(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048313
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】口腔ケア剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240401BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240401BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20240401BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20240401BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240401BHJP
A61K 8/20 20060101ALI20240401BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20240401BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A61K8/19
A23L33/125
A23L33/16
A23G3/34 101
A61K8/34
A61K8/20
A61K8/24
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022165859
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】504430204
【氏名又は名称】有限会社コスモフレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】原田 祝行
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4C083
【Fターム(参考)】
4B014GB08
4B014GG08
4B014GG18
4B014GK09
4B014GK12
4B014GL02
4B014GL10
4B014GQ05
4B018LB01
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE03
4B018MD01
4B018MD02
4B018MD32
4B018ME09
4B018MF02
4B018MF08
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB331
4C083AC131
4C083AC132
4C083BB21
4C083CC41
4C083DD15
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】口は健康の入口と言われる。口は歯と口腔で成り立ち、それらを健全に保つことは全身の健康維持に多大に寄与する。のど飴や歯磨き剤はそれら目的に有用な用品であるが、のど飴、歯磨き剤両方の機能を満足する用品は見当らない。虫歯(う歯)の要因となるショ糖を含まないのど飴に、洗浄効果を付与して歯磨き剤の機能を併せ持たせた口腔ケア剤を開発、提供する。
【解決手段】構成成分は、食品および使用基準が設定されていない(安全性が高いと判定されている)食品添加物に限定する。のど飴として、う歯と無縁の喉を潤す甘味成分であるキシリトール等糖アルコールを第一成分とし、それに歯磨き剤として必須の洗浄機能を持つ重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えた混合粉粒物をベースにした。混合体はのど飴、歯磨き剤双方に適する配合割合とし、それに塩化ナトリウム等各種機能成分を必要に応じ適量を添加した。使用勝手の改善に錠剤化も有効である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量比で、炭酸水素ナトリウム10~45%、糖アルコール類55~90%の混合物を含む口腔ケア用粉粒体。
【請求項2】
重量比で、炭酸水素ナトリウム10~45%、糖アルコール類55~90%の混合物である口腔ケア用粉粒体。
【請求項3】
請求項1の混合粉粒体に対し、それぞれ重量比10%以下の塩化ナトリウム、ポリリン酸塩類、各種香料を添加した口腔ケア用粉粒体。
【請求項4】
請求項2の混合粉粒体に対し、それぞれ重量比10%以下の塩化ナトリウム、ポリリン酸塩類、各種香料を添加した口腔ケア用粉粒体。
【請求項5】
請求項1,2,3または4の粉粒体をそれぞれ錠剤加工した口腔ケア用固形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口に含むことにより、そのままのど飴として利用できると同時に、歯ブラシ併用により歯磨き剤としても利用できる水溶性粉粒混合物で、口腔内の健康状態を維持・増進するのに効果的な口腔ケア剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の口腔ケアの主流は歯磨きで多くの人が日常実施している。また、のどに違和感がある場合、のど飴やトローチを利用する人も多い。口に含んだだけで多量の唾液を分泌させ、歯磨き作業をせずにう歯を予防する組成物(特許文献1)や、口に含みかみ砕くことで液体口腔ケア剤になる錠剤(特許文献2)など公表されているが、どれものど飴にも歯磨き剤にも利用できる本発明とは成分組成が異なるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5924604号 公報
【特許文献2】特開2020-183367号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、のど飴にも歯磨き剤にも利用できる口腔ケア組成物を調製することにある。このために組成物に要求される特性は、
(1)安全性 のど飴として利用される常識的量を摂取しても問題がないこと
(2)水溶性 使用後いつまでも口腔内がざらつかないこと
(3)清掃力 口腔内の汚れを除去する効果があること
(4)風 味 口に含んだとき大きな違和感がないこと
で、これらの条件が満足されるように各種成分を適切な割合に配合する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、のど飴にも歯磨き剤にも利用できる口腔ケア剤で、そのまま口に含むことで喉をスッキリ潤すと同時に、必要に応じ歯ブラシ併用により歯磨き剤にも適用できる機能を有することを特徴とする口腔ケア組成物である。
【0006】
のど飴に必要な特性として、飲み込んでも安全であることに加え、口腔内を潤すには、ざらつきを最終的に無くすことが肝要で、成分は水溶性であることが望ましい。この目的には従来各種糖類が利用されているが、ショ糖使用に帰因するう歯発生を避けるため、最近はキシリトール等の糖アルコール類の利用が増加している。
【0007】
また、歯磨き剤に必要な特性として、まず洗浄力が挙げられる。一般的には界面活性力がある脂肪酸ナトリウムなどの石けん類や各種合成洗剤が利用されている。しかしこれらはのど飴としての必須条件である飲み込んでも問題がないことを満足するとはいえない。洗浄力があって飲み込んでも問題がないものとして、以前から膨らし粉や胃散などに利用されている重曹(炭酸水素ナトリウム)がある。
【0008】
さらに炭酸水素ナトリウムは、口中使用で生じる炭酸水素イオンが歯の再石灰化作用に有効とされ、歯磨き剤の素材として優れたものといえる。また、炭酸水素ナトリウムは口腔中のいわゆる「ネバネバ」を軽減、解消して「サラサラ」にする作用があり、一定の口臭抑制効果もあるのでのど飴としても望ましい特性があるといえる。
【0009】
こうして、キシリトール等の糖アルコ―ルと炭酸水素ナトリウムの混合物がのど飴にも歯磨き剤にも適応すると判断できる。ただ、のど飴、歯磨き剤は目的が異なり、それぞれに適する味覚等の口当りも異なる。一般的に、のど飴にはマイルドな甘み、歯磨き剤にはスッキリとした風味が受け入れられる。そこでキシリトール等糖アルコールと炭酸水素ナトリウムの配合比率は、のど飴には糖アルコールを高めに、歯磨き剤には炭酸水素ナトリウムを相対的に高めにすることが望ましい。
【0010】
本発明の基本成分はキシリトール等の糖アルコール類と炭酸水素ナトリウムであるが、製品機能を充実するため、他の物質を加えることも有用である。ただ採用条件として、食品もしくは使用基準の設定されていない安全性が高いと判断されている食品添加物に限定されることが望ましい。
例えば、塩化ナトリウムは呈味調製に役立ち、歯茎を引き締める効果もあるとされている。また、ポリリン酸塩類は歯の美白に有効である。各種香料も口に含んだときの爽やかさ付与に有用である。
【0011】
上記口腔ケア組成物は錠剤化することにより、以下の便宜が計られる。
・錠剤は大きさが揃い、分量も一定し、使用量が明確になる
・取り扱いやすく、衛生的に利用しやすい
・携帯しやすく、利用できる場所が広がる
【発明の効果】
【0012】
本発明の口腔ケア剤は、口に含むことによりそのままのど飴として利用でき、さらに歯ブラシ併用により歯磨き剤としても利用できるものである。のど飴利用は簡便な口腔ケアに、歯磨き剤利用はオーソドックスな口腔ケアに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
構成物である炭酸水素ナトリウム、糖アルコール等の配合割合を、のど飴にも歯磨き剤にも一般に受け入れられる味覚となる範囲について検討した。
検討は、老若男女計10名のモニターによる官能試験によった。
(注)両成分の配合割合間隔は官能試験の精度を考慮して5%間隔とした。
【実施例0014】
炭酸水素ナトリウムと糖アルコール代表物としてのキシリトールの配合について、のど飴として受け入れられる味覚となる割合を検討した。
【0015】
【0016】
表1から、キシリトール配合割合は、のど飴には65~90重量パーセントが適切と判断される。
のど飴には、キシリトール配合割合は、65%以下ではのど飴として受け入れられる甘味が乏しく、90%以上では甘味のみを強く感じるという官能試験結果が得られた。
甘味の嗜好性は、女性に高い傾向(キシリトール配合割合70~90%)が、男性に低い傾向(同65~85%)があった。
【0017】
次に、炭酸水素ナトリウムと糖アルコール代表物としてのキシリトールの配合について、歯磨き剤として受け入れられる味覚となる割合を検討した。
【0018】
【0019】
表2から、キシリトール配合割合は、歯磨き剤には55~75重量パーセントが適切と判断される。
歯磨き剤には、キシリトール配合割合は、55%以下では塩系味が強く、味覚が受け入れられ難く、75%以上では甘味を強く感じ、サッパリ感がなくなるという官能試験結果が得られた。
歯磨き剤の甘味嗜好性は、のど飴と同様に、女性に高い傾向(キシリトール配合割合65~75%)が、男性に低い傾向(同55~70%)があった。
炭酸水素ナトリウム32重量パーセント、キシリトール65重量パーセント、塩化ナトリウム3重量パーセントの粉末混合物は、のど飴にも、歯磨き剤にも適用できる特性があった。またこの混合物に天然ハッカ油を重量比0.2%添加したところ、爽やかさがプラスされ、モニター10人中9人がのど飴にも歯磨き剤にも適性が良いと判定した。
ポリリン酸ナトリウムは、単独で口に入れると溶解熱で口中が熱くなるが、キシリトールは逆に溶解時に吸熱で冷える。ポリリン酸ナトリウムはキシリトールとの併用の相性が良い。
ポリリン酸ナトリウムの添加は歯磨き剤には美白の意味があっても、のど飴にはこれといった意味がないので添加するかどうかは製造時の関係者判断によるものとなろう。