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  • 特開-硬化性樹脂材料及び樹脂成形体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048324
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】硬化性樹脂材料及び樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20240401BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240401BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240401BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20240401BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20240401BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240401BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240401BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C08J5/04 CFF
C08L75/04
C08K3/013
C08K7/14
C08K7/06
C08L77/00
C08G18/28
C08G18/32 003
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021003
(22)【出願日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2022153572
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 友章
(72)【発明者】
【氏名】刈茅 孝一
(72)【発明者】
【氏名】木下 伸也
(72)【発明者】
【氏名】西岡 寛哲
(72)【発明者】
【氏名】篠原 史憲
(72)【発明者】
【氏名】淺野 良治
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB14
4F072AC06
4F072AD43
4F072AF01
4F072AF06
4F072AF31
4F072AH05
4F072AH16
4F072AH24
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4F072AK14
4F072AL02
4F072AL17
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4J002DJ047
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4J034RA05
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
4J034RA19
(57)【要約】
【課題】得られる樹脂成形体において、せん断強さを高めることができる硬化性樹脂材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る硬化性樹脂材料は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物と、強化長繊維と、充填材とを含み、前記充填材が、繊維を含有し、前記充填材としての前記繊維の平均繊維長が、0.3mm以上6mm以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物と、
イソシアネート化合物と、
強化長繊維と、
充填材とを含み、
前記充填材が、繊維を含有し、
前記充填材としての前記繊維の平均繊維長が、0.3mm以上6mm以下である、硬化性樹脂材料。
【請求項2】
前記充填材としての前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項3】
前記充填材が、繊維とは異なる充填材をさらに含有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項4】
前記充填材が、フライアッシュ又は珪砂をさらに含有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項5】
前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、前記充填材の含有量が40重量部以上70重量部以下である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項6】
前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、前記充填材としての前記繊維の含有量が3重量部以上9重量部以下である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項7】
前記強化長繊維の平均繊維長が50mm以上である、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【請求項8】
ウレタン樹脂と、
強化長繊維と、
充填材とを含み、
前記充填材が、繊維を含有し、
前記充填材としての前記繊維の平均繊維長が、0.3mm以上6mm以下である、樹脂成形体。
【請求項9】
前記充填材としての前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を含む、請求項8に記載の樹脂成形体。
【請求項10】
前記充填材が、繊維とは異なる充填材をさらに含有する、請求項8又は9に記載の樹脂成形体。
【請求項11】
前記充填材が、フライアッシュ又は珪砂をさらに含有する、請求項8又は9に記載の樹脂成形体。
【請求項12】
前記ウレタン樹脂100重量部に対して、前記充填材の含有量が40重量部以上70重量部以下である、請求項8又は9に記載の樹脂成形体。
【請求項13】
前記ウレタン樹脂100重量部に対して、前記充填材としての前記繊維の含有量が3重量部以上9重量部以下である、請求項8又は9に記載の樹脂成形体。
【請求項14】
前記強化長繊維の平均繊維長が50mm以上である、請求項8又は9に記載の樹脂成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを含む硬化性樹脂材料に関する。また、本発明は、ウレタン樹脂を含む樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建材等の構造材として、木材等に代えて樹脂成形体が用いられることがある。例えば、鉄道用枕木として、木枕木及びコンクリート枕木に代えて樹脂成形体の枕木が用いられることがある。上記樹脂成形体は、一般的に、軽量でありながら、機械的強度が高いという特性を有する。
【0003】
上記樹脂成形体の一例として、下記の特許文献1には、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物と、強化長繊維と、充填材とを含む硬化性樹脂組成物を用いた樹脂成形体が開示されている。上記硬化性樹脂組成物では、上記充填材の比重が4未満であり、上記充填材の平均円形度が0.65以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2020/054056A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂成形体において、無機充填材を用いると、無機充填材の使用量の分、ウレタン樹脂(ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応物)と長繊維との合計の使用量が減少する。このため、上記樹脂成形体において、長繊維と平行なせん断面でのせん断強度である層間せん断強度が低下することがある。
【0006】
本発明の目的は、得られる樹脂成形体において、せん断強さを高めることができる硬化性樹脂材料を提供することである。また、本発明は、せん断強さを高めることができる樹脂成形体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、以下の硬化性樹脂材料及び樹脂成形体を開示する。
【0008】
項1.ポリオール化合物と、イソシアネート化合物と、強化長繊維と、充填材とを含み、前記充填材が、繊維を含有し、前記充填材としての前記繊維の平均繊維長が、0.3mm以上6mm以下である、硬化性樹脂材料。
【0009】
項2.前記充填材としての前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を含む、項1に記載の硬化性樹脂材料。
【0010】
項3.前記充填材が、繊維とは異なる充填材をさらに含有する、項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【0011】
項4.前記充填材が、フライアッシュ又は珪砂をさらに含有する、項1又は2に記載の硬化性樹脂材料。
【0012】
項5.前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、前記充填材の含有量が40重量部以上70重量部以下である、項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【0013】
項6.前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、前記充填材としての前記繊維の含有量が3重量部以上9重量部以下である、項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【0014】
項7.前記強化長繊維の平均繊維長が50mm以上である、項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂材料。
【0015】
項8.ウレタン樹脂と、強化長繊維と、充填材とを含み、前記充填材が、繊維を含有し、前記充填材としての前記繊維の平均繊維長が、0.3mm以上6mm以下である、樹脂成形体。
【0016】
項9.前記充填材としての前記繊維が、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を含む、項8に記載の樹脂成形体。
【0017】
項10.前記充填材が、繊維とは異なる充填材をさらに含有する、項8又は9に記載の樹脂成形体。
【0018】
項11.前記充填材が、フライアッシュ又は珪砂をさらに含有する、項8又は9に記載の樹脂成形体。
【0019】
項12.前記ウレタン樹脂100重量部に対して、前記充填材の含有量が40重量部以上70重量部以下である、項8~11のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【0020】
項13.前記ウレタン樹脂100重量部に対して、前記充填材としての前記繊維の含有量が3重量部以上9重量部以下である、項8~12のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【0021】
項14.前記強化長繊維の平均繊維長が50mm以上である、項8~13のいずれか1項に記載の樹脂成形体。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る硬化性樹脂材料は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物と、強化長繊維と、充填材とを含む。本発明に係る硬化性樹脂材料では、上記充填材が、繊維を含有し、上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。本発明に係る硬化性樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、得られる樹脂成形体において、せん断強さを高めることができる。
【0023】
本発明に係る樹脂成形体は、ウレタン樹脂と、強化長繊維と、充填材とを含む。本発明に係る樹脂成形体では、上記充填材が、繊維を含有し、上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。本発明に係る樹脂成形体では、上記の構成が備えられているので、せん断強さを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂成形体を模式的に示す断面図である。
図2図2は、充填材と、充填材の投影面積と同じ面積をもつ円と、円相当径とを示す図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
(硬化性樹脂材料及び樹脂成形体)
本発明に係る硬化性樹脂材料(以下、「樹脂材料」と略記することがある)は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物と、強化長繊維と、充填材とを含む。本発明に係る樹脂材料では、上記充填材が、繊維を含有し、上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。
【0027】
本発明に係る樹脂材料では、上記の構成が備えられているので、得られる樹脂成形体において、せん断強さを高めることができる。本発明に係る樹脂材料では、得られる樹脂成形体において、強化長繊維及び充填材と、有機材料であるウレタン樹脂(ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応物)との接着性が向上する。特に、平均繊維長が特定の範囲内である繊維は、せん断強さの向上に大きく寄与する。本発明に係る樹脂材料では、得られる樹脂成形体において、上記強化長繊維と上記ウレタン樹脂との剥離による樹脂成形体の破損を低減させることができ、機械的強度を向上させることができる。
【0028】
本発明に係る樹脂成形体は、ウレタン樹脂と、強化長繊維と、充填材とを含む。本発明に係る樹脂成形体では、上記充填材が、繊維を含有し、上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。
【0029】
本発明に係る樹脂成形体では、上記の構成が備えられているので、せん断強さを高めることができる。本発明に係る樹脂成形体では、強化長繊維及び充填材と、有機材料であるウレタン樹脂との接着性が向上する。特に、平均繊維長が特定の範囲内である繊維は、せん断強さの向上に大きく寄与する。本発明に係る樹脂成形体では、上記強化長繊維と上記ウレタン樹脂との剥離による樹脂成形体の破損を低減させることができ、機械的強度を向上させることができる。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂成形体を模式的に示す断面図である。
【0031】
図1に示す樹脂成形体10は、ウレタン樹脂101と、強化長繊維102と、充填材103とを含む。図1では、強化長繊維102の繊維径部分の断面が示されている。
【0032】
充填材103は、繊維を含有する。充填材103としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。充填材103は、繊維とは異なる充填材をさらに含有していてもよい。
【0033】
以下、上記樹脂材料及び上記樹脂成形体に含まれる成分の詳細などを説明する。
【0034】
<ポリオール化合物>
上記樹脂材料は、ポリオール化合物を含む。ポリオール化合物とは、2個以上の水酸基(-OH基)を有する化合物である。
【0035】
上記ポリオール化合物における水酸基の個数は、2個であってもよく、2個以上であってもよく、3個であってもよく、3個以上であってもよく、4個であってもよく、4個以上であってもよい。上記ポリオール化合物における水酸基の個数は、6個以下であってもよく、5個以下であってもよく、4個以下であってもよい。
【0036】
上記ポリオール化合物としては、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記ポリオール化合物は、ポリマーポリオールであってもよい。上記ポリオール化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記ポリラクトンポリオールとしては、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
【0038】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、水酸基含有化合物とカーボネート化合物との脱アルコール反応物等が挙げられる。上記水酸基含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等が挙げられる。上記カーボネート化合物としては、ジエチレンカーボネート、及びジプロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0039】
上記芳香族ポリオールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
【0040】
上記脂環族ポリオールとしては、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0041】
上記脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、及びヘキサンジオール等が挙げられる。
【0042】
上記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合物、ラクトンの開環重合物、及びヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。上記多塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びコハク酸等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。上記ラクトンとしては、ε-カプロラクトン、及びα-メチル-ε-カプロラクトン等が挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、ひまし油、及びひまし油とエチレングリコールとの反応生成物等が挙げられる。
【0043】
上記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素原子を2個以上有する活性水素化合物とアルキレンオキサイドとの開環重合体等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。上記活性水素化合物の分子量は小さいことが好ましい。上記活性水素化合物としては、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及び1,6-ヘキサンジオール等のジオール化合物;グリセリン、及びトリメチロールプロパン等のトリオール化合物;エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0044】
上記ポリマーポリオールとしては、ポリオール化合物に不飽和有機化合物がグラフト重合されたグラフト重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオール、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0045】
上記グラフト重合体における上記ポリオール化合物としては、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記グラフト重合体における上記不飽和有機化合物としては、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及びメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
上記多価アルコールの変性ポリオールとしては、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの反応変性物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びこれらの誘導体等の4価以上8価以下のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、及び1-ヒドロキシピレン等のフェノール化合物;ポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体;ポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2以上100以下)ポリオール;フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。上記アルキレンオキサイドとしては、炭素数が2以上6以下のアルキレンオキサイドが挙げられる。上記アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、1,3-プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、及び1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。性状や反応性を良好にする観点からは、上記アルキレンオキサイドは、1,2-プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド又は1,2-ブチレンオキサイドであることが好ましく、1,2-プロピレンオキサイド又はエチレンオキサイドであることがより好ましい。上記アルキレンオキサイドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0047】
上記アルキレンオキサイドを2種以上用いる場合の付加の形態は、ブロック付加であってもよく、ランダム付加であってもよく、ブロック付加とランダム付加との双方であってもよい。
【0048】
充填材の分散性を高める観点からは、上記ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0049】
<イソシアネート化合物>
上記樹脂材料は、イソシアネート化合物を含む。イソシアネート化合物とは、イソシアネート基(-NCO基)を有する化合物である。
【0050】
上記イソシアネート化合物におけるイソシアネート基の個数は、1個であってもよく、2個であってもよく、2個以上であってもよく、3個であってもよく、3個以上であってもよく、4個であってもよく、4個以上であってもよい。上記イソシアネート化合物におけるイソシアネート基の個数は、6個以下であってもよく、5個以下であってもよく、4個以下であってもよい。
【0051】
硬化反応性を高める観点からは、上記イソシアネート化合物におけるイソシアネート基の個数は、2個以上であることが好ましい。すなわち、上記イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物(イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物)であることが好ましい。
【0052】
上記イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネート化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0054】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0055】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
入手が容易であり、利便性に優れることから、上記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネート又は変性ジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートであることがより好ましい。
【0057】
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物とは、ウレタン結合を効率的に形成するように、適宜の配合量で用いることができる。上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記イソシアネート化合物の含有量は、好ましくは100重量部以上、より好ましくは120重量部以上、更に好ましくは130重量部以上であり、好ましくは180重量部以下、より好ましくは160重量部以下、更に好ましくは150重量部以下である。上記イソシアネート化合物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との反応効率を高めることができ、未反応の上記ポリオール化合物又は未反応の上記イソシアネート化合物をより一層少なくすることができる。結果として、良好な曲げ弾性率を有する樹脂成形体を形成することができる。
【0058】
<ウレタン樹脂>
上記樹脂成形体は、ウレタン樹脂を含む。上記ウレタン樹脂は、上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との反応により得ることができる。上記ウレタン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
<強化長繊維>
上記樹脂材料は、強化長繊維を含む。上記樹脂成形体は、強化長繊維を含む。強化長繊維は、強化繊維であり、長繊維である。強化繊維は、一定の強度を持った繊維状物である。強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びアラミド繊維等が知られている。長繊維の繊維長は、例えば、平均繊維長が50mm以上である。上記強化長繊維は、強化長繊維シートであってもよい。
【0060】
上記強化長繊維は、モノフィラメントであってもよく、フィブリル化繊維(髭状に繊維が突き出た物質)であってもよい。
【0061】
上記強化長繊維としては、炭素長繊維、ガラス長繊維、アラミド長繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及び長尺強化繊維等が挙げられる。上記強化長繊維は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
樹脂成形体の機械的強度及び曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記強化長繊維は、ガラス長繊維であることが好ましい。上記ガラス長繊維とは、ガラスを融解、牽引して繊維状にした繊維状物である。
【0063】
樹脂成形体の機械的強度及び曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記強化長繊維の繊維長は、50mm以上であることが好ましく、70mm以上であることがより好ましい。なお、強化長繊維は、引抜成形後に所望の大きさで裁断することができ、裁断する長さによって強化長繊維の繊維長を適宜変えることができるため、強化長繊維の繊維長の上限は特に限定されない。寸法精度を高める観点からは、上記強化長繊維の繊維長は、10m以下であってもよい。また、強化長繊維の繊維長が長くても、強化長繊維以外の成分を含む組成物を強化長繊維に含浸させることにより、強化長繊維が切断されたり、絡み合ったりしにくくすることができる。また、上記樹脂成形体は、引抜成形することにより、強化長繊維の配合割合を多くしても成形可能である。
【0064】
上記強化長繊維の繊維長は、強化長繊維自体又は樹脂成形体に含まれている強化長繊維を、マイクロスコープ写真などの画像解析を用いたり、直尺又はノギスなどの寸法測定器具を用いたりして測定することができる。
【0065】
上記強化長繊維の繊維長は、任意に選択した100個以上の強化長繊維の繊維長の平均値である。なお、得られるマイクロスコープ写真に100個以上の強化長繊維が存在しない場合には、強化長繊維の数が100個以上となるまで、新たな領域をマイクロスコープで撮影する。
【0066】
上記強化長繊維として、例えば、ロービング及びヤーン等のストランドをバインダーに軽く付着させて紐状とした繊維が好適に用いられる。
【0067】
上記強化長繊維は、モノフィラメントを引き揃えてロービングにされた繊維であることが好ましい。上記モノフィラメントの繊維径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下である。
【0068】
上記繊維径は、平均径であることが好ましい。上記平均径とは、数平均径であり、ランダムに選択した100個の繊維の繊維径の相加平均値である。また、上記繊維径とは、繊維の長さ方向に直交する方向に沿った断面において、該断面の円相当径の直径を意味する。
【0069】
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記強化長繊維の含有量は、好ましくは40重量部以上、より好ましくは50重量部以上であり、好ましくは380重量部以下、より好ましくは300重量部以下、更に好ましくは200重量部以下である。上記強化長繊維の含有量が上記下限以上であると、強化長繊維の含有量に起因して得られる樹脂成形体の曲げ弾性率をより一層高めることができる。上記強化長繊維の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高めることができる。
【0070】
上記ウレタン樹脂100重量部に対して、上記強化長繊維の含有量は、好ましくは40重量部以上、より好ましくは50重量部以上であり、好ましくは380重量部以下、より好ましくは300重量部以下、更に好ましくは200重量部以下である。上記強化長繊維の含有量が上記下限以上であると、強化長繊維の含有量に起因して得られる樹脂成形体の曲げ弾性率をより一層高めることができる。上記強化長繊維の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高めることができる。
【0071】
<充填材>
充填材とは、樹脂成形体の樹脂部に分散、充填される不活性な物質である。上記樹脂材料及び上記樹脂成形体中の上記充填材は、繊維を含有する。上記樹脂材料及び上記樹脂成形体は、充填材として、繊維を含む。上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下であるので、上記充填材としての上記繊維は、短繊維である。
【0072】
上記充填材としての上記繊維の繊維長は、繊維自体又は樹脂成形体に含まれている繊維を、マイクロスコープ写真などの画像解析を用いたり、直尺又はノギスなどの寸法測定器具を用いたりして測定することができる。
【0073】
上記充填材としての上記繊維の繊維長は、任意に選択した100個以上の繊維の繊維長の平均値である。なお、得られるマイクロスコープ写真に100個以上の繊維が存在しない場合には、繊維の数が100個以上となるまで、新たな領域をマイクロスコープで撮影する。
【0074】
上記充填材としての上記繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維等が挙げられる。上記充填材としての上記繊維は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0075】
樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高める観点からは、上記充填材としての上記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維を含むことが好ましい。
【0076】
上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、0.3mm以上6mm以下である。上記平均繊維長が0.3mm未満であると、繊維による補強効果が低くなり、樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さを十分に高めることが困難である。上記平均繊維長が6mmを超えると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させにくくなり、樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さを十分に高めることが困難である。上記充填材としての上記繊維の平均繊維長は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.9mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、更に好ましくは3mm以下である。上記平均繊維長が上記下限以上であると、繊維による補強効果がより一層高くなり、樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さがより一層高くなる。上記平均繊維長が上記上限以下であると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さがより一層高くなる。
【0077】
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記充填材としての上記繊維の含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは9重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記繊維の含有量が上記下限以上であると、得られる樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さがより一層高くなる。上記繊維の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、せん断強さを高めることができる。
【0078】
上記ウレタン樹脂100重量部に対して、上記充填材としての上記繊維の含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは9重量部以下、より好ましくは8重量部以下である。上記繊維の含有量が上記下限以上であると、得られる樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さがより一層高くなる。上記繊維の含有量が上記上限以下であると、強化長繊維間部分に強化長繊維以外の成分を含む組成物を含浸させやすくなり、得られる樹脂成形体の比重のばらつきを小さくすることができ、また、せん断強さを高めることができる。
【0079】
樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高くする観点からは、上記充填材は、繊維とは異なる充填材をさらに含有していてもよく、上記樹脂材料及び上記樹脂成形体は、繊維とは異なる充填材(以下、充填材(X)と記載することがある)を含んでいてもよい。繊維とは異なる充填材(X)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高くする観点からは、上記充填材は、繊維とは異なる無機充填材をさらに含有することが好ましく、上記樹脂材料及び上記樹脂成形体は、繊維とは異なる無機充填材を含むことが好ましい。上記無機充填材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
上記充填材(X)としては、粉末状の充填材等が挙げられる。樹脂成形体の耐摩耗性をより一層良好にする観点からは、上記充填材(X)は、粉末状の充填材であることが好ましい。上記充填材(X)は、有機粉末であってもよく、無機粉末であってもよく、有機粉末と無機粉末との混合粉末であってもよい。
【0081】
樹脂成形体の耐摩耗性をより一層良好にする観点からは、上記充填材(X)は、無機粉末であることが好ましい。上記無機粉末は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0082】
上記無機粉末の充填材としては、炭酸塩化合物、鉱物、硫酸塩化合物、ケイ酸塩化合物(珪砂)、粘土、窒化物、炭素化合物、チタン化合物、金属ホウ酸塩化合物、硫化物、炭化物、灰、砂、及び火山砕屑物等が挙げられる。上記無機粉末の充填材として、炭酸塩化合物、鉱物、硫酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、粘土、窒化物、炭素化合物、チタン化合物、金属ホウ酸塩化合物、硫化物、炭化物、灰、砂、及び火山砕屑物の内の1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0083】
上記炭化塩化合物としては、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び炭酸バリウム等が挙げられる。上記鉱物しては、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、マイカ、イモゴライト、セリサイト、及び石膏繊維等が挙げられる。上記硫酸塩化合物としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及び硫酸マグネシウム等が挙げられる。上記ケイ酸塩化合物としては、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。上記粘土としては、タルク、クレー、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、及びセピオライト等が挙げられる。上記窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、及び窒化ケイ素等が挙げられる。上記炭素化合物としては、カーボンブラック、グラファイト、炭素バルーン、及び木炭粉末等が挙げられる。上記チタン化合物としては、チタン酸カリウム、及びチタン酸ジルコン酸鉛等が挙げられる。上記金属ホウ酸塩化合物としては、アルミニウムボレート等が挙げられる。上記硫化物としては、硫化モリブデン等が挙げられる。上記炭化物としては、炭化ケイ素等が挙げられる。上記灰としては、フライアッシュ、石炭灰、及びシラスバルーン等が挙げられる。上記砂としては、珪砂等が挙げられる。上記火山砕屑物としては、軽石等が挙げられる。
【0084】
上記充填材(X)は、炭酸塩化合物、鉱物、硫酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、粘土、窒化物、炭素化合物、チタン化合物、金属ホウ酸塩化合物、硫化物、炭化物、灰、砂、又は火山砕屑物であることが好ましい。上記充填材(X)は、炭酸塩化合物、鉱物、硫酸塩化合物、ケイ酸塩化合物、粘土、窒化物、炭素化合物、チタン化合物、金属ホウ酸塩化合物、硫化物、炭化物、灰、砂、及び火山砕屑物から選ばれる1種以上の無機粉末を含むことが好ましい。これらの場合には、樹脂成形体の曲げ弾性率がより一層良好になる。
【0085】
上記充填材は、フライアッシュ、珪砂、マイカ、タルク又はガラスビーズを含有することが好ましく、フライアッシュ、又は珪砂を含有することがより好ましく、フライアッシュを含有することが更に好ましい。すなわち、上記充填材(X)は、フライアッシュ、珪砂、マイカ、タルク又はガラスビーズであることが好ましく、フライアッシュ、又は珪砂であることがより好ましく、フライアッシュであることが更に好ましい。これらの好ましい充填材(X)の使用により、樹脂成形体の曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高めることができる。また、これらの好ましい充填材(X)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。樹脂成形体の曲げ弾性率及びせん断強さを更に一層高める観点からは、上記充填材は、フライアッシュI種、又はフライアッシュII種を含むことが好ましく、上記充填材(X)は、フライアッシュI種、又はフライアッシュII種であることが好ましい。
【0086】
上記フライアッシュI種及び上記フライアッシュII種は、JIS A6201の品質規格に準拠したフライアッシュであることが好ましい。上記品質規格に準拠したフライアッシュは、平均円形度が大きいため、樹脂成形体の曲げ弾性率及び耐摩耗性をより一層良好にすることができ、また、成形性を高めることができる。
【0087】
上記フライアッシュI種とは、二酸化ケイ素の含有量が45%以上、45μmふるい残分が10%以下、比表面積が5000cm/g以上である灰である。
【0088】
上記フライアッシュII種とは、二酸化ケイ素の含有量が45%以上、45μmふるい残分が40%以下、比表面積が2500cm/g以上である灰である。
【0089】
フライアッシュIV種とは、二酸化ケイ素の含有量が45%以上、45μmふるい残分が70%以下、比表面積が1500cm/g以上である灰である。
【0090】
上記フライアッシュIV種は、平均円形度が小さいことがある。このため、本発明では、フライアッシュIV種よりもフライアッシュI種又はフライアッシュII種を用いることが好ましい。
【0091】
樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記充填材(X)の比重は4未満であることが好ましい。樹脂成形体の耐摩耗性をより一層良好にする観点からは、上記充填材(X)の比重は、好ましくは2以上であり、好ましくは3以下である。上記充填材(X)の比重が上記下限以上及び上記上限以下であると、充填材(X)が沈降しにくく、樹脂材料中で充填材(X)が均一に分散しやすい。その結果、充填材(X)が均一に分散した樹脂成形体を良好に得ることができる。
【0092】
樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記充填材(X)の平均円形度は0.65以上であることが好ましい。上記充填材(X)の平均円形度が0.65以上であると、該充填材(X)を含む液を混合する際に、撹拌抵抗の上昇が生じにくく、充填材(X)を含む液の粘度が上昇しにくい。その結果、例えば、該充填材(X)を含む液を強化長繊維等に含浸した場合でも、充填材(X)が強化長繊維間に均一に分散しやすい。なお、強化長繊維量を減らすと、強化長繊維の隙間が増えるため、充填材(X)が強化長繊維間に入り込みやすくなるものの、樹脂成形体の曲げ弾性率が低下することがある。
【0093】
平均円形度の大きい充填材(X)は、ふるいにかけることにより得ることができる。例えば、上記充填材(X)をふるいにかけることにより、平均円形度が0.65以上である充填材(X)を得ることができる。
【0094】
樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記充填材(X)の平均円形度は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、好ましくは1以下である。上記充填材(X)の平均円形度は1に近いほど好ましい。
【0095】
円形度は、円らしさの度合いを示す値であり、上記円形度が1に近くなるにつれて、円に近くなることを意味する。上記円形度は、例えば、充填材(X)又は樹脂成形体に含まれている充填材(X)を電子顕微鏡で撮影し、得られた電子顕微鏡写真から市販の画像解析ソフトを用いて充填材(X)の投影面積(S)及び周囲長(L)を測定し、下記の式により算出することができる。上記平均円形度は、任意に選択した100個以上の充填材(X)の円形度の平均値である。なお、得られる電子顕微鏡写真に100個以上の充填材(X)が存在しない場合には、充填材(X)の数が100個以上となるまで、新たな領域を電子顕微鏡で撮影する。
【0096】
円形度=[4πS/L2]
【0097】
上記充填材(X)の平均円相当径は、好ましくは1μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下、更に好ましくは10μm以下である。上記充填材(X)の平均円相当径が上記下限以上及び上記上限以下であると、充填材(X)が沈降しにくく、樹脂材料中で充填材(X)が均一に分散しやすい。その結果、充填材(X)が均一に分散した樹脂成形体を良好に得ることができ、樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高めることができる。
【0098】
円相当径は、充填材(X)の投影面積と、同じ面積をもつ円の直径を意味する。上記円相当径は下記式により算出することができる。上記円相当径及び上記充填材(X)の投影面積は、例えば、充填材(X)又は樹脂成形体に含まれている充填材(X)を電子顕微鏡で撮影し、電子顕微鏡写真を市販の画像解析ソフトを用いて解析することで算出することができる。平均円相当径は、任意に選択した100個以上の充填材(X)の円相当径の平均値である。100個以上の充填材(X)の円相当径の平均値を求める。なお、得られる電子顕微鏡写真に100個以上の充填材(X)が存在しない場合には、充填材(X)の数が100個以上となるまで、新たな領域を電子顕微鏡で撮影する。
【0099】
【数1】
【0100】
S:充填材(X)の投影面積
【0101】
図2は、充填材(X)と、充填材(X)の投影面積と同じ面積をもつ円と、円相当径とを示す図である。図2において、符号201は、充填材(X)を表し、符号202は、充填材(X)の投影面積と同じ面積をもつ円を表し、符号203は、円相当径を表す。図2に示すように、円相当径は、充填材(X)の投影面積と、同じ面積をもつ円の直径として算出される。
【0102】
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記充填材(X)(繊維とは異なる充填材)の含有量は、好ましくは40重量部以上、より好ましくは45重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。上記充填材(X)の含有量が上記下限以上であると、樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高めることができる。
【0103】
上記ウレタン樹脂100重量部に対して、上記充填材(X)(繊維とは異なる充填材)の含有量は、好ましくは40重量部以上、より好ましくは45重量部以上であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは65重量部以下である。上記充填材(X)の含有量が上記下限以上であると、樹脂成形体の耐摩耗性及び曲げ弾性率をより一層高めることができる。
【0104】
上記充填材としての上記繊維の含有量の、上記充填材(X)(繊維とは異なる充填材)の含有量に対する重量比(充填材としての繊維の含有量/充填材(X)の含有量)は、好ましくは0.05、より好ましくは0.07であり、好ましくは0.13以下、より好ましくは0.15以下である。上記重量比が上記下限以上及び上記上限以下であると、得られる樹脂成形体の機械的強度、曲げ弾性率及びせん断強さがより一層高くなる。
【0105】
上記ポリオール化合物と上記イソシアネート化合物との合計100重量部に対して、上記充填材(充填材の全体)の含有量は、好ましくは30重量部以上、より好ましくは40重量部以上、更に好ましくは43重量部以上であり、好ましくは90重量部以下、より好ましくは80重量部以下、更に好ましくは79重量部以下、特に好ましくは70重量部以下である。上記充填材(充填材の全体)の含有量が上記下限以上であると、樹脂成形体の耐摩耗性、曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高めることができる。
【0106】
上記ウレタン樹脂100重量部に対して、上記充填材(充填材の全体)の含有量は、好ましくは30重量部以上、より好ましくは40重量部以上、更に好ましくは43重量部以上であり、好ましくは90重量部以下、より好ましくは80重量部以下、更に好ましくは79重量部以下、特に好ましくは70重量部以下である。上記充填材(充填材の全体)の含有量が上記下限以上であると、樹脂成形体の耐摩耗性、曲げ弾性率及びせん断強さをより一層高めることができる。
【0107】
なお、「充填材(充填材の全体)」とは、充填材が繊維のみを含有する場合には、「繊維」を意味し、充填材が繊維と充填材(X)とを含有する場合には、「繊維と充填材(X)」を意味する。
【0108】
<発泡剤>
発泡剤とは、分解により気体を生じる物質又はそれ自体気体となる物質である。
【0109】
上記樹脂材料は、発泡剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。軽量である樹脂成形体(発泡樹脂成形体)を得る観点からは、上記樹脂材料は、発泡剤を含むことが好ましい。上記樹脂材料が発泡剤を含む場合には、発泡樹脂成形体を得ることができる。発泡樹脂成形体は、軽量であるという利点を有する。
【0110】
上記発泡剤としては、水、及び有機ハロゲン化合物等が挙げられる。入手が容易であり、利便性に優れることから、上記発泡剤は水であることが好ましい。水は上記イソシアネート化合物と反応してCOを発生させることにより発泡剤として作用する。上記発泡剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0111】
上記有機ハロゲン化合物としては、有機塩素化合物、有機フッ素化合物、有機臭素化合物、及び有機ヨウ素化合物等が挙げられる。上記有機ハロゲン化合物は、水素原子の全てがハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよく、水素原子の一部がハロゲン原子で置換された有機ハロゲン化合物であってもよい。樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機ハロゲン化合物は、有機塩素化合物、又は有機フッ素化合物であることが好ましい。
【0112】
上記有機塩素化合物としては、飽和有機塩素化合物、及び不飽和有機塩素化合物等が挙げられる。上記飽和有機塩素化合物としては、ジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、及びイソペンチルクロライド等が挙げられる。樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機塩素化合物は、飽和有機塩素化合物であることが好ましく、炭素数が2~5の飽和有機塩素化合物であることがより好ましい。
【0113】
上記有機フッ素化合物としては、飽和有機フッ素化合物、及び不飽和有機フッ素化合物等が挙げられる。
【0114】
上記飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロカーボン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロカーボンとしては、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等が挙げられる。
【0115】
上記不飽和有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)(E及びZ異性体)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)等が挙げられる。
【0116】
さらに、上記有機フッ素化合物としては、塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物も挙げられる。上記塩素原子とフッ素原子と2重結合とを有する化合物としては、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、及びヒドロクロロフルオロオレフィン等が挙げられる。上記ヒドロクロロフルオロオレフィンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)(E及びZ異性体)、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yd)(E及びZ異性体)、1-(4)クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zb)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xe)(E及びZ異性体)、2-クロロ-2,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xc)、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、3-クロロ-1,2,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233ye)(E及びZ異性体)、3-クロロ-1,1,2-トリフルオロプロペン(HCFO-1233yc)、3,3-ジクロロ-3-フルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1223xd)(E及びZ異性体)、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)、及び2-クロロ-1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン(E及びZ異性体)等が挙げられる。
【0117】
樹脂成形体の形成時の発泡性を良好にし、樹脂成形体の熱伝導率をより一層長期にわたり低く維持する観点からは、上記有機ハロゲン化合物は、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ハイドロフルオロカーボン又はハイドロフルオロオレフィンであることが好ましい。
【0118】
発泡性を考慮して、上記発泡剤は、適宜の含有量で用いることができる。上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記発泡剤の含有量(複数の発泡剤を用いる場合には合計の含有量)は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは1.0重量部以下、より好ましくは0.8重量部以下である。上記発泡剤の含有量が上記下限以上であると、発泡が促進され、樹脂成形体が良好に形成され、樹脂成形体の寸法不良が発生しにくくなる。上記発泡剤の含有量が上記上限以下であると、過度の発泡により金型から樹脂材料が溢れ出ることを抑えることができる。
【0119】
上記樹脂成形体中のウレタン樹脂の発泡倍率は、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり、好ましくは5倍以下、より好ましくは3倍以下である。上記発泡倍率が上記下限以上であると、軽量な発泡樹脂成形体が得られやすい。上記発泡倍率が上記上限以下であると、良好な曲げ弾性率を有する発泡樹脂成形体が得られやすい。
【0120】
<他の成分>
上記樹脂材料は、上述した成分以外の他の成分(ポリオール化合物、イソシアネート化合物、強化長繊維、充填材及び発泡剤のこれら5種とは異なる成分)を含んでいてもよい。上記樹脂成形体は、上述した成分以外の他の成分(ウレタン樹脂、強化長繊維及び充填材のこれら3種とは異なる成分)を含んでいてもよい。
【0121】
上記他の成分としては、触媒、難燃剤及び整泡剤等が挙げられる。上記他の成分はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0122】
整泡剤:
上記整泡剤とは、気泡の粗大化、不均一化を防ぎ、気泡を安定かつ良好に形成させることができる物質である。
【0123】
上記整泡剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等ポリオキシアルキレン整泡剤、及びオルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等が挙げられる。
【0124】
上記整泡剤は、気泡が安定かつ良好に形成するように、適宜の含有量で用いることができる。気泡を安定かつ良好に形成する観点からは、上記ポリオール化合物100重量部に対して、上記整泡剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.2重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、更に好ましくは1重量部以下である。
【0125】
<硬化性樹脂材料の他の詳細>
上記樹脂材料は、上記ポリオール化合物と、上記イソシアネート化合物と、上記強化長繊維と、上記充填材と、必要に応じて配合されるこれら以外の成分とを混合することで調製できる。各成分の混合方法は、特に限定されない。1又は複数の成分を含む複数の液を調製し、複数の液を混合して、樹脂材料を得てもよい。複数の液の混合は、樹脂成形体の形成時に行われてもよい。上記ポリオール化合物を含む液に、上記イソシアネート化合物と上記充填材とを混合した後、この液を上記強化長繊維に含浸させてもよい。上記ポリオール化合物を含む液に上記充填材を混合し、次いで、上記イソシアネート化合物を混合した後、この液を強化長繊維に含浸させてもよい。
【0126】
<樹脂成形体の他の詳細>
本発明に係る樹脂成形体は、上述した樹脂材料を成形することにより得てもよい。上記樹脂材料を成形することにより、樹脂成形体を得ることができる。例えば、上記樹脂材料を加熱して、成形及び硬化させることにより、樹脂成形体を得ることができる。このとき、例えば、40℃~100℃に加熱する。上記樹脂成形体は、発泡樹脂成形体であってもよい。上記樹脂成形体が発泡樹脂成形体である場合には、該樹脂成形体を軽量にすることができる。
【0127】
上記樹脂成形体は、建築物、車両・船舶、鉄道施設、水処理施設、工場施設、水産・養殖施設、電気設備、スポーツ・公園施設、及び土木現場等の用途に使用できる。
【0128】
上記樹脂成形体は、建築物において、バルコニー、フロアー材、土台、梁、根太、束、屋根、及び桟木等に好適に用いられる。
【0129】
上記樹脂成形体は、車両又は船舶において、根太、FFU船、デッキ、バルクヘッド、トラック荷台材、及びブリッジ等に好適に用いられる。
【0130】
上記樹脂成形体は、鉄道施設において、歩道板、大三帆条保護板、プラットホーム、及び枕木(橋、分岐、並、短)等に好適に用いられる。
【0131】
上記樹脂成形体は、水処理施設において、覆蓋、角落し、セキ板、フロキューター羽根、ドア、ガラリ、整流板、迂流板、仕切り板、及び傾斜板等に好適に用いられる。
【0132】
上記樹脂成形体は、工場施設において、床板、歩廊、ピット蓋、薬液槽、水槽、作業台、架台、根太材、パレット、及び冷凍庫等に好適に用いられる。
【0133】
上記樹脂成形体は、水産・養殖施設において、孵化槽、養殖槽、活魚槽、及び歩廊等に好適に用いられる。
【0134】
上記樹脂成形体は、電気設備において、クリート、及び管枕等に好適に用いられる。
【0135】
上記樹脂成形体は、スポーツ・公園施設において、パーゴラ、橋、案内板、あずま屋、バックスクリーン、テニス練習板、スコアボード、浮桟橋、吊り橋、遊歩道、スキー板芯材、水車、及びプール部材等に好適に用いられる。
【0136】
上記樹脂成形体は、土木現場において、受圧板、及びSEW土留め壁等に好適に用いられる。
【0137】
上記樹脂成形体は、枕木として特に好適に用いられる。上記枕木の形状は特に限定されてない。上記枕木は、例えば、直方体状の枕木であってもよく、直方体状の本体部と、該本体部から外側に突出している突出部とを備える枕木であってもよい。
【0138】
枕木(樹脂成形体)は、長さ方向と幅方向とを有していてもよい。枕木の曲げ弾性率をより一層高める観点からは、上記強化長繊維は、枕木(樹脂成形体)の長さ方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0139】
(樹脂成形体の製造方法)
樹脂成形体の製造方法は、ポリオール化合物とイソシアネート化合物と充填材とを混合して、第1の組成物を得る混合工程と、強化長繊維間に上記第1の組成物を含浸させて硬化性樹脂材料を得る含浸工程と、金型内で上記硬化性樹脂材料を硬化させる硬化工程とを備えることが好ましい。
【0140】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂成形体を製造する方法を説明するための図である。
【0141】
製造装置100は、ホッパー11と、ベルトフィーダー12と、スクリュー内蔵の押出機4と、ポンプ43と、第1原料タンク21と、ポンプ22と、第2原料タンク31と、ポンプ51と、混合散布装置5と、揉み板61と、含浸板62と、加熱部を有する金型63とを備える。
【0142】
<混合工程>
充填材1がホッパー11に投入され、次いで、充填材1がベルトフィーダー12によって運搬されて押出機4に供給される。また、第1原料2が第1原料タンク21に投入され、混合される。第1原料2は、ポリオール化合物と発泡剤とを含む液である。第1原料2は、ポンプ22によって押出機4に供給される。押出機4では、充填材1と第1原料2とが、押出機4のスクリューの回転により混合され、充填材1と第1原料2との混合液(以降、充填材及びポリオール化合物を含む混合液を「混合液(A)」と記載することがある)が得られる。なお、第1原料は、発泡剤を含んでいなくてもよい。また、第1原料は、触媒及び整泡剤を含んでいてもよい。
【0143】
第2原料3が第2原料タンク31に投入される。第2原料3は、イソシアネート化合物である。
【0144】
混合液(A)が、ポンプ43によって混合散布装置5へ供給される。第2原料3が、ポンプ51によって混合散布装置5へ供給される。混合散布装置5では、混合液(A)と第2原料3とが均一に混合されて、第1の組成物7(ポリオール化合物とイソシアネート化合物と充填材と発泡剤との混合液)が得られる。
【0145】
<含浸工程>
第1の組成物7は、混合散布装置5の吐出口から強化長繊維の繊維束である強化長繊維束8の上に振りかけられる。強化長繊維はガラス長繊維であり、強化長繊維束8は、ガラス長繊維束である。
【0146】
第1の組成物7と強化長繊維束8とは、揉み板61と含浸板62との間で揉まれ、強化長繊維束8を構成する各強化長繊維の間に第1の組成物7が均一に含浸される。このようにして、硬化性樹脂材料81が得られる。
【0147】
<硬化工程(発泡硬化工程)>
硬化性樹脂材料81を金型63に移送し、金型63内で硬化性樹脂材料81を硬化(発泡硬化)させて、金型63の形状に対応する樹脂成形体(発泡樹脂成形体)を製造することができる。なお、硬化性樹脂材料81を金型63に順次移送することで、樹脂成形体を連続的に製造することができる。
【0148】
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0149】
以下の材料を用意した。
【0150】
(ポリオール化合物)
プロピレンオキサイドが付加されたポリエーテルポリオール(住化コベストロウレタン社製「SBU ポリオール K660」)
【0151】
(イソシアネート化合物)
ジフェニルメタンジイソシアネート(住化コベストロウレタン社製「スミジュール44V20L」)
【0152】
(充填材)
ガラス繊維1(ガラス短繊維、平均繊維長3.2mm、繊維長3mm~6mm)
ガラス繊維2(ガラス短繊維、平均繊維長0.3mm、繊維長0.2mm~1mm)
ガラス繊維3(ガラス短繊維、平均繊維長5.7mm、繊維長4.5mm~6mm)
ガラス繊維4(ガラス短繊維、平均繊維長0.2mm、繊維長0.05mm~0.3mm)
炭素繊維(炭素短繊維、平均繊維長3.2mm、繊維長3mm~6mm)
アラミド繊維(アラミド短繊維、平均繊維長3.2mm、繊維長3mm~6mm)
フライアッシュ(四国電力社製「フライアッシュII種」、比重2.1、平均円相当径2.7μm、平均円形度0.82)
珪砂(山川産業社製「珪砂7号」)
【0153】
(発泡剤)
【0154】
(整泡剤)
シリコンオイル(東レダウシリコン社製「SZ-1729」)
【0155】
(強化長繊維)
ガラス長繊維(繊維径10μm~20μmのモノフィラメントが多数引き揃えられてロービングにされたガラス長繊維)
【0156】
(実施例1)
図3に示す方法で、樹脂成形体を作製した。また、図3に示す第1原料として、ポリオール化合物と発泡剤と整泡剤とを含む液を用いた。また、図3に示す第2原料として、イソシアネート化合物を用いた。
【0157】
<第1の組成物を得る工程>
ホッパーに投入された充填材をベルトフィーダーによって押出機に供給した。また、第1原料タンクに投入された第1原料をポンプによって押出機に供給した。押出機にて、充填材と第1原料とを混合し、充填材と第1原料との混合液(A)を得た。次いで、混合液(A)をポンプによって混合散布装置へ供給した。また、第2原料タンクに投入された第2原料をポンプによって混合散布装置へ供給した。混合散布装置にて、混合液(A)と第2原料とを均一に混合し、第1の組成物を得た。なお、第1の組成物中の各成分の含有量を表1に示す。
【0158】
<散布工程>
第1の組成物を、混合散布装置の吐出口から、強化長繊維が一方向に引き揃えられた強化長繊維束(強化長繊維の繊維束)に散布した。なお、強化長繊維束を一方向に進行させながら、第1の組成物を強化長繊維束に散布した。
【0159】
<含浸工程>
第1の組成物と強化長繊維束とを、15℃~25℃の条件で、揉み板と含浸板との間で揉みこみ、強化長繊維束を構成する各強化長繊維の間に第1の組成物を含浸させて、第1の組成物が強化長繊維束に含浸された第2の組成物を得た。なお、表1~3の「第2の組成物」の欄では、ポリオール化合物100重量部に対する強化長繊維の含有量を記載した。また、表1~3の「ポリオール化合物とイソシアネート化合物との合計100重量部に対する強化長繊維の含有量」の欄にて、その含有量も記載した。
【0160】
<硬化工程(発泡硬化工程)>
第2の組成物を金型に移送し、金型内で第2の組成物を硬化(発泡硬化)させて、樹脂成形体(発泡樹脂成形体)を得た。
【0161】
(実施例2~10及び比較例1,2)
第1の組成物及び第2の組成物中の各成分の含有量を表1~3に示すように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂成形体を得た。
【0162】
(せん断強さの評価)
得られた樹脂成形体のせん断強さを、JIS E1203のせん断強さ試験に記載の方法に従って測定した。せん断強さを下記の基準で判定した。
【0163】
[せん断強さの判定基準]
○:せん断強さが、7.10MPa以上
×:せん断強さが7.10MPa未満
【0164】
組成及び結果を下記の表1~3に示す。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【符号の説明】
【0168】
1…充填材
2…第1原料
3…第2原料
4…押出機
5…混合散布装置
6…分級機
7…第1の組成物
8…強化長繊維束
10…樹脂成形体
11…ホッパー
12…ベルトフィーダー
21…第1原料タンク
22…ポンプ
31…第2原料タンク
43…ポンプ
51…ポンプ
61…揉み板
62…含浸板
63…金型
81…硬化性樹脂材料
100…製造装置
101…ウレタン樹脂
102…強化長繊維
103…充填材
図1
図2
図3