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特開2024-48391計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048391
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法
(51)【国際特許分類】
   B64U 10/16 20230101AFI20240401BHJP
   B64U 60/20 20230101ALI20240401BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240401BHJP
   G01C 15/06 20060101ALN20240401BHJP
   G01C 9/00 20060101ALN20240401BHJP
   B64U 101/32 20230101ALN20240401BHJP
   B64U 101/35 20230101ALN20240401BHJP
【FI】
B64U10/16
B64U60/20
G01C15/00 104C
G01C15/06 T
G01C9/00 Z
B64U101:32
B64U101:35
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023164195
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2022153532
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596053585
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】菊澤 朋巳
(72)【発明者】
【氏名】津川 賢司
(72)【発明者】
【氏名】盛田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】南谷 直希
(72)【発明者】
【氏名】平坂 直行
(57)【要約】
【課題】被災現場等の図面を短時間で高精度に作成するための標定点等の計測用ターゲットを安全かつ安定して設置することの可能な、計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法を提供する。
【解決手段】計測用ターゲットが取り付けられた計測用ターゲット設置ドローン100を計測用ターゲット設置場所に着陸させて計測用ターゲットを設置する。計測用ターゲットは、三次元計測を行うための標定点10とすることができる。計測用ターゲット設置ドローン100の脚部24を伸縮可能とし、脚部24と着陸面との距離を測定する測定手段を有することが好ましい。また、計測用ターゲット設置ドローン100の脚部24の下方に変形部材や滑り止め部材を取り付けることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測用ターゲットが取り付けられたことを特徴とする計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項2】
伸縮可能な脚部を有することを特徴とする請求項1に記載の計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項3】
前記脚部と着陸面との距離を測定する測定手段を有することを特徴とする請求項2に記載の計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項4】
前記脚部の下方に取り付けられた変形部材を有することを特徴とする請求項1に記載の計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項5】
前記脚部の下方に取り付けられた滑り止め部材を有することを特徴とする請求項1に記載の計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項6】
前記計測用ターゲットが三次元計測を行うための標定点であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1つに記載の計測用ターゲット設置ドローン。
【請求項7】
計測用ターゲットが取り付けられた計測用ターゲット設置ドローンを計測用ターゲット設置場所に着陸させて計測用ターゲットを設置することを特徴とする計測用ターゲット設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や線路等の周辺で土砂災害等が発生した場合には、崩壊範囲や流出土砂量を把握して応急的な復旧を迅速に行う必要があり、そのための図面を早急に作成する必要があった。そのため、被災現場を遠望してスケッチしたものを既存図面に書き込んで対応していたが、作成に時間がかかるとともに、作成者による個人差もあるなど不正確なものになりがちであった。
【0003】
一方、測量分野におけるドローンの利用に関して、特許文献1には、測量対象の土地をドローンによって撮像し、その撮像画像に基づいて各種測量データを生成するようにした、ドローン空撮測量システムに関する発明が記載されている。
【0004】
また、斜面の傾斜を監視する計測器の設置におけるドローンの利用に関して、特許文献2には、ドローンを使用して山間地や丘陵地等の斜面へ傾斜計測器を設置するようにした、斜面への計測器の設置方法に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-60641号公報
【特許文献2】特開2020-190463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の図面作成方法では、作成に時間がかかるとともに、完成した図面も不正確なものになりがちであるため、短時間で高精度の図面作成が求められる。そのためには、標定点を使用した三次元計測を行うことが考えられる。
【0007】
図6は、標定点を使用した三次元計測の説明図であり、山の斜面が崩壊して土砂災害が発生した様子を示している。土砂が流入した被災現場1の図面を作成するために、被災現場1には3つの標定点10,10,10が設置されている。そして、3つの標定点10,10,10をスキャナ2で複数の方向からスキャンすることにより、短時間で高精度の図面を作成することができる。
【0008】
しかしながら、このような被災現場1において三次元計測を行うためには、被災現場1内に標定点10を設置しなければならないが、安全面の問題から人力での設置には課題がある。
【0009】
これに対して、特許文献1には、被災現場における標定点の設置に関しては何ら記載されていない。また、特許文献2は、ドローンによる計測機器の設置を目的としており、測量用の標定点の設置は対象とされていない。
【0010】
また、被災現場で三次元計測を行うための標定点以外にも、様々な場所で種々の計測用ターゲットを設置する場合がある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、被災現場等の図面を短時間で高精度に作成するための標定点等の計測用ターゲットを安全かつ安定して設置することの可能な、計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の計測用ターゲット設置ドローンは、計測用ターゲットが取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
また好ましくは、伸縮可能な脚部を有することを特徴とする。
【0014】
また好ましくは、前記脚部と着陸面との距離を測定する測定手段を有することを特徴とする。
【0015】
また好ましくは、前記脚部の下方に取り付けられた変形部材を有することを特徴とする。
【0016】
また好ましくは、前記脚部の下方に取り付けられた滑り止め部材を有することを特徴とする。
【0017】
また好ましくは、前記計測用ターゲットが三次元計測を行うための標定点であることを特徴とする。
【0018】
また本発明の標定点設置方法は、計測用ターゲットが取り付けられた計測用ターゲット設置ドローンを計測用ターゲット設置場所に着陸させて計測用ターゲットを設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の計測用ターゲット設置ドローンは、計測用ターゲットが取り付けられているので、被災現場等の計測用ターゲット設置場所にドローンを着陸させることにより、安全に計測用ターゲットを設置することができる。
【0020】
また、伸縮可能な脚部を有することにより、計測用ターゲット設置場所の傾斜等に合わせて脚部の長さを調整して、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0021】
また、脚部と着陸面との距離を測定する測定手段を有することにより、空中で脚部と着陸面との距離を測定して、着陸前に計測用ターゲット設置場所の傾斜等に合わせて脚部の長さを調整することができる。
【0022】
また、脚部の下方に取り付けられた変形部材を有することにより、変形部材が谷側となるようにドローンを着陸させて、脚部と傾斜等との間に変形部材を挟み込むようにして、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0023】
また、脚部の下方に取り付けられた滑り止め部材を有することにより、滑り止め部材が山側となるようにドローンを着陸させて、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0024】
また、計測用ターゲットが三次元計測を行うための標定点であれば、標定点に基づく三次元計測により、被災現場等の図面を短時間で高精度に作成することができる。
【0025】
また、本発明の計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲットが取り付けられた計測用ターゲット設置ドローンを計測用ターゲット設置場所に着陸させて計測用ターゲットを設置するので、被災現場等に人が立ち入ることなく、安全に計測用ターゲットを設置することができる。
【0026】
このように、本発明によれば、被災現場等の図面を短時間で高精度に作成するための標定点等の計測用ターゲットを安全かつ安定して設置することの可能な、計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローンを示す(A)平面図、(B)正面図である。
図2】標定点を示す(A)平面図、(B)正面図である。
図3】実施形態1に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。
図4】実施形態2に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。
図5】実施形態3に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。
図6】標定点を使用した三次元計測の説明図である。
図7】実施形態4に係る計測用ターゲット設置ドローンを示す平面図である。
図8】実施形態4に係る計測用ターゲット設置ドローンの脚部を示す模式図である。
図9】実施形態4に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。
図10】実施形態4に係る計測用ターゲット設置ドローンの脚部規制機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法について説明する。計測用ターゲットとは、種々の計測を行うために計測現場に設置し、周囲からスキャンや撮影等する標的として使用するものである。本実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲットを、三次元計測を行うための標定点としたものであり、図6に示すように、山の斜面が崩壊して土砂災害が発生した場合に、土砂が流入した被災現場1の図面を作成するために、被災現場1に標定点10を設置するためのものである。そして、標定点10をスキャナ2で複数の方向からスキャンすることにより三次元計測を行い、被災現場1の図面を作成するようになっている。
【0029】
まず、本実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン100の基本構成について説明する。図1は、計測用ターゲット設置ドローン100を示す(A)平面図、(B)正面図である。計測用ターゲット設置ドローン100は、ドローン20に三次元計測を行うための標定点10を取り付けたものである。
【0030】
ドローン20は、電源装置、送受信装置、制御装置、カメラ等が格納された本体部21、本体部21から放射状に延びる6本のアーム部22、各々のアーム部22の先端上部に取り付けられた6枚のプロペラ23及び各々のアーム部22の先端から下方に延びる6本の脚部24から構成されている。そして、本体部21の上面に標定点10が取り付けられている。なお、標定点10の取付位置は本体部21の上面に限定されるものではなく、アーム部22など、スキャナ2でスキャンできるように周囲から見える位置であればよい。また、ドローン20のアーム部やプロペラの数を含めて、標定点10が取り付けられるものであれば、ドローン20の構造は特に限定されない。
【0031】
図2は、標定点10を示す(A)平面図、(B)正面図である。標定点10は、球体部11及び球体部11から下方に延びる取付用脚部12から構成されている。
【0032】
そして、計測用ターゲット設置ドローン100は、図示しないコントローラを操作することにより、標定点10が取り付けられた状態で標定点10の設置場所まで飛行して着陸させることができるようになっている。
【0033】
次に、図3~5を参照して計測用ターゲット設置ドローン100を使用した計測用ターゲット設置方法について説明する。
【0034】
(実施形態1)
図3は、実施形態1に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。実施形態1に係る計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲット設置ドローン100を被災現場1内の標定点10の設置場所まで飛行させて、そのまま設置場所の斜面に着陸させるものである。着陸した計測用ターゲット設置ドローン100は、斜面の傾斜や石等に応じて傾くことになるが、傾斜が緩やかな場合や計測用ターゲット設置ドローン100の重心位置によっては、安定して離着陸することができる。
【0035】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。実施形態2に係る計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲット設置ドローン100の脚部24を伸縮可能とし、斜面の傾斜や石等に応じて各々の脚部24の長さを調整し、標定点10の設置状態において計測用ターゲット設置ドローン100が水平(アーム部22が水平)となるようにしたものである。水平かどうかの判断は、ドローン20に搭載されたIMUセンサ(慣性計測装置)等により行う。脚部24の調整は、着陸後に行う方法と着陸前に行う方法とがある。
【0036】
着陸後に行う場合は、図3に示すように斜面の傾斜等に応じて計測用ターゲット設置ドローン100が傾いた状態で着陸した後に、谷側になるほど長くなるように脚部24を調整して水平となるようにする。
【0037】
着陸前に行う場合は、まず、計測用ターゲット設置ドローン100に、脚部24と着陸面との距離(例えば、脚部24の先端と直下の着陸面との距離)を測定する測定手段を設ける。測定手段としては、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)等の距離計測センサ技術を用いることができる。そして、図4に示すように、設置場所の上空で計測用ターゲット設置ドローン100をホバリングさせながら、測定手段により各々の脚部24と直下の着陸面との距離を測定し、測定結果に応じて図4の破線で示すように脚部24を調整した後に、設置場所に着陸させる。着陸後にも、さらに脚部24の長さを調整してもよい。
【0038】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る計測用ターゲット設置方法の説明図である。実施形態3に係る計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲット設置ドローン100の脚部24の下方に変形部材30を取り付けて、標定点10の設置状態において計測用ターゲット設置ドローン100が水平(アーム部22が水平)となるようにしたものである。
【0039】
変形部材30としては、内部にビーズを詰め込んだクッションのように、圧力に応じて自由に変形することのできる部材を用いることができる。本実施形態では、滑り止め部材40を載置する箱部50を設け、箱部50の下面の片側に位置するように変形部材30が取り付けられている。そして、変形部材30が谷側となるようにドローンを着陸させて、脚部と傾斜等との間に変形部材を挟み込むようにして、ドローンを水平にする。
【0040】
また、脚部24の下方に滑り止め部材40を取り付けて、着陸後の計測用ターゲット設置ドローン100が谷側に滑り落ちないようにすることもできる。本実施形態では、箱部50の側面に鉤状の滑り止め部材40が取り付けられている。そして、滑り止め部材40が山側となるようにドローンを着陸させて、滑り止め部材40が斜面に食い込むようにする。なお、変形部材30及び滑り止め部材40は、いずれか1つを取り付けた構成であってもよい。
【0041】
次に、図7~10を参照して、実施形態4に係る計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法について説明する。なお、実施形態1~3と同一の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0042】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係る計測用ターゲット設置ドローン200を示す平面図である。計測用ターゲット設置ドローン200と計測用ターゲット設置ドローン100とは、本体部21、アーム部22、プロペラ23が同一であるが、脚部が異なっている。計測用ターゲット設置ドローン200の脚部は、6本のアーム部22のうちの3本に取り付けられた、アーム部22に対して上下方向にスライドする脚部60a,60b,60cである。なお、脚部60の数は、3本以上であれば特に限定されない。
【0043】
図8は、計測用ターゲット設置ドローン200の脚部60a,60b,60cを示す模式図である。図8では説明のために、水平方向に簡略化して表示したアーム部22と脚部60a,60b,60cのみを記載して本体部やプロペラは省略している。なお、脚部60a,60b,60cは上下方向にスライドするので、上にスライドしたときにプロペラに接触しない位置に配置されている。
【0044】
脚部60a,60b,60cはそれぞれ、クランプ70a,70b,70cを介してアーム部22に取り付けられており、地面に着陸する前の飛行中は自由に動く状態であり、図8に示すように自重により最も下がった状態になっている。脚部60a,60b,60cの上部には、クランプ70a,70b,70cから抜け落ちないように係止部が設けられている。
【0045】
脚部60a,60b,60cは、それ自体が伸縮するものではないが、アーム部22に対して上下方向にスライドすることにより、アーム部22より下の部分の長さが変化するので、実質的に伸縮可能な脚部となっている。
【0046】
脚部60a,60b,60cの下端部にはそれぞれ、地面に設置したときにONになるスイッチSWa,SWb,SWcが取り付けられている。
【0047】
クランプ70a,70b,70cには、ソレノイドやサーボモーター等を利用した開閉制御手段(図示しない)が設けられており、後述する脚部規制機構からの信号により開閉するようになっている。そして、クランプ70a,70b,70cを閉じることにより、脚部60a,60b,60cを締め付けて上下方向のスライドを規制するようになっている。
【0048】
図9~10を参照して、計測用ターゲット設置ドローン200を使用した計測用ターゲット設置方法について説明する。図9(A)に示すように、計測用ターゲット設置ドローン200が斜面に着陸しようとして下降すると、まず脚部60aが接地してスイッチSWaがONになる。この段階では、クランプ70a,70b,70cは閉じておらず、脚部60a,60b,60cのスライドは規制されない。
【0049】
計測用ターゲット設置ドローン200がさらに下降すると、図9(B)に示すように、脚部60bが接地してスイッチSWbがONになる。脚部60aは、追加で下降した分だけ上方にスライドする。この段階でも、クランプ70a,70b,70cは閉じておらず、脚部60a,60b,60cのスライドは規制されない。
【0050】
計測用ターゲット設置ドローン200がさらに下降すると、図9(C)に示すように、脚部60cが接地してスイッチSWcがONになる。脚部60a,60bは、追加で下降した分だけ上方にスライドする。そして、すべてのスイッチSWa,SWb,SWcがONになると、クランプ70a,70b,70cが閉じられて、脚部60a,60b,60cのスライドが規制されて長さが固定される。
【0051】
図10は、計測用ターゲット設置ドローン200の脚部規制機構の説明図である。脚部60a,60b,60cの下端部に取り付けられたスイッチSWa,SWb,SWcは、直列に接続されている。そして、すべてのスイッチSWa,SWb,SWcがONになると、コントローラ80からの信号によりすべてのクランプ70a,70b,70cが作動して閉じるようになっている。
【0052】
このようにして、脚部60a,60b,60cのアーム部22より下の長さを伸縮させて、計測用ターゲット設置ドローン200を水平に着陸させることができる。
【0053】
本実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン100,200は、計測用ターゲットが取り付けられているので、被災現場等の計測用ターゲット設置場所にドローンを着陸させることにより、安全に計測用ターゲットを設置することができる。
【0054】
また、伸縮可能な脚部を有することにより、計測用ターゲット設置場所の傾斜等に合わせて脚部の長さを調整して、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0055】
また、脚部と着陸面との距離を測定する測定手段を有することにより、空中で脚部と着陸面との距離を測定して、着陸前に計測用ターゲット設置場所の傾斜等に合わせて脚部の長さを調整することができる。
【0056】
また、脚部の下方に取り付けられた変形部材を有することにより、変形部材が谷側となるようにドローンを着陸させて、脚部と傾斜等との間に変形部材を挟み込むようにして、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0057】
また、脚部の下方に取り付けられた滑り止め部材を有することにより、滑り止め部材が山側となるようにドローンを着陸させて、ドローンを安定して離着陸させることができる。
【0058】
また、計測用ターゲットが三次元計測を行うための標定点10であるので、標定点10に基づく三次元計測により、被災現場等の図面を短時間で高精度に作成することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る計測用ターゲット設置方法は、計測用ターゲットが取り付けられた計測用ターゲット設置ドローンを計測用ターゲット設置場所に着陸させて計測用ターゲットを設置するので、被災現場等に人が立ち入ることなく、安全に計測用ターゲットを設置することができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法によれば、被災現場等の図面を短時間で高精度に作成するための標定点等の計測用ターゲットを安全かつ安定して設置することができる。
【0061】
以上、本実施形態に係る計測用ターゲット設置ドローン及び計測用ターゲット設置方法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0062】
本実施形態においては、計測用ターゲットを、三次元計測を行うための標定点としたが、これに限定されるものではなく、種々の計測用ターゲットに適用することができる。例えば、地盤の挙動計測用ターゲットを取り付けたドローンを設置場所に着陸させ、監視撮影することにより、不安定な崩壊土砂における初期の変位計測を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態においては、被災現場に標定点を設置する場合について説明したが、被災現場に限定されるものではなく、平常時の山間部等であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 被災現場
2 スキャナ
10 標定点
11 球体部
12 取付用脚部
20 ドローン
21 本体部
22 アーム部
23 プロペラ
24 脚部
30 変形部材
40 滑り止め部材
50 箱部
60 脚部
70 クランプ
80 コントローラ
SW スイッチ
100 計測用ターゲット設置ドローン
200 計測用ターゲット設置ドローン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10