IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子部品 図1
  • 特開-電子部品 図2
  • 特開-電子部品 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048418
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H01L23/50 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154303
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100121049
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 正義
(72)【発明者】
【氏名】久保田 博史
(72)【発明者】
【氏名】小口 友規
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067AB02
5F067BA05
5F067BD02
(57)【要約】
【課題】吊り端子の露出面を電気的絶縁層で覆うことなく、トラッキング現象を抑制できる電子部品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電子部品(1)は、チップ(2)と、前記チップを固定するダイパッド(3)と、前記ダイパッドから延出する吊り端子(4a、4b)と、前記チップと電気的に接続されるリード端子(6、7)と、ダミー端子(10a~10f)と、を有し、前記吊り端子(4a、4b)は、前記リード端子(6、7)よりも前記ダミー端子(10e、10b)の近くに配置される、ことを特徴とする。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップと、
前記チップを固定するダイパッドと、
前記ダイパッドから延出する吊り端子と、
前記チップと電気的に接続されるリード端子と、
ダミー端子と、を有し、
前記吊り端子は、前記リード端子よりも前記ダミー端子の近くに配置される、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
チップと、
前記チップを固定するダイパッドと、
前記ダイパッドから延出する吊り端子と、
前記チップと電気的に接続されるリード端子と、
ダミー端子と、を有し、
前記吊り端子は、前記ダミー端子を兼ねる、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項3】
前記ダイパッドの表面に交差する二本の対角線を引いたとき、第1の対角線と交わる前記ダイパッドの端部近傍から前記吊り端子が延出しており、第2の対角線と交わる前記ダイパッドの端部近傍に前記リード端子が配置されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイパッドから延出する吊り端子を備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チップを固定するダイパッドと、該ダイパッドから延出した吊り端子と、チップと電気的に接続されるリード端子とを備えた電子部品において、モールド樹脂から露出する吊り端子の露出面を電気的絶縁層で覆う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6938118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、吊り端子の露出面を電気的絶縁層で覆うのは、チップと電気的に接続されるリード端子が吊り端子近傍に配置されており、高電圧印加時にリード端子と吊り端子との間にトラッキング現象が生じるのを防止するためであった。
【0005】
そこで本発明は、吊り端子の露出面を電気的絶縁層で覆うことなく、トラッキング現象を抑制できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における電子部品は、チップと、前記チップを固定するダイパッドと、前記ダイパッドから延出する吊り端子と、前記チップと電気的に接続されるリード端子と、ダミー端子と、を有し、前記吊り端子は、前記リード端子よりも前記ダミー端子の近くに配置される、ことを特徴とする。
【0007】
本発明における電子部品は、チップと、前記チップを固定するダイパッドと、前記ダイパッドから延出する吊り端子と、前記チップと電気的に接続されるリード端子と、ダミー端子と、を有し、前記吊り端子は、前記ダミー端子を兼ねる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明では、前記ダイパッドの表面に交差する二本の対角線を引いたとき、第1の対角線と交わる前記ダイパッドの端部近傍から前記吊り端子が延出しており、第2の対角線と交わる前記ダイパッドの端部近傍に前記リード端子が配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、吊り端子とリード端子との距離を離すことで、吊り端子の露出面を絶縁樹脂で覆うことなく、トラッキング現象を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、従来例における電子部品の平面図である。
図2図2は、第1の実施形態における電子部品の平面図である。
図3図3は、第2の実施形態における電子部品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
<従来における電子部品21の絶縁対策>
図1は、従来例における電子部品21の平面図である。図1に示すように、チップ22を固定するダイパッド23には、一対の吊り端子24が形成されている。ダイパッド23は、平面内にて直交するX1-X2方向及びY1-Y2方向に沿った4辺を有する矩形状であり、Y1側端面23a、Y2側端面23b、X1側端面23c及びX2側端面23dを備える。図1に示すように、各吊り端子24は、ダイパッド23のX1側端面23c及びX2側端面23dの中央から延出している。
【0013】
吊り端子24は、リードフレームにおいて、ダイパッド23をリードフレームの外枠に連結しておくための梁状部材であり、ワイヤボンディング、及び樹脂封止後、リードフレームの不要部分は除去されるが、吊り端子24の一部は残される。そのため、吊り端子24の端面24aは、リードフレームの不要部分を除去したときに封止樹脂25の端面から露出する露出面である。なお、図1では、封止樹脂25を点線で示した。すなわち点線内は、封止樹脂25で覆われており、外部から見えないが、本図は透視図とした。
【0014】
図1に示すように複数のリード端子26、27は、チップ22とワイヤ28を介して電気的に接続されている。リード端子26は、ダイパッド23のX1側端面23cのY2寄りに、リード端子27は、ダイパッド23のX2側端面23dのY1寄りに設けられる。符号30a~30fは、ダミー端子である。
【0015】
図1に示す従来例では、吊り端子24の露出面24aと、リード端子26との距離が近い。このため、高電圧印加時に、吊り端子24の露出面24aとリード端子26の間でトラッキング現象が生じた。このように、従来の電子部品21の構造では、吊り端子24を経由して放電が生じる問題が生じた。そこで、図1に示すように、吊り端子24の露出面24aに電気的絶縁層29を設けることで、沿面距離を広げ、トラッキング現象の発生を抑制していた。
【0016】
しかしながら、図1の従来例では、電気的絶縁層29を付与することが必要になるため、電気的絶縁層29を設けずにトラッキング現象を防止可能な構造が望まれた。
【0017】
<第1の実施形態における電子部品1の説明>
図2は、第1の実施形態における電子部品の平面図である。図1と同様に、封止樹脂5を点線で示した透視図とした。
【0018】
図2に示す電子部品1は、チップ2と、チップ2を固定するダイパッド3と、ダイパッド3から延出する吊り端子4a、4bと、チップ2と電気的に接続される複数のリード端子6、7と、複数のダミー端子10a~10fと、を有する。
【0019】
ダイパッド3、吊り端子4a、4b、リード端子6、7及びダミー端子10a~10fは、例えば、銅或いは銅合金の薄板からなるリードフレームから構成されており、該リードフレームから不要箇所が除去されて、個々に分離されている。ただし、ダイパッド3と吊り端子4a、4bは一体である。
【0020】
図2に示すように、平面方向にて直交する2方向をX1-X2方向と、Y1-Y2方向としたとき、ダイパッド3は、X1-X2方向に平行なY1側端面3a及びY2側端面3bと、Y1-Y2方向に平行なX1側端面3c及びX2側端面3dからなる矩形状で形成される。図1に示すように、例えば、ダイパッド3は、Y1側端面3a及びY2側端面3bの長さが、X1側端面3c及びX2側端面3dよりも長い横長形状である。
【0021】
図2に示すように、第1の吊り端子4aは、ダイパッド3のY1側端面3aの図示X1側の端部近傍からダイパッド3と一体的に延出しており、第2の吊り端子4bは、ダイパッド3のY2側端面3bの図示X2側の端部近傍からダイパッド3と一体的に延出している。これら吊り端子4a、4bの各端面4c、4dは、リードフレームから不要部分を切断した際の切断面であり、また、封止樹脂5から露出した露出面である。吊り端子4a、4bの各端面4c、4dは、図1の従来例と異なって、電気的絶縁層で覆われていない。
【0022】
図2に示すように、ダイパッド3の表面には、ダイパッド3と同じく矩形状のチップ2が載置されている。ただし、チップ2の平面形状を限定するものではない。チップ2には、例えば、薄膜抵抗集積アレイが形成されている。チップとして半導体シリコンのチップが用いられる。なお、チップ3は、半導体チップに限らず、セラミックス等のチップでもよい。チップ2は、各リード端子6、7とワイヤ9を介して電気的に接続される。
【0023】
図2に示すように、第1のリード端子6は、ダイパッド3のX1側端面3cのY2寄りに位置しており、第2のリード端子7は、ダイパッド3のX2側端面3dのY1寄りに位置している。このように、各リード端子6、7は、ダイパッド3の略対角線上に配置されており、体格のリード端子6、7間に電圧が印加される。
【0024】
複数のダミー端子10a~10fは、リード端子6、7も含めて、ダイパッド3の四隅近傍に、X1-X2方向及びY1-Y2方向を夫々、対称軸として、線対称に配置されている。ダミー端子10a~10f及びリード端子6、7は、いずれも封止樹脂5の端面から外方に向けて突出している。
【0025】
吊り端子4a、4bとリード端子6、7との距離について説明する。図2に示す第1の実施形態と、図1に示す従来例とを対比すると、ダイパッド3、23に対するリード端子およびダミー端子の位置は同じであるが、吊り端子4a、4b、24の位置が異なっている。図1図2に示すように、ダイパッド3、23は、ともに、X1-X2方向の長さがY1-Y2方向の長さよりも長い横長形状であり、図1の従来例では、吊り端子24は、ダイパッド23の短い端面であるX1側端面23c及びX2側端面23dの中央から延出している。一方、図2に示す第1の実施形態では、吊り端子4a、4bは、ダイパッド3の長い端面であるY1側端面3a及びY2側端面3bであって、リード端子6、7の位置とは逆側の端部近傍から延出している。このため、第1の実施形態における吊り端子4a、4bとリード端子6、7との距離は、従来例における吊り端子24、24とリード端子26、27との距離よりも長くなっている。このように本実施形態では、各吊り端子4a、4bを各リード端子6、7から離した位置に形成した。したがって、本実施形態では、図1に示す従来例と異なって、吊り端子4a、4bの露出面4c、4dを電気的絶縁層で覆わなくても、沿面距離を広げることができ、トラッキング現象を効果的に減少させることができる。
【0026】
本実施形態における電子部品1の特徴的構成を以下に記載する。
(1) 吊り端子4a、4bは、リード端子6、7よりもダミー端子10e、10bの近くに配置される。すなわち、吊り端子4a、4bを、ダミー端子10e、10b付近に形成することで、リード端子6、7との距離を離すことができる。吊り端子4a、4b、リード端子6、7及びダミー端子10e、10bの各位置は、(1)の関係を満たせば、図2の配置以外であってもよいが、図2に示すように、ダイパッド3の両端に、リード端子6、7とダミー端子10e、10bとが離れて配置される構造に好ましく適用される。これにより、吊り端子4a、4bをダミー端子10e、10b近傍に配置することで、吊り端子4a、4bとリード端子6、7との間の距離を効果的に離すことができる。或いは、複数あるダミー端子10a~10fのうち、リード端子6、7から離れたダミー端子10b、10eの近傍に吊り端子4a、4bを配置する。
【0027】
(2) 図2に示すように、ダイパッド3の表面に交差する二本の対角線D1、D2を引いたとき、第1の対角線D1と交わるダイパッド3の端部(角部)近傍に、吊り端子4a、4bが配置され、第2の対角線D2と交わるダイパッド3の端部(角部)近傍に各リード端子6、7が配置される。
【0028】
特に、図2に示すように、ダイパッド3は、X1-X2方向の長さがY1-Y2方向よりも長い横長形状であり、その長さの長いX1-X方向の両側に吊り端子4a、4bとリード端子6、7とを配置することが好適である。これにより、吊り端子4a、4bとリード端子6、7との距離を効果的に離すことができる。
【0029】
<第2の実施形態の電子部品11の説明>
図3は、第2の実施形態における電子部品11の平面図である。図1図2と同様に、封止樹脂5を点線で示した透視図とした。
【0030】
図3に示す電子部品11は、チップ2と、チップ2を固定するダイパッド3と、チップ2と電気的に接続される複数のリード端子6、7と、複数のダミー端子10a~10fを、有する。なお、図2と同じ符号は図2と同じ部材を示している。
【0031】
図3に示す第2の実施形態では、ダイパッド3の四隅に、リード端子6、7、及びダミー端子10a~10fが配置されるが、ダミー端子10a~10fのうち、ダミー端子10b、10eは、吊り端子も兼用する。以下、吊り端子10b、10eと記載する。
【0032】
すなわち、本実施形態では、リードフレームにおいて、吊り端子10b、10eを介してダイパッド3と外枠とが連結されており、不要部分である外枠を除去した際、吊り端子10b、10eをダミー端子として残す。このため、図3に示すように、吊り端子10b、10eは、封止樹脂5よりも外側に突出した外部端子構造とされる。
【0033】
図3に示す第2の実施形態では、吊り端子10b、10eがダミー端子を兼用するため、各端子のトータル数を図2の第1の実施形態よりも減らすことができる。また、各端子の配置バランスを保つために、リード端子7及びダミー端子10aを、吊り端子10b、10eとY1-Y2方向にて対向する位置に配置している。
【0034】
第2の実施形態では、複数あるダミー端子のうち、リード端子6、7から離れたダミー端子に吊り端子10b、10eを兼用させており、これにより、吊り端子10b、10eとリード端子6、7との距離を離すことができる。
【0035】
図3に示ように、ダイパッド3は、X1-X2方向の長さがY1-Y2方向よりも長い横長形状である。すなわち、Y1側端面3a及びY2側端面3bの長さは、X1側端面3c及びX2側端面3dの長さよりも長い。
【0036】
そして、長さの長いY1側端面3a及びY2側端面3bの両側に夫々、吊り端子10b、10eとリード端子6、7とを配置することで、より効果的に両者間の距離を離すことが可能になる。また、図3に示すように、ダイパッド3の表面に交差する二本の対角線D1、D2を引いたとき、第1の対角線D1と交わるダイパッド3の端部(角部)近傍に、吊り端子10b、10eが配置され、第2の対角線D2と交わるダイパッド3の端部(角部)近傍に各リード端子6、7が配置されることが、吊り端子10b、10eとリード端子6、7との距離を効果的に離すことができ、好適である。
【0037】
なお、図2図3に記載した本実施の形態におけるダミー端子の数は一例であって端子数を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の電子部品では、トラッキング現象を抑制でき、高電圧印加においても長寿命を実現できる。電子部品としては、薄膜抵抗ネットワーク等に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1、11 :電子部品
2 :チップ
3 :ダイパッド
3a :Y1側端面
3b :Y2側端面
3c :X1側端面
3d :X2側端面
4a :第1の吊り端子
4b :第2の吊り端子
4c、4d :露出面
5 :封止樹脂
6 :第1のリード端子
7 :第2のリード端子
9 :ワイヤ
10a~10f :ダミー端子
10b、10e :吊り端子
D1 :第1の対角線
D2 :第2の対角線

図1
図2
図3