(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048411
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】プルリング付きキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/36 20060101AFI20240402BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65D47/36 210
B65D47/08 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154293
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秀島 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084BA02
3E084DB09
3E084DB13
3E084EA03
3E084EB01
3E084EB02
3E084FA02
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB17
3E084HB02
3E084JA20
3E084LA03
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】ユニバーサルデザインの観点を持つプルリング付きキャップを提供する。
【解決手段】容器の口部2に装着するキャップ本体3と、キャップ本体3と一体をなす上蓋部6を有し、キャップ本体3は、口部開口を塞ぐ中栓8と、中栓天面の開口予定部をなす栓体10と、栓体10と中栓8を繋ぐ栓体弱化部10aと、栓体10と一体をなす支柱17と、支柱17の先端に設けるプルリング11を有し、支柱17は、支柱先端面17aがプルリング11と面一状に連続し、支柱先端面17aに連続しプルリング11の径方向内側に向く部位に指当たり緩和部18を有し、指当たり緩和部18は、支柱先端面17aに続く上部曲面18aと支柱17の口部径方向内側面17bに続く下部曲面18bからなり、上部曲面18aと下部曲面17bが階段状に続く形状をなす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体と一体をなす上蓋部を有し、
キャップ本体は、口部開口を塞ぐ中栓と、中栓天面の開口予定部をなす栓体と、栓体と中栓を繋ぐ栓体弱化部と、栓体と一体をなす支柱と、支柱の先端に設けるプルリングを有し、
支柱は、支柱先端面がプルリングと面一状に連続し、支柱先端面に連続しプルリングの径方向内側に向く部位に指当たり緩和部を有し、
指当たり緩和部は、支柱先端面に続く曲面を有することを特徴とするプルリング付きキャップ。
【請求項2】
指当たり緩和部は、複数の曲面からなり、一つの曲面が支柱先端面に続く上部曲面をなし、他の一つの曲面が支柱の口部径方向内側面に続く下部曲面をなし、複数の曲面が階段状に続く形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のプルリング付きキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着するプルリング付きキャップに関し、プルリングにより閉鎖部の開封を行う技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載する中栓付きの注出キャップは、注出筒部を有するベースと、この注出筒部の内側に一体成形されて注出開口を形成する密閉壁と、密閉壁に支柱を介して接続するプルリングとを備えている。
プルリングの少なくとも支柱側の内周壁の上端縁に、外表面が曲面にて形成された隆起する凸部を設けたものである。
特許文献2に記載する容器用口栓は、破断可能ラインによって区画された切取領域を有した壁部と、切取領域の上面から突出して延びる支柱と、支柱に連結部を介して支持されるプルリングとを備えている。
プルリングは、その上端縁から突出する保護片を有し、保護片は、プルリングの周方向において、連結部および連結部の両側方に亘って形成され、プルリングの上端縁から径方向外側に向けて凸状に湾曲する湾曲内周面を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5154309号
【特許文献2】特許第6523008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、今日の社会では、ユニバーサルデザインが求められている。ユニバーサルデザインは、すべての人のためのデザインを意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインする、すなわち、うっかりミスや危険につながらないデザイン、誰でも公平に利用できること、いろいろな方法を自由に選べること、使い方が簡単ですぐ分かること、必要な情報がすぐ理解できること、うっかりミスや危険につながらないデザインになっていること、無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に利用できること、使いやすい寸法・空間になっていること等々を満たすものである。
この観点からプルリングによる開封操作を考察すると、プルリングに挿し込んだ手指の爪の根本付近にプルリングが当接して違和感のあるケースがある。この違和感を解消するものとして、特許文献1、2の発明が提案されている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ユニバーサルデザインの観点を持つプルリング付きキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るプルリング付きキャップは、容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体と一体をなす上蓋部を有し、キャップ本体は、口部開口を塞ぐ中栓と、中栓天面の開口予定部をなす栓体と、栓体と中栓を繋ぐ栓体弱化部と、栓体と一体をなす支柱と、支柱の先端に設けるプルリングを有し、支柱は、支柱先端面がプルリングと面一状に連続し、支柱先端面に連続しプルリングの径方向内側に向く部位に指当たり緩和部を有し、指当たり緩和部は、支柱先端面に続く曲面を有することを特徴とする。
本発明に係るプルリング付きキャップにおいて、指当たり緩和部は、複数の曲面からなり、一つの曲面が支柱先端面に続く上部曲面をなし、他の一つの曲面が支柱の口部径方向内側面に続く下部曲面をなし、複数の曲面が階段状に続く形状をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明に係るプルリング付きキャップによれば、プルリングの径方向内側に突出する支柱はプルリングに挿入する手指に対して障害となる要素である。このプルリングより内側にある支柱に曲面を有する指当たり緩和部を設けることで、手指に対する支柱の当たりの感触を和らげて痛み等の違和感を緩和でき、怪我のリスクを低減できる。
また、指当たり緩和部は、複数の曲面が階段状に続く形状をなし、指当たり緩和部の全体的な形状としては、プルリングの内側から外側に向けて傾斜する形状をなし、支柱先端面に続く上部曲面および支柱の口部径方向内側面に続く下部曲面を有することでプルリングに挿入した手指に対する親和性が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係るプルリング付きキャップの開栓状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るプルリング付きキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1から
図2において、プルリング付きキャップ1は、容器の口部2に装着するキャップ本体3と、ヒンジ4およびバンドヒンジ5を介してキャップ本体3と一体をなす上蓋部6を有している。
キャップ本体3は、容器の口部2を容器の軸心周りに囲むスカート部7と、口部2の開口を覆う中栓8を有している。
中栓8は、筒状の注出筒9を有し、注出筒9に囲まれた開口予定部の栓体10を、栓体弱化部10aを介して有しており、栓体10にプルリング11を一体に設けている。また、中栓8は天面に注出筒9の外側を囲んでキャップ本体3の軸心周りに環状をなす中栓嵌合部12を有し、中栓嵌合部12はキャップ本体3の径方向外側に向けて突出する中栓嵌合凸部12aを備えている。さらに、中栓8は下面に口部2に挿し込むインナーシール部13を備えている。
上蓋部6は、開口内側縁に蓋嵌合部14を有し、蓋嵌合部14はキャップ本体3の径方向外側に向けて窪み、中栓嵌合凸部12aに嵌合する蓋嵌合凹部14aを有している。また、上蓋部6は外周面に上蓋部6の径方向外側に延びる鍔部15を有し、鍔部15は上蓋部6の径方向においてヒンジ4に対向する部位にある。さらに、上蓋部6は、内側面に注出筒9に挿し込む環状の上蓋インナー16を備えている。
栓体10とプルリング11は栓体10の天面に一体に設けた支柱17を介して繋がっており、プルリング11は支柱17の先端に設けている。
支柱17は、支柱先端面17aがプルリング11と面一状に連続しており、支柱先端面17aに連続し、プルリング11の径方向内側に向く部位に指当たり緩和部18を有している。
指当たり緩和部18は、支柱先端面17aに続く上部曲面18aと支柱17の口部径方向内側面17bに続く下部曲面18bからなり、上部曲面18aと下部曲面18bが階段状に続く形状をなす。上部曲面18aが下部曲面18bよりもプルリング11の径方向外側にある。
本実施の形態では、指当たり緩和部18に二つの曲面を設けたが、曲面は単数でもよく、上部曲面18aと下部曲面18bの間にさらに曲面を設けて指当たり緩和部18を3個以上の曲面で構成することも可能である。
上記の構成により、プルリング11の径方向内側に突出する支柱17はプルリング11に挿入する手指に対して障害となる要素である。このプルリング11より内側にある支柱17に曲面を有する指当たり緩和部18を設けることで、手指に対する支柱17の当たりの感触を和らげて痛み等の違和感を緩和でき、怪我のリスクを低減できる。
また、指当たり緩和部18は、複数の曲面が階段状に続く形状をなし、ここでは上部曲面18aと下部曲面18bが階段状に続く形状をなし、指当たり緩和部の全体的な形状としては、プルリング11の内側から外側に向けて傾斜する形状をなし、支柱先端面に続く上部曲面18aおよび支柱の口部径方向内側面に続く下部曲面18bを有することで、プルリング11に挿入した手指に対する親和性が実現できる。また、この形状は、成形時にプルリング11の金型からの離型を悪化させることはない。
【符号の説明】
【0009】
1 プルリング付きキャップ
2 口部
2a 口凹部
3 キャップ本体
4 ヒンジ
5 バンドヒンジ
6 上蓋部
7 スカート部
8 中栓
9 注出筒
10 栓体
10a 栓体弱化部
11 プルリング
12 中栓嵌合部
12a 中栓嵌合凸部
13 インナーシール部
14 蓋嵌合部
14a 蓋嵌合凹部
15 鍔部
16 上蓋インナー
17 支柱
17a 支柱先端面
17b 口部径方向内側面
18 指当たり緩和部
18a 上部曲面
18b 下部曲面