(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048419
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A63F7/02 310C
A63F7/02 326C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154304
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000132747
【氏名又は名称】株式会社ソフイア
(72)【発明者】
【氏名】林 信哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA21
2C088EA23
(57)【要約】
【課題】部材を効率よく利用する。
【解決手段】遊技を実行可能な遊技機において、第1部材(前面枠12)と、第2部材(遊技盤30)と、第1部材に設けられた第1識別部材60と、第2部材に設けられた第2識別部材70と、を備える。第1識別部材60と第2識別部材70とが適合する場合に第1部材に第2部材を取り付けられるように構成され、第2識別部材70を変更可能に設けることで部材を効率よく利用することができようにする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を実行可能な遊技機において、
第1部材と、
第2部材と、
前記第1部材に設けられた第1識別部材と、
前記第2部材に設けられた第2識別部材と、を備え、
前記第1識別部材と前記第2識別部材とが適合する場合に前記第1部材に前記第2部材を取り付けられるように構成され、
前記第2識別部材が変更可能に設けられていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を実行可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の代表例としてパチンコ機がある。このパチンコ機では、遊技盤の遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入賞すること(始動入賞)に基づいて、遊技領域に設けられた変動表示装置に表示される複数の識別情報(図柄、記号など)を変動表示する変動表示ゲームを開始し、変動表示ゲームの結果が特別結果であった場合には、特別変動入賞装置を開放する特別遊技状態となり遊技者が利益を獲得するものがある。このような遊技機において、遊技盤を島設備に設置される枠から着脱可能として交換できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の遊技機では、遊技盤は特定の枠に対してのみ使用可能であり、盤面の構成が同じであっても他の枠に使用する遊技盤は別途製作する必要があり、部材の無駄が生じていた。本発明の目的は、部材を効率よく利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
遊技を実行可能な遊技機において、
第1部材と、
第2部材と、
前記第1部材に設けられた第1識別部材と、
前記第2部材に設けられた第2識別部材と、を備え、
前記第1識別部材と前記第2識別部材とが適合する場合に前記第1部材に前記第2部材を取り付けられるように構成され、
前記第2識別部材が変更可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、部材を効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の遊技機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態の遊技機10の正面図であり、
図2は、本実施形態の遊技機10の前面側から見た分解斜視図である。また、
図3は、前面枠12の前面側から見た斜視図であり、
図4は、遊技盤30の裏面側から見た斜視図である。
図1及び
図2に示すように本実施形態の遊技機10は、遊技店の島設備に固定される矩形枠状に構成された外枠(支持枠)11と、外枠11に対して回動可能に取り付けられる前面枠12と、前面枠12に着脱可能に取り付けられる遊技盤30と、前面枠12に対して回動可能に取り付けられるガラス枠(透明板保持枠)15と、を備える。
【0009】
前面枠12は、前面側から見た左端部が外枠11により回動可能に軸支され、外枠11に対して前側に回動可能となっている。この前面枠12には、遊技球の払い出しを行う払出ユニット91や、遊技球を発射する打球発射装置92などの種々の装置が設けられている。
前面枠12の下部には、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿(受皿)23、打球発射装置のハンドル24等が設けられている。さらに、前面枠12の下部右側には、前面枠12やガラス枠15を開放したり施錠したりする鍵を挿入するための鍵穴26が設けられている。
また、前面枠12には、遊技盤30を嵌め込んで収容するための方形状の開口である遊技盤取付部93が形成されている。遊技盤取付部93には、遊技盤30を取り付けるための係合部材94、固定部材95が設けられている。
【0010】
ガラス枠15は、前面側から見た左端部が前面枠12により回動可能に軸支され、前面枠12に対して前側に回動可能となっている。
このガラス枠15には、遊技盤30と対向する位置に遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14が備えられており、遊技機10の前側からカバーガラス14を介して遊技盤30の前面側の少なくとも遊技領域32の部分が視認可能となっている。
【0011】
ガラス枠15には、カバーガラス14の後方となる位置に遊技盤30の前面を覆う表示板350が設けられている。表示板350は遊技盤30を透視可能であるとともに、所定の表示を表示可能となっている。本実施形態の遊技機では、側端から光を導入することで像が浮かび上がる導光板で構成されているが、透明な液晶表示装置やEL表示装置で構成されていても良い。
表示板350に所定の表示がされていない状態では透明であって後方の遊技盤30の視認を妨げないようになっている。そして、表示板350に所定の表示がされた場合には、当該所定の表示の部分では後方の遊技盤30の視認性が低下することとなる。この状態では、所定の表示を透して後方の遊技盤30が視認可能であっても良いし、所定の表示により後方の遊技盤30が視認不能であっても良い。
【0012】
ガラス枠15の上部には、遊技機10の機種名等を表示する機種名等表示部16が設けられている。
また、ガラス枠15の左右には内部にランプやLED等を内蔵し装飾や演出、および異常発生時の報知(例えば、払出異常が発生した場合はランプやLED等を異常報知色(例えば、赤色)で点灯(点滅)させる)のための発光をする枠装飾装置18や、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ(上スピーカ)19aが設けられている。さらに、前面枠12及びガラス枠15の下部にもスピーカ(下スピーカ)19bが設けられている。また、異常発生時はスピーカ(上スピーカ)19a、スピーカ(下スピーカ)19bから音声で異常内容が報知されるようになっている。なお、ガラス枠15の所定部位に払出異常報知用のランプを設けるようにしても良い。
【0013】
また、ガラス枠15の下部には、打球発射装置92に遊技球を供給する上皿(貯留皿)21、遊技機10の裏面側に設けられている払出ユニット91から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの押圧操作入力を受け付けるための演出ボタンスイッチを内蔵した演出ボタン25が設けられている。また、演出ボタン25には、当該演出ボタン25を振動させる駆動源も内蔵されている。すなわち、本実施形態の遊技機10は、演出ボタン25を振動させることで所定の報知を行うバイブレーション機能を備えている。なお、演出ボタン25は、通常状態(
図1や
図2に示す状態)から突出状態(演出ボタン25の上面(押圧面)が通常状態時よりも上側にある状態)に変換可能に構成されていても良い。
【0014】
また、演出ボタン25の右方には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する貸出ボタン(球貸ボタン)27a、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する返却ボタン(排出ボタン)27b、プリペイドカードの残高を表示する残高表示器(残高表示部)27c、上皿21内の遊技球を下皿23へ流下させるために操作する上皿操作レバー27d、遊技者が所有するスマートフォンなどの携帯端末を置くための携帯端末置き部28等が設けられている。また、演出ボタン25の左方には、音量調整用ボタン27e、十字キー29等が設けられている。
本実施形態の遊技機10においては、遊技者がハンドル24を回動操作することによって、打球発射装置92が上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25や十字キー29を操作することによって、表示装置41における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行うことができる。
【0015】
遊技盤30は、各種部材の取付ベースとなる平板状の遊技盤本体80を備える。遊技盤本体は木製又は合成樹脂製であって、当該遊技盤本体の前面には、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33及び外周壁(ガイドレール)31で囲まれた遊技領域32が設けられている。遊技機10は、外周壁31で囲まれた遊技領域32内に打球発射装置92から遊技球を発射して遊技を行うように構成されている。遊技領域32には遊技球の流下方向を変換する部材として風車や障害釘などが配設されており、発射された遊技球はこれら部材により転動方向を変えながら遊技領域32を流下する。
【0016】
遊技盤本体80の四隅に配されたサイドケース33には、遊技盤30を前面枠12に形成された遊技盤取付部93に対して着脱可能とする係合部81、固定部82が形成されている。前面側から見て左側の上下にあるサイドケース33には、前面枠12に設けられた係合部材94が係合可能な係合部81が形成され、遊技盤30の前面側から見て右側の上下にあるサイドケース33には、前面枠12に設けられた固定部材95が係合可能な固定部82が形成されている。
遊技盤30を前面枠12に取り付ける際には、まず、前面枠12に形成された遊技盤取付部93に対して、係合部81を係合部材94に係合させるように前面側から遊技盤30の左端部を斜めに挿入する。そして、この係合部分を軸として遊技盤30の右端部を後方に回動させて遊技盤取付部93に収容し、固定部82に固定部材95を係合させることで遊技盤30が前面枠12に固定されるようになっている。
【0017】
遊技領域32の略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部を形成するセンターケース40が取り付けられている。センターケース40に形成された窓部の後方には、複数の識別情報を変動表示する演出表示装置(変動表示装置)としての表示装置41が配置されている。
【0018】
表示装置41(変動表示装置)は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、演出画像として静止画や動画を表示可能であり、例えば、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等の遊技に関する情報が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
【0019】
また、センターケース40には、動作することによって遊技の演出を行う盤演出装置44が備えられており、センターケース40の下部の位置と、この位置よりも表示装置41の中央側の位置である位置との間で動作可能となっている。
【0020】
センターケース40の下方の遊技領域32には、特
図1変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム)の開始条件を与える始動入賞口36(第1始動入賞領域)が設けられている。始動入賞口36に入賞した遊技球は、始動口1スイッチによって検出される。
また、センターケース40の下方の遊技領域32には、複数の一般入賞口(図示略)が配置されている。これら一般入賞口への遊技球の入賞は、一般入賞口に備えられた入賞口スイッチによって検出される。
【0021】
センターケース40の右方の遊技領域32には、普通図柄始動ゲート(図示略)が設けられている。普図始動ゲートの内部には、当該普図始動ゲートを通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチが設けられている。遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲートを通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
【0022】
センターケース40の右方には、特
図2変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)の開始条件を与える普通変動入賞装置(第2始動入賞領域、図示略)が設けられている。普通変動入賞装置に入賞した遊技球は、始動口2スイッチによって検出される。
普通変動入賞装置は、可動部材を備えており、この可動部材は常時は遊技球が流入できない閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。そして、普図変動表示ゲームの結果が所定結果となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイドによって動作され、普通変動入賞装置に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。なお、普通変動入賞装置は、可動部材が閉状態でも遊技球の入賞を可能とし、閉状態では開状態よりも遊技球が入賞しにくい状態としても良い。
【0023】
始動入賞口36の下方の遊技領域32には、特図変動表示ゲームの結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)38が設けられている。特別変動入賞装置38は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉を有しており、開放により大入賞口を遊技球が流入可能な状態に変換する。特別変動入賞装置38は、特図変動表示ゲームの結果によって、大入賞口を閉じた閉状態から開状態に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。特別変動入賞装置38に入賞した遊技球は、大入賞口スイッチ(カウントスイッチ)によって検出される。
【0024】
始動入賞口36の下方の遊技領域32には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を回収するアウト口30aが設けられている。また、遊技領域32の外側であって遊技盤本体80の右下角部には、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム、特
図2変動表示ゲーム)及び普図変動表示ゲームの表示や遊技機の状態を表示する一括表示装置(図示略)が設けられている。
【0025】
また、遊技盤30の裏面には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置100と、遊技制御装置100からのコマンドに基づいて表示装置41での表示や音声の出力などの遊技の演出を制御する演出制御装置300が設けられている。
【0026】
本実施形態の遊技機10においては、遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲートを通過すると、普図始動記憶が上限数(例えば、4個)を限度に記憶され、普図始動記憶に基づき普図変動表示ゲームが行われる。普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普通変動入賞装置の可動部材を所定時間開放する制御を行う。
【0027】
また、始動入賞口36への入賞に基づき始動記憶(特図始動記憶)をなす第1始動記憶を所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶するとともに、普通変動入賞装置への入賞に基づき始動記憶(特図始動記憶)をなす第2始動記憶を所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶する。
そして、第1始動記憶に基づいて特
図1変動表示ゲームを行い、第2始動記憶に基づいて特
図2変動表示ゲームを行う。そして、第1始動記憶と第2始動記憶との両方が記憶されている場合には、特
図2変動表示ゲームを特
図1変動表示ゲームよりも優先して実行する。
特
図1変動表示ゲームや特
図2変動表示ゲームの結果が大当りである場合は、特別変動入賞装置38を開放する特別遊技状態(いわゆる大当り状態)となる。
【0028】
また、特
図1変動表示ゲームや特
図2変動表示ゲームの実行に対応して、表示装置41にて複数種類の飾り識別情報(数字、記号、キャラクタ図柄等)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
【0029】
次に、適合する部材のみを取り付けを可能とする識別部材50について説明する。
外枠11、前面枠12及びガラス枠15には、メーカーやバージョンによりデザインや機能が異なるが、前面枠12の遊技盤取付部93の構造が共通しているものが存在する。このため、遊技盤30を取り付けることができたとしても、前面枠12と遊技盤30の機能が適合しない場合や、型式申請を行った組み合わせでない場合などが生じてしまうおそれがある。
このような事態を防止するため本実施形態の遊技機では、第1部材をなす前面枠12と、第2部材をなす遊技盤30と、が適合する場合にのみ前面枠12に遊技盤30を取り付けられるようにする識別部材50を備えている。
【0030】
図3に示すように前面枠12における遊技盤取付部93には、前面側から見て右上部となる位置に識別部材取付部96が設けられ、識別部材50をなす第1識別部材60が取り付けられている。
また、
図4に示すように遊技盤30の裏面側には、裏面側から見て左上部となる位置に識別部材取付部39が設けられ、識別部材50をなす第2識別部材70が取り付けられている。
第1識別部材60と第2識別部材70は、遊技盤30を遊技盤取付部93に取り付けた際に対向するようになっている。
第1部材をなす前面枠12と、第2部材をなす遊技盤30と、が適合する場合には、第1識別部材60と、第2識別部材70と、が適合し、第1部材をなす前面枠12に第2部材をなす遊技盤30を取り付けられるようになっている。
【0031】
図5には第1識別部材60を示した。
図5(a)に示すように第1識別部材60は、平板状の本体部61から突出する突出部62と、突出部62の突出方向と反対方向に延出する係合部63と、を備える。
突出部62は、後述する第2識別部材70に形成された嵌合部71に嵌合可能な形状とされている。
係合部63は、第1識別部材60を遊技盤取付部93に取り付けるためのもので、遊技盤取付部93に設けられた識別部材取付部96に係合するようになっている。
【0032】
この第1識別部材60は、
図5(a)、(b)に示す取付方向と、
図5(c)、(d)に示す取付方向と、の二通りで使用可能となっており、使用する前面枠12の種類により対応した取付方向で取り付けるようになっている。
識別部材取付部96の形状は前面枠12の種類にかかわらず共通としており、第1識別部材60の2つの係合部63も同じ形状としているので、前面枠12の遊技盤取付部93に関する部品については異なる種類の前面枠12であっても共通して使用可能であり、コストを削減することができる。
【0033】
平板状の本体部61には、第1識別部材60が対応可能な前面枠12の種類を示す識別子が表示されおり、前面枠12に取り付けた際に当該前面枠12の種類を示す識別子のみが正立するようにされている。
なお、本実施形態で識別子が正立するとは、少なくとも識別子の上下方向及び天地が遊技機の上下方向及び天地と一致することである。
この例では、第1識別部材60は「SWE」と称する種類の前面枠12と、「SWF」と称する種類の前面枠12に対応可能であり、それぞれを示す識別子が表示されている。
【0034】
また、「SWE」と称する種類の前面枠12はメーカーNが使用する前面枠12であり、「SWF」と称する種類の前面枠12はメーカーAが使用する前面枠12となっている。
遊技盤取付部93には、識別部材取付部96に隣接してメーカー名を示す識別子として、メーカーNを示す「N」の識別子とメーカーAを示す「A」の識別子が表示されている。
【0035】
そして、
図5(b)に示すように、メーカーNが使用する「SWE」と称する種類の前面枠12に取り付けた際には、「SWE」の文字が正立し、突出部62が「N」の識別子に隣接した位置に配される。
また、
図5(d)に示すように、メーカーAが使用する「SWF」と称する種類の前面枠12に取り付けた際には、「SWF」の文字が正立し、突出部62が「A」の識別子に隣接した位置に配される。
これにより、一見してメーカーや前面枠12の種類を認識することが可能となっている。
【0036】
第1識別部材60は、識別部材取付部96の裏側から係合部63の係合を解除することで取り外しが可能となっているが、識別部材取付部96の裏側には種々の装置が取り付けられており、これらの装置を取り外さなければ第1識別部材60を取り外しできないようになっている。
これにより、遊技店においては容易に取り外しできないようにすることができるとともに、遊技機10の部品をリユースする際には容易に取り外しすることができる。
【0037】
図6、
図7には第2識別部材70を示した。
図6(a)には正面図を示し、
図6(b)にはA-A断面図を示し、
図6(c)にはB-B断面図を示した。
第2識別部材70は平板状の部材で、第1識別部材60の突出部62を嵌合可能な嵌合部71と、第2識別部材70が対応する遊技盤30の種類を示す識別子が表示された識別子表示部72と、第2識別部材70が対応する遊技盤30の種類を形状により示す識別部73と、遊技盤本体80に固定するための固定部74と、を備える。
【0038】
図7に示すように、第2識別部材70には対応する遊技盤30の種類に応じた複数種類があり、本実施形態では、
図7(a)~(c)に示すメーカーNに対応する第2識別部材70と、
図7(d)~(f)に示すメーカーAに対応した第2識別部材70とがある。
これらは、嵌合部71、識別子表示部72及び識別部73の位置が異なるとともに、表示される識別子が異なるようにされている。また、第2識別部材70の種類により一部又は全部の色彩が異なるようにしても良い。これにより、工場出荷時における作業員や遊技店において遊技盤30を取り付ける作業員が目視により第2識別部材70の種類を確認しやすくなる。
【0039】
図6(c)に示すように嵌合部71は、第2識別部材70を貫通する開口となっており、遊技盤30を遊技盤取付部93に取り付けた際に第1識別部材60の突出部62が嵌合するようになっている。
図6(a)に示すように識別子表示部72にはメーカー名を示す識別子が表示されており、ここではメーカーNを示す「N」の識別子が表示されている。
図6(b)に示すように識別子表示部72が形成された箇所は裏面側に空間が形成されている。適合しない遊技盤30を前面枠12に取り付けた際には、第1識別部材60の突出部62が第2識別部材70の識別子表示部72に衝突する可能性があるため、この際に識別子表示部72が撓んで衝撃を吸収できるようにし、第1識別部材60や第2識別部材70の破損を防止している。また、この場合に第2識別部材70の識別子表示部72が破損する可能性があるが、最も目につきやすい識別子が破損することで破損したことを確実に把握することが可能となる。
【0040】
識別部73は、第2識別部材70の種類を視覚及び触覚により判別できるようにするもので、嵌合部71に隣接する位置に切欠きを形成したものとなっている。
上述したように遊技盤30を前面枠12に取り付ける際には、遊技盤30の左端部を前面枠12に係合させた状態で右端部を後方へ回動するように取り付けるため、遊技盤30の右端部を作業員が把持することとなる。
図2、
図4に示すように、第2識別部材70は遊技盤30の裏面側に取り付けられるため、遊技盤30の取付作業の際には全体が見えにくくなってしまうが、識別部73が遊技盤30の右端部に露出するようになっており、第2識別部材70の種類を目視により確認できるとともに作業員が触れる箇所となるため触覚によっても確認することができる。
【0041】
固定部74には、第2識別部材70を遊技盤本体80に固定するためのねじ穴74aが形成されており、ねじにより第2識別部材70を遊技盤本体80に取り付けられるようにしている。また、
図7(b)に示すように遊技盤本体80に接する部分には遊技盤本体80に対して滑らないようにする滑り止め部74bが形成されている。
第2識別部材70は、ねじにより取り付けられていることで、ねじを外すことにより容易に別の種類の第2識別部材70に交換できるようになっている。
【0042】
また、
図6(b)に示すように第2識別部材70は、嵌合部71が形成された部分の厚みよりも、固定部74の厚みの方が薄くなっている。
そして、
図4に示すように遊技盤本体80に設けられた識別部材取付部39には、第2識別部材70の形状に合わせた凹部が形成されている。
これにより、固定部74に対向する部分における遊技盤本体80の厚みを確保できるので、十分な長さのねじで第2識別部材70を固定することができる。また、遊技盤本体80の前面側にねじが貫通することを防止できる。
また、固定部74に対向する部分における遊技盤本体80の厚みを確保できるので、遊技盤本体80の強度の低下を防止できる。
【0043】
また、嵌合部71が形成された部分の厚みは十分にとることで、突出部62の突出幅を十分にとることができ、適合しない遊技盤30が前面枠12に収まってしまうことを防止し、作業者が異常に気付きやすくすることができる。
さらに、識別子表示部72が撓む構造とすることができて第1識別部材60や第2識別部材70の破損を防止することができる。さらに、遊技盤30に第2識別部材70を取り付ける際には段差にはめ込むようになるので、取付方向を間違えることを防止することができる。
【0044】
以上のような識別部材50によれば、前面枠12と遊技盤30とが適合する場合に第1識別部材60と第2識別部材70とが適合して前面枠12に遊技盤30が取り付けられるようにすることができる。
例えば、
図5(a)、(b)に示す向きで第1識別部材60が取り付けられた前面枠12に対しては、
図7(c)に示す第2識別部材70が適合し、当該第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30が取り付け可能となる。
この場合、第1識別部材60の突出部62と、第2識別部材70の嵌合部71とが対向して、突出部62が嵌合部71に嵌合することで遊技盤30が遊技盤取付部93に収まるようになる。
これに対して
図7(f)に示す第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30の場合は、第1識別部材60の突出部62と、第2識別部材70の識別子表示部72とが対向してしまい、突出部62が嵌合部71に嵌合しないため遊技盤30が遊技盤取付部93に収まらない。
【0045】
また、
図5(c)、(d)に示す向きで第1識別部材60が取り付けられた前面枠12に対しては、
図7(f)に示す第2識別部材70が適合し、当該第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30が取り付け可能となる。
この場合、第1識別部材60の突出部62と、第2識別部材70の嵌合部71とが対向して、突出部62が嵌合部71に嵌合することで遊技盤30が遊技盤取付部93に収まるようになる。
これに対して
図7(c)に示す第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30の場合は、第1識別部材60の突出部62と、第2識別部材70の識別子表示部72とが対向してしまい、突出部62が嵌合部71に嵌合しないため遊技盤30が遊技盤取付部93に収まらない。
【0046】
また、第2識別部材70はねじにより固定されているので容易に交換可能である。
よって、
図5(a)、(b)に示す向きで第1識別部材60が取り付けられた前面枠12に適合するように
図7(c)に示す第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30について、第2識別部材70を交換して
図7(f)に示す第2識別部材70が取り付けられた遊技盤30とすることで、
図5(c)、(d)に示す向きで第1識別部材60が取り付けられた前面枠12に適合するものとすることができる。もちろんその逆も可能である。
【0047】
これにより、遊技機10の開発過程で適合する前面枠12が変更された場合や、一の遊技盤30を複数の前面枠12で使用可能とするなど、型式申請上異なる前面枠12で型式申請を行う必要性が生じた場合などでも、容易に対応可能となる。
従来は遊技盤本体80に形成した凹部の位置により一の前面枠12にのみ適合するようにしていたので、適合する前面枠12が変更となった場合は遊技盤30を製作し直す必要があり時間と費用の損失が生じていたが、本実施形態の遊技機10のようにすることでこれらの問題を解消することができる。
【0048】
また、識別部材50を設けない場合には、前面枠12と遊技盤30が適合するかを別途の情報を参照して確認する必要があるが、識別部材50を設けることにより容易に確認することが可能となり、作業の効率を向上することができる。また、適合しない遊技盤30を取り付けてしまうことを防止できる。
【0049】
なお、識別部材50は、2組の前面枠12と遊技盤30の組み合わせについて識別可能としたが、3組以上の前面枠12と遊技盤30の組み合わせについて識別可能としても良い。
例えば、第1識別部材60は、取付方向が180度異なる二つの取付方向で取り付け可能としたが、より小さい角度の差で取付方向が異なるようにすればより多くの取付方向を規定でき、それぞれの取付方向に対応する第2識別部材70を使用することで、複数の組み合わせについて識別可能となる。
【0050】
識別部材取付部96の形状は前面枠12の種類にかかわらず共通とし、第1識別部材60の2つの係合部63も同じ形状とし、二つの取付方向のいずれにも対応できるようにしたが、前面枠12の種類により第1識別部材60の取付方向が一つに定められるようにしても良い。
例えば、係合部の一方の横幅を太くし、識別部材取付部96も取付方向に対応して一側だけ太い係合部が係合可能とするようにしても良い。
【0051】
識別子は文字としたが記号でも良い。また、識別子が正立する向きは任意に設定可能である。第1識別部材60と第2識別部材70を配設する位置は上述した位置に限られず、前面枠12と遊技盤30が対向する位置であればどのような位置でも良い。そして、第1識別部材60の識別子が遊技機10の上方向、下方向又は左右方向を向くようにする場合は、識別子が正立するとは少なくとも識別子の上下方向が遊技機の前後方向に一致し、識別子の天地が遊技機の前後と一致又は逆転することとしても良い。
【0052】
第1識別部材60と第2識別部材70にメーカー名を示す識別子を表示するとしたが、同一メーカーの異なる前面枠12について識別する場合にはメーカー名を示す識別子を表示しなくても良い。
第2識別部材70の識別子表示部72は、メーカー名でなく対応する前面枠12を示す識別子や、遊技盤30の種類を示す識別子を表示するようにしても良い。
第2識別部材70は、遊技盤30の種類毎に異なる部材としたが、裏返して使用可能として一の第2識別部材70が2種類の遊技盤30に対応可能としても良い。
第2識別部材70はねじ止めにより固定するとしたが、着脱可能な方法であればどのような方法で固定されていても良い。
【0053】
第2識別部材70を容易に交換可能として一の遊技盤30が複数種類の前面枠12に対応可能としたが、第1識別部材60を容易に交換可能として一の前面枠12が複数種類の遊技盤30に対応可能としても良い。
識別部材50は、第1識別部材60と第2識別部材70が嵌合するものとしたが、前面枠12と遊技盤30とが適合する場合には遊技盤取付部93に収まり、前面枠12と遊技盤30とが適合しない場合には遊技盤取付部93に収まらないようにするものであればどのような構造であっても良い。
【0054】
識別部材50は、前面枠12と遊技盤30が適合するかを識別するものとしたが、遊技機におけるこれ以外の部品同士の適合を識別するものであっても良い。すなわち、第1部材と第2部材とが適合する場合のみ第1部材に第2部材を取り付けられるようにするものであれば良い。例えば、ガラス枠15と、機種名等表示部16と、が適合するかを識別するものとして、特定のガラス枠15には特定の機種名等表示部16が取り付けられるようにしても良い。また、遊技盤30と、当該遊技盤30に取り付けられる装置と、が適合するかを識別するものとして、特定の遊技盤30には特定の装置が取り付けられるようにしても良い。当該遊技盤30に取り付けられる装置としては、遊技制御装置100や演出制御装置300等が挙げられる。
【0055】
以上のことから、遊技を実行可能な遊技機において、第1部材(前面枠12)と、第2部材(遊技盤30)と、第1部材に設けられた第1識別部材60と、第2部材に設けられた第2識別部材70と、を備え、第1識別部材60と第2識別部材70とが適合する場合に第1部材に第2部材を取り付けられるように構成され、第2識別部材70が変更可能に設けられていることとなる。
したがって、第1部材と第2部材とが適合する場合のみ取り付け可能とできるとともに、第2部材を他の第1部材に適合するように変更可能となり、部材を効率よく利用することができる。
【0056】
また、第2部材は略矩形状であり、一側部を第1部材に係合させた状態で回動させることで第1部材に取り付けるように構成され、第2識別部材70は、一側部に対向する他側部に隣接するように設けられていることとなる。
したがって、第1部材に第2部材を取り付ける際に第2識別部材70を確認しやすくすることができる。
【0057】
また、第2識別部材70は、他側部に隣接する部分が第2識別部材70の種類により異なる形状とされていることとなる。
したがって、第1部材に第2部材を取り付ける際に、視覚及び触覚により第2識別部材70を確認することができる。
【0058】
また、第1識別部60は、複数種類の第1部材の各々に対して配置する方向を異ならせて設けることで、複数種類の第1部材の各々に対応した第1識別部材として機能させることが可能であり、表面に対応可能な複数種類の第1部材の各々を示す識別子が表示されており、第1部材に配置した際に、配置した当該第1部材を示す識別子のみが正立するようにしたこととなる。
したがって、第1識別部材60の取付方向を把握しやすくできるとともに、取り付けた状態では前面枠12の種類を示すことが可能となる。
【0059】
また、識別部材50は、第1部材と第2部材とが適合する場合には、第1識別部材60と第2識別部材70とが嵌合することで第1部材に第2部材を取り付け可能となるように構成され、第1部材と第2部材とが適合しない場合には、第1識別部材60と第2識別部材70とが嵌合せず、第1部材に第2部材を取り付け不能となるように構成されていることとなる。
したがって、第1部材と第2部材とが適合する場合にのみ取り付け可能とすることができる。
【0060】
また、第1部材は、遊技店に設置される前面枠12であり、第2部材は、前面枠12に着脱可能に取り付けられ、前面に遊技球を流下可能な遊技領域32を備える遊技盤30であることとなる。
したがって、前面枠12に適合する遊技盤30のみ取り付け可能とできるとともに、遊技盤30を他の前面枠12に適合するように変更可能となり、遊技盤30を効率よく利用することができる。
【0061】
なお、本発明の遊技機は、遊技機として、前記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。また、本発明をスロットマシンに適用することも可能である。このスロットマシンとしてはメダルを使用するスロットマシンに限られるものではなく、例えば、遊技球を使用するスロットマシンなどの全てのスロットマシンが含まれる。
【0062】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10 遊技機
12 前面枠(第1部材)
30 遊技盤(第2部材)
50 識別部材
60 第1識別部材
70 第2識別部材