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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004842
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20220101AFI20240110BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20240110BHJP
   F24H 15/204 20220101ALI20240110BHJP
   F24H 15/486 20220101ALI20240110BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20240110BHJP
   F24H 15/254 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
F24D3/00 E
F24D3/00 K
F24H15/10
F24H15/204
F24H15/486
F24H15/36
F24H15/254
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104703
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 昌則
【テーマコード(参考)】
3L070
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070BB01
3L070BC03
3L070DD02
3L070DE01
3L070DF01
3L070DG02
3L070DG10
(57)【要約】
【課題】実際の室温に応じて、タイマー予約時刻における室温を適切に制御可能な温水暖房システムを提供する。
【解決手段】熱源機10から暖房装置40へ熱媒体を供給する暖房運転の開始予定時刻がタイマー予約されている場合には、熱源機10は、暖房装置40による暖房対象空間の温度情報に基づいて、開始予約時刻よりも第1の繰上げ時間だけ前の時刻に前記暖房運転を開始する。この第1の繰上げ時間は、ゼロ以上、かつ、予め定められた第1の最大値以下の範囲内で、暖房対象空間の温度が低い程長く設定される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、
前記熱源機からの熱媒体を用いる暖房装置と、
前記熱源機から前記暖房装置へ前記熱媒体を供給する暖房運転のタイマー予約を入力するための入力装置と、
前記暖房装置による暖房対象空間の温度情報を得るための温度検出器とを備え、
前記タイマー予約は、前記暖房運転の開始予約時刻の指定を含み、
前記熱源機は、前記温度情報に基づいて、前記開始予約時刻よりも第1の繰上げ時間だけ前の時刻に前記暖房運転を開始し、
前記第1の繰上げ時間は、ゼロ以上、かつ、予め定められた第1の最大値以下の範囲内で、前記暖房対象空間の温度が低い程長く設定される、暖房システム。
【請求項2】
前記第1の繰上げ時間は、前記開始予約時刻から前記第1の最大値だけ前の時刻における前記温度情報に基づいて、前記暖房対象空間の温度が低い程長く設定される、請求項1記載の暖房システム。
【請求項3】
前記熱源機は、前記開始予約時刻から第1の最大値だけ前の時刻以降において、各時刻における前記暖房対象空間の温度が温度判定値よりも低い場合に前記暖房運転を開始し、
前記温度判定値は、時間経過に伴い徐々に上昇する様に設定される、請求項1記載の暖房システム。
【請求項4】
前記タイマー予約は、前記暖房運転の終了予約時刻の指定を更に含み、
前記熱源機は、前記温度情報に基づいて、前記終了予約時刻よりも第2の繰上げ時間だけ前の時刻に前記暖房運転を終了し、
前記第2の繰上げ時間は、ゼロ以上、かつ、予め定められた第2の最大値以下の範囲内で、前記暖房対象空間の温度が高い程長く設定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房システムに関し、より特定的には、暖房運転開始時刻を予約設定可能な暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器等の温水熱源機から供給された熱媒体(代表的には、温水)を用いて床暖房等の室内暖房を行う暖房システムが用いられている。この様な暖房システムでは、暖房運転開始時刻をユーザが指定する、所謂、タイマー予約機能が公知である。
【0003】
例えば、実開平3-71254号公報(特許文献1)には、暖房運転の開始時刻を予約した場合に、室内設定温度と、暖房対象空間での室内の検出温度(室温)とを比較して、設定温度と検出温度の差が所定の基準値より大きくなったときに暖房運転を開始する暖房機が開示されている。
【0004】
特許文献1の暖房機では、予約時刻から所定時間前の監視開始時刻から上述した設定温度と検出温度との比較が開始され、かつ、上記基準値は、監視開始時刻からの時間経過に伴って減少される。これにより、設定温度と検出温度との差が大きい程、予約された開始時刻以前の早い時刻に暖房運転を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3-71254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
単純に、タイマー予約機能による予約開始時刻から暖房運転を開始した場合には、室温が低いときには、当該予約開始時刻での室温がユーザの意図よりも低くなる虞がある一方で、特許文献1によれば、予約開始時刻には部屋の中を快適な暖かさにすることが期待される。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、室内温度を直接設定しない機器には適用できないため、機器タイプに依存せずに汎用的な効果を得る面で課題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、暖房対象空間の実際の温度に応じて、タイマー予約時刻における暖房対象空間の温度を適切に制御可能な温水暖房システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面では、暖房システムが提供される。暖房システムは、熱源機と、熱源機からの熱媒体を用いる暖房装置と、入力装置と、温度検出器とを備える。入力装置は、熱源機から暖房装置へ熱媒体を供給する暖房運転のタイマー予約を入力するために配置される。温度検出器は、暖房装置による暖房対象空間の温度情報を得るために配置される。タイマー予約は、暖房運転の開始予約時刻の指定を含む。熱源機は、温度情報に基づいて、開始予約時刻よりも第1の繰上げ時間だけ前の時刻に暖房運転を開始する。第1の繰上げ時間は、ゼロ以上、かつ、予め定められた第1の最大値以下の範囲内で、暖房対象空間の温度が低い程長く設定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、暖房対象空間の実際の温度に応じて、タイマー予約時刻における暖房対象空間の温度を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に従う温水暖房システムの一例として示される床暖房システムの概略構成図である。
図2図1に示された熱源機の暖房運転に係る構成の概略図である。
図3図2に示された燃焼バーナの動作例を示す概念図である。
図4】タイマー予約が入力される台所リモコンの表示例を説明する概念図である。
図5図4に示された表示パーツの詳細を示す概念図である。
図6】暖房運転のユーザ入力画面の一例を説明する概念図である。
図7】暖房運転のタイマー予約入力画面の一例を説明する概念図である。
図8】実施の形態1に係る温水暖房システムによるタイマー運転の開始制御の第1の例を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態1に係る温水暖房システムによるタイマー運転の開始制御の第2の例を説明するフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る温水暖房システムによるタイマー運転の終了制御の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に従う温水暖房システムの一例として示される床暖房システム5の概略構成図である。
【0014】
図1を参照して、床暖房システム5は、熱源機10と、床暖房パネル45を含む床暖房装置40と、暖房配管50とを備える。床暖房パネル45は、「暖房対象空間」の一例である居室の床材42の直下に配設される。
【0015】
熱源機10は、例えば、ガス等の燃料燃焼式またはヒートポンプ式の給湯器で構成されて、熱媒体(温水)を供給する。熱源機10から供給された温水は、暖房配管50を経由して床暖房パネル45に供給される。暖房配管50は、暖房戻り配管51及び暖房往き配管52を有する様に構成される。
【0016】
床暖房システム5での暖房運転時には、熱源機10及び床暖房パネル45の間で温水循環経路が形成される。これにより、床暖房パネル45を通流する熱媒体(温水)からの放熱によって床材の温度が上昇することにより、暖房対象空間(室内)を暖房することができる。一方で、暖房運転の停止状態では、熱源機10から床暖房パネル45への熱媒体(温水)の供給が停止されて、上記循環経路が非形成とされる。
【0017】
床暖房装置40では、熱源機10での熱媒体(温水)に対する単位時間当たりの供給熱量調整により、暖房時の室内温度を調整することができる。このため、床暖房装置40に対しては、ユーザが暖房温度目標値を設定することができる。本実施の形態では、暖房温度目標値は、直接的な温度値ではなく、段階的なレベル値(例えば、レベル1~レベル9)で設定されるものとする。以下では、設定された上記レベル値を設定暖房能力レベルWlvとも称する。設定暖房能力レベルWlvに連動して、熱源機10での上記供給熱量を増減することによって、床暖房装置40による暖房温度を制御することができる。
【0018】
尚、暖房運転時には、上述した単位時間当たりでの温水循環時間と温水循環停止時間との比率を変更することによって床暖房パネル45への供給熱量を調整するように構成することも可能である。この構成の場合には、床暖房装置40の運転オン状態であっても温水循環が一時的に停止している時間が存在し得る。
【0019】
床暖房リモコン60は、例えば、暖房運転のオンオフ指令と、暖房温度目標値とをユーザが入力可能に設けられる。床暖房リモコン60は、通信線61によって熱源機10と接続されており、代表的には、住宅の壁面に配設される。
【0020】
図示しないが、熱源機10からは、浴槽、シャワー、カラン等を出力端とする給湯システムに対しても給湯経路が形成されている。当該給湯システムに対するユーザ指令は、リモコン20,30によって入力される。リモコン20及び30は、通信線21及び31によって、熱源機10と接続される。
【0021】
例えば、リモコン20は台所の壁面に配設されており、以下では、リモコン20を台所リモコンとも称する。同様に、リモコン30は、浴室の壁面に配設されており、以下では、リモコン30を浴室リモコンとも称する。台所リモコン20には、雰囲気温度(即ち、室温)を計測するためのサーミスタ等の温度センサ27が内蔵されてもよい。この場合、台所リモコン20は、温度センサ27によって計測された室温を、暖房対象空間の温度情報(室温情報とも称する)として取得することが可能である。
【0022】
台所リモコン20及び浴室リモコン30に対しては、図示しない操作ボタン等を用いて、給湯システムの運転オンオフ指令、ならびに、給湯温度指令値、浴槽へのお湯張り指令、及び、タイマー運転入力等の各種指令を、ユーザが入力できる。又、図示しない表示パネルには、給湯システムの運転状態を示す情報を表示される。又、本実施の形態では、台所リモコン20によって、暖房運転のユーザ指令を入力可能である。後述する様に、例えば、暖房温度目標値を含むタイマー予約設定を入力可能である。
【0023】
更に、台所リモコン20には、無線LAN(Local Area Network)90を構成するルータ95と無線通信するための通信アダプタ29が内蔵されてもよい。この場合には、熱源機10は、通信アダプタ29を介して無線LAN90と通信接続可能であり、更には、図示しないインターネット等の外部通信網とさらに通信接続可能である。無線LAN90に、暖房対象空間の温度である室温を計測可能な温度計97が接続されている際には、当該温度計97によって計測された室温を、台所リモコン20が、暖房対象空間の温度情報(室温情報とも称する)として取得することが可能である。
【0024】
図2には、熱源機10の暖房運転に係る構成の概略図が示される。図2の例では、熱源機10は、燃料燃焼式の給湯器である。
【0025】
図2を参照して、熱源機10は、暖房循環経路を形成するための配管105~107と、コントローラ110と、缶体111に収納された、送風ファン112、燃焼バーナ114、及び、熱交換器116と、暖房循環ポンプ120と、暖房膨張タンク130とを含む。尚、図2に示していないが、熱源機10には、上述した、浴槽、シャワー、カラン等を出力端とする給湯システムを構成するための機器が搭載されている。
【0026】
暖房戻り口101は、図1中の暖房戻り配管51と接続され、暖房往き口102は、図1中の暖房往き配管52と接続される。
【0027】
暖房戻り口101は、配管107を介して、暖房循環経路の熱媒体(温水)を一時的に貯留する暖房膨張タンク130と接続される。
【0028】
暖房循環ポンプ120の吸入口は、暖房膨張タンク130と接続される。暖房循環ポンプ120の吐出口は、配管105を介して、熱交換器116の一端(上流側)と接続される。熱交換器116の他端(下流側)は、配管106を介して、暖房往き口102と接続される。これにより、暖房循環ポンプ120の作動時には、暖房戻り配管51、配管107、暖房膨張タンク130、暖房循環ポンプ120、配管105、熱交換器116、配管106、暖房往き配管52、及び、床暖房パネル45(図1)を含んで一巡する熱媒体の経路(暖房循環経路)が形成される。
【0029】
暖房循環経路において、熱交換器116よりも上流側には、温度センサ160が配置され、熱交換器116よりも下流側には、温度センサ165が配置される。温度センサ160により、加熱前の熱媒体温度が検出され、温度センサ165により、加熱後の熱媒体温度が検出される。
【0030】
又、熱源機10には、雰囲気温度を検出するための温度センサ167が配置される。熱源機10は、通常、屋外に配置されるので、温度センサ167によって外気温が検出される。室内の暖房開始前には、室内温度と外気温との間にはある程度の相関があると考えられるので、後述する暖房開始時には、温度センサ167の検出値を用いて、暖房対象空間の温度情報(室温情報)を取得することも可能である。
【0031】
ここで、熱源機10に対して、暖房運転のオンオフが個別に制御される複数の床暖房パネル45が接続される場合には、暖房配管50(少なくとも暖房往き配管52)が、床暖房パネル45毎に設けられるとともに、各暖房往き配管52と配管106との間には弁(図示せず)が配置される。これにより、複数の床暖房パネル45のうちの、弁が開放されている暖房往き配管52と接続されている床暖房パネル45と、熱源機10との間に暖房循環経路を選択的に形成することができる。尚、暖房戻り配管51の一部と、暖房戻り口101とについては、複数の床暖房パネル45の間で共有することができる。
【0032】
缶体111において、燃焼バーナ114からは、燃料ガスと、送風ファン112によって供給される燃焼用空気との混合気が出力される。図示しない点火装置によって混合気が着火されることにより、燃料ガスが燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ114からの火炎によって生じる燃焼熱は、缶体111内で熱交換器116へ与えられる。これにより、熱交換器116を通過する熱媒体は、燃焼バーナ114の発生熱量によって加熱される。尚、熱交換器116は、排気による潜熱回収が可能な様に、一次熱交換器及び二次熱交換器の組み合わせによって構成されてもよい。
【0033】
コントローラ110は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成される。図1に示した様に、コントローラ110は、通信線21,31,61を介して、台所リモコン20,浴室リモコン30,床暖房リモコン60と通信接続されており、各リモコンとの間で情報及びデータを授受することができる。
【0034】
コントローラ110は、各センサからの出力信号(検出値)、及び、リモコン20,30,60へのユーザ操作を受けて、熱源機10の全体動作を制御するために、各機器への制御指令を発生する。図2では、コントローラ110は、温度センサ160,165,167の検出値を受けるとともに、送風ファン112、燃焼バーナ114、暖房循環ポンプ120、及び、給水弁135の制御指令を生成する。具体的には、送風ファン112に対しては、作動/停止及び回転数の制御指令、燃焼バーナ114に対しては、燃焼オンオフ及び発生熱量の制御指令、暖房循環ポンプ120に対しては作動/停止及び回転数の制御指令、並びに、給水弁135に対しては開閉の制御指令が生成される。
【0035】
暖房運転に関して、コントローラ110は、暖房運転時には暖房循環ポンプ120を作動させて、熱源機10及び床暖房パネル45の間に上述の暖房循環経路を形成する。更に、コントローラ110は、暖房循環ポンプ120の作動期間の少なくとも一部において、燃焼バーナ114による燃焼をオンする。
【0036】
図3には、暖房運転時における燃焼バーナ114の動作例を説明する概念図が示される。
【0037】
暖房運転では、熱媒体に対する加熱量は、床暖房パネル45での放熱による温度低下の補償分でよいため、水道水を40[℃]程度まで加熱する一般的な給湯運転と比較すると小さくなる。このため、燃焼バーナ114は、燃焼を繰り返しオンオフする間欠燃焼によって運転される。間欠燃焼では、燃焼オン期間(期間長Ton)と、燃焼オフ期間(期間長Toff)とが繰り返し設けられて、燃焼オン期間比(Ton/(Ton+Toff))によって、熱媒体に対する供給熱量が制御される。例えば、設定暖房能力レベルWlvに対応させて、上述の燃焼オン期間比を予め設定することができる。この場合には、レベル値が高い程燃焼オン期間比は高く設定される。
【0038】
本実施の形態に係る床暖房システム5において、暖房運転期間は、ユーザによる直接的な暖房開始及び暖房終了の指示入力に従って設けられる他、ユーザ入力によるタイマー予約機能によって設定された、暖房運転の開始予約時刻及び終了予約時刻に従って設けられる。次に、このタイマー予約機能について、図4図7を用いて説明する。本実施の形態では、暖房運転のタイマー予約機能は、台所リモコン20へのユーザ入力によって指示されるものとして説明する。
【0039】
図4は、タイマー予約が入力される台所リモコン20の表示例を説明する概念図であり、図5には、図4の表示パーツの詳細が示される。
【0040】
図4を参照して、台所リモコン20は、給湯運転のオンオフのための運転スイッチ22と、操作スイッチ22a~22cと、表示画面25とを有する。運転スイッチ22は、プッシュスイッチで構成される。表示画面25は、例えば、タッチパネル化された液晶ディスプレイで構成され、操作スイッチ22a~22cは、タッチパネル上に形成される。
【0041】
表示画面25には、床暖房システム5及び熱源機10の運転情報が各種表示される。例えば、給湯設定温度情報25a、現在日時情報25b、床暖房の現在の運転状態を示す暖房運転情報26a、及び、暖房運転のタイマー予約の設定有無を示すタイマー予約設定情報26bが、表示画面25を用いてユーザに通知される。
【0042】
図5(a),(b)に例示される様に、暖房運転情報26aは、床暖房の運転時には、運転中の床暖房パネル45を示す情報を含んで表示される。この例では、暖房運転情報26は、暖房運転中であることを示すイラストと、異なる場所に配設された3枚の床暖房パネル(床暖1~床暖3)から暖房運転中のものを示す数字情報との組み合わせによって構成される。例えば、床暖1は、キッチンの床面を暖房対象とし、床暖2は、リビングを暖房対象とし、床暖3は、洗面所を暖房対象とする。
【0043】
図5(a)は、床暖1~床暖3の全パネルを対象として暖房運転が実行されているときの表示例に相当し、図5(b)は、床暖1のみで暖房運転が実行されているときの表示例に相当する。床暖1~床暖3のいずれでも暖房運転が実行されていないときには、表示画面25には、暖房運転情報26aは表示されない。
【0044】
図5(c)に例示されるタイマー予約設定情報26bは、床暖1~床暖3の少なくともいずれかでの暖房運転にタイマー予約が存在しているときに表示される。一方で、床暖1~床暖3のいずれにもタイマー予約が存在しないときには、表示画面25には、タイマー予約設定情報26bは表示されない。
【0045】
従って、暖房運転が停止されており、かつ、タイマー予約も存在しないときには、図5(e)の表示例に示される様に、表示画面25には、暖房運転情報26a及びタイマー予約設定情報26bは表示されず、給湯設定温度情報25a及び現在日時情報25bのみが表示される。
【0046】
再び図4を参照して、台所リモコン20では、LED(Light Emitting Diode)の点灯によって、ユーザに視認可能な情報を通知することも可能である。例えば、燃焼バーナ(図2の燃焼バーナ114、又は、図2に示されていない給湯用の燃焼バーナを含む)での燃焼オン時には、LEDの点灯によって燃焼オン情報28を表示することができる。図5(d)には、燃焼オン情報28の一例の拡大図が示される。燃焼バーナの燃焼オフ時には、当該LEDの消灯により、燃焼オン情報28は非表示とされる。
【0047】
ユーザは、操作スイッチ22a~22cの操作によって、床暖房システム5及び熱源機10の運転指令を入力することができる。例えば、操作スイッチ22b,22cは、使用頻度が高い特定の運転指令、ここでは、風呂の追焚運転、及び、ふろ自動運転のオンオフ入力の専用スイッチとして設けられる。
【0048】
一方で、操作スイッチ22aは、各種運転指令等の入力のためのメニュー画面の起動スイッチとして設けられる。当該メニュー画面に対する予め定められたスイッチ操作によって、暖房運転のユーザ入力画面が、表示画面25に表示される。
【0049】
図6には、暖房運転のユーザ入力画面70の一例が示され、図7には、暖房運転のタイマー予約入力画面80の一例が示される。
【0050】
図6(a)を参照して、ユーザ入力画面70には、床暖1~床暖3の各々について、運転オンオフスイッチ71、温度低下スイッチ72、設定暖房能力レベルWlv(レベル1~レベル9)を示す数値情報73、温度上昇スイッチ74、及び、タイマー予約情報75が表示される。
【0051】
運転オンオフスイッチ71に触れることにより、床暖1~床暖3の各々について、暖房運転をオンオフすることができる。床暖1~床暖3の各々について、温度低下スイッチ72又は温度上昇スイッチ74に触れることで、設定暖房能力レベルWlvを低下または上昇することができる。各運転オンオフスイッチ71は,LEDを内蔵することで、暖房運転中に点灯する一方で、暖房運転停止時には非点灯となる様に、制御されてもよい。
【0052】
タイマー予約情報75には、タイマー予約の有無及び指定時刻の情報が表示される。タイマー予約されていないときには、「予約なし」の情報が表示される(床暖2)。図6(b)には、タイマー予約が存在する床暖1のタイマー予約情報75の拡大図が示されており、各タイマー予約では、暖房運転の開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendの組が指定される。この例では、2組のタイマー運転を予約可能である。
【0053】
床暖1~床暖3の各々について、タイマー予約情報75の表示領域に触れると、図7に示されるタイマー予約入力画面80が、表示画面25(図4)に表示される。
【0054】
図7を参照して、タイマー予約入力画面80は、2組のタイマー運転「A」及び「B」の選択スイッチ81a,81bと、「A」及び「B」の各々についての、タイマー予約のオンオフスイッチ82と、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendを示す数値情報83と、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendの時刻操作スイッチ84とを含む。
【0055】
時刻操作スイッチ84は、上向き又下向きの三角形の表示領域に触れることで、「時」及び「分」を示す数値をそれぞれ増加又は減少する様に設けられる。時刻操作スイッチ84の操作に連動して、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendは変化し、当該変化は数値情報83に反映される。例えば、時刻操作スイッチ84によって、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendの各々は、10分刻みで指定可能である。
【0056】
この様に、例えば、台所リモコン20の操作により、ユーザは、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendの組によって指定されるタイマー運転を予約することができる。
【0057】
次に、実施の形態1に係る温水暖房システムにおけるタイマー運転の開始制御について説明する。図8には、実施の形態1に係る温水暖房システムによるタイマー運転の開始制御の第1の例を説明するフローチャートが示される。例えば、図8に示された制御処理は、熱源機10の台所リモコン20によって、床暖1~床暖3の各々について実行される。
【0058】
図8を参照して、台所リモコン20は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110により、タイマー予約が存在しているか否かを判定する。タイマー運転の予約が無い場合には、S110はNO判定とされて、S120以下の処理は起動されない。
【0059】
台所リモコン20は、タイマー予約が存在しているときは、S120により、開始予約時刻Tstよりも最大繰上げ時間T1max前の時刻が到来したか否かを判定する。当該時刻が到来すると(S120のYES判定時)、処理はS130に進められる一方で、当該時刻が到来するまでは(S120のNO判定時)、S130の処理は待機される。
【0060】
台所リモコン20は、S130により、当該時点での室内温度Trmを示す室温情報を読込む。当該室温情報は、図1に示された温度センサ27又は温度計97による温度検出値を用いることができる。或いは、温度センサ27及び温度計97が配置されない場合には、代替的に、図2に示された温度センサ167による温度検出値を室温情報として用いることも可能である。即ち、温度センサ27,167及び温度計97は、「温度検出器」の一実施例に対応する。
【0061】
続いて、台所リモコン20は、S140により、S130で取得した室温情報からの室内温度Trmに依存して開始繰上げ時間T1を設定する。
【0062】
開始繰上げ時間T1は、室内温度Trmが低い程、長く設定される。例えば、室内温度Trmが予め定められた閾値Taより低いときには、T1=T1max(最大値)に設定される一方で、室内温度Trmが予め定められた閾値Tb(Tb>Ta)より高いときには、T1=0に設定される。最大繰上げ時間T1maxは、例えば、1時間程度に設定することができる。
【0063】
一方で、閾値Ta及びTbの間の範囲では、開始繰上げ時間T1は、室内温度Trmに応じて、室内温度Trmが低い程長くなる様に、0~T1maxの範囲内で設定することができる。例えば、室内温度Trmに対する一次関数に従って、開始繰上げ時間T1を設定することができる。この際に、開始繰上げ時間T1は段階的に設定することが可能であるが、この場合の設定幅(時間幅)は、図7の時刻操作スイッチ84によって、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendを設定する際の時間刻み(例えば、10分)よりも短いことが好ましい。
【0064】
又、開始繰上げ時間T1の設定に、設定暖房能力レベルWlvを更に反映することも可能である。具体的には、同様の室内温度Trmに対して、設定暖房能力レベルWlvが高温側であるときには、開始繰上げ時間T1をより長く設定することができる。
【0065】
台所リモコン20は、S140により開始繰上げ時間T1を設定すると、S150により、現時刻から開始予約時刻Tstまでの残り時間ΔTstを算出する。更に、台所リモコン20は、S160により、S150で算出された残り時間ΔTstをS140で設定された開始繰上げ時間T1と比較する。残り時間ΔTstが開始繰上げ時間T1より大きいとき(S160のNO判定時)には、予め定められた一定周期でS150及びS160の処理が繰り返される。当該一定周期は、図7の時刻操作スイッチ84によって、開始予約時刻Tstを設定する際の時間刻み(例えば、10分)よりも短く設定されることが好ましい。
【0066】
台所リモコン20は、残り時間ΔTstが開始繰上げ時間T1以下になると(S160のYES判定時)、S170に処理を進めて、暖房運転の開始をコントローラ110に指示する。S170では、台所リモコン20の表示画面25における暖房運転情報26aの表示が開始される。
【0067】
S170では、熱源機10において、コントローラ110によって暖房循環ポンプ120が作動されることにより、暖房運転が開始される床暖房パネル45と熱源機10との間に暖房循環経路が形成される。複数の床暖房パネル45が熱源機10と接続される場合には、上述した弁の開放が併せて行われる。更に、図3で説明した様に、燃焼バーナ114の燃焼オン期間が設けられることで、加熱された熱媒体(温水)が床暖房パネル45に供給される。これにより、室内の暖房が開始される。
【0068】
図8の第1の制御例によれば、室内温度Trmに応じて開始繰上げ時間T1が、最小値0以上最大値T1max以下の範囲内で設定される。室内温度Trmが高く、T1=0に設定されたときには、タイマー予約された開始予約時刻Tstから暖房運転が開始される。これに対して、室内温度Trmが低いときには、0<T1≦T1maxの範囲に開始繰上げ時間T1を設定することで、開始予約時刻Tstよりも早く暖房運転を開始することができる。この様に、開始繰上げ時間T1は「第1の繰上げ時間」の一実施例に対応し、最大繰上げ時間T1maxは「第1の最大値」に対応する。
【0069】
図9には、実施の形態1に係る温水暖房システムによるタイマー運転の開始制御の第2の例を説明するフローチャートが示される。図9に示された制御処理についても熱源機10の台所リモコン20によって、床暖1~床暖3の各々について実行することができる。
【0070】
図9を参照して、台所リモコン20は、図8と同様のS110,S120により、タイマー予約が存在しているときに、開始予約時刻Tstよりも最大繰上げ時間T1max前の時刻が到来すると(S120のYES判定時)、図8と同様のS130,S150を実行して、当該時点での室内温度Trmを示す室温情報を読込むとともに、現時刻から開始予約時刻Tstまでの残り時間ΔTstを算出する。
【0071】
そして、台所リモコン20は、S155により、S150で算出された残り時間ΔTstがゼロになっていないことを判定した上で、S162により、残り時間ΔTstに応じて、温度判定値Tth1を設定する。S165では、現時刻における室内温度Trmと温度判定値Tth1とが比較される。室内温度Trmが温度判定値Tth1よりも低いと、S165がYES判定とされて、処理は図8と同様のS170に進められる。即ち、暖房運転が開始される。
【0072】
温度判定値Tth1は、例えば一次関数状に、時間経過に伴って残り時間ΔTstが減少するのに従って徐々に上昇する様に設定することができる。この様にすると、室内温度Trmが低い程、S165が早い時刻にYES判定(Trm<Tth1)とされて、早期に暖房運転が開始されることが理解される。
【0073】
尚、設定暖房能力レベルWlvのレベル値が高い程温度判定値Tth1を高く設定することで、同様の室内温度Trmに対して温度判定値Tth1を高く設定することで、設定暖房能力レベルWlvが高温側であるときに暖房運転を早期に開始するようにしてもよい。
【0074】
台所リモコン20は、S155において、S150で算出された残り時間ΔTstがゼロ以下に低下しているとき(S155のNO判定時)には、タイマー予約された開始予約時刻Tstが到来していることになるので、処理は図8と同様のS170に進められて、暖房運転の開始が指示される。
【0075】
台所リモコン20は、S165において、現時刻における室内温度Trmが温度判定値Tth1以上であるとき(S165のNO判定時)には、予め定められた時間Tc待機して、処理をS130に戻す。即ち、一定時間Tc毎にS130~S165の処理が繰り返されることで、残り時間ΔTst及び温度判定値Tth1の更新を伴ってS165による暖房運転の開始判定がTc毎に実行される。当該Tcは、図8での開始繰上げ時間T1の設定刻み(時間幅)と同様に、図7の時刻操作スイッチ84によって、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendを設定する際の時間刻み(例えば、10分)よりも短いことが好ましい。
【0076】
図10の第2の制御例によれば、タイマー予約された開始予約時刻Tstの到来前においても、室内温度Trmと温度判定値Tth1との比較により、Trm<Tth1が成立すると暖房運転が開始されるので、室内温度Trmが低いときには、開始予約時刻Tstよりも早く暖房運転を開始することができる。
【0077】
この様に、実施の形態1に係る温水暖房システムでは、暖房温度目標値が直接温度値を指定しない場合であっても、室温が低いときには、タイマー予約された開始予約時刻Tstよりも早く暖房運転を開始することが可能であり、特に、低温時程、早く暖房運転を開始することができる。又、レベル値で設定される暖房温度目標値が高温側である程、暖房運転を早く開始することができる。これにより、実際の室温に応じて、タイマー予約された暖房運転開始時刻における室温を適切に制御することによってユーザ快適性を向上できるので、温水暖房システムの商品性を高めることができる。
【0078】
尚、暖房運転の開始直後の所定期間において、熱源機10から床暖房パネル45に供給される熱媒体(温水)の温度を上昇させるホットダッシュ運転(高温運転)が実行される機種では、暖房運転開始時における室温に応じて、当該ホットダッシュ運転の時間長を可変とすることも可能である。具体的には、室内温度Trmが低い程、ホットダッシュ運転の時間長を長く設定する制御を導入することが可能である。この様にすると、室温が低い状態からの暖房運転による室温上昇を早期化することができる。尚、ホットダッシュ運転中には、燃焼バーナ114での燃焼オン期間比を、上述した設定暖房能力レベルWlv毎予め設定された値よりも上昇させることで、熱媒体(温水)の温度を上昇することができる。
【0079】
[実施の形態2]
実施の形態2では、タイマー予約による暖房運転の終了時刻を室温に応じて変化させる制御を説明する。
【0080】
図10は、実施の形態2に係る温水暖房システムによるタイマー運転の終了制御の第1の例を説明するフローチャートが示される。図10に示された制御処理は、台所リモコン20によって、タイマー予約による暖房運転中に実行される。
【0081】
図10を参照して、台所リモコン20は、S320により、終了予約時刻Tendよりも最大繰上げ時間T2max前の時刻が到来したか否かを判定する。当該時刻が到来すると(S320のYES判定時)、処理はS330に進められる一方で、当該時刻が到来するまでは(S320のNO判定時)、S330の処理は待機される。
【0082】
台所リモコン20は、S330により、図8及び図9のS130と同様に、当該時点での室内温度Trmを示す室温情報を読込む。続いて、台所リモコン20は、S340により、S330で取得した室温情報からの室内温度Trmに依存して終了繰上げ時間T2を設定する。
【0083】
ここで、終了繰上げ時間T2は、通常はゼロに設定されるが、室内温度Trmが高いときにT2>0に設定され、特に、室内温度Trmが高い程、長く設定される。例えば、室内温度Trmが予め定められた閾値Tcより低いときにはT2=0に設定される一方で、室内温度Trmが予め定められた閾値Td(Td>Tc)より高いときには、T2=T2max(最大値)に設定される。最大繰上げ時間T2maxは、例えば、30分程度に設定することができる。
【0084】
又、閾値Tc及びTdの間の範囲では、終了繰上げ時間T2は、室内温度Trmが高い程長くなる様に、0~T2maxの範囲内で設定することができる。例えば、室内温度Trmに対する一次関数に従って、終了繰上げ時間T2を設定することができる。この際に終了繰上げ時間T2は段階的に設定することが可能であるが、その設定幅(時間幅)は、上述した、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendを設定する際の時間刻み(例えば、10分)よりも短いことが好ましい。
【0085】
又、終了繰上げ時間T2の設定に、設定暖房能力レベルWlvを更に反映することも可能である。具体的には、同様の室内温度Trmに対して、設定暖房能力レベルWlvが高温側であるときには、終了繰上げ時間T2をより長く設定することができる。
【0086】
再び図10を参照して、台所リモコン20は、S340により終了繰上げ時間T2を設定すると、S350により、現時刻から終了予約時刻Tendまでの残り時間ΔTendを算出する。更に、台所リモコン20は、S360により、S350で算出された残り時間ΔTendをS340で設定された終了繰上げ時間T2と比較する。残り時間ΔTendが終了繰上げ時間T2より大きいとき(S360のNO判定時)には、予め定められた一定周期でS350及びS360の処理が繰り返される。当該一定周期は、図8と同様に、図7の時刻操作スイッチ84によって、開始予約時刻Tstを設定する際の時間刻み(例えば、10分)よりも短く設定されることが好ましい。
【0087】
台所リモコン20は、残り時間ΔTendが終了繰上げ時間T2以下になると(S360のYES判定時)、S370に処理を進めて、暖房運転を終了する。S370では、少なくとも終了予約時刻Tendまでの間、燃焼バーナ114での燃焼がオフされる。更に、暖房循環ポンプ120が停止されてよいが、暖房循環ポンプ120については、終了予約時刻Tendまで運転が継続されてもよい。
【0088】
尚、S370によって終了予約時刻Tendよりも前に暖房運転が停止された場合には、終了予約時刻Tendまでの間、表示画面25における暖房運転情報26aの表示が継続されてもよい。
【0089】
図10によれば、室内温度Trmに応じて終了繰上げ時間T2が、最小値0から最大値T2maxの範囲で設定される。室内温度Trmが低く、T2=0に設定されたときには、タイマー予約された終了予約時刻Tendに暖房運転が終了される。これに対して、室内温度Trmが高いときには、0<T2≦T2maxの範囲に終了繰上げ時間T2を設定することで、終了予約時刻Tendよりも前に暖房運転を終了することができる。この様に、終了繰上げ時間T2は「第2の繰上げ時間」の一実施例に対応し、最大繰上げ時間T2maxは「第2の最大値」に対応する。
【0090】
尚、図10の制御例は、暖房運転の開始制御での図8の内容を、暖房終了時に適用したものに相当するが、図9の制御例に準じて、暖房運転の終了制御を行うことも可能である。具体的には、暖房運転の終了制御でも、タイマー予約による暖房運転中に終了予約時刻Tendよりも最大繰上げ時間T2max前の時刻が到来すると、時間経過に伴って一次関数状に上昇する温度判定値と室内温度Trmとを一定周期で比較して、室内温度Trmが当該温度判定値よりも高いときには、終了予約時刻Tendより前であっても、暖房運転を終了することができる。
【0091】
この様に、実施の形態2に係る温水暖房システムでは、暖房温度目標値が直接温度値を指定しない場合であっても、室温が高いときには、タイマー予約された終了予約時刻Tendよりも早く暖房運転を終了することが可能であり、特に、高温時程、早く暖房運転を終了することができる。又、レベル値で設定される暖房温度目標値が低温側である程、暖房運転を早く終了することができる。これにより、実際の室温に対応して省エネルギ性を高めることで、温水暖房システムの商品性を高めることができる。
【0092】
尚、本実施の形態では、暖房運転のタイマー予約について、開始予約時刻Tst及び終了予約時刻Tendの両方が設定入力される例を説明したが、いずれか一方のみがタイマー設定される場合にも、実施の形態1及びその変形例に係る暖房運転の開始制御、又は、実施の形態2に係る暖房運転の終了制御を同様に適用することができる。
【0093】
又、本実施の形態では、床暖房を例示して暖房運転の開始制御及び終了制御を説明したが、任意の暖房端末が用いられる温水暖房システムに、実施の形態1及びその変形例に係る暖房運転の開始制御、又は、実施の形態2に係る暖房運転の終了制御を同様に適用することができる。又、暖房運転で供給される熱媒体についても、温水以外(例えば、蒸気等)であってもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
5 床暖房システム、10 熱源機、20 台所リモコン、21,31,61 通信線、22 運転スイッチ、22a,22b,22c 操作スイッチ、25 表示画面、25a 給湯設定温度情報、25b 現在日時情報、26,26a 暖房運転情報、26b タイマー予約設定情報、27,160,165,167 温度センサ、28 燃焼オン情報、29 通信アダプタ、30 浴室リモコン、40 床暖房装置、42 床材、45 床暖房パネル、50 暖房配管、51 暖房戻り配管、52 暖房往き配管、60 床暖房リモコン、70 ユーザ入力画面、71 運転オンオフスイッチ、72 温度低下スイッチ、73,83 数値情報、74 温度上昇スイッチ、75 タイマー予約情報、80 タイマー予約入力画面、81a,81b 選択スイッチ、82 オンオフスイッチ、84 時刻操作スイッチ、95 ルータ、97 温度計、101 暖房戻り口、102 暖房往き口、105~107 配管(暖房循環経路)、110 コントローラ、111 缶体、112 送風ファン、114 燃焼バーナ、116 熱交換器、120 暖房循環ポンプ、130 暖房膨張タンク、135 給水弁、T1max,T2max 最大繰上げ時間、Tend 終了予約時刻、Trm 室内温度、Tst 開始予約時刻、Tth1 温度判定値、Wlv 設定暖房能力レベル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10