IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スギノマシンの特許一覧 ▶ エヌティーツール株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048330
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】工具ホルダ及び工具マガジン
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/02 20060101AFI20240401BHJP
   B23Q 3/157 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B23B31/02 C
B23Q3/157 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038425
(22)【出願日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2022153860
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(71)【出願人】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】伊原 稔
(72)【発明者】
【氏名】石川 均
(72)【発明者】
【氏名】高津 悠
【テーマコード(参考)】
3C002
3C032
【Fターム(参考)】
3C002DD01
3C002KK01
3C032BB21
(57)【要約】
【課題】工具ホルダと、工具ホルダを主軸との間で自動交換できる工具マガジンを提供す
る。
【解決手段】工具マガジン40は、マガジンボディ41と、マガジンボディ41に配置され、操作スリーブ23を支持可能で主軸10の軸方向に往復可能な操作レバー55であって、操作スリーブ23が挿入される操作スリーブ挿入穴55aと、操作スリーブ挿入穴55aに配置され、受容部23bに引掛けられる引掛部56と、を有する操作レバー55と、操作レバー55を主軸10の軸方向に案内する操作レバーガイド64と、ホルダ弾性体27の弾性力に抗して、操作レバー55を主軸10の基端方向へ付勢する操作弾性体58と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸穴と、主軸の外周に位置する円周溝と、前記主軸の先端に位置し、前記円周溝と接続されるドライブ溝と、を有する主軸に装着される工具ホルダであって、
前記主軸穴に挿入されるシャンクを有する工具ボディと、
前記工具ボディの径方向外側に配置され、前記主軸の基端方向に付勢され、前記主軸の軸方向に往復する操作スリーブであって、
前記ドライブ溝に挿入され、前記主軸の回転を前記工具ボディに伝達するドライブキーと、
前記操作スリーブの外周部に位置する受容部と、
を有する操作スリーブと、
前記操作スリーブを前記工具ボディに対して前記主軸に向かって付勢するホルダ弾性体と、
前記工具ボディに配置されるホールドリングであって、前記ドライブ溝を通過して、前記円周溝に引掛けられるホールド爪を有するホールドリングと、
を有する工具ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の工具ホルダを前記主軸との間で受け渡し可能に収納する工具マガジンであって、
マガジンボディと、
前記マガジンボディに配置され、前記操作スリーブを支持可能で前記主軸の軸方向に往復可能な操作レバーであって、
前記操作スリーブが挿入される操作スリーブ挿入穴と、
前記操作スリーブ挿入穴に配置され、前記受容部に引掛けられる引掛部と、
を有する操作レバーと、
前記操作レバーを前記主軸の軸方向に案内する操作レバーガイドと、
前記ホルダ弾性体の弾性力に抗して、前記操作レバーを前記主軸の基端方向へ付勢する操作弾性体と、
を有する、
工具マガジン。
【請求項3】
前記工具ボディと当接可能な押圧部を有し、前記主軸の軸方向に往復可能なプッシュレバーと、
前記プッシュレバーを前記主軸の軸方向に案内するプッシュレバーガイドと、
前記プッシュレバーを前記主軸の基端方向へ付勢する抗押込み弾性体と、
前記プッシュレバーが前記マガジンボディから飛び出さないように保持するプッシュレバーストッパと、
を更に有する、請求項2に記載の工具マガジン。
【請求項4】
前記マガジンボディに配置された弾性体支持ポストと、
前記弾性体支持ポストと前記プッシュレバーとの間に配置され、前記プッシュレバーを前記主軸の先端方向に付勢する抗引き上げ弾性体と、
を更に有し、
前記プッシュレバーは、前記操作レバーが前記マガジンボディから飛び出さないように保持する操作レバーストッパを有する、
請求項3に記載の工具マガジン。
【請求項5】
前記マガジンボディに配置された先端側ストッパを更に有し、
前記プッシュレバーストッパは、前記抗引き上げ弾性体と前記プッシュレバーの間に配置され、前記抗引き上げ弾性体によって前記主軸の先端方向に付勢され、前記先端側ストッパよりも前記主軸の基端方向で、前記弾性体支持ポストに沿って往復する、
請求項4に記載の工具マガジン。
【請求項6】
前記操作レバーガイドは、
前記操作レバーから延びる操作シャフトと、
前記操作シャフトが挿入される操作レバーガイド穴と、
を有し、
前記プッシュレバーガイドは、
前記プッシュレバーから延びるプッシュシャフトと、
前記マガジンボディに位置し、前記プッシュシャフトが挿入されるプッシュレバーガイド穴と、
を有し、
前記操作レバーガイド穴は、前記プッシュシャフトを貫通する、
請求項2~5のいずれかに記載の工具マガジン。
【請求項7】
前記抗押込み弾性体は、前記プッシュレバーガイド穴に配置され、
前記操作弾性体は、前記プッシュレバーガイド穴に配置される、
請求項6に記載の工具マガジン。
【請求項8】
前記工具マガジンに支持された工具ホルダの中心と、前記操作レバーガイドとの間に配置され、前記操作レバーが前記マガジンボディに対して傾斜することを抑制する傾斜抑制ガイドを更に有する、
請求項2~7のいずれかに記載の工具マガジン。
【請求項9】
前記操作レバー又は前記プッシュレバーに配置され、前記工具ホルダを検知する工具ホルダ検知スイッチを更に有する、
請求項2~8のいずれかに記載の工具マガジン。
【請求項10】
前記プッシュレバーに配置されたオーバートラベル検知スイッチと、
前記マガジンボディに配置され、前記プッシュレバーが前記主軸の先端方向の移動端に到達したときに、前記オーバートラベル検知スイッチに検知される先端ドグと、
前記マガジンボディに配置され、前記プッシュレバーが前記主軸の基端方向の移動端に到達したときに、前記オーバートラベル検知スイッチに検知される基端ドグと、
を更に有する、請求項2~9のいずれかに記載の工具マガジン。
【請求項11】
前記操作レバーは、
レバーボディと、
前記レバーボディに揺動可能に支持される、一対のピンチレバーであって、
前記ピンチレバーのそれぞれが、前記引掛部を有し、
前記操作スリーブが前記操作スリーブ挿入穴に挿入されるときに、前記操作スリーブを周方向からつまむように、前記操作スリーブ挿入穴の内方に前記操作スリーブを付勢する、
一対のピンチレバーと、
を有する、請求項2~10のいずれかに記載の工具マガジン。
【請求項12】
前記操作スリーブ挿入穴は、挿入方向に開口を有し、
前記レバーボディは、前記操作スリーブ挿入穴の前記開口の反対側に配置されたスリーブ当接面を有する、
請求項11に記載の工具マガジン。
【請求項13】
前記ピンチレバーは、前記操作スリーブ挿入穴に向かって突出し、前記操作スリーブ挿入穴に挿入される前記操作スリーブを、前記スリーブ当接面に向かって付勢する突出部を有する、
請求項12に記載の工具マガジン。
【請求項14】
前記操作レバーは、
前記レバーボディに配置されるピンチピンと、
前記一対のピンチレバーに挟まれるように支持され、前記ピンチレバーを付勢する弾性体と、
を有する、請求項11~13のいずれかに記載の工具マガジン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ホルダと、工具ホルダを主軸との間で自動交換できる工具マガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
主軸に取り付け可能な、工具が取り付けられる工具ホルダ(着脱部材)が知られている
(例えば、特開平6-134608号公報。以下、特許文献1)。特許文献1によれば、主軸に工具ホルダを取付けたときに、工具ホルダにおける本体の当接面が主軸の受止面に当接し、工具ホルダにおける係合環の引止爪が主軸の係止部に係合する。この状態では、本体と係合環に一対に設けられたV字状の受壁の間に楔部材が押し込まれ、そこから抜け出ることが阻止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の工具ホルダは、作業者が手で交換するため、機械起動中の交換は危険を伴う。また、工具ホルダの交換を無人化できず、交換時間が長い。
本発明は、工具ホルダと、工具ホルダを主軸との間で自動交換できる工具マガジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の観点は、
主軸穴と、前記主軸の外周に位置する円周溝と、前記主軸の先端に位置し、前記円周溝と接続されるドライブ溝と、を有する主軸に装着される工具ホルダであって、
前記主軸穴に挿入されるシャンクを有する工具ボディと、
前記工具ボディの径方向外側に配置され、前記主軸の基端方向に付勢され、前記主軸の軸方向に往復する操作スリーブであって、
前記ドライブ溝に挿入され、前記主軸の回転を前記工具ボディに伝達するドライブキーと、
前記操作スリーブの外周部に位置する受容部と、
を有する操作スリーブと、
前記操作スリーブを前記工具ボディに対して前記主軸に向かって付勢するホルダ弾性体と、
前記工具ボディに配置されるホールドリングであって、前記ドライブ溝を通過して、前記円周溝に引掛けられるホールド爪を有するホールドリングと、
を有する工具ホルダである。
【0005】
本発明の第2の観点は、
前記工具ホルダを主軸との間で受け渡し可能に収納する工具マガジンであって、
マガジンボディと、
前記マガジンボディに配置され、前記操作スリーブを支持可能で前記主軸の軸方向に往復可能な操作レバーであって、
前記操作スリーブが挿入される操作スリーブ挿入穴と、
前記操作スリーブ挿入穴に配置され、前記受容部に引掛けられる引掛部と、
を有する操作レバーと、
前記操作レバーを前記主軸の軸方向に案内する操作レバーガイドと、
前記ホルダ弾性体の弾性力に抗して、前記操作レバーを前記主軸の基端方向へ付勢する操作弾性体と、
を有する、
工具マガジンである。
【0006】
工具ホルダには、先端工具が装着される。先端工具は、例えば、切削工具、ブラシである。
【0007】
好ましくは、操作スリーブは、円筒状である。
操作レバーは、工具ホルダを挟んで保持する操作スリーブ穴を有しても良い。操作スリーブ穴は、操作スリーブと当接する当接円筒面を有しても良い。
好ましくは、操作レバーは、半径方向内側に操作スリーブを押圧するプランジャを有する。プランジャは、例えば、両側の操作スリーブ穴の内面に配置される。好ましくは、プランジャは、操作スリーブを当接円筒面に向けて付勢する。
【0008】
引掛部(又は、回り止め部)は、受容部を引掛けることで、操作スリーブの回転を抑制し、操作スリーブを保持する。受容部と引掛部は、ねじの締付部とスパナのような関係にある。
例えば、受容部は、操作スリーブの外筒面に形成された断面矩形の溝である。受容部の底面は、互いに平行な2平面である。受容部は、シャンクの中心軸に対して回転対称に配置される。受容部は、正六角形状の溝でも良い。この場合、引掛部は、受容部の溝幅よりも薄く、受容部に当接する平行な2平面を有する板状突起である。引掛部は、片口スパナ状である。
受容部は、径方向に配置された円筒穴でも良い。この場合、引掛部は、受容部に当接する円筒ピンである。引掛部は、引掛けスパナの引掛けピン状である。
受容部は、シャンクの中心軸に沿って延びた角溝でも良い。この場合、引掛部は、角溝に当接する突起である。
受容部は、軸方向に引掛けられる第1受容部と、円周方向に引掛けられる第2受容部とを有しても良い。例えば、第1受容部は、円周溝であり、第2受容部は六角頭である。この場合、引掛部は、第1引掛部と第2引掛部とを有する。第1引掛部は、第1受容部に引掛けられ、操作スリーブの軸方向の動きを制約する。第2引掛部は、第2受容部に引掛けられ、操作スリーブの回転方向の動きを制約する。
【0009】
工具マガジンは、操作レバーがマガジンボディから飛び出さないように保持する操作レバーストッパを有しても良い。操作レバーストッパは、例えば、マガジンボディに配置される。
【0010】
プッシュレバーは、先端工具を挟むプッシュフォーク部を有しても良い。プッシュフォーク部は、工具ボディと当接する当接円筒面を有しても良い。押圧部は、例えば、ボディの先端部に当接する。押圧部は、例えば、板状である。
【0011】
操作レバーガイド、プッシュレバーガイド、傾斜抑制ガイドは、直動ガイドである。例えば、操作レバーガイド、プッシュレバーガイド、傾斜抑制ガイドは、シャフトとブッシュ、ボールスプライン、直線ガイドである。操作レバーガイドは、主軸と工具ホルダが工具を交換するときにおける主軸の方向に、操作レバーを案内する。プッシュレバーガイドは、主軸と工具ホルダが工具を交換するときにおける主軸の方向に、プッシュレバーを案内する。傾斜抑制ガイドは、主軸と工具ホルダが工具を交換するときにおける主軸の方向に、プッシュレバーを案内する。
傾斜抑制ガイドは、工具マガジンに保持された工具ホルダに対して、操作レバーガイドの反対側に配置されても良い。
【0012】
好ましくは、マガジンボディは、フロート台に設置される。フロート台は、工具マガジンと受渡する状態の主軸の方向である第1方向と、第1方向に互いに垂直である第2方向や第3方向と、に自在に移動できるように、マガジンボディを支持する。フロート台は、弾性体を有しても良い。フロート台は、例えば、第2方向及び第3方向に遊びを有するように、マガジンボディを支持する。フロート台は、第1弾性体を有しても良い。弾性体は、第2方向及び第3方向に沿って、マガジンボディに弾性力を付与する。フロート台は、第1方向に遊びを有するように、マガジンボディを支持しても良い。フロート台は、第2弾性体を有しても良い。第2弾性体は、第1方向に沿って、マガジンボディに弾性力を付与する。
【0013】
操作スリーブ挿入穴は、挿入方向に開口を有してもよい。
突出部は、剛体であって良い。剛体である突出部は、例えば、金属、汎用樹脂、エンジニアリングプラスチックで構成される。剛体である突出部は、スリーブ挿入穴に対する操作スリーブの挿入方向に対して傾斜する当接面を有する。当接面は、挿入方向に向かうにつれて操作レバーの左右端に近づく。ピンチレバーの当接面は、操作スリーブの外周円筒面との接触部を付勢する。一対のピンチレバーの突出部による付勢力の合力によって、突出部は、操作スリーブをスリーブ当接面に向かって付勢する。
【0014】
突出部は、弾性体でも良い。弾性体である突出部は、例えば、板ばね、プランジャである。弾性体である突出部は、スリーブ当接面に向かって、突出部の弾性力で操作スリーブを付勢する。
【0015】
オーバートラベル検知スイッチは、マガジンボディに配置されても良い。この場合、先端ドグと基端ドグは、プッシュレバーに配置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、工具ホルダ及び工具マガジンによれば、工具ホルダを主軸との間で自動交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の主軸の斜視図
図2】実施形態1の主軸の片側断面図
図3】実施形態1の工具ホルダの斜視図
図4】実施形態1の工具ホルダの片側断面図
図5】実施形態1の工具マガジンの斜視図
図6】実施形態1の工具マガジンの平面図
図7図6のVII-VII線断面図
図8A】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図8B】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図8C】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図8D】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図8E】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図8F】実施形態1の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図9A】実施形態1の工具マガジンから主軸への工具ホルダの受け渡しの説明図
図9B】実施形態1の工具マガジンから主軸への工具ホルダの受け渡しの説明図
図9C】実施形態1の工具マガジンから主軸への工具ホルダの受け渡しの説明図
図9D】実施形態1の工具マガジンから主軸への工具ホルダの受け渡しの説明図
図9E】実施形態1の工具マガジンから主軸への工具ホルダの受け渡しの説明図
図10】実施形態2の工具マガジンの斜視図
図11】実施形態2の工具マガジンの平面図
図12図11のXII-XII線組み合わせ断面図
図13A】実施形態2の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図13B】実施形態2の主軸から工具マガジンへの工具ホルダの受け渡しの説明図
図14】実施形態3のピンチアームの斜視図
図15】実施形態4のピンチアームの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、本実施形態の主軸10は、端面10aと、主軸穴11と、円周溝13と、ドライブ溝15と、を有する。主軸穴11は、例えば、ストレートシャンク穴である。円周溝13は、矩形断面を有する。円周溝13は、端面10a付近で、主軸10の周方向に延びる。例えば、主軸10は、中心軸17に対称に配置される2つのドライブ溝15を有する。ドライブ溝15は、矩形断面を有する。ドライブ溝15は、端面10aから円周溝13まで延びる。
【0019】
図3及び図4に示すように、本実施形態の工具ホルダ20は、工具ボディ21と、ホールドリング25と、操作スリーブ23と、ホルダばね(ホルダ弾性体)27と、を有する。工具ホルダ20には、切削工具26が装着される。
【0020】
工具ボディ21は、段付きの円筒状である。工具ボディ21は、シャンク21aと、端面21bと、工具穴21cを有する。シャンク21aは、例えば、ストレートシャンクである。切削工具26は、例えば、コレット(不図示)や焼き嵌めによって、工具穴21cに装着される。
【0021】
ホルダばね27は、圧縮コイルばねである。ホルダばね27は、工具ボディ21に装着される。ホルダばね27は、ホールドリング25及び操作スリーブ23を主軸10の基端方向(図4の上方)へ付勢する。
【0022】
ホールドリング25は、中空円筒状である。ホールドリング25は、工具ボディ21の外周側に配置される。ホールドリング25は、工具ボディ21に対して、中心軸22の方向に往復できる。ホールドリング25は、複数(図3では2つ)のホールド爪25aを有する。ホールド爪25aは、中心軸22に対称に配置される。ホールド爪25aは、ドライブ溝15を通過して、円周溝13に引掛けられる。
【0023】
操作スリーブ23は、中空リング状である。操作スリーブ23は、ドライブキー23aと、受容部23bと、を有する。操作スリーブ23は、中心軸22の方向に往復できる。
ドライブキー23aは、ドライブ溝15に嵌合できる。ドライブキー23aは、ホールド爪25aから90度回転した位置にある。
受容部23bは、操作スリーブ23の外周面に形成された断面矩形の溝である。例えば、中心軸22から見たときに、受容部23bは、2つのホールド爪25aの中心を結ぶ線に直交する方向に延びる。受容部23bの底面は、互いに平行な2平面である。受容部23bは、中心軸22に回転対称に配置される。受容部23bは、面幅23cと、高さ23dを有する。
【0024】
工具ホルダ20を主軸10に装着すると、ホルダばね27がホールドリング25を押し込む。ホールドリング25は、ロック位置2(図8A参照)に移動する。このとき、ホールドリング25のホールド爪25aは、主軸10の円周溝13と当接して、主軸10を先端方向(図8Aの下方)に引っ張る。これにより、工具ホルダ20は、主軸10に固定される(図8A参照)。このとき、ドライブキー23aは、主軸10のドライブ溝15に嵌合し、主軸10の回転やトルクを工具ボディ21に伝達する。
【0025】
工具ホルダ20を主軸10から取り外すと、操作スリーブ23が先端方向(図4の下方)へ移動する。すると、ホールドリング25にホルダばね27の弾性力が付与されず、ホールドリング25は、円周溝13から離れる。操作スリーブ23の移動に伴い、ドライブキー23aは、端面21bまで移動する(図8C参照)。そして、主軸10を90度回転させると、ホールド爪25aがドライブ溝15を通過し、工具ホルダ20が主軸10から取り外される。
【0026】
図5図7に示すように、本実施形態の工具マガジン40は、マガジンボディ41と、操作レバー55と、操作レバーガイド64と、操作ばね(操作弾性体)58と、引掛部56と、を有する。工具マガジン40は、プッシュレバー51と、プッシュレバーガイド50と、抗押込みばね(抗押込み弾性体)54と、ばねポスト45と、抗引上げばね(抗引上げ弾性体)46と、傾斜抑制ガイド59と、引上げばねカバー43と、工具ホルダ検知スイッチ65と、オーバートラベル検知スイッチ60と、先端ドグ47と、基端ドグ49と、ドグステム48と、先端側ストッパ41bと、を有して良い。操作レバーガイド64は、操作レバーガイド穴53bと、操作レバーステム57と、を有する。プッシュレバーガイド50は、プッシュレバーガイド穴41cと、プッシュレバーステム53と、を有する。
【0027】
以下、便宜上、工具マガジン40と主軸10との間で工具ホルダ20を交換するときに、主軸10の中心軸17や工具ホルダ20の中心軸22に沿って、主軸10が工具ホルダ20から離れる方向を上、工具ホルダ20を装着した主軸10が工具ホルダ20に挿入される方向を後、後方から前方に向かって右方向を右と呼ぶ。
【0028】
マガジンボディ41は、ボディ本体41aと、先端側ストッパ41bと、プッシュレバーガイド穴41cと、第2操作ばねガイド41dとを有する。先端側ストッパ41bは、ボディ本体41aの後部に配置される。先端側ストッパ41bは、ボディ本体41aの上面から突出する。プッシュレバーガイド穴41cは、有底円筒穴である。プッシュレバーガイド穴41cは、上下方向に延びて、ボディ本体41aの前部に配置される。プッシュレバーガイド穴41cは、ボディ本体41aの上方に開口する。第2操作ばねガイド41dは、例えば、有底穴や円筒ガイドである。第2操作ばねガイド41dは、プッシュレバーガイド穴41cの底面に配置される。
【0029】
プッシュレバー51は、前後方向に延びる。プッシュレバー51は、工具ボディ挿入穴51aと、プッシュプレート52と、を有する。プッシュレバー51は、ガイドブッシュ59bと、ばねポスト挿入穴51bと、を有しても良い。工具ボディ21の先端部は、工具ボディ挿入穴51aに、前方から後方に向かって挿入される。工具ボディ挿入穴51aは、プッシュレバー51の前方端部に位置する。工具ボディ挿入穴51aは、プッシュレバー51の前方に開口して良い。このとき、プッシュレバー51の先端部(プッシュフォーク部)51e(図6参照)は、フォーク状である。先端部51eは、切削工具26を挟み込む。プッシュプレート52は、工具ボディ挿入穴51aの下部に配置される。プッシュプレート52は、当接面(押圧部)52aと、工具通過穴52bを有する。当接面52aは、工具ボディ21と当接する。工具ボディ21の先端部が当接面52aに当接して、下方に移動したときに、プッシュプレート52は、工具ボディ21と共に移動する。切削工具26は、工具通過穴52bを通過する。ばねポスト挿入穴51bは、プッシュレバー51の後端部に配置される。ばねポスト挿入穴51bは、上下方向に延びる段付き円筒穴である。ばねポスト挿入穴51bは、上方の大径部51cと、下方の小径部51dとを有する。
【0030】
プッシュレバーステム53は、プッシュレバー51の下方に配置され、上下に延びる。プッシュレバーステム53は、外筒面53aと、操作レバーガイド穴53bと、抗押込みばねガイド穴53cと、を有する。外筒面53aは、プッシュレバーガイド穴41cに摺動し、プッシュレバー51を上下方向に案内する。操作レバーガイド穴53bは、上下方向に延びて、プッシュレバーステム53と、プッシュレバー51を貫通する。抗押込みばねガイド穴53cは、操作レバーガイド穴53bの下方に接続される。抗押込みばねガイド穴53cの内径は、操作レバーガイド穴53bの内径よりも大きい。抗押込みばねガイド穴53cの端面は、操作レバーストッパ53dである。
【0031】
操作レバー55は、前後方向に延びる。操作レバー55は、操作スリーブ挿入穴55aと、引掛部56と、ばねポスト通過穴55bと、を有する。操作スリーブ挿入穴55aは、操作レバー55の前方端部に位置する。操作スリーブ挿入穴55aは、前後方向に延びる長穴状であり、操作スリーブ23の直径と実質的に同一の直径55eを有する。操作スリーブ挿入穴55aは、案内部55cと、スリーブ当接面55dと、を有する。案内部55cは、操作スリーブ23を挿入する際に、操作スリーブ23を案内する。案内部55cは、例えば、案内用の傾斜面を有しても良い。スリーブ当接面55dは、交換位置1にある工具ホルダ20の操作スリーブ23の外筒面に当接する。操作スリーブ挿入穴55aは、操作レバー55の前方に開口しても良い。引掛部56は、操作スリーブ挿入穴55aの左右の内面に配置される。引掛部56は、平板であり、前後に延びる。引掛部56の端面は、平行な2平面である。引掛部56の面幅56aは、受容部23bの面幅23cに実質的に等しい。引掛部56の厚み56bは、受容部23bの高さ23dよりも小さい。ばねポスト通過穴55bは、操作レバー55の後方端部に位置する。
【0032】
工具ホルダ検知スイッチ65は、操作スリーブ挿入穴55aに配置される。工具ホルダ20が操作レバー55に装着されたときに、工具ホルダ検知スイッチ65は、工具ホルダ20を検出する。例えば、工具ホルダ検知スイッチ65は、近接スイッチである。
なお、工具ホルダ検知スイッチ65は、プッシュレバー51の工具ボディ挿入穴51aに配置されても良い。
【0033】
プランジャ63は、操作スリーブ挿入穴55aに配置される。例えば、プランジャ63は、ボールプランジャである。プランジャ63は、交換位置1にある工具ホルダ20の中心軸22よりもやや前方に配置される。プランジャ63は、操作スリーブ挿入穴55aに挿入された操作スリーブ23を中央方向に押圧する。これにより、プランジャ63は、操作スリーブ23を後方に付勢して、操作スリーブ23をスリーブ当接面55dに当接させる。
なお、プランジャ63は、上下方向に延びる円筒状でも良い。
【0034】
操作レバーステム57は、外筒面57aと、第1操作ばねガイド57cと、ストッパリング57bと、を有する。外筒面57aは、円筒面である。外筒面57aは、操作レバーガイド穴53bに摺動して、操作レバー55を上下方向に案内する。第1操作ばねガイド57cは、有底円筒穴である。第1操作ばねガイド57cは、操作レバーステム57の下端に配置される。ストッパリング57bは、操作レバーステム57の下端部に配置される。ストッパリング57bは、操作レバーストッパ53dに引っかかり、操作レバーステム57が上方に抜けることを防止する。
【0035】
操作ばね58は、圧縮コイルばねである。操作ばね58は、プッシュレバーガイド穴41cの内部に配置される。操作ばね58は、第1操作ばねガイド57cと、第2操作ばねガイド41dに案内される。操作ばね58は、操作レバー55を上方へ付勢する。好ましくは、取付時の操作ばね58のばね荷重は、取付時のホルダばね27のばね荷重よりも小さい。
【0036】
抗押込みばね54は、圧縮コイルばねである。抗押込みばね54の内径は、ストッパリング57bの外形よりも大きい。抗押込みばね54は、プッシュレバーガイド穴41cと、抗押込みばねガイド穴53cの内部に配置される。抗押込みばね54は、抗押込みばねガイド穴53cに案内される。取付時の抗押込みばね54のばね荷重は、縮んだときのホルダばね27のばね荷重よりも大きい。
【0037】
傾斜抑制ガイド59は、プッシュレバー51の下方に延びる。平面視で、傾斜抑制ガイド59は、操作スリーブ挿入穴55aの近傍に配置される。傾斜抑制ガイド59は、ガイドブッシュ59bに摺動する。傾斜抑制ガイド59は、主軸10によって操作レバー55が下方に押し込まれるときに、操作レバー55が傾斜することを抑制する。
なお、平面視で、傾斜抑制ガイド59は、操作スリーブ挿入穴55aに対して、操作レバーステム57の反対側に配置されても良い。
【0038】
ばねポスト45は、ポスト頭45aと、抗引上げばねガイド45bと、雄ねじ45cと、を有する。ポスト頭45aは、ばねポスト45の上端に配置される。ポスト頭45aの径は、抗引上げばねガイド45bの径よりも大きい。雄ねじ45cは、ばねポスト45の下端に配置され、先端側ストッパ41bに締結される。ばねポスト45は、ばねポスト挿入穴51bを通過する。
【0039】
引上げばねカバー43は、中空円筒状である。引上げばねカバー43は、プッシュレバーストッパ43aを有する。プッシュレバーストッパ43aは、貫通穴43cを有する。抗引上げばねガイド45bは、貫通穴43cを通過する。先端側ストッパ41bは、貫通穴43cを通過しない。引上げばねカバー43は、ばねポスト挿入穴51bに挿入される。
【0040】
例えば、抗引上げばね46は、皿ばねである。抗引上げばね46は、引上げばねカバー43の内部に配置される。抗引上げばねガイド45bは、抗引上げばね46を貫通し、抗引上げばね46を案内する。抗引上げばね46は、ポスト頭45aとプッシュレバーストッパ43aとの間に配置される。プッシュレバー51が、初期位置3より上方に引き上げられたときに、抗引上げばね46は、引上げばねカバー43を介して、プッシュレバー51を下方に付勢する。
【0041】
ドグステム48は、例えば、植え込みボルトである。ドグステム48は、ボディ本体41aの後端部に配置される。ドグステム48は、ボディ本体41aの上方に延びる。先端ドグ47と、基端ドグ49とは、ドグステム48に固定される。
オーバートラベル検知スイッチ60は、例えば、近接スイッチである。オーバートラベル検知スイッチ60は、プッシュレバー51の後端部に配置される。
プッシュレバー51が上昇してストロークの基端92(図8D参照)を超えたときに、オーバートラベル検知スイッチ60は、基端ドグ49を検出する。プッシュレバー51が下降してストローク先端94(図9C参照)を超えたときに、オーバートラベル検知スイッチ60は、先端ドグ47を検出する。
【0042】
図8A図8Fを参照して、主軸10が工具マガジン40に工具ホルダ20を渡す方法を説明する。ここで、図8A図8Fは、操作スリーブ挿入穴55aの中心を通る前後・上下平面で工具マガジン40を切断した切断図である。図8Aは、工具ホルダ20が装着された主軸10が、交換位置1へ移動する直前の様子を示す。主軸10は、引掛部56が受容部23bに挿入されるように回転する。図8Aにおいては、受容部23bの底面が前後方向に向くように、主軸10が回転する。次いで、受容部23bの高さを引掛部56の高さに合わせる(図8A)。次に、主軸10は、後方へ移動し、工具ホルダ20が交換位置1に達する(図8B)。この時、操作レバー55は、初期位置に位置する。プッシュレバー51は、初期位置91に位置する。
【0043】
図8Bの状態から、主軸10を上方に引き上げる。工具ホルダ20の受容部23bは、引掛部56に掛かっている。また、ストッパリング57bは、操作レバーストッパ53dに掛かっている。そのため、操作レバー55とプッシュレバー51の距離が保たれる。さらに、プッシュレバー51は、プッシュレバーストッパ43aを介して、抗引上げばね46によって下方に付勢される。ここで、抗引上げばね46の弾性力は、ホルダばね27の弾性力よりも大きい。そのため、操作レバー55と、プッシュレバー51との位置は、保たれる。そして、工具ホルダ20の操作スリーブ23は、上方への移動が規制され、ホルダばね27が縮む。したがって、主軸10が上昇すると、主軸10と操作スリーブ23との位置が離れていく。ここで、ホールド爪25aが円周溝13に掛かっているため、ホールドリング25が操作スリーブ23から引き出される。図8Cに示すように、主軸10が回転可能位置72まで達すると、ドライブキー23aが端面10aから抜ける。主軸10が回転可能位置72に到達したときに、主軸10は、90度回転できる。
【0044】
回転可能位置72から主軸10を更に上方に引き上げてもよい。図8Dは、主軸10を上端73まで引き上げて、プッシュレバー51がストロークの基端92に達した状態を示す。このとき、抗引上げばね46の弾性力に抗して、主軸10と、工具ホルダ20と、操作レバー55と、プッシュレバー51が一体となって、上方に持ち上がる。このとき、操作レバー55とプッシュレバー51は、プッシュレバーガイド50に案内される。小径部51dは、先端側ストッパ41bの外筒面に案内されても良い。
例えば、工具ホルダ20がコレット締結であるために、工具ホルダ20の工具ボディ21の長さが大きくばらつくことがある。この場合、主軸10を回転可能位置72より若干量過剰に引き上げることにより、工具ホルダ20をより確実に受け渡せる。
【0045】
次いで、主軸10を90度回転させる。すると、ホールド爪25aの位置がドライブ溝15と重なる。ドライブ溝15は、円周溝とつながり、上下方向に端面10aに接続される。そのため、ホールド爪95aは、ドライブ溝15を通って主軸10の下方に抜ける。同時に、ホルダばね27の復元力により、操作スリーブ23が、工具ボディ21に対して上昇し、解放位置4に戻る。すると、工具ホルダ20は、主軸10から取り外され、工具マガジン40に支持される。
主軸10が上端73まで上昇していたときには、主軸10が回転すると、操作レバー55とプッシュレバー51は、抗引上げばね46の復元力により、初期位置91に戻る(図8E)。
【0046】
次いで、工具ホルダ20のシャンク21aが主軸穴11から抜けるまで、主軸10を引き上げる(図8F)。これによって、主軸10から工具マガジン40への工具ホルダ20の受け渡しが完了する。
【0047】
図9A図9Eを参照して、工具マガジン40から主軸10への工具ホルダ20の受け渡し方法について説明する。ここで、図9A図9Eは、操作スリーブ挿入穴55aの中心を通る前後・上下平面で工具マガジン40を切断した切断図である。まず、主軸10の中心軸17を、工具マガジン40に収納された工具ホルダ20の中心軸22に一致させる。そして、主軸10を回転し、ドライブ溝15の位置を、ホールド爪25aに合わせる(図9A)。次いで、主軸10を下方に移動する。
【0048】
図9Bに示すように、主軸10を中心軸17に沿って下げると、シャンク21aが主軸穴11に挿入される。主軸10の端面10aが、ドライブキー23aに当接する。このとき、工具ボディ21の先端面は当接面52aから上方に離間している。
さらに主軸10を下げると、操作ばね58が縮み始め、操作レバー55が下がる。そして、工具ボディ21の先端が当接面52aに当接する。
さらに主軸10を下げると、ホルダばね27が縮み、端面10aが端面21bに当接する。すると、ドライブキー23aが端面21bまで到達する。この時、ホールド爪25aは、ドライブ溝15を通過して、円周溝13に達する。この位置が回転可能位置75である。主軸10が回転可能位置75まで到達すれば、主軸10は回転できる。
なお、ホルダばね27のばね荷重よりも抗押込みばね54のばね荷重が強いため、この時点では、プッシュレバー51は動かない。
【0049】
回転可能位置75を超えて、主軸10をさらに押し下げてもよい。図9Cは、主軸10を下端76まで押し下げて、プッシュレバー51がストローク先端94に到達した状態を示す。主軸10を回転可能位置75からさらに押し下げると、工具ホルダ20と、操作レバー55と、プッシュレバー51は、一体となって下降する。操作レバー55は、操作レバーガイド64に案内される。主軸10は、ホルダばね27と、操作ばね58と、抗押込みばね54との弾性力に抗して、下降する。この間、主軸10は回転可能である状態を保つ。このとき、先端側ストッパ41bが小径部51dを案内してもよい。
例えば、操作スリーブ23は、工具ボディ21に遊嵌している。そのため、操作スリーブ23の工具ボディ21に対する位置がばらつくことがある。このときに、主軸10を回転可能位置75よりわずかに押し下げることにより、工具ホルダ20を確実に受け渡せる。
【0050】
次いで、主軸10を90度回転させる。すると、ドライブキー23aの位置が、ドライブ溝15に一致する。主軸10の回転と共に、ホールド爪25aは、円周溝13を円周方向に滑る。ホルダばね27の復元力によって、操作スリーブ23が工具ボディ21に対して押し上げられる。そして、ドライブキー23aがドライブ溝15に嵌り込む。そして、ホールドリング25は、ロック位置2へ移動する。このとき、ホールド爪25aは、円周溝13を下方に付勢して、工具ホルダ20が主軸10にロックされる。操作レバー55は、操作ばね58の復元力によって、操作スリーブ23の移動量だけプッシュレバー51に対して上方に移動する(図9D)。
【0051】
次いで、主軸10を前方へ移動させる。受容部23bが引掛部56から抜けて、操作レバー55とプッシュレバー51が初期位置91に戻る(図9E)。これによって、工具マガジン40から主軸10への工具ホルダ20の受け渡しが完了する。
【0052】
本実施形態の工具マガジン40によれば、工具ホルダ20を主軸10と工具マガジン40との間で自動交換できる。
【0053】
主軸10から工具マガジン40へ工具ホルダ20を受け渡すときにおいて、主軸10を引き上げる場合、操作レバー55へ作用する主軸10の引き上げ力は、交換位置1に付加される。交換位置1は、操作レバーガイド64の前方に位置する。そのため、主軸10を引き上げるときに、操作レバーガイド64に対してモーメントが付加される。傾斜抑制ガイド59が、操作レバーガイド64よりも交換位置1に近くに配置されているため、操作レバー55を上下方向にスムーズに動かす。
【0054】
プランジャ63が、操作スリーブ23をスリーブ当接面55dに向けて付勢する。そのため、例えば、交換位置1にある工具ホルダ20の中心軸17が水平になるように工具マガジン40の設置姿勢を変更しても、工具ホルダ20の位置がずれにくい。
【0055】
(実施形態2)
図10図12に示すように、本実施形態の工具マガジン140は、操作レバー155と、ストッパ178と、マガジンボディ141と、オーバートラベル検知スイッチ160と、先端ドグ147と、基端ドグ149とを有する。本実施形態の工具マガジン140は、傾斜抑制ガイド59を有さない。工具マガジン140のその他の構成は、実施形態1の工具マガジン40と実質的に同一である。
【0056】
操作レバー155は、レバーボディ177と、一対のピンチレバー179と、一対のピンチピン180と、圧縮コイルばね(弾性体)181とを有する。
【0057】
レバーボディ177は、一対のベンチ部177aと、ガイド穴177bと、スリーブ当接面55dと、ばねポスト通過穴55bとを有する。レバーボディ177は、矩形の板状である。一対のベンチ部177aは、レバーボディ177の前方の左右端部に配置される。ベンチ部177aは、レバーボディ177の上面よりも下方に配置された台である。ベンチ部177aは、前端部に向かってレバーボディ177の中央部に延びても良い。ガイド穴177bは、左右方向に延びる円筒穴である。ガイド穴177bは、左右のベンチ部177aの間を貫通する。ガイド穴177bの内径は、圧縮コイルばね181の外径と実質的に同一である。スリーブ当接面55dは、レバーボディ177の前端面である。レバーボディ177の後端は、ばねポスト通過穴55bの中心部まで延びる。ばねポスト通過穴55bは、前方寄りの半円筒状である。
【0058】
各ピンチレバー179は、各ベンチ部177aに配置される。一対のピンチレバー179は、左右対称に配置される。ピンチレバー179は、支点穴179aと、ピンチ部179bと、レバー部179cと、を有する。
支点穴179aは、ピンチレバー179の中央部に配置される。支点穴179aは、ピンチレバー179を鉛直上向きに貫通する。
【0059】
ピンチ部179bは、支点穴179aよりもピンチレバー179の前方部分である。ピンチ部179bは、突出部179dと、当接面179eと、逃げ部179gと、引掛部56とを有する。突出部179dは、ピンチレバー179の前方端部に配置される。突出部179dは、当接面179eを有する。当接面179eは、後方に向かうにつれて操作レバー155の左右端に近づく。逃げ部179gは、突出部179dから後方に向かって延びる。当接面179eと、逃げ部179gと、スリーブ当接面55dとによって、操作スリーブ挿入穴55aが画定される。引掛部56は、ピンチ部179bの下端部に配置される。引掛部56は、逃げ部179gの下方に配置される。
【0060】
レバー部179cは、支点穴179aよりもピンチレバー179の後方部分である。レバー部179cは、保持穴179fを有する。レバー部179cの操作レバー155の内側の端面179hは、後方に向かうにつれて、外方に傾斜する。端面179hとベンチ部177aとのなす角を、逃げ角67とする。保持穴179fは、ピンチレバー179の後端部に配置される。保持穴179fは、左右方向に延びる。保持穴179fは、端面179hに開口する有底穴である。保持穴179fは、ガイド穴177bに面する。
【0061】
一対のピンチピン180は、ベンチ部177aの前方部にそれぞれ配置される。ピンチピン180は、鉛直方向に延びる。ピンチピン180は、軸部180aと、頭部180bとを有する。軸部180aは、支点穴179aを貫通する。軸部180aは、支点穴179aに摺動する。頭部180bは、ピンチレバー179を下方に保持する。ピンチピン180は、ピンチピン180を中心にピンチレバー179を揺動可能に支持する。
【0062】
圧縮コイルばね181は、ガイド穴177bを貫通する。圧縮コイルばね181の左右端は、保持穴179fに支持される。圧縮コイルばね181は、自然長よりも短い長さで配置される。圧縮コイルばね181は、一対のピンチレバー179のレバー部179cを開く方向に付勢する。
【0063】
圧縮コイルばね181は、一対のピンチレバー179に力F1を付与する。そして、圧縮コイルばね181は、ピンチ部179bを操作スリーブ挿入穴55aの径方向内側へ押し出す。ピンチレバー179は、ピンチピン180を支点、保持穴179fを力点、突出部179dを作用点とする梃子として働く。操作スリーブ23が操作スリーブ挿入穴55aに挿入されたときに、突出部179dは、操作スリーブ23に力F2を付与する。ここで、当接面179eは、前後方向に対して傾斜しているため、当接面179eから操作スリーブ23に与える力F2は、やや後方を向く。左右に配置された一対の当接面179eから対称に力F2が操作スリーブ23に与えられる。そのため、一対の当接面179eからの合力によって、操作スリーブ23は、後方に付勢される。これによって、操作スリーブ23をスリーブ当接面55dに当接できる。
【0064】
一対のストッパ178は、レバーボディ177の左右端に配置される。ストッパ178は、例えば、直円柱状である。ストッパ178の一部は、ベンチ部177aの上方に延びる。ストッパ178は、レバー部179cが開く角度を規制する。ストッパ178は、ピンチ部179bが閉じることを抑制して、操作スリーブ23を挿入しやすくする。
なお、レバーボディ177の前端部が、ピンチ部179bが過剰に閉じることを抑制できる形状を有するときは、ストッパ178を省いても良い。
【0065】
先端ドグ147と基端ドグ149は、プッシュレバー51の後端部に配置される。先端ドグ147は、基端ドグ149の上方に配置される。
【0066】
マガジンボディ141は、マガジンボディ41と実質的に同一である。マガジンボディ141は、マガジンボディ41から余分な部分をそぎ落とされている。
オーバートラベル検知スイッチ160は、マガジンボディ141の後端部に配置される。オーバートラベル検知スイッチ160は、検出部160aを有する。プッシュレバー51が上昇して基端92を超えたときに、オーバートラベル検知スイッチ160は、基端ドグ149を検出する。プッシュレバー51が下降して、ストローク先端94を超えたときに、オーバートラベル検知スイッチ160は、先端ドグ147を検出する。
【0067】
図13A及び図13Bを参照して、本実施形態の工具マガジン140の動作及び作用効果について説明する。ここで、図13Aは、操作スリーブ挿入穴55aの中心を通る前後・上下平面で工具マガジン140を切断した切断図である。図13Bは、工具ホルダ20を誤って工具マガジン140に挿入したときにおける、工具マガジン140の平面図である。
【0068】
図13Aに示すように、主軸10が工具マガジン140に工具ホルダ20を渡すときにおいて、主軸10が後方へ移動し、工具ホルダ20が交換位置1に向かう。工具ホルダ20の移動に伴い、ピンチレバー179は、ピンチピン180を中心に揺動して開閉する。そして、工具ホルダ20が交換位置1に到着したときに、引掛部56が受容部23bに挿入される。また、図13Aの逆方向に、工具ホルダ20が工具マガジン140から引き抜かれるときも、ピンチレバー179が開閉する。
【0069】
図13Aに示すように、主軸10が工具マガジン140に工具ホルダ20を渡す際、引掛部56と受容部23bの高さ方向や、回転位相が一致しない場合がある。図13Bに示す例では、回転位相がずれている。このときに、主軸10が交換位置1に向かって工具ホルダ20を後方に移動すると、引掛部56が受容部23bに挿入されず、引掛部56は、操作スリーブ23の外周の円筒面に衝突する。
本実施形態の操作レバー155は、レバーボディ177とピンチレバー179とに分割されている。そして、ピンチレバー179は、ピンチピン180を中心に揺動して開閉できる。図13Bに示すように、主軸10の移動に伴い、ピンチレバー179は、圧縮コイルばね181の弾性力に抗して回転し、ピンチ部179bが開く。ここで、ピンチ部179bは、逃げ角67まで開くことができる。本実施形態の工具マガジン140によれば、ピンチ部179bが開くため、工具ホルダ20や、操作レバー155の破損を抑制できる。
【0070】
(実施形態3)
図14に示すように、本実施形態のピンチレバー279は、逃げ部279gと、板ばね(突起部)279dと、引掛部56を有する。本実施形態のピンチレバー279のその他の構造は、実施形態2のピンチレバー179と実質的に同一である。
【0071】
逃げ部279gは、ピンチレバー279の前端まで延びる。逃げ部279gの下方に引掛部56が配置される。引掛部56は、前端部が切り欠かれても良い。
板ばね279dは、上方から見て三角形状である。板ばね279dは、操作レバー155の外側に向けて力を加えると、弾性変形し、力F3の方向に反発する。板ばね279dは、挿入された操作スリーブ23を弾性力によってスリーブ当接面55dに付勢する。
【0072】
(実施形態4)
図15に示すように、本実施形態のピンチレバー379は、逃げ部379gと、プランジャ(突起部)379dと、引掛部56を有する。本実施形態のピンチレバー379のその他の構造は、実施形態2のピンチレバー179と実質的に同一である。
【0073】
本実施形態の逃げ部379gは、実施形態2の逃げ部279gと同一である。
プランジャ379dは、例えば、スプリングプランジャである。プランジャ379dの先端形状は、上下方向に延びる直円柱である。例えば、プランジャ379dは、内部にコイルばねを有する。プランジャ379dは、矢印F4方向に押し出される。プランジャ379dは、挿入された操作スリーブ23を、コイルばねの弾性力によってスリーブ当接面55dに付勢する。なお、プランジャ379dは、ボールプランジャでも良い。
【0074】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10 主軸
11 主軸穴
13 円周溝
15 ドライブ溝
20 工具ホルダ
21 工具ボディ
21a シャンク
23 操作スリーブ
23a ドライブキー
23b 受容部
25 ホールドリング
25a ホールド爪
27 ホルダばね(ホルダ弾性体)
40 工具マガジン
41 マガジンボディ
53d 操作レバーストッパ
55 操作レバー
55a 操作スリーブ挿入穴
56 引掛部
58 操作ばね(操作弾性体)
64 操作レバーガイド


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15