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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048316
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】漁網管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 3/00 20060101AFI20240401BHJP
   A01K 73/06 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G08G3/00 A
A01K73/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199641
(22)【出願日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0122665
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522486829
【氏名又は名称】ビーアイシーティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュ ハン
【テーマコード(参考)】
2B105
5H181
【Fターム(参考)】
2B105AD01
2B105AG03
2B105AG30
5H181AA25
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】海上に設置されている漁網の位置情報を基礎とし、漁網情報メッセージを送受信して遠隔から漁網を体系的に管理できるようにする。
【解決手段】本発明の漁網管理システムは、漁網にブイとして設置され、GPSベースの位置情報を獲得するGPS受信部、AIS(Auto Identification System)情報を受信して空きスロットを確認するAIS情報処理部、位置情報に基づいて作成された漁網情報メッセージを空きスロットに割り当てて送信し、位置情報の離脱程度に基づいてブイの漁網状態インジケータを制御する漁網管理部と、漁網情報メッセージを受信し電子海図に漁網の位置を表示し、漁網の位置が基準距離以上に外れた場合には、漁網の位置に移動するための移動経路を電子海図に提供する漁網管制部を含んで構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漁網にブイとして設置され、GPSベースの位置情報を獲得するGPS受信部と、
AIS(Auto Identification System)情報を受信し、空きスロットを確認するAIS情報処理部と、
前記位置情報に基づいて作成された漁網情報メッセージを前記空きスロットに割り当てて送信し、前記位置情報の離脱程度に基づいて前記ブイの漁網状態インジケータを制御する漁網管理部と、
船舶にAMRD(Autonomous Maritime Radio Device)専用の双方向トランシーバとして設置され、前記漁網情報メッセージを専用に受信し、電子海図に前記漁網の位置を表示し、前記漁網の位置が基準距離以上に外れた場合には、前記漁網の位置に移動するための移動経路を前記電子海図に提供する漁網管制部と、を含むことを特徴とする漁網管理システム。
【請求項2】
前記GPS受信部は、前記位置情報の獲得が特定の時間の間断された場合、前記漁網状態インジケータを動作させることを特徴とする請求項1に記載の漁網管理システム。
【請求項3】
前記漁網管理部は、
前記離脱程度に基づいて前記漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度を増加させることを特徴とする請求項1に記載の漁網管理システム。
【請求項4】
前記漁網管理部は、
前記漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度に基づいて前記漁網の位置に対する視認性を増加させることを特徴とする請求項1に記載の漁網管理システム。
【請求項5】
前記漁網管理部は、前記AIS情報に基づいて漁網管理船のアクセスを認識し、前記漁網管理船が特定の距離内に進入すると、前記漁網状態インジケータを制御することを特徴とする請求項1に記載の漁網管理システム。
【請求項6】
前記漁網管制部は、
前記漁網の位置と漁網管理船舶の位置とに基づいて少なくとも1つの候補移動経路を設定し、風の方向と速度及び海流の方向と速度を分析して、前記電子海図上に最適な移動経路を提供することを特徴とする請求項1に記載の漁網管理システム。
【請求項7】
前記漁網管制部は、MOB(Man Overboard)機器から送信された溺水者の遭難信号を受信し、前記電子海図に前記溺水者の位置を表示し、前記溺水者の位置に移動するための移動経路を前記電子海図に提供することを特徴とする請求項1に記載 漁網管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁網管理技術に関し、より詳細には、海上に設置されている漁網の位置情報に基づいて漁網情報メッセージを送受信して遠隔で漁網を体系的に管理することができる漁網管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
漁労作業に使われる魚具は漁網とブイが代表的と言える。漁網の種類は対象魚種によって様々な形態がある。漁労作業には直接現場で漁網を投網して直ちに操業をする場合と、漁網を投網して一定時間経過後に養網(操業)をする。後者の場合、漁網の毀損、紛失、盗難が多く起きており、財産的な被害と環境的な被害が深刻な問題となっている。
【0003】
このような問題を解決するために、近年、多様な技術的方法が開発されている。代表的には、漁網位置追跡システムを例に挙げることができる。これは、設置された位置情報を 周期的に送信する送信装置と、このような位置情報を受信してユーザに漁網の位置を確認できるように表示する受信装置などとから構成される。
【0004】
一方、国際機関であるITUが自律海上無線機器(Autonomous Maritime Radio Device; AMRD)に関連して、国際標準化作業をしながら、溺水者、漁網などの位置情報を自動的に発信する自律海上無線機器条項を新設した(海上業務用無線設備技術水準第26条)。
【0005】
しかし、新設されるAMRD Group-Bの溺水者、漁網などの位置発信装置(Man Overboard; MOB、Net-Buoy)は発信機のみ規定に含まれており、自律海上無線機器(AMRD)の160.9MHZ位置発信を既存船舶自動識別システム(AIS)の受信機で受信できないため、これに関連させて漁網の位置を確認し、体系的に管理できるシステムが必要になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2000483号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1159510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、海上に設置されている漁網の位置情報を基礎として漁網情報メッセージを送受信して遠隔から漁網を体系的に管理できる漁網管理システムを提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、電子海図に漁網の位置を表示して管理することができ設置位置離脱時に漁網の位置に移動するための最適な移動経路を電子海図に提供し、漁網の紛失や盗難状況に迅速に対処できる漁網管理システムを提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、漁網状態インジケータのLED(Light-Emitting Diode)動作制御を通じてバッテリ使用時間を管理できる漁網管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による漁網管理システムは、漁網にブイとして設置され、GPS基盤の位置情報を獲得するGPS受信部、AIS(Auto Identification System)情報を受信し空きスロットを確認するAIS情報処理部、前記位置情報に基づいて作成された漁網情報メッセージを前記空きスロットに割り当てて送信し、前記位置情報の離脱程度に基づいて前記ブイの漁網状態インジケータを制御する漁網管理部、及び船舶にAMRD(Autonomous Maritime Radio Device)専用双方向トランシーバとして設置されており、前記漁網情報メッセージを専用に受信し、電子海図に前記漁網の位置を表示し、前記魚網の位置が基準距離以上に外れた場合には、前記漁網の位置に移動するための移動経路を前記電子海図に提供する漁網の管制部を含んで構成されることを特徴とする。
【0011】
前記GPS受信部は、前記位置情報の獲得が特定の時間中断されると、漁網状態インジケータを動作させることを特徴とする。
【0012】
前記漁網管理部は、前記離脱程度に基づいて、前記漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度を増加させることを特徴とする。
【0013】
前記漁網管理部は、前記漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度に基づいて、前記漁網の位置に対する視認性を増加させることを特徴とする。
【0014】
前記漁網管理部は、前記AIS情報に基づいて漁網管理船舶のアクセスを認識し、前記漁網管理船舶が特定距離内に進入すれば、前記漁網状態インジケータを制御することを特徴とする。
【0015】
前記漁網管制部は、前記漁網の位置と漁網管理船舶の位置に基づいて少なくとも一つの候補移動経路を設定し、風の方向と速度及び海流の方向と速度を分析し、前記電子海図上に最適の移動経路を提供することを特徴とする。
【0016】
前記漁網管制部は、MOB(Man Overboard)機器から送信される溺水者の遭難信号を受信し、前記電子海図に前記溺水者の位置を表示し、前記溺水者の位置に移動するための移動経路を前記電子海図に提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
開示された技術は、本発明によれば、次の効果を有することができる。ただし、特定の実施例が以下の効果を全て含むべきであるか、又は次の効果のみを含むべきであるという意味ではないので、開示された技術の権利範囲はこれによって制限されると理解されるべきではない。
【0018】
本発明の一実施形態に係る漁網管理システムは、海上に設置されている漁網の位置情報に基づいて漁網情報メッセージを送受信して遠隔から漁網を体系的に管理することができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る漁網管理システムは、電子海図に漁網の位置を表示して管理することができ、設置位置離脱時に漁網の位置に移動するための最適な移動経路を電子海図に提供すて漁網の紛失や盗難状況に迅速に対処できる。
【0020】
本発明の一実施形態に係る漁網管理システムは、漁網状態インジケータのLED(Light-Emitting Diode)動作制御を通じてバッテリ使用時間を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の漁網管理システムを説明する図である。
図2図1の漁網管理システムの設置状態を説明する図である。
図3図1の漁網管理システムの漁網情報メッセージ送信過程を説明するフローチャートである。
図4図1の漁網管理システムで行われる漁網管理過程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に関する説明は、構造的ないし機能的説明のための実施形態なので、様々な変更が可能であり、種々の形態を有することができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る漁網管理システムを説明する図であり、図2は、図1に示す漁網管理システムの設置状態を説明する図である。
【0024】
図1及び図2を参照すると、漁網管理システム100は、GPS受信部110、AIS情報処理部130、漁網管理部150及び漁網管制部170を含むことができる。ここで、GPS受信部110、AIS情報処理部130及び漁網管理部150は、漁網210に設けられ、漁網210の位置情報に基づいて漁網情報メッセージを伝送することができる漁網位置発信装置として実現することができ、漁網管制部170は、船舶270に搭載される漁網情報メッセージ専用受信装置として実現することができる。
【0025】
GPS受信部110は、漁網210のブイ230として設けられ、GPS(Global Positioning System)基盤の位置情報を獲得することができる。ここで、GPS受信部110はブイ形態で実現されたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、漁網210に結合され得る形態であればよい。GPS受信部110は、GPS衛星250から漁網210の位置情報及び時間情報などを含むGPS信号を受信することができる。
【0026】
GPS受信部110は、位置情報の獲得が特定の時間の間に中断されると、漁網状態インジケータ235を動作させることができる。一実施形態において、GPS受信部110は、GPS衛星250から特定時間の間GPS信号が受信されず、漁網210の位置情報を獲得できない場合には、漁網状態インジケータ235を介して船270に漁網210の位置を視覚的に知らせることができる。ここで、漁網状態インジケータ235は、漁網210に設置されたブイ230上に設置され、漁網210の位置を示すLEDで実現することができる。漁網状態インジケータ235は、LED点滅または発光色で漁網210の現在位置を知らせることができる。
【0027】
AIS情報処理部130は、AIS(Auto Identification System)情報を受信し空きスロットを確認することができる。AIS情報処理部130は、新設されるAMRD Group-Bの漁網位置発信装置関連規定により、160.900MHz(チャネル2006番)AIS技術を使用する漁網情報メッセージを伝送できるように使用しているスロットを把握して空いているスロットを確認できる。
【0028】
すなわち、AIS技術を用いた漁網情報メッセージ伝送は、中心周波数は160.900MHz、占有周波数帯域幅の許容値は16kHz以内であり、周波数許容偏差は±500Hz以内であり、電波形式はF1DまたはG1Dを満たすようにする。AIS技術を使うことは、CS-TDMA(Carrier-Sense TDMA)及びSO-TDMA(Self-Organized TDMA)方式で同種の周辺機器と互いに通信をして空いているスロットすなわち、合計2,250個(75スロット×30)のデータ空間を割り当てて使用することをいう。
【0029】
AISは、船舶搭載機器に応じてSO-TDMAを用いて船舶間のデータ衝突を最小化し、情報をできるだけ早い周期で送信するように設計され、CS TDMAを使用してAISネットワークが空になった時間だけに情報を送信し、SO-TDMAを使用する既存のネットワークに負荷を与えない範囲内で自分の情報を送信できるように設計される。船舶用AISの受信装置の場合、一度に確認できる船舶の総数が2,250隻である。
【0030】
AIS情報処理部130は、周辺同種装備すなわち、他の漁網等に設けられた漁網位置発信装置が使用しているスロットを把握して空きスロットを確認することができる。
【0031】
漁網管理部150は、位置情報に基づいて作成された漁網情報メッセージを空きスロットに割り当てて送信することができる。漁網情報メッセージには、漁網210の位置情報と漁網確認緊急度が含み得、漁網位置確認時間をさらに含むことができる。ここで、漁網確認緊急度は、漁網210の位置情報に基づいて漁網210が最初の設置位置からの離脱する度合いによって決定される。
【0032】
漁網管理部150は、位置情報の離脱程度に基づいてブイ230の漁網状態インジケータ235を制御することができる。漁網管理部150は、漁網210の位置離脱の度合いに応じて、ブイ230上に設けられた漁網状態インジケータ235の作動開始の有無及び作動時にLED点滅周期又は発光色を制御することができる。漁網管理部150は、バッテリ管理のために漁網状態インジケータ235の動作を制御することができる。ここで、バッテリ(図示せず)は、GPS受信部110、AIS情報処理部130、及び漁網管理部150など、漁網位置発信機能を実行するために必要な各構成の動作に必要な電源を供給する電源供給源に該当することができる。漁網管理部150は、漁網状態インジケータ235を制御してバッテリの使用時間を管理することができる。
【0033】
一実施形態において、漁網管理部150は、離脱程度に基づいて漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度を増加させることができる。漁網管理部150は、漁網情報メッセージにある漁網確認緊急度に基づいて漁網210の位置に対する視認性を高めることができる。例えば、漁網管理部150は、漁網210の離脱程度が基準距離以上に外れた紛失や盗難の危険がある場合に漁網確認緊急度を増加させることができ、これにより漁網状態インジケータ235を制御してLEDの点滅周期を早くしたり、赤(R)色の発光を介して漁網210の位置を示したりするとともに、漁網確認の緊急性を通知することができる。
【0034】
漁網管理部150は、AIS情報に基づいて漁網管理船舶270の接近を認識し、漁網管理船舶270が特定の距離内に進入すると、漁網状態インジケータ235を制御することができる。すなわち、漁網管理部150は、漁網状態インジケータ235に対して視野確保となる距離に漁網管理船舶270が接近する時点で漁網状態インジケータ235が動作するように制御することができる。漁網管理部150は、漁網管理船舶270が特定距離内に近づくと、漁網状態インジケータ235の動作を開始してバッテリの使用効率を高めることができる。
【0035】
漁網管制部170は、漁網管理船舶270に搭載され、漁網管理部150から送信される漁網情報メッセージを受信し、漁網の位置を電子海図上に表示することができる。漁網管制部170は、自律海上無線機器(AMRD)専用の双方向送受信機で具現することができ、漁網情報メッセージを専用に受信することができ、MOB(Man Overboard)機器から送信される溺水者遭難信号も受信することができる。
【0036】
一実施形態において、漁網管制部170は、漁網管理船舶270に設置されることができ、漁網210のブイ230として設置される漁網管理部150と無線で接続され漁網210の位置情報及び漁網確認緊急度を含む漁網情報メッセージを受信して、電子海図インジケータ275を介して電子海図上に漁網の位置を表示することができる。
【0037】
一実施形態において、漁網管制部170は、漁網管理部150と通信を通じてAIS基盤の漁網情報メッセージを受信することができる。ここで、漁網管制部170は、漁網管理部150と同じ周波数を用いて漁網情報メッセージを受信することができる。例えば、漁網管制部170は、160.900MHzの周波数の船舶用漁網情報メッセージ専用受信機に該当する。漁網管制部170は、AISベースの漁網情報メッセージを、電子海図インジケータ275を介して電子海図上に表示して漁網210の位置を確認することができるようにする。
【0038】
漁網管制部170は、漁網210の位置が基準距離以上に外れた場合には、漁網210の位置に移動するための移動経路を電子海図に提供することができる。漁網管制部170は、MOB(Man Overboard)機器から送信される溺水者の遭難信号を受信することができ、遭難信号が受信されれば、電子海図インジケータ275を介して電子海図上に溺水者の位置を表示し、溺水者の位置に移動するための移動経路を電子海図に提供することができる。
【0039】
漁網管制部170は、漁網210の位置と漁網管理船舶270の位置に基づいて少なくとも1つの候補移動経路を設定し、風の方向と速度及び海流の方向と速度を分析して電子海図上に最適な移動経路を提供することができる。ここで、漁網管制部170は、レーダー、スピードメーター、ジャイロコンパスなどの船舶270に設置される航海装備と接続され、風の方向と速度及び海流の方向と速度を分析して船舶270の位置から漁網210の位置まで最短時間で行くことができる最適な移動経路を求め、電子海図上に提供することができる。
【0040】
漁網管制部170は、少なくとも1つの候補移動経路について、それぞれ船舶270の正常速度に気象条件が反映された速度Vwと海流の速度Uとのベクトル和を介して船舶270の最終速度Vgを求め、少なくとも一つの候補移動経路上の距離及び船舶270の最終速度Vgに基づいて最短移動時間を有する移動経路を最適な移動経路として決定することができる。ここで、船舶の最終速度(Vg)は以下の式で定義することができる。
【0041】
[数式1]
Vg(Δt) = Vw(Δt) + U(Δt)
【0042】
電子海図インジケータ275は、電子海図(Electronic Navigational Chart; ENC)を表示し、電子海図上に漁網210の位置と船舶270の位置、船舶270の位置から漁網210の位置までの最適な移動経路などの情報を可視的に表示することができる。一実施形態において、電子海図インジケータ275は、S-63、S-57、S-100の内、1つの電子海図を内蔵し、漁網管制部170と連動して受信された漁網情報メッセージに含まれる漁網210の位置を電子海図上でリアルタイムに表示し、漁網210の位置を監視でき、漁網確認緊急度に応じて漁網210の位置に迅速に移動できるようにする。
【0043】
図3は、図1にある漁網管理システムの漁網情報メッセージ送信処理を説明するフローチャートである。
【0044】
図3を参照すると、漁網管理システム100は、漁網210のブイ230としてGPS受信部110、AIS情報処理部130、漁網管理部150及びバッテリ(図示せず)等を含めて構成される漁網位置発信装置を設置することができる。
【0045】
漁網管理システム100は、ブイ230の形態で漁網210に設置される漁網位置発信装置は電源「オン(ON)」状態で(ステップS310)、GPS受信部110を介してGPS(Global Positioning System) に基づく位置情報を獲得することができる(ステップS320)。
【0046】
漁網管理システム100は、AIS情報処理部130を介してAIS情報を
受信して周辺同種装備(他の漁網位置発信装置)が使用しているスロットを把握して空きスロットを確認することができる(ステップS330、S340)AIS情報処理部130は、AISのようのデータの送受信のためにチャネルを2,250個のタイムスロットに分割して使用する時分割多重化(TDMA)方式を適用し、動作を開始するとスロットの使用状態を確認するために1分間の完全な1つのフレームを監視した後、別の漁網位置の発信装置で使用しないスロットを使用して自分の漁網情報メッセージを送信することによってスロット衝突を予防できるようにする。一実施形態において、AIS情報処理部130は動作を開始すると、周辺漁網位置発信装置から発信されるAISベースの漁網情報メッセージを受信し受信した漁網情報メッセージが使用しているスロットを把握し、空のスロットが確認できる。
【0047】
漁網管理システム100は、漁網管理部150を介して漁網210の位置を含む漁網情報メッセージを作成し(ステップS350)、作成した漁網情報メッセージを確認された空きスロットを用いて送信することができる。(ステップS360)。漁網管理システム100はまた、漁網管理部150を介して漁網情報メッセージを75個のスロット間隔で割り当てて伝送するが、これをGPS基盤位置情報獲得ステップS320からステップを繰り返し実行できるようにする(ステップS370)。新設されるAMRD Group-Bの漁網位置発信装置の関連規定で 漁網位置発信装置が作動を開始すると、標準メッセージ1番を75個のスロット間隔で8回伝送するが、1分±6秒間隔でこれを繰り返すこととするとなっている。
【0048】
これに基づいて、漁網管理部150は、漁網情報メッセージを75個のスロット間隔で割り当てて伝送できるようにする。すなわち、漁網管理部150は、最初の漁網情報メッセージが発信されたスロットにおいて、75スロット間隔で次の漁網情報メッセージを発信することができる。漁網管理部150は、漁網の位置情報及び漁網確認緊急度を含む漁網情報メッセージを、160.900MHz(チャネル2006番)周波数を介して漁網管理船舶270に設置された漁網管制部170に伝送することができる。
【0049】
漁網管理システム100は、漁網管理部150を介して位置情報の離脱程度に基づいてブイ230の漁網状態インジケータ235を制御し(ステップS380)、この過程でバッテリ状態をチェックしてバッテリ残存使用時間に応じてステップS310からステップを繰り返し実行できるようにする(ステップS390)。漁網管理部150は、バッテリ管理のために、漁網管理船舶270が漁網210の位置に基づいて特定の距離内に進入すると、漁網状態インジケータ235を制御することができる。ここで、特定距離は、漁網状態インジケータ235の視認性確保が可能な距離に設定することができる。
【0050】
図4は、図1にある漁網管理システムで行われる漁網管理過程を説明するフローチャートである。
【0051】
図4を参照すると、漁網管理システム100は、GPS受信部110を介して漁網210の位置情報を獲得することができる(ステップS410)。 GPS受信部110は、漁網210のブイ230として設けられ得る。GPS受信部110は、電源「オン(ON)」状態でGPSベースの位置情報を獲得することができる。GPS受信部110は、GPS衛星250から漁網210の位置情報や時間情報などを含むGPS信号を受信することができる。
【0052】
漁網管理システム100は、AIS情報処理部130を介してAIS情報を受信して空きスロットを確認することができる(ステップS430)。 AIS情報処理部130は、周辺の他の漁網位置発信装置と互いに通信して、他の漁網位置発信装置で使用しない空きスロットを確認することができる。
【0053】
漁網管理システム100は、漁網管理部150を介して位置情報に基づいて作成された漁網情報メッセージを空きスロットに割り当てて送信し、位置情報の離脱程度に基づいてブイ230の漁網状態インジケータ235を制御することができる(ステップS450)。漁網管理部150は、漁網の位置情報を含む漁網情報メッセージを作成し、作成した漁網情報メッセージを確認された空きスロットを用いて送信することができる。漁網管理部150は、空いているスロットに漁網情報メッセージを割り当てて漁網情報メッセージを送信することができる。一実施形態において、漁網管理部150は、漁網確認緊急度を漁網情報メッセージにさらに含めて周期的に伝送することができる。
【0054】
漁網管理システム100は、漁網情報メッセージを受信し、電子海図に漁網210の位置を表示し、漁網210の位置が基準距離以上に外れた場合には、漁網の位置に移動するための移動経路を電子海図に提供することができる(ステップS370)。漁網管制部170は、漁網210の位置と漁網管理船舶270の位置に基づいて少なくとも1つの候補移動経路を設定し、風の方向と速度及び海流の方向と速度を分析して電子海図上に最適な移動経路を提供することにより、迅速に漁網位置を確認し、漁網の流失を防止し、また失われた漁網を回収できるようにする。
【0055】
一実施形態に係る漁網管理システムは、AIS基盤の漁網位置情報を含む漁網情報メッセージを発信し、漁網管理船舶でこれを受信して電子海図に漁網の位置を表示することで漁網の位置を確認及び管理することができ、漁網の位置離脱程度に応じて漁網状態インジケータを制御して漁網確認の緊急性の通知を提供して漁網の流失を防止することができる。
【0056】
前記では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から離脱しない範囲内で本発明を種々修正及び変更することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 漁網管理システム
110 GPS受信部
130 AIS情報処理部
150 漁網管理部
170 漁網管制部
210 漁網
230 ブイ
235 漁網状態インジケータ
250 GPS衛星
270 船舶
275 電子海図インジケータ
図1
図2
図3
図4