(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048368
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法
(51)【国際特許分類】
B60T 8/17 20060101AFI20240401BHJP
B60T 13/138 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T13/138 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023151435
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】10 2022 210 170.7
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤーンケ,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】マーカート,オリバー
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB37
3D048CC54
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH26
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3D246JA12
3D246JB53
3D246LA15Z
3D246LA33Z
3D246LA57Z
3D246LA63Z
3D246LA73Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非人力ブレーキシステム(10)の入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法を提供する。
【解決手段】本方法は、非人力圧力発生器(42)と主ブレーキシリンダ(22)とペダルフィールシミュレータ(90)との間の弁(66a,66b,94,102a,102b)を開放するステップと、少なくとも、非人力ブレーキシステム(10)を閉じるすべての弁(78,104)を閉鎖するステップと、圧力を非人力圧力発生器(42)により、規定された圧力まで形成すると同時に、非人力ピストン(50)のストロークと、圧力とを測定するステップと、非人力ピストン(50)の生成された圧力-ストローク-曲線を入力ロッド(30)の力-ストローク-曲線に換算するステップと、入力ロッドストロークと、非人力圧力発生器(42)の圧力との間の特性を修正し、規定された特性が達成されるステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非人力ブレーキシステム(10)の入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法であって、
前記非人力ブレーキシステム(10)は、
主ブレーキシリンダ(22)であって、前記主ブレーキシリンダ(22)内で入力ロッド(30)を介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)を有し、前記主ブレーキシリンダ(22)は、ブレーキフィールを発生させるべく、ペダルフィールシミュレータ(90)に液圧的に接続されている、主ブレーキシリンダ(22)と、
非人力圧力発生器(42)であって、前記非人力圧力発生器(42)内で非人力ピストン(50)が圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器(42)と、
を有し、
前記方法は、
非人力圧力発生器(42)と主ブレーキシリンダ(22)とペダルフィールシミュレータ(90)との間の弁(66a,66b,94,102a,102b)を開放するステップと、
少なくとも、前記非人力ブレーキシステム(10)を閉じるすべての弁(78,104)を閉鎖するステップと、
圧力を前記非人力圧力発生器(42)により、規定された圧力まで形成すると同時に、前記非人力ピストン(50)の前記ストロークと、前記圧力とを測定するステップと、
前記非人力ピストン(50)の生成された圧力-ストローク-曲線を前記入力ロッド(30)の力-ストローク-曲線に換算するステップと、
入力ロッドストロークと、前記非人力圧力発生器(42)の圧力との間の特性を修正し、規定された特性が達成されるステップと、
を含む、非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法。
【請求項2】
前記方法を、前記規定された圧力で複数回実施し、これらの測定の結果から平均値を算出することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記弁(78,104)の閉鎖前に、前記非人力ピストン(50)を、前記主ブレーキシリンダ(22)および前記ペダルフィールシミュレータ(90)内の圧力形成が開始するスタートポジションへ摺動させることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
規定された圧力として前記非人力ブレーキシステム(10)の最大圧力を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記非人力ピストン(50)の前記ストロークを、既存のセンサシステムを介して求めることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記圧力を非人力シリンダ圧力センサ(74)および/または主ブレーキシリンダ圧力センサ(98)を介して測定することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記主ブレーキシリンダ(22)内の前記圧力をピストン面積を介して前記入力ロッド(30)における力に換算することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記入力ロッドストロークを、前記非人力ピストン(50)の行程容積に対応する前記主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)の行程容積を介して算出することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
非人力ブレーキシステム(10)であって、
主ブレーキシリンダ(22)であって、前記主ブレーキシリンダ(22)内で入力ロッド(30)を介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)を有する、主ブレーキシリンダ(22)と、
前記主ブレーキシリンダ(22)に液圧的に接続されている、ブレーキフィールを発生させるペダルフィールシミュレータ(90)と、
非人力圧力発生器(42)であって、前記非人力圧力発生器(42)内で非人力ピストン(50)が圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器(42)と、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施すべく構成されている制御ユニット(106)と、
を備える、非人力ブレーキシステム(10)。
【請求項10】
自動車であって、入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差が、請求項1から7までのいずれか1項にしたがって減じられている非人力ブレーキシステム(10)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法に関する。本発明は、付加的にこのような方法を実施することが可能な非人力ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
非人力ブレーキシステムの場合、ブレーキ圧力は、通常、ブレーキペダルを介してではなく、非人力圧力発生器を介して生起される。相応に、ブレーキペダルを介して導入されるストロークは、測定され、非人力圧力発生器は、これに応じて、ブレーキ圧力を発生させるべく、動作制御される。運転者に対しては、それにもかかわらずブレーキフィールを与えるために、ブレーキペダルを介して発生される圧力は、ブレーキフィールシミュレータ内に導入され、ブレーキフィールシミュレータは、ばね力を介してブレーキフィールをブレーキペダルに発生させる。
【0003】
特許文献1は、車両の、シミュレータを装備した液圧式のブレーキシステムのための制御装置を開示している。ブレーキシステムは、選択的に、シミュレータカット弁がその閉鎖された状態にあり、かつブレーキ回路カット弁がその開いた状態にあるフォールバックモードか、またはシミュレータカット弁がその開いた状態にあり、かつ少なくとも1つのブレーキ回路カット弁がその閉鎖された状態にあるシミュレータモードで運転可能である。電子装置は、フォールバックモードからシミュレータモードへのブレーキシステムの移行時、時間制御式にシミュレータカット弁とブレーキ回路カット弁とを、ブレーキペダルの降下が防止されるように動作制御すべく、設計されている。
【0004】
非人力ブレーキシステムにおいて、運転者ブレーキリクエストの認識は、ストロークに基づいて実施される。検出されたストロークに基づき、目標圧力が算出される。非人力ブレーキシステムのコンポーネントにおける公差が存在する製造に基づき、同じ型式の車両間での望ましくない力の差が生じ得る。車両操縦者は、これにより同じ減速のために異なる力レベルをブレーキペダルに加えなければならない。とりわけ、高い力フィードバックと短いペダルストロークとを要求する顧客においては、高い公差が確認される。ブレーキシステムにより知られている、公差を減じる1つの可能性は、工場においてラインの終わりで公差を計測し、かつ補償することである。このような対策は、高いコストに結び付いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017213392号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある課題は、経済的に実施可能な、非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1の特徴を備える方法により解決される。本発明の根底にある課題は、同じく請求項9の特徴を備える非人力ブレーキシステムにより解決される。好ましい実施の形態は、従属請求項に看取可能である。
【0008】
本発明は、非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法を提示する。非人力ブレーキシステムは、この場合、主ブレーキシリンダであって、主ブレーキシリンダ内で入力ロッドを介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストンを有し、主ブレーキシリンダは、ブレーキフィールを発生させるべく、ペダルフィールシミュレータに液圧的に接続されている、主ブレーキシリンダと、非人力圧力発生器であって、非人力圧力発生器内で非人力ピストンが圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器と、を有している。
【0009】
入力ロッドは、この場合、ブレーキペダルに連結されるロッドであり、ロッドは、ブレーキペダルの操作に応じて軸方向で摺動させられる。これに応じて入力ロッドストロークは、このロッドの軸方向のストロークである。このストロークは、この場合、ブレーキペダルストロークに対応する。
【0010】
本発明に係る方法の第1のステップにおいて、非人力圧力発生器と主ブレーキシリンダとペダルフィールシミュレータとの間の弁を開放する。これらのコンポーネントは、これにより液圧的に互いに接続される。第2のステップにおいて、少なくとも、非人力ブレーキシステムを閉じるすべての弁を閉鎖する。これにより、例えばビークルダイナミクスコントロールまたは車両ブレーキの動作制御用の弁は、閉鎖される。同じくブレーキ液リザーバへの弁は閉鎖される。これにより、前述のコンポーネントからなる閉鎖された液圧式のシステムが形成される。
【0011】
第3のステップにおいて、非人力圧力発生器により、圧力を、規定された圧力まで形成する。同時に、非人力ピストンのストロークと、圧力とを測定する。続いて、非人力ピストンの生成された圧力-ストローク-曲線を入力ロッドの力-ストローク-曲線に換算する。相応に、非人力ピストンのストロークと、これにより達成される圧力とを基に、入力ロッドにおける力およびストロークを、それぞれ同じ圧力にもなるように算出する。
【0012】
最後のステップにおいて、入力ロッドストロークと、非人力圧力発生器の圧力との間の特性を、規定された特性が達成されるように修正する。規定された特性は、この場合、入力ロッドのどの力のとき、あるいはブレーキペダルにおけるどの力のとき、どの圧力が非人力圧力発生器により発生されるべきか、予め定める。この特性の修正により、同じ型の自動車で、入力ロッドの力が同じであれば、同じ圧力が非人力圧力発生器により発生されることが達成される。非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差は、これにより経済的に補償され得る。
【0013】
本発明の好ましい一構成において、本方法を、規定された圧力で複数回実施し、これらの測定の結果から平均値を算出する。各測定時、公差に基づいて偏差した値が測定され得る。多数の測定と、続いての平均値形成とにより、異なる測定結果による影響を減じることができる。これにより、求められた特性の精度は、向上され、その結果、この特性は、さらに正確に、規定された特性に適合され得る。
【0014】
本発明の別の好ましい一構成において、弁の閉鎖前に、非人力ピストンを、主ブレーキシリンダおよびペダルフィールシミュレータ内の圧力形成が開始するスタートポジションへ摺動させる。スタートポジションの到達前、ブレーキ液は、例えばブレーキ液リザーバへ導出されることができ、その結果、非人力ピストンの運動にもかかわらず、主ブレーキシリンダ内の圧力形成は生じない。スタートポジションから、非人力ピストンが経るストロークは、直接、圧力上昇に変換される。これにより、非人力ピストンの圧力-ストローク-曲線の精度は、大幅に向上され、その結果、これにより、入力ロッドストロークと、非人力圧力発生器の圧力との間の特性も、より正確に、規定された特性に適合され得る。
【0015】
好ましくは、規定された圧力として非人力ブレーキシステムの最大圧力を使用する。最大圧力は、この場合、非人力ブレーキシステムの運転中、最大で現れる圧力である。最大圧力の使用により、非人力ブレーキシステムの作業領域全体にわたる非人力ピストンの完全な圧力-ストローク-曲線が作成され得る。相応に、圧力-ストローク-曲線の様々な領域において、特性は、様々に適合され得る。これにより、作業領域全体にわたってより正確に、規定された特性に相当する特性が達成される。
【0016】
有利な一発展形において、非人力ピストンのストロークを、既存のセンサシステムを介して求める。公差を減じるために、これにより付加的なセンサシステムは不要であり、その結果、本方法は、経済的に実施され得る。
【0017】
有利には、圧力を非人力シリンダ圧力センサおよび/または主ブレーキシリンダ圧力センサを介して測定する。非人力シリンダの圧力は、非人力シリンダの下流に配置されている非人力シリンダ圧力センサによっても、主ブレーキシリンダの下流に配置されている主ブレーキシリンダ圧力センサによっても特定され得る。これにより、圧力測定のための冗長性が提供される。有利には、非人力シリンダの圧力は、しかし、非人力シリンダ圧力センサにより測定される。それというのも、このセンサによって、主ブレーキシリンダ圧力センサへと至る圧力損失に基づき、圧力は、より正確に特定可能であるからである。これにより特性は、より正確に決定され得る。
【0018】
合目的的な一構成によれば、主ブレーキシリンダ内の圧力をピストン面積を介して入力ロッドにおける力に換算する。主ブレーキシリンダピストンの面積は、既知であるので、そこにかかっている圧力を介して、入力ロッドの力を算出することができる。
【0019】
有利には、入力ロッドストロークを、非人力ピストンの行程容積に対応する主ブレーキシリンダピストンの行程容積を介して算出する。換言すれば、非人力ピストンの同じ行程容積が達成される主ブレーキシリンダピストンのストロークを求める。これにより簡単に、入力ロッドの対応するストロークが算出される。
【0020】
本発明の根底にある課題は、付加的に非人力ブレーキシステムにより解決される。非人力ブレーキシステムは、この場合、主ブレーキシリンダであって、主ブレーキシリンダ内で入力ロッドを介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストンを有する、主ブレーキシリンダを備えている。ブレーキフィールを発生させるペダルフィールシミュレータは、主ブレーキシリンダに液圧的に接続されている。付加的に非人力ブレーキシステムは、非人力圧力発生器であって、非人力圧力発生器内で非人力ピストンが圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器を備えている。さらに、本発明に係る方法を実施すべく構成されている制御ユニットが設けられている。このようなブレーキシステムにより、方法について挙げた利点が達成される。
【0021】
さらに本発明は、自動車であって、入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差が、本発明に係る方法にしたがって減じられているこのような非人力ブレーキシステムを備える自動車を提示する。これにより、所定のブレーキ力特性が調整可能であり、その結果、構造の同じ自動車で、ペダル力が同じであれば、同じブレーキ圧力が存在することが達成される。
【0022】
本発明の実施例を図面に示し、以下の説明の中で詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る方法を実施する非人力ブレーキシステムの実施例を示す図である。
【
図2】公差を減じる本発明に係る方法の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、本発明に係る方法を実施する非人力ブレーキシステム10の一実施例を示してある。示した非人力ブレーキシステム10は、この場合、本方法を実施することが可能な弁位置を示している。
図1では、非人力ブレーキシステム10は、ブレーキコントロールモジュール14に、ブレーキシリンダ18におけるブレーキ圧力をコントロールすべく、接続されている。非人力ブレーキシステム10は、この場合、主ブレーキシリンダ22を備え、主ブレーキシリンダ22内には、第1および第2の主ブレーキシリンダピストン26a,26bが可動に配置されている。第1の主ブレーキシリンダピストン26aは、入力ロッド30に結合されており、入力ロッド30は、主ブレーキシリンダ22内に圧力を形成すべく、ブレーキペダル34を介して軸方向で可動である。入力ロッド30のストロークを測定すべく、入力ロッド30には、入力ロッドストロークセンサ38が配置されている。
【0025】
非人力ブレーキシステム10は、付加的に非人力圧力発生器42を備え、非人力圧力発生器42を介して、ブレーキ圧力が発生可能である。非人力圧力発生器42は、非人力シリンダ46を有し、非人力シリンダ46内には、非人力ピストン50が可動に配置されている。非人力ピストン50は、スピンドルドライブモジュール54を介してモータ58に結合されており、モータ58を介して、非人力ピストン50は、ブレーキ圧力発生のために軸方向で摺動可能である。モータ58に配置されるセンサ62を介して、モータ58の実施される回転に基づき、非人力ピストン50のストロークは、特定可能である。
【0026】
非人力シリンダ46は、第1のカット弁66aを介してブレーキコントロールモジュール14の第1のブレーキ回路70aから、そして第2のカット弁66bを介してブレーキコントロールモジュール14の第2のブレーキ回路70bから切り離し可能である。非人力シリンダ46により加えられる圧力を測定すべく、カット弁66a,66bと非人力シリンダ46との間には、非人力シリンダ圧力センサ74が配置されている。
【0027】
各ブレーキ回路66a,66bは、それぞれ、2つのブレーキシリンダ18に接続されており、ブレーキシリンダ18を介して、自動車は、制動可能である。ブレーキ回路66a,66bは、各ブレーキシリンダ18のために入口弁78を有し、入口弁78を介して、非人力シリンダ46の圧力をブレーキシリンダ18に加えることができる。付加的に、各ブレーキ回路66a,66bは、各ブレーキシリンダ18のために、ブレーキ液をブレーキ液リザーバ86に放出する出口弁82を有している。
【0028】
非人力ブレーキシステム10は、付加的にペダルフィールシミュレータ90を備え、ペダルフィールシミュレータ90は、シミュレータカット弁94を介して主ブレーキシリンダ22に接続されている。このペダルフィールシミュレータ90を介して、運転者に対してブレーキフィールがシミュレートされる。主ブレーキシリンダ22の圧力を測定すべく、主ブレーキシリンダ22の出口には、主ブレーキシリンダ圧力センサ98が配置されている。主ブレーキシリンダ22は、第1の回路カット弁102aを介して第1のブレーキ回路70aに、そして第2の回路カット弁102bを介して第2のブレーキ回路70bに接続可能である。コントロール運転中、回路カット弁102a,102bは、閉鎖されている。主ブレーキシリンダ22を介した制動がなされる非常制動機能を提供すべく、回路カット弁102a,102bは、開放される。
【0029】
ペダルフィールシミュレータ90、主ブレーキシリンダ22および非人力シリンダ46にブレーキ液を供給すべく、これらのコンポーネントは、独立した管路を介してブレーキ液リザーバ86に液圧的に接続されている。この管路を介して、これによりブレーキ液が引き出されることもあれば、ブレーキ液がブレーキ液リザーバ86へ放出されることもある。主ブレーキシリンダ22とブレーキ液リザーバ86との間には、主ブレーキシリンダカット弁104が配置されており、主ブレーキシリンダカット弁104を介して、ブレーキ液リザーバ86内への主ブレーキシリンダ22のブレーキ液のリターンは、阻止され得る。
【0030】
非人力ブレーキシステム10およびブレーキコントロールモジュール14の弁ならびに非人力シリンダ46のモータ58は、制御ユニット106を介して動作制御される。動作制御すべく、制御ユニット106は、センサから伝送される測定値を評価する。制御ユニット106を介して、これに応じて本発明に係る方法は、実施され得る。
【0031】
図2は、入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる本発明に係る方法の一実施例を示している。本方法の第1のステップAにおいて、非人力圧力発生器と主ブレーキシリンダとペダルフィールシミュレータとの間の弁を開放する。
図1では、回路カット弁102a,102b、カット弁66a,66bおよびシミュレータカット弁94を開放する。これにより、これらのコンポーネント間の液圧的な接続が形成される。次のステップBにおいて、非人力ピストン50をスタートポジションへ摺動させる。このポジションから、主ブレーキシリンダ22およびペダルフィールシミュレータ90内の圧力形成が開始する。スタートポジションは、この場合、非人力シリンダ46とブレーキ液リザーバ86との間の接続が非人力ピストン50によりまさに閉じられるポジションである。これにより、最初はブレーキ液がブレーキ液リザーバ86内へ押し出されないので、非人力ピストン50のストローク測定時、不正確性が生じる。これに応じて、これにより非人力ピストン50のストロークは、より正確に測定され得る。
【0032】
続くステップCにおいて、少なくとも、非人力ブレーキシステム10を閉じるすべての弁を閉鎖する。これにより、閉鎖されたシステムが、非人力シリンダ46、主ブレーキシリンダ22およびペダルフィールシミュレータ90により形成される。次のステップDにおいて、非人力圧力発生器42により、圧力を、規定された圧力まで形成する。この圧力は、この場合、好ましくは、非人力ブレーキシステム10の最大圧力あるいは非人力ブレーキシステム10の最大の存在する圧力である。圧力の形成時、同時に非人力ピストン50のストロークおよび圧力を測定する。
【0033】
続いてステップEにおいて、非人力ピストン50の生成された圧力-ストローク-曲線を入力ロッド30の力-ストローク-曲線に換算する。主ブレーキシリンダ22内の圧力を主ブレーキシリンダピストン26a,26bのピストン面積を介して入力ロッド30における力に換算する。ステップBないしEを、この場合、回数nが目標回数nSollに相当するまで、繰り返す。それぞれ異なる力-ストローク-曲線のこうして得られた換算から、ステップFにおいて、平均値を形成する。これにより、力-ストローク-曲線の精度が向上される。それというのも、このような平均値は、実際に達成される値により近似しているからである。次のステップGにおいて、入力ロッドストロークと、非人力圧力発生器42の圧力との間の特性を、規定された特性が達成されるように修正する。制御ユニット106は、これに応じて非人力ピストン50を、規定された特性が達成されるように動作制御する。
【符号の説明】
【0034】
10 非人力ブレーキシステム
14 ブレーキコントロールモジュール
18 ブレーキシリンダ
22 主ブレーキシリンダ
26a 第1の主ブレーキシリンダピストン
26b 第2の主ブレーキシリンダピストン
30 入力ロッド
34 ブレーキペダル
38 入力ロッドストロークセンサ
42 非人力圧力発生器
46 非人力シリンダ
50 非人力ピストン
54 スピンドルドライブモジュール
58 モータ
62 センサ
66a 第1のカット弁
66b 第2のカット弁
70a 第1のブレーキ回路
70b 第2のブレーキ回路
74 非人力シリンダ圧力センサ
78 入口弁
82 出口弁
86 ブレーキ液リザーバ
90 ペダルフィールシミュレータ
94 シミュレータカット弁
98 主ブレーキシリンダ圧力センサ
102a 第1の回路カット弁
102b 第2の回路カット弁
104 主ブレーキシリンダカット弁
106 制御ユニット
A 第1のステップ
B ステップ
C ステップ
D ステップ
E ステップ
F ステップ
G ステップ
n 回数
nSoll 目標回数
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非人力ブレーキシステム(10)の入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法であって、
前記非人力ブレーキシステム(10)は、
主ブレーキシリンダ(22)であって、前記主ブレーキシリンダ(22)内で入力ロッド(30)を介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)を有し、前記主ブレーキシリンダ(22)は、ブレーキフィールを発生させるべく、ペダルフィールシミュレータ(90)に液圧的に接続されている、主ブレーキシリンダ(22)と、
非人力圧力発生器(42)であって、前記非人力圧力発生器(42)内で非人力ピストン(50)が圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器(42)と、
を有し、
前記方法は、
非人力圧力発生器(42)と主ブレーキシリンダ(22)とペダルフィールシミュレータ(90)との間の弁(66a,66b,94,102a,102b)を開放するステップと、
少なくとも、前記非人力ブレーキシステム(10)を閉じるすべての弁(78,104)を閉鎖するステップと、
圧力を前記非人力圧力発生器(42)により、規定された圧力まで形成すると同時に、前記非人力ピストン(50)の前記ストロークと、前記圧力とを測定するステップと、
前記非人力ピストン(50)の生成された圧力-ストローク-曲線を前記入力ロッド(30)の力-ストローク-曲線に換算するステップと、
入力ロッドストロークと、前記非人力圧力発生器(42)の圧力との間の特性を修正し、規定された特性が達成されるステップと、
を含む、非人力ブレーキシステムの入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差を減じる方法。
【請求項2】
前記方法を、前記規定された圧力で複数回実施し、これらの測定の結果から平均値を算出することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記弁(78,104)の閉鎖前に、前記非人力ピストン(50)を、前記主ブレーキシリンダ(22)および前記ペダルフィールシミュレータ(90)内の圧力形成が開始するスタートポジションへ摺動させることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
規定された圧力として前記非人力ブレーキシステム(10)の最大圧力を使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記非人力ピストン(50)の前記ストロークを、既存のセンサシステムを介して求めることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記圧力を非人力シリンダ圧力センサ(74)および/または主ブレーキシリンダ圧力センサ(98)を介して測定することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記主ブレーキシリンダ(22)内の前記圧力をピストン面積を介して前記入力ロッド(30)における力に換算することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
前記入力ロッドストロークを、前記非人力ピストン(50)の行程容積に対応する前記主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)の行程容積を介して算出することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
非人力ブレーキシステム(10)であって、
主ブレーキシリンダ(22)であって、前記主ブレーキシリンダ(22)内で入力ロッド(30)を介して可動の少なくとも1つの主ブレーキシリンダピストン(26a,26b)を有する、主ブレーキシリンダ(22)と、
前記主ブレーキシリンダ(22)に液圧的に接続されている、ブレーキフィールを発生させるペダルフィールシミュレータ(90)と、
非人力圧力発生器(42)であって、前記非人力圧力発生器(42)内で非人力ピストン(50)が圧力発生のために可動である、非人力圧力発生器(42)と、
請求項1または2記載の方法を実施すべく構成されている制御ユニット(106)と、
を備える、非人力ブレーキシステム(10)。
【請求項10】
自動車であって、入力ロッドストロークおよびブレーキ力の実際曲線と目標曲線との間の公差が、請求項1または2にしたがって減じられている非人力ブレーキシステム(10)を備える自動車。
【外国語明細書】