(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048385
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】荷役トロリー
(51)【国際特許分類】
B66F 5/02 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B66F5/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023162039
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】2214141.0
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】523366731
【氏名又は名称】ジョロダ ハイドラロール リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ジョシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作に伴うキックバックや他の力が有利に最小限に抑えられる荷役トロリーを実現する。
【解決手段】荷役トロリー10は、荷物の下に配置するための長尺本体20であって、本体に対して移動可能な荷物受けトップ30を有する長尺本体20と、荷物受けトップ30を荷物受け本体30に対して昇降させるために長尺本体20内に取り付けられるリフト作動機構アセンブリ40であって、クランク駆動チェーンドライブリンケージを備えるリフト作動機構アセンブリ40とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の下に配置するための長尺本体であって、前記本体に対して移動可能な荷物受けトップを有する、長尺本体と、
前記荷物受けトップを前記本体に対して昇降させるために前記長尺本体内に取り付けられるリフト作動機構アセンブリであって、クランク駆動チェーンドライブリンケージを備える、リフト作動機構アセンブリと、
を備える荷役トロリー。
【請求項2】
前記リフト作動機構は、
クランクの枢軸を中心としたスプロケットを有するクランクと、
取り外し可能なハンドルを受けてこれと係合するための接続穴と、
を更に備え、
前記スプロケットは、前記チェーンドライブの対応するチェーンと係合して常に噛み合うとともに、前記接続穴内のハンドルを介して前記クランクが動作される際に前記チェーンに沿って移動するように構成される、
請求項1に記載の荷役トロリー。
【請求項3】
前記接続穴は、前記トロリーを引く及び/又は押すため並びに前記クランクを動作させるために前記ハンドルをロックして前記ハンドルを所定位置に保持するためのロック位置を含む、請求項1又は2に記載の荷役トロリー。
【請求項4】
前記ハンドルが前記ロック位置とロック解除位置との間で回転可能であり、前記ハンドルは、前記ロック解除位置にあるときに前記接続穴から取り外し可能である、請求項3に記載の荷役トロリー。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記ハンドルが挿入されるときに前記接続孔内にあるように配置される係合部を含み、前記ハンドルが前記接続孔内で前記ロック解除位置から前記ロック位置に回転されると、前記係合部は、前記接続穴の輪郭とずれて前記ハンドルを所定位置に保持するように配置される、請求項4に記載の荷役トロリー。
【請求項6】
前記チェーンドライブは、前記クランク上の対応する二重スプロケットに噛み合う二重チェーンである、請求項1、2又は3に記載の荷役トロリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、荷物を積んだパレットなどを移動させるために施設やトラックの床チャネル内で走行するタイプの荷役トロリー(スケートとしても知られる)に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトや同様の輸送体を利用できるようにすることはしばしば不便又は非現実的である(特別な訓練を受けた人が必要になることもよくある)。別の手段として、工場、倉庫、及びトラックなどの車両は、床に一対の通路又はチャネルを有しており、それに沿って荷役トロリーが走行できる。これらの荷役トロリーは、比較的コンパクトであるとともに、手動で操作され得る。荷役トロリーは、通常、通路に沿って走行するためのローラ又はホイールを有しており、荷物を床から持ち上げ自由に転がし、荷物が目的地に到達する際に降下できるように昇降され得る。下降すると、荷役トロリーを取り外すことができる。
【0003】
荷役トロリーは、単一でもよいし、対を成していてもよい。対を成す場合、荷役トロリーは、互いに結合されていてもよいし、単に対として動作されていてもよい。
【0004】
一般に、荷役トロリーのリフト作動機構はクランクベースの構成を備える。ユーザは、クランクベースの構成のハンドルを操作し、そのハンドルを用いてクランクベースの機構を回動させて、床から荷物を上げ下げする。
【0005】
荷物を下ろす際、ハンドルを握っているオペレータは、トロリーとリフト作動機構形態とに作用する荷重に起因する力を受ける。この力は、「キックバック」又は「バックラッシュ」と呼ばれ得る。キックバックは、力に打ち勝つ及び/又は対応するために、オペレータにかなりの強度要件を課す可能性がある。この機能は、オペレータに怪我のリスクや疲労をもたらす。
【0006】
怪我のリスクを最小限に抑える使い易い荷役トロリーを実現するために、様々な試みがなされてきた。これらの中には、昇降のために油圧やエアバッグなどを使用するものもある。これらの機構により、複雑さ及びコストが増大する。多くの場合、そのような形態では、昇降構成要素のためにかなりのスペースも必要になる。これにより、
図1に示されるように、本体が床の高さよりも上に突き出すことになる。このことは、トロリーが、荷物の下を通過できず、特定の物流作業を実行するために手動で持ち上げられチャネルに出入りする必要があることを意味する。トロリーは重量があるため、このようなトロリーの手動での取り扱いは、怪我の更なるリスクや疲労をオペレータにもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
荷物の下に配置するための長尺本体であって、本体に対して移動可能な荷物受けトップを有する、長尺本体と、
荷物受けトップを本体に対して昇降させるために本体内に取り付けられるリフト作動機構アセンブリであって、クランク駆動チェーンドライブリンケージを備える、リフト作動機構アセンブリと、
を備える荷役トロリーが提供される。
【0008】
リフト作動機構は、好ましくは、
クランクの枢軸を中心としたスプロケットを有するクランクと、
取り外し可能なハンドルを受けてこれと係合するための接続穴と、
を更に備え、
スプロケットは、チェーンドライブの対応するチェーンと係合して常に噛み合うとともに、接続穴内のハンドルを介してクランクが動作される際にチェーンに沿って移動するように構成される。
【0009】
好ましくは、接続穴は、トロリーを引く及び/又は押すため並びにクランクを動作させるためにハンドルを所定位置に保持されるようにロックするべく構成される。
【0010】
好ましくは、チェーンドライブは、クランク上の対応する二重スプロケットに噛み合う二重チェーンである。
【0011】
本発明の実施形態は、荷物から離脱されるときに有利に荷役トロリーの本体内に完全に受け入れられるクランク駆動チェーンドライブを利用する。クランクを動作させるために取り外し可能なハンドルをトロリーに接続することができ、その後、不要なとき(又は例えばトロリーを荷物の下で転がす必要がある場合)にハンドルを取り外すことができる。チェーンドライブリンケージは常に噛み合っており、それにより、動作に伴うキックバックや他の力が有利に最小限に抑えられる。
【0012】
実施形態は、通常は床チャンネル内で走行するタイプの荷役トロリー用のリフト作動機構を提供することを目的とする。チェーンドライブにより、好適には、本体(トロリーフレーム)のサイズを本体が床面の上方に突出しないように小さくできるため、トロリーは、荷物の下を通過でき(降下して荷物から離脱されるとき)、それにより、トロリーの必要な手動操作量が軽減される。
【0013】
また、チェーンドライブリンケージは、好適には、クランクと本体との間の一定の噛み合いにより、動作に伴うキックバック量も最小限に抑える。他の既知の形態は、クランクと本体との間に一定の噛み合いがないリンケージを含むため、過剰なキックバックを引き起こし得るリンケージ機構を使用する。
【0014】
好ましくは、トロリーはハンドルを含み、該ハンドルは、取り外し可能であるが、トロリーに係合して保持されるロック形態を有する。ロック、係合、保持の構成では、ハンドルを使用してトロリーを押したり引いたりすることができ、また、クランクを動作させることができる。これが必要でない場合、好適には、ハンドルのロックを解除して離脱させ、ハンドルをトロリーから取り外すことができる。これは、トロリーから突出する恒久的なプルナブが設けられる既存の形態に優る改良であるが、トロリーが荷物の下を通過できないことを意味する。
【0015】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】一実施形態に係る荷役トロリーの斜視図である。
【
図3】一実施形態に係るリフト作動機構の分解図である。
【
図4】使用中の
図3のリフト作動機構の断面図である。
【
図5】使用中の
図3のリフト作動機構の断面図である。
【
図6】使用中の
図3のリフト作動機構の断面図である。
【
図7】一実施形態に係る荷役トロリーの更なる態様を示す斜視図である。
【
図8】一実施形態に係るリフト作動機構の構成要素の更なる任意選択的な態様を示す斜視図である。
【
図9】一実施形態に係るリフト作動機構の構成要素の更なる任意選択的な態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、一実施形態に係る荷役トロリーの斜視図である。
図3は、一実施形態に係るリフト作動機構の分解図である。
【0018】
荷役トロリー10は、荷物の下に配置するための長尺本体20と、荷物受けトップ30と、本体に対して荷物受けトップを移動させることによって本体に対して荷物受けトップ上の荷物を昇降させるために本体内に取り付けられるリフト作動機構40アセンブリとを含む。リフト作動機構はクランク駆動チェーンドライブリンケージを含み、その一例が
図3に詳細に示される。荷役トロリーの下側は、ホイール(図示せず)又は同様のものを、それに沿ってトロリーとその荷物とを押し引きできるようにするべく含む。
【0019】
リフト作動機構40はチェーンドライブを有し、該チェーンドライブは、クランクの枢軸を中心としたスプロケット56を有するクランク50と、取り外し可能なハンドル(
図8に示される)と係合するための接続穴55とを含む。スプロケット56は、対応するチェーン60と係合する。
【0020】
図3の実施形態は二重スプロケット及びチェーンの配置を示しているが、単一のスプロケット/チェーン又はより多数のスプロケット及び対応するチェーンリンケージを使用することができる。
【0021】
上で強調して
図4~
図6に示されるように、チェーン60及びスプロケット56は常に噛み合っており、それにより、キックバックを最小限に抑えるのに役立つ。
【0022】
クランクが(枢軸を中心にクランクを回すハンドルによって)動作されてスプロケット56がチェーン60に沿って移動すると、リンケージ(linkage)86もチェーン60に向かって引っ張られ、それにより、リフト80のリフトローラ87がフレーム70のランプセクション75上に引き上げられる。これにより、フレームマウント80が上昇し、荷物受けトップ30が本体20に対して上昇する。この動作が
図4~
図6により詳細に示される。
【0023】
また、図には、荷物ストッパ85の任意選択的な特徴も示される。これにより、クランク50に向かう荷物の移動が阻止される。荷物ストッパ85を含むことが好ましいが、これがリフト作動機構の動作に不可欠ではなく、この特徴を省くことができることが分かる。
【0024】
【0025】
荷役トロリー10がその静止位置で床に延在するチャネル内に配置されると、荷物ストッパ85のみが床の上方に突出し、全てのリンケージ機構がフレーム内に含まれる。
図4に示されるように、クランク枢軸はスロットの開始位置にある。
【0026】
接続穴55にはハンドル(図示せず)が配置され、該ハンドルは、枢軸回りでクランク50を動作させるために使用される。
図5及び
図6は、クランクスプロケット56がチェーン60を自身に巻き付け始めるときに、クランク枢軸がリンケージプレートのスロットに沿ってどのように動き始めるかを示す。リフトローラ87もまた、フレーム70のランプセクション75を上昇し始める。荷物受けトップ30は、接続点81/82においてリフト80に接続される。リフトローラがランプセクション75を上るにつれて、荷物受けトップ30に対するリフト80の接続により、距離Aが増大し、それによって、荷物受けトップが上昇する。
【0027】
図6に示される最終位置は、トロリーが上昇位置にあり、リフトローラがリフトプロファイルのシートに着座し、クランク枢軸がリンケージプレートのスロットの端にあるときである。オペレータはこの位置で荷物を移動できる(トロリーは、一般に、移動を補助するためにホイール付きであり又はローラ上にある)。
【0028】
図7は、一実施形態に係る荷役トロリーの更なる態様を示す斜視図である。
【0029】
好ましくは、荷物受けトップ30は、その長さに沿って離間される複数のコネクタ90を有する。リフト80がランプセクション75まで引き上げられ、リンケージ86がチェーン60に向かって移動すると、荷物受けトップ30もチェーン及びクランク端に向かって横方向に引っ張られる。荷物受けトップ30が横方向に移動すると、各コネクタ90が対応するローラ110に当接し、コネクタ90の傾斜した輪郭が荷物受けトップ30を上方に押し、その結果、クランキング動作中、荷物受けトップ30がその全長に沿って支持され、それに対応して持ち上げられる。
【0030】
図8及び
図9は、一実施形態に係るリフト作動機構の更なる任意選択的な態様を示す斜視図である。
【0031】
図8及び
図9は、クランク50の好ましい態様を示す。前述の実施形態と併せて使用され得るこの実施形態において、接続穴55は、ハンドル200上の対応する係合部210と係合してこれを保持するロックタイプの輪郭を有する。ハンドルは、ロック部分を第1の向きにして挿入された後、ハンドルを所定の位置にロックして保持するべく穴55内で90度回転され得る。ロックされて保持された時点で、ハンドルは、クランキングのために使用され得るとともに、トロリー10を押したり引いたりするためにも使用され得る。
【0032】
例えば、ハンドル200は、係合穴55に対して非対称な1つ以上の突起又は輪郭を有する係合部210を含んでもよい。係合部は、ハンドルが挿入されるときに接続穴内にあるように配置される。ハンドルが接続穴内でロック解除位置からロック位置まで回転されると、係合部は、接続穴の輪郭から外れて移動してハンドルを所定位置に保持するように配置される。
【0033】
好ましくは、単一のクランク動作でトロリーを上昇/下降させるのに十分である。移動中にユーザが誤ってトロリーをクランキングして再び下に戻すのを防ぐために、ローラが上がるランプは、ローラが落ちてローラを保持するための小さなサドルを有することが好ましい。この動作では、一般に、オペレータは一方のハンドルを握り続けてトロリーを上げ下げし、パレットの動きにブレーキを掛ける。引っ張るときは、一般に牽引力が既にクランクされているハンドルの方向にかかるため、引っ張るハンドルとランプサドルの「下向きの角度」によって荷物が上昇し続ける。押すときは、オペレータは、一般に、ハンドルを使用するのではなく、荷物を押す。移動中のクランキングを防止するために、ロック機構を任意選択で含めることができる。
【0034】
ハンドルを所定の位置にしっかりと保持し、トロリーが下降位置にあるときにハンドルの解放を可能にするために、キャッチ、バネ荷重、又は他の機構が使用されるものを含む、他のロック構成も可能であることが理解され得る。また、前述の実施形態は、クランキング用の規則的な円形断面のハンドル又は他のハンドルとともに使用できることも理解され得る。
【0035】
本発明の任意選択的な実施形態は、本明細書で参照又は指示される部品、要素、及び特徴を、個別に又は集合的に、2つ以上の部品、要素、又は特徴の任意の又は全ての組み合わせで含むものとして理解することができ、また、本明細書では、本発明が関連する技術分野において既知の等価物を有する特定の整数が言及されており、そのような既知の等価物は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものとみなされる。
【0036】
本発明の例示的な実施形態を説明してきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲の記載及びその等価物によって規定される本発明から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変形を行なうことができることを理解すべきである。
【外国語明細書】