発明は、復水器から二次的電力を生成できるので発電効率を向上でき、海等からの冷却水導入も不要の上、復水器設備を従来に比べて大幅に縮小できるので市街地への発電所建設を可能にする。また、圧倒的な供給熱量は市街地への充分な給湯施設として機能できる。また、化学工場では100℃程の中温度水の利用価値が高く、化学工場内の発電所として極めて有用になる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明は発電機システムに関するもので、復水器の冷却および二次的発電にかかわる冷却管部分と市水等やボイラー等の加熱にかかわる加熱部分からなるヒートポンプ回路といえる耐圧密閉回路を採用する。この密閉回路内でほぼ気液平衡状態にある混相流よりなる作動流体を循環させている。冷却管部分は圧縮機を経て加熱部分に直結されており、作動流体は冷却管部分から加熱部分に流れ、加熱部分から冷却管部分へは流量調節ポンプで直結されており、作動流体は冷却管部分と加熱部分を巡回する。
【0023】
低圧低温(0℃)の冷却管部分は復水器からの二次発電および冷却のために復水器内に設置されており、冷却管部分の作動流体は流入口では液体であるが、管外側(復水器内部)からの熱移動に伴って気化(沸騰あるいは蒸発)して最終的には気体流として復水器を離れ圧縮機に至る。
【0024】
冷却管部分では、二次電力を生成するため、冷却管の後半部分の蒸発率85%程度の冷却管内に複数個の風力発電機が設置されている。この電力(の一部)は次工程の圧縮機稼働用電源とする。
【0025】
圧縮機を経た作動流体は比較的高圧(10気圧)、比較的高温(118℃)になり加熱部分に流入する。加熱部分内の作動流体の一部はボイラーの加熱に用いられるが、大部分は給湯用等のため市水や外部環境への加熱に用いられる。
【0026】
すなわち、本発明ではヒートポンプ回路方式の装置を提案し、冷却管部分は▲1▼復水器の冷却と▲2▼復水器の熱量からの二次的発電を実施し、また加熱部は(都市部への発電所建設の利点を生かして)都市住居者用給湯施設または工場現場の熱源施設として機能させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、発電所の市街地への設置と高い熱効率を可能にする。発電所としての電力供給以外に本発電所由来の過剰エネルギーを都市部または化学工場等の現場に供給でき、結果として熱効率の極めて優れた発電所の建設が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】作動流体としてアンモニアを採用した場合の、蒸気タービンから復水器の流れの中で、復水器の水蒸気を凝縮させる冷却管部分を示したもので、冷却管部分後半部には複数個の風力発電機を備えている。
図2】作動流体としてアンモニアを採用した場合の、冷却管から圧縮機、加熱部分、流量調節ポンプを経て冷却管へ循環する流れについて、主として加熱部分の構成を示した説明図である。
図3】冷却管内を流れる液滴群が15%程度のほぼ定温定圧(0℃、4.2気圧)部におけるアンモニア気液系混相流の運動エネルギーから電気エネルギーを取り出すための仕組を示したもので、復水器内の冷却管部分の冷却管後半部の冷却管中に設置された風力発電機配置図である。電気エネルギーが復水器からの熱量から変換生成される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による装置は、復水器の冷却装置、復水器からの熱量を利用した風力発電機による電力生成装置および都市部または化学工場への熱量供給装置として働くもので、耐圧密閉回路であり、回路内にはいわゆるヒートポンプ効果を持つ作動流体を循環させている。本装置は図1で示した冷却管部分および図2で示した加熱部分よりなる。図1中の風力発電機の配置は図3で示した通りである。
【0030】
図1に示すように、加熱管(12)から液流量調節ポンプ(11)を通じて送られた比較的低圧の作動流体は、冷却管部分(6)、(7)と流れており、復水器(2)からの熱を吸収する冷却効果および冷却管内に設置した複数の風力発電機(18)による発電能力を持っている。発電機の配置は、図3に示したとおりである。図2に示すように比較的高圧の10気圧の作動流体が加熱部分(9)、(16)、(10)と流れて、外部環境への加熱効果を発揮している。
【0031】
低圧の冷却管部分から高圧の加熱部分へは圧縮機(3)で直結されており、高圧の加熱部分から低圧の冷却管部分へは流量調節ポンプ(11)で直結され、作動流体は回路内を循環するシステムになっている。
【0032】
密閉回路内で循環させる作動流体は環境条件によって気体、液体または気液系混相流になり得るが、構成する物質については特に限定されるものではなく、一般的に冷媒として使用される物質、具体的には化学的安定性に富み、常温常圧下で気体であり、液化しやすい性質を有する物質を好適に用いることができる。このような作動流体の例として、プロパン、ブタン、フロン、アンモニア等を挙げることができる。
【0033】
図1に示すように、冷却管(6)から(7)に至る部分は、蒸気タービン(1)に直結した復水器(2)に挿入されており、復水器(2)からの熱量を取り込む熱交換器の役割を果たしている。また、冷却管内に取り付けた多数の風力発電機(18)は復水器(2)からの熱量を電気に変換する発電の役割を果たしている。この場合、冷却管部分の入口付近(6)はほぼ液状であり、出口付近(7)では復水器からの熱移動による蒸発のため完全に気体になっている。
【0034】
図2に示すように、冷却管出口(7)の気体流体は圧縮機(3)により圧縮され高圧比較的高温気体となって加熱部分(9)、(16)、(10)さらに(12)に至る。圧縮機(3)に直結した加熱部分(9)内では比較的高温になった気体が市水等の外部環境によって冷却され最終的には高圧液体となる。加熱部分は図2に示すような熱交換器の役割を持つ液体貯蔵容器(16)を含んでいる。
【0035】
すなわち、加熱部分の比較的高温の気体は、図2に示した外部環境への加熱管である(13)、(14)、(15)に示したように一部をボイラーの加熱に使用し、大部分は市水や化学工場等設備の加熱用となり、給湯や化学工場等の熱源としての役割を担っている。最終的には高圧の液体流になって流量調節ポンプ(11)で流量を調整され、冷却管部分(6)、(7)へと循環する。
【0036】
要するに、本装置システムは、圧縮機と流量調節ポンプによって循環するヒートポンプ媒体(気液系混相流体)の低温度域を復水器の冷却と復水器熱量を利用した二次発電に、高温度域を給湯施設等用の加熱に使用する仕組みを完成したということである。
【0037】
一例として、以下に、復水器にて水蒸気を毎秒6kg凝縮させる発電機システム(8400kW規模の火力発電所)に、ヒートポンプ方式の作動媒体としてアンモニアを採用した場合の本発明の実施例について説明する。この場合、冷却管部分は冷却管中途から圧力は4.2気圧で、ほとんど0℃の環境にあり、加熱部分は10気圧である。いうまでもなく、本発明では作動媒体のみならず、冷却管部分や加熱部分の操作条件は本例に限定されるわけではなく、作業環境によって変更できる。
【0038】
水蒸気を毎秒6kg凝縮させるには毎秒14,000kJの熱量を吸収しなければならない。復水器からの熱量の一部は、図1および図3に示す冷却管内の複数個の風力発電機(18)により電力に変換し、圧縮機稼働にかかわる電力2,000kWが発電される。したがって、冷却管によるアンモニア気化のための復水器から吸収すべき熱量は毎秒12,000kJである。
【0039】
アンモニアの蒸発熱を考慮すれば、冷却管部分で毎秒10kgのアンモニアの蒸発が必要で、本回路では毎秒10kgのアンモニアが流れている。
【0040】
冷却管部分では、毎秒14,000kJの熱量が移動しており、復水器から凝縮水が毎秒6kg流れ出ていくことになる。冷却管部分の出口付近ではアンモニアはすべて気体になっており、冷却管部分の管出口で4.2気圧、50℃である。
【0041】
冷却管部分は温度がほぼ0℃のアンモニア気液系混相流が流通する直径30cm、管長350mのステンレス蛇管であり、冷却管後半部分に複数の風力発電機を備え、管外壁に沿って毎秒6kgの水蒸気の凝縮を可能にする熱交換器である。
【0042】
冷却管部分から加熱部分に至る圧縮工程における圧縮機稼働にかかわる仕事は2,000kWである。
【0043】
一方、冷却管内では復水器からの熱移動によりアンモニアが気化して流体の流れは気液系混相流となるが、85%程気化した時点(15%が液滴群となった気液系混相流)では密度104kg/m、流体速度40m/sであり、アンモニア流体は運動エネルギーとして228kJ/sを持つことが分かる。図1図3に発電機を示したが、20%の発電効率を持つ風力発電機を冷却菅内に43個設置すれば2,000kWの発電が可能となり、この電力を上記の圧縮機の稼働電力として利用できる。
【0044】
加熱部分の毎秒12,000kJに及ぶ外部放出可能熱量のうち、一部はボイラーの加熱(温度118℃まで)に使用される。この熱量は毎秒2,400kJである。
【0045】
さらなる余剰熱量である毎秒9,600kJの熱量は都市住居者用給湯や化学工場等設備の熱源とする。この際、加熱部分の出口端末のアンモニア液体の温度は25℃となっており、流量調節ポンプで流量を調整され、毎秒10kgの流速で冷却管部分へと循環する。
【0046】
総括すると、通常の稼働状態では8,400kWの発電所に本装置システムを設置した場合、以下のような特徴を持つ発電所になることが分かる。
発電能力は変わらず、熱量の一部をボイラーの加熱に使用できるので、毎秒2,400kJ分の燃料を節約でき、中温水製造用加熱源として毎秒9,600kJの熱量を提供できる。すなわち、本発明を適用すれば、発電所自体の電力熱効率(=電気エネルギー/投入熱エネルギー)を投入熱エネルギー減少のために上昇させることができ、外環境に向けて大量の利用可能熱供給ができることが分かった。結果としてほぼ100%の熱効率が達成できる。
【0047】
従来型8,400kWの発電所では上述の結果を得たが、従来型2万kWの発電所に本システムを適用した場合の予測は以下の通りである。
【0048】
復水器に毎秒14.3kgの水蒸気凝縮が生じるので、冷却管部分を前記8,400kW発電所と同様の規模(ただし、冷却管の長さは2倍半程度になる予測される)で稼働させた場合には、冷却管内でアンモニア流体の85%気化率以降の流体の気液系混相流の流れからの電力源になる熱量は前記8,400kW発電所の倍の熱量を優に10,000kJ/s上回っており、風力発電機経由の電力として従来型発電所の能力にさらに5,000kW加算できると予測される。
【0049】
従来型2万kWの発電所に本装置システムを設置した場合、発電能力は2万5千kW発電所として稼働できるようなり、熱量の一部をボイラーの加熱に使用できるので、毎秒5,800kJ分の燃料を節約でき、中温水製造用加熱源として毎秒6,000kJの熱量を提供できる。結果として電力熱効率を大幅に向上させることが予測できる。
図1
図2
図3