IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイ・エム・エスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048366
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】吊下げ器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61M5/14 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149652
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2022153253
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 晃平
(72)【発明者】
【氏名】藤村 大介
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 大介
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼村 望
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
(57)【要約】
【課題】取り扱い易い吊下げ器具を提供する。
【解決手段】吊下げ器具1は、使用前状態で表裏面が平坦なシート状をなす器具本体2を備える。器具本体2は、使用時において器具本体2の表面側又は裏面側に曲げて形成される変形部6と、変形部6を除く領域で構成されるベース部7とを有する。変形部6には、ベース部7との間で容器10を保持する保持部8と、容器10を下方から支持する支持部9とが設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用チューブを接続可能な注出口部を有するとともに前記医療用チューブを介して患者に投与する液体を貯留する容器を吊下げる吊下げ器具であって、
使用前状態で表裏面が平坦なシート状をなす器具本体を備え、
該器具本体は、使用時において当該器具本体の表面側又は裏面側に曲げて形成される変形部と、該変形部を除く領域で構成されるベース部とを有し、
前記変形部には、前記ベース部との間で前記容器を保持する保持部と、前記容器を下方から支持する支持部とが設けられていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項2】
請求項1に記載の吊下げ器具において、
前記器具本体は、紙材で形成されていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項3】
請求項1に記載の吊下げ器具において、
前記支持部は、前記注出口部の周囲部分を下方から支持するよう構成されていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の吊下げ器具において、
前記器具本体は、被吊下げ部が一端側部分又は他端側部分に設けられるとともに、前記注出口部に対応可能な開口部が中途部に設けられており、
前記保持部、前記支持部及び前記ベース部は、前記器具本体の一端側領域、中途部領域及び他端側領域でそれぞれ構成され、
前記器具本体は、前記開口部を前記注出口部に対応させた状態で前記保持部及び前記支持部を湾曲変形させて前記容器を囲うように一端部分と他端部分とを繋いで環状にすることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項5】
請求項4に記載の吊下げ器具において、
前記被吊下げ部は、前記器具本体の一端部分に設けられ、当該器具本体のその他の領域よりも幅狭な形状になっており、
前記器具本体の他端部分には、前記被吊下げ部を挿入可能な被係合孔が形成され、当該被係合孔に前記被吊下げ部を挿入するとともに、その基部を前記被係合孔の開口周縁部分に当接させることによって前記器具本体の一端部分と他端部分とを係合させて繋ぐようになっていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項6】
請求項1又は3に記載の吊下げ器具において、
前記器具本体は、所定の方向に並んで延び、且つ、一端から中途部に亘る部分の間隔が前記注出口部の幅寸法に対応する一方、他端側の間隔が前記容器の本体部分の幅寸法に対応する一対のスリットが形成されるとともに、被吊下げ部が他端部分に設けられ、
前記保持部は、前記器具本体における前記各スリットより外側領域の中途部で構成され、
前記支持部は、前記器具本体における前記各スリットより外側領域の一端側に位置する第1支持領域と前記両スリット間の一端側に位置する第2支持領域とで構成され、
前記ベース部は、前記器具本体における前記両スリット間の他端側領域で構成され、
前記器具本体は、前記保持部及び前記第1支持領域を表面側に張り出すように湾曲変形させるとともに、前記第2支持領域を裏面側に張り出すように湾曲変形させて互いに離間した前記保持部と前記ベース部との間に前記容器を入れ込んで前記両第1支持領域の間に前記注出口部を対応させることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項7】
請求項1又は3に記載の吊下げ器具において、
前記保持部は、前記器具本体において並んで延びるよう形成された一対の第1スリットの間で構成され、
前記支持部は、前記器具本体における前記両第1スリットの並設方向一側において当該第1スリットと同方向に並んで延びるよう形成された一対の第2スリットの間で構成され、
前記器具本体における前記両第1スリットの並設方向他側に被吊下げ部が設けられ、
前記器具本体は、前記保持部及び前記支持部を表面側に張り出すように曲げ変形させるとともに、前記ベース部を裏面側に張り出すように曲げ変形させて互いに離間した前記保持部と前記ベース部との間に前記容器を前記注出口部が前記支持部側となるように入れ込むことにより、前記保持部と前記ベース部との間で前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項8】
請求項7に記載の吊下げ器具において、
前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、
前記保持部表面側の中央には、前記両第1スリットの並設方向に延びる第1山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第1山折り線と同方向に延びる第1谷折り線がそれぞれ設けられ、且つ、前記第1山折り線と前記各第1谷折り線との間の寸法がそれぞれ前記容器の側面の幅寸法に対応しており、
前記支持部表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第2山折り線が設けられる一方、前記支持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第2山折り線と同方向に延びる第2谷折り線がそれぞれ設けられ、
前記ベース部表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第3谷折り線が設けられ、
前記器具本体は、前記保持部を前記第1山折り線で山折りしながら前記各第1谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させ、且つ、前記支持部を前記第2山折り線で山折りしながら前記各第2谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記第3谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項9】
請求項7に記載の吊下げ器具において、
前記支持部は、前記第2スリットの延長方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、前記容器における前記注出口部の周囲部分の幅方向両側をそれぞれ支持することを特徴とする吊下げ器具。
【請求項10】
請求項9に記載の吊下げ器具において、
前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、
前記保持部表面側には、前記両第1スリットの並設方向に延びる一対の第1山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記各第1山折り線と同方向に延びる第1谷折り線がそれぞれ設けられ、且つ、前記両第1山折り線間の寸法が前記容器の側面の幅寸法に対応しており、
前記各支持部は、それぞれ前記各第1山折り線に対応する位置に設けられ、各々の表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第2山折り線が設けられる一方、前記支持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第2山折り線と同方向に延びる第2谷折り線がそれぞれ設けられ、
前記ベース部表面側の前記各第1山折り線に対応する位置には、当該各第1山折り線と同方向に延びる第3谷折り線がそれぞれ設けられ、
前記器具本体は、前記保持部を前記各第1山折り線で山折りしながら前記各第1谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させ、且つ、前記支持部を前記各第2山折り線で山折りしながら前記各第2谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記各第3谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項11】
請求項1又は3に記載の吊下げ器具において、
前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、
前記器具本体は、被吊下げ部が一端側部分及び他端側部分の少なくとも一方に設けられるとともに、前記注出口部に対応可能な開口部が中途部に設けられており、
前記保持部、前記支持部及び前記ベース部は、前記器具本体の一端側領域、中途部領域及び他端側領域でそれぞれ構成され、
前記保持部及び前記ベース部の少なくとも一方には、支持孔が設けられ、
前記器具本体の表面側における前記保持部と前記支持部との連続部分には、第4谷折り線が設けられ、
前記器具本体の表面側における前記支持部と前記ベース部との連続部分には、第5谷折り線が設けられ、
前記器具本体は、前記開口部を前記注出口部に対応させた状態で前記容器を囲うように一端部分と他端部分とを繋いで環状にするように前記第4谷折り線及び前記第5谷折り線で谷折りすることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成され、
前記器具本体の使用状態では、前記容器の本体部分が前記支持孔に入り込んだ状態であることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項12】
請求項1又は3に記載の吊下げ器具において、
前記保持部は、前記器具本体において並んで延びるよう形成された一対の第3スリットの間で構成され、
前記支持部は、前記保持部における前記両第3スリットの並設方向他側の端部により構成され、
前記器具本体における前記両第3スリットの並設方向他側に被吊下げ部が設けられ、
前記保持部表面側には、前記両第3スリットの並設方向に延びる一対の第3山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記各第3山折り線と同方向に延びる第6谷折り線がそれぞれ設けられ、
前記ベース部表面側の前記各第3山折り線に対応する位置には、当該各第3山折り線と同方向に延びる第7谷折り線がそれぞれ設けられ、
前記器具本体は、前記保持部を前記各第3山折り線で山折りしながら前記各第6谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記各第7谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項13】
請求項1に記載の吊下げ器具において、
前記器具本体には、その厚み方向に貫通する吊下げ用孔が設けられていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項14】
請求項1に記載の吊下げ器具において、
前記変形部と前記ベース部との連続部分、及び、前記変形部には、当該変形部を折曲変形させる起点となる折り曲げ線が設けられていることを特徴とする吊下げ器具。
【請求項15】
請求項13に記載の吊下げ器具において、
前記器具本体には、前記吊下げ用孔が2つ設けられていることを特徴とする吊下げ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブを介して患者に投与する液体を貯留する容器を吊下げる吊下げ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療現場では、容器に溜まる薬液や栄養剤といった液体を患者に投与する際、吊下げ器具を用いてガートル台に容器が吊下げられるようになっている。
【0003】
例えば、非特許文献1では、略直方体形状をなす容器の長手方向一端に設けられた注出口部を医療用チューブのコネクタ部に接続する一方、容器の長手方向他端に吊下げ器具を取り付けて当該吊下げ器具をガートル台に取り付けることによって容器をガートル台に吊下げている。該吊下げ器具は、一側に開口するとともに外周壁が中心線周りに環状に延びる円形盆状をなす樹脂製の器具本体を備え、該器具本体の他側面中央には、吊下げ用孔を有する舌片部が立設されている。器具本体の外周壁内側には、中心線方向に見て弓状をなす係合爪が外周壁に沿って周方向に等間隔に4つ設けられ、各係合爪は、器具本体の底面部分からスリット状の隙間をあけた位置になっている。隣り合う2つの係合爪の間の寸法は、容器の長手方向他端面の一辺の寸法に対応している。そして、容器の長手方向他端側を器具本体の一側開口から当該器具本体の内側に挿入するとともに器具本体の中心線周りに容器を回転させると、容器の長手方向他端面の各隅部による各係合爪への押圧動作で各隅部が押し潰されて変形しながら器具本体の底面部分と係合爪との間に嵌まり込むようになっていて、これにより、容器が吊下げ具に強固に固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「パックテイル@経腸栄養セットの使用方法」,YouTube[online] [video], 2020年11月30日,インターネット<URL: https://www.youtube.com/watch?v=5rkrZ15NLb8>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の吊下げ器具は、複数の係合爪や舌片部を有する等、樹脂材で一体成形された複雑な立体形状をなしているので、保管する際に嵩張ってしまい、取り扱い難いという問題もある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り扱い易い吊下げ器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、器具本体を使用前状態でシート状をなすようにする一方、使用時において変形させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、医療用チューブを接続可能な注出口部を有するとともに前記医療用チューブを介して患者に投与する液体を貯留する容器を吊下げる吊下げ器具において、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、使用前状態で表裏面が平坦なシート状をなす器具本体を備え、該器具本体は、使用時において当該器具本体の表面側又は裏面側に曲げて形成される変形部と、該変形部を除く領域で構成されるベース部とを有し、前記変形部には、前記ベース部との間で前記容器を保持する保持部と、前記容器を下方から支持する支持部とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記器具本体は、紙材で形成されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1の発明において、前記支持部は、前記注出口部の周囲部分を下方から支持するよう構成されていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明では、第1又は第3の発明において、前記器具本体は、被吊下げ部が一端側部分又は他端側部分に設けられるとともに、前記注出口部に対応可能な開口部が中途部に設けられており、前記保持部、前記支持部及び前記ベース部は、前記器具本体の一端側領域、中途部領域及び他端側領域でそれぞれ構成され、前記器具本体は、前記開口部を前記注出口部に対応させた状態で前記保持部及び前記支持部を湾曲変形させて前記容器を囲うように一端部分と他端部分とを繋いで環状にすることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
第5の発明では、第4の発明において、前記被吊下げ部は、前記器具本体の一端部分に設けられ、当該器具本体のその他の領域よりも幅狭な形状になっており、前記器具本体の他端部分には、前記被吊下げ部を挿入可能な被係合孔が形成され、当該被係合孔に前記被吊下げ部を挿入するとともに、その基部を前記被係合孔の開口周縁部分に当接させることによって前記器具本体の一端部分と他端部分とを係合させて繋ぐようになっていることを特徴とする。
【0014】
第6の発明では、第1又は第3の発明において、前記器具本体は、所定の方向に並んで延び、且つ、一端から中途部に亘る部分の間隔が前記注出口部の幅寸法に対応する一方、他端側の間隔が前記容器の本体部分の幅寸法に対応する一対のスリットが形成されるとともに、被吊下げ部が他端部分に設けられ、前記保持部は、前記器具本体における前記各スリットより外側領域の中途部で構成され、前記支持部は、前記器具本体における前記各スリットより外側領域の一端側に位置する第1支持領域と前記両スリット間の一端側に位置する第2支持領域とで構成され、前記ベース部は、前記器具本体における前記両スリット間の他端側領域で構成され、前記器具本体は、前記保持部及び前記第1支持領域を表面側に張り出すように湾曲変形させるとともに、前記第2支持領域を裏面側に張り出すように湾曲変形させて互いに離間した前記保持部と前記ベース部との間に前記容器を入れ込んで前記両第1支持領域の間に前記注出口部を対応させることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
第7の発明では、第1又は第3の発明において、前記保持部は、前記器具本体において並んで延びるよう形成された一対の第1スリットの間で構成され、前記支持部は、前記器具本体における前記両第1スリットの並設方向一側において当該第1スリットと同方向に並んで延びるよう形成された一対の第2スリットの間で構成され、前記器具本体における前記両第1スリットの並設方向他側に被吊下げ部が設けられ、前記器具本体は、前記保持部及び前記支持部を表面側に張り出すように曲げ変形させるとともに、前記ベース部を裏面側に張り出すように曲げ変形させて互いに離間した前記保持部と前記ベース部との間に前記容器を前記注出口部が前記支持部側となるように入れ込むことにより、前記保持部と前記ベース部との間で前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
第8の発明では、第7の発明において、前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、前記保持部表面側の中央には、前記両第1スリットの並設方向に延びる第1山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第1山折り線と同方向に延びる第1谷折り線がそれぞれ設けられ、且つ、前記第1山折り線と前記各第1谷折り線との間の寸法がそれぞれ前記容器の側面の幅寸法に対応しており、前記支持部表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第2山折り線が設けられる一方、前記支持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第2山折り線と同方向に延びる第2谷折り線がそれぞれ設けられ、前記ベース部表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第3谷折り線が設けられ、前記器具本体は、前記保持部を前記第1山折り線で山折りしながら前記各第1谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させ、且つ、前記支持部を前記第2山折り線で山折りしながら前記各第2谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記第3谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする。
【0017】
第9の発明では、第7の発明において、前記支持部は、前記第2スリットの延長方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、前記容器における前記注出口部の周囲部分の幅方向両側をそれぞれ支持することを特徴とする。
【0018】
第10の発明では、第9の発明において、前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、前記保持部表面側には、前記両第1スリットの並設方向に延びる一対の第1山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記各第1山折り線と同方向に延びる第1谷折り線がそれぞれ設けられ、且つ、前記両第1山折り線間の寸法が前記容器の側面の幅寸法に対応しており、前記各支持部は、それぞれ前記各第1山折り線に対応する位置に設けられ、各々の表面側の前記第1山折り線に対応する位置には、当該第1山折り線と同方向に延びる第2山折り線が設けられる一方、前記支持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記第2山折り線と同方向に延びる第2谷折り線がそれぞれ設けられ、前記ベース部表面側の前記各第1山折り線に対応する位置には、当該各第1山折り線と同方向に延びる第3谷折り線がそれぞれ設けられ、前記器具本体は、前記保持部を前記各第1山折り線で山折りしながら前記各第1谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させ、且つ、前記支持部を前記各第2山折り線で山折りしながら前記各第2谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記各第3谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする。
【0019】
第11の発明では、第1又は第3の発明において、前記容器は、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法である六面体形状をなしており、前記器具本体は、被吊下げ部が一端側部分及び他端側部分の少なくとも一方に設けられるとともに、前記注出口部に対応可能な開口部が中途部に設けられており、前記保持部、前記支持部及び前記ベース部は、前記器具本体の一端側領域、中途部領域及び他端側領域でそれぞれ構成され、前記保持部及び前記ベース部の少なくとも一方には、支持孔が設けられ、前記器具本体の表面側における前記保持部と前記支持部との連続部分には、第4谷折り線が設けられ、前記器具本体の表面側における前記支持部と前記ベース部との連続部分には、第5谷折り線が設けられ、前記器具本体は、前記開口部を前記注出口部に対応させた状態で前記容器を囲うように一端部分と他端部分とを繋いで環状にするように前記第4谷折り線及び前記第5谷折り線で谷折りすることにより、前記保持部と前記ベース部とで前記容器の本体部分を保持し、且つ、前記支持部で前記容器を下方から支持して使用状態にするよう構成され、前記器具本体の使用状態では、前記容器の本体部分が前記支持孔に入り込んだ状態であることを特徴とする。
【0020】
第12の発明では、第1又は第3の発明において、前記保持部は、前記器具本体において並んで延びるよう形成された一対の第3スリットの間で構成され、前記支持部は、前記保持部における前記両第3スリットの並設方向他側の端部により構成され、前記器具本体における前記両第3スリットの並設方向他側に被吊下げ部が設けられ、前記保持部表面側には、前記両第3スリットの並設方向に延びる一対の第3山折り線が設けられる一方、前記保持部表面側の前記ベース部との各連続部分には、前記各第3山折り線と同方向に延びる第6谷折り線がそれぞれ設けられ、前記ベース部表面側の前記各第3山折り線に対応する位置には、当該各第3山折り線と同方向に延びる第7谷折り線がそれぞれ設けられ、前記器具本体は、前記保持部を前記各第3山折り線で山折りしながら前記各第6谷折り線で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、前記ベース部を前記各第7谷折り線で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて使用状態にすることを特徴とする。
【0021】
第13の発明では、第1の発明において、前記器具本体には、その厚み方向に貫通する吊下げ用孔が設けられていることを特徴とする。
【0022】
第14の発明では、第1の発明において、前記変形部と前記ベース部との連続部分、及び、前記変形部には、当該変形部を折曲変形させる起点となる折り曲げ線が設けられていることを特徴とする。
【0023】
第15の発明では、第13の発明において、前記器具本体には、前記吊下げ用孔が2つ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明では、使用前状態の形がシート状であって保管する際に嵩張らないようにすることができ、一方で、使用時には、器具本体の所定の位置を曲げて容器を保持及び支持する箇所を発生させるだけであるので、取り扱い易い吊下げ器具にすることができる。
【0025】
第2の発明では、器具全体が紙材からなるので、環境負荷の低減に大きく寄与することができる。
【0026】
第3の発明では、吊下げた容器における注出口部の位置が安定するようになるので、投与作業時における容器内の液体の医療用チューブへの輸送状態を安定させることができる。
【0027】
第4の発明では、使用者が吊下げ器具を使用する際、器具本体を湾曲変形させて端部同士を繋ぐという作業だけで使用状態になる。このように、使用時において器具本体を変形させる準備作業が簡単になり、使い易い吊下げ器具にすることができる。また、使用時において器具本体を湾曲変形させる際に器具本体の環状部分の大きさを変えることで保持部とベース部との間の寸法と支持部の長さ寸法とを変化させることができるので、吊下げる容器の大きさを変更可能になる。したがって、複数種の容器を吊下げるのに使用することができ、汎用性の高い吊下げ器具にすることができる。さらに、容器を吊下げる際に注出口部が開口部から臨むようになるので、使用者は、医療用チューブを注出口部に簡単に接続することができ、使用感の良い吊下げ器具にすることができる。
【0028】
第5の発明では、被吊下げ部を被係合孔に差し込むだけで器具本体の一端部分と他端部分とを繋ぐことができるので、使用時において器具本体を変形させる準備作業がさらに簡単になり、短い時間で手際良く容器を吊下げることができる。また、器具本体を変形させる際に、接着剤等を使用しないので、加工コストを低く抑えることができる。
【0029】
第6の発明では、器具本体を湾曲変形させる際に当該器具本体の各領域の変形量を変えることで保持部とベース部との間の寸法と支持部の長さ寸法とを変化させることができるので、吊下げる容器の大きさを変更可能になる。したがって、複数種の容器を吊下げるのに使用することができ、汎用性の高い吊下げ器具にすることができる。また、容器を吊下げる際に注出口部が支持部の離間している箇所から臨むようになるので、使用者は、医療用チューブを注出口部に簡単に接続することができ、使用感の良い吊下げ器具にすることができる。さらに、保持部が容器の幅方向両側の位置を離間して保持するようになるので、容器の表面を器具本体の表面側と同じ向きとなるように器具本体に容器を取り付けた状態で容器表面に記載の内容物表示等が目視確認可能となる。したがって、使用者は、投与作業を開始した後であっても、容器の種類等を確認することができる。また、器具本体を変形させる際に、接着剤等を使用しないので、加工コストを低く抑えることができる。
【0030】
第7の発明では、容器を吊下げ器具に取り付けた際、保持部とベース部とで容器の側方を全周に亘って囲った状態で支持部が容器を下方から支持するようになる。したがって、容器が吊下げ器具から不意に外れてしまうといったことを防ぐことができるようになり、吊下げ器具からの容器の落下を防ぐことができる。
【0031】
第8の発明では、保持部とベース部とで囲われる箇所が容器の本体部分の横断面に対応する略正方形状になるので、保持部とベース部とで容器を保持した際に器具本体に対して容器がずれなくなる。したがって、吊下げ器具に対する容器の取付状態を安定させることができ、吊下げ器具からの容器の落下を確実に防ぐことができる。
【0032】
第9の発明では、支持部が容器をその幅方向両側の離れた2箇所の位置で下方から支持するようになるので、容器を吊下げ器具に取り付けた際、器具本体に対する容器の姿勢を安定させることができる。
【0033】
第10の発明では、容器の4つの側面のうちの表面を器具本体の表面側と同じ向きとなるように取り付けることができるようになるので、もし仮に、注出口部を含む面が容器の表面側に傾いている場合、容器が取り付けられた吊下げ器具を吊下げると、吊下げ位置の真下に容器が移動するように器具本体がその裏面側に斜めに傾くが、それに伴って注出口部を含む面が略水平に延びる姿勢となる。そうすると、投与終了時における容器内の残液が少なくなり、容器内の液体を無駄なく使用することができる。
【0034】
第11の発明では、吊下げ器具の使用状態では、容器の本体部分が保持部及びベース部の少なくとも一方に設けられた支持孔に入り込んだ状態となっている。これにより、吊下げ器具から容器が落下するのを抑制することができる。
【0035】
第12の発明では、第3スリットにより、保持部と支持部とを設けることが可能となる。これにより、例えば、支持部のためにスリットを別途設ける必要が無くなるので、吊下げ器具の加工コストを低く抑えることができる。
【0036】
第13の発明では、例えば、医療現場に配置されているガートル台の如き吊下げ体に吊下げ用孔を引っ掛けて容器を吊下げることができるようになる。したがって、医療従事者による吊下げ作業が簡単になるとともに、不意に容器に力が加わっても吊下げ体から容器が外れ難くなり、容器の吊下げ状態を安定させることができる。また、吊下げ体に吊下げる構造を容易に形成することができるので、加工コストを低く抑えることができる。
【0037】
第14の発明では、変形部とベース部との連続部分、及び、変形部において曲げる位置が明確になるとともに曲げ易くなる。したがって、医療従事者は、時間をかけずに効率良く吊下げ器具を使用前状態から使用状態にすることができる。
【0038】
第15の発明では、例えば、ガートル台の如き吊下げ体に容器を吊下げる際、吊下げ器具に設けられた2つの吊下げ用孔が吊下げ体に引っ掛けられるようになる。これにより、不意に吊下げ器具に力が加わることで、吊下げ体から吊下げ器具が外れてしまい、該吊下げ器具とともに容器が落下する事態が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の実施形態1に係る吊下げ器具の使用前状態の正面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る吊下げ器具の使用状態の斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る吊下げ器具の使用状態の正面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る吊下げ器具の使用状態の側面図である。
図5】本発明の実施形態1に係る吊下げ器具の使用状態の背面図である。
図6】本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
図7】本発明の実施形態2に係る図2相当図である。
図8】本発明の実施形態2に係る図3相当図である。
図9】本発明の実施形態2に係る図4相当図である。
図10】本発明の実施形態2に係る図5相当図である。
図11】本発明の実施形態3に係る図1相当図である。
図12】本発明の実施形態3に係る図2相当図である。
図13】本発明の実施形態3に係る図3相当図である。
図14】本発明の実施形態3に係る図4相当図である。
図15】本発明の実施形態3に係る図5相当図である。
図16】本発明の実施形態4に係る図11相当図である。
図17】本発明の実施形態4に係る図12相当図である。
図18】本発明の実施形態4に係る図13相当図である。
図19】本発明の実施形態4に係る図14相当図である。
図20】本発明の実施形態4に係る図15相当図である。
図21】本発明の実施形態5に係る図1相当図である。
図22】本発明の実施形態5に係る図2相当図である。
図23】本発明の実施形態6に係る図1相当図である。
図24】本発明の実施形態6に係る図2相当図である。
図25】本発明の実施形態6に係る図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0041】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る吊下げ器具1を示す。該吊下げ器具1は、図2に示すように、経腸栄養を行う際に患者(図示せず)に対して投与する栄養剤(液体)を貯留する容器10をガートル台20に吊下げるためのものであり、紙材で形成されている。
【0042】
吊下げ器具1で吊り下げられる容器10は、本体部分が紙材で形成された略直方体形状(六面体形状)をなしており、本体部分の周方向に連続する4つの側面が同じ幅寸法になっている。すなわち、容器10の本体部分は、横断面が略正方形状をなしている。
【0043】
容器10の長手方向一端面は、当該容器10の表面側に傾斜するとともに、医療用チューブ11のコネクタ部11aを接続可能な注出口部10aが設けられている。本発明の実施形態1では、注出口部10aには、アダプター11bが取り付けられている。そして、コネクタ部11aは、アダプター11bを介して注出口部10aに接続されるようになっている。
【0044】
吊下げ器具1は、図1に示すように、使用前状態で表裏面が平坦な帯状(シート状)をなす紙製の器具本体2を備えている。
【0045】
該器具本体2の一端側部分には、ガートル台20に吊下げる箇所となる舌片状の被吊下げ部3が設けられている。
【0046】
該被吊下げ部3は、器具本体2のその他の領域よりも幅狭な形状になっていて、その先端寄りの位置には、吊下げ用孔3aが貫通形成されている。
【0047】
一方、器具本体2の他端部分には、当該器具本体2の幅方向に直線状に細長く延びる被係合孔4が形成されている。
【0048】
該被係合孔4は、その長さが被吊下げ部3の幅寸法に対応していて、当該被吊下げ部3を挿入可能になっている。
【0049】
また、器具本体2には、当該器具本体2の長手方向に延びる長円形状をなす開口部5が中途部から他端寄りの位置に亘って形成されている。
【0050】
器具本体2は、図2乃至図5に示すように、当該器具本体2の裏面側に曲げて使用するようになっていて、器具本体2を裏面側に湾曲変形させて形成される変形部6と、該変形部6を除く領域で構成されるベース部7とを有している。
【0051】
変形部6には、器具本体2の一端側領域で構成され、ベース部7との間で容器10を保持する保持部8と、器具本体2の中途部領域で構成され、容器10を下方から支持する支持部9とが設けられている。また、ベース部7は、器具本体2の他端側領域で構成されている。
【0052】
そして、器具本体2は、開口部5を注出口部10aに対応させるとともに、アダプター11bを介して注出口部10aに医療用チューブ11のコネクタ部11aを接続した状態で保持部8及び支持部9を裏面側に湾曲変形させて容器10を囲うようにし、被係合孔4に被吊下げ部3を挿入するとともに、その基部を被係合孔4の開口周縁部分に当接させることによって器具本体2の一端部分と他端部分とを係合させて繋ぐようになっている。
【0053】
器具本体2の一端部分と他端部分とを繋ぐと、器具本体2が環状になって使用状態になり、被吊下げ部3の吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けると、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を挟んで保持し、且つ、支持部9で容器10における注出口部10aの周囲部分を下方から支持して容器10がガートル台20に吊下げられて使用状態となるようになっている。
【0054】
このとき、開口部5における器具本体2の他端側領域に対応する箇所によって容器10の側面が露出した状態になり、容器10の表面を器具本体2の表面側と同じ向きとなるように器具本体2に容器10を取り付けた場合、容器10の表面に記載の内容物表示等を目視確認することができる。
【0055】
このように、本発明の実施形態1では、容器10のみならず、当該容器10を吊下げる吊下げ器具1が紙材からなるので、環境負荷の低減に大きく寄与することができる。
【0056】
また、吊下げ器具1の使用前状態の形がシート状であって保管する際に嵩張らないようにすることができ、一方で、使用時には、器具本体2の所定の位置を曲げて容器10を保持及び支持する箇所を発生させるだけであるので、取り扱い易い吊下げ器具1にすることができる。
【0057】
さらに、使用者が実施形態1の吊下げ器具1を使用する際、器具本体2を湾曲変形させて端部同士を繋ぐという作業だけで使用状態になる。このように、使用時において器具本体2を変形させる準備作業が簡単になり、使い易い吊下げ器具1にすることができる。
【0058】
また、使用時において器具本体2を湾曲変形させる際に器具本体2の環状部分の大きさを変えることで保持部8とベース部7との間の寸法と支持部9の長さ寸法とを変化させることができるので、吊下げる容器10の大きさを変更可能になる。したがって、複数種の容器10を吊下げるのに使用することができ、汎用性の高い吊下げ器具1にすることができる。
【0059】
さらに、容器10を吊下げる際に注出口部10aが開口部5から臨むようになるので、使用者は、医療用チューブ11のコネクタ部11aを注出口部10aに簡単に接続することができ、使用感の良い吊下げ器具1にすることができる。
【0060】
また、使用状態において、支持部9が容器10における注出口部10aの周囲部分を下方から支持しているので、吊下げた容器10における注出口部10aの位置が安定するようになる。したがって、投与作業時における容器10内の栄養剤の医療用チューブ11への輸送状態を安定させることができる。
【0061】
また、ガートル台20に吊下げ用孔3aを引っ掛けて容器10を吊下げることができるので、医療従事者による吊下げ作業が簡単になるとともに、不意に容器10に力が加わってもガートル台20から容器10が外れ難くなり、容器10の吊下げ状態を安定させることができる。また、ガートル台20に吊下げる構造を容易に形成することができるので、加工コストを低く抑えることができる。
【0062】
尚、本発明の実施形態1の吊下げ器具1は、紙材で形成されているが、その種類としては、例えば、段ボール材や環境保護を目的として作られた合成紙等であってもよい。また、吊下げ器具1を板状の熱可塑性樹脂材で形成するようにしてもよい。そうすると、使用前状態においても立体構造をなす一般的な樹脂材で一体成形された吊下げ器具よりも使用する樹脂材の量を減らした構造にすることができる。
【0063】
また、本発明の実施形態1では、器具本体2の一端側部分と他端側部分とを繋ぐのに、被係合孔4に被吊下げ部3を挿入して係合させる構成になっているが、これに限らず、例えば、一方が鉤形状をなして他方に引っ掛けて繋ぐ構成であってもよいし、接着剤や接着テープ等で繋いでもよい。
【0064】
また、本発明の実施形態1では、器具本体2の変形部6を裏面側に曲げて一端側部分と他端側部分とを繋ぐことにより器具本体2を使用状態にしているが、器具本体2の変形部6を表面側に曲げて一端側部分と他端側部分とを繋いで器具本体2を使用状態にする構成であってもよい。
【0065】
また、本発明の実施形態1では、器具本体2の一端側部分に設けられた被吊下げ部3がその他の領域より幅狭な形状である一方、当該幅狭な形状の被吊下げ部3に対応する寸法の被係合孔4が器具本体2の他端側部分に形成され、当該被係合孔4に被吊下げ部3を挿入して使用状態にする構成になっているが、これに限らず、例えば、器具本体2の他端側部分をその他の領域より幅広な形状にするとともに当該幅広な形状部分に器具本体2の一端側部分の幅寸法に対応する被係合孔4を形成する一方、器具本体2の一端側部分を被吊下げ部3とし、当該被吊下げ部3を被係合孔4に挿入して使用状態にする構成であってもよい。
【0066】
また、本発明の実施形態1では、器具本体2において、吊下げた容器10の長手方向一端面及び他端面の周縁部分に対応する箇所を湾曲変形させて使用状態にしているが、これに限らず、例えば、吊下げた容器10の長手方向他端面の周縁部分に対応するベース部7の箇所、及び、吊下げた容器10の長手方向一端面の周縁部分に対応するベース部7と支持部9との間や保持部8と支持部9との間の箇所に折り曲げ線を設けて、当該折り曲げ線で器具本体2を折り曲げて使用状態にするようにしてもよい。そうすると、器具本体2を使用状態にする際に折り曲げる位置が明確になるだけでなく曲げ易くなるので、医療従事者は、時間をかけずに効率良く吊下げ器具1を使用前状態から使用状態にすることができる。
【0067】
《発明の実施形態2》
図6は、本発明の実施形態2の吊下げ器具1を示す。この実施形態2では、使用時において器具本体2の曲げる領域の構造が実施形態1と異なっているので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0068】
実施形態2の器具本体2は、使用前状態において実施形態1の器具本体2よりも短い帯状をなしている。実施形態2の器具本体2には、その延長方向に並んで延びる一対のスリット2aが器具本体2の幅方向に対称に形成されている。
【0069】
両スリット2aは、一端から中途部に亘る部分の間隔D1が容器10の注出口部10aの幅寸法に対応する一方、他端側の間隔D2が容器10の本体部分の幅寸法に対応していて、各スリット2aの中途部は、各スリット2aの他端側に緩やかに湾曲しながら繋がっている。
【0070】
また、器具本体2の表面側における両スリット2aの一端の間には、山折り線2b(折り曲げ線)が設けられている。
【0071】
一方、器具本体2の長手方向他端の中央部分には、半円形状をなす被吊下げ部3が設けられ、該被吊下げ部3の中央には、吊下げ用孔3aが貫通形成されている。
【0072】
実施形態2の保持部8は、器具本体2における各スリット2aより外側領域の中途部で構成されている。
【0073】
また、実施形態2の支持部9は、器具本体2における各スリット2aより外側領域の一端側に位置する第1支持領域9aと両スリット2a間の一端側に位置する第2支持領域9bとで構成されている。
【0074】
さらに、ベース部7は、器具本体2における両スリット2a間の他端側領域で構成されている。
【0075】
器具本体2は、使用時において、保持部8及び第1支持領域9aを表面側に張り出すように湾曲変形させるとともに、山折り線2bにおいて山折りしながら第2支持領域9bを裏面側に張り出すように湾曲変形させることにより、図7乃至図10に示すように、保持部8とベース部7とを互いに離間させるようになっている。
【0076】
そして、保持部8とベース部7とを互いに離間させた状態で、その間に容器10を入れ込んで両第1支持領域9aの間に容器10の注出口部10aを対応させ、且つ、アダプター11bを介して注出口部10aに医療用チューブ11のコネクタ部11aを接続するとともに、被吊下げ部3の吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けると、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を挟んで保持し、且つ、支持部9で容器10における注出口部10aの周囲部分を下方から支持した状態で容器10がガートル台20に吊下げられて使用状態となるようになっている。
【0077】
このように、本発明の実施形態2によると、保持部8が容器10の幅方向両側の位置を離間して保持するようになるので、容器10の表面を器具本体2の表面側と同じ向きとなるように器具本体2に容器10を取り付けた状態で容器10の表面に記載の内容物表示等が目視確認可能となる。したがって、使用者は、投与作業を開始した後であっても、容器10の種類等を確認することができる。
【0078】
また、器具本体2を変形させる際に、接着剤等を使用しないので、加工コストを低く抑えることができる。
【0079】
さらに、器具本体2を湾曲変形させる際に当該器具本体2の各領域の変形量を変えることで保持部8とベース部7との間の寸法と支持部9の長さ寸法とを変化させることができるので、吊下げる容器10の大きさを変更可能になる。したがって、複数種の容器10を吊下げるのに使用することができ、汎用性の高い吊下げ器具1にすることができる。
【0080】
また、容器10を吊下げる際に注出口部10aが支持部9の離間している箇所から臨むようになるので、使用者は、医療用チューブ11のコネクタ部11aを注出口部10aに簡単に接続することができ、使用感の良い吊下げ器具1にすることができる。
【0081】
また、保持部8及び支持部9には、当該保持部8及び支持部9を折曲変形させる起点となる山折り線2bが設けられているので、保持部8及び支持部9において曲げる位置が明確になるとともに曲げ易くなる。したがって、医療従事者は、時間をかけずに効率良く吊下げ器具1を使用前状態から使用状態にすることができる。
【0082】
尚、本発明の実施形態1,2の器具本体2は、使用前状態において帯状をなしているが、これに限らず、例えば、正方形状や楕円形状であってもよい。
【0083】
《発明の実施形態3》
図11は、本発明の実施形態3の吊下げ器具1を示す。この実施形態3では、器具本体2の外形と、使用時において器具本体2の曲げる部分の構造とが実施形態1と異なっているので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0084】
実施形態3の器具本体2は、使用前状態において楕円シート状をなしている。器具本体2の幅方向中央部分には、所定の間隔をあけて並んで延びる一対の第1スリット2cが形成され、実施形態3の保持部8は、両第1スリット2cの間で構成されている。
【0085】
保持部8表面側の中央には、両第1スリット2cの並設方向に延びる第1山折り線M1(折り曲げ線)が設けられる一方、保持部8表面側のベース部7との各連続部分には、第1山折り線M1と同方向に延びる第1谷折り線V1(折り曲げ線)がそれぞれ設けられている。
【0086】
第1山折り線M1と各第1谷折り線V1との間の寸法は、それぞれ容器10の側面の幅寸法に対応している。
【0087】
器具本体2の幅方向中央で、且つ、両第1スリット2cの並設方向一側には、当該第1スリット2cと同方向に平行に延びる一対の第2スリット2dが形成され、実施形態3の支持部9は、両第2スリット2dの間で構成されている。
【0088】
第2スリット2dの長さは、第1スリット2cの約1/3程度に設定されている。
【0089】
支持部9表面側の第1山折り線M1に対応する位置には、当該第1山折り線M1と同方向に延びる第2山折り線M2(折り曲げ線)が設けられる一方、支持部9表面側のベース部7との各連続部分には、第2山折り線M2と同方向に延びる第2谷折り線V2(折り曲げ線)がそれぞれ設けられている。
【0090】
器具本体2の幅方向中央で、且つ、両第1スリット2cの並設方向他側の領域には、被吊下げ部3が設けられ、該被吊下げ部3の中央には、器具本体2の幅方向に延びる長方形状をなす吊下げ用孔3aが形成されている。
【0091】
ベース部7表面側の第1山折り線M1に対応する位置には、当該第1山折り線M1と同方向に延びる第3谷折り線V3(折り曲げ線)が設けられている。
【0092】
器具本体2は、使用時において、図12乃至図15に示すように、保持部8を第1山折り線M1で山折りしながら各第1谷折り線V1で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、ベース部7の保持部8周りを第3谷折り線V3で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて保持部8とベース部7とを互いに離間させるようになっている。
【0093】
保持部8とベース部7とを互いに離間させると、当該保持部8とベース部7とで囲われる箇所が容器10の本体部分の横断面に対応する略正方形状になるので、医療用チューブ11のコネクタ部11aが注出口部10aに接続された容器10を保持部8とベース部7との間に注出口部10aが支持部9側となるように入れ込むのが可能になる。
【0094】
保持部8とベース部7との間に容器10を入れ込んだ後、支持部9を第2山折り線M2で山折りしながら各第2谷折り線V2で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、ベース部7の支持部9周りを第3谷折り線V3で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて容器10における注出口部10aの周囲部分に接触させ、且つ、被吊下げ部3の吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けると、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を挟んで保持し、且つ、支持部9で容器10における注出口部10aの周囲部分を下方から支持した状態で容器10がガートル台20に吊下げられて使用状態となるようになっている。
【0095】
このように、本発明の実施形態3によると、容器10を吊下げ器具1に取り付けた際、保持部8とベース部7とで容器10の側方を全周に亘って囲った状態で支持部9が容器10を下方から支持するようになる。したがって、容器10が吊下げ器具1から不意に外れてしまうといったことを防ぐことができるようになり、吊下げ器具1からの容器10の落下を防ぐことができる。
【0096】
また、保持部8とベース部7とで囲われる箇所が容器10の本体部分の横断面に対応する略正方形状になるので、保持部8とベース部7とで容器10を保持した際に器具本体2に対して容器10がずれなくなる。したがって、吊下げ器具1に対する容器10の取付状態を安定させることができ、吊下げ器具1からの容器10の落下を確実に防ぐことができる。
【0097】
さらに、変形部6(保持部8及び支持部9)とベース部7との連続部分には、変形部6を折曲変形させる起点となる第1谷折り線V1及び第2谷折り線V2が設けられ、かつ、変形部6には、当該変形部6を折曲変形させる起点となる第1山折り線M1及び第2山折り線M2が設けられているので、変形部6とベース部7との連続部分、及び、変形部6において曲げる位置が明確になるとともに曲げ易くなる。したがって、医療従事者は、時間をかけずに効率良く吊下げ器具1を使用前状態から使用状態にすることができる。
【0098】
尚、本発明の実施形態3では、一対の第1スリット2cや第2スリット2dを器具本体2の幅方向中央部分に形成しているが、その他の位置に形成してもよい。
【0099】
《発明の実施形態4》
図16は、本発明の実施形態4の吊下げ器具1を示す。この実施形態4では、器具本体2の外形及び吊下げ用孔3aの形状と、支持部9の数と、使用時において器具本体2の曲げる領域の構造とが実施形態3と異なっているだけで、その他の部分は実施形態3と同じであるので、実施形態3と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0100】
実施形態4の器具本体2は、使用前状態において実施形態3の器具本体2よりも縦長な楕円シート状をなしている。また、実施形態4の吊下げ用孔3aは、器具本体2の長手方向に延びる長円形状をなしている。
【0101】
第1山折り線M1は、保持部8表面側において一対設けられ、両第1山折り線M1間の寸法は、容器10の側面の幅寸法に対応している。
【0102】
また、器具本体2における幅方向一側の隣り合う第1山折り線M1と第1谷折り線V1との間の寸法は、器具本体2における幅方向他側の隣り合う第1山折り線M1と第1谷折り線V1との間の寸法と同じに設けられている。
【0103】
支持部9は、第2スリット2dの延長方向に所定の間隔をあけて一対設けられ、各支持部9は、それぞれ各第1山折り線M1に対応する位置となっている。
【0104】
第2山折り線M2が各支持部9の表面側中央に設けられていて、それぞれ各第1山折り線M1に対応する位置となっている。
【0105】
また、第2谷折り線V2は、支持部9表面側のベース部7との各連続部分にそれぞれ設けられ、第2山折り線M2と同方向に延びている。
【0106】
第3谷折り線V3は、ベース部7表面側の各第1山折り線M1に対応する位置にそれぞれ設けられ、各第1山折り線M1と同方向に延びている。
【0107】
器具本体2は、使用時において、図17乃至図20に示すように、保持部8を各第1山折り線M1で山折りしながら各第1谷折り線V1で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、ベース部7の保持部8周りを各第3谷折り線V3で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて保持部8とベース部7とを互いに離間させるようになっている。
【0108】
保持部8とベース部7とを互いに離間させると、当該保持部8の両第1山折り線M1間の寸法が容器10の側面の幅寸法に対応しているので、医療用チューブ11のコネクタ部11aが注出口部10aに接続された容器10を保持部8とベース部7との間に容器10の本体部分の表面が器具本体2の表面側を向くように、且つ、注出口部10aが支持部9側となるように入れ込むのが可能になる。
【0109】
保持部8とベース部7との間に容器10を入れ込んだ後、各支持部9を第2山折り線M2で山折りしながら各第2谷折り線V2で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、ベース部7の各支持部9周りを各第3谷折り線V3で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて容器10における注出口部10aの周囲部分に接触させ、且つ、被吊下げ部3の吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けると、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を挟んで保持し、且つ、各支持部9で容器10における注出口部10aの周囲部分の幅方向両側を下方からそれぞれ支持した状態で容器10がガートル台20に吊下げられて使用状態となるようになっている。
【0110】
このように、本発明の実施形態4によると、容器10の4つの側面のうちの表面を器具本体2の表面側と同じ向きとなるように取り付けることができるようになるので、本発明の実施形態4で吊下げる容器10のように、注出口部10aを含む面が容器10の表面側に傾いている場合、器具本体2に容器10を取り付けて吊下げ器具1を吊下げると、吊下げ位置の真下に容器10が移動するように器具本体2がその裏面側に斜めに傾くが、それに伴って注出口部10aを含む面が略水平に延びる姿勢となる。そうすると、投与終了時における容器10内の残液が少なくなり、容器10内の液体を無駄なく使用することができる。
【0111】
また、支持部9が容器10をその幅方向両側の離れた2箇所の位置で下方から支持するようになるので、容器10を吊下げ器具1に取り付けた際、器具本体2に対する容器10の姿勢を安定させることができる。
【0112】
《発明の実施形態5》
図21は、本発明の実施形態5の吊下げ器具1を示す。この実施形態5では、器具本体2の外形と、使用時において器具本体2の曲げる領域の構造が実施形態1と異なっているので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0113】
実施形態5の器具本体2は、一端部分に被吊下げ部3が設けられている。該被吊下げ部3は、器具本体2のその他の領域よりも幅狭な形状となっていて、その先端寄りの位置には吊下げ用孔3aが貫通形成されている。
【0114】
また、器具本体2の他端部分には、他の被吊下げ部3bが設けられている。該他の被吊下げ部3bの先端寄りの位置には、吊下げ用孔3aが貫通形成されている。被吊下げ部3及び他の被吊下げ部3bのそれぞれに設けられた吊下げ用孔3aは、円形状をなしている。
【0115】
他の被吊下げ部3には、器具本体2の幅方向に直線状に細長く延びる被係合孔4が設けられている。該被係合孔4は、その長さが被吊下げ部3の幅方向寸法より大きな孔となっている。これにより、被吊下げ部3を被係合孔4に挿入可能となっている。
【0116】
器具本体2は、図22に示すように、器具本体2の表面側に曲げて使用するようになっている。そして、器具本体2は、器具本体2を表面側に折曲変形させて形成される変形部6と、該変形部6を除く領域で構成されるベース部7を有している。尚、器具本体2は、必ずしも折曲変形する必要はなく、表面側に湾曲変形させても良い。
【0117】
変形部6には、器具本体2の一端側領域で構成され、ベース部7との間で容器10を保持する保持部8と、器具本体2の中途部領域で構成され、容器を下方から支持する支持部9とが設けられている。また、ベース部7は、器具本体2の他端側領域で構成されている。
【0118】
保持部8は、一端側に行くに従って幅方向一側に位置するように傾斜している。また、保持部8及びベース部7には、矩形状をなす支持孔2eがそれぞれ設けられている。本発明の実施形態5では、支持孔2eは矩形状をなす貫通孔として示されているが、支持孔2eはスリットでも良いし、又は、矩形の一辺が器具本体2から切り取られず、かつ、その他の三辺が切り抜かれた舌片状の孔でも良い。
【0119】
支持部9には、円形状をなす開口部5が設けられている。また、支持部9には、幅方向両側にそれぞれ突出する目印部9eが設けられている。該目印部9eは、略三角形状をなしている。
【0120】
器具本体2の表面側における保持部8と支持部9との連続部分には、幅方向一側に行くに従って器具本体2の一端側に位置するように傾斜して延びる第4谷折り線(折り曲げ線)が設けられている。
【0121】
器具本体2の表面側における支持部9とベース部7との連続部分には、幅方向一側に行くに従って器具本体2の他端側に位置するように傾斜して延びる第5谷折り線(折り曲げ線)が設けられている。
【0122】
器具本体2は、第4谷折り線V4及び第5谷折り線V5で谷折りされるようになっている。例えば、器具本体2は、第4谷折り線V4及び第5谷折り線V5で谷折りされることで、シート状からコ字状に変形するようになる。
【0123】
次に、コ字状の器具本体2は、開口部5が注出口部10aに対応させた状態(開口部5に注出口部10aが挿入された状態)で容器10の本体部分をベース部7の支持孔2eと保持部8の支持孔2eとに入り込ませる。例えば、容器10の本体部分の角と目印部9eとを略一致させることで、容器10の本体部分を支持孔2eに入り込ませることが容易となる。その後、器具本体2の注出口部10aに医療用チューブ11のコネクタ部11aを接続した状態で容器10を囲うようにし、且つ、被係合孔4に被吊下げ部3を挿入するとともに、器具本体2の一端部分(被吊下げ部3)と器具本体2の他端部分(他の被吊下げ部3b)とを当接させることにより、双方の端部同士を係合させて繋ぐと、器具本体2が環状になって使用状態になる。
【0124】
そして、器具本体2の被吊下げ部3及び他の被吊下げ部3bの吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けると、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を保持し、且つ、支持部9で容器10における注出口部10aの周囲部分を下方から支持して容器10がガートル台20に吊下げられて使用されるようになっている。
【0125】
以上より、本発明の実施形態5によれば、吊下げ器具1の使用状態では、容器10の本体部分が保持部8の支持孔2eとベース部7の支持孔2eに入り込んだ状態となっている。これにより、支持部9とベース部7とで、容器10の4つの側面が支持されるようになるので、吊下げ器具1から容器10が落下するのを抑制することができる。
【0126】
また、例えば、ガートル台20の如き吊下げ体に容器10を吊下げる際、吊下げ器具1に設けられた2つの吊下げ用孔3aが吊下げ体に引っ掛けられるようになる。これにより、不意に吊下げ器具1に力が加わることで、吊下げ体から吊下げ器具1が外れてしまい、該吊下げ器具1とともに容器10が落下する事態が発生するのを抑制することができる。
【0127】
尚、本発明の実施形態5では、器具本体2は、保持部8及び支持部9が第4谷折り線V4及び第5谷折り線V5で谷折りされることで、シート状からコ字状に変形させた後、器具本体2を開口部5が注出口部10aに対応させた状態(開口部5に注出口部10aが挿入された状態)となるように容器10にセットしていたが、シート状の状態の器具本体2をその開口部5が注出口部10aに対応させた状態となるように容器10にセットした後、第4谷折り線V4及び第5谷折り線V5を谷折りされることで、器具本体2をシート状からコ字状に変形させてもよい。また、本発明の実施形態5では、器具本体2は、第4谷折り線V4及び第5谷折り線V5を谷折りされることで変形させたが、器具本体2に折り曲げ線をつけず、湾曲するように変形させても良い。
【0128】
また、本発明の第5実施形態では、支持部9及びベース部7にそれぞれ支持孔2eが設けられていたが、支持部9及びベース部7のいずれか一方のみに支持孔2eが設けるようにしてもよい。
【0129】
また、本発明の実施形態5では、目印部9eは、支持部9の幅方向両側にそれぞれ設けられていたが、支持部9の幅方向のいずれか一方のみ目印部9eを設けるようにしてもよい。
【0130】
《発明の実施形態6》
図23は、本発明の実施形態6の吊下げ器具1を示す。この実施形態6では、器具本体2の外形と、使用時において器具本体2の曲げる領域の構造が実施形態1と異なっているので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0131】
実施形態6の器具本体2は、使用前状態において略矩形シート状をなしている。器具本体2の幅方向中央部分には、所定の間隔をあけて並んで延びる一対の第3スリット2fが形成されている。実施形態6の保持部8は、両第3スリット2f間で構成されている。また、実施形態6の支持部9は、保持部8における器具本体2の他端側の端部(保持部8における両第3スリット2fの並設方向他側の端部)で構成されている。
【0132】
保持部8表面側の中央には、両第3スリット2fの並設方向に延びる一対の第3山折り線M3(折り曲げ線)が幅方向に所定の間隔をあけて設けられている。一対の第3山折り線M3間の寸法は、容器10の側面の幅寸法に対応している。
【0133】
また、保持部8表面側のベース部7との各連続部分には、第3山折り線M3と同方向に延びる第6谷折り線V6(折り曲げ線)がそれぞれ設けられている。
【0134】
第7谷折り線(折り曲げ線)は、ベース部7表面側の各第3山折り線M3に対応する位置にそれぞれ設けられ、各第3山折り線M3と同方向に延びている。
【0135】
また、実施形態6の被吊下げ部3は、器具本体2の他端部分に設けられている。該被吊下げ部3は、器具本体2のその他の領域よりも幅狭な形状になっている。また、被吊下げ部3は、第1被吊下げ部51と第2被吊下げ部52とが設けられている。
【0136】
第1被吊下げ部51には、第1吊下げ用孔51aが貫通形成されている。また、第2被吊下げ部52には、第2吊下げ用孔52aが貫通形成されている。第1吊下げ用孔51a及び第2吊下げ用孔52aは、両第3スリット2fの並設方向に延びる楕円形状をなしている。
【0137】
第1被吊下げ部51と第2被吊下げ部52との連続部分には、幅方向に延びる第4山折り線M4(折り曲げ線)が設けられている。
【0138】
第4山折り線M4の一端側の位置には、幅方向に延びる第5山折り線M5(折り曲げ線)が設けられている。
【0139】
また、器具本体2は、使用時において、図24及び図25に示すように、第1被吊下げ部51と第2被吊下げ部52とが重なり合うように、第1被吊下げ部51が第4山折り線M4で山折りされることで、第1吊下げ用孔51aと第2吊下げ用孔52aとが一致するようになっている。
【0140】
器具本体2は、使用時において、保持部8を各第3山折り線M3で山折りしながら各第6谷折り線V6で谷折りすることで表面側に張り出すように折曲変形させるとともに、ベース部7の保持部8周りを各第7谷折り線V7で谷折りすることで裏面側に張り出すように折曲変形させて保持部8とベース部7とを互いに離間させるようになっている。
【0141】
保持部8とベース部7とで互いに離間させると、当該保持部8の第3山折り線M3間の寸法が容器10の側面の幅寸法に対応しているので、医療用チューブ11のコネクタ部11aが注出口部10aに接続された容器10を保持部8とベース部7との間に容器10の本体部分の表面が器具本体2の表面側を向くように入れ込むことが可能となる。この際、容器10を前傾姿勢(容器10の注出口部10a側が後側位置となるとともに、容器10の反注出口部10a側が前側位置となる姿勢)で保持部とベース部7との間に入れ込むと、保持部8とベース部7とで容器10の本体部分を保持し、且つ、保持部8の上端部分で構成された支持部9で容器10の本体部分(側面部分)を下方から支持した状態で容器10がガートル台20に吊下げられて使用状態となるようになっている。なお、本実施形態では、支持部9に加えて、ベース部7における保持部8の一端側に位置する部分により構成される他の支持部2gが容器10の長手方向一端面部分を下方から支持するようになっている(図25参照)。
【0142】
以上より、本発明の実施形態6によれば、第3スリット2fにより、保持部8と支持部9とを設けることが可能となる。これにより、例えば、支持部のためにスリットを別途設ける必要が無くなるので、吊下げ器具1の加工コストを低く抑えることができる。
【0143】
また、例えば、ガートル台20の如き吊下げ体に容器10を吊下げる際、吊下げ器具1に設けられた第1吊下げ用孔51a及び第2吊下げ用孔52aが吊下げ体に引っ掛けられるようになる。これにより、不意に吊下げ器具1に力が加わることで、吊下げ体から吊下げ器具1が外れてしまい、該吊下げ器具1とともに容器10が落下する事態が発生するのを抑制することができる。
【0144】
尚、本発明の実施形態3~6では、保持部8、支持部9及びベース部7を折曲変形させて器具本体2を使用状態にしているが、それぞれ湾曲変形させて器具本体2を使用状態にすることもできる。
【0145】
また、本発明の実施形態3,4の器具本体2は、使用前状態においてその外形が楕円形状をなしているが、これに限らず、矩形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0146】
また、本発明の実施形態1~6では、器具本体2に形成された吊下げ用孔3aをガートル台20に引っ掛けて容器10を吊下げるようになっているが、これに限らず、器具本体2に鈎状の領域を形成してガートル台20に引っ掛けて吊下げるようにしてもよい。
【0147】
また、本発明の実施形態1,2では、吊下げ用孔3aが円形状をなしているが、これに限らず、矩形状や楕円形状であってもよい。また、本発明の実施形態1~6において、器具本体2の長手方向一端に開放する正面視で円弧形状(J字形状)の切欠部分を形成し、当該切欠部分をガートル台20に引っ掛けて容器10を吊下げるようにしてもよい。さらには、本発明の実施形態1~6において、器具本体2の長手方向一端側領域にC字状のスリットを形成し、使用時において、そのスリットの内側領域をスリットの外側領域との連続部分を起点に折り曲げることにより、吊下げ用孔3aを形成するような構造であってもよい。
【0148】
また、本発明の実施形態1~6では、医療用チューブ11にコネクタ部11aがあり、アダプター11bを介してコネクタ部11aを容器10の注出口部10aに接続する構成になっているが、これに限らず、アダプター11bを介さなくてもよく、又は、容器10に医療用チューブ11をファネル状の軟質部材で接続する構成であっても、本発明の吊下げ器具1を用いることができる。
【0149】
また、本発明の実施形態1~6では、容器10の本体部分の横断面が略正方形であるが、これに限らず、容器10の本体部分の横断面が長方形や八角形等の多角形の容器10であっても、それらの形状に合わせて器具本体2の形状を適宜変更させることで本発明の吊下げ器具1で吊下げることができる。
【0150】
また、実施形態1~6では、経腸栄養を行う際に本発明の吊下げ器具1を用いて栄養剤の入った容器10を吊下げているが、これに限らず、薬液等を患者に投与する輸液ラインにおいて容器を吊下げる場合にも本発明の吊下げ器具1を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、医療用チューブを介して患者に投与する液体を貯留する容器を吊下げる吊下げ器具に適している。
【符号の説明】
【0152】
1 吊下げ器具
2 器具本体
2a スリット
2b 山折り線(折り曲げ線)
2c 第1スリット
2d 第2スリット
2e 支持孔
2f 第3スリット
3 被吊下げ部
3b 他の被吊下げ部(被吊下げ部)
4 被係合孔
5 開口部
6 変形部
7 ベース部
8 保持部
9 支持部
9a 第1支持領域
9b 第2支持領域
10 容器
10a 注出口部
11 医療用チューブ
M1 第1山折り線(折り曲げ線)
M2 第2山折り線(折り曲げ線)
V1 第1谷折り線(折り曲げ線)
V2 第2谷折り線(折り曲げ線)
V3 第3谷折り線(折り曲げ線)
V4 第4谷折り線(折り曲げ線)
V5 第5谷折り線(折り曲げ線)
V6 第6谷折り線(折り曲げ線)
V7 第7谷折り線(折り曲げ線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25