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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024048424
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20240402BHJP
   H02M 9/04 20060101ALI20240402BHJP
   H03K 17/10 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M9/04 Z
H03K17/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154311
(22)【出願日】2022-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 文哉
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB07
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J055AX07
5J055AX44
5J055AX66
5J055BX16
5J055CX09
5J055DX13
5J055DX42
5J055DX56
5J055DX72
5J055DX83
5J055EX02
5J055EX17
5J055EY10
5J055EY12
5J055EZ18
5J055EZ51
5J055GX01
5J055GX02
(57)【要約】
【課題】本開示は、小型化できる電源回路を提供する。
【解決手段】本開示に係る電源装置は、所定の電位差を有する直流電圧を出力する直流電圧出力部と、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、前記直流電圧出力部と前記第1のスイッチング素子との間に接続される第1の駆動回路と、前記直流電圧出力部と前記第2のスイッチング素子との間に接続される第2の駆動回路と、前記直流電圧出力部と前記第2の駆動回路との間に接続され、第1のダイオード及び第1のコンデンサを有する第1のブートストラップ回路とを有し、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、オン・オフの状態が互いに同じになるように制御される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチング素子と、
第2のスイッチング素子と、
所定の電位差を有する直流電圧を出力する直流電圧出力部と、
前記直流電圧出力部と前記第1のスイッチング素子との間に接続される第1の駆動回路と、
前記直流電圧出力部と前記第2のスイッチング素子との間に接続される第2の駆動回路と、
前記直流電圧出力部と前記第2の駆動回路との間に接続され、第1のダイオード及び第1のコンデンサを有する第1のブートストラップ回路と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、オン・オフの状態が互いに同じになるように制御される
電源回路。
【請求項2】
前記第1の駆動回路は、入力側に第1の電圧調整手段を含んでおり、入力された直流電圧の電位差を前記第1のスイッチング素子のオン・オフの状態を切り替えるのに適した電位差に調整し、
前記第2の駆動回路は、入力側に第2の電圧調整手段を含んでおり、入力される直流電圧の電位差を前記第2のスイッチング素子のオン・オフの状態を切り替えるのに適した電位差に調整する
請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記直流電圧出力部は、前記直流電圧出力部の出力端と電気的に接続されるスイッチング素子に印加される電位の絶対値の最大値に応じて、第1の構成、第2の構成、第3の構成のいずれかを有し、
前記第1の構成は、
所定の電位差の電圧を出力する直流電圧源を含み、
前記第2の構成は、
所定の電位差の電圧を出力する直流電圧源と、
前記直流電圧源の後段に接続された1つの直流コンバータと、
を含み、
前記第3の構成は、
所定の電位差の電圧を出力する直流電圧源と、
前記直流電圧源の後段に直列接続された複数の直流コンバータと、
を含む請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、それぞれ、第1端子、オンしたときに前記第1端子と電気的に接続される第2端子及びオン・オフの状態を切り替えるための電圧信号が入力される第3端子を有しており、
前記第2のスイッチング素子は、第2端子が前記第1のスイッチング素子の第1端子と電気的に接続されており、
前記第1の駆動回路は、第1の高電位側端子及び第1の低電位側端子を有しているとともに、前記第1の低電位側端子は、前記第1のスイッチング素子の第2端子と電気的に接続されており、
前記第2の駆動回路は、第2の高電位側端子及び第2の低電位側端子を有しているとともに、前記第2の低電位側端子は、前記第2のスイッチング素子の第2端子と電気的に接続されており、
前記直流電圧出力部は、高電位側出力端子及び低電位側出力端子を有しているとともに、前記高電位側出力端子は、前記第1の駆動回路の第1の高電位側端子と電気的に接続されており、前記低電位側出力端子は、前記第1のスイッチング素子の第2端子と電気的に接続されており、
前記第1のダイオードは、前記直流電圧出力部の高電位側出力端子と前記第2の駆動回路の第2の高電位側端子との間に接続され、
前記第1のコンデンサは、前記第2の駆動回路の高電位側端子と前記第2のスイッチング素子の第2端子との間に接続されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項5】
第3のスイッチング素子と、
前記直流電圧出力部と前記第3のスイッチング素子との間に接続される第3の駆動回路と、
前記直流電圧出力部と前記第3の駆動回路との間に接続され、第2のダイオード及び第2のコンデンサを有する第2のブートストラップ回路と、
をさらに備え、
第3のスイッチング素子は、第2端子が前記第2のスイッチング素子の第1端子と電気的に接続されているとともに、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子とオン・オフの状態が同じになるように制御され、
前記第3の駆動回路は、第2の高電位側端子及び第2の低電位側端子を有しているとともに、前記第3の駆動回路の第2の低電位側端子は、前記第2のスイッチング素子の第2端子と電気的に接続されており、
前記第2のダイオードは、前記直流電圧出力部の高電位側出力端子と前記第3の駆動回路の第2の高電位側端子との間に接続され、
前記第2のコンデンサは、前記第3の駆動回路の高電位側端子と前記第3のスイッチング素子の第2端子との間に接続されている
請求項4に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、絶対値が10kV以上の高電圧と基準電位とが交互に繰り返される矩形波状のパルス電圧を出力する電源回路では、スイッチング部において複数のスイッチング素子を直列に多段接続するように構成されることがある。この理由は、各スイッチング素子に印加される高電圧を分担負担させて、スイッチング素子を保護するためである。また、各スイッチング素子には、それぞれ対応する駆動回路が備わっており、駆動回路によって各スイッチング素子のオン・オフの状態を切り替えている。そのため、駆動回路には、各スイッチング素子のオン・オフの状態を切り替えるために必要な所定の電位差(例えば24Vの電位差)を有する電圧が入力される。このような構成では、駆動回路及びスイッチング素子が配置される部分が高電圧部位になる。
【0003】
一方、電源回路の入力部には、例えば、基準電位に対する電位差が24Vの電圧が入力される。すなわち、電源回路の入力部は低電圧部位である。そのため、低電圧部位と高電圧部位との絶縁が必要になるので、電源回路の入力部と駆動回路との間には、例えば、絶縁型DC-DCコンバータが配置される。
【0004】
したがって、複数のスイッチング素子のそれぞれについて、低電圧部位である電源回路の入力部と高電圧部位である駆動回路及びスイッチング素子との間に、絶縁型DC-DCコンバータを配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-195361号公報
【特許文献2】特開2009-106115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような構成では、絶縁型DC-DCコンバータの入力部と出力部との間の電位差が大きく、例えば、絶対値が10kV以上になる。そのため、絶縁型DC-DCコンバータを複数段構成にして、1つの絶縁型DC-DCコンバータに印加される電圧を低減させる必要が生じる。また、このような絶縁型DC-DCコンバータは、スイッチング素子毎に必要であるため、電源回路が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、絶縁型DC-DCコンバータの数を減らし、電源回路全体としての小型化を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る電源装置は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、所定の電位差を有する直流電圧を出力する直流電圧出力部と、前記直流電圧出力部と前記第1のスイッチング素子との間に接続される第1の駆動回路と、前記直流電圧出力部と前記第2のスイッチング素子との間に接続される第2の駆動回路と、前記直流電圧出力部と前記第2の駆動回路との間に接続され、第1のダイオード及び第1のコンデンサを有する第1のブートストラップ回路とを備え、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、オン・オフの状態が互いに同じになるように制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源回路を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態及びその第1の変形例に係る電源回路の概略構成を示す回路図。
図2】実施形態における第1スイッチング部及び第2スイッチング部の構成を示す回路図。
図3】実施形態における第1スイッチング部の動作を示す回路図。
図4】実施形態の第1の変形例における第1スイッチング部及び第2スイッチング部の構成を示す回路図。
図5】実施形態の第2の変形例における第1スイッチング部及び第2スイッチング部の構成を示す回路図。
図6】実施形態の第3の変形例における第1スイッチング部及び第2スイッチング部の構成を示す回路図。
図7】実施形態の第4の変形例における第1スイッチング部及び第2スイッチング部の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る電源回路の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態)
図1(a)は、電源回路1の概略構成を示す回路図である。
実施形態にかかる電源回路1は、図1(a)に示すように、直流電源GEと出力端子TMoutとの間に接続されおり、第1スイッチング部11、第2スイッチング部12、
入力ノードNin1、入力ノードNin2及び出力ノードNoutを有する。
【0013】
電源回路1は、入力ノードNin1が直流電圧を供給する直流電源GEの高電位側電源端子に接続され、入力ノードNin2が直流電源GEの低電位側電源端子及び基準電位(例えば、0V)に接続され、出力ノードNoutが出力端子TMoutに接続される。
【0014】
図1(a)の例では、直流電源GEの高電位側端子の電位と低電位側端子の電位との電位差が12kVであり、直流電源GEの低電位側端子が基準電位(0V)に接続されているので、高電位側端子の電位が12kVとなる。すなわち、図1(a)の例では、入力ノードNin1の電位が12kVであり、入力ノードNin2の電位が基準電位(0V)である。
【0015】
電源回路1は、第1スイッチング部11及び第2スイッチング部12が相補的にオン・オフし、12kVと基準電位とが交互に繰り返される矩形波状のパルス電圧VOUTを出力端子TMoutから出力する。また、第1スイッチング部10及び第2スイッチング部12におけるオンとオフとの切り替え時にはデッドタイムがある。なお、直流電源GEの高電位側端子の電位と低電位側端子の電位との電位差の12kVは例示であり、他の電位差(例えば10kV以上等)でもよい。このようなパルス電圧を発生させる電源回路1は、例えば、半導体製造工程のプラズマ処理を行う際に用いるパルス電源装置に適用することができる。
【0016】
図2は、第1スイッチング部11及び第2スイッチング部12の構成を示す回路図である。図2は、図1(a)に対応する。
【0017】
第1スイッチング部11は、複数のスイッチング素子SW1~SW6、複数のゲート駆動回路GD1~GD6、複数の直流電圧出力部DV1~DV3、複数のブートストラップ回路BS1~BS3を有する。
【0018】
スイッチング素子SW1~SW6は、出力ノードNoutと入力ノードNin1との間に直列接続される。スイッチング素子SWは、出力ノードNout側から入力ノードNin1側へ順にSW1~SW6と表記される。スイッチング素子SWは、FET(電界効果トランジスタ:Field effect transistor)であってもよい。もちろん、FETに限定されないが、以下ではスイッチング素子SWがFETであるとして説明する。また、この例では、一例としてスイッチング素子SWの個数を6にしているが、この数に限定されない。これは、他の例でも同様である。
【0019】
図2では、スイッチング素子SW1~SW6のソース側のノードが、それぞれ、ノードN1~N6と表記される。各スイッチング素子SWは、ドレイン(第1端子の一例)と、オンしたときにドレインと電気的に接続されるソース(第2端子の一例)と、オン・オフの状態を切り替えるためのゲート電圧が入力されるゲート(第3端子の一例)とを有する。ここで、スイッチング素子SW(n)(nは2以上の整数)のソースは、スイッチング素子SW(n-1)のドレインに接続される。例えば、スイッチング素子SW2のソースは、スイッチング素子SW1のドレインに接続される。
【0020】
また、スイッチング素子SW1~SW6は、同時にオン、又は、同時にオフするように図示しない制御回路によって制御される。
【0021】
スイッチング素子SW1~SW6は、オンした際に、そのソースが直流電源GEの高電位側電源端子及び出力端子TMoutに電気的に接続される。ここで、「電気的に接続される」とは、直接的又は間接的に接続されるという意味であり、スイッチング素子SWのソースが、直流電源GEの高電位側電源端子及び出力端子TMoutに直接接続される場合だけでなく、他のスイッチング素子SWを介して接続される場合も含む。
【0022】
ゲート駆動回路GD1~GD6は、それぞれ、直流電圧出力部DV1~DV3に対応し、スイッチング素子SW1~SW6に対応する。各ゲート駆動回路GD1~GD6は、対応する直流電圧出力部DVと対応するスイッチング素子SWとの間に接続される。
【0023】
ゲート駆動回路GD1は、直流電圧出力部DV1とスイッチング素子SW1との間に接続される。同様に、ゲート駆動回路GD3は、直流電圧出力部DV2とスイッチング素子SW3との間に接続される。また、ゲート駆動回路GD5は、直流電圧出力部DV3とスイッチング素子SW5との間に接続される。
【0024】
より具体的には、図3(a)に示すように、ゲート駆動回路GD1のH側ノード・L側ノードが、それぞれ、H側ラインL・L側ラインLを介して電直流電圧出力部DV1のH側出力ノード・L側出力ノードに接続される。また、ゲート駆動回路GD1の出力ノード・L側ノードが、それぞれ、スイッチング素子SW1のゲート・ソースに接続される。ゲート駆動回路GD3及びゲート駆動回路GD5も同様である。
【0025】
このような接続関係にあるので、直流電圧出力部DV1のH側出力ノード・L側出力ノード間に生じる電圧(例えば電位差が24Vの電圧)が、ゲート駆動回路GD1のH側ノード・L側ノード間に供給される。また、ゲート駆動回路GD1は、外部(例えば、上位のコントローラ)から送られた制御信号に従って、出力ノード・L側ノード間にゲート電圧を生成し、生成したゲート電圧をスイッチング素子SW1のゲート・ソース間に供給する。ゲート駆動回路GD3及びゲート駆動回路GD5も同様である。なお、「H側」は、High側の略であり、高電位側を意味している。また、「L側」はLow側の略であり、低電位側を意味している。
【0026】
ゲート駆動回路GD2は、ブートストラップ回路BS1とスイッチング素子SW2との間に接続される。同様に、ゲート駆動回路GD4は、ブートストラップ回路BS2とスイッチング素子SW4との間に接続される。また、ゲート駆動回路GD6は、ブートストラップ回路BS3とスイッチング素子SW6との間に接続される。
【0027】
より具体的には、図3(a)に示すように、ゲート駆動回路GD2のH側ノード・L側ノードが、それぞれ、ブートストラップ回路BS1のH側出力ノード・L側出力ノードに接続される。また、ゲート駆動回路GD2の出力ノード・L側ノードが、それぞれ、スイッチング素子SW2のゲート・ソースに接続される。ゲート駆動回路GD4及びゲート駆動回路GD6も同様である。
【0028】
このような接続関係にあるので、直流電圧出力部DV1のH側出力ノード・L側出力ノード間に生じる電圧(例えば電位差が24Vの電圧)が、ブートストラップ回路BS1を介してゲート駆動回路GD2のH側ノード・L側ノード間に供給される。ただし、ブートストラップ回路BS1のダイオードD1で電圧降下ΔV(例えば、0.7V)が生じるので、その分だけゲート駆動回路GD2のH側ノード・L側ノード間に供給される電圧の電位差は低下する。また、ゲート駆動回路GD2は、外部(例えば、上位のコントローラ)から送られた制御信号に従って、出力ノード・L側ノード間にゲート電圧を生成し、生成したゲート電圧をスイッチング素子のゲート・ソース間に供給する。なおゲート駆動回路GD2で生成するゲート電圧は、ブートストラップ回路BS1のダイオードD1における電圧降下ΔVの影響で、ゲート駆動回路GD1で生成されるゲート電圧よりも電位差が小さいが、スイッチング素子SW2のオン・オフ制御には問題がない。ゲート駆動回路GD3及びゲート駆動回路GD5も同様である。
【0029】
また、ゲート駆動回路GD1~GD6は、それぞれ、複数のスイッチSW101,SW102(図3(a)参照)を有する。
【0030】
これらのスイッチSW101,SW102は、各ゲート駆動回路GDのH側ノード・L側ノード間に直列に接続される。なお、各ゲート駆動回路GDにおいて、スイッチSW101とSWスイッチ102との接続点が出力ノードとなる。また、各スイッチSW101,SW102の制御端子が外部(例えば、上位のコントローラ)に接続される。
【0031】
なお、ゲート駆動回路GDで消費する電力が大きい場合には、絶縁型DC-DCコンバータCVとゲート駆動回路GDとの間に、点線で示されるように、コンデンサCが挿入されていてもよい。コンデンサCに関しては、後述する第2スイッチング部12も同様である。
【0032】
直流電圧出力部DV1~DV3は、それぞれ、電源VDC及び複数の絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3を有する。そして、電源VDCから出力された電圧を内部的に伝達し、所定の電位差(例えば24V)を有する直流電圧Vとして出力する。すなわち、L側ラインLの電位に対してH側ラインLの電位は、所定の電位差(例えば24V)を有することになる。
【0033】
電源VDCは、基準電位に対して所定の電位差(例えば24V)を有する電圧を出力する。この電源VDCは、複数の直流電圧出力部DV1~DV3で共有されてもよい。
【0034】
絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3は、それぞれ、内部にトランスを有する絶縁型のDC-DCコンバータである。この例では、3つの絶縁型のDC-DCコンバータが直列に接続されており、入出力間の絶縁を行いつつ、入出力間に印加される電圧を分散負担している。
【0035】
直列接続される絶縁型DC-DCコンバータCVの個数は、要求される絶縁耐圧に応じて(例えば3に)決められ得る。また、上記のように、絶縁型DC-DCコンバータCVは、トランスを内蔵しており、トランスによって一次側(入力側)と二次側(出力側)とを絶縁させることができる。基本形は、昇圧比1:1であり、H側入力ノード・L側入力ノード間の電位差とH側出力ノード・L側出力ノード間の電位差が均等であるが、変形例として、絶縁型DC-DCコンバータCVは、昇圧比1:kの昇圧型(k>1)であってもよい。
【0036】
ブートストラップ回路BS1~BS3は、それぞれ、ダイオードD1及びコンデンサC1を有する。
【0037】
ダイオードD1は、直流電圧出力部DVのH側出力ノードと対応するゲート駆動回路GDのH側ノードとの間に接続される。より具体的には、ダイオードD1は、カソードがコンデンサCの一端及び対応するゲート駆動回路GDのH側ノードに接続され、アノードが直流電圧出力部DVのH側出力ノードとゲート駆動回路GDの間のH側ラインLに接続される。
【0038】
コンデンサC1は、対応するゲート駆動回路GDのH側ノードと対応するスイッチング素子のソースとの間に接続される。より具体的には、コンデンサC1は、一端がスイッチSW102(図3(a)参照)の一端に接続され、他端がスイッチSW101の一端及びノードN2に接続される。
【0039】
第2スイッチング部12は、複数のスイッチング素子SW11~SW16、複数のゲート駆動回路GD11~GD16、複数の直流電圧出力部DV11~DV13、複数のブートストラップ回路BS11~BS13を有する。
【0040】
スイッチング素子SW11~SW16は、入力ノードNin2と出力ノードNoutとの間に直列接続される。スイッチング素子SWは、入力ノードNin2側から出力ノードNout側へ順にSW11~SW16と表記される。
【0041】
図2では、スイッチング素子SW11~SW16のソース側のノードが、それぞれ、ノードN11~N16と表記される。各スイッチング素子SWは、ドレインと、オンしたときにドレインと電気的に接続されるソースと、オン・オフの状態を切り替えるためのゲート電圧が入力されるゲートとを有する。ここで、スイッチング素子SW(n)(nは12以上の整数)のソースは、スイッチング素子SW(n-1)のドレインに接続される。例えば、スイッチング素子SW12はソースがスイッチング素子SW11のドレインに接続される。
【0042】
また、スイッチング素子SW11~SW16は、同時にオン、又は、同時にオフするように図示しない制御回路によって制御される。
【0043】
スイッチング素子SW11~SW16は、オンした際に、そのソースが直流電源GEの低電位側電源端子及び出力端子TMoutに電気的に接続される。
【0044】
ゲート駆動回路GD11~GD16は、それぞれ、直流電圧出力部DV11~DV13に対応し、スイッチング素子SW11~SW16に対応する。各ゲート駆動回路GD11~GD16は、対応する直流電圧出力部DVと対応するスイッチング素子SWとの間に接続される。
【0045】
ゲート駆動回路GD11は、直流電圧出力部DV11とスイッチング素子SW11との間に接続される。同様に、ゲート駆動回路GD13は、直流電圧出力部DV12とスイッチング素子SW13との間に接続される。また、ゲート駆動回路GD15は、直流電圧出力部DV13とスイッチング素子SW15との間に接続される。
【0046】
ゲート駆動回路GD12は、ブートストラップ回路BS11とスイッチング素子SW12との間に接続される。同様に、ゲート駆動回路GD14は、ブートストラップ回路BS12とスイッチング素子SW14との間に接続される。また、ゲート駆動回路GD16は、ブートストラップ回路BS13とスイッチング素子SW16との間に接続される。
【0047】
なお、ゲート駆動回路GD11、GD12、GD13、GD14、GD15、及びGD16は、それぞれ、ゲート駆動回路GD1、GD2、GD3、GD4、GD5及びGD6と同様の構成であるので、詳細説明は省略する。
【0048】
直流電圧出力部DV11~DV13は、それぞれ、電源VDC及び複数の絶縁型DC-DCコンバータCV11~CV13を有する。そして、電源VDCから出力された電圧を内部的に伝達し、所定の電位差(例えば24V)を有する直流電圧Vとして出力する。すなわち、L側ラインLの電位に対してH側ラインLの電位は、所定の電位差(例えば24V)を有することになる。
【0049】
電源VDCは、第1スイッチング部11の電源VDCと同じであるため、説明を省略する。
【0050】
絶縁型DC-DCコンバータCV11~CV13は、それぞれ、第1スイッチング部11の複数の絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3と同じ構成であるので、詳細説明は省略するが、絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3に印加される電圧が異なる。
【0051】
ブートストラップ回路BS11~BS13は、それぞれ、ダイオードD1及びコンデンサC1を有する。これらは、第1スイッチング部11のブートストラップ回路BS11~BS13と同じ構成であるので、詳細説明を省略する。
【0052】
次に、第1スイッチング部11におけるスイッチング動作と絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3の絶縁耐圧について説明する。
【0053】
上記のように、スイッチング素子SW1~SW6は、出力ノードNoutと入力ノードNin1との間に直列接続されるので、スイッチング素子SW1~SW6がオンすると、各スイッチング素子SWのソースの電位は入力ノードNin1の電位(この例では12kV)と同じになる。この際、スイッチング素子SW11~SW16はオフなので、出力端子TMoutから12kVのレベルでパルス電圧Voutが出力される。
【0054】
直流電圧出力部DV1のL側出力ノードは、L側ラインLを介してノードN1に接続されているので、L側出力ノードの電位は入力ノードNin1の電位の電位(この例では12kV)と同じになる。したがって、直流電圧出力部DV1のH側出力ノードの電位は、入力ノードNin1の電位に所定の電位差を加算した電位になる(この例では12kV+24V=12,024V)。また、直流電圧出力部DV2及び直流電圧出力部DV3のL側出力ノードの電位も入力ノードNin1の電位の電位(この例では12kV)と同じになる。また、直流電圧出力部DV2及び直流電圧出力部DV3のH側出力ノードの電位も入力ノードNin1の電位に所定の電位差を加算した電位になる(この例では12kV+24V=12,024V)。
【0055】
一方、スイッチング素子SW1~SW6がオフのときは、スイッチング素子SW11~SW16がオンになる。この場合、出力ノードNoutが0kVになるので、第1スイッチング部11には12kVの電位差が生じる。この電位差は、第1スイッチング部11を構成するスイッチング素子SW1~SW6で分担負担するので、各スイッチング素子SWのドレインとソースとの間に電位差が生じる。第1スイッチング部11がスイッチング素子SW1~SW6のように6つのスイッチング素子で構成されていれば、1つのスイッチング素子SWあたり2kVの負担になる。そのため、スイッチング素子SW1のソースの電位は0kV、スイッチング素子SW2のソースの電位は2kV、スイッチング素子SW3のソースの電位は4kV、スイッチング素子SW4のソースの電位は6kV、スイッチング素子SW5のソースの電位は8kV、スイッチング素子SW6のソースの電位は10kVになる。
【0056】
この場合、直流電圧出力部DV1のL側出力ノードの電位は0kV、直流電圧出力部DV2のL側出力ノードの電位は4kV、直流電圧出力部DV3のL側出力ノードの電位は8kVになる。そのため、直流電圧出力部DV1のH側出力ノードの電位は24V、直流電圧出力部DV2のH側出力ノードの電位は4,024V、直流電圧出力部DV3のH側出力ノードの電位は8,024Vとなる。
【0057】
すなわち、スイッチング素子SW1~SW6の状態がオンであるのか、オフであるのかによって、第1スイッチング部11の電直流電圧出力部DVの出力側の電位が異なる。また、直流電圧出力部DV1のH側出力ノードの最大電位は12,024Vであり、L側出力ノードの最大電位は12,000Vとなる。同様に、電直流電圧出力部DV2のH側出力ノードの最大電位は12,024Vであり、L側出力ノードの最大電位は12,000Vとなる。また、電直流電圧出力部DV3のH側出力ノードの最大電位は12,024Vであり、L側出力ノードの最大電位は12,000Vとなる。
【0058】
このように、直流電圧出力部DVでは、入出力間の電位差が大きいため、複数の絶縁型DC-DCコンバータCV1~CV3を用いて、入出力間の絶縁を行いつつ、入出力間に印加される電圧を分散負担している。これにより、絶縁型DC-DCコンバータCVの絶縁耐圧を確保することができる。
【0059】
次に、第2スイッチング部12におけるスイッチング動作と絶縁型DC-DCコンバータCVの絶縁耐圧について説明する。
【0060】
スイッチング素子SW11~SW16は、入力ノードNin2と出力ノードNoutとの間に直列接続されるので、スイッチング素子SW11~SW16がオンすると、各スイッチング素子SWのソースの電位は入力ノードNin2の電位(この例では0kV)と同じになる。この際、スイッチング素子SW1~SW6はオフなので、出力端子TMoutから0kVのレベルでパルス電圧Voutが出力される。
【0061】
直流電圧出力部DV11のL側出力ノードは、L側ラインLを介してノードN11に接続されているので、L側出力ノードの電位は入力ノードNin2の電位の電位(この例では0kV)と同じになる。したがって、H側ラインLの電位は、入力ノードNin2の電位に所定の電位差を加算した電位になる(この例では0kV+24V=24V)。また、直流電圧出力部DV12及び直流電圧出力部DV13のL側出力ノードの電位も入力ノードNin2の電位の電位(この例では0kV)と同じになる。また、直流電圧出力部DV12及び直流電圧出力部DV13のH側出力ノードの電位も入力ノードNin2の電位に所定の電位差を加算した電位になる(この例では0kV+24V=24V)。
【0062】
一方、スイッチング素子SW1~SW6がオンのときは、スイッチング素子SW11~SW16がオフになる。この場合、出力ノードNoutが12kVになるので、第2スイッチング部12には12kVの電位差が生じる。この電位差は、第2スイッチング部12を構成するスイッチング素子SW11~SW16で分担負担するので、各スイッチング素子SWのドレインとソースとの間に電位差が生じる。第2スイッチング部12がスイッチング素子SW1~SW6のように6つのスイッチング素子で構成されていれば、1つのスイッチング素子SWあたり2kVの負担になる。
【0063】
そのため、スイッチング素子SW11のソースの電位は0kV、スイッチング素子SW12のソースの電位は2kV、スイッチング素子SW13のソースの電位は4kV、スイッチング素子SW14のソースの電位は6kV、スイッチング素子SW15のソースの電位は8kV、スイッチング素子SW16のソースの電位は10kVになる。
【0064】
この場合、直流電圧出力部DV11のL側出力ノードの電位は0kV、直流電圧出力部DV12のL側出力ノードの電位は4kV、直流電圧出力部DV13のL側出力ノードの電位は8kVになる。そのため、直流電圧出力部DV11のH側出力ノードの電位は24V、直流電圧出力部DV12のH側出力ノードの電位は4,024V、直流電圧出力部DV13のH側出力ノードの電位は8,024Vとなる。
【0065】
すなわち、スイッチング素子SW11~SW16の状態がオンであるのか、オフであるのかによって、第2スイッチング部12の電直流電圧出力部DVの出力側の電位が異なる。また、電直流電圧出力部DV11のH側出力ノードの最大電位は24Vであり、L側出力ノードの最大電位は0Vとなる。同様に、電直流電圧出力部DV12のH側出力ノードの最大電位は4,024Vであり、L側出力ノードの最大電位は4,000Vとなる。また、電直流電圧出力部DV13のH側出力ノードの最大電位は8,024Vであり、L側出力ノードの最大電位は8,000Vとなる。したがって、第2スイッチング部12の電直流電圧出力部DVの出力側の電位は、第1スイッチング部11の電直流電圧出力部DVの出力側の電位よりも低い。
【0066】
第1スイッチング部11と同様に、直列接続される絶縁型DC-DCコンバータCVの個数は、要求される絶縁耐圧に応じて(例えば3に)決められ得る。図2に示した例では、絶縁型DC-DCコンバータCVの個数を3にしているが、電位が低い分、個数を減らすことが可能な場合がある。
【0067】
次に、第1スイッチング部11の動作について図3を用いて説明する。図3では、例示的に、スイッチング素子SW1,SW2、ゲート駆動回路GD1,GD2、直流電圧出力部DV1、ブートストラップ回路BS1を含む構成の動作を説明する。複数のスイッチング素子SW1~SW6が同時にオン(ON)の場合、スイッチング素子SW1のソースには12kVが印加される。
【0068】
スイッチング素子SW1のソースと絶縁型DC-DCコンバータCV3のL側出力ノードとがL側ラインLを介して電気的に接続されているので、絶縁型DC-DCコンバータCV3のL側出力ノードの電位は、12kVになる。絶縁型DC-DCコンバータCV3の出力は電位差がV(例えば、24V)なので、絶縁型DC-DCコンバータCV3のH側出力ノードの電位は、12kV+V(例えば、12,024V)になる。図3(a)に示す接続関係を有するので、ゲート駆動回路GD1のH側ノードとL側ノードとの間には、電位差24Vの直流電圧Vが入力される。
【0069】
スイッチング素子SW1をオン(ON)させたい場合、ゲート駆動回路GD1は、図3(a)に示すように、スイッチSW101をオフ状態に維持し、スイッチSW102をオン状態に維持する。これにより、ゲート駆動回路GD1は、スイッチング素子SW1のゲート-ソース間に、絶縁型DC-DCコンバータCV3から供給された直流電圧Vを印加する。
【0070】
スイッチング素子SW1をオフ(OFF)させたい場合、ゲート駆動回路GD1は、図3(b)に示すように、スイッチSW101をオン状態に維持し、スイッチSW102をオフ状態に維持する。これにより、ゲート駆動回路GD1は、スイッチング素子SW1のゲート-ソース間の電位差を0Vにする。
【0071】
一方、絶縁型DC-DCコンバータCV3とゲート駆動回路GD2との間には、ブートストラップ回路BS1があるので、ダイオードD1によって電圧降下ΔV(例えば、0.7V)が生じる。その結果、ゲート駆動回路GD2のH側ノードとL側ノードとの間には、電位差V-ΔV(例えば、23.3V)の直流電圧が入力される。そのため、ゲート駆動回路GD2は、直流電圧の電位差をV-ΔVを、スイッチング素子SW2のオン・オフの状態を切り替えるのに適した電位差に調整することができる。これにより、ゲート駆動回路GD2は、スイッチング素子SW2のオン(ON)またはオフ(OFF)の状態を切り替えることができる。
【0072】
スイッチング素子SW2をオン(ON)させたい場合、ゲート駆動回路GD2は、図3(a)に示すように、スイッチSW101をオフ状態に維持し、スイッチSW102をオン状態に維持する。これにより、ゲート駆動回路GD2は、スイッチング素子SW1のゲート-ソース間に、ブートストラップ回路BS1から供給された直流電圧V-ΔVを印加する。スイッチング素子SW2をオフ(OFF)させたい場合、ゲート駆動回路GD2は、図3(b)に示すように、スイッチSW101をオン状態に維持し、スイッチSW102をオフ状態に維持する。これにより、ゲート駆動回路GD2は、スイッチング素子SW2のゲート-ソース間の電位差を0Vにする。
【0073】
上述したように、絶縁型DC-DCコンバータCVの入出力間の電位差が大きい場合(例えば、絶対値が10kV以上の場合)、絶縁型DC-DCコンバータCVを複数段構成にして、1つの絶縁型DC-DCコンバータCVに印加される電圧を低減させる必要が生じる。そのため、通常であれば、絶縁型DC-DCコンバータCVは、スイッチング素子毎に必要であるため、電源回路が大型化してしまう。
【0074】
これに対して、図2に示す第1スイッチング部11では、スイッチング素子SWの個数は6であるが、直流電圧出力部の個数は3である。すなわち、絶縁型DC-DCコンバータを3つ低減できている。その分、ブートストラップ回路BSを3つ用いているが、ブートストラップ回路BSは、ダイオードとコンデンサだけで構成できるので、絶縁型DC-DCコンバータCVよりも小さい。そのため、第1スイッチング部11を小型化することができる。図2に示す第2スイッチング部12でも同様に、絶縁型DC-DCコンバータの個数を3つ低減できている。そのため、第2スイッチング部12を小型化することができる。
【0075】
以上のように、実施形態では、電源回路1において、第1スイッチング部11の構成を小型化でき、第2スイッチング部12の構成を小型化できる。したがって、電源回路1を小型化できる。
【0076】
なお、実施形態の第1の変形例として、電源回路1aは、図1(b)に示すように、マイナス電位で動作するように構成されてもよい。図1(b)は、実施形態の第1の変形例に係る電源回路の概略構成を示す回路図である。
【0077】
この場合、入力ノードNin2の電位は、負の値(例えば、-12kV)になる。電源回路1aは、図1(b)に示すように、入力ノードNin1が基準電位に接続される。このとき、図4に示すように、第1スイッチング部11及び第2スイッチング部12は、それぞれ、実施形態と同様に構成され得るが、その動作時の電位が異なる。
【0078】
複数のスイッチング素子SW1~SW6を同時にオンさせ複数のスイッチング素子SW11~SW16を同時にオフさせるとき、ノードN1~N6の電位は、それぞれ、基準電位になり、出力ノードNoutの電位が基準電位になる。これにより、出力端子TMoutから基準電位のレベルでパルス電圧Voutが出力される。また、出力ノードNoutと入力ノードNin2との電位差を複数のスイッチング素子SW11~SW16で分担負担する。このため、入力ノードNin2の電位が-12kVの場合、ノードN11,N12,N13,N14,N15,N16の電位は、それぞれ、-12kV,-10kV,-8kV,-6kV,-4kV,-2kVになる。
【0079】
複数のスイッチング素子SW1~SW6を同時にオフさせ複数のスイッチング素子SW11~SW16を同時にオンさせるとき、ノードN11~N16の電位は、それぞれ、-12kVになり、出力ノードNoutの電位が-12kVになる。これにより、出力端子TMoutから-12kVのレベルでパルス電圧Voutが出力される。また、入力ノードNin1と出力ノードNoutとの電位差を複数のスイッチング素子SW1~SW6で分担負担する。このため、入力ノードNin2の電位が-12kVの場合、ノードN1,N2,N3,N4,N5,N6の電位は、それぞれ、-12kV,-10kV,-8kV,-6kV,-4kV,-2kVになる。このような電源回路1aにおいても、第1スイッチング部11の構成を小型化でき、第2スイッチング部12の構成を小型化できる。したがって、電源回路1aを小型化できる。
【0080】
また、実施形態の第2の変形例として、電源回路1bの第1スイッチング部11b及び第2スイッチング部12bそれぞれにおいて、図5に示すように、ブートストラップ回路BSが複数段重ね(例えば、2段重ね)で用いられてもよい。
【0081】
図5は、実施形態の第2の変形例における第1スイッチング部11b及び第2スイッチング部12bの構成を示す回路図である。例えば、第1スイッチング部11bにおいて、直流電圧出力部DV1の出力側にブートストラップ回路BS1,BS21が2段重ねで接続される。2段目のブートストラップ回路BS21は、1段目のブートストラップ回路BS1を介して、直流電圧出力部DV1とゲート駆動回路GD3との間に接続される。
【0082】
2段目の各ブートストラップ回路BSは、ダイオードD2及びコンデンサC2を有する。ダイオードD2は、ダイオードD1を介して、直流電圧出力部DVのH側出力ノードとゲート駆動回路GDのH側ノードとの間に接続される。コンデンサC2は、ゲート駆動回路GDのH側ノードとスイッチング素子SWのソースとの間に接続されている。このように、電源回路1bは、スイッチング素子SWごとに直流電圧出力部DVが設けられる構成に比べて、絶縁型DC-DCコンバータを更に省略することができる。そのため、電源回路1bをさらに小型化できる。
【0083】
また、実施形態の第3の変形例として、電源回路1cの電位の絶対値が低い方のスイッチング部において、図6に示すように、絶縁型DC-DCコンバータの個数が部分的に削減されてもよい。図6は、実施形態の第3の変形例における第1スイッチング部11及び第2スイッチング部12cの構成を示す回路図である。電位の絶対値が低い方のスイッチング部では、絶縁型DC-DCコンバータの出力端に印加される電位の絶対値の最大値が箇所によって異なる。
【0084】
そのため、各絶縁型DC-DCコンバータの耐圧を考慮して、段数を調整できる。例えば、入力ノードNin1の電位が12kVの場合、第2スイッチング12cにおいて、直流電圧出力部DV11cは、出力側の最大電位が約0kVである。そのため、絶縁型DC-DCコンバータCVを備えなくてもよい。ただし、電源VDCは、必要である。
【0085】
直流電圧出力部DV13cは、出力側の最大電位が約4kVであり、電源VDC及び1個の絶縁型DC-DCコンバータCV1を有する。
【0086】
直流電圧出力部DV13cは、出力側の最大電位が約8kVであり、電源VDC及び2個の絶縁型DC-DCコンバータCV1,CV2を有する。
【0087】
このように、電源回路1cにおいて、直流電圧出力部DVに含まれる絶縁型DC-DCコンバータCVの個数を低減することで直流電圧出力部DV自体を小型化でき、電源回路1cをさらに小型化できる。
【0088】
また、実施形態の第4の変形例として、電源回路1dの第1スイッチング部11d及び第2スイッチング部12dのそれぞれにおいて、図7に示すように、駆動回路DRで電圧調整が行われてもよい。
【0089】
図7は、実施形態の第4の変形例における第1スイッチング部11d及び第2スイッチング部12dの構成を示す回路図である。この例では、各ゲート駆動回路GDの前段に電圧レギュレータVRを追加し、電圧レギュレータVR及びゲート駆動回路GDを含む駆動回路DRを構成する。
【0090】
例えば、ゲート駆動回路GD1の前段に電圧レギュレータVR1(第1の電圧調整手段の一例)を追加し、電圧レギュレータVR1及びゲート駆動回路GD1を含む駆動回路DR1を構成する。また、ゲート駆動回路GD2の前段に電圧レギュレータVR2(第2の電圧調整手段の一例)を追加し、電圧レギュレータVR2及びゲート駆動回路GD2を含む駆動回路DR2を構成する。その他の電圧レギュレータVR3等についても同様である。
【0091】
これにより、例えば、ブートストラップ回路BS1のダイオードD1での電圧降下ΔV分を補うように電圧レギュレータVR2で電圧を調整してゲート駆動回路GD2へ供給できる。すなわち、駆動回路DR2は、入力される直流電圧の電位差V-ΔVをスイッチング素子SWのオン・オフの状態を切り替えるのに適した電位差Vに調整し、調整後の電位差Vに応じたゲート電圧を生成することができる。
【0092】
この調整の際、電圧レギュレータVRを備えている駆動回路DRの出力電圧が同じになるように調整することが好ましい。調整方法としては、例えば、直流電圧出力部DVから出力する直流電圧の電位差を少し高めにしておき、各電圧レギュレータVRを調整して、出力電圧が同じになるように調整すればよい。
【0093】
電圧レギュレータVR(電圧調整手段)がない場合は、各スイッチング素子SWに供給する電位差にばらつきが生じ、各スイッチング素子SWのON抵抗にばらつきが生じる。
しかし、上記のように構成すると、各スイッチング素子SWのON抵抗のばらつきを抑制することができる。そのため、各スイッチング素子SWを同じ発熱条件で使用することができる。これにより、各スイッチング素子SWの劣化度合いのばらつきを低減させることが可能となる。
【0094】
なお、上記の実施形態(変形例含む)では、例えば、ゲート駆動回路GD2に対応するブートストラップ回路BS1が設けられていたが、このような構成に限定されない。例えば、図2の実施形態の第1スイッチング部11において、ゲート駆動回路GD1、ゲート駆動回路GD2、ゲート駆動回路GD3及びゲート駆動回路GD5には、対応する直流電圧出力部DVから電圧を供給するようにするが、ゲート駆動回路GD4及びゲート駆動回路GD6には、ブートストラップ回路BSを介して電圧を供給するように構成することもできる。すなわち、ゲート駆動回路GD2に対応する電直流電圧出力部DVを設けるので、図2に示した構成よりも電直流電圧出力部DVが1つ多く、ブートストラップ回路BSの個数が1つ少ない構成にしてもよい。このような場合でも、全てのゲート駆動回路GDに対応する電直流電圧出力部DVを設けるよりも、電源回路1を小型化できる。
【0095】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0096】
1,1a,1b,1c,1d 電源回路
11,11a,11b、11d 第1スイッチング部
12,12a,12b,12c,12d 第2スイッチング部
BS1,BS2,BS3,BS11,BS12,BS13,BS21,BS22,BS31,BS32 ブートストラップ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7